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pathos

/ˈpeɪθɒs/(ペイθオス)

第一音節にアクセントがあります。/eɪ/ は二重母音で、日本語の『エ』から『イ』へスムーズに移行するイメージです。最後の /ɒs/ は、日本語の『オ』よりも口を大きく開けて発音する短母音です。/θ/ は無声歯摩擦音で、舌先を上下の前歯で軽く挟んで息を出す音です。日本語にはない音なので意識して練習しましょう。'th' の音を「ス」と発音しないように注意してください。

専門的な内容に関するご注意

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名詞

痛ましい感情

見る人、聞く人の心に深く訴えかける、悲しみや同情、哀愁を誘う感情。演説や文学作品において、聞き手や読者の感情を揺さぶり、共感を呼ぶために意図的に用いられることが多い。

The old movie showed a child losing his toy, and it filled me with pathos.

古い映画で子供がおもちゃをなくす場面があり、それは私を痛ましい気持ちにさせました。

【情景】古い映画館で、スクリーンに映し出される寂しげな子供の姿。おもちゃを失くした悲しみが、観客の心にじわっと広がる様子が目に浮かびます。 【この例文が典型的な理由】「pathos」は映画や物語の「感情に訴えかける力」について語る際によく使われます。特に、登場人物の苦境や悲しみが観客の共感を呼ぶときにぴったりです。 【文法・ヒント】「fill A with B」(AをBで満たす)という形で、「ある感情で満たされる」という表現によく使われます。

The sad song's melody had a deep pathos that made everyone feel its pain.

その悲しい歌のメロディーには深い痛ましい感情があり、みんなにその痛みを感じさせました。

【情景】静かな部屋で流れる、心に染み入るような悲しいメロディー。聴いている人たちが、それぞれの胸の奥に秘めた悲しみを思い出し、涙ぐむような場面を想像できます。 【この例文が典型的な理由】音楽や詩など、芸術作品が持つ「聴き手の心に訴えかける力」を表現するのに「pathos」は非常に適しています。特に、悲しみや切なさを感じさせる場合に用いられます。 【文法・ヒント】「had a deep pathos」のように、「pathos」は「持つ」という意味の動詞(have/carryなど)と一緒に使われることが多いです。「deep」のような形容詞で、感情の深さを表現できます。

When he described his past struggles, his words carried a strong pathos.

彼が過去の苦労を語ったとき、彼の言葉には強い痛ましい感情がこもっていました。

【情景】誰かが自分のつらい過去を静かに語っている場面。語り手の声や表情、選ぶ言葉の端々から、経験してきた苦労がにじみ出て、聞いている人の胸が締め付けられるような感覚です。 【この例文が典型的な理由】人の話し方や文章が、聞き手や読者の同情や共感を誘うような場合にも「pathos」は使われます。特に、個人の経験や困難を通じて感情に訴えかける文脈で自然です。 【文法・ヒント】「carry pathos」は「pathosを伴う」「pathosがある」という意味で使われる典型的な表現です。話し言葉や書き言葉の「力」を表す際によく使われます。

名詞

悲哀

人生の苦難や悲劇に直面した際の、深い悲しみや苦悩。個人的な苦しみだけでなく、社会的な不正や不平等に対する感情も含む。

The old man's silent tears showed the deep pathos of his story.

その老人の静かな涙は、彼の物語の深い悲哀を示していました。

【情景】静かに涙を流す老人の姿から、言葉にできないほど辛い過去や状況が伝わってくる場面です。「pathos」は、単なる悲しみだけでなく、人の心に訴えかけ、共感を呼ぶような深い感情を表します。 【ポイント】「showed the deep pathos」のように、「pathos」が「見せる」「含む」といった動詞と共に使われることで、その感情が外に現れている様子を描写できます。

Her powerful speech had a strong pathos that moved many people to tears.

