devoid
強勢は「ヴォ」に置かれます。/ɪ/ は日本語の「イ」よりも曖昧で、口を少しだけ開けて発音するイメージです。/ɔɪ/ は二重母音で、「オ」から「イ」へスムーズに移行します。最後の /d/ は有声歯茎破裂音で、日本語の「ド」に近いですが、より強く息を吐き出すように発音するとよりクリアに聞こえます。
欠如した
必要なもの、期待されるものが完全に存在しない状態を表す。物理的なものだけでなく、抽象的な概念(希望、感情など)にも使える。フォーマルな文脈で使われることが多い。
His face was completely devoid of emotion when he heard the bad news.
彼が悪いニュースを聞いた時、その顔は全く感情が欠如していた。
※ 【情景】悲しいニュースを聞いても、顔に何の感情も表れない人の様子を描写しています。まるで感情が抜け落ちたかのように見える状況です。 【なぜ典型的か】「devoid of emotion」は、感情が全くない状態を表す非常によく使われる表現です。人の表情や態度について語る際によく使われます。 【文法】「be動詞 (was) + devoid of」の形で使われ、「〜が欠如している」と状態を表します。「completely」のような副詞で「完全に」と強調することもできます。
The vast desert was devoid of any water, making it hard to survive.
広大な砂漠には水が全くなく、生き残るのが難しかった。
※ 【情景】見渡す限り砂と岩しかない広大な砂漠で、探しても一滴の水も見つからない、という厳しい自然の状況を描いています。 【なぜ典型的か】物理的なものが全くない状態を表す際によく使われます。「devoid of water」は、乾燥した場所や資源がない場所の描写に頻繁に登場します。 【文法】「devoid of + 名詞」で「〜が欠如している」という意味になります。ここでは「any water」とすることで、「どんな水も」という強調が加わっています。
The long lecture was completely devoid of humor, making everyone feel sleepy.
その長い講義は全くユーモアがなく、みんなを眠くさせた。
※ 【情景】何時間も続く退屈な講義で、一つも面白い話がなく、会場の誰もがうとうとし始める様子が目に浮かびます。 【なぜ典型的か】「devoid of humor」は、面白みや工夫がない状態を表すのに非常によく使われる表現です。スピーチ、文章、映画などの評価によく用いられます。 【文法】抽象的な概念(humor, meaning, purposeなど)が欠如している場合にも「devoid of」を使います。「completely」で「完全に欠如している」と強調できます。
空っぽの
物理的に中身がない状態。比喩的に、感情や思考が欠けている状態を表すこともある。
When he spoke, his voice was devoid of emotion, like a robot's.
彼が話すとき、彼の声には感情が全くなく、まるでロボットのようだった。
※ 【情景】相手が話しているのに、その声に温かみや感情が全く感じられず、まるで機械が話しているかのように冷たく聞こえる状況です。 【解説】「devoid」は「〜が全くない」という意味で、特に「感情」や「意味」など、本来あるべきものが失われている状態を表すのに使われます。この例文のように「devoid of A(Aが全くない)」という形で使うのが一般的です。
The politician's speech was devoid of any real meaning, and people felt bored.
その政治家のスピーチには実質的な意味が全くなく、人々は退屈に感じた。
※ 【情景】政治家が長々と話しているのに、その内容に具体性や説得力がなく、聞いている人々がうんざりして退屈している様子です。 【解説】この例文のように、スピーチや文章など「内容」や「意味」が欠けている場合にも「devoid」を使います。期待されているものが全くない、という残念なニュアンスが伝わります。
The old abandoned house was devoid of any furniture, making it feel very cold.
