malevolent
第2音節に強勢があります。/ə/(曖昧母音)は日本語の『ア』よりも弱く、口を軽く開けて発音します。'v' の発音は、上の前歯を下唇に軽く当てて息を出す有声摩擦音です。日本語の『バ』行の発音とは異なります。最後の 't' は破裂音ですが、語尾に来る場合は息を止めるだけで終わることもあります。
悪意のある
深い憎しみや悪意が感じられる様子。人や行為、表情などに対して用いられ、害を与えようとする意図や、不吉な雰囲気を表す。
His malevolent gaze made me feel very uncomfortable.
彼の悪意のある視線が、私をとても不快にさせた。
※ 会議室や廊下で、ある人があなたをじっと睨みつけているような場面です。その視線には、あなたに害を与えたいような、はっきりとした悪い気持ちが込められています。「malevolent gaze (悪意のある視線)」は、人の感情が目に出る様子を描写する際によく使われる表現です。このように、人の表情や態度に『悪意』があることを伝えるときに使えます。
The malevolent witch cast a dark spell on the village.
その悪意のある魔女は、村に暗い呪文をかけた。
※ 古い物語に出てくるような、いかにも悪そうな魔女が、村人たちを不幸にするために、不気味な呪文を唱えている場面を想像してみてください。その魔女の心には、純粋な『悪意』が満ちています。このように、フィクションの悪役や、何かを傷つけようとする存在の『性質』を表す際にも「malevolent」はよく使われます。
We discovered a malevolent plan to harm the company's reputation.
私たちは、会社の評判を傷つける悪意のある計画を発見した。
※ 職場で、誰かが会社のイメージを悪くしたり、誰かを困らせたりするために、ひそかに悪い企みをしているのを見つけた状況です。その計画の裏には、はっきりと「悪いことをしてやろう」という『意図(悪意)』があります。「malevolent plan (悪意のある計画)」のように、具体的な行動や意図に対して使われることも多いです。目に見えない『計画』や『意図』といった抽象的なものも修飾できます。
不吉な
悪いことが起こりそうな、または悪いことが起こると信じられている様子。状況や兆候に対して用いられ、不安や恐れを感じさせる。
I felt a malevolent gaze on me from the dark corner.
暗い隅から、私に不吉な視線を感じた。
※ 暗い場所から向けられる「悪意のある視線」が「不吉」な印象を与える場面です。「gaze」は「じっと見つめる視線」という意味で、この文ではその視線が、単に怖いだけでなく、何か悪いことを企んでいるかのような感情を伴っていることを示します。
In the story, the villain had a truly malevolent laugh.
物語の中で、悪役は本当に不吉な笑い方をした。
※ 物語の「悪役(villain)」が、人を不安にさせるような「悪意のこもった笑い方」をする場面です。この笑いが「不吉」に聞こえるのは、その裏に明確な悪意があるからです。「truly」は「本当に」と強調する言葉で、その笑いがどれほど不気味だったかを示しています。
Some people believe that a malevolent spirit causes bad dreams.
一部の人々は、不吉な霊が悪夢を引き起こすと信じている。
※ 「悪意のある霊(spirit)」が「不吉」な出来事(悪夢)を引き起こすという、少し神秘的な話の場面です。この単語は、このように目に見えない悪意や、悪い影響を与えるような力を表現する際にも使われます。
コロケーション
悪意に満ちた視線、人を威圧するような眼差し
※ このコロケーションは、相手に恐怖や不快感を与えるような、非常に敵意のこもった視線を指します。単に「angry look」と言うよりも、もっと深く、邪悪な意図が込められているニュアンスがあります。文学作品や映画などで、悪役や敵対者の特徴を強調する際によく用いられます。例えば、陰謀を企む人物が、獲物を定めるかのように冷酷な視線を送る場面などが考えられます。 'gaze' は、単なる 'look' よりも、より長く、集中した視線を意味するため、malevolent の持つネガティブな意味合いを強めます。
悪霊、邪悪な霊魂
※ この表現は、超自然的な存在が悪意や敵意を持っていることを指します。ホラー小説やファンタジー作品でよく見られ、人間を苦しめたり、災いをもたらしたりする霊を表現する際に用いられます。'evil spirit' と似た意味合いですが、'malevolent' はより計画的で、意図的な悪意を示唆する傾向があります。例えば、屋敷に取り憑いた悪霊が、住人を精神的に追い詰めるような状況を描写する際に適しています。