彼女の力強いスピーチには、多くの人々を涙させるほどの強い悲哀がありました。

【情景】聴衆が思わず涙するような、感情に訴えかけるスピーチの場面です。話し手の言葉や声の調子から、深い悲しみが伝わり、聞く人の心を揺さぶります。 【ポイント】「have pathos」は「悲哀を持つ」という意味でよく使われます。「move people to tears」は「人々を涙させる」という、感情を揺さぶる典型的な表現です。

The sad melody of the violin concerto expressed a beautiful pathos.

そのバイオリン協奏曲の悲しいメロディーは、美しい悲哀を表現していました。

【情景】コンサートホールで、バイオリンの音色が奏でる、心に染み入るような悲しい雰囲気を感じる場面です。芸術作品、特に音楽や文学、絵画などが持つ、切なくも美しい感情的な深みを表すのに使われます。 【ポイント】「express pathos」は「悲哀を表現する」という、芸術作品の感情表現によく使われる形です。「beautiful pathos」のように、悲しみが単なるネガティブな感情ではなく、どこか美しい、感動的な側面を持つ場合にも使われます。

コロケーション

evoke pathos

哀愁や悲哀の情を呼び起こす

このコロケーションは、芸術作品、演劇、映画、または文学作品などが、見る人や読む人の心に深く訴えかけ、共感や同情、悲しみなどの感情を引き出す状況を表します。特に、意図的に感情を揺さぶるような表現や演出に対して使われます。例えば、映画評論で『この映画は観客の感情を揺さぶり、深い哀愁を呼び起こす』のように使われます。文法的には「動詞 + 名詞」の組み合わせで、ビジネスシーンよりは、文芸批評や芸術論評などで使われることが多いです。

a sense of pathos

哀愁の念、悲哀感

このフレーズは、ある状況や人物に対して感じる、かすかな、しかし明確な悲しみや同情の感情を指します。例えば、時代に取り残された古い建物を見たときに『その建物には、過ぎ去った時代への哀愁の念を感じる』のように使われます。単に『悲しい』というよりも、どこか懐かしさや物悲しさが伴う感情です。文法的には「冠詞 + 名詞 + 前置詞 + 名詞」の組み合わせで、フォーマルな場面でも使用可能です。

bathed in pathos

哀愁に満ち溢れている、悲哀に包まれている

この表現は、ある場所、状況、または人物が、悲しみや哀愁の感情で満たされている状態を強調します。光が物を照らすように、感情が全体を覆っているイメージです。例えば、夕暮れの風景描写で『その村は夕日に照らされ、哀愁に満ち溢れていた』のように使われます。比喩的な表現であり、文学作品や詩的な表現でよく見られます。文法的には「過去分詞 + 前置詞 + 名詞」の組み合わせで、口語よりは書き言葉で用いられることが多いです。

unintentional pathos

意図せぬ哀愁、予期せぬ悲哀

これは、本来意図された感情とは異なり、予期せず悲しみや哀愁を感じさせる状況を指します。例えば、コメディ映画のあるシーンが、製作者の意図とは裏腹に、観客に深い悲しみを感じさせるような場合に使われます。この表現は、意図しない結果として生まれた感情の複雑さを示唆します。文法的には「形容詞 + 名詞」の組み合わせで、皮肉やユーモアを交えて語られることが多いです。

exploit pathos

同情心を利用する、哀れみを誘う

この表現は、倫理的に問題がある状況で使用されます。誰かの同情心や哀れみを悪用して、自分の利益を得ようとする行為を非難する際に使われます。例えば、詐欺師が病気の子供の話をして寄付を募るような場合、『彼は人々の同情心を利用している』と表現します。文法的には「動詞 + 名詞」の組み合わせで、ニュース記事や社会問題に関する議論でよく見られます。

a touch of pathos

ほんの少しの哀愁、一抹の悲しみ

このフレーズは、全体としては明るい、または肯定的な状況の中に、わずかに悲しみや哀愁が感じられることを表します。例えば、楽しいパーティーの最後に、少し寂しさを感じるときに『そのパーティーには、ほんの少しの哀愁が漂っていた』のように使われます。感情の微妙なニュアンスを表現する際に便利です。文法的には「冠詞 + 名詞 + 前置詞 + 名詞」の組み合わせで、日常会話でも比較的使いやすい表現です。