その古びた廃屋には家具が全くなく、とても寒々しく感じられた。
※ 【情景】誰も住んでいない古い家に入ってみると、中に家具が一つもなく、がらんとしていて、ひんやりとした空気が漂っている様子です。 【解説】「devoid」は物理的な空間に対しても使えますが、単に「空っぽ」という意味の「empty」とは異なり、「本来あるべきもの(この場合は家具)が全くない」という強調された意味合いを持ちます。
コロケーション
内容を欠いている、中身がない
※ 「devoid of + 名詞」の最も基本的な形です。物理的なものだけでなく、アイデア、議論、スピーチなど、抽象的なものにも使えます。例えば、政治家の演説を評して "The speech was devoid of content and offered no concrete solutions." (その演説は内容がなく、具体的な解決策を提示していなかった) のように使われます。ビジネスシーンや学術的な文脈でよく見られます。
感情を欠いている、無感情な
※ 人の態度や表情、芸術作品などを描写する際によく用いられます。例えば、"His face was devoid of emotion as he listened to the news." (彼はそのニュースを聞きながら、顔には何の感情も浮かべていなかった) のように使われます。文学作品や心理学的な議論で頻繁に登場します。類似の表現として "emotionless" がありますが、"devoid of emotion" はより深刻な感情の欠如を示唆することがあります。
意味を欠いている、無意味な
※ 言葉、行動、出来事などが無意味であることを表します。哲学的な議論や、不条理な状況を描写する際に適しています。例えば、"Life seemed devoid of meaning after the loss of his loved one." (愛する人を失った後、人生は無意味に思えた) のように使われます。口語よりも、書き言葉やフォーマルな場面で使われることが多いです。
生命を欠いている、生気がない
※ 文字通り生物がいない状態、または比喩的に活気やエネルギーがない状態を表します。風景、場所、状況などを描写する際に使われます。例えば、"The desert landscape was devoid of life." (その砂漠の風景は生命を欠いていた) のように使われます。環境問題や終末的な状況を描写する際に使われることもあります。
完全に~を欠いている
※ "utterly" は「完全に」「徹底的に」という意味の副詞で、"devoid of" を強調する役割を果たします。強い否定や欠如を表したいときに使われます。例えば、"He was utterly devoid of any sense of humor." (彼にはユーモアのセンスが全くなかった) のように使われます。フォーマルな文脈や文学的な表現でよく見られます。
一切~がない
※ "any" を伴うことで、「一つも~がない」という強い否定を表します。可能性や余地を完全に否定するニュアンスがあります。例えば、"The argument was devoid of any logical basis." (その議論には論理的根拠が一切なかった) のように使われます。ビジネス文書や法律文書など、正確さが求められる場面でよく用いられます。
木のない風景
※ 具体的な情景描写でよく用いられるパターンです。特定の要素が欠如していることを強調し、その場所の特性を際立たせます。例えば、"a landscape devoid of trees, stretching endlessly under the scorching sun" (焼けつく太陽の下、果てしなく広がる木のない風景) のように使われます。旅行記や自然に関する記述でよく見られます。
使用シーン
学術論文や専門書で、抽象的な概念や理論を厳密に記述する際に用いられます。例えば、社会学の研究で「その政策は有効な対策を欠如している」と客観的に分析する際に使われます。文語的で、感情的な表現は避けられます。
ビジネス文書、特に公式な報告書や契約書などで使用されることがあります。「その計画は詳細な市場調査を欠いている」のように、リスクや欠点を指摘する際に用いられます。日常的な会話よりも、書面でのコミュニケーションで使われる傾向があります。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、やや硬い表現として用いられることがあります。例えば、「その地域は清潔な水を欠いている」のように、深刻な状況を伝える際に使われます。フォーマルな印象を与えるため、親しい間柄の会話には不向きです。
関連語
類義語
