sincere
第一音節の /ɪ/ は日本語の「イ」よりも口を少し開いて発音します。第二音節の強勢(ˈ)に注意し、そこを一番強く発音してください。最後の /ər/ は、舌を丸めるか、舌先を少し上げて発音する曖昧母音です。日本語の「ア」に近いですが、喉の奥から響かせるイメージです。
心からの
表面的なものではなく、本当にそう思っている気持ちを表す。嘘や偽りがない状態。手紙や謝罪など、気持ちを伝える場面でよく使われる。例えば、'sincere apologies'(心からの謝罪)のように使う。
She gave a sincere thank you to her friend for helping her move.
彼女は引っ越しを手伝ってくれた友人に、心からの感謝を伝えました。
※ この例文は、誰かの助けに対して、心底から感謝している場面を描いています。言われた側も「本当にありがとうと思ってくれているんだな」と感じるような、温かい感謝の気持ちが伝わってきますね。'sincere thank you' は「心からの感謝」という、非常に自然でよく使われる表現です。
He made a sincere apology for breaking the valuable vase.
彼は高価な花瓶を割ってしまったことに対し、心から謝罪しました。
※ 何か間違いを犯してしまった時に、ただ形だけの謝罪ではなく、本当に申し訳ないという気持ちがこもった謝罪の場面です。高価なものを壊してしまったという状況が、彼の誠実な気持ちをより際立たせています。'sincere apology' は「心からの謝罪」という意味で、この単語が使われる代表的な組み合わせの一つです。
Her eyes showed a sincere desire to help others.
彼女の目は、心から人を助けたいという願いを表していました。
※ この例文では、言葉だけでなく、目つきや表情からその人の「本心からの願い」が伝わってくる様子を描いています。人の内面にある、偽りのない純粋な気持ちを表現するのに 'sincere' が使われます。'sincere desire'(心からの願い)や 'sincere effort'(誠実な努力)のように、気持ちや行動の質を表す際によく使われます。
誠実な
言動や態度が一貫して正直で、信頼できる様子。人を評価する際に使われることが多い。例えば、'a sincere person'(誠実な人)のように使う。
Our new colleague is always sincere, and everyone trusts him.
私たちの新しい同僚はいつも誠実で、みんな彼を信頼しています。
※ この例文は、新しい環境で人柄が評価される場面を描いています。同僚が常に「誠実」であるため、周りの人が安心して彼を「信頼」している様子が伝わります。sincereは、人の性格や態度が嘘偽りなく、正直であることを表すのにぴったりです。特に、時間をかけて築かれる信頼関係の中で使われることが多いでしょう。
She gave her sincere thanks for our help.
彼女は私たちの助けに対して、心からの感謝を伝えました。
※ 誰かに助けてもらった後、感謝の気持ちを伝える場面です。sincereをthanks(感謝)の前に置くことで、「心からの」「偽りのない」感謝であることを強調しています。形だけの感謝ではなく、本当に深く感謝している気持ちが伝わる、温かいシーンを想像してみてください。日常会話でも、誰かに真剣に感謝したいときに使える表現です。
His apology was very sincere, so she forgave him.
