crucial
強勢は最初の音節にあります。/uː/ は日本語の「ウ」よりも長く伸ばし、口を少しすぼめて発音します。/ʃ/ は無声後部歯茎摩擦音で、日本語の「シュ」に近い音ですが、舌の位置が少し異なります。舌先を上の歯茎に近づけ、息を摩擦させて音を出します。/əl/ は弱母音で、ほとんど聞こえないほど短く発音します。全体的に、はっきり発音することを意識しましょう。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
死活的な
何かの成否や存続に直接影響するほど重要なこと。単に重要であるだけでなく、それがなければ物事が成り立たない、というニュアンスを含む。医療、ビジネス、安全保障などの文脈でよく用いられる。
To pass the difficult math test, reviewing all the formulas became absolutely crucial for me.
あの難しい数学のテストに合格するには、すべての公式を見直すことが私にとって死活的に重要でした。
※ この例文は、あなたが難しい試験を前に、焦りながら公式を見直す学生の姿を思い浮かべさせます。その行為が合否を分ける「死活的な」ものだと感じている情景です。学業において、特定の準備や行動が結果に直結する状況で「crucial」はよく使われます。「be crucial for [something/doing something]」の形で、「~にとって死活的に重要である」という意味になります。ここでは「absolutely」で重要性をさらに強調しています。
When building a new website, thorough testing is crucial to avoid any unexpected problems later.
新しいウェブサイトを構築する際、後で予期せぬ問題を避けるためには徹底的なテストが死活的に重要です。
※ この例文は、新しいウェブサイトが完成間近で、もしテストを怠れば後で大きなトラブルに見舞われるかもしれないという緊張感の中で、入念にテストする担当者の姿を描写しています。ビジネスやプロジェクト管理において、特定の工程や準備が成功に不可欠である状況で使われる典型的な例です。「be crucial to [do something]」や「be crucial for [something]」の形をとり、「~するために死活的に重要である」という意味になります。特に「avoid problems(問題を避ける)」のように、悪い結果を防ぐために重要、という文脈でよく使われます。
After the car accident, getting immediate medical help was crucial for the injured driver's recovery.
自動車事故の後、負傷した運転手の回復には、すぐに医療援助を受けることが死活的に重要でした。
※ この例文は、交通事故の現場で、怪我をした人が苦しんでいる情景を思い浮かべさせます。一刻も早く医療の手を差し伸べることが、その人の回復にとってどれほど重要か、という緊迫した状況を表しています。医療、安全、緊急事態など、人の命や健康、安全に関わる重要な判断や行動を表す際に「crucial」は頻繁に用いられます。「be crucial for [someone's recovery/survival/health]」のように、誰かの状態に影響を与える文脈で使われることが多いです。
決定的な
最終的な結果を左右するほど重要なこと。ある行動や出来事が、その後の展開を大きく変えるような状況で使われる。
This last question is crucial to pass the exam.
この最後の問題は、試験に合格するために決定的に重要です。
※ 試験の終盤、合否を分けるかもしれない最後の問題に真剣に取り組む受験生の緊張感が伝わってきます。この文は、学業や目標達成において、ある一点が結果を大きく左右する場面で「crucial」が使われる典型的な例です。「be crucial to + 動詞の原形」で「~するのに決定的に重要」という意味になります。
Teamwork was crucial for our victory in the game.
試合での私たちの勝利には、チームワークが決定的に重要でした。
※ スポーツの試合で、チーム全員が心を一つにして協力し、見事勝利を収めた瞬間を想像してください。その勝利の裏には、チームワークが「決定的な要因」だったという喜びと認識が込められています。プロジェクトや集団での活動で、成功の鍵となる要素を表現する際によく使われる表現です。「be crucial for + 名詞」で「~にとって決定的に重要」という意味になります。
Getting enough sleep every day is crucial for good health.
