vulgar
第一音節にアクセントがあります。母音 /ʌ/ は日本語の『ア』と『オ』の中間のような音で、口を少し開けて短く発音します。語尾の 'r' は、アメリカ英語では舌を巻く音ですが、イギリス英語ではほとんど発音されません。どちらのアクセントを選ぶにしても、'l' の発音(舌先を上前歯の裏に軽く触れる)は意識しましょう。
専門的な内容に関するご注意
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下品な
趣味が悪く、洗練されていない様子。言葉遣いや行動が粗野で、一般的に不快感を与えるものを指す。フォーマルな場には不適切。
I was shocked when he used such vulgar language in front of everyone.
みんなの前で彼がそんな下品な言葉を使ったとき、私はショックを受けました。
※ この例文は、誰かが公の場で不適切な言葉(「vulgar language」)を使い、それを聞いた人が驚きや不快感を感じる場面を描写しています。「vulgar」は言葉遣いが粗野で品がないときに非常によく使われる典型的な例です。
Many people felt uncomfortable because of his vulgar behavior in the restaurant.
レストランでの彼のその下品な振る舞いのせいで、多くの人が不快に感じました。
※ ここでは、レストランのような公共の場所で、誰かが周囲に迷惑をかけるような、品位に欠ける行動(「vulgar behavior」)をしている状況を表しています。マナーが悪い、常識外れといった意味合いで使われ、人々に不快感を与えている様子が伝わります。
My parents quickly changed the TV channel because the comedy show was too vulgar.
そのコメディ番組があまりにも下品だったので、両親はすぐにテレビのチャンネルを変えました。
※ 家族でテレビを見ている時に、子供にはふさわしくないような、品のないジョークや内容の番組が流れてきたので、親が慌ててチャンネルを変えた場面です。「too vulgar」は「あまりにも下品すぎる」という意味で、不快感や不適切さが強調されます。テレビ番組やジョークの内容に対して「vulgar」を使うのは非常に一般的です。
大衆的な
広く一般に受け入れられているが、必ずしも高品質ではないもの。大衆向けであることによって、ある程度の低俗さを含むニュアンス。
The comedy show on TV was popular, but its jokes were too vulgar for my taste.
テレビのコメディ番組は人気があったけれど、そのジョークは私の好みにはあまりに下品(大衆的すぎる)だった。
※ この例文では、テレビのコメディ番組が多くの人にウケる「大衆的」な内容である一方で、そのジョークが「洗練されていない」「品がない」と感じられる様子を描写しています。'vulgar'は、単に人気があるだけでなく、どこか粗野で、趣味が悪い、といったニュアンスを含む「大衆的」なものを指すときに使われます。'for my taste'は「私の好みには」という意味で、個人的な意見を言うときによく使う表現です。
I felt uncomfortable because the man used very vulgar words loudly on the train.
私は不快に感じました、なぜならその男性が電車の中で非常に下品な(大衆的で粗野な)言葉を大声で使っていたからです。
※ ここでは、公共の場所での言葉遣いが'vulgar'である状況を示しています。'vulgar words'は「下品な言葉」「粗野な言葉」という意味で、教養がなく、洗練されていない話し方を指します。多くの人が使うかもしれない「大衆的」な言葉遣いであっても、TPO(時・場所・場合)をわきまえないと'vulgar'と見なされることがあります。'uncomfortable'は「不快な」「居心地が悪い」という気持ちを表すのにぴったりな単語です。
Her large, shiny necklace looked a bit vulgar, not elegant at all.
彼女の大きくて光るネックレスは少し下品(大衆的でけばけばしい)に見え、全く上品ではなかった。
※ この例文は、ファッションや装飾品が'vulgar'に見える状況を表しています。高価なものであっても、デザインや身につけ方によっては「洗練されていない」「けばけばしい」「趣味が悪い」といった「大衆的」な印象を与えることがあります。'elegant'(上品な)という単語と対比することで、'vulgar'が持つ「洗練されていない」というニュアンスがより明確になります。
露骨な
性的な内容や暴力など、本来隠すべきものがむき出しになっている状態。婉曲表現を避け、直接的で不快な印象を与える。
He used vulgar language at the party, which made everyone uncomfortable.
