strange
二重母音 /eɪ/ は、日本語の「エイ」よりも口を大きく開け、「エ」から「イ」へスムーズに変化させるのがコツです。「ストレンジ」と平板に発音せず、/streɪ/ の部分にアクセントを置いてください。語尾の /dʒ/ は、日本語の「ジ」よりも少し強めに発音し、舌を上あごの奥につけてから離すイメージです。
奇妙な
普通とは異なり、どこか変わっている様子。珍しさ、不可解さ、不気味さを含むニュアンスがある。見慣れないもの、理解できないこと、予期しない出来事に対して使われる。
I saw a strange object on the street this morning.
今朝、通りで奇妙なものを見ました。
※ いつもの道を歩いていたら、見たことのない、少し不思議な物が落ちていた。そんな「何だろう?」と目を引くような状況で使われます。「strange object」で「奇妙な物体」という意味になり、見慣れないものや、説明しがたいものに出会った時にぴったりの表現です。
It felt strange to be alone in the big house.
その大きな家に一人でいるのは奇妙な感じがしました。
※ 普段は家族で賑やかなはずの広い家に、自分だけがポツンと一人。そんな普段と違う状況に、少し心細さや違和感を覚える情景です。「It felt strange to do...」は「~するのは変な感じがした」という、自分の感覚や感情を表す時によく使う典型的な形です。
My friend suddenly started acting very strange today.
今日、私の友達は突然とても奇妙な振る舞いをし始めました。
※ いつもと様子の違う友達を見て、驚いたり心配したりする場面です。普段とは違う、理解しにくい人の行動や言動に対して「strange」を使うのは非常に自然です。「act strange」で「変な振る舞いをする」という意味になり、人の様子を表す際によく使われます。
不慣れな
経験が浅く、よく知らない状態。特定の場所、状況、人物に対して、知識や経験が不足していることを表す。
When I first moved here, everything felt strange and new.
ここへ引っ越して来たばかりの頃、すべてが不慣れで新鮮に感じました。
※ 新しい場所に引っ越してきた人が、まだ慣れない環境に対して感じる「不慣れさ」や、それに伴う少しの戸惑いを表現しています。引っ越しや転勤など、環境が大きく変わった時に感じる典型的な気持ちです。「felt strange」で「不慣れに感じる」「居心地が悪いと感じる」という感情を表現できます。
Speaking English in a foreign country felt strange at first, but I got used to it.
外国で英語を話すのは最初は不慣れに感じましたが、慣れてきました。
※ 初めての経験や行動に対して感じる「不慣れさ」を表しています。特に、普段と違う場所で、慣れない言語を使う時のぎこちなさや緊張感が伝わる場面です。「at first」は「最初は」という意味で、時間の経過とともに状況が変化する様子を表すのに便利です。ここでの「strange」は「変な」ではなく「慣れない」が中心です。
The little boy felt strange in the big, unfamiliar room.
幼い男の子は、広くて見慣れない部屋で心細く感じました。
※ 子どもが、初めて入るような見慣れない大きな部屋で感じる「不慣れさ」と、それに伴う「心細さ」や「不安」を表現しています。物理的な場所だけでなく、そこから生まれる感情的な居心地の悪さも「strange」で伝えることができます。「unfamiliar」も「不慣れな」ですが、「strange」はさらに感情的なニュアンスを加えています。
妙に
通常とは異なる様子で行われることを強調する。行動や事態が普通ではない、予想外であるというニュアンスを含む。
When I entered the classroom, it was strange quiet.
教室に入ると、妙に静かだった。
※ いつもは生徒たちの声で賑やかな教室が、なぜか今日はひっそりとしている…。そんな「普段と違う、何か変だ」と感じる静けさや雰囲気を表すときに、`strange`(妙に)がよく使われます。ここでは、静かさ(quiet)の程度が「妙に」と感じられることを示しています。
My friend usually smiles a lot, but today he looked strange sad.