彼の謝罪はとても誠実だったので、彼女は彼を許しました。
※ この例文は、喧嘩や誤解があった後に、誠実な謝罪によって関係が修復される場面を描いています。彼の謝罪が「誠実」だったため、相手の女性はそれを受け入れ、彼を「許した」のです。sincereは、言葉だけでなく、その背後にある真剣な気持ちや態度が伝わる場合に特に使われます。相手に自分の気持ちが本物だと伝えたい時に役立つ単語です。
コロケーション
心からの謝罪
※ 単に'apology'と言うよりも、謝罪の気持ちが真実で偽りがないことを強調する際に用いられます。ビジネスシーンやフォーマルな場面で、相手に誠意を伝えたい場合に適しています。例えば、顧客への不手際に対する謝罪や、公式な声明などで使われます。'heartfelt apology'も同様の意味で使えますが、'sincere'の方がややフォーマルな印象を与えます。
心からの感謝
※ 'gratitude'(感謝)という名詞を修飾し、感謝の気持ちが本物であることを強調します。単に'thank you'と言うよりも、深い感謝の念を伝えたい時に用います。手紙やメール、スピーチなど、様々な場面で使えます。'deep gratitude'や'profound gratitude'も同様の意味で使えますが、'sincere'はより自然で汎用性が高い表現です。
心からの信念
※ ある考えや主義を本当に信じていることを表します。単に'belief'と言うよりも、その信念が揺るぎないものであることを強調します。宗教、政治、哲学など、信念が重要な意味を持つ文脈でよく用いられます。例えば、'I have a sincere belief in the power of education.'(私は教育の力を心から信じている)のように使います。
真摯な努力
※ 単に'effort'(努力)と言うよりも、その努力が本気で真剣であることを強調します。目標達成のために誠実に取り組む姿勢を示す際に用いられます。ビジネスシーンや学業において、自分の努力をアピールする際に効果的です。例えば、'I made a sincere effort to meet the deadline.'(私は締め切りに間に合わせるために真摯な努力をした)のように使います。
心からの哀悼の意
※ 誰かが亡くなった際に、遺族や близким(親しい人々)に対して、心からの哀しみの気持ちを伝えるフォーマルな表現です。葬儀、手紙、メールなどで用いられます。単に'condolences'と言うよりも、より丁寧で心のこもった印象を与えます。'Please accept my sincere condolences.'(心よりお悔やみ申し上げます)という形で使われることが多いです。
誠実な意図
※ ある行動や計画の背後にある意図が、誠実で偽りがないことを意味します。ビジネスシーンや法律関連の文書で、誤解を避けるために用いられることがあります。例えば、「契約書にサインしたのは、誠実な意図に基づいている」のように使います。'good intention'も似た意味ですが、'sincere intention'はよりフォーマルで、客観性を強調するニュアンスがあります。
真摯な献身
※ ある目標や組織に対して、心から貢献しようとする姿勢を表します。単に'commitment'(献身)と言うよりも、その献身が本物であることを強調します。ビジネス、ボランティア活動、個人的な目標など、様々な場面で使えます。例えば、'I have a sincere commitment to environmental protection.'(私は環境保護に真摯な献身を誓います)のように使います。
使用シーン
学術論文や研究発表で、研究者の姿勢や結果の信頼性を強調する際に使われます。例えば、「研究者はデータに対して誠実な解釈を行った (The researcher provided a sincere interpretation of the data)」のように、客観性と倫理観が求められる文脈で用いられます。心理学や社会学の研究で、アンケート回答者の正直さや、インタビュー対象者の語りが真実に基づいていることを示す場合にも使われます。
ビジネスシーンでは、フォーマルな文書やプレゼンテーションで、信頼関係の構築や誠意を示す目的で使用されます。例えば、「私たちは顧客のニーズに誠実に応えます (We are sincere in our commitment to meeting customer needs)」のように、企業の姿勢や顧客への約束を表現する際に用いられます。また、謝罪文などで、心からの謝罪を伝える際にも使用されますが、日常的なビジネス会話ではあまり使われません。
