英単語学習ラボ

discord

/ˈdɪskɔːrd/(ディスコード)

第一音節にアクセントがあります。/ɪ/ は日本語の「イ」と「エ」の中間のような音で、口を少し開いて短く発音します。/ɔːr/ は二重母音で、口を大きく開けて「オー」と発音し、最後に軽く「ル」の音を加えるイメージです。日本語の「ド」は母音を伴いますが、英語の /d/ は舌先を上の歯茎につけて破裂させる音で、母音を伴いません。意識して短く発音しましょう。

名詞

不和

意見の衝突、対立、争いなどを指す。組織やグループ内の人間関係が悪化している状態を表すことが多い。単に意見が違うだけでなく、感情的な対立や憎しみを含むニュアンスがある。

A small argument caused discord at the family dinner table.

ささいな口論が、家族の夕食の食卓に不和をもたらした。

家族の温かい食卓で口論が起こり、それまで和やかだった雰囲気が一変し、誰もが気まずく、会話が途切れるような場面を想像してみてください。「discord」は、このように身近な人間関係における意見の対立や、それに伴うぎくしゃくした雰囲気を表すのにぴったりです。「cause discord」で「不和を引き起こす」という形でよく使われます。

Their project was delayed due to discord over the new design.

彼らのプロジェクトは、新しいデザインを巡る不和のために遅れた。

チームメンバーが新しいデザインについて激しく意見を対立させ、会議室で議論が白熱し、結局何も決まらずに時間だけが過ぎていく様子を思い浮かべてください。ビジネスやプロジェクトの現場で、意見の相違が原因で物事がスムーズに進まない状況を「discord」と表現するのは非常に自然です。「due to ~」は「~のために」「~が原因で」という意味で、原因を説明するときによく使われます。

A small misunderstanding created discord between the two best friends.

ささいな誤解が、二人の親友の間に不和を生んだ。

いつも仲良しだった親友同士が、ちょっとした誤解からお互いに少し距離を置き始め、以前のように気軽に話せなくなった寂しい雰囲気を描いています。親しい友人関係や人間関係において、意見の食い違いや感情的なすれ違いから生じる「不和」を表すのに「discord」は適切です。「create discord」も「不和を生み出す」という形でよく使われます。「between A and B」は「AとBの間で」という意味で、二者の関係性を示すときによく使われます。

動詞

仲たがいさせる

人々の間の調和を壊し、不和や対立を生じさせる行為。意図的に関係を悪化させる場合と、結果的にそうなってしまう場合の両方を含む。

His little secret discorded their long-standing friendship.

彼のちょっとした秘密が、彼らの長年の友情にひびを入れた。

親しい友人同士の間で、隠し事が原因で関係が悪くなる、という具体的な場面です。ここでは「secret(秘密)」が友情を「discord(仲たがいさせる)」原因になっています。このように、人や物事が原因となって、関係性が悪化する様子を描写する際に使えます。

The new manager's strict rules discorded the whole team.

新しいマネージャーの厳しい規則が、チーム全体を仲たがいさせた。

新しい規則や方針が、グループやチームのメンバー間に不満や対立を生み出す状況です。マネージャーの「strict rules(厳しい規則)」が、チームの結束を「discord(仲たがいさせる)」原因となっています。組織や集団内で意見の対立が生まれる様子をイメージできます。

Her constant complaints discorded the family gatherings.

彼女の絶え間ない不平が、家族の集まりを仲たがいさせた。

家族や親しい人たちの集まりで、特定の人の言動が原因で、楽しいはずの雰囲気が台無しになったり、気まずくなったりする場面です。「constant complaints(絶え間ない不平)」が、家族の集まりの雰囲気を「discord(仲たがいさせる)」原因となっています。感情的な摩擦が関係に影響を与える様子が伝わります。

コロケーション

sow discord

不和の種をまく、仲たがいを引き起こす

この表現は、文字通りに種をまく行為を比喩的に用いて、人間関係や集団内に争いや不和の原因を作り出すことを意味します。しばしば、意図的に、または無思慮に行われる行為を指し、その結果として信頼関係が損なわれたり、協力関係が崩れたりします。ビジネスシーンや政治的な文脈で、陰謀や策略を語る際に使われることがあります。例えば、「彼の発言は、チーム内に新たなdiscordをsowした」のように使います。

a note of discord

不協和音、調和を乱すもの

音楽用語としての「discord」が転じて、比喩的に「全体の調和を乱す要素」を指します。会議や議論における意見の衝突、計画の不備、人間関係の摩擦など、様々な状況で使用できます。例えば、「彼の提案は、会議にa note of discordをもたらした」のように使います。フォーマルな場面や、客観的な分析をする際に適した表現です。

