apathetic
強勢は 'thet' の部分にあります。最初の 'a' は日本語の『ア』よりも口を大きく開けず、曖昧母音に近い音です。'th' は有気音で、舌先を上下の歯で軽く挟んで発音します。'etic' の 'i' は短く「イ」と発音します。全体として、各音節を区切らず、滑らかに繋げるように発音するとより自然になります。
無関心な
感情が薄く、物事に興味や関心を示さない状態。困難な状況や他人の苦しみに対しても、共感や行動を起こさない様子を表す。政治や社会問題への無関心、個人的な目標や趣味への情熱の欠如など、広い範囲で使用される。
Many young people are becoming apathetic about voting.
多くの若者が投票に無関心になっています。
※ この文は、社会的な問題に対して関心が薄い状態を描写しています。選挙や政治のように、本来関心を持つべき事柄への無関心さを表現する際によく使われます。「apathetic about ~」で「~に無関心な」という気持ちを表す典型的な形です。
He felt so apathetic that he couldn't focus on his work.
彼はとても無気力で、仕事に集中できませんでした。
※ ここでは、疲労やストレスなどによって、普段はやるべきことに対して意欲がわかない、個人的な感情を表しています。「feel apathetic」で「無気力に感じる」「やる気が出ない」という状態を伝えるのにぴったりの表現です。目の前の仕事に集中できない彼の姿が目に浮かびますね。
The audience was completely apathetic to the speaker's urgent message.
聴衆は、話し手の切実なメッセージに全く無関心でした。
※ この例文では、話し手が熱心に訴えかけているにもかかわらず、聴衆が何の反応も示さない、という冷淡な状況が描かれています。「apathetic to ~」も「~に無関心な」という意味で使われます。相手の感情や状況への関心の薄さ、あるいは無反応さを表す際に使えます。
やる気のない
目標達成や課題解決への意欲が低い状態。エネルギー不足や将来への希望の欠如が原因となることが多い。仕事、学業、人間関係など、あらゆる活動に対して消極的な態度を示す。
During the team meeting, he seemed completely apathetic, just staring at the wall.
チームの会議中、彼は完全にやる気がなく見え、ただ壁を見つめていました。
※ 会議で活発な議論が期待される場面で、一人だけ無関心で何も発言しない様子が伝わります。壁を見つめるという具体的な行動が、彼の「やる気のなさ」を鮮明に示しています。「seem」は「~のように見える」という意味で、人の様子を表すときによく使われます。
Many students are apathetic about their homework and just want to play games.
多くの生徒は宿題にやる気がなく、ただゲームをしたがっています。
※ 宿題を目の前にしても、集中せず、別のことに気を取られている生徒たちの姿が目に浮かびます。「やる気のない」状態が、具体的な行動(ゲームをしたがる)と対比されて描かれています。「be apathetic about ~」で「~に対してやる気がない」という形でよく使われます。
The local community became apathetic towards the new park project.
地元のコミュニティは、新しい公園プロジェクトに対してやる気をなくしました。
※ 最初は関心があったかもしれない公園のプロジェクトに対して、住民たちの関心や協力の意欲が薄れてしまった様子を表しています。何かを成し遂げるには、人々の「やる気」が必要不可欠であることが伝わります。「towards」は「~に対して」という意味で、特定の計画や目標に対する集団の無関心さを表現する際にも使われます。
コロケーション
無関心な態度、無気力な姿勢
※ 「attitude」は、人や物事に対する考え方や感情を表す名詞です。「apathetic attitude」は、特定の状況や問題に対して関心を示さず、積極的に行動しようとしない態度を指します。ビジネスシーンや社会問題に関する議論で、責任感の欠如や問題解決への消極性を批判する際に用いられることが多いです。単に「無関心」と訳すだけでなく、その背後にある感情的な倦怠感や諦めのニュアンスを含んでいる点が重要です。
無反応、無関心な反応
※ 「response」は、刺激や働きかけに対する反応や返答を意味します。「apathetic response」は、期待される反応がない、または非常に鈍い反応を指します。たとえば、緊急事態が発生した際に、周囲の人が冷静さを欠いている状況を指して使われることがあります。また、政治的な文脈では、有権者の投票率が低いことや、政策に対する国民の関心が薄いことを表す際に用いられます。単なる「反応がない」だけでなく、失望感や落胆といった感情を伴うことが多い表現です。
無関心な有権者層