日常会話では、やや硬い印象を与えるため、頻繁には使われません。しかし、親しい間柄で、感謝の気持ちや友情の深さを強調したい場合などに用いられることがあります。例えば、「あなたの親切に心から感謝します (I am sincerely grateful for your kindness)」のように、改まった場面や、特別な感情を伝えたいときに用いられます。ニュースやドキュメンタリーでは、インタビュー対象者の誠実な人柄や証言の信憑性を伝えるために使用されることがあります。
関連語
類義語
事実を曲げずに語る、嘘をつかないという意味で、人や行動、発言などが真実に基づいていることを表します。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使用されます。 【ニュアンスの違い】"Honest" は事実に基づいているかどうかに重点を置き、客観的な真実を語ることを意味するのに対し、"sincere" は心からの気持ちや感情に基づいているかどうかに重点を置きます。"Honest" はしばしば倫理的な観点から評価されます。 【混同しやすい点】"Honest" は事実の正確さを強調するため、"an honest mistake"(正直な間違い)のように、意図的ではない誤りに対しても使われます。"Sincere mistake" は通常使いません。
本物である、偽物ではないという意味で、人柄や感情、物事などが偽りなく、本来の姿であることを表します。芸術作品や人間関係など、多岐にわたる場面で使用されます。 【ニュアンスの違い】"Genuine" は外見だけでなく、内面的な真実性や信頼性を示唆します。"Sincere" が感情の真実性を強調するのに対し、"genuine" は全体的な信頼性や真正性を強調します。例えば、"genuine leather"(本革)のように、物の品質を表す際にも使われます。 【混同しやすい点】人の性格を表現する際、"genuine" は飾らない、自然体であることを意味することが多く、"sincere" が持つ熱意や感情の深さとは少し異なります。"Genuine interest"(心からの興味)は、"sincere interest" とほぼ同義ですが、"genuine" はより客観的な印象を与えます。
真剣で熱心な様子を表し、目標達成や課題解決に向けて真摯に取り組む姿勢を示します。ビジネスや学術的な場面で、努力や献身的な態度を強調する際に用いられます。 【ニュアンスの違い】"Earnest" は行動や態度に現れる真剣さを強調し、しばしば努力や決意を伴います。"Sincere" が内面の感情に重点を置くのに対し、"earnest" は外面的な行動に重点を置きます。例えば、"an earnest student"(真面目な学生)のように使われます。 【混同しやすい点】"Earnest" はしばしば形式的な文脈で使用され、日常会話ではやや硬い印象を与えることがあります。"Sincere" はより幅広い場面で使用できます。また、"earnest" は名詞としても使用され、"in earnest"(本気で)という表現があります。
率直で隠し事がないという意味で、思ったことをストレートに伝える様子を表します。議論や意見交換など、直接的なコミュニケーションが求められる場面で用いられます。 【ニュアンスの違い】"Frank" は遠慮なく意見を述べることを意味し、時に相手を傷つける可能性も含まれます。"Sincere" が感情の真実性を表すのに対し、"frank" は言葉の直接性を表します。"Frankly speaking"(率直に言って)という表現は、これから述べる内容が遠慮のない意見であることを示唆します。 【混同しやすい点】"Frank" は相手に不快感を与える可能性があるため、使用する際には注意が必要です。"Sincere" は通常、相手に好意的な印象を与えますが、"frank" は状況によっては無神経と受け取られることがあります。また、"frank" はしばしば批判的な意見を述べる際に用いられます。
包み隠さず、率直に意見や感情を述べる様子を表します。インタビューや証言など、真実を語ることが求められる場面で用いられます。 【ニュアンスの違い】"Candid" は "frank" と同様に率直さを意味しますが、より客観的で公平な印象を与えます。"Sincere" が感情の真実性を強調するのに対し、"candid" は事実の正確さを重視します。例えば、"a candid interview"(率直なインタビュー)のように使われます。 【混同しやすい点】"Candid" はしばしば公的な場面で使用され、個人的な感情よりも事実に基づいた意見を述べる際に適しています。"Sincere" はより個人的な感情を表現する際に適しています。また、"candid" は写真撮影において、自然な表情を捉えるという意味でも使用されます。