物理的に中身がない、または抽象的に内容がない状態を指します。容器、部屋、議論など、具体的なものから抽象的な概念まで幅広く使われます。日常会話で頻繁に使われ、フォーマルな場面でも使用可能です。 【ニュアンスの違い】"devoid"よりも一般的な語彙で、感情的なニュアンスは薄いです。"devoid"はより深刻な欠如や不足を強調する傾向があります。"empty"は単に何かが存在しない状態を指すことが多いです。 【混同しやすい点】"empty"は物理的な空虚さだけでなく、感情的な空虚さも表せるため、文脈によっては"devoid"よりも広い意味を持つことがあります。例えば、「彼の目は空虚だった」は"His eyes were empty"のように表現できますが、"His eyes were devoid of emotion"(彼の目には感情が全くなかった)もまた別の表現です。
- lacking
必要なものや望ましいものが不足している状態を表します。スキル、資源、情報など、何かが足りない状況に使われます。ビジネスや学術的な文脈でよく用いられます。 【ニュアンスの違い】"devoid"よりも不足しているものが具体的に示唆されることが多いです。"devoid"は完全に欠如していることを強調しますが、"lacking"は部分的な不足を示唆することがあります。"lacking"はより客観的な表現です。 【混同しやすい点】"devoid"は名詞の後に直接続きます(例:devoid of hope)が、"lacking"は通常、be動詞の後に形容詞として使われるか、現在分詞として使われます(例:He is lacking experience / Lacking experience, he couldn't get the job)。
何かが存在しない状態を単純に示します。最も一般的な語彙で、日常会話からフォーマルな場面まで幅広く使用されます。 【ニュアンスの違い】"devoid"よりも直接的で感情的なニュアンスは少ないです。"devoid"はより深刻な欠如や不足を強調するのに対し、"without"は単に何かが存在しないことを示します。 【混同しやすい点】"without"は前置詞であり、名詞や名詞句の前に置かれます(例:without hope)。"devoid"は形容詞であり、be動詞の後に置かれるか、名詞の後に続きます(例:He is devoid of hope / a place devoid of life)。
何か大切なものを失った状態、特に感情的な喪失感を表します。文学的な表現で、日常会話ではあまり使われません。 【ニュアンスの違い】"devoid"よりも感情的なニュアンスが強く、喪失感や悲しみを伴う状況に使われます。"devoid"は単に欠如している状態を示すのに対し、"bereft"は喪失の結果としての欠如を強調します。 【混同しやすい点】"bereft"は通常、"bereft of"の形で使用され、失ったものを示します(例:bereft of hope)。"devoid"と同様に、感情的な文脈で使われることが多いですが、より詩的な響きを持ちます。
生活に必要なものを全く持たない、極貧の状態を表します。フォーマルな場面や文学的な文脈で使われ、日常会話ではあまり使われません。 【ニュアンスの違い】"devoid"よりも具体的な物質的な欠如を指すことが多いです。"devoid"は抽象的な概念にも使えますが、"destitute"は主に生活必需品や資源の欠如を指します。また、"destitute"はより悲惨な状況を示唆します。 【混同しやすい点】"destitute"は人に対して使われることが多く、"destitute of"の形で使用され、欠如しているものを示します(例:destitute of hope)。"devoid"は人だけでなく、場所や物事にも使えます。
物理的に空いている状態、または精神的にぼんやりしている状態を表します。部屋、席、または表情など、様々なものに使われます。日常会話でも使われますが、フォーマルな場面でも使用可能です。 【ニュアンスの違い】"devoid"よりも物理的な空き具合を指すことが多いです。"devoid"はより抽象的な概念の欠如を指すことができます。"vacant"は一時的な空きを指すことが多いですが、"devoid"はより本質的な欠如を指します。 【混同しやすい点】"vacant"は主に物理的な空間や場所が空いていることを指しますが、"devoid"は感情や性質などの抽象的な概念が欠けていることを指します。例えば、「空き部屋」は"vacant room"ですが、「希望に満ちていない」は"devoid of hope"です。
派生語
『避ける』という意味の動詞。『void(空の)』から『空にする、無効にする』という意味合いが派生し、『(何かを)空けておく→避ける』というニュアンスにつながる。日常会話からビジネス、学術論文まで幅広く使用される。
『避けられない』という意味の形容詞。『avoid(避ける)』に否定の接頭辞『un-』と形容詞化の接尾辞『-able』が付いた形。特に、ビジネスやニュース記事で、悪い状況や結果について言及する際によく用いられる。
『空(くう)』、『空虚』という意味の名詞および形容詞。法律用語としては『無効』という意味もある。『devoid』の語源であり、『空である』という根本的な概念を共有する。日常会話よりも、ややフォーマルな場面や文書で使用される。
反意語
