effort
第1音節にアクセントがあります。母音 /e/ は日本語の『エ』よりも少し口を横に開いて発音します。/f/ の音は、上の前歯を下唇に軽く当てて、隙間から息を出すように発音します。最後の /ərt/ は曖昧母音で、口の力を抜いて「あ」と「う」の中間のような音を出し、舌を少し丸めて奥に引くように発音するとよりネイティブに近い響きになります。
努力
目標達成のために費やす精神的・肉体的なエネルギー。単に「頑張る」だけでなく、具体的な行動を伴うニュアンスを含む。例:make an effort (努力する)、put in effort (努力を注ぎ込む)
She made a lot of effort to remember new English words every day.
彼女は毎日、新しい英単語を覚えるためにたくさんの努力をしました。
※ 机に向かって、彼女が辞書や単語帳と格闘しながら、新しい単語を覚えようと一生懸命に頑張っている情景が目に浮かびます。「make effort」は「努力する」という、'effort' の最も中心的で基本的な動詞との組み合わせです。
The small boy put great effort into climbing the tall tree.
その小さな男の子は、高い木に登るために大きな努力をしました。
※ 小さな男の子が、手が滑りそうになりながらも必死に木を登っている様子が目に浮かびます。目標に向かって身体的に頑張る場面にぴったりです。「put effort into 〜ing」は「〜することに努力を注ぐ」という表現で、何か行動に力を入れる時にとても自然に使われます。
Everyone's effort was needed to clean the whole park.
公園全体をきれいにするために、みんなの努力が必要でした。
※ 公園で、大人も子供も一緒にゴミを拾ったり、草むしりをしたりしている光景が目に浮かびます。一人ひとりの頑張りが集まって、大きな目標を達成するイメージです。このように「(誰かの)努力」として'effort'が使われることも多く、みんなで協力する場面でよく使われます。
試み
何かを成し遂げようとする行為、またはその具体的な行動。必ずしも成功するとは限らないが、意図的な行動を伴う。例:a peace effort (和平の試み)
He put a lot of effort into his project and finished it perfectly.
彼はその企画に多大な努力を注ぎ込み、完璧に仕上げた。
※ この例文からは、オフィスで彼が夜遅くまで企画書を練ったり、資料を集めたりと、文字通り汗を流して頑張っている姿が目に浮かびますね。「put effort into ~」は「〜に努力を注ぐ」という、英語で「effort」を使う際の非常に典型的な表現です。仕事や勉強など、何かを達成するために一生懸命取り組む様子を表すのにぴったりです。「a lot of effort」で「たくさんの努力」という意味になります。「effort」は数えられない名詞なので、通常は「many efforts」とは言いません。
She made an effort to remember everyone's names at the new company.
彼女は新しい会社で、みんなの名前を覚えようと努力した。
※ この文からは、新しい職場で少し緊張しながらも、一人ひとりの顔と名前を必死に覚えようとメモを取ったり、心の中で反復したりしている彼女の姿が想像できます。「make an effort to do ~」は「〜しようと努力する」という、これもまた「effort」の非常に一般的な使い方です。特に、人間関係や新しい環境で何かを頑張ろうとする際に使われることが多いでしょう。これは「努力する」という一塊の動詞句として覚えると便利です。
Even a small effort can make a big difference in your daily life.
たとえ小さな努力でも、あなたの日常生活に大きな違いをもたらすことができる。
※ この例文は、「ほんの少し早起きして散歩する、毎日一単語だけ覚える」といった、誰でも始められるようなささやかな行動が、やがて大きな良い変化につながる様子を描いています。「small effort」(小さな努力)や「big difference」(大きな違い)のように、努力の「量」や「結果」を対比させて使うのは非常に自然な表現です。ポジティブなメッセージを伝える際によく使われます。「make a difference」は「違いを生み出す、影響を与える」という決まった言い方で、これも一緒に覚えておくと便利です。
尽力
ある目的のために、持てる力や資源を最大限に活用すること。特に、組織やチームなど、集団での活動において貢献するニュアンスが強い。
She put a lot of effort into studying for the big exam, often staying up late.
