tribute
第1音節にアクセントがあります。/ɪ/ は日本語の「イ」よりも口を少し開いて発音する短い母音です。最後の /t/ は破裂音で、息を止めてから開放するイメージで発音するとよりネイティブに近い音になります。/juː/は、日本語の「ユー」よりも唇を丸めて前に突き出すように発音すると良いでしょう。
敬意
相手の功績や人格を認め、尊重する気持ち。感謝や賞賛の気持ちを込めて何かを捧げる行為を伴うことが多い。
The band played a beautiful song as a tribute to the legendary musician.
そのバンドは、伝説的な音楽家への敬意として美しい曲を演奏しました。
※ この例文は、多くのファンが集まった会場で、バンドが心を込めて演奏している情景を描いています。彼らは、亡くなった偉大な音楽家を偲び、その功績を称えるためにこの曲を選びました。このように「as a tribute to 〜」で「〜への敬意として」という意味になり、故人や偉大な功績を残した人へ敬意を表す際によく使われる表現です。
At the farewell party, everyone gave a warm tribute to her many years of service.
送別会で、みんなが彼女の長年の勤務に温かい敬意を表しました。
※ この例文は、会社や学校の送別会で、長年頑張ってきた人が引退する場面を想像させます。参加者全員が、その人の努力と貢献を心から感謝し、温かい言葉や拍手でその気持ちを伝えている情景です。「give a tribute」は「敬意を表す」という意味で、特に誰かの功績や努力を称える際に用いられます。
The artist painted a beautiful picture as a tribute to the courage of the firefighters.
その画家は、消防士たちの勇気に敬意を表して美しい絵を描きました。
※ この例文では、勇敢な消防士たちが命がけで働く姿に感動した画家が、その感謝と尊敬の気持ちを込めて、魂のこもった絵を描き上げた情景が浮かびます。その絵は、見る人にも彼らの勇気を伝えます。ここでも「as a tribute to 〜」が使われており、特定の行動や資質、集団などに対して敬意を表す芸術作品や記念碑などについて語る際によく使われます。
貢ぎ物
権力者や組織に対して、服従や忠誠を示すために捧げる金品。古代の朝貢貿易や、現代の献金などが該当する。
Many people brought flowers as a final tribute to the great artist.
多くの人々が、偉大な芸術家への最後の貢ぎ物(追悼の印)として花を持ってきました。
※ この例文は、亡くなった人への敬意や追悼の気持ちを表す「tribute」の典型的な使い方です。まるで、たくさんの人が静かに花を手向けている様子が目に浮かびますね。「as a tribute to 〜」で「〜への敬意の印として」という意味になります。故人を偲ぶ場面でよく耳にする表現です。
The company held a party to pay tribute to its founder's hard work.
会社は、創設者の努力に敬意を表するためのパーティーを開きました。
※ ここでは、「tribute」が誰かの功績や貢献を称える意味で使われています。創設者が長年会社のために頑張ったことへの感謝の気持ちが伝わってきますね。「pay tribute to 〜」は「〜に敬意を表する」という決まった言い方で、感謝や称賛の気持ちを伝える際によく使われます。表彰式や記念行事などでよく使われる表現です。
The villagers had to give a yearly tribute of grain to the powerful king.
村人たちは、毎年強力な王に穀物を貢ぎ物として差し出さなければなりませんでした。
※ この例文は、歴史的な物語などで使われる「tribute」の、より直接的な「貢ぎ物」という意味を表しています。村人たちが、権力のある王に、毎年決まったものを差し出す様子が想像できますね。「give a tribute of 〜」で「〜を貢ぎ物として差し出す」という意味になります。歴史ドラマや本で出会うかもしれません。
捧げる
敬意や感謝の気持ちを込めて、金品や業績、あるいは賛辞などを相手に贈る行為。しばしば受動態(be attributed to)で「〜のおかげである」という意味でも使われる。
The whole team wanted to pay tribute to their coach for his many years of hard work.
