malicious
第2音節にアクセントがあります。/ə/ は曖昧母音で、口を軽く開けて「あ」と「う」の中間のような音を短く発音します。『リ』は日本語よりも舌を意識して、軽くはじくように発音するとよりネイティブに近くなります。/ʃ/ は「シュ」と発音しますが、唇を丸めて息を強く出すように意識しましょう。
専門的な内容に関するご注意
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悪意のある
他者を傷つけようとする意図が明確なさま。行動や発言、ソフトウェアなどが、意図的に損害を与える目的を持っていることを指す。単に意地悪なだけでなく、計画的で深刻な害意を含むニュアンス。
He sent me a malicious message late at night.
彼は夜遅く、私に悪意のあるメッセージを送ってきた。
※ この例文は、SNSやメールなどで嫌がらせのメッセージを受け取る場面を描いています。「malicious message」は、相手を傷つけたり、困らせたりする目的で送られたメッセージを指します。日常会話で「send a message」は「メッセージを送る」という、とてもよく使う表現です。
Be careful; some websites might have malicious software.
気をつけて。いくつかのウェブサイトには悪意のあるソフトウェアがあるかもしれません。
※ この例文は、インターネットを利用する際の注意喚起の場面です。「malicious software」は、コンピューターに害を与える目的で作られた、ウイルスやスパイウェアなどのプログラムを指します。助動詞「might」は「~かもしれない」と可能性を表し、注意を促す際によく使われます。
The company reported a malicious attack on its computer system.
その会社は、コンピューターシステムへの悪意のある攻撃を報告しました。
※ この例文は、企業がサイバー攻撃を受けたというニュースや報告の場面です。「malicious attack」は、データ破壊や情報盗難などを目的とした、意図的な不正アクセスや攻撃を指します。ビジネスやニュースで「report an attack(攻撃を報告する)」という形でよく使われる表現です。
たちの悪い
表面的な悪意だけでなく、根深く、簡単には解決できないような問題や状況に対して使われる。例えば、悪質なデマや詐欺など、社会に深刻な影響を与えるものに対して用いられる。
The bully had a malicious grin when he pushed the smaller boy.
そのいじめっ子は、小さい男の子を押したとき、たちの悪いニヤリとした笑みを浮かべていた。
※ いじめっ子が、弱い相手を意図的に傷つけようとする、その悪意に満ちた表情を描写しています。'grin'(ニヤリと笑う)は通常ポジティブな意味で使われますが、'malicious' と組み合わせることで「意地の悪い笑み」という、相手をぞっとさせるような情景が目に浮かびます。
My computer stopped working because of a malicious virus.
私のコンピューターは、たちの悪いウイルスによって動かなくなってしまった。
※ コンピューターウイルスは、悪意を持って作られ、システムに損害を与えることを目的としたプログラムの典型です。この例文は、予期せぬトラブルに巻き込まれ、困っている状況が伝わってきます。'because of ~' は「〜のせいで」という原因を表す便利な表現です。
She felt sad after reading a malicious email from a stranger.
彼女は知らない人からのたちの悪いメールを読んだ後、悲しくなった。
※ 見知らぬ人からの悪意あるメール(嫌がらせや誹謗中傷など)を受け取り、精神的に傷つく現代的な状況を表しています。'malicious' は、言葉や情報が人を傷つける意図を持つ場合にもよく使われます。'stranger'(知らない人)から来たことで、より不気味さや不安感が増している情景が想像できます。
コロケーション
悪意のある意図、犯意
※ 法的な文脈で非常によく用いられる表現です。単に悪い意図があるだけでなく、相手に危害を加えようとする積極的な意志があることを指します。例えば、名誉毀損訴訟において、発言者が『malicious intent(犯意)』を持って虚偽の情報を流布したかどうかは重要な争点となります。単なる間違いや誤解とは異なり、積極的に相手を傷つけようとした場合に用いられます。 'Intent' は 'intention' よりもフォーマルな響きがあります。
