indulge
最初の母音 /ɪ/ は日本語の「イ」よりも口を少し開き、短く発音します。アクセントは2音節目の /dʌl/ にあります。最後の /dʒ/ は、日本語の「ヂュ」に近い音ですが、より強く、喉の奥から出すように意識しましょう。母音と子音の区切りを意識すると、よりクリアに聞こえます。
甘やかす
自分の欲求や感情に任せて、快楽を追求するニュアンス。特に、普段は我慢していることを解放するような状況で使われる。悪い意味だけでなく、たまには自分を労う肯定的な意味合いも含む。
My grandmother always indulges me with delicious homemade cookies.
祖母はいつも、おいしい手作りクッキーで私を甘やかしてくれます。
※ この例文は、愛情深い人が、相手に何かを与えて甘やかす典型的な場面を描いています。おばあちゃんが孫を可愛がって、特別に手作りのお菓子をたくさんくれる、そんな温かい情景が目に浮かびますね。「indulge + 人 + with 物」の形で、「〜に〜を与えて甘やかす」という意味でよく使われます。
After a long week, I decided to indulge myself with a relaxing bubble bath.
長い一週間の後、私はリラックスできる泡風呂で自分を甘やかすことにしました。
※ この例文は、頑張った自分へのご褒美として、贅沢や快楽に浸り「自分を甘やかす」という状況を表しています。疲れた時に、好きなことをしてホッと一息つく、そんな場面でよく使われます。「indulge myself」で「自分を甘やかす」という決まり文句のように使えます。
My neighbor always indulges her small dog with fancy treats and toys.
私の隣人はいつも、高級なおやつやおもちゃで小型犬を甘やかしています。
※ この例文は、ペットを過度に可愛がり、贅沢をさせる様子を表しています。まるで小さな子どもを扱うかのように、惜しみなく物を与えて甘やかす情景が目に浮かびます。「indulge + 対象(人やペット)+ with 物」は、何かを与えて甘やかす状況で自然に使える表現です。
ふける
ある感情や思考に浸りきる様子。ネガティブな感情(悲しみ、後悔など)に対して使われることが多い。
After a long week, she decided to indulge in a big slice of chocolate cake.
長い一週間を終え、彼女は大きなチョコレートケーキを思う存分食べることにした。
※ 【鮮やかなミニ・シーン】一週間よく頑張った自分へのご褒美として、大好きなチョコレートケーキを「罪悪感なく」楽しむ様子が目に浮かびますね。 【なぜ典型的か】「indulge in (something)」で「~にふける」「~を心ゆくまで楽しむ」という使い方が最も一般的です。特に、食べ物や趣味など、少し贅沢なことや快楽的なことに使われます。 【文法ヒント】動詞 "decided" の後に "to indulge" と不定詞が続いています。「~することに決めた」という意味です。
On his day off, he loved to indulge in reading mystery novels all afternoon.
休日に、彼は午後中ずっとミステリー小説を心ゆくまで読むのが大好きだった。
※ 【鮮やかなミニ・シーン】お気に入りの椅子に座って、時間を忘れてミステリーの世界に没頭している彼の姿が想像できます。まさに「至福の時間」ですね。 【なぜ典型的か】「趣味や好きな活動に没頭する」という文脈でよく使われます。「all afternoon」(午後中ずっと)という表現で、その没頭ぶりが強調されています。 【日常会話のヒント】"day off" は「休日」という意味で、仕事や学校がない日のことを指します。
During her vacation, she chose to indulge in a luxurious spa treatment every day.
休暇中、彼女は毎日贅沢なスパトリートメントを心ゆくまで楽しむことを選んだ。
※ 【鮮やかなミニ・シーン】日常の忙しさから解放され、豪華なスパで心身ともにリラックスしている様子が目に浮かびます。自分を「甘やかす」ような贅沢な時間ですね。 【なぜ典型的か】「自分へのご褒美」や「贅沢な体験」を満喫する際に使われる典型的な例です。特に休暇中に、普段できないような特別なことを楽しむニュアンスがあります。 【文法ヒント】動詞 "chose"(chooseの過去形)の後に "to indulge" と不定詞が続いています。「~することを選んだ」という意味です。
満喫する
特別な機会や経験を最大限に楽しむこと。贅沢な食事や旅行など、非日常的な状況で使われることが多い。
After a long week, I wanted to indulge in a relaxing hot bath.
