cruise
母音 /uː/ は日本語の「ウ」よりも長く伸ばし、口をすぼめて発音します。日本語の「クルーズ」は平板に発音されがちですが、英語では強く発音する箇所(強勢)はありません。全体を同じくらいの強さで発音するとより自然になります。
巡航する
船や飛行機が、目的地に向かって一定の速度で進むこと。転じて、車でゆっくりと街を流す、といった意味合いでも使われる。楽しむことが目的であることが多い。
We watched the big ship cruise smoothly across the calm blue sea.
私たちは、大きな船が穏やかな青い海を滑らかに進んでいくのを見ました。
※ この例文は、豪華客船がゆったりと海を進む、リラックスした旅の情景を描いています。「cruise」は、船が目的地に向かってゆっくりと安定して進む様子を表現するのに最も典型的な単語の一つです。ここでは「watched ... cruise」で「〜が巡航するのを見た」というように使われています。
On weekends, we often cruise along the quiet country roads, feeling relaxed.
週末には、私たちはよく静かな田舎道をドライブし、リラックスした気分になります。
※ この例文は、車で景色を楽しみながらのんびりと移動する様子を表しています。目的地に急ぐのではなく、ゆったりと運転するイメージです。車だけでなく、バイクや自転車でリラックスして移動する際にも「cruise」を使うことができます。ここでは「cruise along ~」で「〜に沿ってゆっくり進む」というニュアンスが加わっています。
The airplane began to cruise high above the clouds, making us feel safe.
飛行機は雲の上高く巡航し始め、私たちを安全な気分にさせました。
※ 飛行機が離陸後、安定した高度で一定速度で飛ぶ状態を「巡航飛行」と言いますが、この「巡航する」がまさに「cruise」です。この例文は、機体が安定し、乗客が安心感を覚える情景を描いています。乗り物全般、特に長距離を安定して移動する際にこの単語がよく使われます。
船旅
観光や娯楽を目的とした船の旅。豪華客船での旅行をイメージするとわかりやすい。
My parents are planning a wonderful cruise around the Caribbean islands next year.
私の両親は来年、カリブ海の島々を巡る素晴らしい船旅を計画しています。
※ この例文は、誰かが具体的な船旅の計画を立てている、ワクワクするような状況を描写しています。「cruise around...」で「〜を巡る船旅」という典型的な表現です。豪華な船旅のパンフレットを眺めながら、両親が楽しそうに話している情景が目に浮かびますね。
After a week-long cruise, she felt completely refreshed and happy.
1週間の船旅の後、彼女はすっかり気分がリフレッシュされて幸せな気持ちでした。
※ ここでは、船旅を終えた後の満足感やリフレッシュされた気持ちを表現しています。船の上でのんびり過ごし、美味しい食事を楽しみ、美しい景色を見た後の、心と体の変化を感じさせる場面です。動詞 'felt' (感じる) が、彼女の感情を伝えています。
Have you ever thought about taking a short river cruise in Europe?
ヨーロッパで短い川の船旅をすることについて、考えたことはありますか?
※ この例文は、相手に船旅のアイデアを提案したり、経験について尋ねたりする場面で使えます。海だけでなく、「river cruise」(川の船旅)という具体的な種類を挙げることで、より具体的な旅のイメージが湧きます。「Have you ever thought about...?」は「〜について考えたことはありますか?」と相手に意見を求める際に非常によく使う表現です。
難なくこなす
困難な状況や課題を、容易に、そしてスムーズに乗り越えること。比喩的な意味合いが強く、ビジネスや学業の文脈で使われることが多い。
She prepared well, so she could cruise through her important presentation.
彼女はしっかり準備したので、大事なプレゼンテーションを難なくこなすことができました。
※ この例文では、入念な準備のおかげで、緊張するはずのプレゼンテーションを「自信を持って、スムーズに、まるで水面を滑るように」こなす様子が描かれています。誰にとっても大変なはずのことが、準備によって楽々と行われた、という状況を伝えます。このように、何かを滞りなく、楽にこなす状況で「cruise through ~」がよく使われます。
Even in the final mile, the experienced runner seemed to cruise effortlessly to the finish line.
最後の1マイルでも、そのベテランランナーは楽々とゴールラインまで走っているように見えました。
※ マラソンの終盤は普通とてもきついものですが、この例文では「経験豊富なランナーが、まるで疲れていないかのように、軽やかに、そしてスムーズに」走っていく様子が目に浮かびます。「effortlessly(努力なく)」という言葉が「cruise」の持つ「難なくこなす」というニュアンスをさらに強調しています。スポーツ選手が困難な状況でも涼しい顔で突き進む場面でよく使われる表現です。
My sister studied hard for weeks, so she was able to cruise through her difficult final exams.