悪影響、有害な影響
※ これは、人、組織、または思想などが、他者や社会に対してネガティブな影響を与えることを指します。単に 'bad influence' と言うよりも、より深刻で、意図的な悪意が込められているニュアンスがあります。例えば、カルト教団の教祖が信者に与える影響や、有害な政策が社会に及ぼす影響などを指す場合に適切です。ビジネスシーンでも、企業文化を腐敗させるようなリーダーシップを批判する際に使用されることがあります。
悪意、害意
※ これは、誰かが悪事を働く意図や目的を持っていることを意味します。法律や犯罪に関する文脈でよく用いられ、行為者の動機が悪質であることを強調する際に使用されます。'evil intent' とほぼ同義ですが、'malevolent' はよりフォーマルな響きを持ち、文書や公式な場で使用されることが多いです。例えば、殺人事件の裁判で、被告に殺意があったかどうかを立証する際に、検察官が 'malevolent intent' を証明しようと試みます。
悪意のある独裁者、民衆を苦しめる独裁者
※ この表現は、国民を抑圧し、自己の利益のために権力を行使する独裁者を指します。単に 'dictator' と言うよりも、その人物が持つ悪意や残虐性を強調する際に用いられます。歴史上の人物や、架空の物語に登場する悪役など、権力を持つ者がどのように悪用されるかを表現する際に適しています。例えば、国民を弾圧し、反対勢力を粛清する独裁者の姿を描写する際に用いられます。
悪意に満ちた喜びで、意地悪くほくそ笑んで
※ この表現は、他人の不幸や失敗を喜ぶ、意地の悪い感情を表します。 'glee' は、喜びの中でも特に、ひそかな、または意地の悪い喜びを意味するため、'malevolent' と組み合わさることで、その感情のネガティブな側面を強調します。文学作品や映画などで、悪役が自分の計画が成功した際に、ほくそ笑む様子を描写する際に用いられます。例えば、ライバル会社を陥れた経営者が、その結果を 'with malevolent glee' 眺めるような場面が考えられます。
使用シーン
学術論文や研究発表で、特に文学、心理学、社会学などの分野で使われます。例えば、「登場人物の行動は、社会へのmalevolentな影響を示唆している」のように、負の感情や意図を分析する際に用いられます。また、歴史学においては、「〜の政策は、結果的に近隣諸国に対してmalevolentな影響を与えた」のように、意図せぬ負の結果を強調する際に使われることがあります。
ビジネスシーンでは、契約書や法務関連の文書など、フォーマルな文脈で稀に使われます。例えば、「〜社の行動は、市場競争を阻害するmalevolentな意図に基づいていると解釈できる」のように、企業の行動に対する批判的な分析に使われることがあります。日常的なビジネス会話ではほとんど使われません。
日常会話で「malevolent」という単語が使われることは非常に稀です。主に、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、事件や事故の背景にある悪意や悪質な意図を説明する際に使われることがあります。例えば、「〜容疑者の行動は、被害者に対するmalevolentな感情に起因すると考えられる」のように、報道において用いられることがあります。
関連語
類義語
『悪意のある』という意味で、意図的に他人を傷つけようとする態度や行動を指す。日常会話、法律、文学など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『malevolent』よりも使用頻度が高く、より一般的。具体的な行為や発言に結びついていることが多い。感情の強さとしては『malevolent』よりやや弱い場合がある。 【混同しやすい点】『malicious』は、具体的な行為や発言を伴うことが多いのに対し、『malevolent』はより抽象的な悪意や敵意を表す。また、法律用語としてもよく使われる。
- malignant
『悪性の』という意味で、病気(特に癌)や、悪影響を及ぼすものに対して使われる。医学、ビジネス、社会問題など、専門的な文脈でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『malevolent』が人や超自然的な存在の悪意を表すのに対し、『malignant』は、病気や問題が本質的に有害であることを強調する。比喩的に、社会や組織に悪影響を及ぼすものに対しても使われる。 【混同しやすい点】『malignant』は主に医学的な文脈で使用されることが多いが、『malevolent』は人や存在の性質を表す。したがって、対象が大きく異なる。