チーム全員が、長年の努力に対してコーチに敬意を表したかった。
※ この文では、チームがコーチの長年の貢献に感謝し、その功績を称える温かい場面が目に浮かびます。'pay tribute to' は、誰かの功績や努力、あるいは故人に対して敬意や賞賛、追悼の意を『捧げる』という、非常に一般的な表現です。ここで 'tribute' は名詞であり、動詞として使う場合は 'pay tribute to' の形を取ります。
People gathered at the park to pay tribute to the brave hero who saved many lives.
人々は、多くの命を救った勇敢な英雄に追悼の意を表すため、公園に集まった。
※ 多くの人々が静かに公園に集まり、亡くなった英雄の偉業を偲んでいる厳粛な情景が描かれています。'pay tribute to' は、特に故人に対して敬意や感謝、または追悼の念を捧げる際によく使われます。ここでは、英雄の犠牲と功績を称える気持ちが込められています。
The artist painted a beautiful picture to pay tribute to the city's rich history.
その芸術家は、その都市の豊かな歴史に敬意を表すため、美しい絵を描いた。
※ 芸術家が、その都市の歴史や文化に深く感動し、それを表現するために筆を走らせている様子が想像できます。'pay tribute to' は、このように芸術作品や記念碑などを通して、特定の人物、場所、出来事、あるいは概念に対して賛辞や敬意を表す場合にも使われます。ここでは、都市の歴史を称賛する気持ちが込められています。
コロケーション
~に敬意を表する、~を称える
※ 「tribute」は元々、貢物や献上品の意味ですが、「pay tribute to」は比喩的に、人や業績、出来事などに対して尊敬や感謝の気持ちを表す際に使われます。葬儀や追悼式、記念式典などのフォーマルな場面でよく用いられます。構文は「pay tribute to + (人/業績/出来事)」となり、しばしば「in tribute to」という形で「~に敬意を表して」と文頭に置かれることもあります。単に「respect」や「honor」と言うよりも、より感情がこもった、公式なニュアンスがあります。
ふさわしい賛辞、相応しい敬意
※ 「fitting」は「ふさわしい」「適切な」という意味で、「a fitting tribute」は、ある人や出来事に対して、その価値や功績に見合った敬意や賛辞であることを表します。例えば、長年の功績を称える記念碑や、故人の人柄を偲ぶ追悼文などが「a fitting tribute」と言えます。名詞を修飾する形容詞の組み合わせで、しばしば「a lasting tribute(永続的な賛辞)」や「a moving tribute(感動的な賛辞)」のように、他の形容詞と組み合わせて使われます。
~への敬意として、~を記念して
※ 「as a tribute to」は、ある行動や作品が、特定の人や出来事に対する敬意や感謝の表明として行われることを示します。例えば、偉大な音楽家への敬意としてトリビュートコンサートを開催したり、歴史的な出来事を記念して記念碑を建立したりする際に用いられます。前置詞句の形で、文頭や文末に置かれることが多いです。「in honor of」と似た意味ですが、「tribute」の方が、より感情的なつながりや個人的な感謝の念が含まれるニュアンスがあります。
トリビュートアルバム/コンサート
※ 特定のアーティストやグループ、または特定の音楽ジャンルへの敬意を表して制作されたアルバムやコンサートを指します。他のアーティストがその対象となるアーティストの楽曲をカバーしたり、影響を受けた楽曲を演奏したりすることが一般的です。音楽業界でよく使われる表現で、ファンや音楽愛好家の間で広く認知されています。単に「cover album/concert」と言うよりも、敬意と愛情が込められているニュアンスが強調されます。
貢納金、上納金
※ 歴史的な文脈や、植民地支配、あるいは犯罪組織における上納金を指す場合に用いられます。本来の「貢物」の意味合いが強く、現代ではあまり一般的な用法ではありません。ただし、歴史小説やドキュメンタリーなどでは見かけることがあります。現代では、より直接的に「tax」や「protection money」といった言葉が使われることが多いでしょう。
