possess
最初の音 /pə/ は、日本語の『パ』よりも弱く、曖昧母音に近い音です。アクセントは2つ目の音節 /zes/ にあります。最後の /s/ は無声音で、日本語の『ス』よりも息を強く出すように発音するとより自然です。
専門的な内容に関するご注意
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所有する
財産や権利などを自分のものとして持つこと。物理的な所有だけでなく、能力や性質などを備えていることも含む。やや硬い表現。
The little boy proudly possesses a rare collection of action figures.
その小さな男の子は、珍しいアクションフィギュアのコレクションを誇らしげに持っています。
※ この例文では、男の子が自分の大切なコレクションを「所有している」ことを誇りに思っている様子が伝わります。単に「持っている(has)」と言うよりも、「possess」を使うことで、その物が彼にとって特別で、大切に「自分のものとしている」という気持ちが強調されます。子供が大事なおもちゃを誰にも触らせたくない、といった感情が想像できますね。
Our company legally possesses the land where the new factory will be built.
私たちの会社は、新しい工場が建てられる土地を法的に所有しています。
※ 「possess」は、このように土地や建物など、法的な所有権を強調する文脈でよく使われます。「legally(法的に)」という言葉が加わることで、その所有が正式なものであることを明確に示しており、ビジネスや公式な場面で非常に自然な表現です。工場建設という具体的な計画と結びつくことで、よりリアルな情景が浮かびます。
She possesses a unique talent for playing the piano beautifully.
彼女はピアノを美しく弾くというユニークな才能を持っています。
※ 「possess」は、物理的な物だけでなく、才能や知識、能力といった抽象的なものを「持っている」と表現する際にも使われます。この例文では、彼女が生まれつき特別な才能を「備えている」というニュアンスが伝わり、単に「She has a talent...」と言うよりも、その才能が彼女に深く根付いている感じが強調されます。美しいピアノの音色が聞こえてくるような場面です。
取り憑く
悪霊や妄念などが人にまとわりつき、精神を支配するような状態。ホラーやファンタジー作品でよく使われる。
The old man's eyes looked empty, as if a dark spirit possessed him.
その老人の目は虚ろで、まるで暗い霊に取り憑かれているかのようだった。
※ 薄暗い部屋で、どこか遠くを見つめる老人の虚ろな目。彼の体が、彼自身の意志ではない何かによって動かされているような、ぞっとする光景です。「possess」が「取り憑く」という意味で使われる最も典型的な場面は、幽霊や悪霊などが人や場所を支配する時です。この例文は、その超自然的な力が人の心や体を乗っ取る様子を鮮やかに描いています。「as if ~」は「まるで~のように」という意味で、現実ではないことを表現する時によく使われます。
A terrible fear possessed her completely in the dark room.
暗い部屋で、恐ろしい恐怖が完全に彼女に取り憑いた。
※ 真っ暗な部屋で一人、彼女の心臓は激しく打ち、体は震えています。恐怖という感情が、まるで生き物のように彼女のすべてを支配し、身動きが取れない状態です。「possess」は、このように強い感情(恐怖、怒り、悲しみなど)が人を圧倒し、その人の行動や思考を支配する様子を表す際にも使われます。この例文は、感情が「取り憑く」ように人を支配する様子を鮮やかに描いています。この場合の「possess」は、感情が人を「支配する」「圧倒する」というニュアンスです。
The dream of becoming a famous artist completely possessed her heart.
有名な芸術家になるという夢が、彼女の心を完全に捉えて離さなかった。
※ 彼女は毎日、絵を描くことや新しい作品のアイデアで頭がいっぱいです。その夢は彼女の行動のすべてを突き動かし、他の何よりも優先される、まるで魔法のように心を支配している状態です。「possess」は、特定のアイデア、夢、目標、欲望などが人の心を強く支配し、その人の行動や人生を突き動かす様子を表す際にも使われます。これは、ポジティブな意味で使われる珍しい例の一つです。ここでの「possess」は「取り憑く」というよりも、「心を奪う」「強く支配する」といった意味合いで、ある目標や情熱に深く没頭している状態を表します。
抱く
感情や考えなどを心の中に持つこと。希望、恐れ、疑念など、抽象的なものを対象とする場合に適している。
Even after losing the game, the team captain still seemed to possess a quiet confidence.
試合に負けた後も、チームのキャプテンは静かな自信を抱いているように見えました。
※ この例文は、困難な状況の中でも、心の中に「静かな自信」という感情をしっかりと抱き続けている様子を描写しています。結果が出なくても、内面に秘めた感情や精神状態を表す際に「possess」が使われる典型的な例です。「seem to possess」で「~を抱いているように見える」というニュアンスを加えています。
My grandmother possesses a gentle kindness that makes everyone feel welcome.
