dispatch
第2音節にアクセント(ˈ)があります。/ɪ/ は日本語の「イ」よりも口を少し開いて発音する曖昧母音です。/tʃ/ は「チ」と「チュ」の中間のような音で、口を少しすぼめて息を強く出すのがコツです。語尾は「ュ」を弱く添える程度で、強く発音しないようにしましょう。
派遣する
人や物を特定の目的のために送り出すこと。緊急性や重要性が伴うことが多い。警察官の出動、救急車の派遣、商品の発送などに使われる。
The police quickly dispatched officers to the bank after the alarm rang.
警察は、警報が鳴った後、すぐに銀行へ警官を派遣しました。
※ 銀行の警報が鳴り響き、緊急事態だと感じた警察が、すぐに警官を現場に向かわせる緊迫した場面です。このように「dispatch」は、警察や消防、救急などが「緊急で、何か行動を起こすために人や物を送る」時によく使われます。緊迫感のある状況で活躍する単語です。
Our company decided to dispatch an expert to the new factory next week.
私たちの会社は、来週、新しい工場へ専門家を派遣することを決めました。
※ 新しい工場が立ち上がり、そこに専門知識を持つ社員が必要となり、会社がその人を送り出す様子が目に浮かびます。ビジネスの文脈では、特定の目的のために社員やチームを「出張させる」「異動させる」といった意味合いで使われます。「dispatch」は、単に「送る」よりも、ある目的のために「正式に、組織として送り出す」というニュアンスが強いです。
The government will dispatch a medical team to the disaster area immediately.
政府は、災害地域へただちに医療チームを派遣するでしょう。
※ 大きな災害が発生し、助けを求める人々がいる中、政府が迅速に医療の専門家たちを現地へ送り出す、支援の場面です。災害や緊急事態の際に、支援のために人や物資を「送る、送り出す」場合にも「dispatch」は使われます。「immediately(ただちに)」という言葉が、緊急性を伝えていますね。
派遣
人や物を特定の場所に送り出す行為そのもの。または、派遣された人や物(特に報道機関からの派遣記者など)を指す。
An emergency call led to the rapid dispatch of an ambulance.
緊急の電話を受けて、救急車がすぐに派遣されました。
※ この文は、火事や事故など、緊急事態で助けが必要な場所に救急車(ambulance)が急いで向かう様子を描写しています。「dispatch」は、このように緊急性が高く、迅速な対応が求められる状況で「人や車両を派遣する」という意味でよく使われます。サイレンの音が聞こえてくるような、緊迫した場面が目に浮かびますね。
Our company decided on the dispatch of a team to our branch in Paris.
当社は、パリの支店へチームを派遣することを決定しました。
※ ここではビジネスシーンでの「派遣」が描かれています。会社が特定の目的(例えば新しいプロジェクトのためなど)で、社員やチームを海外の支店や別の場所へ送る際に使われます。この例文からは、会社が戦略的に人材を動かしている様子が伝わり、ビジネスにおける「dispatch」の典型的な使い方を学ぶことができます。
The mayor approved the dispatch of volunteers to help the flood victims.
市長は、洪水被害者を助けるためのボランティアの派遣を承認しました。
※ この例文は、災害支援など、緊急の人道支援のためにボランティアなどが「派遣」される様子を示しています。市長が状況を判断し、困っている人々を助けるためにボランティアを送り出す、という具体的な行動が伝わってきます。このように「dispatch」は、特定の目的のために人員を送り出す際によく用いられます。
迅速な処理
物事を迅速かつ効率的に処理すること。特にビジネスの文脈で、注文の処理や問題の解決など、迅速な対応が求められる場面で使われる。
The team worked hard for the quick dispatch of all urgent emails.
チームはすべての緊急メールを迅速に処理するために一生懸命働いた。
※ この例文では、締め切りが迫る中で、チームが協力して急ぎのメールをテキパキと片付けている様子が目に浮かびますね。「dispatch」は、このように「何かを素早く処理すること」を表します。仕事の効率が良い状況でよく使われる表現です。
We hoped for the immediate dispatch of rescue teams to the disaster zone.