妹は何週間も熱心に勉強したので、難しい期末試験を難なく突破することができました。
※ ここでは、「難しい期末試験」という、多くの人が苦戦する状況を「妹が楽々と、滞りなく」クリアした様子が描かれています。これは、彼女の努力(studied hard)が報われ、試験が苦にならなかった、というポジティブな感情と成果を示します。「試験を難なくこなす」は、学生生活でよくある、共感しやすいシチュエーションです。このように、努力の甲斐あって物事がスムーズに進んだ時に「cruise through」が使えます。
コロケーション
巡航ミサイル
※ 『cruise』が『巡航する』という意味を持つことから、目標地点まで自力で長距離を飛行するミサイルを指します。軍事用語として頻繁に使われ、ニュースやドキュメンタリーなどでも見られます。通常のミサイルと異なり、大気圏内を比較的低空で飛行し、GPSなどで誘導されるのが特徴です。比喩的な意味合いはほとんどなく、文字通りの意味で使用されます。
順調に進む、楽々と進む
※ 文字通り『巡航する』様子から、比喩的に『物事が滞りなく進んでいる』状態を表します。特に、努力をあまり必要とせずに、スムーズに進んでいるニュアンスを含みます。例えば、プロジェクトが計画通りに進んでいる場合や、試験勉強が予想以上に楽に進んでいる場合などに使われます。口語的な表現で、ビジネスシーンではややカジュアルに聞こえることもあります。類語としては『sail through』などが挙げられます。
クルーズ旅行に行く
※ 最も一般的なコロケーションの一つで、文字通り『クルーズ旅行に行く』という意味です。休暇の過ごし方として、豪華客船での旅行を指し、様々なエンターテイメントや食事、寄港地観光などを楽しむことができます。旅行代理店の広告や旅行記などで頻繁に見られます。類似表現として『take a cruise』もありますが、意味はほぼ同じです。
クルーズコントロール(定速走行装置)
※ 自動車の機能の一つで、アクセルを踏み続けなくても一定速度で走行できる装置を指します。『cruise』が『一定速度で走る』という意味を持つことから、この名前が付けられました。運転中の疲労軽減や燃費向上に役立ちます。現代の自動車には広く搭載されており、自動車関連の記事やカタログなどでよく見られます。比喩的に『自動的に物事が進む』という意味で使われることもあります。
(俗語)(特にゲイの男性が)相手を探してうろつく
※ ややスラング的な表現で、特にゲイの男性が性的パートナーを探して公共の場(バー、公園、インターネットなど)をうろつくことを意味します。この用法は、相手を『探して回る』という『cruise』の原義から派生しています。フォーマルな場面では不適切であり、使用には注意が必要です。LGBTQ+関連の文脈や、特定のサブカルチャーの中で使われることが多いです。
ゆったりとしたクルーズ
※ 『leisurely』は『のんびりとした』『ゆったりとした』という意味で、『cruise』にかかることで、時間に追われることなく、リラックスしてクルーズ旅行を楽しむ様子を表します。旅行会社のパンフレットや広告、旅行記などでよく見られます。豪華な客船での優雅な時間を強調する際に用いられることが多いです。類似表現として『relaxing cruise』などがあります。
自動操縦で、何も考えずに
※ 『autopilot』は航空機の自動操縦装置のことですが、『cruise control』と同様に比喩的に使われ、『何も考えずに、または努力せずに物事を進める』という意味合いを持ちます。例えば、「仕事がルーチン化して、まるで自動操縦のようだ」というように使われます。日常会話やビジネスシーンでも使用されますが、状況によってはネガティブな意味合い(退屈、停滞など)を含むこともあります。
使用シーン
学術論文では、データや傾向が安定的に推移する様子を「cruise」で表現することがあります。例えば、経済学の研究で「インフレ率は過去5年間、安定的に推移した(The inflation rate cruised steadily for the past five years.)」のように用いられます。また、心理学の研究で、ある実験参加者のグループが特定のタスクを「難なくこなした(The group cruised through the task.)」と表現することも考えられます。
ビジネスシーンでは、プロジェクトが計画通り順調に進んでいる状況を報告する際に「cruise」が使われることがあります。例えば、「プロジェクトは現在、計画通りに進んでいます(The project is currently cruising along as planned.)」のように報告書やメールで使用されます。また、個人のキャリアについて「昇進街道を順調に進んでいる(He is cruising towards promotion.)」といった使われ方も稀に見られます。