私の祖母は、誰もが歓迎されていると感じさせるような優しい親切心を持っています。
※ ここでは、祖母が生まれつき持っている、あるいは長年の経験を通じて培ってきた「優しい親切心」という性質を抱いている様子を表しています。人の良い性格や特質、生まれ持った才能などを「持っている」「抱いている」と表現する際によく使われる形です。温かい情景が目に浮かびますね。
The young activist began to possess a strong desire to change society.
その若い活動家は、社会を変えたいという強い願望を抱き始めました。
※ この例文は、若い活動家が心の中に「社会を変えたい」という強い願望を新たに持つようになった、つまり「抱き始めた」様子を描いています。特に、強い感情、信念、目標、願望などを心に抱く際に「possess」が使われることは非常に多いです。未来への希望や決意を感じさせる場面ですね。
コロケーション
(人が特定の)性質・特質を備えている
※ 「possess」は所有するという意味ですが、「a quality」(性質、特質)と結びつくと、単に何かを持っているというより、生まれつき、あるいは努力によって身につけた特性を指すニュアンスが強くなります。例えば、「She possesses a rare intelligence」(彼女は稀有な知性を持っている)のように使います。この構文は、ビジネスシーンやフォーマルな場面で、人の能力や資質を評価する際に適しています。類語のhaveよりも、より深く、本質的な特性を表すイメージです。
必要なスキルを所有している、必要なスキルを備えている
※ 「requisite」は「必要不可欠な」という意味で、「possess」と組み合わせることで、あるタスクや職務を遂行するために必要なスキルを十分に備えていることを強調します。特に、履歴書や職務経歴書、ビジネス文書などで頻繁に使われ、応募者がそのポジションに必要な能力を持っていることを示す際に効果的です。例えば、「He possesses the requisite skills for project management」(彼はプロジェクトマネジメントに必要なスキルを備えている)のように使われます。類語のhaveよりもフォーマルで、専門性をアピールする際に適しています。
(感情、考え、悪霊などに)取り憑かれる、支配される
※ この表現は、受動態で使われることが多く、「by」の後に続くものが、主体をコントロールしている状態を示します。文字通りの意味だけでなく、比喩的にも使われ、強い感情や衝動に駆られている状態を表すことがあります。例えば、「He was possessed by a burning desire for revenge」(彼は復讐心に燃え上がっていた)のように使います。文学作品や映画などで、登場人物の心理状態を強調する際によく用いられます。日常会話では、やや大げさな表現として受け取られることもあります。
自分の魂を所有する、自制心を持つ、冷静さを保つ
※ この表現は、特に困難な状況や感情的な高ぶりの中で、自己をコントロールし、冷静さを保つことを意味します。聖書や宗教的な文脈に由来する表現で、自己の精神的な中心をしっかりと維持するイメージです。例えば、「In the face of adversity, he managed to possess his soul」(逆境に直面しても、彼は何とか冷静さを保った)のように使われます。やや古風で、文学的な響きを持つ表現ですが、深い精神性を表現する際に効果的です。類語のcontrol oneselfよりも、より内面的で精神的な意味合いが強いです。
法的権利を所有する、所有権を持つ
※ 「legal title」は「法的権利」という意味で、「possess」と組み合わせることで、不動産や財産に対する正式な所有権を持っていることを示します。法律、不動産、ビジネスの分野で頻繁に使われ、権利関係を明確にする際に重要な表現です。例えば、「She possesses a legal title to the property」(彼女はその不動産の法的権利を所有している)のように使われます。日常会話ではあまり使われませんが、法律文書や契約書などでは頻繁に登場します。類語のownよりも、法的な権利を強調するニュアンスがあります。
固有の価値を持つ、本質的な価値を持つ
※ 「inherent」は「固有の、本質的な」という意味で、「possess」と組み合わせることで、何かがそれ自体に備わっている価値を強調します。哲学、経済学、芸術などの分野でよく使われ、物の価値や人の価値を議論する際に用いられます。例えば、「Art possesses inherent value beyond its monetary worth」(芸術は金銭的価値を超えた固有の価値を持つ)のように使われます。抽象的な概念や理念について語る際に適した表現です。類語のhaveよりも、より深く、本質的な価値を表すイメージです。
使用シーン
学術論文や専門書で、ある性質や能力を「持っている」ことを示す際に使われます。例えば、心理学の研究で「被験者は特定の認知バイアスを possess している」というように、客観的な記述として用いられます。また、哲学の文脈で「人間は理性という能力を possess している」のように、抽象的な概念を説明する際にも使われます。