毎日十分な睡眠をとることは、健康のために決定的に重要です。
※ 健康的な生活を送ろうとしている人が、日々の習慣の中で「十分な睡眠」がどれほど大切かを実感している様子が目に浮かびます。健康、安全、成功など、ある状態を維持・達成するために不可欠な要素を説明する際によく使われる表現です。「Getting enough sleep」のように動名詞を主語にすることで「~すること」が重要だ、と表現できます。
コロケーション
非常に重要な役割
※ 「crucial」は「決定的な、極めて重要な」という意味で、「role」と組み合わさることで、ある物事やプロジェクト、組織において、成功や成否を左右するほど重要な役割を指します。単に"important role"と言うよりも、その影響の大きさを強調するニュアンスがあります。ビジネスシーンや学術論文で頻繁に使われ、例えば「技術革新は企業の競争力においてcrucial roleを果たす」のように使われます。文法的には形容詞 + 名詞の組み合わせです。
決定的な要因
※ "factor"は「要因、要素」という意味で、それが「crucial」であるということは、結果を大きく左右する最も重要な要因であることを示します。例えば、成功の要因を分析する際に「〇〇がcrucial factorだった」のように使います。 "key factor"と似ていますが、"crucial"の方が、それがないと成功が非常に難しいというニュアンスが強くなります。これも形容詞 + 名詞の組み合わせで、ビジネスや科学技術分野でよく見られます。
重大な決断
※ 人生やビジネスにおいて、その後の展開を大きく左右するような非常に重要な決断を指します。この決断の結果によって、成功するか失敗するかが決まるような、重大な岐路に立たされた状況で使われます。例えば、「crucial decisionを迫られる」のように使われます。"important decision"よりも、状況の切迫感や決断の重みが強調されます。形容詞 + 名詞の組み合わせです。
決定的な瞬間、正念場
※ ある出来事やプロセスの成否を決定づける、最も重要な瞬間を指します。スポーツの試合における勝敗が決まる瞬間や、手術の成功を左右する瞬間など、時間的な一点を指すことが多いです。比喩的に、人生の転換期やビジネスの重要な局面などにも使われます。例えば、「crucial momentを迎える」のように使われます。形容詞 + 名詞の組み合わせで、ニュース記事やドキュメンタリーなどでもよく使われます。
(結果的に)非常に重要だと判明する
※ ある行動や要素が、当初はそれほど重要視されていなかったものの、結果的に非常に重要な役割を果たしたことを表します。例えば、「その時の彼の助言が後になってprove crucialだったとわかった」のように使われます。この表現は、過去の出来事を振り返って評価する際に用いられることが多いです。動詞 + 形容詞の組み合わせで、フォーマルな文脈でよく見られます。
成功に不可欠
※ ある要素が成功するために絶対に必要であることを意味します。例えば、「チームワークはプロジェクトのsuccessにとってcrucialだ」のように使われます。"essential to success"と似ていますが、"crucial"は、それがないと成功が非常に難しいというニュアンスをより強く伝えます。前置詞 + 名詞の組み合わせで、目標達成や戦略に関する議論でよく用いられます。
極めて重要な情報
※ 意思決定や問題解決において、その成否を左右するような非常に重要な情報を指します。例えば、捜査における手がかりや、ビジネスにおける市場動向など、状況を大きく変える可能性のある情報に対して使われます。単に"important information"と言うよりも、その情報の重要度、影響力を強調する際に用いられます。形容詞 + 名詞の組み合わせです。
使用シーン
学術論文や研究発表で頻繁に使用されます。「〜という結果は、その後の研究において極めて重要な意味を持つ」のように、研究の重要性や影響力を強調する際に用いられます。また、「〜の理解は、さらなる議論のために不可欠である」のように、議論の前提となる重要な概念を説明する際にも使われます。文語的な表現であり、客観性と正確性が求められる場面で適しています。
ビジネスシーンでは、プロジェクトの成功や意思決定の重要性を強調する際に使用されます。「〜の戦略は、市場での競争優位性を確立するために非常に重要である」のように、戦略の重要性を説明する際に用いられます。また、「〜の合意は、今後の事業展開にとって不可欠である」のように、契約や提携の重要性を強調する際にも使われます。プレゼンテーションや報告書など、フォーマルな文脈で使われることが多いです。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで見かけることがあります。「〜の証拠は、事件の真相を解明する上で極めて重要である」のように、事件や事故の報道で、証拠の重要性を強調する際に用いられます。また、「〜の決断は、彼の人生を大きく左右するだろう」のように、人生における重要な決断を語る際にも使われることがあります。やや硬い印象を与えるため、日常会話では別の表現が好まれる傾向があります。
関連語
類義語
