expire
第一音節の /ɪ/ は日本語の『イ』よりも口をやや開き、短く発音します。第二音節にアクセントがあり、/ˈspaɪər/ のように強く発音します。最後の /ər/ は曖昧母音で、口を軽く開けて舌を丸めるように発音するとよりネイティブに近い響きになります。語尾の「ル」を強く発音しないように注意しましょう。
専門的な内容に関するご注意
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期限切れになる
効力や有効期間が終わることを指す。パスポート、ビザ、食品、契約など、様々なものが対象となる。自動的に無効になるニュアンスを含む。
Mom noticed that the milk in the fridge would expire tomorrow.
お母さんは、冷蔵庫の牛乳が明日で期限切れになることに気づきました。
※ 冷蔵庫を開けたおお母さんが、牛乳パックの賞味期限を見て「あら、明日までだわ!」と気づいた場面です。まだ飲めますが、早く使い切らなくては、という気持ちが伝わります。「expire」は、食べ物や飲み物の賞味期限が切れる時によく使われます。
Oh no, my passport expired last month! I can't travel abroad.
ああ、しまった、私のパスポート先月で期限切れになってた!海外旅行に行けないよ。
※ 海外旅行を計画していて、パスポートを確認したら、すでに有効期限が切れていたことに気づき、がっかりしている様子です。パスポートや運転免許証、クレジットカードなど、公的な書類やカードの有効期限が切れる時にも「expire」は使われます。
The movie ticket expired yesterday, so I couldn't use it.
その映画のチケットは昨日で期限切れになったから、使えませんでした。
※ 映画を見に行こうとチケットを取り出したら、有効期限が昨日までだったことに気づき、がっかりしている場面です。映画のチケットや割引券、クーポンなど、特定の期間だけ有効なものの期限が切れる時にも「expire」は自然に使われます。
失効する
権利、特権、法律などが効力を失うことを指す。時間が経過することで自動的に効力がなくなるニュアンス。
My passport will expire next month, so I can't travel abroad yet.
私のパスポートは来月失効するので、まだ海外旅行には行けません。
※ パスポートやビザ、運転免許証など、期限がある「書類」が失効する際によく使われます。海外旅行を楽しみにしていたのに、パスポートの期限切れに気づいてがっかりする気持ちが伝わりますね。「will expire」で「これから失効する」という未来を表しています。
Oh no, this milk expired yesterday! I can't drink it now.
ああ、この牛乳、昨日期限が切れちゃった!もう飲めないよ。
※ 食品や薬の「消費期限」が切れる場合によく使われます。冷蔵庫を開けて牛乳を取ろうとしたら、期限切れに気づいてがっかりする、日常的なシーンです。「expired」は過去形なので、「昨日、すでに失効した」ことを意味します。
I wanted to use this discount coupon, but it expired last week.
この割引クーポンを使いたかったんだけど、先週失効しちゃったんだ。
※ 割引クーポンやポイント、契約などの「有効期限」が切れる場合にも使われます。お店で使おうとして「もう使えない」と知る、残念な気持ちが伝わる場面です。「but」の後に続く「it expired last week」で、そのクーポンがすでに使えなくなっている状態を表しています。
息絶える
比喩的に、感情、熱意、希望などが弱まり、消滅することを意味する。文字通りの死だけでなく、抽象的な概念の終焉も表せる。
The old bird, weak from the storm, finally expired in my hands.
嵐で弱り切った老いた鳥は、ついに私の手の中で息絶えた。
※ この例文は、弱った鳥が優しく抱かれ、静かに命を終える悲しいけれど穏やかな瞬間を描いています。「expire」は、人や動物が生命活動を終える、つまり「息を引き取る」というフォーマルな文脈で使われることがあります。日常会話では「pass away」の方が一般的ですが、このように詩的または物語的な描写で使われることがあります。
After years of hard work, the old washing machine finally expired with a loud groan.