私の友達はいつもよく笑うのに、今日は妙に悲しそうに見えた。
※ 普段は明るい人が、今日は元気がないように見える…。このように、人の表情や様子が「普段と違う、何かおかしい」と感じる時に`strange`が使えます。`looked strange sad`で、「妙に悲しそうに見える」という、普段とのギャップを表現しています。
The old song I heard on the radio sounded strange familiar to me.
ラジオで聞いた古い歌が、私には妙に懐かしく聞こえた。
※ 初めて聞くはずの古い歌なのに、なぜか心に響き、懐かしい気持ちになる…。そんな「期待と違う、不思議な感覚」を表現するのに`strange`はぴったりです。`familiar`(なじみのある、という形容詞)を`strange`が修飾し、「妙になじみがある=妙に懐かしい」という感覚を表しています。
コロケーション
奇妙な感覚、得体の知れない感じ
※ 漠然とした不安や違和感を覚える時に使われます。身体的な感覚だけでなく、心理的な予感や直感も含まれます。例えば、'I had a strange feeling that something bad was going to happen.' (何か悪いことが起こるような奇妙な予感がした。) のように使います。'feeling'の前に置く形容詞によってニュアンスが変わり、'an uneasy feeling'(落ち着かない感じ)、'a weird feeling'(変な感じ)などがあります。
奇妙な偶然、不思議な一致
※ ありえないような偶然の一致を指します。単なる偶然よりも、運命的な、あるいは説明のつかないようなニュアンスを含みます。例えば、'It was a strange coincidence that we met in Paris after so many years.' (何年も経ってパリで再会するなんて、奇妙な偶然だった。) のように使われます。'remarkable coincidence'(注目すべき偶然)、'unbelievable coincidence'(信じられない偶然)なども類似表現です。
奇妙な組み合わせ、意外な協力関係
※ 通常は相容れない人々や組織が、共通の目的のために協力し合う状況を指します。政治的な文脈でよく使われ、一時的な同盟関係を皮肉交じりに表現することが多いです。例えば、'Politics makes strange bedfellows.' (政治の世界では意外な協力関係が生まれるものだ。) のように使われます。この表現は、シェイクスピアの『テンペスト』に由来すると言われています。
奇妙な表情、不思議そうな顔つき
※ 相手の表情が普段と異なり、困惑、不審、驚きなどの感情を表している時に使われます。言葉ではなく、表情から相手の心理状態を読み取る際に用いられます。例えば、'He gave me a strange look when I told him the news.' (私がそのニュースを伝えた時、彼は私に奇妙な顔つきをした。) のように使われます。'a puzzled look'(困惑した表情)、'a suspicious look'(疑わしい表情)なども類似表現です。
奇妙なことに、不思議なことに
※ 予想外の出来事や、説明のつかない事柄について述べる際に文頭に置かれる副詞句です。話し手の驚きや意外な気持ちを表します。例えば、'Strangely enough, it didn't rain even though the forecast predicted heavy storms.' (奇妙なことに、大雨の予報だったのに雨は降らなかった。) のように使われます。'oddly enough'(妙なことに)、'funnily enough'(面白いことに)なども類似表現です。
奇妙な静けさ、異様な静寂
※ 普段は騒がしい場所が急に静まり返ったり、会話が途絶えたりした時に使われます。不気味さや緊張感を伴うことが多いです。例えば、'A strange silence fell over the room after the announcement.' (発表の後、部屋に奇妙な静けさが訪れた。) のように使われます。'an eerie silence'(不気味な静けさ)、'a heavy silence'(重苦しい静けさ)なども類似表現です。
よそよそしくなる、よそ行きになる