私たちは被災地への救助隊の即時派遣を望んだ。
※ 災害が起きた際、一刻も早く助けが来てほしいという切実な願いが込められたシーンです。ここでは「dispatch」が、救助隊や支援物資などが「迅速に送り出される、手配される」という意味で使われています。「immediate」は「すぐに、即座に」という意味で、緊急性を強調しています。
The online shop is known for its fast dispatch of orders.
そのオンラインショップは注文の迅速な発送で知られています。
※ オンラインショッピングで注文した商品が、すぐに手元に届くのは嬉しいですよね。この文では「dispatch」が「商品の迅速な発送や処理」という意味で使われています。顧客満足度が高い、信頼できるショップの特長を表すのにぴったりの表現です。
コロケーション
使者を派遣する
※ これは非常に直接的なコロケーションですが、注目すべきは、現代では「messenger」が必ずしも人間を指すとは限らない点です。例えば、緊急のデジタルメッセージやデータパケットを送信する場合にも使えます。歴史的な響きを持ちつつ、現代的な文脈でも通用する表現です。フォーマルなビジネスシーンや、やや古風なニュアンスを出したい場合に適しています。
軍隊を派遣する
※ 主に軍事的な文脈で使用され、緊急事態や紛争への対応として軍隊を派遣することを意味します。報道記事や歴史的な記述でよく見られます。比喩的に、困難な問題に対処するために、専門家チームやリソースを投入する意味でも使われることがあります。例えば、「問題を解決するために、優秀なエンジニアを現地にdispatch troopsした」のように。
迅速に処理する
※ 「dispatch」に「speed」という副詞を組み合わせることで、迅速性や効率性を強調します。「dispatch the task with speed」(仕事を迅速に処理する)のように使われます。ビジネスシーンで、業務の効率化や納期厳守をアピールする際に有効です。類語としては「expedite」がありますが、「dispatch」の方がややフォーマルな印象を与えます。
荷物を発送する
※ 物流業界やオンラインショッピングで頻繁に使われる表現です。「package」は小包や荷物を指し、「dispatch」は発送行為を意味します。追跡サービスなどで「dispatched」と表示されるのは、まさにこの意味です。日常会話でも使えますが、ビジネスシーンや公式な文書でより一般的です。類似表現の「send」よりも、処理や手続きが完了したニュアンスが強くなります。
事務処理を済ませる
※ 「paperwork」は書類手続きを指し、「dispatch paperwork」は、それらを迅速かつ効率的に処理することを意味します。オフィス環境で、タスクを完了させる際に使われます。例えば、「Let's dispatch this paperwork before the deadline」(締め切り前にこの事務処理を済ませましょう)のように使われます。単に「do paperwork」と言うよりも、完了させる意識がより強く感じられます。
噂を打ち消す、噂を否定する
※ このコロケーションは、「dispatch」が「迅速に処理する」という意味から派生して、「噂を速やかに鎮静化させる」という意味合いを持ちます。広まっている誤った情報や憶測を否定し、真実を明らかにするために行動することを指します。例えば、企業がネガティブな噂に対応する際に、「The company dispatched the rumors with a press release.」(会社はプレスリリースで噂を打ち消した)のように使われます。ややフォーマルな場面で用いられることが多いです。
急いで出発する、急いでどこかへ行く
※ 再帰代名詞「oneself」を伴うこの表現は、やや古風で文学的な響きがあります。誰かが急いでどこかへ向かう様子を表し、緊急性や決意が込められています。例えば、「He dispatched himself to the station to catch the last train.」(彼は最終列車に間に合うように急いで駅へ向かった)のように使われます。現代英語ではあまり一般的ではありませんが、文学作品や歴史的な描写で見かけることがあります。
使用シーン