彼はパーティーで下品な言葉遣いをしたので、皆が不快に感じました。
※ この例文は、パーティーという賑やかな場所で、ある人が不適切な言葉を使い、周りの人が嫌な気持ちになった場面を描写しています。「vulgar」は、言葉遣いが「品がない」「粗野で露骨」な様子を表す際によく使われます。特に、他人に不快感を与えるような言葉に対して使われることが多いです。
Her vulgar behavior in the restaurant made other diners stare.
レストランでの彼女の露骨な振る舞いに、他の客は凝視しました。
※ 静かなレストランで、一人の女性が周囲に配慮しない、品のない行動を取ったため、他の客が思わず見てしまった状況です。「vulgar」は、態度や行動が「下品で露骨」であることを示す際にも使われます。公共の場でのマナー違反や、洗練されていない振る舞いを指す典型的な使い方です。
I thought his bright, shiny suit looked a bit vulgar for the formal event.
彼の明るくて光沢のあるスーツは、そのフォーマルなイベントには少し下品に見えました。
※ 格式ばったイベントで、場にそぐわない、けばけばしいスーツを着た男性が目立ち、見る人が「ちょっと違うな」「品がないな」と感じる様子を表しています。「vulgar」は、服装や装飾品などが「趣味が悪く、派手すぎて下品」な印象を与える場合にも使われます。「a bit」は「少し、やや」という意味で、ネガティブな形容詞を和らげる際によく使われます。
コロケーション
下品なまでの富の誇示
※ 「vulgar」が持つ「趣味が悪い」「洗練されていない」という意味合いが、富の誇示という行為を強調する表現です。単に「富の誇示」と言うよりも、そのやり方が露骨で、周囲への配慮に欠けているニュアンスが含まれます。例えば、成金趣味のような、品のない豪華さを示す際に用いられます。形容詞+名詞の組み合わせで、しばしば批判的な文脈で使用されます。
下品な冗談、卑猥なジョーク
※ 直接的な性的な表現や、排泄物、身体の一部など、タブーとされている話題を扱うジョークを指します。ユーモアとして成立せず、不快感を与えることが多いです。口語表現で、フォーマルな場面では避けるべきです。類似の表現として"crude joke"がありますが、"vulgar joke"の方がより下品で露骨なニュアンスを含みます。
下品な言葉遣い、汚い言葉
※ スラングや卑猥な言葉、侮辱的な表現など、一般的に公の場での使用が避けられる言葉遣いを指します。フォーマルな場面はもちろん、親しい間柄でも相手によっては不快感を与える可能性があります。"foul language"も同様の意味ですが、"vulgar language"の方が、より社会的なタブーに触れるニュアンスが強いです。例えば、放送禁止用語などが該当します。
一般的な誤り、よくある間違い
※ もともとは天文学用語で、小数点以下の端数処理における誤差を指しましたが、比喩的に「誰でも犯しうる、初歩的な誤り」という意味で使われることがあります。ただし、日常会話ではあまり使われず、学術的な文脈や皮肉を込めて用いられることが多いです。例えば、論文の統計処理における単純な計算ミスなどを指します。
普通分数
※ 数学用語で、分子と分母が整数で表される分数のこと(例:1/2, 3/4)。専門的な文脈以外ではほとんど使われません。"common fraction"とも呼ばれます。教養として知っておくと、数学関連の英文を読む際に役立つかもしれません。
俗ラテン語
※ 古典ラテン語(書き言葉、教養階級が使用)に対して、一般民衆が日常的に使用していたラテン語のこと。ロマンス諸語(イタリア語、フランス語、スペイン語など)の祖先となった言語です。言語学や歴史学の文脈で用いられる専門用語ですが、ロマンス諸語の成り立ちを理解する上で重要な概念です。
使用シーン
学術論文では、特定の社会階層や文化における表現様式を分析する際に使用されることがあります。例えば、社会学の研究で「下層階級における言葉遣いの特徴」を議論する文脈で、客観的な記述として用いられることがあります。ただし、価値判断を避けるため、より中立的な言葉を選ぶ傾向があります。
ビジネスシーンでは、非常に慎重な言葉選びが求められるため、「vulgar」の使用は極めて稀です。もし使うとすれば、市場調査の報告書などで、特定の商品の広告表現が「大衆迎合的である」と分析するような、客観的な記述に限られるでしょう。ただし、誤解を避けるため、別の言葉で言い換えることが推奨されます。