domestic discord

家庭内の不和、夫婦間の不仲

「domestic」は「家庭の」という意味で、「domestic discord」は特に家族関係、特に夫婦間の不和や争いを指します。深刻な夫婦喧嘩から、日常的な意見の食い違いまで、幅広い状況で使用できます。法律や社会問題に関する議論で、家庭環境の影響について言及する際にも使われます。例えば、「domestic discordが子供の成長に悪影響を及ぼす」のように使われます。

political discord

政治的な不和、政争

政治の世界における意見の対立や派閥間の争いを指します。政策論争から権力闘争まで、政治的な不安定さや混乱を表す際に用いられます。ニュース記事や政治評論などでよく見られる表現です。例えば、「political discordが国の発展を妨げている」のように使われます。

religious discord

宗教的な不和、宗派間の対立

異なる宗教や宗派間の対立や紛争を指します。歴史的な背景を持つ根深い問題から、現代社会における宗教的少数派への差別まで、幅広い状況で使用されます。国際関係や社会問題を議論する際に重要な概念です。例えば、「religious discordが紛争の根源となっている」のように使われます。

create discord

不和を生み出す、仲たがいを引き起こす

紛争や意見の不一致など、関係性の中に不和や緊張状態を作り出す行為を指します。「sow discord」と似ていますが、より一般的な表現で、意図的かどうかに関わらず、結果として不和が生じる状況に使われます。例えば、「彼の無神経な発言が、create discordにつながった」のように使われます。

使用シーン

アカデミック

学術論文やディスカッションにおいて、意見の不一致や理論間の矛盾を説明する際に用いられます。例えば、政治学の研究で「〜政策に対する国民の意見の不和(discord)が見られる」と分析したり、社会学の研究で「〜集団内部の不和が生産性に影響を与えている」と議論したりする際に使われます。フォーマルな文体で使用されます。

ビジネス

ビジネスシーンでは、会議の議事録や報告書など、比較的フォーマルな文書で使用されます。チーム内での意見の対立や、プロジェクトの進行における不協和音を婉曲的に表現する際に用いられることがあります。例えば、「〜部署間でのdiscord(不和)がプロジェクトの遅延を招いている」といった形で報告書に記載されることがあります。日常会話ではあまり使いません。

日常会話

日常会話で「discord」という単語が使われることは稀ですが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、紛争や対立といった社会的な問題について言及する際に用いられることがあります。例えば、「〜国間のdiscord(不和)が深刻化している」といった報道で見かけることがあります。また、人間関係における不和について、やや大げさに、あるいは皮肉を込めて使うこともあります。

関連語

類義語

  • 激しい争い、紛争、不和を意味し、多くの場合、長期にわたる深刻な対立や闘争状態を指します。政治的な対立、社会的な階級闘争、国家間の戦争など、大規模で深刻な状況で使われることが多いです。 【ニュアンスの違い】"discord"よりも深刻で、暴力的である含みを持つことがあります。また、個人的な不和というよりは、集団間の対立を表すことが多いです。よりフォーマルな語彙で、ニュース記事や歴史書などによく見られます。 【混同しやすい点】"strife"は不可算名詞として使われることがほとんどで、具体的な個々の争いを指すのではなく、争いの状態そのものを指します。また、日常会話よりも、報道や学術的な文脈で使われることが多いです。

  • 文字通りには『摩擦』を意味しますが、人間関係においては、意見の不一致や小さな衝突、緊張状態を指します。組織内での部署間の対立、友人同士のちょっとした意見の食い違いなど、比較的穏やかな状況で使われます。 【ニュアンスの違い】"discord"よりも穏やかで、深刻な対立に至る前の初期段階の不和を表すことが多いです。また、必ずしも敵意を含んでいるわけではなく、単なる意見の相違や誤解から生じることもあります。ビジネスシーンでもよく使われます。 【混同しやすい点】"friction"は、可算名詞としても不可算名詞としても使われます。具体的な摩擦(例:機械部品の摩擦)を指す場合は可算名詞、一般的な摩擦や緊張状態を指す場合は不可算名詞として使われます。人間関係においては、不可算名詞として使われることが多いです。