学術論文や研究発表で、データや情報を「発送する」「送る」という意味合いで使われます。たとえば、実験結果のデータを他の研究機関に送付する際に "data dispatch" という表現が用いられます。また、緊急性の高い課題に対して迅速な対応が必要な場合にも "rapid dispatch of resources" のように使われます。研究者が論文を投稿する際にも、編集部に論文が "dispatched" されたという通知が来ることがあります。
ビジネスシーンでは、物品の「発送」や人員の「派遣」を意味することが多いです。例えば、顧客からの注文に応じて商品を倉庫から発送する際に "order dispatch" という表現が使われます。また、技術者を現場に派遣する際に "engineer dispatch" という言葉が用いられます。物流関連の報告書や、業務効率化に関する提案書など、比較的フォーマルな文書でよく見られます。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事や配達サービスの説明などで見かけることがあります。例えば、宅配業者が「当日発送」をアピールする際に "same-day dispatch" という表現を用いることがあります。また、緊急車両(救急車や消防車)の出動を伝えるニュースで "dispatch" が使われることもあります。普段の生活では「送る」「派遣する」などのより平易な言葉が好まれます。
関連語
類義語
最も一般的な『送る』という意味の動詞。手紙、荷物、メッセージなど、幅広い対象物を物理的または抽象的に送る際に使用される。日常会話、ビジネス、フォーマルな場面など、あらゆる状況で使える。 【ニュアンスの違い】『dispatch』よりも一般的で中立的な表現。緊急性や迅速性、効率性といったニュアンスは含まれない。単に『送る』という行為を表す。 【混同しやすい点】『dispatch』が組織的・効率的な発送を意味することがあるのに対し、『send』は必ずしもそうではない。例えば、個人的な手紙を送る場合は『send』が適切だが、企業が大量の商品を一斉に発送する場合は『dispatch』がより適切。
情報や信号、エネルギーなどを『伝達する』という意味。放送、通信、医学、科学技術などの分野でよく使われる。フォーマルな響きを持つ。 【ニュアンスの違い】『dispatch』が物理的な発送を伴うことが多いのに対し、『transmit』は物理的な移動を伴わない情報伝達を指すことが多い。例えば、ラジオ局が電波を送信する、ウイルスが感染を広げる、といった状況で使用される。 【混同しやすい点】『transmit』は情報や信号など、抽象的なものを対象とすることが多い。『dispatch』のように具体的な荷物や人を送る場合には不自然になる。
手紙、メール、情報などを『転送する』という意味。既にあるものを別の場所や人に送る際に使用される。ビジネスシーンや日常会話で使われる。 【ニュアンスの違い】『dispatch』が最初から目的地に送ることを意味するのに対し、『forward』は一度どこかに届いたものを別の場所へ送ることを意味する。したがって、一度経由しているというニュアンスが含まれる。 【混同しやすい点】『dispatch』は発送元から直接送るイメージだが、『forward』は中継地点を経由して送るイメージ。『forward』はメールの転送など、情報伝達にもよく用いられる。
物事を『迅速に進める』、『促進する』という意味。プロセス、手続き、計画などを早める際に使用される。ビジネスやフォーマルな場面で使われる。 【ニュアンスの違い】『dispatch』が物理的な発送を意味するのに対し、『expedite』は物事の進行を早めることを意味する。直接的な類義語ではないが、『dispatch』を急がせるという意味で関連性がある。例えば、『expedite the dispatch process(発送プロセスを迅速化する)』のように使用される。 【混同しやすい点】『expedite』は動詞であり、名詞の『dispatch』とは品詞が異なるため、置き換えはできない。『expedite』はあくまでプロセスを加速化することを意味する。
商品などを『委託する』、『託送する』という意味。商業取引や物流業界で使われる。フォーマルな響きを持つ。 【ニュアンスの違い】『dispatch』が発送するという行為自体に焦点を当てるのに対し、『consign』は発送を誰かに委託するという点に焦点を当てる。したがって、委託関係が含まれる。 【混同しやすい点】『consign』は通常、商品を運送業者などに委託する場合に用いられる。個人的な手紙や荷物を送る場合には不自然。『consignee(受託者)』という名詞も重要。
