labor
第1音節にアクセントがあります。母音 /eɪ/ は二重母音で、日本語の『エイ』に近いですが、より口を大きく開けて発音しましょう。語尾の /ər/ は、アメリカ英語では舌を巻く音(R音)を伴います。日本語の『ア』と『ウ』の中間のような曖昧母音を意識し、軽く舌を巻いてみましょう。
専門的な内容に関するご注意
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労働
一般的に、賃金を得るための仕事や努力を指す。肉体的、精神的な活動を含む。また、労働者階級や労働組合といった集団を指す場合もある。
The farmer's hands showed years of hard labor in the fields.
その農夫の手は、畑での長年の重労働を物語っていました。
※ 農夫のゴツゴツした手が、太陽の下、土にまみれて働く姿を想像させます。この文は、「labor」が肉体的な努力や大変な仕事、特に農業や建設業などでの「きつい労働」を表すときに非常によく使われることを示しています。
The factory hired more labor to meet the increasing demand for its products.
その工場は、製品への高まる需要に応じるため、より多くの労働者を雇いました。
※ ベルトコンベアが動き、たくさんの作業員が忙しく働く工場の風景が目に浮かびます。「labor」は、工場や建設現場などで「労働力」や「労働者全体」を指す際によく使われます。ここでは「more labor」で「より多くの労働力」という意味になり、集合的な意味合いで使われています。
He believed that everyone's honest labor should be rewarded fairly.
彼は、誰もが誠実に行った労働は公正に報われるべきだと信じていました。
※ 自分の仕事に誇りを持つ人が、正当な評価を期待する姿が描かれています。この文は、「labor」が単なる作業だけでなく、そこに含まれる努力や価値を指すことを示しています。「honest labor」のように形容詞をつけて、どのような性質の労働かを説明できます。
分娩
出産時の陣痛や出産の過程そのものを指す。医学的な文脈や、出産に関する話題で使われる。
Around midnight, she went into labor suddenly.
真夜中頃、彼女は突然陣痛が始まりました。
※ 「go into labor」は「陣痛が始まる、分娩に入る」という意味で、出産が始まる瞬間に使われる典型的なフレーズです。この例文は、予期せぬ時間に分娩が始まった、という驚きと期待が入り混じった瞬間を描写しています。
Her labor was very long, but she stayed strong.
彼女の出産はとても長かったが、彼女は強く耐え抜きました。
※ 「labor」は出産プロセス全体を指すため、「long labor(長い分娩)」のように、その大変さや時間の長さを表現する際によく使われます。この例文では、困難な状況でも「強く耐え抜いた」という、母親の頑張りと周りの応援が感じられる場面を想像できます。
The doctor said her labor went smoothly.
医師は彼女の出産が順調に進んだと言いました。
※ 「labor went smoothly」は「分娩が順調に進んだ」という意味で、出産が無事に終わったことを表す非常によく使われる表現です。病院のシーンで、医療従事者が家族に状況を説明する際の、安堵感と喜びが伝わる典型的なフレーズです。
尽力する
困難な状況下で、ある目的を達成するために努力や労力を費やすこと。しばしば、困難や苦労を伴うニュアンスを含む。
He labored late into the night to finish his big report.
彼は大きなレポートを終わらせるために、夜遅くまで尽力した。
※ この例文は、学生や会社員が大切な課題や仕事を仕上げるために、時間を惜しまず一生懸命に努力する様子を描写しています。「late into the night」は夜遅くまで、という意味で、目標達成のために粘り強く頑張っている情景が目に浮かびます。
The rescue team labored for hours to free the trapped dog.
救助チームは、閉じ込められた犬を助けるために何時間も尽力した。
※ この例文は、困難な状況で、誰かを助けるために肉体的・精神的な努力を重ねる場面を表しています。「for hours」は数時間にわたって、という意味で、諦めずに懸命に作業している救助隊の真剣な姿が伝わります。人の命や動物の命に関わるような、切迫した状況で使われることがあります。
She labored hard to push the heavy old cart up the steep hill.