  • 議論、論争、または争いの種となる事柄を意味します。特定の主張や意見に対する反論、あるいは競争や対立の状況を指すことが多いです。法廷での争い、学術的な論争、スポーツでの優勝争いなど、様々な場面で使われます。 【ニュアンスの違い】"discord"よりも知的で、議論や論理的な対立を含むことが多いです。また、必ずしも感情的な対立を伴うわけではなく、客観的な事実や解釈の違いに基づく場合もあります。フォーマルな語彙で、論文や報告書などによく見られます。 【混同しやすい点】"contention"は、しばしば"point of contention"(争点)という形で使われます。また、"contend"(主張する、争う)という動詞形も重要です。名詞と動詞の意味を混同しないように注意が必要です。

  • disharmony

    調和の欠如、不協和音、不一致を意味します。音楽における不協和音、人間関係における不和、社会的な不均衡など、様々な状況で使われます。特に、全体としてのバランスが崩れている状態を表すことが多いです。 【ニュアンスの違い】"discord"と非常に近い意味を持ちますが、より抽象的で、具体的な対立や争いを伴わない場合もあります。また、美的な感覚や倫理的な価値観に基づく不快感を表すこともあります。ややフォーマルな語彙です。 【混同しやすい点】"disharmony"は、しばしば"harmony"(調和)の反対語として使われます。また、音楽用語としても使われるため、文脈によって意味を理解する必要があります。人間関係においては、表面的な不和よりも、根深い価値観の相違を表すことが多いです。

  • 対立、衝突、矛盾を意味し、個人間、集団間、国家間など、あらゆるレベルでの対立状況を指します。意見の衝突、利害の対立、価値観の相違など、様々な原因で発生します。ビジネス、政治、社会など、幅広い分野で使われます。 【ニュアンスの違い】"discord"よりも一般的で、より広い意味を持ちます。感情的な対立だけでなく、客観的な利害の対立も含む点が異なります。また、必ずしも否定的な意味合いを持つわけではなく、成長や変化のきっかけとなる場合もあります。 【混同しやすい点】"conflict"は、可算名詞としても不可算名詞としても使われます。具体的な個々の衝突を指す場合は可算名詞、一般的な対立状況を指す場合は不可算名詞として使われます。また、"conflict of interest"(利益相反)という表現もよく使われます。

  • 公式な意見や決定に対する反対意見、異議を意味します。会議での反対意見、政府の政策に対する批判、宗教的な教義に対する異論など、権威や多数派意見に対する反論を表すことが多いです。 【ニュアンスの違い】"discord"よりも知的で、論理的な根拠に基づいた反対意見を指します。感情的な対立よりも、理性的な議論を重視する点が異なります。フォーマルな語彙で、政治、法律、学術分野でよく使われます。 【混同しやすい点】"dissent"は、しばしば"voice dissent"(反対意見を表明する)という形で使われます。また、"dissenter"(反対者)という名詞形も重要です。単なる不満や不平ではなく、明確な根拠に基づいた反対意見であることを意識する必要があります。

派生語

  • discordant

    『不協和な』という意味の形容詞。名詞『discord』に形容詞を作る接尾辞『-ant』が付加された形。音楽や意見の対立など、調和を欠く状態を表す際に用いられ、ややフォーマルな場面や学術的な文脈で見られる。語源的には『心が離れている』状態が、比喩的に『不調和』へと発展した。

  • discordance

    『不一致』『不協和』という意味の名詞。『discordant』に名詞化の接尾辞『-ance』が付いた形。学術論文や専門的な議論で、意見やデータ間の矛盾・不一致を指す際に用いられる。抽象的な概念を表すため、日常会話よりもフォーマルな文脈での使用頻度が高い。discordとの関連性が明確。

  • 『信用を失わせる』という意味の動詞。接頭辞『dis-(否定)』と『credit(信用)』が組み合わさり、『信用をなくす』という意味合いを持つ。人の評判や証拠の信頼性を損なう行為を指し、ニュース記事やビジネスシーンでよく用いられる。discordとは直接的な語源関係はないものの、dis-という接頭辞が共通しており、否定的な意味合いを強めている点が共通する。

反意語

  • 『一致』『協調』という意味の名詞。接頭辞『con-(共に)』と語根『cord-(心)』が組み合わさり、『心が共に在る』状態を表す。意見の一致や国家間の協調など、ポジティブな関係性を示す際に用いられ、フォーマルな文脈や文学作品で見られる。discordとは語源的に対照的であり、意味も正反対である。

  • 『調和』『ハーモニー』という意味の名詞。音楽、人間関係、自然など、様々な要素がバランス良く組み合わさった状態を指す。日常会話から学術的な議論まで幅広く用いられる。discordが『不協和音』であるのに対し、harmonyは『協和音』であり、音楽的な文脈でも対義語として機能する。比喩的な意味合いでも、両者は対照的な概念を表す。