悪意のある噂話、陰口
※ 単なる噂話ではなく、相手を陥れたり、傷つけたりする目的で行われる悪質な噂話のこと。単に興味本位で広める噂とは異なり、悪意を持って情報を操作し、他者の評判を貶めるニュアンスが含まれます。人間関係におけるトラブルの根源となることが多く、法的責任を問われる可能性もあります。 'Gossip' は、しばしば軽蔑的な意味合いを伴います。
悪意のあるソフトウェア、マルウェア
※ コンピューターウイルス、ワーム、トロイの木馬など、コンピューターシステムに損害を与えたり、情報を盗み出したりする目的で作成されたソフトウェア全般を指します。IT業界では頻繁に使われる用語で、略して 'malware' とも呼ばれます。近年、企業や個人を標的としたマルウェア攻撃が高度化しており、セキュリティ対策の重要性が高まっています。 'Software' の代わりに 'code' が使われることもあります (malicious code)。
不当な訴追、誣告
※ 十分な根拠がないにもかかわらず、相手を陥れる目的で訴訟を起こすこと。法的権利の濫用にあたり、訴えられた側は損害賠償を請求できる場合があります。法曹界隈で使われる専門用語であり、一般の会話で使われることは稀です。 'Prosecution' は、刑事訴追だけでなく、民事訴訟にも適用されることがあります。
悪意のある従順、嫌がらせの意図を含んだ従順
※ 表面的には指示や規則に従っているように見せかけながら、実際には相手を困らせたり、システムを混乱させたりする行為を指します。例えば、上司の指示を文字通りに解釈し、意図的に非効率な方法で実行することで、結果的にプロジェクトを頓挫させるようなケースが該当します。組織心理学やビジネスの文脈で用いられることが多い表現です。皮肉や反抗のニュアンスが含まれます。
悪意のある破壊行為、器物損壊
※ 故意に他人の所有物を破壊したり、損傷させたりする行為。単なる不注意による事故とは異なり、相手に損害を与えようとする意図が伴います。法的な文脈や、保険の請求などで用いられることが多い表現です。 'Damage' は、物理的な損害だけでなく、評判の毀損など、目に見えない損害も含むことがあります。
使用シーン
学術論文や研究発表で、ソフトウェアの脆弱性や攻撃手法を分析する際に「悪意のあるコード (malicious code)」や「悪意のある攻撃者 (malicious actor)」といった表現で用いられます。また、心理学や社会学の研究で、特定の行動や意図が悪意に基づいているかを議論する文脈でも使用されます。文語的な表現が中心です。
ビジネスシーンでは、情報セキュリティに関する報告書や、法的文書などで使用されることがあります。「悪意のあるソフトウェア (malicious software)」による損害や、「悪意のある内部関係者 (malicious insider)」による情報漏洩といったリスクを説明する際に用いられます。日常的な会話よりは、公式な文書やプレゼンテーションで使われる傾向があります。
日常会話で「malicious」という単語が使われることは稀ですが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、サイバー犯罪や詐欺事件について報道する際に「悪意のあるハッカー (malicious hacker)」や「悪意のあるウェブサイト (malicious website)」といった表現で登場することがあります。一般的には、より平易な「evil」や「nasty」といった単語が使われることが多いです。
関連語
類義語
意地悪な、根性悪の。個人的な恨みや敵意から、相手を傷つけようとする意図を表す。日常会話でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"malicious"よりも個人的な感情、特に子供っぽい意地悪さや、ささやかな嫌がらせといったニュアンスが強い。計画性や深刻さは "malicious" より低い。 【混同しやすい点】"spiteful" は、より感情的な反応であり、計画的な悪意よりも突発的な行動を指すことが多い。また、"malicious" が法的な文脈で使われるのに対し、"spiteful" は日常的な人間関係で使われることが多い。
悪意のある、意地の悪い。他人に危害を加えたいという強い願望や意志を示す。フォーマルな文脈や文学作品で使われることが多い。 【ニュアンスの違い】"malicious" と同様に悪意を表すが、より深刻で根深い悪意を示す。また、"malevolent" は、超自然的な力や運命など、抽象的な存在が悪意を持つ場合にも使われる。 【混同しやすい点】"malevolent" は、単なる意地悪さではなく、より深い悪意や敵意を示唆する。また、"malicious" が具体的な行動を伴うことが多いのに対し、"malevolent" は、潜在的な悪意や邪悪な性格を指すことがある。