使用シーン

アカデミック

文学、演劇、心理学などの分野で、作品や人間の感情に訴えかける要素を分析する際に使われます。例えば、「この小説は読者のパトスに訴えかけることで、強い共感を呼ぶ」のように、感情的な影響力を議論する文脈で用いられます。論文や学術的な議論において、感情的な要素を客観的に評価・分析する際に重要な語彙となります。

ビジネス

プレゼンテーションやマーケティングにおいて、聴衆の感情に訴えかける戦略を説明する際に使われることがあります。例えば、「この広告キャンペーンは、顧客のパトスに訴えかけることで、ブランドへの共感を深めることを目指している」のように、感情的なつながりを重視する戦略を議論する文脈で用いられます。ただし、ビジネスシーンでは感情的な表現を直接的に避け、より客観的な表現が好まれるため、使用頻度は低めです。

日常会話

ドキュメンタリーやニュース報道などで、人々の苦境や悲劇的な出来事を描写する際に使われることがあります。例えば、「このドキュメンタリーは、紛争地の子どもたちのパトスを描き出し、視聴者の心を揺さぶる」のように、感情的な衝撃や共感を喚起する文脈で用いられます。日常会話では、より直接的な感情表現(悲しみ、苦しみなど)が好まれるため、使用頻度は低いですが、教養ある語彙として知っておくと、より深い理解につながります。

関連語

類義語

  • 他者の苦しみや不幸に対する同情や哀れみの感情を表す。日常会話、文学作品、ニュース記事など、幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】「pathos」が感情を喚起させる性質や状況を指すのに対し、「pity」は感情そのものを指す。また、「pity」は時に軽蔑や優越感を含意することがある。 【混同しやすい点】「pity」は名詞であると同時に動詞としても使用できる点。動詞の場合、「~を気の毒に思う」という意味になる。また、「What a pity!(お気の毒に!)」という感嘆表現も頻繁に使われる。

  • 他者の感情や苦しみを理解し、共有する感情を表す。フォーマルな場面、人間関係、社会問題など、共感や理解が必要な状況で使われる。 【ニュアンスの違い】「pathos」が聴衆や読者に感情的な反応を引き起こす力であるのに対し、「sympathy」は他者への共感や同情という感情そのものを指す。「sympathy」は理解と共感に基づく感情であり、「pathos」よりも客観的で冷静な側面がある。 【混同しやすい点】「sympathy」は「共感」という意味合いが強く、必ずしも相手の苦しみや悲しみに限定されない。喜びや成功に対しても「sympathy」を感じることがある。また、「empathy」との違いに注意。「empathy」は相手の立場に立って感情を理解する、より深い共感を意味する。

  • 他者の苦しみや不幸に対する深い同情と、それを軽減したいという強い願望を表す。道徳的、倫理的な文脈や、社会福祉、医療などの分野でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】「pathos」が感情的な反応を引き起こす力であるのに対し、「compassion」は苦しみを軽減しようとする積極的な行動を伴う感情である。「compassion」は「pity」よりも深いレベルの同情であり、行動を促す力が強い。 【混同しやすい点】「compassion」は単なる同情ではなく、行動を伴う点が重要。困っている人を助けたり、社会的な不正を正そうとしたりする際に用いられる。宗教的な文脈でも頻繁に使用される。

  • 深い悲しみや苦悩を表す。個人的な喪失、不幸な出来事、絶望的な状況などで使われる。 【ニュアンスの違い】「pathos」が聴衆に悲しみや同情を引き起こす性質や状況を指すのに対し、「sorrow」は悲しみそのものを指す。「sorrow」は個人的な感情であり、「pathos」はより客観的な状況や芸術的な表現を指す。 【混同しやすい点】「sorrow」は個人的な悲しみを表す言葉であり、他者の感情に訴えかけるような意図は含まれない。「pathos」は意図的に感情を喚起させるニュアンスがある点で異なる。