彼女は大きな試験のために一生懸命勉強し、よく夜遅くまで起きていました。
※ この例文は、目標達成のために個人的な努力を重ねる情景を描写しています。夜遅くまで机に向かって、難しい問題に頭を悩ませている学生の姿が目に浮かびますね。「put effort into (doing) something」は「〜に努力を注ぐ」という、この単語の最も中心的で非常によく使われる表現です。
It took a lot of effort to move the heavy sofa up the narrow stairs, but we did it!
重いソファを狭い階段を上がって運ぶのは大変な尽力が必要でしたが、私たちはやり遂げました!
※ この例文は、困難な状況を乗り越えるための物理的な「尽力」を表しています。重いソファを運びながら、友人や家族と協力し、汗をかいている様子が伝わってきますね。「It takes/took effort to do something」は「〜するには努力が必要だ/必要だった」という意味で、何かを成し遂げるための労力や大変さを表現する際に頻繁に用いられます。
The coach praised the young players for their great effort during the challenging game.
コーチは、厳しい試合中の若い選手たちの素晴らしい尽力を称賛しました。
※ この例文は、他者の「尽力」を評価し、感謝する場面を描いています。試合後、汗だくの選手たちに、コーチがねぎらいの言葉をかけている場面が想像できます。「for their effort」は、誰かの頑張りや尽力を認めたり、感謝したりする際に使われる典型的な形です。「praise someone for something」は「〜のことで誰かを褒める」という意味で、これも非常によく使う表現です。
コロケーション
努力する、尽力する
※ 最も基本的で汎用的なコロケーションですが、単に「努力する」だけでなく、「意識的に、積極的に努力する」というニュアンスを含みます。例えば、'I made an effort to learn Japanese' は、日本語学習に積極的に取り組んだことを意味します。類似表現の 'try' よりも、より強い意志や意図が感じられます。ビジネスシーンや日常会話で頻繁に使われます。
あらゆる努力を惜しまない、全力を尽くす
※ 'spare' は『惜しむ』という意味で、それを否定することで『努力を全く惜しまない』という強い決意を表します。プロジェクトの成功や目標達成のために、できる限りのことをするというニュアンスです。ややフォーマルな表現で、ビジネス文書やスピーチでよく用いられます。例えば、'We will spare no effort to ensure the success of this project.' のように使われます。
精力的な努力、骨の折れる努力
※ 'strenuous' は『激しい』『骨の折れる』という意味で、非常に困難な目標やタスクに立ち向かう際に払う努力を指します。肉体的、精神的なエネルギーを強く消耗するような努力を表すことが多いです。例えば、'climbing Mount Everest requires strenuous effort.' のように使われます。文学的な文脈や、困難な状況を強調したい場合に適しています。
~しようと努力して、~する目的で
※ 目的や意図を表すフレーズで、後に動詞の原形が続きます。例えば、'In an effort to reduce costs, we are implementing new strategies.' のように、行動の理由や目的を説明する際に使われます。ビジネスシーンや公式な文書でよく見られます。類似表現の 'in order to' よりも、努力や試みが含まれているニュアンスがあります。
~の努力に感謝する、~の尽力を認める
※ 他者の努力や貢献に対して感謝の意を示す表現です。単に 'thank you' と言うよりも、相手の努力を具体的に認識し、その価値を認めていることを伝えるニュアンスがあります。ビジネスシーンや人間関係において、相手への敬意を示すために重要な表現です。例えば、'We appreciate your efforts in completing this project on time.' のように使われます。
共同の努力、協力し合った結果