日常生活では、休暇で「豪華客船の旅(cruise)」に出かける、という文脈でよく使われます。「来月、カリブ海クルーズに行くんだ(I'm going on a Caribbean cruise next month.)」のように、旅行の話題で頻繁に登場します。また、運転中に高速道路を「巡航する(cruising)」様子を表現する際にも使われます。「高速道路を時速100キロで巡航していた(I was cruising down the highway at 100 kilometers per hour.)」のように使われます。
関連語
類義語
『帆走する』『航海する』という意味で、船が水上を進む一般的な行為を指す。趣味やレジャーとしての航海、または船の移動手段としての航海を指すことが多い。日常会話、文学、歴史的な文脈で使われる。 【ニュアンスの違い】『cruise』が娯楽や観光目的の航海を指すのに対し、『sail』はより広い意味を持ち、必ずしも娯楽目的とは限らない。また、『sail』は帆船による航海を連想させることがある。 【混同しやすい点】『sail』は名詞として『帆』という意味も持つため、文脈によって意味を判断する必要がある。また、『cruise』は豪華客船での旅行を連想させるが、『sail』はより小型の船やヨットでの航海をイメージさせやすい。
『漂流する』『漂う』という意味で、意図的な操作なしに水面や空中に浮かんでいる状態を表す。物理的な漂流だけでなく、比喩的に目的や方向性なくさまよう様子も表す。日常会話、文学、詩的な表現で用いられる。 【ニュアンスの違い】『cruise』が目的地に向かって航行するのに対し、『drift』は意図的な方向性がなく、流れに身を任せる状態を表す。受動的なニュアンスが強い。 【混同しやすい点】『drift』は必ずしも船に関連するとは限らず、葉っぱが風に吹かれて漂う様子や、人が考え事をしながらぼんやりしている様子など、幅広い状況で使用される。
『航海』『船旅』という意味で、特に長距離または重要な目的を持つ航海を指す。探検、貿易、研究などを目的とした航海に使われることが多い。歴史、地理、冒険に関する文脈でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『cruise』が娯楽的な要素を含む航海を指すのに対し、『voyage』はより真剣で困難な航海を連想させる。長期にわたる航海や、未知の場所への探検といったニュアンスが含まれる。 【混同しやすい点】『voyage』は名詞としても動詞としても使用できるが、日常会話での使用頻度は『cruise』よりも低い。また、『voyage』はしばしば歴史的な文脈や文学作品で用いられるため、やや古風な印象を与えることがある。
『航行する』『操縦する』という意味で、特に困難な状況や複雑なルートを乗り越えて進むことを強調する。海図やGPSなどの道具を使って正確な位置を把握し、目的地に到達する行為を指す。ビジネス、技術、航空などの分野でも使用される。 【ニュアンスの違い】『cruise』が比較的容易な航海を指すのに対し、『navigate』は障害を乗り越えながら進むニュアンスが強い。困難な状況下での熟練した技術や知識を必要とする。 【混同しやすい点】『navigate』は船だけでなく、飛行機や車、さらには抽象的な意味で人生やキャリアの進路を切り開くことにも使用される。自動詞としても他動詞としても使用可能。
『沿岸を航行する』という意味で、陸地の近くをゆっくりと進むことを指す。主に海岸線に沿って移動する状況を表し、景色を楽しんだり、特定の場所を訪れたりする目的が含まれることが多い。日常会話や旅行に関する文脈で使用される。 【ニュアンスの違い】『cruise』と同様に娯楽的な要素を含むが、『coast』はより陸地に近い場所を航行することに焦点が当てられる。また、自転車などが惰性で進むことも意味する。 【混同しやすい点】『coast』は名詞として『海岸』という意味も持つため、文脈によって意味を判断する必要がある。動詞として使用される場合、必ずしも大型の船を指すとは限らず、小型のボートやヨットにも使用できる。
派生語
- cruiser
『巡洋艦』または『遊覧船』を意味する名詞。『cruise』する船、つまり『巡航する』という行為を行うものを指す。軍事または観光の文脈で使われる。単に『cruise』という行為を行う船だけでなく、特定の目的のために設計された船を指す点に注意。
- cruising
『巡航』という行為そのものを指す名詞または動名詞。動詞『cruise』の現在分詞形から派生し、継続的な移動や探索のニュアンスを含む。日常会話では、特に目的もなくぶらぶらすること(例:『cruising the mall』)を指す場合もある。
- crusade
元々は『十字軍』を意味する名詞だが、転じて『(主義・目的のための)運動』や『聖戦』といった意味合いを持つ。比喩的に、特定の目標達成のために情熱的に活動することを指す。語源的には『十字(cross)』に関連し、『cruise』とは直接的な語源関係はないが、中世の遠征というイメージから意味が派生した。
反意語