  • 『合意』『協定』という意味の名詞。意見や条件が一致し、同意に至る状態を表す。ビジネス、政治、日常生活など、様々な場面で用いられる。discordが意見の不一致や対立を意味するのに対し、agreementは意見の一致や合意形成を意味し、明確な対義語として機能する。特に交渉や会議などの文脈で、その対比が際立つ。

語源

"discord"は、ラテン語の"discordia"(不和、意見の相違)に由来します。さらに遡ると、接頭辞"dis-"(分離、否定)と語幹"cor, cordis"(心)から構成されています。つまり、元々は「心が離れている状態」や「心が一致しない状態」を表していました。日本語で例えるなら、「心がバラバラ」というイメージです。この「心」は感情や考え方の中心と捉えられ、それが"dis-"によって否定されることで、意見の対立や不和といった意味合いが生まれたと考えられます。現代英語では、名詞として「不和」や「意見の衝突」を意味し、動詞としては「仲たがいさせる」という意味で使用されます。

暗記法

「discord」は単なる不和ではなく、社会秩序や宇宙の調和を揺るがす深い断絶を意味します。中世の宇宙観では、社会の階層秩序が乱れることは神への反逆であり、社会崩壊を招きかねない事態でした。シェイクスピア劇では、国家の「discord」は内乱へと発展。冷戦時代には、イデオロギー対立が核戦争の危機を招きました。現代社会でも、人種差別や貧困などの社会問題は「discord」の根源となり、社会の分断を深めています。

混同しやすい単語

『discord』と語尾の音が似ており、特に早口で発音された場合に混同しやすい。また、スペルも 'cord' の部分が共通しているため、視覚的にも誤認しやすい。意味は『記録する』『記録』であり、名詞・動詞として使われる点が『discord』と異なる。日本人学習者は、文脈から判断する必要がある。

接頭辞 'dis-' が共通しているため、関連する単語だと誤解しやすい。スペルも似ているため、視覚的な混同も起こりやすい。意味は『談話』『講演』であり、フォーマルな会話や文章を指す。品詞は名詞または動詞。『discord』とは意味が大きく異なるため、注意が必要。

『discord』と語尾が 'cord' で共通しており、スペルが似ているため混同しやすい。意味は『合意』『調和』であり、『discord』とは正反対の意味を持つ。接頭辞 'ac-' は 'ad-'(〜へ)の変化形で、方向性を示唆する。日本人学習者は、接頭辞の違いに注意すると良い。

接頭辞 'dis-' が共通しているため、意味の関連性を想像しやすい。スペルも似ているため、視覚的な混同も起こりやすい。意味は『捨てる』であり、『不要なものを手放す』という意味合いが強い。品詞は動詞または名詞。日本人学習者は、'card'(カード)という身近な単語が含まれているため、意味を誤解しないように注意。

decord

これは実際には一般的な英単語ではありませんが、'de-' + 'cord' という構成要素から、『cord(コード、紐)』を取り除くような意味を想像してしまう可能性があります。実際には存在しない単語ですが、構成要素から意味を推測しようとする際に、誤った解釈を生む可能性があります。存在しない単語であるという認識が重要です。

'con-'は「共に」の意味を持つ接頭辞で、'cord'(心、感情)と組み合わさり、「心が一つになること」を意味します。スペルも似ており、意味的な対比(discord:不和、concord:調和)があるため、一緒に覚えると効果的です。語源的に、'cord'が「心」を意味することを知っておくと、関連語彙の理解が深まります。

誤用例

✖ 誤用: The discord between the two departments was very loud.
✅ 正用: The discord between the two departments was very pronounced.

日本人が『discord』を『不協和音』という文字通りの意味で捉え、騒がしい状況を表現しようとする誤用です。英語の『discord』は、音楽的な不協和音だけでなく、意見や感情の不一致、対立を意味しますが、その程度は『目立つ』『顕著である』といったニュアンスで表現されることが多く、『loud(騒がしい)』は適切ではありません。日本語の『不協和音』が物理的な騒音を連想させやすいことが原因と考えられます。より適切な形容詞は『pronounced』や『significant』です。組織間の対立構造を『音』として捉える比喩は、英語では静かに、しかし確実に存在感を放つものとして認識される傾向があります。

✖ 誤用: I felt a discord in my heart when I saw my ex with someone else.
✅ 正用: I felt a pang of jealousy/heartbreak when I saw my ex with someone else.