事態の成否を分けるような、非常に重要な状態を表す。医療や工学分野で、危機的な状況や限界点を指す場合もある。また、分析的・批判的な視点を示す形容詞としても使われる。 【ニュアンスの違い】"crucial"よりも緊急度や重大性が高いニュアンスを含むことが多い。差し迫った危機的状況や、判断を誤ると取り返しのつかない結果になるような状況で用いられる。感情的な意味合いは薄い。 【混同しやすい点】日本語の『クリティカル』という言葉が、ビジネスやIT用語として定着しているため、本来の『危機的』という意味合いが薄れることがある。また、名詞の"criticism"(批判)と混同しやすい。
本質的で、欠かすことのできない要素を表す。必要不可欠な物事や、基本的な性質を指す場合に使われる。ビジネスシーンや日常生活で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】"crucial"が事態の成否に直接関わる重要性を示すのに対し、"essential"は物事の存在や機能を維持するために不可欠であることを示す。代替が難しい要素を指すことが多い。 【混同しやすい点】"essential"は抽象的な概念や一般論に対して用いられることが多い。具体的な状況における緊急性や重大性を表す場合には、"crucial"の方が適切。
生命維持に不可欠な、あるいは活動の根源となるような重要性を示す。生物学的な意味合いが強く、生命や健康に関わる事柄に使われることが多い。比喩的に、組織や計画の成功に不可欠な要素を指す場合もある。 【ニュアンスの違い】"crucial"よりも、より根源的で生命に関わる重要性を示す。組織やプロジェクトにおいては、存続を左右するような要素を指すことが多い。感情的なニュアンスを含む場合もある。 【混同しやすい点】"vital"は、生命や健康に関連する文脈で使用されることが多い。一般的な重要性を示す場合には、"crucial"や"important"の方が自然。
価値が高い、または大きな影響力を持つことを示す一般的な語。幅広い文脈で使用され、重要性の度合いは文脈によって異なる。日常会話からビジネス、学術分野まで幅広く使われる。 【ニュアンスの違い】"crucial"が事態の成否を左右するような重要性を示すのに対し、"important"はより広い範囲の重要性を示す。重要性の度合いは文脈によって異なり、"crucial"よりも弱い意味合いで使われることが多い。 【混同しやすい点】"important"は非常に一般的な語であるため、具体的な重要性の種類や度合いを表現するためには、他の語と組み合わせて使う必要がある。例えば、"highly important"や"extremely important"など。
無視できないほど重要であること、または意味があることを示す。統計学においては、偶然では起こりえない有意な差を示す場合に使われる。また、象徴的な意味合いを持つ場合もある。 【ニュアンスの違い】"crucial"が事態の成否に直接関わる重要性を示すのに対し、"significant"はより客観的な重要性や影響力を示す。統計的な有意性や、歴史的な意義などを示す場合に使われる。 【混同しやすい点】"significant"は、主観的な価値判断よりも、客観的なデータや事実に基づいて重要性を示す場合に使われることが多い。個人的な感情や価値観に基づく重要性を示す場合には、"crucial"や"important"の方が適切。
物事の方向転換や、決定的な影響を与えることを示す。歴史的な出来事や、プロジェクトの重要な局面を指す場合に使われる。比喩的に、人生の転換点となるような出来事を指す場合もある。 【ニュアンスの違い】"crucial"が事態の成否を左右するような重要性を示すのに対し、"pivotal"は方向転換や転換点となるような重要性を示す。過去から未来への流れを変えるような、決定的な出来事を指すことが多い。 【混同しやすい点】"pivotal"は、過去の出来事が現在に大きな影響を与えていることを強調する場合に使われる。単に重要であることを示す場合には、"crucial"や"important"の方が適切。
派生語
- crux
『最も重要な点』『核心』を意味する名詞。『crucial』の語源であるラテン語の『crux(十字架)』に由来し、比喩的に『苦難』や『試練』の中心を指す。そこから転じて『問題の核心』という意味で使用される。日常会話よりも、問題解決や議論の文脈で使われることが多い。
- cruciate
『十字形の』という意味の形容詞。解剖学で『十字靭帯』(cruciate ligament)のように、交差する構造を指す専門用語として用いられる。日常会話での使用は稀だが、『crucial』の語源である『十字』のイメージを直接的に伝える。
- excruciating
『耐え難いほど苦痛な』という意味の形容詞。接頭辞『ex-(外へ)』が付き、『十字架にかけられる苦痛から解放されない』というイメージから、極度の苦痛を表す。医学的な文脈や、比喩的に精神的な苦痛を表現する際に用いられる。日常会話でも感情を強調する際に使われる。
反意語
接頭辞『in-(否定)』と『significant(重要な)』が組み合わさり、『重要でない』『取るに足らない』という意味になる。『crucial』が『決定的に重要』であるのに対し、重要度の低い事柄を指す。日常会話、ビジネス、学術など幅広い文脈で使用される。