長い一週間の後、私はリラックスできる熱いお風呂を満喫したかった。
※ 仕事や勉強で疲れた後、自分へのご褒美として何かを楽しむ状況です。「〜にふける」「〜を満喫する」というニュアンスがよく表れています。`indulge in ~` で「〜を満喫する」という形を覚えると便利です。
My grandmother always indulges her grandchildren with sweets.
私の祖母はいつも孫たちにお菓子で甘やかします。
※ 誰かを「甘やかす」という「indulge」の使い方の例です。おばあちゃんが孫を可愛がって、好きなお菓子をたくさん与えている情景が目に浮かびますね。「indulge + 人 + with 物」で「(人に)〜を与えて甘やかす」という表現ができます。
On my vacation, I plan to indulge in delicious local food.
休暇中、私は美味しい地元の料理を満喫するつもりです。
※ 旅行先でその土地ならではの美味しいものを心ゆくまで楽しむ、というワクワクする場面です。特に食べ物や飲み物を「満喫する」際によく使われます。`indulge in ~` は、普段は控えていることや、ちょっとした贅沢を楽しむ時によく使われる表現です。
コロケーション
(強い)欲求を満たす、むさぼる
※ 「craving」は、タバコ、甘いもの、ギャンブルなどに対する、抑えがたい欲求を指します。このコロケーションは、通常は我慢すべきだとわかっていながら、その欲求に負けてしまうニュアンスを含みます。例えば、「I indulged a craving for chocolate after a long day.(一日の終わりに、チョコレートへの欲求を抑えきれずに食べてしまった)」のように使われます。ビジネスシーンよりも、個人的な場面で使われることが多い表現です。
自己憐憫に浸る
※ 「self-pity」は、自分の境遇を嘆き悲しむ感情のこと。このコロケーションは、一時的に感情に浸ることを許容するニュアンスがあります。例えば、「She indulged in self-pity for a few hours after failing the exam.(試験に落ちた後、彼女は数時間自己憐憫に浸った)」のように使われます。ただし、度が過ぎると周囲から反感を買う可能性もあるため、使いどころには注意が必要です。
人の気まぐれに付き合う、わがままを聞く
※ 「whim」は、突発的な思いつきや気まぐれな欲求を意味します。このコロケーションは、特に子供や恋人など、親しい人のわがままを甘やかす状況で使われます。「He indulged his daughter's every whim.(彼は娘のあらゆるわがままを聞いた)」のように使われます。ビジネスシーンでは、顧客の要望に応える意味で「accommodate」を使う方が適切です。
子供を甘やかす
※ この表現は、子供に過度に甘く、わがままを許容することを意味します。単に愛情を注ぐだけでなく、必要以上に物を与えたり、悪い行いを叱らなかったりするニュアンスを含みます。例えば、「They indulged their child with expensive toys.(彼らは子供に高価な玩具を買い与えて甘やかした)」のように使われます。この表現は、しばしば批判的な意味合いを伴います。
五感を満たす、快楽にふける
※ 「senses」は五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)を指し、このコロケーションは、美しい景色を見たり、美味しいものを食べたり、心地よい音楽を聴いたりするなど、感覚的な快楽を追求することを意味します。例えば、「We indulged our senses with the beautiful scenery of the Italian countryside.(私たちはイタリアの田園地帯の美しい景色で五感を満たした)」のように使われます。文学的な表現としても用いられます。
懐かしさに浸る
※ 「nostalgia」は、過去への郷愁や懐かしさを意味します。このコロケーションは、過去の出来事や時代を思い出して、感傷的な気分になることを表します。例えば、「We indulged in nostalgia, looking through old photographs.(私たちは古い写真を見て、懐かしさに浸った)」のように使われます。特定の時代や文化をテーマにしたイベントなどでよく使われる表現です。