邪悪な、悪い。道徳的に間違っている、または非常に不快な行動や性格を表す。日常会話から文学作品まで幅広く使われる。 【ニュアンスの違い】"malicious" と比較して、より広範な悪を指す。個人の悪意だけでなく、社会的な不正や不道徳も含むことがある。また、軽いニュアンスで「いたずらな」という意味でも使われる。 【混同しやすい点】"wicked" は、必ずしも個人的な恨みや敵意に基づくものではなく、道徳的な基準からの逸脱を表すことが多い。また、"malicious" が具体的な被害を意図するのに対し、"wicked" は結果として被害が生じる場合もある。
- malignant
悪性の、有害な。病気(特に癌)や、悪影響を及ぼすものを指す。医学的な文脈や、比喩的に悪い影響を表す際に使われる。 【ニュアンスの違い】"malicious" が意図的な悪意を表すのに対し、"malignant" は、意図の有無に関わらず、有害な影響を及ぼすことを強調する。医学用語として使用されることが多い。 【混同しやすい点】"malignant" は、人の意図ではなく、その影響力に着目する。また、"malicious" が人を主語にすることが多いのに対し、"malignant" は、病気や状況などを主語にすることが多い。
残酷な、凶悪な。暴力的な行動や、道徳的に堕落した状態を表す。犯罪や動物の攻撃性などを描写する際によく使われる。 【ニュアンスの違い】"malicious" が計画的な悪意を含むのに対し、"vicious" は、より衝動的で制御不能な悪意を表す。また、"vicious" は、言葉や噂など、間接的な攻撃にも使われる。 【混同しやすい点】"vicious" は、しばしば身体的な暴力や攻撃性と結び付けられる。また、"malicious" が個人的な恨みを動機とするのに対し、"vicious" は、必ずしも動機が明確でない場合もある。
派生語
名詞で「悪意」「敵意」という意味。「malicious」の直接的な名詞形であり、その根源にある悪意そのものを指す。法律用語や文学作品で、人の内面にある悪質な意図を表現する際に用いられる。日常会話よりも、ややフォーマルな文脈で使われる傾向がある。
副詞で「悪意をもって」「意地悪く」という意味。「malicious」に副詞化の接尾辞「-ly」が付いた形。行為が悪意に基づいて行われたことを強調する。例えば、「maliciously damaged(悪意をもって破壊された)」のように動詞を修飾する。ビジネスシーンにおける不正行為の報告や、犯罪事件の報道などで見られる。
- malign
動詞で「中傷する」「悪口を言う」という意味。「mal-(悪い)」と「-lign(系統、血筋)」が組み合わさり、「悪い系統に属する」というイメージから、人の評判を悪くするという意味合いに発展した。フォーマルな文脈で使われ、特に誰かの名誉を傷つける行為を非難する際に用いられる。
反意語
「慈悲深い」「博愛の」という意味。接頭辞「bene-(良い)」が「volent(意志)」と結びつき、「良い意志を持つ」という意味合いから、「malicious(悪意のある)」とは対照的に、他者への思いやりや善意に満ちた性質を表す。慈善活動や人道支援などの文脈で頻繁に使われる。
「温和な」「良性の」という意味。「benevolent」と同様に「bene-(良い)」を語源とするが、「性質が良い」という意味合いが強い。医学用語としては「良性腫瘍」のように使われ、人の性格を指す場合は「温和で害がない」という意味になる。「malicious」が意図的な悪意を示唆するのに対し、「benign」は無害さや穏やかさを強調する。
「親切な」「優しい」という意味で、日常会話で最も一般的に使われる。「malicious」が具体的な悪意や敵意を伴うのに対し、「kind」は単に親切心や思いやりがあることを示す。フォーマルな場面では「benevolent」が好まれる一方、日常的な場面では「kind」がより自然な表現となる。
語源
「malicious」は、ラテン語の「malitia(悪意、意地の悪さ)」に由来します。さらに遡ると、「malus(悪い)」という形容詞が根底にあります。「mal-」は接頭辞として「悪い、不快な」という意味を持ち、例えば「malfunction(機能不全)」や「maltreat(虐待する)」などにも見られます。この「mal-」に、名詞を作る接尾辞「-itia」が付いて「malitia」となり、「悪意」という意味合いを強めています。英語の「malicious」は、このラテン語の「malitia」を受け継ぎ、形容詞化したものです。つまり、「malicious」は、根源的に「悪い」という性質を持つものが、具体的な「悪意」という形を取り、さらに形容詞として「悪意のある」という意味になったと理解できます。日本語で例えるなら、「邪(よこしま)」という言葉が、より具体的な悪意や意地の悪さを表す言葉になったようなイメージです。
