laugh
母音 /æ/ は日本語の「ア」と「エ」の中間のような音で、口を大きく開けて発音します。日本語の「ア」よりも、口角を左右に引くイメージです。/f/ の音は、上の前歯を下唇に軽く当てて、隙間から息を出すように発音します。息の音を意識すると、よりネイティブに近い発音になります。
笑う
喜び、楽しさ、滑稽さなどを感じて声を出す行為。例文: The audience laughed at the comedian's jokes.(観客はコメディアンのジョークに笑った)
We all laughed loudly at his silly face.
私たちはみんな、彼の変な顔を見て大声で笑った。
※ 友達や家族が集まって、誰かの面白い仕草や発言に思わず笑ってしまう、楽しそうな場面が目に浮かびますね。「laugh at ~」で「~を見て笑う」という定番の形です。みんなで声を上げて笑い合う、温かい情景が伝わります。
The baby started to laugh when I tickled her tummy.
私が赤ちゃんのお腹をくすぐると、彼女は笑い始めた。
※ 赤ちゃんがくすぐられて、キャッキャと無邪気に笑い出す、愛らしい瞬間です。「start to laugh」は「笑い始める」という意味で、何かのきっかけで笑い出す様子を表します。赤ちゃんの笑い声は、聞いている私たちも幸せな気持ちにしてくれますね。
The audience began to laugh when the comedian fell down.
コメディアンが転んだとき、観客は笑い始めた。
※ 劇場やテレビでコメディアンのパフォーマンスを見て、観客がどっと笑い出す様子が描かれています。「begin to laugh」も「笑い始める」という意味で、何かを見て反応して笑う典型的な場面です。会場全体に響き渡る笑い声が想像できますね。
笑い
笑うという行為そのもの、または笑い声。例文: Her laugh was contagious.(彼女の笑いは伝染性があった)
Everyone shared a big laugh when he told a funny story.
彼がおもしろい話をしたとき、みんなが大きな笑いを共有しました。
※ 友だちや家族と集まって、誰かの話にみんなで一緒に笑い合う、温かい場面を想像してください。ここでの「laugh」は、みんなで一緒に発する「笑い声」や「笑う行為」そのものを指します。'share a laugh' は「一緒に笑う」というとても自然な表現です。
A sudden laugh broke the silence in the quiet room.
静かな部屋に、突然の笑い声が響き渡りました。
※ 図書館や会議室のような、静まり返った場所で、不意に聞こえてきた笑い声の情景です。その笑い声が、それまでの静けさを一瞬にして打ち破る様子が伝わります。'break the silence' は「静寂を破る」という決まった言い方で、よく使われます。
She let out a small laugh of relief after finishing her presentation.
彼女はプレゼンテーションを終えた後、安堵の小さな笑いをもらしました。
※ 大変なプレゼンを無事に終え、肩の荷が下りた瞬間の「ホッとした笑い」を表しています。緊張が解けて、思わず出てしまった声としての「笑い」です。'let out a laugh' は「笑い声を出す」という典型的な表現で、'laugh of relief' とすることで、その笑いが「安堵の笑い」であることが明確に伝わります。
一笑に付す
軽蔑や嘲笑の気持ちを込めて笑う。相手の意見や提案を否定的に扱うニュアンスを含む。例文: They laughed off his suggestion.(彼らは彼の提案を一笑に付した)
My friend told a funny story, and we all started to laugh.
友達が面白い話をしてくれて、私たちはみんな笑い始めました。
※ この例文は、誰かが面白いことを言ったり、楽しい出来事があった時に、自然と「笑い出す」様子を描いています。「laugh」は、楽しい感情が表に出る、最も基本的な「笑う」という行為を表します。みんなで一緒に笑う、という温かい情景が目に浮かびますね。
The little boy made a silly face, and his mother couldn't help but laugh.
小さな男の子が変な顔をして、お母さんは思わず笑ってしまいました。
※ この文では、「laugh」が、予想外の面白さや可愛らしさに「思わず笑ってしまう」という反応を示しています。「couldn't help but laugh」は「~せずにはいられなかった」という意味で、感情がこみ上げてくる様子を伝えます。子供の無邪気な行動に、大人もつられて笑顔になる場面が想像できます。
I tripped on the stairs, but I just laughed at myself.