- forthright
率直で直接的な態度を表し、曖昧さを避け、明確に意思表示する様子を示します。ビジネス交渉や紛争解決など、誤解を避けるために明確なコミュニケーションが求められる場面で用いられます。 【ニュアンスの違い】"Forthright" は "frank" や "candid" と同様に率直さを意味しますが、より積極的で断固とした印象を与えます。"Sincere" が感情の真実性を表すのに対し、"forthright" は意思の明確さを表します。"A forthright manner"(率直な態度)のように使われます。 【混同しやすい点】"Forthright" は時に強引な印象を与える可能性があるため、相手の感情に配慮する必要があります。"Sincere" は通常、相手に好意的な印象を与えますが、"forthright" は状況によっては対立を生む可能性があります。また、"forthright" はしばしばビジネスや政治的な文脈で使用されます。
派生語
『誠実に』という意味の副詞。『sincere』に副詞語尾『-ly』が付いた形。手紙やメールの結びの言葉、スピーチなど、フォーマルな場面で相手への敬意を示す際に用いられる。日常会話でも使われるが、やや丁寧な印象を与える。
『誠実さ』『正直さ』という意味の名詞。『sincere』に名詞語尾『-ity』が付いた形。抽象的な概念を表すため、ビジネス文書や学術論文など、客観性や信頼性が求められる場面でよく用いられる。人の内面的な性質や行動原理を評価する際に使われることが多い。
- insincere
接頭辞『in-(否定)』が付き、『不誠実な』という意味になる形容詞。『sincere』の対義語として用いられるが、単なる否定ではなく、意図的な欺瞞や偽りを含意することが多い。日常会話からビジネスシーンまで幅広く用いられ、相手の言動に対する不信感を表明する際に使われる。
反意語
『不正直な』という意味の形容詞。『honest(正直な)』に、否定の接頭辞『dis-』が付いた形。『sincere』が内面の誠実さを表すのに対し、『dishonest』は言動における不正や欺瞞を強調する。ビジネスや法律、日常会話など、幅広い文脈で用いられる。
『偽善的な』という意味の形容詞。『hypocrite(偽善者)』の形容詞形。外見上は道徳的・誠実に見せかけながら、実際には異なる意図や行動を持つことを指す。『sincere』が真実の感情や意図を表すのに対し、『hypocritical』は意図的な欺瞞や偽りを強調する。政治、宗教、人間関係など、倫理的な判断が求められる文脈で用いられる。
『人工的な』『不自然な』という意味の形容詞。『sincere』が自然で真実の感情を表すのに対し、『artificial』は意図的に作り上げられた、本物ではない状態を指す。感情や態度に対して用いられる場合、『sincere』の対義語として機能し、表面的な誠実さや感情の欠如を意味する。演劇、美術、人間関係など、幅広い文脈で用いられる。
語源
「sincere(心からの、誠実な)」は、ラテン語の「sincerus」に由来します。この「sincerus」は、「sine cera」という句から来ていると考えられています。「sine」は「〜なしに」を意味し、「cera」は「蝋(ろう)」を意味します。つまり、直訳すると「蝋なしに」となります。古代ローマ時代、彫刻や陶器などの欠陥を蝋で埋めてごまかすことがありました。しかし、質の高い製品は蝋でごまかす必要がないため、「sine cera」、つまり「蝋なしの」状態が、純粋で誠実な状態を表す言葉として使われるようになったのです。現代英語の「sincere」も、この「ごまかしのない、純粋な」というニュアンスを受け継ぎ、「心からの、誠実な」という意味で使われています。日本語で例えるなら、「生粋(きっすい)の」という言葉が近いかもしれません。混ぜ物やごまかしのない、本質的な誠実さを表す言葉として理解できます。
暗記法
「sincere」は、古代ローマの職人が蜜蝋で欠陥を隠さず、石の真実を尊重したことに由来します。外面だけでなく内面の真実を大切にする姿勢は、社会の信頼の基盤でした。シェイクスピアは作品で誠実な人物を描き、ルソーは自己開示の重要性を説きました。現代でも誠実さは不可欠ですが、情報過多な社会では、行動を通して見極められます。困難な状況でも信念を貫く人こそ、真に「sincere」と言えるでしょう。