  • 肉体的または精神的な苦痛や苦悩を経験している状態を表す。医学、心理学、宗教など、苦しみに関する様々な分野で使用される。 【ニュアンスの違い】「pathos」が聴衆に感情的な反応を引き起こす要素であるのに対し、「suffering」は苦痛を経験している状態そのものを指す。「suffering」は主観的な経験であり、「pathos」は客観的な描写や表現を指す。 【混同しやすい点】「suffering」は状態を表す言葉であり、感情を喚起させる意図は含まれない。「pathos」は感情的な反応を引き出すことを目的とする点で異なる。また、「suffering」はしばしば不可算名詞として使用される。

  • 深い悲しみ、苦悩、不幸を表す。文学作品、詩、演説など、感情的な表現が求められる場面で用いられる。やや古風な表現。 【ニュアンスの違い】「pathos」が聴衆に感情的な反応を引き起こす力であるのに対し、「woe」は悲しみや苦悩そのものを指す。「woe」はより強い感情を表し、古風で文学的な響きを持つ。 【混同しやすい点】「woe」は日常会話ではあまり使われず、文学的な表現として認識されることが多い。「pathos」はより一般的な言葉であり、幅広い場面で使用できる。「Woe is me!(ああ、私はなんて不幸なんだ!)」という表現は決まり文句として使われることがある。

派生語

  • 『哀れな』という意味の形容詞。『pathos』が持つ『感情』『苦しみ』の性質が、他者に『哀れみ』を引き起こす様子を表す。日常会話で人の状態を形容するほか、映画や小説のレビューで使われることも。ややネガティブなニュアンスを持つ点に注意。

  • 『共感』という意味の名詞。接頭辞『em-(中へ)』が加わり、『相手の感情の中に入る』というイメージ。心理学や社会学の学術論文、ビジネスにおけるリーダーシップ論など、幅広い分野で使用される。相手の立場を理解しようとする積極的な姿勢を示す。

  • 『同情』という意味の名詞。接頭辞『sym-(共に)』が加わり、『共に感情を抱く』というイメージ。empathyよりもやや距離があり、相手の感情を理解しつつも、客観的な立場を保つニュアンスがある。ニュース報道などで被害者に対する『同情』を示す際などにも用いられる。

反意語

  • 『無感動』『無関心』という意味の名詞。接頭辞『a-(否定)』が加わり、『感情がない』状態を示す。政治における『有権者の無関心』、医療における『患者の無感動』など、社会問題や心理状態を表す文脈で用いられる。pathosが喚起する感情の高ぶりとは対照的に、感情の欠如を表す。

  • 『禁欲主義』『ストイシズム』という意味の名詞。感情に左右されず、理性的に行動することを重視する哲学的な立場を指す。pathosが感情に訴えかけるのに対し、stoicismは感情を抑制し、冷静さを保つことを理想とする。ビジネスやスポーツなど、プレッシャーのかかる状況で精神的な強さを表現する際に用いられる。

  • hubris

    『傲慢』『自信過剰』という意味の名詞。ギリシャ悲劇において、主人公が過剰な自信によって破滅に向かう様子を表す。pathosが『哀れみ』や『共感』を誘うのに対し、hubrisは周囲の反感を買い、悲劇的な結末を招く。文学作品の分析や、歴史上の人物の評価など、教訓的な意味合いで使用されることが多い。

語源

「pathos」は、ギリシャ語の「πάθος(pathos)」に由来します。これは「苦しみ」「感情」「経験」といった意味を持つ言葉です。さらに遡ると、印欧祖語の根 *kwenth- (苦しむ、耐える)に行き着きます。つまり、「pathos」は、人が何かを受け、感じ、耐え忍ぶ状態を表す言葉として生まれたのです。日本語で例えるなら、「哀愁」や「悲哀」といった言葉が近いかもしれません。映画や演劇などで、観客の心を揺さぶるような、痛ましい感情や悲劇的な要素を指す場合に使われます。感情移入を誘い、心を動かす力を持つ表現、それが「pathos」です。