空想にふける、夢想に浸る
※ この表現は、現実から離れて、自分の願望や理想を描いた空想の世界に浸ることを意味します。しばしば、現実には実現不可能な願望や夢想を伴います。例えば、「He indulged a fantasy of becoming a famous musician.(彼は有名な音楽家になるという空想にふけった)」のように使われます。文学作品や映画など、創作物の中でよく見られる表現です。
使用シーン
学術論文や研究発表で、特定の行動や感情に「ふける」「甘んじる」といった意味合いで使われます。例えば、心理学の研究で「被験者は快楽的な思考に耽る傾向がある」と記述する際に用いられます。客観的な記述が求められるため、日常会話よりもやや硬い文体で使用されます。
ビジネス文書や会議で、自己または他者の行動をやや批判的に表現する際に使われます。例えば、「彼は過度に個人的な感情に浸る傾向があるため、客観的な判断が難しい」のように、問題点や改善点を指摘する文脈で見られます。フォーマルな場では婉曲的な表現として用いられます。
日常会話では、「ちょっと贅沢をする」「好きなことに没頭する」といった肯定的な意味合いで使われます。「週末は美味しいものを満喫しよう」のように、自分自身や他者への提案として用いられることが多いです。また、「たまには甘やかしてもいいよね」のように、許可や容認を表すニュアンスもあります。
関連語
類義語
『甘やかす』『台無しにする』という意味。子供やペットを甘やかす場合や、計画や機会を台無しにする場合に使われる。日常会話で頻繁に使われ、ややネガティブなニュアンスを含むことが多い。 【ニュアンスの違い】『indulge』が自分自身や他者の欲求を満たすニュアンスであるのに対し、『spoil』は過度に甘やかすことで相手をわがままにしたり、物事を悪くしたりするニュアンスが強い。対象が人間の場合、行動の結果に焦点が当たる。 【混同しやすい点】『spoil』は、特に子供に対して使う場合、愛情の裏返しとして使われることが多いが、『indulge』は必ずしもそうではない。また、『spoil』は食べ物が腐るという意味も持つ。
『甘やかす』『大事にする』という意味。主に自分自身や他者を贅沢な方法で扱う場合に使われる。スパやエステなど、リラックスできる状況を連想させる。 【ニュアンスの違い】『indulge』が欲求を満たす行為全般を指すのに対し、『pamper』は特別なケアや贅沢な行為を通じて満足感を与えることに特化している。ポジティブな感情を伴うことが多い。 【混同しやすい点】『pamper』は、肉体的・精神的なケアを通じて相手を大切にするニュアンスが強く、必ずしも物質的な贅沢を意味するとは限らない。『indulge』は、必ずしもケアを伴わなくても、欲求を満たすことで成立する。
『ごちそうする』『もてなす』という意味。食事やプレゼントなど、特別な行為を通じて喜びを与える場合に使われる。日常会話で広く使われる。 【ニュアンスの違い】『indulge』が欲求を満たす行為全般を指すのに対し、『treat』は特定の機会や状況において、特別な計らいをすることを意味する。また、『treat』は病気の治療という意味も持つ。 【混同しやすい点】『treat』は、相手に何かを与えるという行為に焦点が当たるため、自分自身を『treat』する場合、特別なご褒美を与えるというニュアンスになる。『indulge』は、必ずしも他者への行為を伴わない。
『喜ばせる』『満足させる』という意味。欲求や願望を満たすことで満足感を与える場合に使われる。ややフォーマルな場面で使われることが多い。 【ニュアンスの違い】『indulge』が欲求を満たす行為そのものを指すのに対し、『gratify』は欲求が満たされた結果として得られる満足感に焦点を当てる。より感情的な満足感を表す。 【混同しやすい点】『gratify』は、相手の期待や願望に応えることで満足感を与えるニュアンスが強く、自分自身の欲求を満たす場合は、やや自己満足的な意味合いが強くなる。『indulge』は、自己満足的な意味合いは薄い。
『満足させる』『満たす』という意味。必要や要求を満たすことで満足感を与える場合に使われる。ビジネスシーンや日常会話など、幅広い場面で使われる。 【ニュアンスの違い】『indulge』が欲求を満たす行為を指すのに対し、『satisfy』は必要条件や要求を満たすことに重点を置く。必ずしも快楽を伴うとは限らない。 【混同しやすい点】『satisfy』は、要求や必要性を満たすという客観的な側面が強く、感情的な満足感は必ずしも含まれない。『indulge』は、快楽や喜びを伴う欲求を満たすことに焦点が当てられる。