ビジネスシーンでは、主にフォーマルな文書やプレゼンテーションで、企業が特定の資産や能力を「所有している」ことを示す際に使われます。例えば、「当社は特許技術を possess しており、競争優位性を確立しています」のように、企業の強みを強調する際に用いられます。日常的な会話ではあまり使われません。
日常会話ではほとんど使われませんが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、例えば「美術館が貴重なコレクションを possess している」のように、所有関係を説明する際に使われることがあります。また、比喩的な意味で、「彼は強い正義感を possess している」のように、内面的な性質を表す場合もありますが、頻度は高くありません。
関連語
類義語
『所有する』という意味で、法的または一般的に所有権を持つことを示す。日常会話やビジネスシーンで広く使われる。 【ニュアンスの違い】『possess』よりも一般的で、フォーマルでない状況で使われることが多い。『own』は所有権をストレートに表現するのに対し、『possess』はより強い所有の意識や、場合によっては支配的なニュアンスを含むことがある。 【混同しやすい点】『own』は動詞としてだけでなく、形容詞としても使われる(例:my own car)。『possess』は基本的に動詞としてのみ使われる。
『持つ』という意味で、所有、所持、経験など非常に広範な意味で使われる。日常会話で最も一般的な表現。 【ニュアンスの違い】『possess』よりもずっと一般的な語で、所有のニュアンスは弱く、一時的な所持や経験なども含む。『possess』はよりフォーマルで、永続的な所有や重要な財産について使われることが多い。 【混同しやすい点】『have』は助動詞としても使われるため、文脈によって意味が大きく異なる。『possess』は所有の意味でのみ使われる。
『支配する』『制御する』という意味で、人、物、状況に対して影響力や権力を持つことを示す。ビジネス、政治、日常生活で使われる。 【ニュアンスの違い】『possess』が単に所有している状態を表すのに対し、『control』は所有しているものを使って影響力を行使したり、何かを操作したりするニュアンスがある。対象が抽象的な概念(感情、情報など)である場合に特に違いが明確になる。 【混同しやすい点】『control』は対象を支配・管理する意味合いが強く、所有権の有無は必ずしも問わない。一方、『possess』は所有権が前提となる。
『占める』という意味で、場所、時間、地位などを占有することを示す。物理的な空間だけでなく、抽象的な概念にも使われる。 【ニュアンスの違い】『possess』が所有権を示すのに対し、『occupy』は空間や地位などを占有している状態を表す。必ずしも所有権を伴わない場合もある。たとえば、『occupy a room』は部屋を一時的に使っているだけで、所有しているわけではない。 【混同しやすい点】『occupy』は他動詞であり、目的語が必要。また、物理的な空間や抽象的な概念を『占める』という意味合いが強く、『所有』の意味合いは薄い。
『保持する』という意味で、何かを維持したり、手放さずに持ち続けることを示す。ビジネス、法律、学術的な文脈で使われることが多い。 【ニュアンスの違い】『possess』が単に所有している状態を表すのに対し、『retain』は以前から持っていたものを維持し続けるニュアンスがある。また、『retain』は抽象的な概念(記憶、知識など)に対しても使われる。 【混同しやすい点】『retain』は『保持する』という意味合いが強く、新たに何かを所有するという意味合いは薄い。また、フォーマルな文脈で使われることが多い。
『自由に使える』という意味で、権力、スキル、資源などを自由に使える状態を示す。軍事、ビジネス、リーダーシップの文脈で使われる。 【ニュアンスの違い】『possess』が所有権を表すのに対し、『command』は所有しているものを使って指示を出したり、影響力を行使したりするニュアンスがある。特に、スキルや知識を『command』する場合は、それらを高度に使いこなせることを意味する。 【混同しやすい点】『command』は所有権よりも、所有しているものを自由に使える能力や権限に重点を置く。また、命令するという意味もあるため、文脈によって意味が大きく異なる。
派生語
『所有』を意味する名詞。動詞『possess』から派生し、行為(所有すること)だけでなく、所有物そのものを指す場合もある。日常会話から法律文書まで幅広く使われる。抽象的な意味合いで『憑依』の意味も持つ。
『所有欲の強い』『所有格の』を意味する形容詞。所有することへの強い欲求や、文法的な所有関係を示す。心理学や言語学の分野でも用いられる。名詞にすると『所有格』の意味になる。
『所有者』を意味する名詞。動詞『possess』に『〜する人』という意味の接尾辞『-or』が付いた形。法的な文脈や、財産に関する議論でよく用いられる。
反意語