黙祷
※ 言葉を発することなく、静かに敬意や哀悼の意を表す行為を指します。主に、亡くなった人を追悼する際や、重大な出来事を悼む際に行われます。「observe a silent tribute」という形で使われることが多いです。日本語の「黙祷」とほぼ同じ意味合いで、フォーマルな場面で用いられます。
賛辞を受ける、敬意を払われる
※ 人や業績が、広く認められ、尊敬や感謝の念を寄せられる状況を表します。例えば、長年の功績が認められて賞を受賞したり、多くの人々に影響を与えた人物が追悼されたりする際に用いられます。動詞+名詞の組み合わせで、「be paid tribute」という受動態の形でもよく使われます。単に「be respected」と言うよりも、より公的で、形式ばったニュアンスがあります。
使用シーン
学術論文や歴史研究で、過去の偉業や文化に対する敬意を表す際に用いられます。例えば、「この論文は、〇〇教授の先駆的な研究へのトリビュート(敬意)として書かれた」のように使われます。また、文学作品の分析において、ある作品が別の作品へのトリビュート(影響)を受けていることを指摘する際にも使用されます。やや文語的な表現です。
ビジネスシーンでは、表彰式典や退職記念などのフォーマルな場で、貢献や功績に対する敬意を表す際に用いられます。例えば、「〇〇氏の長年の貢献にトリビュート(敬意)を表し、記念品を贈呈いたします」のように使われます。日常的な業務報告や会議ではあまり使用されません。やや硬い印象を与える可能性があります。
日常会話では、著名人やアーティストの追悼や記念イベントに関連するニュース記事やドキュメンタリー番組などで見かけることがあります。例えば、「〇〇さんのトリビュートコンサートが開催される」のように使われます。日常会話で直接使用する機会は少ないですが、文化的な話題に触れる際に理解しておくと役立ちます。
関連語
類義語
深い尊敬の念を表す行為や言葉。多くの場合、公的な場や儀式的な状況で使用される。文学、歴史、芸術などの分野で頻繁に見られる。 【ニュアンスの違い】「tribute」よりもフォーマルで、より伝統的な意味合いが強い。しばしば、歴史上の人物や文化的なアイコンに対する尊敬を表す際に用いられる。個人的な感情というより、社会的な儀礼としての意味合いが濃い。 【混同しやすい点】「homage」は具体的な贈り物や行為を伴うことが多く、「tribute」よりも抽象的な意味合いが薄い。また、日常会話ではあまり使われない。
称賛、賞賛、栄誉。特に優れた業績や成果に対して贈られる。学術、芸術、スポーツなどの分野でよく使われる。 【ニュアンスの違い】「tribute」が尊敬の念を表すのに対し、「accolade」は具体的な成果に対する評価を示す。公式な賞や称号だけでなく、公的な場での称賛も含む。しばしば複数形で用いられる。 【混同しやすい点】「accolade」は尊敬の念よりも、具体的な功績に対する承認の意味合いが強い。「tribute」のように故人を偲ぶ意味合いは薄い。また、「accolade」は可算名詞として扱われることが多い。
故人を偲び、その生涯や業績を称える弔辞。葬儀や追悼式などで読まれる。文学的な表現が多く、感情的な要素が強い。 【ニュアンスの違い】「tribute」が幅広い対象に対する尊敬の念を表すのに対し、「eulogy」は亡くなった人に限定される。より個人的な感情や思い出を語ることが多い。 【混同しやすい点】「eulogy」は死者に対する弔いの言葉であり、生者に対しては使用されない。「tribute」が生者にも死者にも使える点と異なる。また、「eulogy」は形式的な弔辞としての意味合いが強い。
製品やサービス、人物などに対する推薦状や証言。広告、ビジネス、法律などの分野で使用される。肯定的な評価を伝えることが目的。 【ニュアンスの違い】「tribute」が一般的な尊敬の念を表すのに対し、「testimonial」は特定の対象に対する肯定的な意見や経験を述べる。個人的な体験に基づく証言であることが多い。 【混同しやすい点】「testimonial」は広告や宣伝で使われることが多く、客観的な情報提供が求められる。「tribute」のように感情的な表現は少ない。また、「testimonial」は推薦者の名前や肩書きが明記されることが多い。