長年の酷使の後、その古い洗濯機は大きなうなり声を上げてついに動かなくなった。
※ この例文では、長年使われた洗濯機が、まるで生き物のように最後のうめき声を上げて機能停止する様子が描かれています。「expire」は、機械やシステムが寿命を迎え、完全に機能しなくなる状況を比喩的に表現する際にも使われます。物が「息絶える」ように活動を終える様子を想像すると、イメージが鮮明になりますね。
The small campfire slowly expired as the night grew cold and dark.
夜が冷たく暗くなるにつれて、小さなキャンプファイヤーはゆっくりと消えていった。
※ この例文は、焚き火がゆっくりと燃え尽き、暗闇の中に消えていく静かな情景を描いています。「expire」は、火や光、あるいは希望や情熱といった「活動」や「存在」が尽きる、消滅するといった意味でも使われます。ここでは、自然現象の終わりを、まるで生命が尽きるかのように表現しているのがポイントです。
コロケーション
[日付]に期限が切れる
※ 最も直接的で一般的な使い方です。日付を伴って、契約、パスポート、食品などの有効期限が切れることを示します。ビジネスシーンや日常生活で頻繁に使われます。例えば、「My driver's license expires on June 30th.(私の運転免許証は6月30日に期限が切れます)」のように使います。 'Date' の部分は具体的な日付だけでなく、'expiration date'(有効期限)という名詞句もよく使われます。
[期間]の終わりに期限が切れる
※ 特定の期間の終わりに期限が切れることを示します。 'at the end of' は、期間の終了時点を強調します。例えば、「The warranty expires at the end of the year.(保証は年末に期限が切れます)」のように使います。 'term'(期間)などの名詞と組み合わせて、契約期間の満了などを表す際にも用いられます。ビジネス文書などでよく見られます。
保険の契約が満期になる
※ 保険契約が満期になることを指す、ビジネスシーンでよく使われる表現です。保険契約だけでなく、他の種類の契約にも適用できます。例えば、「The insurance policy expires next month.(保険契約は来月満期になります)」のように使われます。 'policy' の代わりに 'contract'(契約)を使用することも可能です。
特許の有効期限が切れる
※ 特許権の保護期間が終了することを意味します。特許は一定期間(通常20年)保護されますが、その期間が過ぎると、特許権は消滅し、誰でもその技術を利用できるようになります。知的財産に関する議論で頻繁に登場する表現です。例えば、「The patent on this drug expires in 2025.(この薬の特許は2025年に期限が切れます)」のように使います。
賃貸契約が満了する
※ 不動産の賃貸契約期間が終了することを意味します。賃貸契約の更新や退去に関する話題でよく使われます。例えば、「Our lease expires in three months.(私たちの賃貸契約は3ヶ月後に満了します)」のように使います。 'lease agreement'(賃貸契約書)という複合名詞も頻繁に使われます。
オファーが期限切れになる
※ 商品やサービスの特別価格や特典などの提供期間が終了することを意味します。マーケティングや販売促進の文脈でよく使われます。例えば、「This offer expires on Friday.(このオファーは金曜日に期限が切れます)」のように使われます。 'limited-time offer'(期間限定オファー)という表現と組み合わせて使われることもあります。
権利が消滅する
※ 法律や契約に基づく権利が、期間満了や条件不履行などの理由で失われることを意味します。例えば、著作権や商標権などが該当します。法律文書やビジネス契約でよく使われます。例えば、「The copyright expires 70 years after the author's death.(著作権は著者の死後70年で消滅します)」のように使います。
使用シーン
学術論文や研究発表で、契約、特許、法律などが期限切れになる状況を説明する際に使用されます。例:「この特許は2025年にexpireする。」(この特許は2025年に期限切れになる。)また、実験や調査における試薬やサンプルの有効期限について言及する際にも使われます。例:「この試薬はすでにexpireしている。」(この試薬はすでに期限切れになっている。)