暗記法

「pathos」は、古代ギリシャ悲劇で観客の心を揺さぶり、カタルシスをもたらす要素でした。英雄の没落や悲劇的な運命を通して、人間の苦悩や儚さを浮き彫りにし、深い共感を呼び起こします。シェイクスピア作品にも見られるこの感情は、現代の文学、映画、演説にも受け継がれ、聴衆の感情に訴えかけます。社会問題への共感を促す力がある一方、過剰な使用は批判も招きます。人間の普遍的な感情に触れる、文化的にも重要な概念なのです。

混同しやすい単語

発音が非常に似ており、pathos の 'os' の部分が弱く発音されると区別がつきにくいことがあります。Path は『道』や『経路』を意味する名詞で、pathos とは品詞も意味も異なります。Pathos は『哀愁』や『悲哀』といった感情を表す名詞であるため、文脈から判断することが重要です。スペルも一文字違いなので注意が必要です。

pathos と語源を同じくしますが、形容詞であり意味も異なります。pathetic は『哀れな』、『情けない』という意味で、pathos が名詞であるのに対し、pathetic は人の状態や状況を説明する際に使われます。Pathos を感じさせる状況が pathetic である、というように関連付けると覚えやすいでしょう。

photos

発音が似ており、特に複数形である点が共通しています。Photos は『写真』を意味する photo の複数形であり、pathos とは全く異なる概念です。スペルも似ているため、文脈で判断する必要があります。ギリシャ語源の言葉に馴染みがない場合、特に混同しやすいかもしれません。

bathos

スペルも発音も非常に似ており、意味も関連があるため混同しやすい単語です。Bathos は『陳腐』や『しらけ』という意味で、意図しない滑稽さを指します。Pathos が深い感動や共感を呼ぶのに対し、bathos はその逆の効果をもたらします。Pathos が感動の頂点であるのに対し、bathos は急降下、というイメージを持つと区別しやすいでしょう。

phases

複数形の語尾が 's' で終わるという点で、pathos と発音が似ていると感じられることがあります。Phases は『段階』や『局面』を意味する phase の複数形であり、pathos とは全く異なる概念を表します。文脈から判断する必要があります。例えば、'the phases of the moon' (月の満ち欠け) のように使われます。

potatoes

複数形の語尾 '-oes' が、pathos の '-os' と韻を踏むため、発音を意識すると似ていると感じるかもしれません。言うまでもなく potatoes は『ジャガイモ』を意味する名詞で、pathos と意味的な関連性はありません。しかし、発音練習の際に韻を踏む単語として意識すると、記憶に残りやすくなるかもしれません。

誤用例

✖ 誤用: The politician used pathos to manipulate the audience, and it was very obvious.
✅ 正用: The politician employed blatant emotional appeals to manipulate the audience.

『pathos』は聴衆の心を揺さぶる『哀愁』や『共感』を喚起する力そのものを指し、感情的な操作『その手段』を指すわけではありません。この文脈では、感情的な訴えかけ(emotional appeals)というより直接的な表現が適切です。日本人が『情熱』や『感情』といった言葉から安易にpathosを選んでしまう背景には、言葉のニュアンスに対する繊細さの欠如があります。英語では、感情を操作する意図を明確にするために、blatant(露骨な)のような形容詞を加えることで、より意図が伝わりやすくなります。

✖ 誤用: The movie was full of pathos, so I cried a lot.
✅ 正用: The movie was deeply moving, and I cried a lot.

『pathos』は、日本語の『哀愁』に近い意味合いを持ちますが、映画全体が『pathos』で満ちている、という表現は不自然です。この文脈では、『deeply moving(非常に感動的)』のように、感情を揺さぶられた結果を表現する方が適切です。日本人は『感動』を安易に『pathos』で表現しようとしがちですが、英語では感動の種類や度合いに応じて、moving, touching, inspiringなど、より具体的な言葉を選ぶことが重要です。また、pathosは時に、意図的に感情に訴えかけるような、少しネガティブなニュアンスを含む場合もあります。

✖ 誤用: The pathos of his speech was overwhelming.
✅ 正用: The poignancy of his speech was overwhelming.