※ 親しかった人が、何らかの理由で態度を変え、距離を置くようになることを指します。感情的な変化や関係性の変化を表す動詞句です。例えば、'She grew strange after her promotion.' (彼女は昇進後、よそよそしくなった。) のように使われます。'become distant'(よそよそしくなる)、'grow cold'(冷たくなる)なども類似表現です。
使用シーン
学術論文や研究発表で、客観的な視点から「奇妙なデータ」「異常なパターン」などを記述する際に用いられます。例えば、実験結果の考察で「予想外の反応が見られた(strange reaction)」と述べる場合や、先行研究との差異を説明する際に「〜という点で異なっている(strange in that...)」と述べる場合などがあります。文体は文語的で、客観性が重視されます。
ビジネスシーンでは、会議の議事録や報告書などのフォーマルな文書で、客観的な分析結果を記述する際に用いられます。例えば、市場調査の結果を報告する際に「〜という奇妙な傾向が見られた(strange trend)」と述べる場合や、プロジェクトの進捗状況を報告する際に「〜という予期せぬ事態が発生した(strange situation)」と述べる場合などがあります。口語的な会話では、より直接的な表現(odd, weirdなど)が好まれる傾向があります。
日常会話では、少し改まった言い方として使われます。例えば、旅行先で「奇妙な光景を見た(strange sight)」と話したり、ニュース記事について「奇妙な事件だ(strange incident)」とコメントしたりする場面が考えられます。また、初対面の人に対して「不慣れな場所で緊張している(feeling strange)」と自分の感情を伝えることもあります。よりくだけた表現としては、'weird' や 'odd' が一般的です。
関連語
類義語
『普通とは少し違っている』という意味で、個性的な特徴や、奇妙だが魅力的なものに使われる。服装、趣味、行動など、観察可能な対象に対して使われることが多い。日常会話、文学。 【ニュアンスの違い】"strange"よりも客観的で、必ずしもネガティブな意味合いを含まない。むしろ、ユニークさや個性として肯定的に捉えられる場合もある。主観的な嫌悪感よりも、客観的な差異を強調する。 【混同しやすい点】"strange"が漠然とした違和感を表すのに対し、"peculiar"は具体的な特徴に基づいた差異を示す。"peculiar"は人柄や性格に使われる場合、「風変わりな」「独特な」といった肯定的なニュアンスを含むことがあるが、"strange"はそうしたニュアンスを持ちにくい。
『標準や期待から外れている』という意味で、少しばかり奇妙で、普通ではないものに使われる。数字、時間、出来事など、幅広い対象に対して使われる。日常会話。 【ニュアンスの違い】"strange"よりもややカジュアルで、深刻な印象を与えない。"odd"は、不完全さや端数といった意味合いも含むため、完全な状態からの逸脱を示す。 【混同しやすい点】"odd"は、"strange"よりも日常的な違和感を表すのに適している。また、"odd number"(奇数)のように、特定の表現で頻繁に使われる。"odd"は"strange"よりも使用頻度が高く、より一般的な語彙である。
『非常に奇妙で、不気味な』という意味で、強い違和感や嫌悪感を与えるものに使われる。人、場所、状況など、幅広い対象に対して使われる。日常会話、特に若者言葉。 【ニュアンスの違い】"strange"よりも感情的なニュアンスが強く、不快感や恐怖感を伴うことが多い。"weird"は、超自然的なものや、説明のつかない現象に対して使われることもある。 【混同しやすい点】"weird"は非常に主観的で、話し手の感情が強く反映される。"strange"が客観的な観察に基づくのに対し、"weird"は個人的な嫌悪感や恐怖感に基づくことが多い。また、"weird"はフォーマルな場面では避けるべき言葉である。
『普通ではない、珍しい』という意味で、頻繁には起こらないことや、一般的ではないものに使われる。出来事、習慣、才能など、幅広い対象に対して使われる。日常会話、ビジネス。 【ニュアンスの違い】"strange"よりも客観的で、必ずしもネガティブな意味合いを含まない。むしろ、興味深いことや、特別なこととして肯定的に捉えられる場合もある。統計的な稀少性を示す。 【混同しやすい点】"unusual"は、"strange"よりもフォーマルな場面に適している。また、"unusual"は、"strange"よりも客観的な珍しさを表すのに適している。"unusual"は、必ずしもネガティブな感情を伴わない。