契約書、保険、ライセンスなどのビジネス文書で、期限切れに関する条項を記述する際に頻繁に使用されます。例:「この契約は1年後にexpireする。」(この契約は1年後に期限切れになる。)また、プロジェクトのタイムラインや、キャンペーンの期間など、何かが終了するタイミングを示す際にも使われます。例:「このキャンペーンは今月末にexpireする。」(このキャンペーンは今月末に終了する。)
日常生活では、クレジットカード、クーポン、食品などの消費期限について話す際に使用されることがあります。ただし、より口語的な表現(e.g., 'run out', 'go bad')が好まれる傾向があります。例:「このクーポンは明日expireする。」(このクーポンは明日期限切れになる。)また、比喩的に、人のエネルギーや忍耐力が尽きるという意味で使われることもあります。例:「もうexpireしそう。」(もう疲れ果てそう。)
関連語
類義語
(契約・権利・習慣などが)『失効する』『中断する』という意味。時間経過や不履行が原因で効力を失う状況を表す。フォーマルな場面や法律、保険、契約関連でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"expire"よりも、ある期間を経て自然に効力がなくなるニュアンスが強い。また、人の過失や行動によって失効する場合にも使われる。 【混同しやすい点】日本語の『うっかり失効』のようなニュアンスを含む場合がある。「expire」は単に期間満了を指すことが多いのに対し、「lapse」は更新を怠った結果、失効したという含みを持つことがある。
(契約・関係・活動などを)『終了させる』『打ち切る』という意味。意図的な行為によって終わらせることを示す。ビジネス、法律、公式な状況でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】"expire"が自然な期間満了であるのに対し、"terminate"は人為的な中断や終了を意味する。契約違反や合意解除など、何らかの理由で途中で終わる場合に用いられる。 【混同しやすい点】"terminate"は他動詞としても自動詞としても使えるが、他動詞で使用されることが多い。受動態で使われることも多い(例:The contract was terminated)。"expire"は自動詞のみ。
(時間・資源・許可などが)『尽きる』『なくなる』という意味。日常会話で頻繁に使われる口語的な表現。時間、食料、お金など、様々なものがなくなる状況に使える。 【ニュアンスの違い】"expire"が公式な文書や契約の終了に使われるのに対し、"run out"はよりカジュアルで一般的な状況で使われる。また、"run out"は資源の枯渇といった意味合いも含む。 【混同しやすい点】"run out"は句動詞であり、しばしば前置詞を伴う(例:run out of time)。"expire"は単独で使用されることが多い。また、主語も異なり、"run out"は時間、資源などが主語になることが多い。
(活動・状態などが)『止まる』『終わる』という意味。比較的フォーマルな表現で、活動や状態が徐々に、または突然停止する状況を表す。文学作品や公式文書でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"expire"が期間満了による終了を指すのに対し、"cease"は活動や状態そのものが停止することを意味する。戦争や騒動、機械の動作などが止まる場合に使われる。 【混同しやすい点】"cease"はしばしば「cease to + 動詞の原形」の形で使われる(例:cease to exist)。"expire"はこのような形では使われない。また、"cease"はより抽象的な概念の終了にも用いられる。
(物事・時間・場所などが)『終わる』『終結する』という意味。最も一般的で広範な意味を持つ。フォーマルからカジュアルまであらゆる場面で使用可能。 【ニュアンスの違い】"expire"が特定の期間や有効期限の終了を指すのに対し、"end"はより広義の終了を意味する。物語の終わり、人生の終わり、会議の終わりなど、様々な状況に適用できる。 【混同しやすい点】"end"は名詞としても動詞としても使えるが、"expire"は動詞としてのみ使われる。また、"end"は「end of ~」のように前置詞を伴って場所や期間の終わりを示すことができる。
- outdate