混同しやすい単語
『sincere』に否定の接頭辞『in-』がついた単語。スペルは非常に似ており、意味は反対の『不誠実な』となるため、文脈をよく見て判断する必要がある。接頭辞に注意することで意味を間違えることを防げる。
発音が非常に似ており、特にカタカナ英語に慣れていると区別が難しい。『censure』は『非難する』という意味の動詞または名詞。スペルも似ているため、文脈で判断する必要がある。/s/と/ʃ/の音の違いを意識すると良い。
『sincere』とは語源が異なるが、スペルと発音が似ているため混同しやすい。『sensor』は『感知器、センサー』という意味の名詞。発音記号は/ˈsensər/で、アクセントの位置が異なる点に注意。カタカナ語として馴染みがあるため、意味の混同は少ないかもしれないが、スペルミスに注意。
スペルの一部が共通しており、発音も最初の音が似ているため混同しやすい。『since』は『〜以来』『〜なので』という意味の接続詞・前置詞・副詞。文法的な役割が全く異なるため、文構造を見れば区別可能。ただし、早とちりしないように注意。
発音が似ており、特に語尾の曖昧な母音の響きが混乱を招きやすい。『serene』は『穏やかな、静かな』という意味の形容詞。スペルは異なるが、音の印象から連想してしまう可能性がある。語源的には『晴れ晴れとした』という意味合いがあり、sincereとは異なる。
『sincere』とは語源が異なるが、スペルの一部と発音が似ているため混同しやすい。『assure』は『保証する、安心させる』という意味の動詞。発音記号は/əˈʃʊr/で、アクセントの位置が異なる点に注意。語源的には『確実にする』という意味合いがあり、sincereとは異なる。
誤用例
日本語の『〜に誠実だ』という表現に引きずられ、be動詞 + sincere + to不定詞という形にしてしまう誤りです。sincereは形容詞であり、この構文は不自然です。正しくは、sincerely(副詞)を使って『心から〜する』と表現します。英語では、感情や意見の表明を強調する場合、副詞を動詞の前に置くことが一般的です。また、sincereは『誠実な人柄』を表すのに適しており、意見を述べる際にはsincerelyを使う方がより適切です。文化的な背景として、英語では意見を率直に述べる傾向があり、その誠実さを強調するために副詞が用いられます。
sincere apology自体は文法的に誤りではありませんが、謝罪の文脈では、より感情がこもっていることを示唆するheartfelt apology(心からの謝罪)の方が適切です。sincereは『嘘偽りのない』という意味合いが強く、客観的な誠実さを表します。一方、heartfeltは『心の底からの』という意味合いが強く、感情的な深さを表します。日本人が『誠実な謝罪』という言葉を使う場合、相手の感情に寄り添うニュアンスを含むことが多いですが、英語のsincereにはそのニュアンスが薄いため、heartfeltを使う方がより意図に近くなります。日本語の『誠実』という言葉が持つ多義性が、英語のsincereの誤用につながる典型的な例です。
sincereは一般的に『誠実な』という意味ですが、この文脈では『率直な』という意味合いで使おうとしています。しかし、sincereは人柄が誠実であることを表すのに対し、candidは考えや意見を率直に述べることを表します。日本人が『誠実な人だから、思っていることを何でも言う』と考える場合、それは『正直で隠し事がない』という意味合いが強いですが、英語のsincereは必ずしも『率直さ』を意味しません。むしろ、sincereは『約束を守る』『責任感がある』といった意味合いが強く、発言内容の率直さとは必ずしも結びつきません。文化的背景として、英語では率直さは必ずしも美徳とはされず、状況によってはdiplomatic(外交的な)な態度が求められるため、candidを使う際には注意が必要です。
文化的背景
「sincere(誠実な)」という言葉は、単なる個人的な性格を表すだけでなく、社会的な信頼と倫理観の基盤を象徴します。その語源から、古代ローマにおける誠実さの重要性、そしてそれが西洋社会の価値観にどのように根付いていったのかを見てみましょう。