日常会話で「vulgar」を使うことは一般的ではありません。何かを「下品だ」と批判的に表現したい場合でも、より婉曲的な言葉やユーモアを交えた表現を選ぶことが多いでしょう。例えば、「あのジョークはちょっと趣味が悪いね」のように言います。ニュースやドキュメンタリーで、特定の文化や社会現象を説明する際に、引用として使われる可能性はあります。
関連語
類義語
『洗練されていない』『粗野な』という意味で、加工されていない物質や未熟な技術、粗雑な行動などを指す。芸術、技術、行動、性格など幅広い対象に使われる。中立的な意味合いでも用いられる。 【ニュアンスの違い】『vulgar』よりも直接的で、未加工、未完成といったニュアンスが強い。必ずしも不快感を与えるとは限らない点が異なる。例えば、原油(crude oil)のように使われる。 【混同しやすい点】『vulgar』が社会的な規範からの逸脱を意味するのに対し、『crude』は技術や洗練さの欠如を意味する。したがって、不快感の度合いが異なる場合がある。
『きめの粗い』『粗野な』という意味で、物質の質感や人の言動に対して使われる。物質に対しては物理的な粗さを、人に対しては礼儀作法や言葉遣いの粗さを指す。 【ニュアンスの違い】『vulgar』よりも物質的な粗さや、行動・言葉遣いの表面的な粗雑さを強調する。また、しばしば下品さを含むが、『vulgar』ほど露骨ではない。 【混同しやすい点】『coarse』は触覚的な粗さや外見的な粗さを伴うことが多いが、『vulgar』は必ずしもそうではない。例えば、『coarse language』は下品な言葉遣いを指すが、『vulgar display of wealth』は下品な富の誇示を指す。
『わいせつな』『下品な』という意味で、主に性的な意味合いにおいて、社会的な道徳や礼儀に反する行為や表現を指す。公的な場や子供の前での不適切な行動に対して使われる。 【ニュアンスの違い】『vulgar』よりも性的なニュアンスが強く、露骨で不快感を与える度合いが高い。法的な問題に発展する可能性もある。 【混同しやすい点】『indecent』は性的な文脈で使われることが多いが、『vulgar』はより広範な文脈で使用される。例えば、『indecent exposure』はわいせつ露出を指すが、『vulgar joke』は下品なジョークを指す。
- obscene
『わいせつな』『卑猥な』という意味で、性的な嫌悪感や強い不快感を与える行為や表現を指す。芸術作品や言論など、表現物に対して用いられることが多い。 【ニュアンスの違い】『vulgar』よりも強い嫌悪感や倫理的な非難を含む。法的な規制の対象となる可能性もある。宗教的な文脈で使われることもある。 【混同しやすい点】『obscene』は芸術や表現の文脈で使われることが多く、法的な判断が伴う場合があるが、『vulgar』はより日常的な文脈で使用される。
- bawdy
『みだらな』『わいせつな』という意味で、ユーモラスで陽気な性的なジョークや歌などを指す。演劇や文学作品などで、大衆を楽しませるために用いられる。 【ニュアンスの違い】『vulgar』よりもユーモラスで、性的な内容を直接的かつ露骨に表現する。必ずしも不快感を与えるとは限らず、むしろ娯楽として楽しまれる場合がある。 【混同しやすい点】『bawdy』はエンターテイメントの文脈で使われることが多く、必ずしも悪意や嫌悪感を含まないが、『vulgar』はより広い文脈で使用され、不快感を与えることが多い。
『趣味の悪い』『下品な』という意味で、美的感覚や礼儀作法に欠ける行為や表現を指す。服装、装飾、ジョーク、行動など、幅広い対象に使われる。 【ニュアンスの違い】『vulgar』よりも主観的な判断に基づくニュアンスが強い。個人的な美的感覚や社会的なマナーに反するものを指す。 【混同しやすい点】『tasteless』は個人の趣味や美的感覚に依存する度合いが高いが、『vulgar』はより客観的な社会規範からの逸脱を意味することが多い。何が『tasteless』であるかは文化や個人の価値観によって異なる。
派生語
- vulgarity
『下品さ』『粗野さ』を意味する名詞。「vulgar」の抽象名詞形で、より客観的に、あるいは婉曲的に下品な行為や言動を指す際に用いられる。日常会話よりも、社会学や文化研究などの学術的な文脈、あるいは報道などで使われることが多い。たとえば、「vulgarity in advertising(広告における下品さ)」のように使われる。