※ 「electorate」は、選挙権を持つ人々の集団、つまり有権者層を指します。「apathetic electorate」は、政治や社会問題に対して関心が薄く、投票などの政治参加に積極的でない有権者層を意味します。民主主義国家における政治参加の低下や、政治家が国民の意見を反映しない政策を推進する背景として指摘されることがあります。選挙の際に「若者の投票率が低い」といったニュースで頻繁に用いられる表現です。単に「関心がない」だけでなく、政治に対する不信感や無力感といった感情を含んでいることが多いです。
~に対して無関心
※ 「towards」は方向や対象を示す前置詞で、「apathetic towards」は特定の対象に対して無関心であることを表します。例えば、「apathetic towards politics(政治に対して無関心)」のように使われます。この表現は、特定の対象に対する関心の欠如を明確に示す場合に適しています。特に、本来関心を持つべき対象に対して無関心であるというニュアンスを含みます。例えば、環境問題に対して無関心な人々を批判する際に用いられることがあります。
無関心になる、無気力になる
※ 「grow」は成長や変化を表す動詞で、「grow apathetic」は徐々に無関心になっていく過程を表します。例えば、「He grew apathetic after years of disappointment(彼は長年の失望の末に無気力になった)」のように使われます。この表現は、時間経過とともに感情や興味が薄れていく様子を強調する場合に適しています。特に、以前は関心を持っていたものが、何らかの理由で興味を失っていく状況を描写する際に効果的です。
無関心のままでいる
※ 「remain」は状態を維持することを表す動詞で、「remain apathetic」は無関心な状態が続くことを意味します。例えば、「Despite the crisis, they remained apathetic(危機にもかかわらず、彼らは無関心のままでいた)」のように使われます。この表現は、状況が変化しても感情や態度が変わらないことを強調する場合に適しています。特に、本来なら関心を持つべき状況であるにもかかわらず、無関心な状態を維持していることを非難するニュアンスを含みます。
使用シーン
学術論文、特に社会科学や心理学の分野で、学生の学習態度や社会現象に対する人々の反応を分析する際に用いられる。「学生のアンケート結果から、社会問題に対して無関心な傾向が見られた」のように、客観的なデータに基づいて記述されることが多い。
ビジネスシーンでは、従業員のモチベーションや顧客の反応を評価する際に、フォーマルな文脈で使用される。「市場調査の結果、若年層の顧客は新製品に対して無関心な態度を示した」のように、報告書やプレゼンテーション資料で、客観的な分析結果を示すために用いられる。
日常会話ではあまり使われないが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、社会問題や政治に対する人々の無関心さを指摘する際に用いられることがある。「若者の政治への無関心さが問題視されている」のように、社会的な議論の中で用いられることが多い。
関連語
類義語
無関心、どちらでも良い、どうでも良いという意味。客観的な状況や事柄に対して用いられることが多い。日常会話、ビジネス、学術など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】"Apathetic"よりも感情的なニュアンスが薄く、単に興味がない、重要だと思っていないという状態を表す。"Indifferent"は主語の感情よりも、対象に対する関心の欠如に焦点が当てられる。 【混同しやすい点】"Apathetic"は人間に対して使うことが多いのに対し、"indifferent"は人間以外(状況や結果など)にも使える。例えば、"He is indifferent to the outcome."(彼は結果に無関心だ)のように使う。
心配していない、気にかけていないという意味。人の感情や状況に対して使われることが多い。日常会話やニュースなどで使用される。 【ニュアンスの違い】"Apathetic"よりも、ある事柄に対する心配や懸念がないというニュアンスが強い。"Unconcerned"は、本来心配すべきことに対して心配していないという驚きや非難のニュアンスを含むことがある。 【混同しやすい点】"Unconcerned"は、しばしば"about"を伴って「〜について心配していない」という形で使われる(例:"He is unconcerned about the risks.")。"Apathetic"は通常"about"を伴わない。
- listless
気力がない、だるい、元気がないという意味。主に体調や精神的な状態を表す際に用いられる。文学作品や日常会話で使われる。 【ニュアンスの違い】"Apathetic"よりも、より肉体的、精神的な疲労や倦怠感に近い状態を表す。"Listless"は、一時的な無気力状態を指すことが多い。 【混同しやすい点】"Listless"は、具体的な行動の欠如よりも、エネルギーの欠如に焦点を当てている。"Apathetic"は、行動の欠如だけでなく、感情や関心の欠如も含む。