暗記法
「malicious」は、中世の陰謀や魔女狩りの時代から、社会の暗部を映す言葉でした。妖精や悪魔の仕業とされた悪意は、人々の不安を煽り、魔女狩りでは無実の人々を陥れました。シェイクスピアの悪役イアーゴのように、嫉妬や復讐心が巧妙な悪意に変わる様も描かれてきました。現代ではデジタル世界の脅威も指しますが、根底にあるのは、いつの時代も変わらぬ人間の悪意。歴史を背景に持つ、重い言葉なのです。
混同しやすい単語
『malicious』と『melodious』は、どちらも語尾が '-ious' で終わる形容詞であり、発音が似ているため混同しやすいです。『melodious』は『メロディアスな、旋律的な』という意味で、音楽や美しい音に関連する意味合いを持ちます。日本人学習者は、文脈からどちらの単語が適切かを判断する必要があります。また、アクセントの位置も異なり、『malicious』は第二音節、『melodious』は第三音節にアクセントがあります。
『negligent』は『怠慢な、不注意な』という意味で、スペルの一部が似ているため(特に 'lig' の部分)、混同される可能性があります。意味も、悪意があるわけではないものの、結果として良くない事態を引き起こすという点で、関連性がないわけではありません。ただし、『malicious』は意図的な悪意を伴うのに対し、『negligent』は不注意による過失を指します。日本人学習者は、文脈における意図の有無に注意して区別する必要があります。
『officious』は『おせっかいな、出しゃばりな』という意味で、語尾が '-ious' で共通しており、発音も似ているため、特に聞き取りにくい場合に混同されることがあります。また、どちらの単語も、人の行動を評価する際に使われる形容詞である点も共通しています。日本人学習者は、意味の違い(悪意があるかどうか、単なるおせっかいかどうか)に注意して区別する必要があります。語源的には、『officious』は『office(役目)』から派生しており、『自分の役目以上のことをする』という意味合いがあります。
『delicious』は『美味しい』という意味で、語尾が '-ious' で終わる形容詞であるため、発音の類似性から混同されやすいです。特に、早口で話されたり、音声の質が悪い場合には聞き間違える可能性があります。意味は全く異なりますが、どちらもポジティブ/ネガティブな感情を伴う単語であるという点では共通しています。日本人学習者は、文脈から食べ物や味覚に関する話題かどうかを判断することで、区別することができます。
『fallacious』は『誤った、人を惑わす』という意味で、スペルが似ており(特に 'laci' の部分)、発音も一部共通しているため、混同されることがあります。どちらも否定的な意味合いを持ちますが、『malicious』が悪意のある行為を指すのに対し、『fallacious』は誤った考えや議論を指します。日本人学習者は、文脈が人の行為を述べているか、意見や議論を述べているかに注意することで、区別することができます。語源的には、『fallacious』は『fallacy(誤り)』から派生しています。
『malice』は『悪意』という意味の名詞で、『malicious』の語源となっている単語です。スペルが非常に似ているため、品詞の違いに注意する必要があります。『malicious』は形容詞で名詞を修飾するのに対し、『malice』は名詞として文の主語や目的語になります。日本人学習者は、文法的な構造からどちらの単語が適切かを判断する必要があります。例えば、『He acted with malice.(彼は悪意を持って行動した)』のように使われます。
誤用例
日本語の『悪意のある』という言葉から直訳すると、maliciousを『いたずら好き』のような軽いニュアンスで使ってしまうことがあります。しかし、maliciousは『悪意』の中でも、特に深刻な危害や損害を与える意図がある場合に用います。単なるいたずらや不快感を与える行為には使われません。ソフトウェアの文脈では、個人情報を盗む、システムを破壊する、金銭を奪うなど、重大な損害を与える行為に対して用いるのが適切です。日本語の『悪』は範囲が広いですが、英語のmaliciousはより深刻な悪意に限定される点を理解しましょう。