『非常に奇妙で、信じられないほど変わっている』という意味で、強い驚きや当惑を与えるものに使われる。出来事、光景、行動など、視覚的に印象的なものに対して使われることが多い。日常会話、文学。 【ニュアンスの違い】"strange"よりも強烈で、非現実的な印象を与える。"bizarre"は、現実離れした状況や、理解を超えた出来事に対して使われる。 【混同しやすい点】"bizarre"は、"strange"よりも感情的な反応を引き起こしやすい。また、"bizarre"は、"strange"よりも頻繁には使われない。"bizarre"は、強い印象を与えるために意図的に使われることがある。
派生語
『奇妙に』という意味の副詞。形容詞の『strange』に、副詞化の接尾辞『-ly』が付いた形。動作や状態が普通ではない様子を表し、日常会話や物語などで使われる。例えば、『彼は奇妙に微笑んだ (He smiled strangely.)』のように用いられる。
- estrange
『仲たがいさせる』『疎遠にする』という意味の動詞。接頭辞『e- (外へ)』と『strange』が組み合わさり、『関係を外側へ押しやる』というイメージ。人間関係が悪化する状況を表し、ややフォーマルな文脈や文学作品で用いられる。『長年の誤解が彼らを疎遠にした (Years of misunderstanding estranged them.)』のように使われる。
- estrangement
『疎遠』『不和』という意味の名詞。『estrange』に名詞化の接尾辞『-ment』が付いた形。人間関係の断絶や疎遠な状態を指し、社会学や心理学の分野でも用いられる。『家族間の疎遠 (familial estrangement)』のように使われる。
反意語
『よく知られた』『親しい』という意味の形容詞。『strange』が『見慣れない』という意味合いであるのに対し、『familiar』は見慣れていて安心感を与えるものを指す。日常会話からビジネスまで幅広く使われる。『見慣れた顔 (familiar face)』のように用いられる。
『正常な』『標準的な』という意味の形容詞。『strange』が逸脱している状態を表すのに対し、『normal』は標準的な状態を示す。医学、統計学、社会学など、様々な分野で用いられる。『正常な血圧 (normal blood pressure)』のように使われる。
『普通の』『ありふれた』という意味の形容詞。『strange』が珍しさや異質さを表すのに対し、『ordinary』は日常的で平凡なものを指す。日常会話で頻繁に使われ、『普通の出来事 (ordinary event)』のように用いられる。
語源
"strange"の語源は古フランス語の"estrange"に遡り、さらにその源はラテン語の"extraneus"(外の、異質な)にあります。"extraneus"は"extra"(外へ)という接頭辞と、場所を示す接尾辞"-aneus"から構成されています。つまり、元々は「外部から来た」「見慣れない」という意味合いを持っていました。この「外から来た」という感覚が、「奇妙な」「不慣れな」という意味へと発展していったのです。たとえば、初めて海外旅行に行った際に感じる「ストレンジ」な感覚は、まさにこの語源を反映しています。日本語で例えるなら、「よそ者」という言葉が持つニュアンスに近いかもしれません。見慣れないもの、いつもと違うものに対して抱く違和感や驚きが、「strange」という単語に込められているのです。
暗記法
「strange」は異質なものへの不安と好奇心の表れ。中世では見慣れない者は脅威と見なされ、「strange」は危険と隣り合わせでした。魔女狩りもその一例。しかし大航海時代、「strange lands」は探求心を刺激し、SFやファンタジーでは未知の魅力として描かれます。現代では多様性理解の鍵。異質なものを受け入れる姿勢こそが、新たな発見に繋がるのです。
混同しやすい単語
『strange』と『strong』は、どちらも比較的短い単語で、子音のクラスター(str-)から始まるため、発音とスペルの両方で混同しやすいです。意味は全く異なり、『strong』は『強い』という意味の形容詞です。日本人学習者は、/eɪ/と/ɒ/の母音の違いを意識して発音練習することが重要です。また、意味の違いを明確に理解することで、文脈に応じた適切な単語選択ができるようになります。