- vulgarize
『通俗化する』『大衆化する』という意味の動詞。「vulgar」が元来持っていた『一般大衆の』という意味合いから派生し、専門的な知識や情報を一般の人々にも理解できるように平易にすることを指す。必ずしもネガティブな意味ではなく、良い意味で使われることもある。たとえば、「vulgarize scientific concepts(科学の概念をわかりやすくする)」のように使われる。
接頭辞『di-(分離・拡散)』と語根『vulg-(大衆)』が組み合わさり、『秘密を暴露する』『公にする』という意味の動詞となる。元々は『大衆に広める』という意味合いから派生し、現在では秘匿されていた情報を公にすることを指す。フォーマルな文脈で使われ、ビジネスや法律関連の文書でよく見られる。例えば, "divulge confidential information"(機密情報を暴露する)のように使われる。
反意語
『洗練された』『上品な』という意味の形容詞。「vulgar」が持つ『粗野な』『下品な』という意味と対照的に、趣味や教養が高く、洗練されている様子を表す。服装、言葉遣い、態度など、幅広い対象に対して用いられる。日常会話からフォーマルな場面まで幅広く使われる。
『優雅な』『上品な』という意味の形容詞。「vulgar」が持つ『粗野な』という意味と対比され、洗練された美しさや上品さを強調する。特に、服装、スタイル、芸術作品などに対して使われることが多い。フォーマルな場面や、美的感覚を評価する文脈でよく用いられる。
『洗練された』『高度な』という意味の形容詞。「vulgar」が持つ『単純な』『粗野な』という意味と対照的に、知性や技術が高度に発達している状態を表す。人、技術、文化など、幅広い対象に対して用いられる。ビジネス、テクノロジー、芸術など、多様な分野で使われる。
語源
「vulgar」はラテン語の「vulgus」(一般大衆、群衆)に由来します。元々は「一般の人々に属する」という意味合いを持ち、特に身分や教養の高い人々とは異なる、普通の人々に関連することを指していました。しかし、時間が経つにつれて、その意味合いは変化し、一般大衆に関連するものが必ずしも洗練されていない、あるいは下品であるというニュアンスを帯びるようになりました。例えば、日本語の「庶民的」という言葉が、必ずしもネガティブな意味を持たないのに対し、「vulgar」はより否定的な意味合いで使われることが多いです。この変化は、社会階層や文化的な価値観の変化を反映していると言えるでしょう。つまり、「vulgar」は元々は単に「大衆の」という意味だったものが、社会的な評価が加わることで「下品な」という意味へと変化したのです。
暗記法
「vulgar」は元々「民衆の」意味。しかし、社会階層や教養水準の差異を背景に、「上品」と「下品」の境界線を示す言葉へと変化しました。中世の俗ラテン語は、教養層から「粗野」と見なされた一方、ロマンス諸語の源流に。タブーを扱い社会の偽善を暴く芸術表現にも使われます。現代では多様性の中で意味合いも変化していますが、相手への配慮を忘れずに。
混同しやすい単語
スペルが似ており、特に語尾の 'gue' の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすい。また、どちらも外来語としてカタカナで表記されることがあるため、イメージが曖昧になりやすい。『vogue』は『流行』や『人気』を意味し、名詞として使われることが多い。発音も異なり、『vulgar』は/ˈvʌlɡər/、『vogue』は/voʊɡ/となる。注意点として、文脈によって意味が大きく異なるため、混同しないように注意する必要がある。語源的には、『vogue』はフランス語由来で、もともとは『漕ぎ進む』という意味があり、それが『流行の最先端を行く』という意味に転じた。
スペルが一部類似しており、特に 'ulgar' の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすい。発音も若干似ているため、聞き間違える可能性もある。『bulgar』は『ブルガー』または『ブルグル』と発音され、挽き割り小麦の一種を指す。意味が全く異なるため、文脈で判断する必要がある。注意点として、料理関連の話題で『bulgar』が登場する可能性がある。