- commemoration
重要な出来事や人物を記念する行為や式典。歴史、政治、文化などの分野で使用される。特定の日にイベントを開催したり、記念碑を建立したりする。 【ニュアンスの違い】「tribute」が尊敬の念を表すのに対し、「commemoration」は過去の出来事を記憶し、後世に伝えることが目的。しばしば、国家的な行事や祝典として行われる。 【混同しやすい点】「commemoration」は特定の出来事や人物を対象とし、継続的な記憶を促す。「tribute」のように個人的な感情を表すことは少ない。また、「commemoration」はしばしば受動態で用いられる(例:It was commemorated)。
故人を偲ぶ記念碑、記念物、または追悼行事。戦争、災害、事故などの犠牲者を追悼するために建てられることが多い。歴史的な意味合いが強い。 【ニュアンスの違い】「tribute」が尊敬の念を表すのに対し、「memorial」は死者を偲び、その記憶を永続させることを目的とする。しばしば、慰霊碑や追悼式典として具現化される。 【混同しやすい点】「memorial」は死者を対象とし、具体的な形(記念碑など)を伴うことが多い。「tribute」のように抽象的な尊敬の念を表すことは少ない。また、「memorial」は形容詞としても使われ(例:memorial service)、名詞としても使われる。
派生語
『貢献する』という意味の動詞。語源的には『共に(con-)与える(tribute)』となり、個人の努力や資源を共有の目的に向けるニュアンスを含む。ビジネスや学術論文で頻繁に使用され、貢献の対象や方法を示す前置詞(to, towards, by)を伴うことが多い。
『貢献』という意味の名詞。動詞contributeから派生し、抽象的な概念として、個人の努力や資源が全体に与える影響を指す。学術論文、ビジネス文書、ニュース記事など、幅広い分野で使用される。特に、社会貢献、経済貢献といった複合名詞でよく用いられる。
『分配する』という意味の動詞。語源的には『別々に(dis-)与える(tribute)』となり、資源や情報を複数の対象に分ける行為を指す。ビジネス、科学、日常会話など、幅広い分野で使用される。統計学における分布(distribution)の語源でもある。
反意語
『軽視する』という意味の動詞。tributeが尊敬や敬意を表す行為であるのに対し、disregardは意図的に無視したり、重要視しない態度を示す。ビジネスや政治の文脈で、相手の意見や功績を無視する際に用いられる。
『非難』や『糾弾』を意味する名詞。tributeが肯定的な評価や賛辞であるのに対し、denunciationは公然と非難する行為を指す。政治的な声明や批判的な論評などで使用され、強い否定的な感情を伴うことが多い。
語源
"Tribute」は、ラテン語の「tributum(割り当てられたもの、貢ぎ物)」に由来します。これは、「tribuere(割り当てる、分け与える)」という動詞から派生した名詞です。さらに、「tribuere」は、ラテン語の「tribus(部族)」と関連があります。古代ローマにおいて、部族ごとに割り当てられた税や貢ぎ物が「tributum」と呼ばれていました。つまり、「tribute」は元々、部族が国や支配者に対して支払うべきもの、または与えるべき敬意の表れを意味していました。現代英語では、この意味が拡張され、単なる貢ぎ物だけでなく、尊敬や感謝の念を表す行為や言葉、記念碑なども含むようになりました。例えば、偉大な業績を称えるために捧げる言葉や作品も「tribute」と表現されます。
暗記法
「tribute」は、古代ローマの貢物から中世の貢納へ、そして現代の賛辞へと姿を変えてきました。それは単なる贈り物ではなく、権力者への服従、領主への忠誠、そして偉業への敬意を示す象徴。形は変われど、常に「敬意」「感謝」「献身」を意味し、社会秩序を維持し、記憶を永続させる人間の普遍的な感情の表れなのです。
混同しやすい単語