※ 複数人が協力して目標達成のために努力することを指します。チームワークや連携の重要性を強調する際に用いられます。ビジネスシーンやプロジェクトの説明でよく使われ、'This success was a collaborative effort of all team members.' のように使われます。個人の努力だけでなく、組織全体の協力体制を評価する意味合いが含まれます。
方向違いの努力、的外れな努力
※ 'misdirected' は『方向が間違っている』という意味で、目標達成のために努力しているものの、方法や方向性が間違っているために効果が出ていない状況を指します。時間やエネルギーが無駄になっていることを示唆します。例えば、'His efforts were misdirected because he didn't understand the core issue.' のように使われます。問題解決や戦略の見直しを促す際に用いられます。
使用シーン
学術論文やプレゼンテーションで頻繁に使用されます。研究活動の文脈で、研究者がデータ収集や分析に費やした労力を説明する際(例:「この研究では、データ収集に多大な努力が払われた。」)や、学生が課題や論文作成にかける努力について言及する際に使われます。フォーマルな文体で使われることが多く、客観的な記述が求められます。
ビジネスシーンでは、プロジェクトの進捗報告や成果発表、人事評価などで使われます。例えば、プロジェクトリーダーがチームの努力を評価する際に「チーム全体の努力により、目標を達成することができた。」のように使われます。また、自己啓発やキャリアアップに関する文脈でも、「努力を重ねることでスキルアップを目指す」といった表現で使用されます。比較的フォーマルな場面で用いられます。
日常会話やニュース記事などで、目標達成のための行動や困難に立ち向かう姿勢を表現する際に使われます。例えば、「ダイエットの努力が実を結び、目標体重を達成した。」や「災害からの復興に向けて、地域住民が一丸となって努力している。」のように使われます。ニュース記事では、政治家や著名人の活動を紹介する際にも用いられます。口語でも文語でも使用されますが、やや硬い印象を与えることもあります。
関連語
類義語
ある目標を達成するために、真剣かつ持続的に努力することを意味します。しばしば、知的または創造的なプロジェクトに関連付けられます。フォーマルな文脈で使われることが多い。 【ニュアンスの違い】「effort」よりもフォーマルで、より知的・創造的なニュアンスを持ちます。「effort」が単なる労力を指すのに対し、「endeavor」は目的意識的な取り組みを強調します。 【混同しやすい点】「endeavor」は名詞としても動詞としても使われますが、日常会話では「effort」の方が一般的です。また、「endeavor」は集合的な努力や事業全体を指すこともあります。
- striving
何かを達成しようと、困難にもかかわらず懸命に努力する状態を指します。自己改善や目標達成の文脈でよく使われます。 【ニュアンスの違い】「effort」よりも強い意志や向上心を示唆し、困難を乗り越えようとするニュアンスが含まれます。個人的な成長や達成に関連付けられることが多い。 【混同しやすい点】「striving」は動名詞として使われることが多く、具体的な行動よりも努力の過程や状態を表します。「effort」は具体的な努力の行為や結果を指すのに対し、「striving」はより抽象的な概念です。
肉体的または精神的なエネルギーを強く費やすことを意味します。体力的な活動や精神的な集中を要する場面で使われます。 【ニュアンスの違い】「effort」よりも強いエネルギーの消費を強調し、しばしば疲労感や困難さを伴います。肉体的な努力や精神的な集中を伴う場合に適しています。 【混同しやすい点】「exertion」は不可算名詞であり、具体的な努力の行為というよりも、エネルギーを費やす状態そのものを指します。「effort」は可算名詞として具体的な努力の単位を表すことができます。
何かを試みる、または試みそのものを指します。成功するかどうかは不確実で、必ずしも大きな努力を伴わない場合があります。 【ニュアンスの違い】「effort」が努力の程度を強調するのに対し、「attempt」は試みそのものに焦点を当てます。必ずしも成功を保証するものではなく、失敗の可能性も含まれます。 【混同しやすい点】「attempt」は動詞としても名詞としても使われ、「attempt to do」という形で使われることが多いです。「effort」は努力そのものを指しますが、「attempt」は試みの行為そのものを指します。