『満ちている』という意味の形容詞。『devoid(欠けている)』とは正反対の状態を表す。物理的な満腹感から、抽象的な意味での充実感まで幅広く使用される。日常会話で非常に頻繁に使われる基本的な語彙。
- replete
『満ち溢れた』という意味の形容詞。『full』よりもややフォーマルで、特に『~で満たされた』というニュアンスを強調する際に用いられる。『devoid of ~(~を欠いた)』と対比的に、『replete with ~(~で満ち溢れた)』という形で使われることが多い。文学作品や学術的な文章でよく見られる。
『豊富な』、『有り余るほどの』という意味の形容詞。『devoid』が『全くない』という状態を表すのに対し、『abundant』は『有り余るほど存在する』という状態を表す。資源、情報、才能など、様々なものが豊富であることを表す際に用いられる。ビジネスシーンや学術論文でも使用される。
語源
「devoid」は、古フランス語の「voide」(空の、欠けている)に由来します。さらに遡ると、ラテン語の「voidus」(空の、空っぽの)から派生しており、これは「videre」(見る)に関連する語根を持ちます。つまり、元々は「見ることができないほど空っぽ」というニュアンスがあったと考えられます。「de-」は英語の接頭辞として「分離」や「否定」の意味を持ちます。したがって、「devoid」は文字通りには「void(空虚)から分離された」状態、つまり「完全に空っぽである」「~が全く欠けている」という意味合いになります。例えば、「彼の顔からは感情がdevoidだった」というように、何かが完全に欠如している状態を表すのに使われます。日本語で例えるなら、「無」に近い状態をイメージすると理解しやすいでしょう。
暗記法
「devoid」は単なる欠如でなく、喪失感を伴う深い空虚さを意味します。特に「神にdevoid」という表現は、信仰の危機や世俗化の中で、希望や道徳的指針の欠如を象徴。ロマン派文学では産業革命による精神性の喪失を、実存主義では神なき世界の孤独を表しました。感情の欠如を指す場合も否定的で、「愛情にdevoidな人物」は人間性の根源的な欠落を示唆します。西洋文化において、単なる物理的な欠如を超え、精神性、道徳観、人間性の喪失を暗示する重要な言葉なのです。
混同しやすい単語
『devoid』とスペルが似ており、特に『voi』の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすい。発音も似ているが、アクセントの位置が異なる(deVOID vs. aVOID)。『avoid』は『避ける』という意味の動詞であり、『devoid』は『~がない』という意味の形容詞である点が大きく異なる。日本人学習者は、動詞と形容詞の区別を意識し、文脈から判断する必要がある。語源的には、『avoid』は『void(空の)』から離れるという意味合いがあり、『devoid』は『void』を奪われた状態を表す。
スペルが非常に似ており、『devoi』と『devou』の部分が入れ替わったように見えるため、視覚的に混同しやすい。発音も似ているが、『t』の有無が重要。『devout』は『信心深い』という意味の形容詞であり、『devoid』とは意味が全く異なる。日本人学習者は、スペルを正確に記憶し、文脈から判断する必要がある。『devout』は、ラテン語の『votum(誓い)』に由来し、神への誓いを立てるほど信心深いという意味合いを持つ。
『de-』と『di-』という接頭辞が似ているため、スペルで混同しやすい。また、どちらも動詞としても使われるため、文脈によっては意味の誤認も起こりうる。『divide』は『分割する』という意味であり、『devoid』とは意味が異なる。日本人学習者は、接頭辞の意味を理解し、『de-』が否定や除去を表すことが多いことを知っておくと良い。『divide』は、ラテン語の『dividere(分ける)』に由来する。
『devoid』の語幹である『void』そのものも混同しやすい。『void』は名詞(空虚、空間)、形容詞(空の、無効の)、動詞(無効にする)として使われ、意味も多岐にわたる。『devoid』は『void』の状態であること(~がない)を示す形容詞。日本人学習者は、『devoid』が常に形容詞として使われるのに対し、『void』は品詞が複数あることに注意する必要がある。語源的には、ラテン語の『voidus(空の)』に由来する。
スペルの一部が似ており、特に『-vice』と『-void』の部分が視覚的に紛らわしい。発音も母音の部分が似ているため、聞き間違いも起こりうる。『device』は『装置、工夫』という意味の名詞であり、『devoid』とは意味が全く異なる。日本人学習者は、スペルと発音を正確に区別し、文脈から判断する必要がある。『device』は、ラテン語の『dividere(分ける)』に由来し、何かを成し遂げるための手段という意味合いを持つ。
『avoid』の過去形/過去分詞形であり、『devoid』とスペルが非常に似ているため、特に書き言葉で混同しやすい。発音も似ているが、動詞と形容詞の違いがある。『avoided』は『避けられた』という意味であり、『devoid』とは意味が異なる。日本人学習者は、時制と品詞を意識し、文脈から判断する必要がある。また、文法的な構造を理解することで、『avoided』が動詞の一部であることを認識できる。