船便で『発送する』という意味が元々の意味だが、現在では航空便や陸送も含めて広く『発送する』という意味で使われる。特にeコマースなど、商品の発送に関連する場面で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】『dispatch』とほぼ同義だが、よりカジュアルで日常的な響きを持つ。『dispatch』が組織的な印象を与えるのに対し、『ship』はより一般的な表現。 【混同しやすい点】『ship』は口語的な表現としてもよく使われる(例:We ship worldwide.)。『dispatch』よりも使用頻度が高いが、フォーマルな文書では『dispatch』の方が好まれる場合もある。
派生語
『派遣』の意味合いから発展し、『探検』『遠征』を意味する名詞。ラテン語の『ex-(外へ)』と『ped-(足)』に由来し、元々は『足を踏み出して外へ向かうこと』を指す。軍事的な遠征や学術調査など、組織的な活動を伴う場合に用いられる。日常会話での使用頻度は低いが、歴史、探検、科学関連の文脈で頻出する。
- expeditious
『迅速な』『手際の良い』を意味する形容詞。『dispatch』の『迅速に処理する』という意味合いが形容詞化されたもの。ビジネス文書やフォーマルな場面で、効率性や迅速さを強調する際に用いられる。語尾の『-ious』は形容詞を作る接尾辞で、『~の性質を持つ』という意味合いを付加する。例:『expeditious handling of the matter(事案の迅速な処理)』
『配置する』『処分する』を意味する動詞。ラテン語の『dis-(分離)』と『ponere(置く)』に由来し、『dispatch』の『何かを特定の場所に送る』というニュアンスと関連する。廃棄物処理や資産処分など、何かを整理・配置する文脈で使われる。自動詞としては『dispose of(~を処分する)』の形で頻繁に用いられる。
反意語
『保持する』『維持する』を意味する動詞。『dispatch』が何かを送り出す、手放すという意味合いを持つことに対して、『retain』は何かを手元に留めておくという点で対立する。ビジネスや法律の文脈で、権利、情報、資源などを保持する場合によく用いられる。例:『retain control(支配権を保持する)』。
『差し控える』『保留する』を意味する動詞。『dispatch』が何かを送り出す行為であるのに対し、『withhold』は何かを意図的に保留し、相手に渡さないという点で対立する。情報、許可、資金などを差し控える場合に使われる。例:『withhold information(情報を差し控える)』。日常会話からビジネスまで幅広く使用される。
『遅らせる』『延期する』を意味する動詞。『dispatch』が迅速な行動を意味するのに対し、『delay』は行動を遅らせるという点で対立する。予定や計画の遅延、発送の遅延など、時間的な遅れが生じる状況で用いられる。名詞としても使用され、遅延そのものを指す場合もある。例:『delay the shipment(出荷を遅らせる)』。
語源
「dispatch」は、古フランス語の「despecier(ばらばらにする、急いで処理する)」に由来します。これは「des-(分離、否定)」と「pecier(部分に分ける)」から構成されています。「pecier」はさらにラテン語の「peccia(一片、部分)」に遡ります。つまり、元々は何かをばらばらにしたり、細かく分けたりする意味合いを持っていました。それが転じて、「迅速に処理する」「派遣する」という意味に発展しました。たとえば、仕事を細分化して迅速に処理するイメージや、人を特定の任務のために送り出す様子を表すようになったのです。現代英語では、迅速な処理や派遣といった意味で広く使われています。
暗記法
「dispatch」は、単なる派遣や発送ではない。国家の命運を左右する軍事命令、緊急ニュース速報、重要任務を帯びた使者。背後には、中世騎士物語における王命を受けた騎士の忠誠と義務がある。文学作品では、物語を大きく動かす要素として登場し、運命や歴史を動かす力を持つ。現代ビジネスシーンでも、緊急性、重要性、権威を伴う特別な意味合いを帯びている。
混同しやすい単語
『dispatch』の古い綴り、またはイギリス英語での綴りです。発音はほぼ同じですが、スペルが異なるため、特に書き言葉で混同しやすいです。意味は『dispatch』と全く同じで、送る、派遣する、迅速な処理などの意味があります。日本人学習者は、文脈や使用される地域(アメリカ英語かイギリス英語か)を考慮して使い分ける必要があります。