発音が非常に似ており、特に語尾の '-ute' の部分が曖昧になりやすい。スペルも 'tribute' と 'attribute' で、接頭辞 'at-' の有無が主な違いであるため、見間違えやすい。意味は『属性』や『性質』であり、名詞または動詞として使われる。文脈によって意味が大きく異なるため注意が必要。語源的には、'attribute' はラテン語の 'attribuere'(与える、割り当てる)に由来し、'tribute' は 'tribuere'(部族に割り当てる)に由来する。
スペルの一部が共通しており、特に 'trib-' の部分が一致するため、視覚的に混同しやすい。発音も似ているが、'tribal' は形容詞で『部族の』という意味であり、'tribute' の名詞(貢ぎ物、賛辞)としての意味とは大きく異なる。ただし、'tribute' にも『(昔の部族に対する)貢ぎ物』という意味があるため、文脈によっては意味の関連性が感じられることもある。
発音が部分的に似ており、特に母音部分の響きが似ているため、聞き間違いやすい。スペルは全く異なるが、音の印象から連想してしまうことがある。意味は『もてなす』、『治療する』、『ご褒美』など、動詞または名詞として使われる。'tribute' とは意味的なつながりはほとんどない。
発音が似ており、特に語尾の '-ute' の部分が共通しているため、混同しやすい。スペルも 'tribute' に接頭辞 'con-' が付いた形であるため、視覚的にも似ている。意味は『貢献する』であり、動詞として使われる。'tribute' が名詞であるのに対し、'contribute' は動詞である点が大きな違い。語源的には、どちらもラテン語の 'tribuere'(割り当てる)に由来するが、'contribute' は『共に割り当てる』という意味合いを持つ。
'turret'と'tribute'は、どちらも二音節の単語で、最初の音節にアクセントがあるため、発音のリズムが似ていると感じられることがある。また、スペルも't'、'r'が共通しているため、視覚的に誤認する可能性がある。'turret'は小さな塔を意味する名詞であり、'tribute'とは意味が全く異なる。日本語学習者が注意すべき点として、'tribute'の/ɪ/の音と、'turret'の/ʌ/の音を聞き分ける練習をすると良い。
スペルの一部が似ており、特に 'tre-' の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすい。発音も最初の音節が似ているため、聞き間違いやすいことがある。意味は『裏切り』であり、'tribute' の『賛辞』や『貢ぎ物』といった意味とは対照的である。'treachery' はネガティブな意味合いを持つ一方、'tribute' はポジティブな意味合いを持つことが多い。
誤用例
『tribute』は、確かに『賛辞』や『敬意』の意味を持ちますが、具体的な行為(花を供えるなど)を伴う場合には、少し大げさな印象を与えます。日本語の『追悼』や『弔い』という言葉に引きずられ、『tribute』を安易に使うと、不自然になることがあります。『honor』の方が、より一般的で落ち着いた表現です。背景として、英語では、具体的な行動を伴う追悼には、よりフォーマルで荘厳なニュアンスが求められることがあります。
『tribute』は、人から人へ直接的に捧げられる賛辞や敬意、感謝の念を表すニュアンスが強いです。原因や証拠を示す場合には、『testament』がより適切です。日本人が『〜のおかげ』というニュアンスで『tribute』を使ってしまうのは、日本語の『〜に捧げる』という表現を直訳しようとするためです。英語では、間接的な原因や影響を示す場合は、より客観的な表現を選ぶことが重要です。
『tribute』は、歴史的な文脈では『貢物』の意味を持ちますが、現代では、特に金銭的な貢納を指す場合、『taxes』の方が一般的です。『tribute』を使うと、まるで中世の封建制度のような、時代錯誤な印象を与える可能性があります。日本人が『貢ぐ』という言葉から連想して『tribute』を選んでしまうのは、歴史的な知識の不足と、現代英語における語感の違いを理解していないためです。現代英語では、税金はより中立的な『taxes』で表現されることが一般的です。
文化的背景
「tribute」は、単なる贈り物ではなく、敬意、感謝、あるいは服従の念を込めた象徴的な貢ぎ物であり、しばしば権力者や神々への献身を示すものでした。古代ローマ時代には、征服された土地からローマに送られる金品や奴隷が「tributum」と呼ばれ、帝国の富を支える重要な源泉であると同時に、属州の忠誠を示すものでもありました。