『欠如』を意味する動詞または名詞。『possess』が何かを所有している状態を表すのに対し、『lack』は何かが欠けている状態を示す。例えば、『He possesses great wealth.』に対して『He lacks experience.』のように用いる。日常会話でもビジネスシーンでも頻繁に使われる。
『必要とする』という意味の動詞。『possess』が既に何かを持っている状態を指すのに対し、『need』は何かを必要としている、つまりまだ持っていない状態を表す。『I possess a car.』に対して『I need a vacation.』のように対比させることができる。日常会話で頻繁に使用される。
『放棄する』という意味の動詞。『possess』が何かを保持し続けることを意味するのに対し、『relinquish』は自発的に何かを手放すことを意味する。例えば、『He possessed the title for years, but eventually relinquished it.』のように用いる。ややフォーマルな表現。
語源
"possess"は、ラテン語の"possidere"(所有する、支配する)に由来します。これは"potis"(力がある、可能な)と"sedere"(座る)という二つの要素から構成されています。つまり、元々は「座って支配する力を持つ」というイメージでした。"potis"は英語の"potent"(強力な)や"possible"(可能な)の語源でもあり、力や可能性といった意味合いを含んでいます。"sedere"は「座る」という意味で、英語の"sit"(座る)と同根です。したがって、"possess"は、単に物を所有するだけでなく、その物に対して支配力や影響力を持つというニュアンスを含んでいます。例えば、「悪霊に取り憑かれる」という意味合いも、その霊が人に影響力を行使し、支配している状態を表しています。日本語の「座して天下を取る」という言葉を思い浮かべると、"possess"が持つ支配的なニュアンスを理解しやすいでしょう。
暗記法
「possess」は単なる所有を超え、権力や支配、時には超自然的な力が人や場所を支配するイメージを宿す。中世の領主が土地を「possess」するのは、経済的所有以上の権威の象徴。悪魔憑きの文脈では、外部の力に意志を奪われる恐怖を描き出す。才能を「possess」するとは、単なる技術を超え、抗いがたい内なる力の顕れ。所有欲は支配欲へと繋がり、狂気を孕む人間の深淵を覗かせる。この単語は、所有にまつわる文化的な恐怖と欲望を映し出す鏡なのだ。
混同しやすい単語
発音が似ており、特に語尾の '-cess' と '-sess' の区別が難しい。意味は『過程』や『処理』で、名詞・動詞として使われる。スペルも似ているため、文脈で判断する必要がある。processは「前へ(pro-)進む(cess)」という語源から「過程」の意味を持つ。
発音が似ており、特に語頭の 'ob-' と 'po-' の区別が難しい。意味は『取り憑く』や『妄想する』で、主に動詞として使われる。スペルも一部が似ているため、注意が必要。obsessは「~に向かって(ob-)座る(sess)」という語源から「心にまとわりつく」イメージ。
発音の最初の部分が似ており、'pos-' の音のつながりが共通しているため、混同しやすい。意味は『思う』や『仮定する』で、possessとは意味が大きく異なる。suppose は「下に(sub-)置く(pose)」という語源から「根拠を下に置く」→「仮定する」という意味合い。
発音が似ており、特に語頭の 'op-' と 'po-' の区別が難しい。意味は『反対する』で、動詞として使われる。opposeは「~に向かって(op-)置く(pose)」という語源から「対抗する」イメージ。
意味が関連しており、『所有する』という概念から連想して混同しやすい。property は『財産』や『特性』という意味の名詞であり、possess は動詞である点が異なる。語源的には、property は「固有の」という意味合いがあり、そこから「所有物」の意味に発展した。
語頭の 'de-' と 'po-' の音が似ており、発音の区別が難しい。意味は『預ける』や『保証金』で、銀行や不動産関連の文脈でよく使われる。depositは「完全に(de-)置く(posit)」という語源から「預ける」の意味に繋がる。
誤用例
日本人が「〜することを知っている」を直訳的に『possess to know』としてしまう誤用です。『possess』は所有を表す動詞であり、知識や情報を所有するという概念は不自然です。正しくは、偶然や状況によって知っていることを表す『happen to know』を使うのが適切です。背景として、英語では知識や能力は内面的な状態として捉える傾向があり、所有という外的な概念とは区別されます。この誤用は、日本語の『〜することを知っている』という表現が、英語の知識の状態を表す様々な表現(know, be aware of, happen to know)に翻訳されるべきであるという理解が不足しているために起こります。