彼女は、重い古い手押し車を急な坂道で押し上げるのに、とても尽力した。
※ この例文は、物理的に大変な作業や、肉体的な労力を伴う努力の様子を描いています。「hard」は「懸命に、一生懸命に」という意味で、急な坂道を重い物を押して登るという、汗をかくような大変な状況が鮮明にイメージできます。日常生活でのちょっとした苦労にも使えます。
コロケーション
採算度外視の、愛情を込めた仕事
※ 金銭的な報酬を期待せず、喜びや情熱から行う仕事や活動を指します。趣味やボランティア活動など、個人的な満足感が主な動機となる場合に用いられます。例えば、「庭の手入れは私にとってまさに labor of love だ」のように使います。ビジネスシーンよりも、個人的な活動について語る際に適した表現です。
陣痛中である、出産のために苦しんでいる
※ 女性が出産のために陣痛を感じている状態を指します。医学的な文脈や、出産に関する話題で使われます。例えば、「彼女は朝の5時から in labor だ」のように使います。日常会話でも使われますが、ややフォーマルな響きがあります。出産という非常にデリケートな状況を表すため、丁寧な言葉遣いが求められます。
分業、役割分担
※ 仕事やタスクを複数の人に割り当て、それぞれが特定の専門分野を担当することを指します。経済学や経営学の分野でよく用いられ、効率化や生産性向上を目的とした組織運営の基本概念です。例えば、「大規模なプロジェクトでは、明確な division of labor が不可欠だ」のように使われます。アダム・スミスの『国富論』に由来する古典的な表現です。
強制労働
※ 自由意志に基づかない労働を強いられる状態を指します。人権侵害の一形態であり、国際法で禁止されています。例えば、「児童に対する forced labor は断じて許されない」のように使われます。ニュースや人権問題に関する議論でよく用いられる、非常に深刻な意味合いを持つ表現です。
労働市場
※ 労働力の需要と供給が交差する市場を指します。求職者と雇用主の間で労働力の取引が行われる場であり、経済状況や雇用情勢を分析する上で重要な指標となります。例えば、「最近の labor market は売り手市場だ」のように使われます。経済学やビジネスの分野で頻繁に用いられる専門用語です。
労働争議
※ 労働条件や労働環境をめぐる労働者と雇用者間の紛争を指します。ストライキやロックアウトなど、集団的な行動を伴う場合があります。例えば、「会社と労働組合の間で labor dispute が発生した」のように使われます。労働法や労使関係に関する話題で用いられることが多いです。
苦しそうな呼吸、努力呼吸
※ 呼吸が困難で、通常よりも多くの努力を要する状態を指します。医学的な文脈で使われ、呼吸器系の疾患や体調不良を示す兆候となります。例えば、「彼は labored breathing をしていたので、すぐに病院に連れて行った」のように使われます。日常会話でも使われますが、やや専門的な響きがあります。
使用シーン
学術論文や研究発表で頻繁に使用されます。経済学分野では「労働市場(labor market)」、社会学では「労働階級(labor class)」、歴史学では「労働運動(labor movement)」といった複合語として登場します。研究者が自らの研究内容を説明する際に、客観的なデータや分析結果を示す文脈で用いられることが多いです。文体は文語的で、フォーマルな印象を与えます。
ビジネス文書や会議で、労働力や労働コストに関する議論で使われます。「労働組合(labor union)」との交渉や、「労働生産性(labor productivity)」の向上といった文脈で登場します。人事担当者が従業員の管理や評価について報告する際、経営者が戦略を説明する際など、フォーマルな場面で使用されます。文体はやや硬めで、丁寧な表現が好まれます。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、労働問題や出産に関する話題が出てくる際に耳にすることがあります。例えば、「出産(labor)」に関連して、「陣痛が始まった」という状況を説明する際に使われることがあります。また、政治的な文脈で、労働者の権利や待遇改善を訴える際に使われることもあります。カジュアルな会話では、より平易な言葉で言い換えられることが多いです。
関連語
類義語