肉体的な労働、特に困難で骨の折れる作業を指します。経済的な活動や産業に関連付けられることが多い。 【ニュアンスの違い】「effort」よりも肉体的な労力を強調し、しばしば苦労や困難さを伴います。賃金を得るための労働や、生産活動に関連付けられることが多い。 【混同しやすい点】「labor」は不可算名詞として労働一般を指すことも、可算名詞として特定の労働行為を指すこともあります。「effort」はより広範な努力を指しますが、「labor」は主に肉体労働に限定されます。
「面倒をかける」「苦労する」という意味合いで、何かを達成するために必要な手間や労力を婉曲的に表現する際に用いられる。日常会話で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】「effort」が直接的な努力を指すのに対し、「trouble」は間接的なニュアンスを含み、相手に対する配慮や謙遜の気持ちを示すことが多い。また、問題や困難を伴うニュアンスも含む。 【混同しやすい点】「trouble」は名詞としても動詞としても使われ、文脈によって意味が大きく異なる。「I took the trouble to do…」のように、特定の労力をかけたことを表す場合、「effort」と置き換えられることがあるが、ニュアンスが異なる。
派生語
『努力を要しない』という意味の形容詞。名詞『effort』に『~のない』という意味の接尾辞『-less』が付加され、苦労や努力なしにできる様子を表す。日常会話やビジネスシーンで、物事が容易に達成される状況を表現する際に用いられる。例:effortless performance(楽々とこなす演技)。
- efforce
古語的な用法ではあるが、『努力する』『強いる』という意味の動詞。現代英語ではあまり使われないが、『effort』の動詞形としてのルーツを知る上で重要。フランス語の『efforcer』に由来し、もともとは『力を加える』という意味合いを持つ。歴史的な文書や文学作品で見られることがある。
- ineffable
『言葉にできない』という意味の形容詞。接頭辞『in-(否定)』と語根『eff-(外へ)』、そして接尾辞『-able(~できる)』が組み合わさった語。努力して表現しようとしても、言葉では十分に伝えられない感情や経験を指す。文学や哲学の分野で、神秘的な体験や崇高な美しさを表現する際に用いられる。例:ineffable beauty(言葉にできない美しさ)。
反意語
『無気力』『無関心』という意味の名詞。『effort』が積極的に働きかける状態を指すのに対し、『apathy』は感情や関心が欠如し、行動を起こす意欲がない状態を表す。日常生活、心理学、社会学など幅広い分野で使用される。例:political apathy(政治的無関心)。
『怠惰』『無精』という意味の名詞。『effort』が活動的であることの反対に、『indolence』は努力を避け、何もしないことを好む状態を指す。特に、本来すべきことや期待される行動を怠る場合に用いられる。文学作品や自己啓発書などで、人間の弱さや克服すべき性質として描かれることが多い。例:succumb to indolence(怠惰に身を任せる)。
- inertia
『慣性』『不活発』という意味の名詞。物理学では『物体が現在の状態を維持しようとする性質』を指すが、比喩的には『変化を嫌い、現状維持に固執する傾向』を表す。努力を伴う変化や行動を避ける状態を指す点で、『effort』の対義語として機能する。ビジネス、政治、社会問題など、様々な文脈で使用される。例:overcome organizational inertia(組織の慣性を打破する)。
語源
「effort」は、古フランス語の「esforcier」(力を尽くす、努力する)に由来し、さらに遡るとラテン語の「ex-」(外へ、完全に)と「fortis」(強い、勇敢な)が組み合わさった「exfortiare」(力を発揮する、強くする)にたどり着きます。つまり、元々は内なる力を外へ「発揮する」という意味合いがありました。日本語で例えるなら、「火事場の馬鹿力」のように、普段以上の力を出すイメージです。この「fortis」は、「fortitude」(不屈の精神)や「force」(力)といった単語とも共通の語源を持ちます。したがって、「effort」は単に何かを試みるだけでなく、根源的には内に秘めた力を最大限に引き出す行為、つまり「渾身の力」を込めた試みを意味すると理解できます。大人の学び直しにおいては、自身の潜在能力を「effort」によって開花させる、という意識を持つことが重要です。
暗記法