『strange』と『range』は、最後の部分(-ange)が共通しているため、スペルミスが起こりやすいです。『range』は『範囲』や『射程』といった意味の名詞、または『及ぶ』といった意味の動詞として使われます。発音も似ていますが、最初の音が異なります。注意点として、スペルに惑わされず、文脈から意味を判断することが大切です。語源的には、『range』は古フランス語の『rangier』(並べる)に由来し、『strange』とは全く異なるルーツを持っています。
『strange』と『stranger』は、スペルが非常に似ており、どちらも『str-』で始まるため混同しやすいです。『stranger』は『見知らぬ人』という意味の名詞であり、品詞が異なります。日本人学習者は、語尾の『-er』の有無に注意し、それぞれの単語が文中でどのように機能するかを理解することが重要です。例えば、『He is a stranger.』と『That's strange.』のように使われ方が異なります。
『strange』と『strain』は、どちらも『str-』で始まる短い単語であり、発音とスペルの両方で混同される可能性があります。『strain』は『緊張』、『負担』、『系統』などの意味を持つ名詞、または『引っ張る』、『酷使する』などの意味を持つ動詞です。日本人学習者は、/eɪ/と/eɪ/の発音の違い、および文脈から意味を判断することが重要です。また、語源的に見ると、『strain』はラテン語の『stringere』(引っ張る)に由来し、『strange』とは異なる起源を持ちます。
『strange』と『strength』は、どちらも子音クラスター『str-』から始まるため、特に発音が曖昧な場合に混同される可能性があります。『strength』は『強さ』という意味の名詞であり、品詞が異なります。日本人学習者は、語尾の『-ngth』の発音に注意し、それぞれの単語が文中でどのように機能するかを理解することが重要です。例えば、『He has great strength.』と『That's strange.』のように使われ方が異なります。また、綴りが長い分、スペルミスにも注意が必要です。
『strange』と『arrange』は、どちらも複数の音節から構成され、語尾の『-ange』を共有しているため、スペルと発音の両方で混同される可能性があります。『arrange』は『手配する』、『配置する』という意味の動詞です。日本人学習者は、単語の最初の部分の発音の違い(/əˈreɪndʒ/ vs /streɪndʒ/)に注意し、それぞれの単語が文中でどのように機能するかを理解することが重要です。例えば、『I will arrange a meeting.』と『That's strange.』のように使われ方が異なります。
誤用例
日本語の『〜するのは奇妙だ』という構文を直訳すると、英語ではしばしば不自然になります。この場合、形式主語の『it』を使用し、『I felt it strange』とするのがより自然な英語表現です。これは、英語では感情を表す形容詞が、直接的に動詞の目的語になることを避ける傾向があるためです。日本語の『奇妙だ』という感覚を英語で表現する際には、英語特有の構文を意識する必要があります。
『strange』は単に『奇妙な』という意味ですが、時にネガティブなニュアンスを含むことがあります。家族構成や関係性がユニークであることを伝えたい場合、より中立的で肯定的なニュアンスを持つ『eccentric(風変わりな、型破りな)』を使う方が適切です。日本人は『strange』を安易に『変わった』という意味で使いがちですが、英語では相手に不快感を与えないよう、言葉の選択に注意が必要です。特に家族や性格など、人に関する事柄を述べる際は、慎重な言葉選びが求められます。
『strange』と『odd』はどちらも『奇妙な』という意味ですが、ニュアンスに違いがあります。『strange』はより強く、予想外で理解しがたい事柄に使われることが多いです。一方、『odd』は少しばかり普通と違う、という程度のニュアンスで、日常的な場面でより自然に使われます。パーティーに来なかったという状況は、少しばかり予想外ではあるものの、必ずしも理解不能な事態ではないため、『odd』を使う方が適切です。日本語ではどちらも『奇妙』と訳されるため、学習者は混同しやすいですが、英語では状況に応じて使い分ける必要があります。
文化的背景
「strange」は、単に「奇妙な」という意味を超え、文化的には「異質なもの」「理解を超えたもの」に対する人間の根源的な不安や好奇心を象徴する言葉です。それは、見慣れない風景、未知の人物、説明のつかない出来事など、日常から逸脱したあらゆるものに付きまとう感情と深く結びついています。