(情報・デザイン・技術などが)『時代遅れになる』『旧式化する』という意味。主に情報や技術が古くなり、新しいものに取って代わられる状況を示す。ビジネスやテクノロジー関連の分野で使われる。 【ニュアンスの違い】"expire"が物理的な有効期限切れを意味するのに対し、"outdate"は機能や性能が時代に合わなくなることを意味する。ソフトウェア、ファッション、考え方などが古くなる場合に用いられる。 【混同しやすい点】"outdate"は他動詞として使われることが多い(例:The new technology outdated the old one)。"expire"は自動詞のみ。また、"outdate"は過去分詞形で形容詞として使われることもある(例:outdated information)。
派生語
『満了』『期限切れ』を意味する名詞。動詞expireから派生し、抽象的な概念を表す接尾辞『-ation』が付加された。契約書、食品表示、クレジットカードなど、期限に関するあらゆる場面で使用される。日常会話よりはビジネスや法律関連の文書で頻出。
- expiry
『満了』『期限切れ』を意味する名詞。expirationと同様の意味を持つが、特にイギリス英語で好んで使われる傾向がある。expirationと比較して、より口語的なニュアンスを持つ場合もある。expiration date(満了日)に対してexpiry dateという表現も一般的。
- expiring
『期限切れになる』『満了になる』という現在分詞または動名詞。expireの進行形であり、何かがまさに期限切れになろうとしている状態を表す。例えば、『expiring contract(満了間近の契約)』のように形容詞的に使用されることも多い。
反意語
『始まる』という意味の基本的な動詞。expireが『終わる』『期限切れになる』という意味であるのに対し、beginは物事の開始時点を示す。契約、イベント、プロセスなど、時間的な概念においてexpireと対照的な意味を持つ。expireは終点、beginは始点を指す。
『始まる』『開始する』という意味の動詞。beginよりもフォーマルな響きがあり、特に公式なイベントや文書で用いられる。expireが終結を意味するのに対し、commenceは開始を意味する。例えば、契約の開始日(commencement date)と満了日(expiration date)は対照的な概念である。
『開始する』『始める』という意味の動詞。commenceと類似するが、initiateは新しいプロジェクトやプロセスを始めるニュアンスが強い。expireが既存のものの終焉を意味するのに対し、initiateは新たな始まりを意味する。例えば、新しいプログラムをinitiate(開始)し、既存の契約がexpire(満了)する。
語源
"expire」は、ラテン語の「exspirare」(息を吐き出す、息絶える)に由来します。「ex-」は「外へ」を意味する接頭辞で、「spirare」は「息をする」という意味です。つまり、文字通りには「息を外へ出す」ことから、「息絶える」「死ぬ」という意味合いが生まれました。さらに、「息」は生命の象徴であるため、「期限が切れる」「効力を失う」といった意味にも発展しました。たとえば、食品の賞味期限が切れることを「expire」と表現するのは、食品の生命(鮮度)が「息絶える」イメージと捉えることができます。日本語の「有効期限が切れる」という表現も、同様に期限という生命が尽きるという比喩的な意味合いを含んでいます。
暗記法
「expire」は単なる期限切れではない。中世では、王侯貴族の「息が絶える」は権威の終焉を意味した。契約の「expire」は、社会の安定が時間で脅かされる象徴だった。現代では、特許の「expire」は創造性の解放だが、権利の喪失でもある。食品の「expire」は、消費社会の廃棄問題を映し出す。時間、権利、責任…「expire」は、有限な世界を意識させる言葉なのだ。
混同しやすい単語
『expire』と『inspire』は、接頭辞が異なるだけでスペルが非常に似ています。発音も最初の音節以外は同じため、特にリスニング時に混同しやすいです。『inspire』は『鼓舞する』『 вдохновлять(ロシア語)』という意味で、良い影響を与えるニュアンスがあります。接頭辞 'in-' は『中に』という意味合いを持ちます。expireとinspireは正反対の意味を持つため、文脈で判断することが重要です。
『expire』と『aspire』も、接頭辞が異なる点でスペルが似ています。発音も最初の音節以外は似ており、混同の原因となります。『aspire』は『熱望する』『向上心を持つ』という意味で、目標に向かって努力するイメージです。接頭辞 'a(d)-' は『~へ』という意味合いを持ちます。発音記号を確認し、意識的に発音を区別することが大切です。