受動的な、消極的なという意味。行動や態度について用いられる。ビジネスや心理学、社会学などの分野で使われる。 【ニュアンスの違い】"Apathetic"よりも、積極的に行動しない、指示待ちであるといった意味合いが強い。"Passive"は、状況に対する反応の仕方を表し、必ずしも感情の欠如を意味しない。 【混同しやすい点】"Passive"は、文法用語としても使われるため、文脈によって意味が異なることに注意が必要。また、"passive aggressive"(受動攻撃的)という複合語も存在する。
超然とした、無関心な、客観的なという意味。感情的な関与を避けて、冷静に状況を観察する態度を表す。文学、学術、ジャーナリズムなどで使用される。 【ニュアンスの違い】"Apathetic"よりも、意図的に距離を置いているニュアンスが強い。"Detached"は、感情的な混乱を避けるために意識的に冷静さを保とうとする態度を示す。 【混同しやすい点】"Detached"は、物理的な分離(例:"a detached house" - 一戸建ての家)という意味も持つため、文脈によって意味を判断する必要がある。
- lukewarm
生ぬるい、熱意がないという意味。温度や感情、支持などに対して使われる。日常会話やビジネスシーンで使用される。 【ニュアンスの違い】"Apathetic"よりも、熱意や関心が低いことを婉曲的に表現する。"Lukewarm"は、本来熱意があるべきなのに、それが欠けている状態を指す。 【混同しやすい点】"Lukewarm"は、文字通り温度を表す場合(例:"lukewarm water" - 生ぬるい水)と、比喩的に感情や支持の低さを表す場合がある。比喩的な意味で使用される場合、"apathetic"との関連性が高くなる。
派生語
名詞で「無感動」「無関心」を意味します。'apathetic' の感情や状態そのものを指し、より抽象的な概念を表します。日常会話だけでなく、社会問題や政治に関する議論でも用いられ、学術論文にも登場します。語尾の '-y' は名詞化の接尾辞です。
「哀感」「悲哀」を意味する名詞で、もともとは「感情」「苦しみ」といった意味合いを持ちます。'apathetic' が感情の欠如であるのに対し、'pathos' は感情、特に悲しみや苦しみに強く訴えかける状況や表現を指します。演劇、文学、スピーチなどで、聴衆の感情を揺さぶる要素として用いられます。語源的に 'apathetic' とつながりがあるものの、意味は対照的です。
「反感」「嫌悪」を意味する名詞です。接頭辞 'anti-' が「反対」を表し、'pathy' (感情) に対して否定的な感情を持つことを示します。'apathetic' が無関心であるのに対し、'antipathy' は明確な嫌悪感を伴います。人間関係や政治的な対立など、感情的な対立が生じる文脈で用いられます。
反意語
「熱狂的な」「熱心な」という意味の形容詞です。'apathetic' が無関心であるのに対し、'enthusiastic' はある対象に対して強い興味や関心、情熱を持っている状態を表します。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われ、ポジティブな感情や行動を表現する際に頻繁に用いられます。例えば、プロジェクトへの参加意欲を示す場合などに使われます。
「心配している」「気にかけている」という意味の形容詞です。'apathetic' が無関心であるのに対し、'concerned' は他者や特定の問題に対して関心を持ち、気にかけている状態を表します。特に、社会問題や他者の状況に対する関心を示す際に用いられます。例えば、環境問題に対する懸念を表明する際に使われます。
「情熱的な」「熱烈な」という意味の形容詞です。'apathetic' が感情の欠如を示すのに対し、'passionate' は強い感情、特に愛情や熱意を持っている状態を表します。恋愛、仕事、趣味など、強い感情が伴うあらゆる場面で使用されます。例えば、芸術に対する情熱を語る際に使われます。
語源
「apathetic」は「無関心な」「やる気のない」という意味ですが、その語源はギリシャ語に遡ります。元々は「pathos(感情、苦しみ)」に、否定を表す接頭辞「a-(〜がない)」が付いた「apathes」という言葉でした。この「apathes」は、感情に邪魔されない、苦しみを感じない状態を指し、哲学的な文脈で「平静」や「不動心」といった意味合いで使われました。それがラテン語を経由して英語に入り、「apathetic」となり、感情や関心が欠如した状態、つまり「無関心」や「無気力」という意味に変化しました。日本語で例えるなら、「無」に近い状態かもしれません。感情の起伏が激しい状態とは対照的に、何事にも心が動かない様子を表しています。
暗記法
「apathetic」は、社会の停滞や個人の無力感を映す言葉。産業革命下の労働者の絶望、冷戦後の政治不信、情報過多による無関心など、時代ごとの文脈で意味合いを深めてきました。社会問題から目を背ける無責任さを示す言葉として、文学作品にも登場します。「cynical(冷笑的)」とは異なり、信念や価値観を持つこと自体を放棄した状態を指すのが特徴です。
混同しやすい単語