『意地悪な』という意味で、ささやかな嫌がらせや、相手を困らせようとする気持ちを表す。日常会話でよく使われ、子供のケンカや陰湿な行為を指すことが多い。 【ニュアンスの違い】『malevolent』よりも感情の強さが弱く、より個人的な恨みや嫉妬に基づいていることが多い。行動も、よりささやかで陰湿なものが多い。 【混同しやすい点】『spiteful』は、個人的な感情に基づく意地悪さを表すのに対し、『malevolent』は、より深い悪意や敵意を表す。また、行動の規模や影響力も異なる。
『邪悪な』という意味で、道徳的に極めて悪い状態や性質を指す。宗教、哲学、文学など、抽象的で深刻な文脈で使われる。 【ニュアンスの違い】『malevolent』よりも一般的で、より広範な悪を指す。宗教的な意味合いが強く、絶対的な悪を表す場合もある。感情の強さとしては『malevolent』と同程度か、それ以上。 【混同しやすい点】『evil』は、抽象的な概念としての悪を指すのに対し、『malevolent』は、具体的な個人や存在の悪意を表す。また、『evil』は名詞としても形容詞としても使える。
『悪い』『邪悪な』という意味で、道徳的に非難されるべき行為や性質を指す。日常会話、文学、物語などで使われ、やや古風な響きを持つ。 【ニュアンスの違い】『malevolent』よりも感情的な響きが強く、しばしばユーモラスなニュアンスを含む。『wicked』は、いたずら好きな子供や、魅力的な悪役など、必ずしも深刻な悪意を伴わない場合もある。 【混同しやすい点】『wicked』は、感情的な響きが強く、必ずしも深刻な悪意を伴わない場合があるのに対し、『malevolent』は、より深刻で意図的な悪意を表す。また、『wicked』は、スラングとして『素晴らしい』という意味でも使われることがある。
- baleful
『有害な』『不幸をもたらす』という意味で、不吉な予感や破滅的な影響を暗示する。文学、詩、古風な表現で用いられる。 【ニュアンスの違い】『malevolent』が意図的な悪意を示すのに対し、『baleful』は結果として不幸をもたらすという点に重点を置く。また、より古風で文学的な表現である。 【混同しやすい点】『baleful』は、意図的な悪意よりも、結果としての不幸や破滅を強調する。また、現代英語ではあまり一般的ではなく、文学的な文脈で使われることが多い。
派生語
『悪意』を意味する名詞。malevolentの語幹『mal-(悪い)』を受け継ぎ、悪意そのものを指す。日常会話よりも、法律や倫理に関する議論で使われることが多い。例えば、『malice aforethought(計画的悪意)』という法的な表現がある。
- malign
『中傷する』『悪口を言う』という意味の動詞。malevolentが持つ『悪意ある』性質を、言葉や行動で表現する意味合いを持つ。フォーマルな文脈や文学作品で使われることが多い。例えば、『to malign someone's reputation(誰かの評判を中傷する)』のように使う。
- malignant
『悪性の』という意味の形容詞。特に医学用語として、癌などの病気が『悪性』であることを指す際に用いられる。語源的に『悪い性質を持つ』という意味合いが強く、比喩的に『有害な影響を与える』という意味でも使われる。学術論文や医療関係の記事で頻繁に見られる。
反意語
『慈悲深い』『善意のある』という意味の形容詞。接頭辞『bene-(良い)』が『mal-(悪い)』と対照的で、malevolentの直接的な反意語となる。人の性格や行いを表す際に用いられ、例えば『a benevolent dictator(慈悲深い独裁者)』のように、皮肉を込めて使われることもある。
『良性の』『穏やかな』という意味の形容詞。malignant(悪性の)の対義語として、医学用語で腫瘍などが『良性』であることを指す。また、気候や性格が穏やかであることを表す際にも使われる。日常会話でも、例えば『a benign smile(穏やかな笑顔)』のように用いられる。
『利他的な』という意味の形容詞。自己の利益よりも他者の幸福を願う性質を表し、malevolentの持つ自己中心的で悪意ある性質と対照的である。哲学や社会学、心理学の分野で頻繁に用いられ、『altruistic behavior(利他的な行動)』のように使われる。
語源