『滞在する』という意味の動詞。『cruise』が移動を伴うのに対し、『stay』は特定の場所に留まることを意味する。旅行の文脈では、クルーズ旅行とホテル滞在は対照的な選択肢となる。比喩的には、変化を求める『cruise』に対し、現状維持を意味することも。
『停止する』という意味の動詞。『cruise』が一定の速度で進むことを意味するのに対し、『halt』は完全に動きを止めることを指す。ビジネスや交通の文脈で、計画や進行が中断される状況を表現する際に用いられる。
『急ぐ』という意味の動詞。『cruise』がゆったりとしたペースで移動するのに対し、『rush』は急いで目的地に向かうことを意味する。時間的な余裕の有無が対照的な状況を生み出す。日常会話やビジネスシーンで、緊急性を伴う行動を表す際に使用される。
語源
"cruise」は、オランダ語の「kruisen」(十字に交差する、巡航する)に由来します。これはさらに、ラテン語の「crux」(十字架)から派生しています。元々は船が様々な方向へ「十字」を描くように航行することから「巡航する」という意味合いが生まれました。英語に取り入れられた当初も、海をあちこち航海することを指していましたが、次第に特定の目的地を持たず、楽しみや探検のために船旅をすることを意味するようになりました。日本語でも「クルーズ旅行」という言葉があるように、ゆったりとした船旅のイメージが定着しています。つまり、「cruise」の語源には、十字架という原点から、交差する航路、そして気ままな船旅へと意味が発展してきた物語が隠されているのです。
暗記法
「cruise」は豪華な船旅の代名詞。19世紀、富裕層が「動く宮殿」で社交や贅沢を楽しみ、富と地位の象徴となりました。タイタニック号の悲劇を経て、伝説的な響きも内包。現代ではリゾートクルーズから秘境探検まで多様化し、趣味のコミュニティを育む場にも。出会い系サイトでの相手探しを指すスラングにもなり、時代と共に意味を変化させながら、人々の憧れや欲望を映し出す言葉として、今も想像力を刺激し続けています。
混同しやすい単語
発音が非常に似ており、特に語尾の 'z' の有無を聞き間違えやすい。スペルも 'c' と 'b' の違いだけなので、注意が必要。『bruise』は『打撲傷』という意味の名詞、または『打撲傷をつける』という意味の動詞であり、意味も異なる。
発音がほぼ同じであり、複数形である点も混同を招きやすい。『crews』は『(船などの)乗組員』という意味の名詞であり、意味も文脈も異なる。cruise が単数形の動詞・名詞として使われるのに対し、crews は複数形の名詞である点に注意。
発音が似ており、特に母音部分が曖昧になりやすい。スペルも 'rui' と 'ur' の違いのみで、視覚的にも混同しやすい。『curse』は『呪い』という意味の名詞、または『呪う』という意味の動詞であり、意味が全く異なる。cruise は楽しい旅行を意味するのに対し、curse は不運を意味するため、文脈で判断する必要がある。
発音の最初の部分が似ており、特に /kr/ の音が共通しているため混同しやすい。スペルも 'cru' の部分が共通している。『crude』は『粗野な』『未精製の』という意味の形容詞であり、意味が全く異なる。cruise は旅行や航海を意味するのに対し、crude は品質が低いことを意味するため、文脈で判断する必要がある。
母音の発音(/uː/)が似ているため、発音を聞き間違えやすい。しかし、綴りは大きく異なる。『choose』は『選ぶ』という意味の動詞であり、cruise とは品詞も意味も異なる。過去形は chose, 過去分詞は chosen と不規則変化するため、注意が必要。
最初の 'cru' の部分が共通しているため、スペルを見たときに混同しやすい。発音も最初の部分は似ている。『crux』は『最も重要な点』『核心』という意味の名詞であり、意味が全く異なる。問題の核心を指す場合などに用いられるため、文脈で判断する必要がある。
誤用例
日本人が『cruise』を『(楽に)進む』という意味で捉え、契約書のような複雑な内容の確認に使うのは不適切です。本来『cruise』は、文字通り『クルーズ旅行』のように、ゆったりと快適に進むニュアンスがあります。契約書の内容確認のように、急ぎ足でざっと目を通す場合は『skim』が適切です。日本語の『流し読み』を直訳しようとして、語感がズレてしまう典型例です。
『cruise』を『(努力せずに)楽に進む』という意味で使うと、ややネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。『cruise』は本来、積極的な推進力があり、コントロールされた状態での進行を意味します。一方、努力をせずに現状維持を意味するなら『coast』がより適切です。日本語の『成り行き任せ』や『現状維持』のようなニュアンスを表現したい場合、安易に『cruise』を使うと、意図しない誤解を招くことがあります。