誤用例
日本語で『ジョーク』という場合、面白い話全般を指すことが多いですが、英語の 'joke' は特定の形式(オチがある短い話など)を指します。そのため、演説全体にユーモアが欠けていることを言いたい場合は、より包括的な 'humor' を使うのが適切です。日本人が『面白い』という言葉を広範に使う傾向が、この誤用につながりやすいと考えられます。
'Politeness' は一般的な礼儀正しさを指しますが、交渉など微妙な状況においては、相手の感情を害さない 'tact'(機転、如才なさ)がより適切です。直接的な表現を避け、相手に配慮する日本の文化では、'politeness' を重視しがちですが、英語では状況に応じてより適切な語を選ぶ必要があります。また、日本語の『慇懃無礼』のような概念を理解していれば、単純な礼儀正しさだけでは不十分な場合があることがわかるでしょう。
'devoid of' は『全く〜がない』という意味合いを強調する表現です。 'the' を使うと特定の情報がない、というニュアンスになり、意図と異なる場合があります。 'any' を用いることで、いかなる種類の機密情報も含まれていない、という完全な欠如を明確に示せます。日本語の『〜がない』という表現を直訳すると、'the' を使いやすいですが、英語では『全くない』というニュアンスを強調するために 'any' など適切な冠詞や限定詞を選ぶ必要があります。
文化的背景
「devoid」は、単に何かが存在しないという事実を超え、本質的な欠如、空虚さ、あるいは喪失感を伴う状態を指し示す言葉として、西洋文化において特別な重みを持って用いられてきました。それは、人間性の欠如、精神性の喪失、あるいは創造性の枯渇といった、より深いレベルでの欠乏を暗示することがあります。
この単語が持つ文化的なニュアンスを理解する上で興味深いのは、それがしばしば「神の不在」という概念と結びつけられてきたことです。特に、信仰の危機や世俗化が進んだ時代において、「神にdevoid(見放された)」という表現は、希望の喪失、道徳的指針の欠如、そして存在そのものの空虚さを表すために用いられてきました。例えば、19世紀のロマン派文学では、産業革命による自然破壊や人間疎外を嘆き、精神性の喪失を「神にdevoidな世界」として描写することがありました。また、実存主義哲学においては、神の存在を前提としない世界における人間の孤独や不安を、「意味にdevoidな存在」として表現しました。
さらに、「devoid」は、感情や共感性の欠如を指す場合にも、強い否定的な意味合いを帯びます。例えば、「愛情にdevoidな人物」という表現は、単に愛情表現が苦手というだけでなく、他者への共感や思いやりといった人間性の根源的な部分が欠けていることを示唆します。このような人物は、しばしば冷酷、非情、自己中心的といった特徴を伴い、社会的な孤立や人間関係の破綻を招くことがあります。文学作品や映画においては、このような「devoid」な人物が、物語の悪役や悲劇の主人公として登場し、人間の心の闇や社会の病理を浮き彫りにすることがあります。
このように、「devoid」は、単なる物理的な欠如を表すだけでなく、精神的な空虚さ、道徳的な欠落、人間性の喪失といった、より深いレベルでの欠乏を暗示する言葉として、西洋文化において重要な役割を果たしてきました。その使用は、単に状況を説明するだけでなく、人間の存在、社会のあり方、そして価値観の変遷に対する深い洞察を促す力を持っていると言えるでしょう。
試験傾向
準1級、1級の長文読解で出題される可能性が高いです。1次試験の語彙問題で、同意語・類義語を選択する形式で問われることもあります。文脈から意味を推測する練習と、'lacking' や 'without' などの類義語を覚えておくと良いでしょう。会話文での使用頻度は低いです。
Part 5(短文穴埋め問題)やPart 7(長文読解問題)で、語彙知識を問う問題として出題される可能性があります。ビジネス関連の文章で、抽象的な内容を説明する際に使われることが多いです。例えば、'The report is devoid of any concrete data.' のように使われます。類義語の 'lacking' や 'empty of' との区別を意識しましょう。
リーディングセクションで、アカデミックな文章の中で頻繁に出題されます。科学、社会科学、歴史などの分野で、抽象的な概念や理論を説明する文脈で使われることが多いです。同意語・反意語の知識だけでなく、文章全体の内容を理解する力が求められます。ライティングセクションで使うこともできますが、やや硬い表現なので、適切な場面で使いましょう。
難関大学の長文読解問題で出題される可能性があります。文脈から意味を推測する問題や、内容一致問題などで問われることが多いです。'be devoid of' の形で使われることが多いので、この形を覚えておくと良いでしょう。類義語の 'lacking' や 'without' との違いを理解しておくことも重要です。