一般的な『働く』という意味。名詞としては、肉体労働から知的労働まで、あらゆる種類の活動を指します。動詞としては、自動詞・他動詞どちらでも使用可能です。日常会話、ビジネス、学術など、幅広い場面で使われます。 【ニュアンスの違い】『labor』よりも遥かに一般的で、フォーマルな場面でもカジュアルな場面でも使えます。『labor』がどちらかというと肉体的な努力や苦労を伴うニュアンスを含むのに対し、『work』はより中立的です。 【混同しやすい点】『work』は不可算名詞としても可算名詞としても使われます。不可算名詞の場合は一般的な『仕事』を、可算名詞の場合は個々の『作品』や『成果』を指します。また、『work』は抽象的な概念(例:work of art)にも使われますが、『labor』は通常、具体的な労働を指します。
『努力』という意味。目標達成のために費やすエネルギーや試みを指します。名詞として使われ、動詞としては『make an effort』の形で使われることが多いです。ビジネスや学術的な文脈でよく使用されます。 【ニュアンスの違い】『labor』が具体的な労働行為を指すのに対し、『effort』はより抽象的な努力や試みを指します。『labor』は必ずしも目標達成を伴いませんが、『effort』は目標達成を目指すニュアンスが強いです。 【混同しやすい点】『effort』は不可算名詞としても可算名詞としても使われます。不可算名詞の場合は一般的な『努力』を、可算名詞の場合は個々の『努力』や『試み』を指します。また、『labor』は肉体的な努力を連想させやすいですが、『effort』は精神的な努力にも使われます。
『骨の折れる仕事』『苦労』という意味。長時間の、または困難な労働を指します。名詞としても動詞としても使用可能です。文学的な表現や、苦難の状況を描写する際に用いられることが多いです。 【ニュアンスの違い】『labor』よりもさらに強い苦労や困難のニュアンスを含みます。また、『toil』はしばしば単調で報われない労働を連想させます。『labor』よりもフォーマルで、日常会話ではあまり使われません。 【混同しやすい点】『toil』はしばしば否定的な感情を伴います。例えば、奴隷制度や過酷な労働条件などを想起させる場合があります。『labor』は必ずしも否定的な意味合いを持ちませんが、『toil』は苦痛や苦難を強調する傾向があります。
『(力やエネルギーの)行使』『努力』という意味。精神的または肉体的なエネルギーを費やすことを指します。名詞として使われ、フォーマルな文脈でよく用いられます。 【ニュアンスの違い】『labor』が具体的な労働行為を指すのに対し、『exertion』はより抽象的なエネルギーの消費を指します。『exertion』はしばしば大きな努力や困難を伴う行為を連想させます。『labor』よりもフォーマルな印象を与えます。 【混同しやすい点】『exertion』はしばしば身体的な努力(例:physical exertion)を指しますが、精神的な努力(例:mental exertion)にも使われます。『labor』は主に身体的な労働を指すことが多いですが、『exertion』はより広範な意味で使用できます。
『努力』『試み』という意味。何かを達成するために真剣に取り組むことを指します。名詞としても動詞としても使用可能です。ビジネスや学術的な文脈でよく使用されます。 【ニュアンスの違い】『labor』が具体的な労働行為を指すのに対し、『endeavor』はよりフォーマルで、目的意識を持った努力を指します。『endeavor』はしばしば困難な課題や目標を達成しようとする試みを連想させます。 【混同しやすい点】『endeavor』はしばしば集団的な努力を指すことがあります(例:a collaborative endeavor)。『labor』は個人的な労働を指すこともありますが、『endeavor』はより大きなプロジェクトや目標に関連付けられることが多いです。
『勤勉』『産業』という意味。『勤勉』の意味では、絶え間ない努力と献身を指します。『産業』の意味では、特定の商品やサービスを生産する経済活動を指します。ビジネスや経済の文脈でよく使用されます。 【ニュアンスの違い】『labor』が労働行為そのものを指すのに対し、『industry』は勤勉さや生産活動を指します。『labor』は具体的な作業を連想させますが、『industry』はより抽象的な概念です。 【混同しやすい点】『industry』は文脈によって意味が大きく異なります。『labor』は常に労働に関連する意味を持ちますが、『industry』は『勤勉』と『産業』という異なる意味で使用されるため、注意が必要です。
派生語
「研究室、実験室」の意味。もともと「労働の場所」を指し、修道院などで薬草を調合する場所が語源。科学研究が発展するにつれて、実験を行う特別な場所を指すようになった。学術的な文脈や研究機関で頻繁に使用される。
- laborious
「勤勉な、骨の折れる」という意味の形容詞。「labor」に「〜に満ちた」という意味の接尾辞「-ious」が付いた。単に「労働」という事実だけでなく、その労働が困難で努力を要することを強調する。ビジネス文書や学術論文で、作業の性質を表す際に用いられる。