『ささいな』『取るに足りない』という意味の形容詞。『crucial』が本質的な重要性を指すのに対し、『trivial』は表面的な、重要でない事柄を指す。日常会話や、問題の重要度を評価する際に使われる。しばしば『crucial』な問題との対比で用いられる。
接頭辞『un-(否定)』と『important(重要な)』が組み合わさり、『重要でない』という意味になる。『crucial』が状況を左右するほど重要であるのに対し、『unimportant』は影響力を持たない。日常会話からビジネスまで、幅広い場面で使用される。
語源
"crucial"は、もともと「十字」を意味するラテン語の"crux"(属格は"crucis")に由来します。この"crux"は、古代ローマにおいて磔刑の道具である「十字架」を指し、転じて「苦難」「試練」といった意味合いも持つようになりました。さらに、比喩的に「最も重要な点」「決定的な局面」という意味に発展しました。英語の"crucial"は、この「決定的な局面」という意味を受け継ぎ、「死活的な」「決定的な」という意味で用いられるようになりました。日本語で例えるなら、将棋の「王手」や囲碁の「ダメ詰め」のように、その一手で勝敗が決まるような状況を想像すると、"crucial"が持つ重要性が理解しやすいでしょう。
暗記法
「crucial」は、運命の岐路を示す言葉。中世の十字架裁判では、神意を示す「十字架(crux)」に触れ、真実を誓いました。偽証は神罰を招くと信じられ、十字架は神の意志を代弁する「決定的な」存在でした。シェイクスピアのハムレットも「crucial」な決断に迫られ、現代劇でも主人公の運命を変えるターニングポイントとして描かれます。ビジネスや政治でも、その後の展開を左右する「運命の分かれ道」を意味する言葉として使われています。
混同しやすい単語
『crucial』と『critical』は、スペルが似ており、意味も一部重なるため混同しやすいです。『critical』は『批判的な』という意味の他に、『重大な』『危機的な』という意味もあり、『crucial』の『非常に重要な』という意味と重なります。しかし、『critical』はより緊急性や重大な局面を表すニュアンスが強いことが多く、注意が必要です。発音も似ていますが、アクセントの位置が異なるため意識すると区別できます。cru-CI-al, CRI-ti-cal。
『crucial』と『crusade』は、語頭の『cru-』が共通しているため、スペルを見たときに混同しやすいです。『crusade』は『十字軍』または『(主義・主張のための)運動』という意味で、歴史的な背景を持つ単語です。意味が全く異なるため、文脈から判断する必要があります。発音も異なります (cru-SAID) 。
『crucial』と『crude』は、スペルが似ており、特に母音字の並びが似ているため、視覚的に混同しやすいです。『crude』は『粗末な』『未精製の』という意味で、原油(crude oil)などでよく使われます。発音も似ていますが、最後の母音の音が異なります。cru-cial / kruːʃ(ə)l /、crude / kruːd /。
『crucial』と『cruise』は、スペルの一部が似ており、特に『cru』の部分が共通しているため、混同されることがあります。『cruise』は『巡航』『船旅』という意味で、旅行に関連する文脈でよく使われます。発音も異なりますが、最初の音節が似ているため、注意が必要です。語源的には、オランダ語の『kruisen(十字を切る)』に由来し、船が色々な方向に進む様子を表しています。
『crucial』と『curious』は、語頭の音が似ているため、発音を聞き間違えることがあります。また、スペルも先頭の数文字が似ているため、視覚的にも混同しやすいです。『curious』は『好奇心旺盛な』という意味で、人の性格や興味を表す場合に使われます。ラテン語の『cura(注意、関心)』が語源で、注意を向ける様子を表します。発音は異なりますが、早口で話されると聞き分けにくい場合があります。
『crucial』と『crucify』は、語頭の『cru-』が共通しているため、スペルを見たときに混同しやすいです。『crucify』は『磔にする』という意味で、キリスト教の文脈でよく知られています。比喩的に『ひどく苦しめる』という意味でも使われます。発音も似ていますが、アクセントの位置が異なるため意識すると区別できます。cru-CI-al, CRU-ci-fy。
誤用例
「try hard」は努力すること自体を指しますが、「crucial」は結果を左右する重要な要素に対して使われます。日本人は「一生懸命頑張る」ことの重要性を強調しがちですが、英語では、単に努力するだけでなく、困難を乗り越えて継続すること(persevere)が重要であることを示唆する方が、「crucial」のニュアンスに合致します。日本語の『頑張る』という言葉に安易に「try hard」を当てはめようとする癖が原因です。
「crucial」は重要であることを示しますが、しばしば客観的な状況や事実に対して使われます。感情の理解は主観的な要素が強く、「crucial」よりも「imperative(絶対的に必要)」のような、より強い必要性や道徳的な重要性を示す言葉が適切です。日本人は相手に感情を伝える際に、相手の理解を「重要」と捉えがちですが、英語では、感情の理解は単なる重要性だけでなく、人間関係における必要不可欠な要素であることを強調する傾向があります。