発音の最初の部分 /dɪ/ が似ており、特に早口で話されると聞き間違えやすいです。意味は『処分する』、『配置する』などで、dispatch の持つ『派遣する』『送る』といった意味とは異なります。dispose は前置詞 of と共に使われることが多い(dispose of...)という点も区別のポイントです。語源的には、dis-(分離)+ pose(置く)で『バラバラに置く→処分する』というイメージです。
こちらも最初の /dɪs/ の部分の発音が似ており、聞き間違いやすい単語です。意味は『(場所から)移動させる』、『退ける』、『追放する』などで、dispatch とは意味が大きく異なります。語源的には、dis-(分離)+ place(場所)で『場所から離す』というイメージです。文脈をよく読んで判断する必要があります。
接頭辞 dis- が共通しているため、スペルが似ていると感じやすいかもしれません。発音も最初の部分は似ています。意味は『展示する』、『表示する』で、dispatch とは全く異なります。display は名詞としてもよく使われます(展示、表示)。視覚的な情報伝達に関連する単語なので、dispatch の持つ『迅速な伝達』の意味とは対照的です。
最初の dis- の部分が共通しており、スペルが似ていると感じられることがあります。発音も最初の部分は似ています。意味は『散逸させる』、『浪費する』で、dispatch とは全く異なります。dissipate は、エネルギーや資源などが徐々に失われていく様子を表すのに使われます。例えば、「熱を放散する (dissipate heat)」のように使われます。
後半の 'patch' の部分が共通しているため、視覚的に似ていると感じることがあります。発音も 'patch' の部分は同じです。しかし、dispatch は接頭辞 dis- が付いているため、意味は大きく異なります。patch は『継ぎ』、『当て布』、『(コンピュータの)修正プログラム』などの意味があります。dispatch の持つ『迅速さ』や『派遣』といった意味とは関連性がありません。
誤用例
『Dispatch』は、日本語の『派遣する』という言葉から、誰かを何かをさせるために送る、という意味で使われがちです。しかし、dispatchは、通常、公式な任務や緊急の用件で人を『派遣する』場合に使われ、日常的な買い物のような場面には不適切です。より自然な英語では、『send』を使います。日本人が『派遣』という言葉の持つフォーマルなニュアンスを意識せずに直訳してしまうことが原因です。
『Dispatch』は、迅速な対応を意味する日本語の『ディスパッチ』というカタカナ語の影響で、問題解決などの文脈で使われることがあります。しかし、英語の『dispatch』は、主に『発送する』『派遣する』という意味で使われ、問題そのものを『処理する』という意味合いは薄いです。問題解決には『deal with』や『resolve』を使うのが適切です。日本人がカタカナ語のイメージに引きずられて英語の本来の意味を誤解しやすい典型例です。
『Dispatch』は他動詞であり、『dispatch something to someone』という形で使われるのが一般的です。しかし、日本語の『(人に)〜を発送する』という語順に引きずられて、『dispatch someone something』という誤った構文を作ってしまうことがあります。正しい英語では、『send something to someone』という構文を使うのが自然です。また、この文脈では『dispatch』はやや硬い印象を与えるため、『send』の方がより口語的で適切です。日本語の語順をそのまま英語に当てはめようとすると、不自然な英語になる典型的な例です。
文化的背景
「dispatch」は、単なる「派遣」や「発送」を超え、緊急性や重要性、そして権威を伴う行為を象徴する言葉です。かつては軍事的な命令伝達や外交使節の派遣に用いられ、国家の命運を左右するような場面でその重みを増してきました。現代においても、緊急ニュースの速報や、重要な任務を帯びた使者の派遣など、特別な状況下でのみ用いられることで、その文化的意義を保持しています。