『possess』は、財産や能力など、比較的具体的なものを所有する場合に使われます。役職や地位といった抽象的な概念には、『hold』を使う方が自然です。日本人が『possess』を選んでしまう背景には、日本語の『持つ』という言葉が、具体的な物だけでなく、抽象的な地位や権利にも使われることが影響しています。英語では、具体的な所有と抽象的な保持を区別する傾向があり、役職や地位には『hold』、責任には『bear』、権利には『have』など、より適切な動詞を選ぶ必要があります。
『possess』は、何かを強く所有している、あるいは独占しているというニュアンスを含むため、美しさのような普遍的な性質に対して使うと、やや不自然に聞こえることがあります。ここでは、単に『持っている』という意味の『have』を使う方が、自然で控えめな表現になります。日本人が『possess』を選んでしまう背景には、美しさを強調したいという気持ちがあるのかもしれませんが、英語では過剰な表現は避けられる傾向があります。特に、人の容姿に関する表現は、慎重に言葉を選ぶ必要があります。
文化的背景
「possess」は、単に物を所有するだけでなく、力や支配、あるいは超自然的な存在が人や場所を支配する強いイメージを伴う言葉です。中世の領主が土地を「possess」することは、単なる経済的な所有を超え、その土地とそこに住む人々に対する権威を意味していました。この語は、所有という概念に、権力、支配、そして時に神秘的な力を結びつける文化的背景を持っています。
「possess」は、特に悪魔憑き(demonic possession)の文脈で、文学や映画において強烈な印象を与えます。悪魔が人を「possess」するという表現は、被害者が自らの意志を失い、外部の力によって操られる状態を描写します。このイメージは、単なる精神的な病気ではなく、善と悪の壮絶な戦いを象徴するものとして、人々の恐怖心を煽り、想像力を刺激してきました。例えば、映画『エクソシスト』は、悪魔に「possessed」された少女を救うために、神父たちが悪魔祓いを行う様子を描き、世界的な大ヒットとなりました。この映画は、「possess」という言葉が持つ、目に見えない力による支配という文化的恐怖を強く反映しています。
また、「possess」は、才能や能力を「持っている」という意味でも使われますが、この場合も単なる所有とは異なり、特別な資質がその人を「取り憑いている」かのようなニュアンスを含みます。例えば、「He possesses a rare musical talent(彼は稀有な音楽的才能を持っている)」という場合、その才能は単なる技術ではなく、その人の内面から湧き出る、抗いがたい力であるかのように表現されます。このように、「possess」は、人が持つ能力や資質を、まるで超自然的な力のように捉える文化的な視点を反映しています。
さらに、「possess」は、所有欲や執着心といった感情を表す際にも用いられます。人が何かを「possess」したいと強く願うとき、それは単なる所有欲を超え、その対象を完全に支配したいという欲求を意味することがあります。この感情は、時に嫉妬や独占欲といった負の感情と結びつき、人間関係に深刻な影響を与えることがあります。このように、「possess」は、所有という概念に、人間の深い感情や欲望、そして時に狂気を結びつける、複雑な文化的意味合いを持つ言葉と言えるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 語彙問題、長文読解
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。2級でも稀に出題
- 文脈・例題の特徴: アカデミックな内容、社会問題、文化に関する文章など
- 学習者への注意点・アドバイス: 「所有する」以外に「(感情などを)抱く」という意味も重要。同義語の'own'とのニュアンスの違いを理解。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)
- 頻度と級・パート: Part 7で比較的頻出。Part 5でも稀に出題
- 文脈・例題の特徴: ビジネス関連の文章(契約書、報告書、メールなど)
- 学習者への注意点・アドバイス: 「所有する」という意味で使われることが多い。文脈から意味を判断し、類似語との使い分けを意識。
- 出題形式: リーディング
- 頻度と級・パート: リーディングセクションで頻出
- 文脈・例題の特徴: 学術的な文章(科学、歴史、社会学など)。抽象的な概念を説明する文脈でよく使われる
- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な意味合いで使われることが多い。「(性質などを)備えている」といった意味合いも理解する。類義語との置き換え問題に注意。
- 出題形式: 長文読解
- 頻度と級・パート: 難関大学で頻出。中堅大学でも出題される可能性あり
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語文など幅広いジャンルで出題される
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する力が重要。「所有する」以外の意味も考慮し、文脈に合った意味を選ぶ。派生語(possession, possessive)も覚えておく。