『expire』と『require』は、語尾が 'quire' で共通しており、スペルが似ています。発音も後半部分が似ているため、特に早口で話されると混同しやすいです。『require』は『必要とする』という意味で、何かを得るために必要な条件や行動を指します。発音の強勢の位置が異なる(expireは2番目の音節、requireは1番目の音節)ため、意識して発音練習すると区別しやすくなります。
『expire』と『explore』は、語尾が 'xplore' と 'plore' で共通しており、スペルが似ています。また、両方とも動詞であり、意味も『expire』は『期限が切れる』、『explore』は『探求する』と、活動や変化を表す点で共通のイメージを持つため、文脈によっては混同しやすいです。語源的には、『explore』はラテン語の『plorare(叫ぶ)』に由来し、『探検時に大声で呼びかける』イメージから来ています。
『expire』と『expose』は、語頭の母音と末尾の 'e' の位置が似ており、視覚的に混同しやすいです。発音も最初の音節がやや似ています。『expose』は『さらす』『暴露する』という意味で、何かを隠された状態から表に出すことを指します。expire が自動詞であるのに対し、expose は他動詞として使われることが多い点も異なります。
『expire』と『desire』は、語尾の 'ire' の綴りが共通しており、スペルが似ています。発音も後半部分が似ているため、混同の原因となります。『desire』は『強く望む』という意味で、名詞としても動詞としても使われます。語源的には、ラテン語の『desiderare(星がなくなるのを待ち望む)』に由来し、『何かを強く待ち望む』イメージです。発音記号を意識して、/aɪ/ と /ɪ/ の違いを明確に発音することが重要です。
誤用例
日本語の「期限切れになる」という表現を直訳的に「expire」で表現しようとする際に、動詞の使い分けが曖昧になる典型的な誤用です。前半のexpireは自動詞として正しいですが、後半は『旅行プランを期限切れにする』という能動的な意味で使おうとしており不自然です。expireは基本的に自動詞であり、他動詞として使う場合は『(息などを)吐き出す』という意味合いになります。旅行プランが頓挫することを表現したい場合は、disrupt(混乱させる)、cancel(取り消す)など、より適切な動詞を選ぶ必要があります。また、expireは、フォーマルな場面で使われることが多く、日常会話では、run out of time, be invalidなどの表現が好まれます。
expireは『期限が切れる』という意味であり、人の状態を表す形容詞としては不適切です。日本語の『(疲れて)へたばっている』という感覚をexpireで表現しようとすると、このような誤用が生じます。人の疲労困憊した状態を表すには、exhaustedやdrainedが適切です。expireは、あくまでも物や権利などの有効期限が切れることを指すため、無生物主語で使われることが多いです。また、expireを人に対して使う場合、比喩的に『(人が)燃え尽きる』のようなニュアンスを含む可能性があり、非常に強い表現になります。文化的な背景として、英語では、自分の状態を直接的に表現することを避ける傾向があるため、疲れを表す場合でも、より婉曲的な表現が好まれます。
expireは、物理的な有効期限があるものに対して使われることが一般的です。教授の知恵のような抽象的な概念に対してexpireを使うと、不自然な印象を与えます。expireは、契約、パスポート、食品など、具体的な期限が設定されているものに対して使われることが多いです。教授の知恵が時代を超えて価値を持ち続けることを表現したい場合は、endure(耐え忍ぶ)、remain timeless(時代を超越する)などの表現が適切です。また、英語では、抽象的な概念を表現する際に、具体的なイメージを伴う動詞を選ぶことで、より鮮明な印象を与えることができます。日本語の『(知恵が)廃れる』という表現を直訳的にexpireで表現しようとすると、このような誤用が生じやすいため、注意が必要です。
文化的背景
「expire」は、単に「期限切れ」を意味するだけでなく、生命、権威、影響力といった、目に見えないものの終焉を暗示する言葉です。それは、時の流れの中で失われていく儚さ、そして避けられない終わりという概念と深く結びついています。