『apathetic』と『pathetic』は、スペルが非常に似ており、発音も一部共通するため、混同しやすい単語です。『pathetic』は『哀れな』『情けない』という意味で、ネガティブな感情を表す際に使われます。一方、『apathetic』は『無感動な』『無関心な』という意味で、感情の欠如を表します。日本人学習者は、文脈からどちらの単語が適切かを判断する必要があります。語源的には、どちらも『感情』に関連する言葉ですが、感情の方向性が異なります。
『apathetic』と『sympathetic』は、接頭辞が異なるものの、語幹が共通しているため、スペルと意味の両方で混同される可能性があります。『sympathetic』は『同情的な』『共感的な』という意味で、他者の感情に寄り添うことを表します。一方、『apathetic』は感情の欠如です。日本人学習者は、接頭辞の 'a-'(否定)と 'sym-'(共に)の違いを意識することで、区別しやすくなります。
『antipathy』は『反感』『嫌悪』という意味で、『apathy』(無関心)と語源的なつながりがあり、感情の欠如ではなく、強い否定的な感情を表します。スペルも似ているため、意味を取り違えやすいです。日本人学習者は、'anti-' が『反対』の意味を持つ接頭辞であることを理解し、『apathetic』との感情の方向性の違いを意識することが重要です。
『empathetic』は『共感できる』という意味で、『apathetic』とスペルが似ている上に、どちらも感情に関する単語であるため、混同されることがあります。『empathetic』は他者の感情を理解し、共有する能力を指しますが、『apathetic』は感情がない状態を指します。日本人学習者は、'em-'(中へ)という接頭辞が『感情の中に入る』イメージを持つことを意識すると、区別しやすくなります。
『aphasic』は『失語症の』という意味で、特に発音の類似性から『apathetic』と混同されることがあります。どちらも 'a-' で始まるため、視覚的にも似ています。しかし、意味は全く異なり、『aphasic』は言語能力の障害を指します。日本人学習者は、文脈から判断し、医療や言語に関する話題であれば『aphasic』である可能性を考慮する必要があります。
『ephemeral』は『つかの間の』『一時的な』という意味で、スペルの一部と、語頭の母音の発音が似ているため、『apathetic』と混同されることがあります。意味も全く異なり、『ephemeral』は時間の経過に関する概念を表します。日本人学習者は、単語全体の形を意識し、それぞれの単語がどのような文脈で使用されるかを理解することが重要です。
誤用例
日本語の『無関心』に引きずられ、美しいものに対しても使ってしまう誤用です。Apatheticは、本来、苦痛や悲しみ、困難など、本来なら感情が動くはずの事柄に対して感情が麻痺している状態を指します。美しい景色に対して使うと、まるで鬱病の症状を述べているかのように聞こえ、不自然です。単に感情が動かない場合は、'unmoved' や 'indifferent' を使う方が適切です。日本人は感情を表に出すことを控えめにする文化があるため、軽い気持ちで 'apathetic' を使いがちですが、英語ではより深刻なニュアンスを持つことを理解する必要があります。
ここでの 'apathetic' は、政府の対応の『やる気のなさ』を表現しようとしていますが、少し硬すぎます。Apatheticは、個人的な感情の欠如を指すことが多く、組織や集団の活動に対して使うと、まるで政府が感情を失っているかのような印象を与えます。より自然なのは、'lackluster'(活気がない)、'tepid'(生ぬるい)、'half-hearted'(本気でない)などを使うことです。日本人は、組織の無責任さを批判する際に強い言葉を選びがちですが、英語では文脈に合った適切なニュアンスを選ぶことが重要です。また、'apathetic' は、しばしば無力感や絶望感と結びついて使われるため、単なる怠慢や無関心とは区別する必要があります。
宝くじに当たるという喜ばしい事柄に対して 'apathetic' を使うのは、不自然です。Apatheticは、本来、困難な状況や苦痛に対する無感情を意味することが多いため、良いニュースに対して使うと違和感があります。ここでは、単に興味がない、関心がないという意味で 'indifferent' を使う方が適切です。日本人は、幸運に対する謙虚さを美徳とする文化がありますが、英語では感情をストレートに表現することが好まれるため、'indifferent' のように客観的な表現を選ぶ方が自然です。もし彼が過去に宝くじでひどい目に遭ったことがある、などの背景があれば apathetic が適切となることもありますが、一般的な状況では不適切です。
文化的背景
「Apathetic(無感動、無関心)」は、単なる感情の欠如を示すだけでなく、しばしば社会や政治に対する倦怠感、あるいは諦観を象徴します。それは、個人の内面的な状態を表すと同時に、社会全体の停滞や無力感の表れとして、より大きな文脈で理解されるべき言葉です。