選挙での勝利を表現する際、確かに『cruise』も使えなくはないですが、より一般的で自然なのは『sail』です。『cruise』は『楽勝』のようなニュアンスを強く含み、場合によっては相手への配慮に欠ける印象を与える可能性があります。『sail』はより中立的で、スムーズな勝利を意味します。政治的な文脈では、言葉の選び方一つで印象が大きく変わるため、注意が必要です。日本語の『圧勝』をそのまま英語にしようとすると、語感のズレが生じやすいです。
文化的背景
「cruise」という言葉は、単なる船旅を超え、優雅さ、気ままさ、そして時には人生の探求を象徴します。豪華客船でのクルーズは、日常からの逃避と贅沢な体験を求める人々の憧れであり、映画や文学作品にもそのイメージが色濃く反映されています。
19世紀後半、産業革命の進展とともに、富裕層の間で余暇を楽しむための豪華な船旅が流行しました。これは単なる移動手段ではなく、社交の場であり、贅沢な食事やエンターテイメントを楽しむ機会でした。豪華客船は、当時の技術の粋を集めたものであり、その壮麗さは「動く宮殿」とも称されました。この時代から、「cruise」は富とステータスを象徴する言葉として、人々の心に深く刻まれるようになったのです。タイタニック号の悲劇は、豪華クルーズの華やかさの裏に潜む危険を浮き彫りにしましたが、そのイメージは失われることなく、むしろ伝説として語り継がれています。
現代において、「cruise」はより多様な意味合いを持つようになりました。カリブ海や地中海を巡るリゾートクルーズは、手軽に非日常を味わえる旅行として人気を集めています。また、アラスカや南極といった秘境を探検するアドベンチャークルーズは、冒険心と知的好奇心を満たす旅として注目されています。近年では、テーマクルーズも増加しており、音楽、アート、食など、特定のテーマに特化したクルーズが、趣味を共有する人々のコミュニティを形成する場となっています。さらに、「cruising」は、インターネットスラングとして、出会い系サイトなどで相手を探す行為を指すこともあり、その意味は時代とともに変化しています。
このように、「cruise」は、歴史的な背景、社会的な変化、そして人々の欲望や憧れを反映した言葉として、多様な意味合いを持ち続けています。単なる船旅だけでなく、人生の航海、自由な時間、贅沢な体験、そして出会いを求める心の表れとして、「cruise」という言葉は、これからも人々の想像力を刺激し続けるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、語彙問題、リスニング(会話形式)
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で出題頻度が高い。2級でも長文読解で登場する可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 旅行、観光、エンターテイメント関連の長文や、日常会話で「(物事が)順調に進む」という意味で使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞(クルーズ旅行)、動詞(巡航する、順調に進む)の両方の意味を理解しておくこと。特に動詞の自動詞/他動詞の用法に注意。関連語の'cruiser'(巡洋艦、遊覧船)も覚えておくと良い。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)
- 頻度と級・パート: Part 7で比較的頻繁に出題される。Part 5では語彙問題としてたまに出題。
- 文脈・例題の特徴: 主にビジネスシーンでの出張や、観光に関連する記事で登場。船旅だけでなく、「(タクシーなどが)ゆっくり走る」という意味で使われることもある。
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネス文書における用法を把握しておくこと。文脈から意味を推測する練習を重ねる。広告やツアーに関する文章での登場が多い。
- 出題形式: リーディング
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で稀に出題される。
- 文脈・例題の特徴: 海洋学、地理学などの学術的な文章で、船による調査航海や、生物の移動パターンを説明する文脈で登場する。
- 学習者への注意点・アドバイス: TOEFLでは、比喩的な意味合いで使われることは少ない。学術的な文脈での正確な意味を理解しておくことが重要。
- 出題形式: 長文読解
- 頻度と級・パート: 難関大学の長文読解で出題される可能性がある。標準的な大学でも、テーマによっては出題される。
- 文脈・例題の特徴: 環境問題、観光、歴史、文化など、幅広いテーマの長文で登場する可能性がある。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する能力が重要。名詞・動詞の基本的な意味に加え、比喩的な意味や派生語も覚えておくと有利。同義語・反意語も意識して学習すると良い。