私は階段でつまずいたけれど、ただ自分自身を笑い飛ばしました。
※ ここでの「laugh」は、少し困った状況や自分の失敗に対して、「気にせずに笑い飛ばす」「一笑に付す」というニュアンスを含んでいます。「laugh at oneself」は「自分を笑う」という意味で、失敗を深刻に捉えずにポジティブに受け流す、大人の対応を表す典型的な表現です。
コロケーション
突然笑い出す、こらえきれずに笑い出す
※ 『burst out』は感情や行動が急激に表出することを意味し、『laughing』と組み合わせることで、予期せず、または抑えきれずに笑いがこみ上げてくる様子を表します。フォーマルな場面よりも、友人との会話や日常的な状況でよく使われます。類似表現に『break into laughter』がありますが、『burst out laughing』の方がより突発的なニュアンスが強いです。
最終的に勝利する、最後に良い思いをする
※ 一見不利な状況や、一時的な敗北を経験した人が、最終的には成功や優位を得ることを指します。他者から嘲笑されたり、見下されたりした人が、最終的にその人たちを出し抜くような状況で使われることが多いです。背景には『笑う者は最後に笑う』という考え方があります。ビジネスシーンや競争的な状況でよく用いられます。
(問題や失敗などを)笑ってごまかす、笑ってやり過ごす
※ 深刻な事態や恥ずかしい状況を、深刻に受け止めず、冗談めかして軽く扱うことを意味します。これは、問題を矮小化したり、自分の立場を防御したりする際に用いられる戦略です。ただし、相手によっては不誠実な印象を与える可能性もあるため、注意が必要です。特に、ビジネスシーンなどでは、状況をわきまえて使用する必要があります。
人の顔を見て笑う、面と向かって嘲笑する
※ 相手を侮辱したり、軽蔑したりする意図を持って、直接相手の目の前で笑う行為を指します。非常に失礼で攻撃的な行為であり、深刻な対立を引き起こす可能性があります。比喩的に、相手の努力や主張を完全に否定し、無視する態度を示す場合にも使われます。使用頻度は高くありませんが、強い感情を伴う状況で用いられます。
心からの笑い、楽しそうな笑い
※ 『hearty』は『心からの』『元気な』という意味で、『a hearty laugh』は、偽りや遠慮のない、心の底から楽しんでいる笑いを表します。温かく、親しみやすい雰囲気を作り出す効果があり、人間関係を円滑にする上で重要な役割を果たします。ビジネスの場というよりは、友人や家族とのリラックスした場面でよく使われます。類似表現に『a good laugh』がありますが、『a hearty laugh』の方がより感情がこもっているニュアンスがあります。
面白半分に、冗談で
※ 真剣な目的ではなく、単に楽しむため、または冗談を言うために何かを行うことを意味します。計画性や合理性よりも、その場のノリや面白さを重視するニュアンスがあります。友人とのカジュアルな会話でよく使われますが、フォーマルな場面では不適切です。類似表現に『as a joke』がありますが、『for a laugh』の方がより気軽なニュアンスを持ちます。
大笑いする、楽しい時間を過ごす
※ 何か面白いことや楽しい出来事があり、それによって大いに笑うことを意味します。また、笑いを通じて楽しい時間を過ごす、という意味合いも含まれます。友人や家族との集まりなど、リラックスした状況でよく使われます。例えば、「We had a good laugh at the party.(パーティーで大いに笑った)」のように使います。類似表現に『have a hearty laugh』がありますが、『have a good laugh』の方がより一般的で使いやすい表現です。
使用シーン
学術論文やプレゼンテーションにおいて、心理学、社会学、言語学などの分野で、人間の行動や感情、言語表現に関する研究を説明する際に使われます。例えば、「笑いはストレス軽減効果をもたらすことが研究で示されている」のように、客観的な事実や研究結果を述べる文脈で用いられます。文体はフォーマルで、客観性が重視されます。
ビジネスシーンでは、プレゼンテーションや会議、報告書など比較的フォーマルな場面で、比喩的な表現や、相手の反応を観察する際に使われることがあります。例えば、「市場の競合他社は、当社の新たな戦略を一蹴した(laugh off)」のように、間接的な表現として用いられます。日常会話よりは、やや硬めの文脈で使われることが多いです。
日常会話では、喜びやユーモアを表現する基本的な動詞として頻繁に使われます。友達との会話で「昨日の映画、めっちゃ笑った!」のように感情をストレートに表現したり、SNSで面白い動画を見て「笑える!」とコメントしたりする場面でよく見られます。スラングやイディオムと組み合わせて使われることもあります。
関連語
類義語