「malevolent」は、「悪意のある」「不吉な」という意味ですが、その語源はラテン語に遡ります。この単語は、ラテン語の「male」(悪く)と「volens」(意志を持つ、望む)という二つの要素から構成されています。「male」は、英語の「malfunction」(機能不全)や「maltreat」(虐待する)などにも見られるように、「悪い」「不正な」といった意味合いを持ちます。「volens」は、「volo」(私は望む)という動詞の現在分詞で、英語の「volunteer」(自発的に申し出る)や「benevolent」(慈悲深い)といった単語と語源的に関連があります。したがって、「malevolent」は文字通りには「悪いことを望む」という意味合いを持ち、他者に対して害を及ぼすことを意図する悪意や、不吉な出来事を引き起こすような性質を表すようになりました。身近な例としては、ドラマや小説に登場する悪役が、まさに「malevolent」な性格の持ち主と言えるでしょう。
暗記法
「malevolent」は単なる悪意ではなく、社会を蝕む根深い憎悪を意味します。中世の魔女狩りやシェイクスピア悲劇の魔女、抑圧的な政治体制やネット上の悪意まで、姿を変え社会に暗い影を落とす負の力。この言葉を使う際は、歴史的背景にある、社会全体を覆う不穏な空気を意識することが重要です。
混同しやすい単語
接頭辞 'male-' と 'bene-' が反対の意味を持つため、スペルと意味の両面で混同しやすい。'malevolent' は『悪意のある』、'benevolent' は『慈悲深い』という意味で、品詞はどちらも形容詞。日本人学習者は、接頭辞の意味を理解することで区別できるようになる。語源的には、'bene-' は 'good' を意味するラテン語に由来する。
'malevolent' と 'malignant' はどちらも否定的な意味合いを持ち、スペルも似ているため混同しやすい。'malevolent' は『悪意のある』という意味で、人の意図や態度を表すことが多い。一方、'malignant' は『悪性の』という意味で、主に病気や腫瘍などに対して用いられる。日本人学習者は、それぞれの単語がどのような対象に使われるかを意識すると区別しやすい。語源的には、'malignant' は 'badly born' を意味するラテン語に由来する。
接頭辞 'mal-' が共通しており、スペルも似ているため混同しやすい。'malevolent' は形容詞だが、'malcontent' は名詞(不満分子、不平家)または形容詞(不満な)として使われる。意味も『悪意のある』と『不満な』で大きく異なるため、文脈で判断する必要がある。 'mal-' は「悪い」という意味を持つ接頭辞であることを覚えておくと良いでしょう。
'malevolent' と 'prevalent' は、語尾が '-valent' で共通しており、スペルが似ているため混同しやすい。'malevolent' は『悪意のある』という意味だが、'prevalent' は『広く行き渡っている』という意味で、品詞はどちらも形容詞。意味が大きく異なるため、文脈で判断することが重要。 'prevalent' は、'prevail'(打ち勝つ、普及する)という動詞から派生した単語であることを知っておくと、意味を覚えやすい。
最初の 'mol-' の部分が似ているため、スペルから混同する可能性がある。'malevolent' は『悪意のある』という意味だが、'mollified' は 'mollify'(なだめる、和らげる)の過去形または過去分詞であり、意味は全く異なる。発音も異なるため、音とスペルの両方で区別する必要がある。 'mollify' は、'mollis'(柔らかい)というラテン語に由来する。
スペルは全く異なるが、発音記号に注意すると、'malevolent'の最初の音節との類似性から、発音時に混同する可能性がある。'malevolent'は形容詞だが、'inveigh'は動詞で「痛烈に非難する」という意味を持つ。意味も品詞も異なるため、文脈で区別する必要がある。'inveigh'は、'in-'(中に)と'vehere'(運ぶ)というラテン語に由来し、言葉を激しくぶつけるイメージ。
誤用例
『malevolent』は『悪意のある』という意味であり、AIが人類を救うという文脈とは矛盾します。これは、日本語の『AI』に対する過度な期待や、SF作品におけるAIの複雑な役割を単純化して捉えようとする日本人学習者によく見られる誤用です。英語では、AIの潜在的な危険性や皮肉を込めて『seemingly benevolent』のような表現を使うことで、AIの二面性をより効果的に表現できます。このように、英語ではストレートな表現を避け、裏の意味を含ませることがあります。
『malevolent』は単なる不快感を与える笑顔ではなく、悪意や敵意が込められた笑顔を指します。一方、『sardonic』は『冷笑的な』という意味で、皮肉っぽさや嘲笑を含んだ笑顔を表します。相手の性格が良いと思っている文脈では、『sardonic』の方が適切です。日本人は相手の表面的な態度から本質を見抜こうとする傾向がありますが、英語では表面的な印象をより重視し、言葉のニュアンスを使い分けることで、相手の複雑な感情を表現します。日本語の『笑顔』という言葉に多様な意味が含まれるため、『malevolent』のような強い言葉を安易に当てはめてしまう傾向があります。