「crucial」はある特定の状況や決定において重要な点を指しますが、「fundamental」はより根源的で普遍的な原則を指します。文化の尊重は特定の状況だけでなく、社会全体の基盤となるべき原則であるため、「fundamental」がより適切です。日本人は、異文化理解を特定の状況における「重要な要素」として捉えがちですが、英語では、異文化理解は社会全体の基盤となるべき「根本的な原則」として捉える傾向があります。日本語の『重要』という言葉が、状況によって「crucial」と「fundamental」の両方に訳せてしまうことが誤用の原因です。
文化的背景
「crucial」は、決定的な瞬間や、その後の展開を大きく左右するような、運命の分かれ道を象徴する言葉です。中世の十字架裁判(ordeal)において、神意を示す「十字架」(crux)に手を触れ、真実を誓う行為に由来し、重大な決断や試練における神聖な重みを帯びています。
中世ヨーロッパにおいて、裁判は必ずしも証拠に基づいて行われたわけではありませんでした。時に、被告は「神判」と呼ばれる儀式にかけられ、その結果によって有罪か無罪かが決定されました。その中でも、十字架裁判は、被告が聖職者の前で十字架に触れ、自らの潔白を誓うというものでした。もし偽証すれば、神の怒りによってただちに罰が下されると信じられていました。この儀式における十字架(crux)は、単なる宗教的象徴ではなく、神の意志を代弁する、まさに「決定的な」存在だったのです。「crucial」という言葉は、こうした背景から、単なる重要性だけでなく、運命を左右するほどの重大さを意味するようになりました。
シェイクスピアの戯曲にも、「crucial」のニュアンスを彷彿とさせる場面が見られます。例えば、『ハムレット』における「To be, or not to be, that is the question」という有名な台詞は、まさにハムレットが自身の運命を左右する「crucial」な決断を迫られている状況を表しています。この言葉は、単なる哲学的思索ではなく、行動を起こすか否かという、彼の人生における「十字路」を象徴しているのです。また、現代の映画や小説においても、「crucial」な瞬間は、主人公の人生を大きく変えるターニングポイントとして描かれることが多く、観客や読者の感情を揺さぶる要素となっています。
現代社会においても、「crucial」は、ビジネス、政治、医療など、様々な分野で用いられます。例えば、新薬の開発における臨床試験の結果は、「crucial」なデータとなり、その後の承認や販売戦略を大きく左右します。また、選挙における特定の地域の動向は、「crucial」な要素となり、全体の勝敗を決定づけることがあります。このように、「crucial」は、単なる重要性だけでなく、その後の展開を大きく左右するような、まさに「運命の分かれ道」を意味する言葉として、私たちの社会に深く根付いているのです。
試験傾向
- 出題形式: 語彙問題、長文読解
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。2級でも長文読解で出現の可能性あり
- 文脈・例題の特徴: アカデミックな話題、社会問題、環境問題など硬めのテーマで使われることが多い
- 学習者への注意点・アドバイス: 「重要な」「決定的な」という意味を覚え、synonymousな単語(vital, essential, critical)と区別できるようにする。形容詞として使われることが多いが、名詞形(crux)も覚えておくと良い。
- 出題形式: Part 5 (短文穴埋め), Part 7 (長文読解)
- 頻度と級・パート: Part 5, Part 7で頻出
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンでのプロジェクト、契約、市場調査などの文脈で使われることが多い
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーンで「不可欠な」という意味合いで使われることが多い。類義語 (important, significant) とのニュアンスの違いを理解する。形容詞として使われることがほとんど。
- 出題形式: リーディング
- 頻度と級・パート: リーディングセクションで頻出
- 文脈・例題の特徴: アカデミックな論文や記事で、科学、歴史、社会学などの分野で使われることが多い
- 学習者への注意点・アドバイス: アカデミックな文脈で「極めて重要な」という意味で使われる。文脈から意味を推測する練習をする。類義語(critical, essential)との使い分けを意識する。
- 出題形式: 長文読解、和訳問題、内容説明問題
- 頻度と級・パート: 難関大学の入試で頻出
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、科学技術、歴史など幅広いテーマで使われる
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈の中で正確な意味を把握する必要がある。類義語との比較だけでなく、反意語(insignificant)も覚えておくと理解が深まる。単語単体で覚えるのではなく、例文の中で覚えるようにする。