静かに、くすくす笑うこと。喜びや満足感、あるいは少しばかりの皮肉を含んだ状況で使われることが多い。日常会話や文学作品でよく見られる。 【ニュアンスの違い】"laugh"よりも控えめで、声を出さない笑いを指すことが多い。深刻な状況やフォーマルな場でも、失礼にならない程度に使うことができる。 【混同しやすい点】"laugh"が大きな声で笑うことを指すのに対し、"chuckle"はより内向きで、他人には聞こえにくい笑いを表す。状況をよく見て使い分ける必要がある。
主に子供や若い女性が、面白さや興奮、あるいは恥ずかしさから、きゃっきゃと笑うこと。軽薄な、あるいは少し神経質な笑いを伴う場合もある。日常会話でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"laugh"に比べて、より子供っぽく、無邪気な笑いを表す。大人が"giggle"を使うと、少し不真面目な印象を与える可能性がある。 【混同しやすい点】"laugh"が年齢や性別に関係なく使われるのに対し、"giggle"は特定の年齢層や状況に限定されることが多い。ビジネスシーンなどフォーマルな場での使用は避けるべき。
- snicker
隠れて、または抑えた声で、あざ笑うように笑うこと。他人の失敗や不幸を嘲笑するニュアンスを含むことが多い。日常会話や文学作品で使われる。 【ニュアンスの違い】"laugh"が純粋な喜びを表すのに対し、"snicker"は悪意や軽蔑を含んだ笑いを表す。相手を不快にさせる可能性があるため、使用には注意が必要。 【混同しやすい点】"laugh"が無邪気な笑いを表すのに対し、"snicker"はしばしば否定的な意味合いを持つ。相手との関係性や状況を考慮して使う必要がある。
大声で笑うこと、または轟音を立てること。非常に大きな音や激しい感情を伴う場合に使われる。日常会話や文学作品で使われる。 【ニュアンスの違い】"laugh"よりもずっと大きく、制御されていない笑いを表す。喜びや興奮が頂点に達した状態を示すことが多い。 【混同しやすい点】"laugh"が一般的な笑いを表すのに対し、"roar"は非常に大きな笑い声、あるいは他の大きな音を表す。音量や感情の強さが大きく異なる点に注意。
- guffaw
腹の底から響くような、下品な笑い声。主に男性が、何か面白いことに対して豪快に笑う様子を表す。日常会話や文学作品で使われる。 【ニュアンスの違い】"laugh"よりも粗野で、遠慮のない笑いを表す。フォーマルな場での使用は避けるべき。 【混同しやすい点】"laugh"が一般的な笑いを表すのに対し、"guffaw"は特に大声で、無遠慮な笑いを表す。状況や相手との関係性を考慮して使う必要がある。
にっこり笑うこと。喜びや満足感、あるいは友好的な気持ちを表す。日常会話で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】"laugh"が声を出して笑うことを指すのに対し、"grin"は声を出さずに、顔の表情で笑うことを表す。より穏やかで、控えめな笑いを表す。 【混同しやすい点】"laugh"が可算名詞として使われるのに対し、"grin"は動詞としても名詞としても使われる。また、"grin"は必ずしも喜びを表すとは限らず、皮肉や我慢を表す場合もある。
派生語
『笑い』という名詞。動詞『laugh』から派生し、笑う行為そのもの、または笑いの音を表します。日常会話で頻繁に使われ、感情表現に不可欠です。笑い声の量や質を具体的に描写する際にも用いられます(例:loud laughter, nervous laughter)。
- laughable
『笑うべき』『ばかげた』という意味の形容詞。接尾辞『-able』が付くことで、「〜できる」という意味合いが加わり、「笑うことができるほど滑稽な」という意味に発展します。皮肉や軽蔑のニュアンスを含むことが多く、相手の言動を批判的に評価する際に用いられます(例:a laughable excuse, a laughable attempt)。
- laughingstock
『笑いもの』という意味の名詞。『laughing(笑っている)』と『stock(的)』が組み合わさった複合語で、他者から嘲笑される対象を指します。公の場で失態を演じた人物や、不恰好な状況を指すことが多いです。社会的な恥辱や不名誉を表す際に用いられます(例:become the laughingstock of the town)。
- laughingly
『笑いながら』という意味の副詞。動詞『laugh』に接尾辞『-ingly』が付加され、ある行動や発言が笑いを伴って行われる様子を表します。文章にユーモアや軽快さを加える効果があります。物語や詩など、文学的な表現で用いられることが多いです(例:He laughingly dismissed the idea)。
反意語
『泣く』という意味の動詞。『laugh』が喜びやユーモアの表出であるのに対し、『cry』は悲しみ、苦痛、または強い感情の表出です。文脈によって感情の対比が明確になり、例えば「laugh and cry(笑いと涙)」のように、人生の様々な感情を表現する際に用いられます。