中世ヨーロッパにおいては、封建領主に対する農民からの貢納や賦役が「tribute」の形を取りました。これは単なる経済的な負担ではなく、農民が領主の庇護下にあること、そして領主に対する義務を果たすことの証でした。領主は農民の労働力や生産物によって生活を支えられ、農民は領主の軍事力によって外敵から守られるという、相互依存の関係が「tribute」を通して可視化されていたのです。そのため、「tribute」は単なる税金というよりも、社会的な秩序を維持するための重要な要素だったと言えるでしょう。
現代においては、「tribute」はより抽象的な意味合いを持つようになり、尊敬や賞賛の念を表す行為や作品を指すことが多くなりました。例えば、あるアーティストの功績を称える「トリビュートアルバム」や、特定の人物の人生を振り返る「トリビュートコンサート」などが挙げられます。これらの「tribute」は、過去の偉業に対する敬意を表明すると同時に、その人物や作品が後世に与えた影響を再確認する機会となります。また、災害の犠牲者や社会的に貢献した人々に対して、記念碑を建立したり、奨学金を設立したりすることも「tribute」の一形態と言えるでしょう。これらの行為は、失われた命を悼み、その功績を永続的に記憶に留めるための、社会的な意思表示なのです。
このように、「tribute」は時代とともにその形を変えながらも、常に「敬意」「感謝」「献身」といった根源的な意味合いを持ち続けています。物質的な貢ぎ物から抽象的な賛辞まで、その表現方法は多様ですが、「tribute」は常に、何かを尊重し、称え、記憶に留めようとする人間の普遍的な感情の表れなのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解
- 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。1級でも出題される可能性あり
- 文脈・例題の特徴: アカデミックな内容、歴史、文化、人物評伝など
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞(賛辞、貢物)と動詞(~に賛辞を贈る)の両方の意味を理解。類義語(homage, compliment)との使い分けに注意。長文では文脈から意味を推測する練習を。
- 出題形式: 主にPart 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)
- 頻度と級・パート: 出題頻度は中程度。Part 7で契約、寄付などの文脈で登場する可能性あり
- 文脈・例題の特徴: ビジネス関連のニュース記事、スピーチ、寄付に関する文面など
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞としての用法が中心。文脈から「賛辞」「貢献」「貢物」のどの意味かを判断する。同義語・関連語(donation, contribution, recognition)も覚えておく。
- 出題形式: リーディングセクション
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出
- 文脈・例題の特徴: 歴史、文化、社会問題など、学術的な内容の文章
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞としての用法が主。「賛辞」「貢献」の意味で使われることが多い。文脈から意味を正確に把握することが重要。類義語(recognition, honor)とのニュアンスの違いも理解しておくと良い。
- 出題形式: 長文読解、和訳、英作文(テーマによっては)
- 頻度と級・パート: 難関大学の長文で頻出
- 文脈・例題の特徴: 評伝、歴史、文化、社会問題など、論説文や評論文
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞・動詞両方の意味を理解。文脈から適切な意味を判断する。特に比喩的な用法(例:自然へのtribute=自然がもたらす恵み)に注意。英作文では、テーマによっては「tribute」を使って意見を述べさせる問題も考えられる。