Maliciousは、行動の背後にある意図が『悪意に満ちている』ことを強調する言葉です。噂を広める行為自体が悪質であることは間違いありませんが、噂の内容が名誉毀損(defamation)に当たる場合は、defamatory rumorsを使う方が適切です。日本語では『悪質な噂』と一括りにしがちですが、英語では噂の内容(事実に基づかない、名誉を傷つける)と、噂を広める意図(悪意がある)の両方を考慮して語彙を選ぶ必要があります。この背景には、英米法における名誉毀損の概念が深く関わっており、単なる悪意だけでなく、具体的な損害賠償責任が生じる可能性も考慮する必要があるためです。
日本語では『意地悪な笑顔』という表現をそのまま英語にしようとして、malicious smileとしてしまうことがあります。しかし、maliciousは、笑顔という比較的軽い行為に対しては、重すぎるニュアンスを持ちます。より適しているのは、sardonic smile(冷笑的な笑顔)やsmirk(ニヤニヤ笑い)です。sardonicは、皮肉や軽蔑を含んだ笑顔を意味し、smirkは、自己満足や優越感を表すニヤニヤ笑いを意味します。文化的背景として、欧米では笑顔は基本的にポジティブな感情表現と捉えられます。そのため、ネガティブな感情を表す笑顔には、より具体的なニュアンスを伝える語彙を選ぶ必要があります。単に『意地悪』という言葉から発想するのではなく、どのような感情が込められているのかを深く掘り下げて考えることが重要です。
文化的背景
「Malicious」は、単なる悪意ではなく、計画的で巧妙な悪意、そして他者への深い憎しみや敵意を伴う行為を指し示す言葉です。この単語は、中世ヨーロッパにおける陰謀や裏切り、そして魔女狩りといった暗い歴史と深く結びついており、社会秩序を脅かす存在への恐れや不信感を反映しています。
中世の物語や伝説では、「malicious」な存在はしばしば妖精や悪魔として描かれました。彼らは人間の運命を操り、病気や不幸をもたらすと信じられていました。例えば、グリム童話に登場する意地の悪い妖精は、生まれたばかりの王女に呪いをかけ、王国全体を苦しめます。このような物語は、人々の間で「malicious」な行為への警戒心を高め、その背後にある邪悪な意図を暴こうとする意識を育みました。また、シェイクスピアの戯曲『オセロー』に登場するイアーゴは、「malicious」な策略によって主人公を破滅へと導く典型的な悪役です。彼の行動は、嫉妬や復讐心といった人間の暗い感情が、いかに巧妙な悪意に姿を変えるかを鮮やかに描き出しています。
さらに、魔女狩りの時代には、「malicious」という言葉は、社会から疎外された人々を糾弾するための道具として利用されました。疑わしい行動や不吉な出来事は、魔女の「malicious」な力によるものとされ、多くの無実の人々が犠牲となりました。この時代における「malicious」の解釈は、単なる個人的な悪意を超え、社会全体の不安や恐怖を象徴するものとなりました。現代においても、「malicious」は、コンピューターウイルスやハッキングなど、デジタル空間における悪意のある行為を指す言葉として使用されます。これは、技術の進歩とともに、悪意の形も変化していることを示しています。しかし、その根底にあるのは、他者を傷つけ、破壊しようとする人間の暗い衝動であり、それは中世から変わることなく、私たちの社会に潜んでいます。
このように、「malicious」という言葉は、単なる辞書的な意味を超え、歴史的な文脈や文化的な背景を理解することで、その深みと重みを増します。学習者はこの言葉を学ぶことで、人間の悪意の多様な側面や、それが社会に与える影響について、より深く考えることができるでしょう。
試験傾向
準1級、1級で語彙問題として出題される可能性あり。長文読解で文脈から意味を推測させる問題も考えられる。リスニングでの出題は稀。形容詞として使われることが多いが、名詞形 (malice) も覚えておくこと。
Part 5(短文穴埋め問題)やPart 7(長文読解)で出題される可能性がある。ビジネス関連の文書で、契約やセキュリティに関する文脈で使われることが多い。同義語・類義語(e.g., spiteful, malevolent)との区別が重要。
リーディングセクションで、学術的な文章の中で出題される可能性がある。歴史、社会科学、法律などの分野で使われることが多い。文脈から意味を推測する問題が出やすい。名詞形 (malice) も合わせて覚えておくと役立つ。
難関大学の長文読解で出題される可能性あり。文脈から意味を推測させる問題が多い。同義語・類義語(e.g., wicked, evil)との区別が重要。また、反意語(e.g., benevolent, benign)も覚えておくと役立つ。