『malevolent』は『悪意のある』という意味であり、政府が貧困層を助けるという行為とは矛盾します。悪意のある政府が行うのは、貧困層を抑圧したり、搾取したりする行為です。もし政府の政策に裏があることを示唆したい場合は、『despotic』(専制的な)などの言葉を使用し、その政策が表面的なものであることを示すとより適切です。日本人は、政府の行動を善意的に解釈しようとする傾向がありますが、英語では政府の行動を批判的に捉え、その裏にある意図を疑う姿勢が重要です。また、日本語の『〜しようとする』という表現を直訳的に捉え、『try to』を安易に使用してしまう傾向があります。
文化的背景
「malevolent(悪意のある)」という言葉は、単に悪い意図を示すだけでなく、その背後に潜む深い憎悪や破壊的な力を暗示します。この言葉は、超自然的な悪の力、あるいは人間社会における根深い不正や腐敗を描写する際に、特にその威力を発揮します。
「malevolent」が持つ重々しい響きは、中世ヨーロッパにおける悪魔崇拝や魔女狩りの時代に深く根ざしています。当時の人々は、目に見えない悪意が社会を蝕み、人々の心を操ると信じていました。そのため、「malevolent」は、悪魔や魔女といった存在だけでなく、隣人に対する根拠のない疑念や、集団ヒステリーによって生み出された告発など、社会全体を覆う不穏な空気と結びついて使われることがありました。シェイクスピアの悲劇『マクベス』に登場する魔女たちは、まさに「malevolent」な存在として描かれ、主人公を破滅へと導く原動力となります。
近代以降、「malevolent」は、より抽象的な概念、例えば、抑圧的な政治体制や、経済格差といった社会構造的な不正を指す言葉としても用いられるようになりました。ディストピア小説では、しばしば「malevolent」な支配者が登場し、人々の自由を奪い、思考を統制することで社会を支配します。また、現代社会においては、インターネット上の誹謗中傷やヘイトスピーチなど、匿名性を隠れ蓑にした悪意の拡散を表現する際にも、「malevolent」が用いられることがあります。これらの例は、「malevolent」が、単なる個人的な悪意を超え、社会全体に影響を及ぼす負の力として認識されていることを示しています。
「malevolent」という言葉を使う際には、その背後にある歴史的・文化的背景を理解することが重要です。なぜなら、この言葉は、単に「悪い」という意味だけでなく、社会を蝕む根深い悪意や、破壊的な力を暗示するからです。学習者は、「malevolent」が使われる文脈を注意深く分析することで、言葉の持つニュアンスをより深く理解し、語彙力を高めることができるでしょう。例えば、ある小説で「malevolent」なキャラクターが登場した場合、その人物が単に意地悪なだけでなく、社会的な不正や抑圧の象徴として描かれている可能性を考慮する必要があります。このように、「malevolent」は、単なる単語以上の意味を持ち、文化的な解釈を通じて、その理解が深まる言葉なのです。
試験傾向
準1級・1級の長文読解や語彙問題で出題される可能性があります。文脈から意味を推測する問題や、同意語・類義語を選ぶ問題で問われやすいです。物語や歴史的な文章で使われることが多く、やや古風な印象を与える場合もあります。形容詞としての用法が主ですが、関連語のmalevolence(悪意)も覚えておきましょう。
TOEICでは、直接的な語彙問題としての出題は比較的少ないですが、長文読解問題(Part 7)などで、文章全体のニュアンスを理解する上で重要なキーワードとなることがあります。ビジネスシーンでは稀に使われますが、日常会話ではあまり使われません。契約書や訴訟関連の文章で、間接的に登場する可能性があります。
TOEFLのリーディングセクションで、アカデミックな文章中に出てくる可能性があります。特に、歴史、社会学、心理学などの分野で、負の感情や行動を表す際に使われることがあります。文脈から意味を推測する能力が求められます。名詞形のmalevolence(悪意)も合わせて覚えておくと良いでしょう。
難関大学の長文読解問題で出題される可能性があります。文脈から意味を推測する問題や、下線部の言い換え問題などで問われることがあります。社会問題や歴史的な出来事を扱った文章で使われることが多いです。接頭辞“male-”が悪意や否定的な意味を持つことを覚えておくと、他の単語の意味を推測する際にも役立ちます。