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、産業革命の進展と都市化の波が押し寄せる中で、「apathetic」という言葉は、社会に対する個人の疎外感や無力感を表現するために頻繁に用いられるようになりました。労働者階級の人々は、過酷な労働条件や貧困にあえぎながらも、自らの境遇を改善する術を持たず、政治的な変革に対する希望を失っていきました。このような状況下で、「apathetic」は、彼らの絶望的な心理状態を象徴する言葉として、文学作品や社会評論の中で重要な役割を果たすようになったのです。エミール・ゾラの『ジェルミナール』などの自然主義文学作品には、社会の底辺で生きる人々の無気力な姿が克明に描かれており、「apathetic」という言葉は、その描写に不可欠な要素となっています。
また、20世紀後半以降、特に冷戦終結後には、「apathetic」は、政治に対する失望や無関心を指す言葉として、その意味合いを強めていきました。政治家や政府に対する不信感が広がり、選挙への投票率が低下する中で、「apathetic electorate(無関心な有権者層)」という言葉が頻繁に使われるようになりました。これは、民主主義の危機を示す兆候として、社会的な議論の対象となることが多く、政治学者や社会学者は、この問題に対する解決策を模索し続けています。さらに、現代社会においては、情報過多やSNSの普及によって、人々が様々な問題に対して「情報疲れ」を感じ、無関心になる傾向も指摘されています。このような状況下で、「apathetic」は、単なる感情の欠如ではなく、現代社会の病理を象徴する言葉として、より深い意味を持つようになっているのです。
「Apathetic」という言葉は、しばしば「cynical(冷笑的)」と混同されますが、両者の間には重要な違いがあります。「Cynical」は、理想や善意を疑い、嘲笑する態度を指すのに対し、「apathetic」は、感情や関心を失い、無気力な状態を指します。つまり、「cynical」は、何らかの信念や価値観を持っているにもかかわらず、それらが実現不可能であると諦めている状態であるのに対し、「apathetic」は、そもそも信念や価値観を持つこと自体を放棄している状態であると言えるでしょう。この違いを理解することは、「apathetic」という言葉の文化的背景をより深く理解するために不可欠です。例えば、第二次世界大戦後のドイツ文学においては、ナチス政権下の犯罪に対する人々の無関心さが、「apathetic」という言葉を用いて批判的に描かれることがありました。これは、人々が自らの行動に対する責任を放棄し、社会的な問題から目を背けることの危険性を示唆しています。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、稀に語彙問題。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で稀に出題。1級でやや頻度が増す。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、人物評など、やや硬めのテーマで登場しやすい。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「無関心な」「無感動な」という意味を理解し、ネガティブなニュアンスを掴むことが重要。関連語のapathy(無関心)も覚えておく。
- 出題形式: Part 5 (短文穴埋め問題) でまれに出題される可能性あり。長文読解 (Part 7) で登場する場合もある。
- 頻度と級・パート: TOEIC全体で見ると頻度は低い。
- 文脈・例題の特徴: 従業員のモチベーション、顧客対応など、ビジネスシーンにおける人物の態度を表す際に用いられることがある。
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスの文脈では、単に「無関心」というより「やる気がない」「消極的」といったニュアンスで使われることが多い。類義語のindifferentとの使い分けに注意。
- 出題形式: リーディングセクションで頻出。ライティングセクションで使うことも可能。
- 頻度と級・パート: TOEFL iBTのリーディングセクションで比較的頻繁に見られる。
- 文脈・例題の特徴: 学術的な文章、社会科学、心理学などの分野で、人の感情や態度を説明する際に使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: アカデミックな文脈では、感情の欠如や無関心さを客観的に記述する際に用いられる。類義語のlethargic(倦怠感のある)との違いを理解しておくことが重要。
- 出題形式: 主に長文読解問題で、内容一致問題や空所補充問題で問われる可能性がある。
- 頻度と級・パート: 難関大学の入試問題で比較的よく見られる。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、哲学、心理学など、やや抽象的なテーマの文章で登場しやすい。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する能力が重要。また、反意語であるenthusiastic(熱狂的な)やpassionate(情熱的な)などの語彙も一緒に覚えておくことで、理解が深まる。