「共同で働く、協力する」の意味。接頭辞「col-(共に)」と「laborate(働く)」が組み合わさった言葉。複数の人が協力して目標を達成する状況を表す。ビジネスシーン、学術研究、創造的なプロジェクトなど、幅広い場面で使用される。
「詳しく述べること、念入りな仕上げ」の意味。動詞「elaborate(詳しく述べる、苦心して作り上げる)」の名詞形。「e-(外に)」と「laborate(働く)」が組み合わさり、労力をかけて何かを作り出す、または詳細に説明することを意味する。学術論文、技術文書、プレゼンテーションなどで、詳細な説明や補足が必要な場合に使用される。
反意語
- idleness
「無為、怠惰」の意味。「labor(労働)」が活動的であるのに対し、「idleness」は何もしない状態を指す。日常会話や文学作品で、活動の欠如や無益な時間を過ごす様子を表す際に用いられる。特に「labor」が義務や責任を伴う労働を指す場合、その対比として「idleness」は自由な時間や休息を意味することがある。
「気晴らし、娯楽」の意味。「re-(再び)」と「creation(創造)」が組み合わさり、労働からの回復やエネルギーの再創造を意味する。「labor」が身体的または精神的な努力を伴う活動であるのに対し、「recreation」は楽しみやリラックスを目的とした活動を指す。日常生活や観光業界で、余暇の過ごし方を表す際に使用される。
「余暇、自由時間」の意味。「labor」が義務的な活動を指すのに対し、「leisure」は自分の意志で自由に使える時間を指す。社会学や経済学の文脈では、労働時間と余暇時間のバランスについて議論される際に用いられる。また、比喩的に「悠々自適な生活」を表すこともある。
語源
「labor」はラテン語の「labor(苦しみ、努力、労働)」に由来します。この語は、身体的または精神的な努力を伴う活動全般を指していました。英語に取り入れられた際、その意味はほぼそのまま引き継がれ、「労働」「労苦」といった意味で使用されるようになりました。また、「分娩」という意味も、出産が伴う苦痛や努力から派生したものです。日本語の「レイバー」というカタカナ語も、この英単語に由来し、労働運動や労働組合といった文脈で使われます。このように、「labor」は、語源であるラテン語の「苦しみ、努力」という根源的な意味を、現代英語においても保持し続けている単語と言えるでしょう。
暗記法
「labor」は苦難、創造、社会変革の象徴。中世では罪の償いでしたが、ルネサンス期には創造的活動へ。産業革命以降、労働者階級の苦闘を象徴し、マルクスは搾取を批判。「labor union」はその名残です。現代では知的労働も含む広義な意味を持ち、児童労働問題も。「labor」は社会正義、人権と結びつき、人間の尊厳と創造への努力を物語ります。
混同しやすい単語
『labor』のイギリス英語での綴り。意味は同じ『労働』だが、スペルが異なるため、どちらの綴りを使うか意識する必要がある。国際的な文脈では『labor』、イギリス英語圏では『labour』が一般的。
発音が似ており、特に語尾の『-er』の部分が曖昧になりやすい。意味は『後で』であり、時間的な概念を表す。スペルも似ているため、文脈で判断する必要がある。発音記号を確認し、明確に区別することが重要。
語尾の音が似ており、特に『r』の音が弱い場合に混同しやすい。意味は『はしご』であり、全く異なる。スペルも似ている部分があるため、注意が必要。単語のイメージを視覚的に結びつけると記憶しやすい。
語源的に関連がある(ラテン語の『liber』=自由)。『labor』は元々、自由でない人が行う苦役を意味した。意味もスペルも異なるが、歴史的背景を知っておくと記憶の助けになる。『liber』は植物学では『靭皮』を意味する。
スペルが似ており、特に『l-』で始まる単語は混同しやすい。意味は『恋人』であり、全く異なる。発音も異なるが、早口で話されると聞き間違えやすい。文脈で判断することが重要。
発音が似ているため、聞き取りにくい場合がある。意味は『(伝承された)知識、言い伝え』であり、全く異なる。スペルも似ているため、注意が必要。語呂合わせなどを使って区別すると記憶しやすい。
誤用例
『labor』は、肉体的、精神的な苦労を伴う『労働』や『骨折り』といったニュアンスが強く、必ずしもrewardingとは限らない作業に使われます。学術的な翻訳作業は、知的挑戦ではあるものの、一般的には『task』や『work』を使う方が適切です。日本人が『研究室での作業』をイメージして安易に『labor』を選んでしまうのは、日本語の『研究活動』という言葉が含む意味範囲の広さに引きずられているためです。英語では、知的活動の内容に応じて、より適切な語を選ぶ必要があります。