中世ヨーロッパにおいて、見知らぬ旅人や異邦人はしばしば「strange」な存在として警戒されました。村社会の結束が固い時代、外部からの流入者は未知の病や思想を持ち込む可能性があり、共同体の秩序を乱す脅威と見なされたのです。そのため、「strange」はしばしば「危険」「不吉」といったネガティブなニュアンスを帯びて使われました。魔女狩りの時代には、異質な知識や行動を持つ女性が「strange」であるという理由で迫害された例もあります。この背景には、既成概念や規範から逸脱するものを排除しようとする社会の心理が働いていたと言えるでしょう。
一方、「strange」は同時に、探求心や冒険心を刺激する言葉でもあります。大航海時代、探検家たちは「strange lands(見知らぬ土地)」を目指し、未知の世界へと足を踏み入れました。そこには、富や名声だけでなく、人間の知識の限界を押し広げたいという強い欲求がありました。SF小説やファンタジー作品では、「strange」な世界や生物が頻繁に登場し、読者の想像力を掻き立てます。これらの作品における「strange」は、未知の可能性を秘めた魅力的な存在として描かれることが多いと言えるでしょう。
現代社会においても、「strange」は多様性や異文化理解の文脈で重要な意味を持ちます。グローバル化が進むにつれて、私たちはこれまで以上に「strange」な文化や価値観に触れる機会が増えました。重要なのは、「strange」なものを排除するのではなく、理解しようと努める姿勢です。「strange」なものを受け入れることは、自己の視野を広げ、新たな発見へと繋がる第一歩となるでしょう。この言葉は、異質なものに対する恐れと好奇心、そして理解への希望という、人間の複雑な感情を映し出す鏡なのです。
試験傾向
1. 出題形式: 語彙問題、長文読解、リスニング。
2. 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。特に長文読解でよく見られる。リスニングでも稀に出題。
3. 文脈・例題の特徴: 幅広いトピックで登場するが、物語やエッセイなど、人の感情や状況を描写する文脈で多い。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 形容詞としての「奇妙な、見慣れない」という意味だけでなく、動詞「よそよそしくする」という意味も押さえておくこと。'stranger'(見知らぬ人)との関連も意識。
1. 出題形式: Part 5 (短文穴埋め)、Part 7 (長文読解)。
2. 頻度と級・パート: TOEIC全体で考えると中程度の頻度。Part 7の長文で、状況を説明する際に使われることがある。
3. 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンでの「奇妙な出来事」や「予想外の状況」を説明する際に使われることが多い。例:'It's strange that the client hasn't responded yet.'
4. 学習者への注意点・アドバイス: フォーマルな文脈では、より丁寧な表現('unusual', 'peculiar')が好まれる場合がある。TOEICでは、文脈に合った適切な語を選ぶ練習が重要。
1. 出題形式: リーディングセクション(長文読解)。
2. 頻度と級・パート: アカデミックな内容を扱うリーディングセクションで、比較的頻繁に出題される。
3. 文脈・例題の特徴: 社会科学、自然科学など、幅広い分野の学術的な文章で、異常な現象や特異な事例を説明する際に使われる。例:'It is strange that the data contradicts the established theory.'
4. 学習者への注意点・アドバイス: 単語の意味だけでなく、文章全体の内容を理解することが重要。類義語('odd', 'uncommon', 'anomalous')とのニュアンスの違いも意識し、文脈に合った適切な語を選ぶ練習をすること。
1. 出題形式: 長文読解、語彙・イディオム問題。
2. 頻度と級・パート: 大学によって異なるが、難関大学ほど長文読解で頻繁に出題される。語彙問題としても稀に出題。
3. 文脈・例題の特徴: 幅広いテーマの文章で使われる。物語、評論、科学記事など、様々な文脈で登場する。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習が重要。類義語('odd', 'peculiar', 'weird')との違いを理解し、文脈に合った適切な語を選ぶこと。また、派生語('strangely', 'strangeness')も覚えておくと役立つ。