「dispatch」の語源を辿ると、中世英語の「despechen(迅速に処理する)」に由来し、ラテン語の「dispedire(束縛を解く)」と関連があります。この「束縛を解く」という概念は、任務を迅速に遂行するためにあらゆる障害を取り除く、というニュアンスを含んでいます。中世の騎士道物語では、王が騎士を「dispatch」する場面が描かれ、騎士は王の命を受け、敵を討伐したり、困窮した人々を救済したりするために、迅速に出発します。この背景には、騎士の忠誠心と迅速な行動力が求められる社会構造があり、「dispatch」は単なる移動手段ではなく、騎士の義務と責任を象徴する言葉として機能していました。
文学作品における「dispatch」は、しばしば物語の展開を大きく左右する要素として登場します。例えば、シェイクスピアの戯曲では、誤った情報が「dispatched」されることで悲劇が引き起こされることがあります。また、19世紀の冒険小説では、主人公が危険な任務を「dispatch」されることで、物語がクライマックスへと向かいます。これらの例からも、「dispatch」は単なる情報伝達や人員配置ではなく、運命や歴史を動かす力を持つ言葉として認識されてきたことがわかります。現代の映画やドラマにおいても、緊急事態が発生し、主人公が「dispatched」されるシーンは、物語の緊張感を高める効果的な演出として用いられています。
現代社会において、「dispatch」は、ビジネスシーンや報道機関などで頻繁に使用されます。しかし、その根底には、緊急性や重要性、そして権威といった文化的背景が息づいています。例えば、企業のCEOが重要なプロジェクトチームを「dispatch」する場合、それは単なる人員配置ではなく、企業の将来を左右する重要な決断であることを意味します。また、報道機関が特派員を紛争地域に「dispatch」する場合、それは単なる情報収集ではなく、真実を伝えるという重大な使命を帯びていることを意味します。「dispatch」という言葉は、その背後にある歴史や文化、そして人々の価値観を反映し、現代社会においても特別な意味を持ち続けているのです。
試験傾向
1. 出題形式: 語彙問題、長文読解。
2. 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。1級でも出題可能性あり。
3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、ニュース記事、ビジネスシーンなど。やや硬めの文脈で使われることが多い。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 動詞としての「派遣する」「発送する」の意味に加え、名詞としての「派遣」「発送」の意味も重要。類義語(send, assignなど)との使い分けに注意。
1. 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)。
2. 頻度と級・パート: 比較的頻出。特にビジネス系の文書でよく見られる。
3. 文脈・例題の特徴: 契約書、メール、報告書など、ビジネスシーンでの使用が中心。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 「派遣する」「発送する」の意味に加え、「迅速な処理」といったニュアンスを含む場合がある。文脈から意味を正確に判断することが重要。
1. 出題形式: リーディングセクション。
2. 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出。
3. 文脈・例題の特徴: 歴史、社会科学、自然科学など、学術的な文章で使われる。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 動詞・名詞両方の用法を理解しておく必要がある。特に、抽象的な概念を説明する際に使われることが多い。類義語(transmit, conveyなど)とのニュアンスの違いを理解することも重要。
1. 出題形式: 長文読解、文法・語彙問題。
2. 頻度と級・パート: 難関大学で頻出。標準的な大学でも出題される可能性あり。
3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、科学技術など、幅広いテーマで使われる。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈の中で意味を把握する練習が重要。動詞・名詞の用法に加え、比喩的な意味で使われる場合もあるため、注意が必要。