「努力(effort)」は、西洋では意志の強さや成功の象徴。古代ギリシャでは自己克服の道、中世では自己犠牲として尊ばれました。ルネサンス期には、ダ・ヴィンチのような天才の才能開花の源泉と見なされました。近代では、アメリカンドリームの体現として経済的成功と結びつきますが、同時に格差を隠蔽するとの批判も。現代では自己実現の手段ですが、過剰な努力は禁物。努力は単なる手段でなく、自己成長のプロセスなのです。
混同しやすい単語
『effort』と発音が似ており、特に語尾の子音の区別が難しい場合があります。スペルも 'eff' と 'eff' で始まり、'ort' と 'ect' の部分が似ているため、視覚的にも混同しやすいです。『effect』は名詞で『効果』、動詞で『~に影響を与える』という意味であり、品詞が異なる場合があるため注意が必要です。日本語のカタカナ英語では『エフェクト』として定着しているため、意味を混同しないようにしましょう。
『effort』と語尾の '-fort' が共通しており、スペルが似ているため混同しやすいです。発音も、アクセントの位置が異なるものの、全体的な響きが似ています。『comfort』は『快適さ』や『慰め』という意味で、名詞または動詞として使われます。日常会話でもよく使われる単語なので、意味の違いを理解しておくことが重要です。語源的には、『comfort』は『共に強くする』という意味合いがあり、精神的な支えになるイメージです。
『effort』とスペルの構造が似ており、'aff-' で始まる点が共通しています。発音も、最初の 'a' の音が曖昧母音であるため、聞き取りにくい場合があります。『afford』は『~する余裕がある』という意味で、金銭的または時間的な余裕を表す際に使われます。日常会話で頻繁に使われるため、誤用しないように注意が必要です。語源的には、『afford』は『~に到達する』という意味合いがあり、目標を達成できるだけの余裕があるイメージです。
『effort』の語尾 '-fort' と完全に一致しており、スペルの一部が同じであるため混同しやすいです。発音も、語尾が同じであるため似ています。『fort』は『砦』という意味で、軍事的な防御施設を指します。意味が全く異なるため、文脈で判断することが重要です。語源的には、『fort』は『強い場所』という意味合いがあり、防御的な意味合いが強い単語です。
『effort』とスペルの一部が似ており、'off' で始まる点が共通しています。また、動詞の過去形・過去分詞であるため、文脈によっては混同する可能性があります。『offered』は『offer(申し出る)』の過去形・過去分詞で、『提供された』という意味です。特に、受動態の文で使われることが多いため、文法的な構造も理解しておくことが重要です。発音も、アクセントの位置が異なるため、注意が必要です。
『effort』とは直接的な類似性はありませんが、接頭辞 'in-' と 'ef-' の視覚的な類似性、および語尾の '-er' と '-or' の混同から、スペルミスを引き起こす可能性があります。『infer』は『推測する』という意味で、文脈から判断する際に使われます。発音も異なるため、注意が必要です。語源的には、『infer』は『~の中に持ち込む』という意味合いがあり、隠された情報を推測するイメージです。
誤用例
日本語の『努力したんだから感謝してほしい』というニュアンスを直訳すると、英語ではやや直接的で押し付けがましい印象になります。英語では、努力をアピールするよりも、成果物が相手にどう受け入れられるかを期待する表現の方が、より控えめで洗練されています。これは、英語圏の文化において、自己主張を控えめにする傾向があるためです。また、"appreciate it" は、より具体的な成果物や行動に対して使われることが多く、抽象的な努力に対しては不自然に聞こえます。
『effort』を動詞として使うのは一般的ではありません。日本語の『努力する』という言葉に引っ張られて、"effort"を動詞として使ってしまう誤りです。英語では、名詞の『effort』を使って、"make an effort"というフレーズで『努力する』という意味を表します。これは、英語の語彙の品詞に対する意識の違いから生まれる誤用です。英語では、名詞を動詞として使う場合には、特定のルールやコンテクストが必要となります。
『make efforts』は『(具体的な)試みをする』という意味合いが強く、抽象的な大義のために『尽力する』というニュアンスを出すには不適切です。より献身的な姿勢を示すには、"devote his efforts to"(努力を捧げる)を使う方が適切です。日本語の『努力する』が持つ意味合いの幅広さから、英語の"make efforts"を安易に当てはめてしまうと、意図したニュアンスが伝わらないことがあります。特に、高尚な目標や理念のために行動していることを表現する場合は、よりフォーマルで献身的な語彙を選ぶ必要があります。