『labor』は出産時の陣痛という意味があり、比喩的に『苦労して何かを生み出す』という意味で使えなくもないですが、会社が新製品開発の苦労を表現する文脈では不自然です。この場合、より一般的な『working hard』を使う方が適切です。日本人は『産みの苦しみ』という言葉から『labor』を連想しがちですが、英語では出産という非常に具体的なイメージが先行するため、安易な比喩表現は避けるべきです。また、ビジネスシーンでは、感情的な表現よりも客観的な表現が好まれる傾向があります。
『labor』を動詞として使う場合、『苦労して〜する』という意味合いが非常に強く、単に時間をかけて準備したというニュアンスを伝えたい場合には不適切です。『prepare』や『work on』を使う方が自然です。日本人は『苦心してスピーチを作成した』というニュアンスを強調したい場合に『labor』を選んでしまいがちですが、英語では『labor』はネガティブなニュアンスを含むことが多く、努力が報われなかったという含みを持たせたい場合に限って使用するのが適切です。 また、スピーチの準備という文脈では、'craft'という動詞も、時間をかけて丁寧に練り上げるニュアンスを伝えるのに適しています。
文化的背景
「labor」は単なる労働を意味するだけでなく、しばしば苦難、創造、そして社会変革への努力を象徴する言葉として用いられます。特に、歴史的には奴隷労働や過酷な肉体労働と結びつき、その苦痛や搾取のイメージを伴ってきました。しかし同時に、労働は人間の尊厳や創造性の源泉とも考えられ、芸術作品や社会運動において重要なテーマとなっています。
中世ヨーロッパにおいては、労働は神の定めた罰であり、罪を償う手段であると考えられていました。農奴は領主のために無償で労働を提供し、その生活は過酷を極めました。しかし、ルネサンス期に入ると、労働に対する考え方に変化が見られます。人間の能力を肯定的に捉える考え方が広まり、労働は単なる苦役ではなく、創造的な活動として認識されるようになりました。例えば、ミケランジェロのような芸術家は、自身の作品を「labor of love(愛の労働)」と表現し、その創造的な努力を強調しました。
19世紀の産業革命以降、「labor」は資本主義社会における労働者階級の苦闘を象徴する言葉となりました。工場労働者は長時間労働、低賃金、劣悪な労働環境に苦しみ、その状況を改善するために労働運動が活発化しました。カール・マルクスは、資本主義における労働者の搾取を批判し、労働者階級の解放を訴えました。彼の著作は、労働運動に大きな影響を与え、「labor」は階級闘争のキーワードとなりました。今日でも、「labor union(労働組合)」という言葉は、労働者の権利を守るための組織を指し、その歴史的な背景を反映しています。
現代においては、「labor」は肉体労働だけでなく、知的労働や感情労働を含む広範な意味を持つようになりました。また、グローバル化の進展に伴い、発展途上国における児童労働や強制労働といった問題も浮き彫りになっています。「labor」は依然として、社会正義や人権といった重要なテーマと深く結びついているのです。そして、その言葉の背後には、人間の尊厳、創造性、そして社会変革への絶え間ない努力という、多層的な意味が込められています。
試験傾向
準1級・1級で語彙問題や長文読解で出題される可能性があります。特に、労働問題や社会問題に関するテーマで登場しやすいです。動詞としての「働く」という意味だけでなく、名詞としての「労働」「労働者」という意味も重要です。過去問でテーマごとの頻出単語を確認しましょう。
Part 5(短文穴埋め問題)やPart 7(長文読解問題)で登場する可能性があります。ビジネスシーンでの「労働」「人件費」といった意味合いで使われることが多いです。labor costs(人件費)などの複合語も覚えておきましょう。類義語との使い分け(work, effortなど)に注意が必要です。
リーディングセクションで、社会科学や歴史、経済学などのアカデミックな文章で頻出します。「労働」「労力」といった意味で、抽象的な概念を説明する際に用いられることが多いです。動詞としての「苦労する」という意味も押さえておきましょう。パラフレーズ(言い換え)問題にも注意が必要です。
難関大学の長文読解問題で出題される可能性があります。社会科学系のテーマ(経済、社会学など)で登場することが多いです。文脈から意味を推測する力が必要です。特に、名詞としての意味だけでなく、動詞としての意味も理解しておくことが重要です。派生語(laboriousなど)も覚えておきましょう。