『discord』は、個人的な感情の機微、特に恋愛感情の描写には不向きです。日本語の『心の不協和音』という表現を直訳しようとすると起こりがちな誤りです。『discord』は、よりフォーマルで客観的な状況、例えば組織内の対立や国際関係の緊張などを描写する際に適しています。個人的な感情を表現するなら、『pang of jealousy(嫉妬の痛み)』や『heartbreak(心の痛み)』が適切です。英語では、感情を表現する際に、具体的な身体感覚や感情を表す単語を用いることが一般的で、抽象的な『discord』は不自然に響きます。日本語の『不協和音』が持つ比喩的な広がりを、そのまま英語に適用しようとすると、語感のずれが生じます。

✖ 誤用: The family reunion was filled with discord and awkward silences.
✅ 正用: The family reunion was fraught with tension and awkward silences.

『discord』は、単に『不和』があるという状態よりも、より深刻な対立や争いを意味します。家族の集まりでの気まずさや緊張感を表現したい場合、『discord』は重すぎる言葉です。より適切な表現は『tension(緊張)』や『unease(不安)』です。日本語の『不協和音』が、日常的な人間関係の摩擦にも使えるため、英語でも同様に使えると誤解しやすいですが、英語の『discord』は、より深刻な状況に限定されます。家族間の微妙な感情のずれを表現するなら、より柔らかい言葉を選ぶのが英語らしい配慮です。また、文化的背景として、英語圏では直接的な対立を避け、遠回しな表現を好む傾向があることも考慮すべきです。

文化的背景

「discord」は、単なる不和や意見の相違を超え、社会秩序や宇宙の調和を脅かす深い断絶を意味します。音楽用語としての不協和音から派生したこの言葉は、中世の宇宙観における「大いなる調和(Great Chain of Being)」の乱れを象徴し、政治的、社会的な混乱を暗示する力強いイメージを伴ってきました。

中世ヨーロッパにおいて、社会は神によって定められた階層構造を持つと考えられていました。王侯貴族から農民に至るまで、すべての存在は定められた位置にあり、それぞれの役割を果たすことで社会全体の調和が保たれると信じられていました。この秩序が「discord」によって乱されることは、神への反逆であり、社会全体の崩壊を招きかねない深刻な事態と見なされました。例えば、シェイクスピアの戯曲『リチャード二世』では、王の統治能力の欠如が国家の「discord」を引き起こし、内乱へと発展する様子が描かれています。王位の簒奪は単なる政治的事件ではなく、宇宙の秩序を揺るがす行為として表現されているのです。

近代に入ると、「discord」の概念は社会構造の変化とともに意味合いを変化させました。絶対王政の崩壊と民主主義の台頭は、多様な意見の衝突を政治の常態としました。しかし、「discord」は依然として、単なる意見の相違を超えた、社会の根幹を揺るがすような対立を指す言葉として用いられます。冷戦時代には、資本主義と共産主義のイデオロギー対立が世界を二分し、「discord」は核戦争の危機を孕む国際的な緊張状態を象徴しました。現代社会においても、人種差別、貧困、環境問題など、解決困難な社会問題は「discord」の根源となり、社会の分断を深めています。

「discord」は、単に意見が合わないという状況を表すだけでなく、社会の安定を脅かす深い亀裂、価値観の対立、そして時には暴力的な紛争へと発展する可能性を秘めた言葉です。この言葉の背後には、秩序と混乱、調和と不和という、人間社会が常に抱える根本的な緊張関係が潜んでいます。学習者はこの文化的背景を理解することで、「discord」という言葉が持つ重みと、それが社会に与える影響をより深く認識することができるでしょう。

試験傾向

英検

準1級・1級の長文読解で出題される可能性あり。1級ではエッセイのライティングで高度な語彙として使えると加点対象になることも。ただし、語彙問題単体での出題頻度は高くない。主にアカデミックな文脈で使用される。

TOEIC

Part 7の長文読解で稀に出題される。ビジネスの場における意見の相違や対立を表す際に用いられる。語彙問題(Part 5)での直接的な出題は少ない。

TOEFL

リーディングセクションで頻出。アカデミックな文章で、意見の不一致や対立を議論する際に用いられる。ライティングセクションでも、自分の意見を述べる際に使用できる。類義語(disagreement, conflict)との使い分けが重要。

大学受験

難関大学の長文読解で出題される可能性あり。文脈から意味を推測させる問題や、内容一致問題で用いられることが多い。名詞・動詞の区別、および類義語との関連性を理解しておくことが重要。

免責事項

英単語学習ラボは生成AIで機械的に意味や英語表現を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。

このページについて

作成:英単語学習ラボ
生成支援:Google Gemini
最終更新:2025年7月18日

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