文化的背景
「努力(effort)」は、単なる行為以上の意味を持ち、西洋文化においては個人の意志の強さ、自己実現への渇望、そして社会的な成功を象徴する言葉として深く根付いています。それは、逆境を乗り越え、目標を達成するために費やされる精神的・肉体的エネルギーの集積であり、しばしば美徳として称えられます。
努力という概念は、古代ギリシャ・ローマの時代から存在し、哲学や文学の中で重要なテーマとして扱われてきました。ストア派の哲学者たちは、困難に立ち向かい、自己を克服することこそが幸福への道であると説き、その過程で払われる努力を重視しました。中世ヨーロッパにおいては、キリスト教的な禁欲主義と結びつき、自己犠牲や献身的な行為が努力の象徴とみなされるようになりました。ルネサンス期には、個人の能力開発や芸術活動における努力が重視され、レオナルド・ダ・ヴィンチのような万能の天才は、たゆまぬ努力によってその才能を開花させたとされています。
近代に入ると、産業革命や資本主義の発展とともに、努力は経済的な成功や社会的地位の向上と強く結びつくようになりました。アメリカンドリームの概念は、努力によって誰もが成功できるという希望を象徴しており、多くの人々に努力を促す原動力となりました。しかし、同時に、努力至上主義は、社会的な不平等や格差を隠蔽するイデオロギーとして批判されることもあります。努力しても報われない人々が存在する現実を前に、努力の意味や価値が問い直されることも少なくありません。
現代社会においては、努力は個人の成長や自己実現の手段として、依然として重要な役割を果たしています。スポーツの世界では、オリンピック選手たちが血のにじむような努力を重ねてメダルを目指し、ビジネスの世界では、起業家たちが革新的なアイデアを実現するために努力を惜しみません。しかし、努力は必ずしも成功を保証するものではなく、時には過剰な努力が心身の健康を損なうこともあります。そのため、努力の方向性やバランスを考慮し、自己の限界を知ることも重要です。努力は、単なる手段ではなく、自己と向き合い、成長するためのプロセスとして捉えるべきでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。2級でも稀に出題
- 文脈・例題の特徴: 幅広いトピックで使われるが、努力や成果に関する文脈が多い
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞としての用法が中心。動詞化(make an effort)も重要。類義語(attempt, endeavor)との使い分けも意識。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)
- 頻度と級・パート: 頻出単語。特にPart 7でよく見られる
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンが中心。プロジェクト、目標達成、改善などの文脈で登場
- 学習者への注意点・アドバイス: 「努力」という意味だけでなく、「尽力」のようなニュアンスも含む。collocation(make an effort to do)で覚える。
- 出題形式: リーディングセクション
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出
- 文脈・例題の特徴: 研究、学問、社会問題など、抽象的で論理的な文脈で使われる
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞としての用法がほとんど。effortの程度や種類を表す修飾語(significant effort, considerable effort)に注目。
- 出題形式: 長文読解、和訳問題、英作文
- 頻度と級・パート: 難関大学で頻出。標準的な大学でも出題される
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語文など、幅広いジャンルで登場
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する力が重要。effortを使った慣用表現(spare no effort)も覚えておくと有利。