スペルと発音がいくらか似ているため、混同されることがある。どちらも2音節の単語であり、最初の音節が 'va' または 'vu' で始まる点が共通している。『valor』は『勇気』や『武勇』を意味する名詞であり、『vulgar』とは意味が大きく異なる。注意点として、フォーマルな文脈で『valor』が使われる場合があり、その際に『vulgar』と混同しないようにする必要がある。語源的には、『valor』はラテン語の『valere』(強い)に由来する。
スペルが非常に似ており、最初の6文字が完全に一致しているため、視覚的に混同しやすい。また、どちらも外来語として使われることがあるため、イメージが曖昧になりやすい。『vulcan』はローマ神話の火の神、またはSF作品『スター・トレック』に登場する惑星の名前を指す。意味が全く異なるため、文脈で判断する必要がある。注意点として、SFや神話関連の話題で『vulcan』が登場する可能性がある。
語尾の '-al' が共通しているため、スペルが似ていると感じられることがある。また、どちらも形容詞として使われることがあるため、文法的な役割が似ていると誤解しやすい。『fungal』は『菌類の』という意味で、医学や生物学の分野でよく使われる。発音も異なり、『vulgar』は/ˈvʌlɡər/、『fungal』は/ˈfʌŋɡəl/となる。注意点として、医学的な文脈で『fungal infection(真菌感染症)』という表現をよく使う。
最初の 'bul' の部分が共通しているため、スペルが似ていると感じられることがある。また、どちらも形容詞として使われることがあるため、文法的な役割が似ていると誤解しやすい。『bulky』は『かさばった』や『大きくて扱いにくい』という意味で、物理的な大きさや量を示す際に使われる。発音も異なり、『vulgar』は/ˈvʌlɡər/、『bulky』は/ˈbʌlki/となる。注意点として、商品のサイズや荷物の量を説明する際に『bulky』が使われることがある。
誤用例
日本人が『vulgar』を『難しい言葉を使う』という意味で誤用することがあります。これは、日本語の『賎しい(いやしい)』という言葉が、教養のなさを示す場合があるため、そのイメージが『vulgar』に結びつきやすいからです。しかし、英語の『vulgar』は主に『下品な』『粗野な』という意味で、言葉遣いそのものが洗練されていない状態を指します。難しい言葉を多用する場合は『verbose(冗長な)』や『pompous(大げさな)』が適切です。英語では、難しい言葉を使うこと自体は必ずしも悪いことではなく、むしろ教養の高さを示す場合もあります。
日本人が『正直であること』を『vulgar(下品)』と捉えてしまうことがあります。これは、日本の文化では、収入など個人的な事柄を公の場で率直に話すことが控えめさを欠くとされるためです。しかし、英語圏(特にアメリカなど)では、ある程度のオープンさはコミュニケーションを円滑にするために必要とされます。このような文脈で『無作法な』『不器用な』という意味合いを伝えたい場合は、『gauche』や『tactless』が適切です。文化的な価値観の違いが、言葉のニュアンスのずれを生む典型的な例です。
日本人が『vulgar』を『ありふれた』『平凡な』という意味で誤用することがあります。これは、日本語の『俗っぽい』という言葉が、必ずしも下品ではない、日常的なものを指す場合があるため、そのイメージが『vulgar』に結びつきやすいからです。しかし、英語の『vulgar』は、美的感覚に欠ける、趣味が悪いといった強い否定的な意味合いを持ちます。日常的なものを描いた絵を批判する文脈では、『banal(陳腐な)』や『commonplace(ありふれた)』がより適切です。英語では、日常的なものを描くこと自体は必ずしも悪いことではなく、その表現方法や芸術性によって評価が異なります。
文化的背景
「vulgar」は、元来「民衆の」「一般大衆の」という意味合いを持ちますが、文化的にはしばしば、洗練されていない、下品な、あるいは粗野な振る舞いや表現を指す言葉として、社会階層や教養水準の差異を浮き彫りにする役割を担ってきました。この言葉の背後には、常に「何が上品で、何が下品か」という社会的な価値判断が潜んでおり、時代や文化によってその境界線は変化します。
中世ヨーロッパにおいて、「vulgar Latin(俗ラテン語)」という言葉が存在したことが、その一端を物語っています。これは、古典ラテン語(書き言葉であり、教養層が使用)に対して、一般民衆が日常的に使用していた口語的なラテン語を指します。俗ラテン語はやがて、フランス語、スペイン語、イタリア語といったロマンス諸語へと発展していくのですが、当初は、古典ラテン語を規範とする人々から見れば、「粗野で洗練されていない」言葉と見なされていたのです。この対比は、「vulgar」という言葉が、ある特定の社会階層や権威によって「標準」とみなされるものから逸脱したものを指す、という本質的な意味合いを示唆しています。