古代ローマにおいて「sincere」の語源とされる「sine cera(蜜蝋なしで)」は、彫刻の修復における誠実さを指していました。欠陥を隠すために蜜蝋を使うのではなく、石そのものの真実を尊重する姿勢は、単なる技術的な問題を超え、職人の倫理観、そして社会全体の信頼を象徴していました。この背景から、「sincere」は、外面だけでなく内面の真実を大切にする姿勢、つまり偽りやごまかしのない誠実さを意味するようになったのです。古代ローマ社会では、公共の場での発言や契約において誠実さが非常に重要視され、「sincere」な人物は信頼に足る人物として尊敬を集めました。政治家や法律家にとって、「sincere」であることは、人々の支持を得るための不可欠な要素だったのです。
時を経て、「sincere」は文学作品や哲学においても重要な概念として扱われるようになります。例えば、シェイクスピアの作品には、「sincere」な登場人物とそうでない登場人物が対比的に描かれることが多く、読者は登場人物の誠実さを通して、人間の本質や社会のあり方について深く考えるきっかけを与えられます。また、啓蒙思想の時代には、「sincere」な感情や思考が重視され、理性だけでなく感情の正直さも人間の美徳として認識されるようになりました。ルソーは、自己の内面を率直に表現することの重要性を説き、「sincere」な自己開示が人間関係や社会全体の信頼を築く上で不可欠であると主張しました。
現代社会においても、「sincere」は依然として重要な価値観です。ビジネスの世界では、顧客や従業員に対する誠実さが企業の信頼性を高める上で不可欠であり、政治の世界では、国民に対する誠実さが政治家の正当性を裏付ける上で重要な要素となります。しかし、現代社会は情報過多であり、巧妙な宣伝や偽情報が溢れているため、「sincere」であることの重要性はますます高まっています。人々は、表面的な言葉だけでなく、行動や態度を通して相手の誠実さを見極めようとします。真に「sincere」な人物は、困難な状況においても自分の信念を貫き、常に正直であろうと努力する人であり、そのような人物は、社会において大きな信頼と尊敬を集めるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題(短文空所補充)で出題。長文読解でも文脈理解を問う形で登場する可能性あり。
- 頻度と級・パート: 準1級・1級で頻出。2級でもまれに出題される。
- 文脈・例題の特徴: フォーマルな場面、手紙やスピーチなど。例:"a sincere apology", "sincere gratitude"
- 学習者への注意点・アドバイス: 形容詞としての用法が基本。名詞形"sincerity"も重要。"genuine"や"earnest"など、意味が近い語との使い分けを意識。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)で出題。語彙問題、文脈推測問題。
- 頻度と級・パート: Part 5, 7で比較的頻出。特にビジネスレターやメールなどの形式で登場しやすい。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンでの謝罪、感謝、提案など。例:"sincere thanks", "sincere efforts"
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスにおける丁寧な表現として用いられることが多い。類義語の"authentic"との違い(sincereは感情、authenticは真実性)を理解する。
- 出題形式: リーディングセクションで頻出。語彙問題、文脈推測問題、言い換え問題。
- 頻度と級・パート: リーディングセクションで頻出。特にアカデミックな文章で登場しやすい。
- 文脈・例題の特徴: 学術論文、研究発表、歴史的文書など。抽象的な概念や感情を表現する際に用いられる。
- 学習者への注意点・アドバイス: アカデミックな文脈での使用頻度が高い。名詞形"sincerity"も重要。類義語との微妙なニュアンスの違いを理解することが重要。
- 出題形式: 長文読解問題で頻出。文脈理解、内容一致問題、同意語選択問題など。
- 頻度と級・パート: 難関大学ほど頻出。標準的な大学でも出題される可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語文、説明文など幅広いジャンルで登場する。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する能力が重要。類義語との比較、反意語(insincere)も覚えておくと有利。