『嘆き悲しむ』という意味の動詞。『laugh』が明るく陽気な感情を表すのに対し、『mourn』は深い悲しみや喪失感を伴う感情を表します。葬儀や追悼式など、特定の儀式や状況で用いられることが多いです。個人的な悲しみだけでなく、社会的な損失や災害に対する悲しみも表します(例:mourn the victims of the earthquake)。
『むせび泣く』という意味の動詞。『cry』よりも感情がより強く表出した状態を示し、『laugh』とは対照的に、悲しみや苦痛が表面化している状態を表します。文学作品や詩において、登場人物の感情を強調する際に用いられます。また、感動や喜びの涙を流す場面でも使われることがあります(例:weep with joy)。
『(深い悲しみに)くれる』という意味の動詞。単に悲しいだけでなく、喪失や不幸に対する持続的な悲しみを表し、『laugh』が示す一時的な喜びとは対照的です。家族や親しい人を亡くした際に、その悲しみを深く悼む感情を表します。心理学やカウンセリングの分野でも、喪失体験に伴う感情プロセスを説明する際に用いられます(例:grieve the loss of a loved one)。
語源
"laugh(笑う、笑い)"の語源は、ゲルマン祖語の「*hlahjanan(音を立てて笑う)」に遡ります。これは、Proto-Indo-European(印欧祖語)の根 *kleg-(叫ぶ、騒ぐ)に関連すると考えられています。つまり、元々は「大きな声を出す」という行為が、喜びや楽しさを表現する「笑い」へと意味が変化していったと考えられます。日本語で例えるなら、「わめく」という言葉が、状況によっては喜びを表すように変化した、と考えると近いかもしれません。古英語の「hlæhhan」を経て、現代英語の「laugh」へと進化しました。この単語の歴史を辿ると、笑いが人間にとって根源的な表現方法であることがわかります。
暗記法
「笑い」は喜びや連帯を示す普遍的な表現である一方、文化や時代によってその意味合いは大きく異なります。中世では悪魔の象徴と見なされた笑いが、ルネサンス期には知性の証へ。シェイクスピア劇の道化は笑いを通して社会を風刺し、革命期には抵抗の象徴となりました。現代ではコミュニケーションの潤滑油ですが、常に二面性も。笑いを理解することは、文化や社会への理解を深めることなのです。
混同しやすい単語
『laugh』と異なり、ghは/f/と発音されますが、スペリングが非常に似ているため混同しやすいです。『咳』という意味であり、名詞または動詞として使われます。日本人学習者は、ghの読み方が単語によって異なることに注意する必要があります。歴史的には、ghは元々/x/(無声軟口蓋摩擦音)を表していましたが、英語の発音変化により/f/や無音になりました。
『laugh』とは発音が全く異なりますが、どちらも語尾がfで終わるため、スペリングの類似性から混同される可能性があります。『命』または『人生』という意味であり、名詞として使われます。発音記号を意識して区別することが重要です。
スペルの一部(lau-とlov-)が似ており、どちらも感情を表す単語であるため、意味の面でも混同される可能性があります。『愛』という意味で、名詞または動詞として使われます。発音も異なるため、しっかりと区別する必要があります。
『laugh』とは発音が大きく異なりますが、スペルの一部(lau-とloa-)が似ているため、視覚的に混同されることがあります。『(パンなどの)ひとかたまり』という意味で、名詞として使われます。発音と意味を明確に区別することが重要です。
『laugh』とは発音がかなり異なりますが、スペルの一部が似ており、どちらも短い単語であるため、混同される可能性があります。『ひざ』という意味で、名詞または動詞として使われます。発音と意味を区別することで、誤用を防ぐことができます。
『laugh』とスペルが非常に似ていますが、発音は地域によって異なり、アイルランドやスコットランドでは湖や入り江を意味します。ghの発音が異なるパターンであり、発音と意味の両面で注意が必要です。英語の多様性を理解する上で興味深い例です。
誤用例
日本語の『笑う』は、状況によって『嘲笑う』『失笑する』など、幅広い意味合いを含みます。しかし、英語の『laugh at』は基本的に相手を馬鹿にするニュアンスが強く、意図せず相手を傷つけてしまう可能性があります。この場合、本当に悪意がなかったことを伝えたいなら、『malice(悪意)』という単語を使う方が適切です。日本人がストレートな表現を避けがちなのに対し、英語では意図を明確に伝えることが重要です。
日本語では『照れ笑い』のように、恥ずかしさや戸惑いを表す笑い方を『笑う』と表現しますが、英語の『laugh』は、基本的に声を出して笑うことを指します。そのため、『shyly(恥ずかしそうに)』という副詞と組み合わせると不自然に聞こえます。代わりに、口角を上げて静かに笑う『smile』を使う方が適切です。日本人が感情を曖昧に表現するのに対し、英語では具体的な行動や表情を表す単語を選ぶことが大切です。