また、「vulgar」は、しばしばタブーとされる話題や、性的な事柄、排泄物など、公の場では語られるべきではないとされている事柄を指す場合にも用いられます。これは、社会が一定の礼儀作法や行動規範を設けることで、秩序を維持しようとする意識の表れと言えるでしょう。しかし、芸術表現においては、「vulgar」な要素が、社会の偽善や抑圧を批判する手段として用いられることもあります。例えば、風刺画やブラックジョークなどは、あえて「vulgar」な表現を用いることで、権力者や社会の矛盾を痛烈に批判し、人々に問題意識を喚起するのです。
現代社会においては、「vulgar」という言葉は、個人の価値観やライフスタイルが多様化する中で、その意味合いも変化しつつあります。かつては「下品」とされていたものが、現代では「個性」や「ユーモア」として受け入れられることもあります。しかし、依然として、「vulgar」は、社会的な文脈や相手との関係性を考慮して慎重に使用すべき言葉であることに変わりはありません。なぜなら、この言葉は、単に「下品」という意味だけでなく、相手を侮辱したり、不快な思いをさせたりする可能性を秘めているからです。言葉を選ぶ際には、常に相手への配慮を忘れず、TPOに応じた適切な表現を心がけることが大切です。
試験傾向
英検では、準1級以上で出題される可能性があります。1. **出題形式**: 主に語彙問題(短文の空所補充)や、長文読解で文脈から意味を推測する形で出題されます。2. **頻度と級・パート**: 準1級、1級でまれに出題されます。3. **文脈・例題の特徴**: フォーマルな話題というよりは、社会問題や文化的な話題を扱う文章で、間接的に「下品な」状況を描写する際に使われることがあります。4. **学習者への注意点・アドバイス**: 「vulgar」はネガティブな意味合いが強い単語なので、使う文脈に注意が必要です。類義語の「offensive」「crude」などとのニュアンスの違いを理解しておきましょう。
TOEICでは、出題頻度は比較的低いです。1. **出題形式**: 主に長文読解(Part 7)で、稀に語彙問題(Part 5)で出題される可能性があります。2. **頻度と級・パート**: ほとんど出題されません。3. **文脈・例題の特徴**: ビジネスの場では不適切な表現なので、使われるとすれば、エンタメ関連の記事や、顧客からのクレームなどを間接的に描写する文脈が考えられます。4. **学習者への注意点・アドバイス**: TOEIC対策としては優先順位は低いですが、念のため意味を知っておくと良いでしょう。TOEICで問われる他の語彙を優先しましょう。
TOEFLでは、アカデミックな文章で出題される可能性があります。1. **出題形式**: 主に長文読解で、文脈から意味を推測する形で出題されます。2. **頻度と級・パート**: TOEFL iBTのリーディングセクションで、まれに出題される可能性があります。3. **文脈・例題の特徴**: 社会学、文化人類学、歴史学など、社会や文化に関する学術的な文章で、特定の文化や社会階層における「下品さ」の概念を議論する際に使われることがあります。4. **学習者への注意点・アドバイス**: TOEFLでは、直接的に「vulgar」の意味を問う問題よりも、文章全体のテーマや筆者の主張を理解する能力が重要です。文脈から適切な意味を推測できるように練習しましょう。
大学受験では、難関大学を中心に、長文読解で出題される可能性があります。1. **出題形式**: 主に長文読解で、文脈から意味を推測する形や、内容一致問題で間接的に問われることがあります。2. **頻度と級・パート**: 難関大学の2次試験でまれに出題されます。3. **文脈・例題の特徴**: 社会問題、文化、歴史など、幅広いテーマの文章で、特定の行為や表現が「下品」とみなされる理由や背景を説明する際に使われることがあります。4. **学習者への注意点・アドバイス**: 「vulgar」は、文脈によって意味合いが微妙に異なるため、辞書で基本的な意味を確認するだけでなく、例文を通して具体的な使い方を理解することが重要です。また、類義語とのニュアンスの違いも意識しておきましょう。