中世ヨーロッパにおいて、「expire」はしばしば死を婉曲的に表現するために用いられました。特に、王侯貴族や聖職者の死を語る際に、彼らの「息が絶える(expire)」という表現は、単なる肉体的な終焉を超え、その権威や影響力の消滅を意味しました。王の死は、彼の法律や命令が効力を失うことを意味し、聖職者の死は、彼の教えや導きが及ばなくなることを意味しました。このように、「expire」は、個人の生命だけでなく、その人物が象徴する社会的な構造や価値観の終焉をも暗示する、重みのある言葉として用いられたのです。また、契約や協定が「expire」するという表現は、中世の封建制度における領主と家臣の関係が時間とともに変化し、新たな契約が必要となる状況を反映しています。忠誠の誓いが「expire」することは、社会の安定が常に時間によって脅かされていることを示唆していたのです。
近代に入ると、「expire」はより広範な文脈で使用されるようになります。特許や著作権が「expire」することは、創造的なアイデアが公共の財産となり、新たな発展を促すことを意味します。しかし、同時に、創造者自身の権利が失われるという側面も持ち合わせています。また、食品や医薬品の「expire」は、現代社会における品質管理の重要性を示唆する一方で、消費社会における廃棄の問題を浮き彫りにします。消費者は、常に「expire」の期日を意識しながら、ものを消費し、そして廃棄するというサイクルの中に組み込まれているのです。
現代社会において、「expire」は、時間、権利、そして責任といった概念と深く結びついています。それは、私たちが生きる世界が常に変化し、有限であることを reminder する言葉として、私たちの意識の中に存在し続けています。パスポートやビザの「expire」は、移動の自由が時間によって制限されることを意味し、クレジットカードの「expire」は、経済活動における信用が永遠ではないことを示します。このように、「expire」は、現代社会の様々な側面において、時間という制約と、それによって生じる変化を象徴する言葉として、その意味を深めているのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、語彙問題(主に準1級以上)。稀にリスニングでも。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で比較的頻出。特に長文読解セクション。
- 文脈・例題の特徴: アカデミックな内容、環境問題、科学技術など、幅広いテーマで登場。
- 学習者への注意点・アドバイス: 動詞としての意味(期限切れになる)と、比喩的な意味(効力がなくなる)の両方を理解しておく。関連語句(expiry date, expiration date)も重要。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)で頻出。
- 頻度と級・パート: 頻出単語。特にビジネス文書(契約書、請求書、保証書など)関連の長文。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンでの契約、保証、会員資格などの有効期限に関する文脈が多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞形(expiration)とセットで覚える。ビジネスシーンでの具体的な使用例を把握しておくことが重要。
- 出題形式: リーディングセクションで頻出。ライティングセクションでも使用可能。
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出。特に科学、社会科学分野の文章。
- 文脈・例題の特徴: 研究、実験、政策などの有効期限や、理論、仮説の妥当性が失効する文脈で使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: アカデミックな文脈における抽象的な意味合いを理解することが重要。類義語(lapse, terminate)とのニュアンスの違いも把握しておくと良い。
- 出題形式: 長文読解問題で頻出。文脈から意味を推測する問題や、同意語選択問題。
- 頻度と級・パート: 難関大学の長文で頻出。標準的な単語帳には掲載されていない場合もある。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、科学技術など、幅広いテーマの文章で登場。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈の中で意味を判断する練習が重要。接頭辞や接尾辞から意味を推測する力も必要。他の単語と組み合わさった表現(e.g., expire contract)も覚えておくと有利。