『pathos』は、ある状況や出来事が持つ『哀愁』や『悲哀』といった感情的な性質を指しますが、スピーチそのものが『pathos』を持つ、という表現はやや不自然です。この文脈では、『poignancy(痛切さ、心を打つ力)』のように、スピーチが持つ感情的な深さを表現する方が適切です。日本人は『pathos』を『感情』全般の意味で捉えがちですが、英語では悲しみや苦しみといったネガティブな感情に限定されることが多いです。そのため、スピーチの感動的な側面を強調したい場合は、poignancyのような、より適切な言葉を選ぶ必要があります。また、pathosは、時に、他者の不幸に対する同情や憐れみを意味することもあります。

文化的背景

「pathos(ペーソス)」は、聴衆の心に深く訴えかけるような、悲しみ、同情、共感といった感情を呼び起こす力、あるいはその感情そのものを指します。古代ギリシャの演劇において重要な要素であり、観客の感情を揺さぶり、カタルシス(浄化)をもたらすことを目的として用いられました。この言葉は、単なる悲しみ以上の、人間の存在そのものの儚さや苦悩、そしてそれに対する深い共感や理解を表す、文化的に非常に重みのある概念です。

ギリシャ悲劇における「pathos」は、英雄の没落や悲劇的な運命を通して、人間の限界や運命の残酷さを浮き彫りにしました。例えば、ソポクレスの『オイディプス王』では、主人公が自身の出自の秘密を知り、破滅へと向かう過程で、観客はオイディプスに対する深い同情と、運命の不可解さに対する畏怖を感じます。このような感情こそが「pathos」であり、演劇を通して観客自身の感情を浄化し、人間存在について深く考えさせる力となりました。シェイクスピアの作品にも、ハムレットの苦悩やリア王の狂気など、「pathos」に満ちた場面が数多く存在し、観客の心を揺さぶります。

現代においても、「pathos」は文学、映画、演説など、様々な表現形式において、聴衆の感情に訴えかけるための重要な要素として用いられています。政治的な演説においては、貧困や差別といった社会問題を訴え、聴衆の共感を得て行動を促すために、「pathos」が用いられることがあります。映画においては、主人公の困難な状況や喪失を描き、観客の感情移入を促すことで、物語に深みを与えます。ただし、「pathos」を意図的に過剰に用いることは、感傷的であるとか、操作的であるといった批判を受ける可能性もあります。そのため、表現者は「pathos」を用いる際に、倫理的な配慮と芸術的なバランス感覚を持つことが重要となります。

「Pathos」は、単なる悲しみや同情といった感情だけでなく、人間の普遍的な感情、苦悩、そしてそれに対する共感といった、より深い意味合いを含んでいます。それは、文化や時代を超えて、人間の心を揺さぶり、結びつける力を持つ、非常に重要な概念であると言えるでしょう。この言葉を理解することは、文学作品や映画などをより深く鑑賞するだけでなく、人間としての共感力や理解力を高めることにも繋がります。

試験傾向

英検

この単語が直接問われることは少ないですが、長文読解で感情や哀愁を表現する文脈で間接的に理解を問われる可能性があります。特に準1級以上では、paraphrase(言い換え)の選択肢で類義語・関連語の知識が試されることがあります。

TOEIC

TOEICでは出題頻度は非常に低い単語です。ビジネスの文脈で感情的な訴えかけをする状況は稀であるため、まず見かけることはないでしょう。無理に覚える必要はありません。

TOEFL

TOEFLリーディングで、感情や共感を喚起するようなテーマ(社会問題、文学など)の文章でまれに出題される可能性があります。アカデミックな文章の中では、比喩的な意味合いで使われることもあります。語彙問題として直接問われる可能性は低いですが、文脈から意味を推測できるようにしておきましょう。

大学受験

大学受験の英文読解では、難関大学を中心に、文学作品や評論などで出題される可能性があります。文脈から「哀愁」「悲哀」といった意味を推測できる必要があります。直接的な語彙問題よりも、内容一致問題や空所補充問題で、文脈理解を問う形で出題されることが多いでしょう。

免責事項

英単語学習ラボは生成AIで機械的に意味や英語表現を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。

このページについて

作成:英単語学習ラボ
生成支援:Google Gemini
最終更新:2025年7月18日

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