日本人が『笑い事ではない』を直訳してしまいがちな例です。『laugh』を名詞として使う場合、形容詞として使うには『laughable』という形がありますが、この文脈では不適切です。『no laughing matter』は、文字通りには『笑うべき問題ではない』という意味で、深刻な状況や問題を指す決まり文句です。日本語の直訳にとらわれず、英語のイディオムや表現を学ぶことで、より自然な英語を話せるようになります。
文化的背景
「笑い(laugh)」は、単なる生理現象を超え、喜び、連帯、時には反抗や嘲笑といった複雑な感情や社会的メッセージを伝える文化的な表現です。笑いは、社会的な結束を強めると同時に、権威に対する抵抗や、タブーを打ち破る手段としても用いられてきました。
中世ヨーロッパでは、笑いは必ずしも肯定的なものではありませんでした。教会は、過度な笑いを「悪魔の仕業」とみなし、神への畏敬の念を損なうものとして警戒しました。しかし、ルネサンス期に入ると、人文主義者たちは笑いを人間の知性と自由の証として再評価し始めます。エラスムスの『痴愚神礼賛』は、当時の社会や教会を風刺的な笑いで批判し、笑いの持つ批判的な力を示しました。また、シェイクスピアの劇では、喜劇における笑いは、登場人物たちの人間らしさを際立たせ、観客との共感を深める役割を果たしました。特に道化役(fool)は、笑いを通して社会の矛盾を指摘し、権力者を風刺することで、タブーに挑戦しました。
18世紀以降、啓蒙思想の時代になると、笑いは理性と批判精神の表れとして、さらに肯定的に捉えられるようになります。ヴォルテールやディドロといった啓蒙思想家たちは、風刺やユーモアを駆使して、旧体制や迷信を批判しました。フランス革命期には、革命歌や風刺画が民衆の笑いを誘い、革命運動を盛り上げる役割を果たしました。笑いは、権威に対する抵抗の象徴となり、自由と平等を求める人々の連帯感を強める力となったのです。
現代社会においては、笑いはエンターテイメントの重要な要素であると同時に、ストレス解消やコミュニケーションの円滑化に役立つものとして認識されています。しかし、笑いには常に二面性があり、誰かを傷つけたり、差別を助長したりする可能性も孕んでいます。ユーモアのセンスは文化や社会によって異なり、何が「面白い」と感じるかは、個人の価値観や経験に大きく左右されます。したがって、「笑い」を理解することは、単に英語の語彙を増やすだけでなく、文化的な多様性や社会的な文脈に対する理解を深めることにも繋がります。笑いの背後にある感情や意図を読み解くことで、より豊かな人間関係を築き、社会的な問題をより深く理解することができるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解、リスニング(会話文)
- 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。2級でも稀に出題。語彙問題、長文読解、リスニングパート
- 文脈・例題の特徴: 日常会話、物語、説明文など幅広い。長文読解では、登場人物の感情を表す語として使われることが多い
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞(笑い)、動詞(笑う)の両方の用法を理解する。類義語(smile, grin, chuckleなど)とのニュアンスの違いを把握する。形容詞(laughable)も重要。
- 出題形式: 主に長文読解(Part 7)、稀にリスニング(Part 2, 3, 4)
- 頻度と級・パート: Part 7で時々見られる程度。他の語彙に比べると頻度は低い
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンでのユーモアや、顧客からの肯定的なフィードバックを表す際に使われることがある。
- 学習者への注意点・アドバイス: TOEICでは直接的な語彙知識よりも、文脈から意味を推測する能力が重要。ビジネスシーンでの使われ方を意識する。類似表現 (amusement, joy) との使い分け。
- 出題形式: 主に長文読解
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で稀に出題。他の単語に比べると頻度は低い
- 文脈・例題の特徴: 心理学、社会学、文化人類学などの分野で、行動や感情を表す際に使われることがある。
- 学習者への注意点・アドバイス: フォーマルな文脈での使われ方を意識する。比喩的な表現(例:laugh in the face of adversity)も理解しておく。
- 出題形式: 主に長文読解
- 頻度と級・パート: 難関大学で頻出。標準的なレベルの大学でも見られる
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語、小説など幅広い。文脈から意味を推測する問題が多い
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈における意味を把握する練習が重要。比喩表現やイディオム(例:have the last laugh)も覚えておく。派生語(laughable, laughter)も重要。