『浸る』『ひたる』という意味。感情や状態の中に深く浸る様子を表す。しばしばネガティブな感情(悲しみ、後悔など)に浸る場合に使われる。 【ニュアンスの違い】『indulge』が快楽を伴う欲求を満たす行為を指すのに対し、『wallow』は特定の感情や状態に浸ることに重点を置く。快楽とは限らない感情に浸る場合に使われる。 【混同しやすい点】『wallow』は、しばしばネガティブな感情に浸るという意味合いで使用され、『indulge』のようなポジティブなニュアンスはほとんどない。また、『wallow』は比喩的な意味合いが強く、物理的に泥などに浸かる意味もある。
派生語
名詞で「甘やかし」「気まま」「道楽」といった意味。動詞の『indulge』から派生し、行為や状態を表す。日常会話では「indulgence in chocolate(チョコレートにふける)」のように使われ、宗教的な文脈では「免罪符」の意味も持つ(過去の罪に対する罰の免除)。少しフォーマルな場面でも使われる。
形容詞で「甘い」「寛大な」「気ままな」という意味。『indulge』に性質を表す接尾辞『-ent』が付いた形。親が子供に対して甘い場合や、自分自身を甘やかす状況を指すことが多い。日常会話でよく使われる。
- permissive
『許容する』という意味合いの形容詞。ラテン語の『permittere(許可する)』に由来し、『indulge』が「欲求を満たす」という意味で甘やかすのに対し、『permissive』は規則や制限を緩めるニュアンスが強い。子育てや社会規範の文脈で使われることが多い。
反意語
動詞で「抑制する」「自制する」という意味。『indulge』が欲求や感情に身を任せるのに対し、『restrain』は意識的に抑え込むことを意味する。日常会話でも使われるが、よりフォーマルな場面や、感情のコントロールに関する議論でも用いられる。
動詞で「抑制する」「制限する」という意味。『indulge』が感情や欲求を甘やかすのに対し、『curb』はそれらを抑制・制限する。特に悪い習慣や衝動を抑える際に用いられることが多い。ニュース記事や政策に関する議論でよく見られる。
動詞で「控える」「自制する」という意味。『indulge』がある種の快楽や欲求にふけるのに対し、『abstain』はそれを意図的に避けることを指す。特に飲酒、喫煙、特定の食品、性行為などを控える文脈で使われる。宗教的、健康的な理由で用いられることが多い。
語源
「indulge」はラテン語の「indulgeo(寛大である、人に甘くする)」に由来します。これは「in-(中に、~へ)」と、はっきりとはわかっていませんが「dulcis(甘い、心地よい)」に関連があるかもしれない要素から構成されています。つまり、元々は「(人の気持ち)の中へ甘く入っていく」というイメージだったと考えられます。これが時間とともに「甘やかす」「欲しいものを与える」「(快楽などに)ふける」といった意味へと発展しました。例えば、子供が欲しがるお菓子を「はい、どうぞ」と与えるような、内側から湧き上がる欲求や感情に寛大に対応する様子を想像すると、「indulge」の意味が捉えやすくなるでしょう。
暗記法
「indulge」は、禁欲との葛藤の歴史を背負う言葉。かつて快楽は罪とされたが、ルネサンス以降、肯定的な意味合いも帯びるように。ヴィクトリア朝時代には、富裕層の贅沢と階級差を象徴し、現代では自己肯定感を高める手段に。SNSで「#selfcare」として共有される一方、依存や浪費のリスクも。賢く「indulge」することが、人生を豊かにする鍵となる。
混同しやすい単語
発音が似ており、特に語尾の処理が曖昧になると聞き分けが難しくなることがあります。'include'は『含む』という意味で、対象を内側に含めるニュアンスがあります。'indulge'は『甘やかす』という意味なので、意味が全く異なります。日本語学習者は、発音記号を意識して、語尾の 'd' と 't' の違いを明確に発音する練習をすると良いでしょう。
スペルが似ており、特に 'ind' の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすいです。'industry'は『産業』という意味で、名詞です。'indulge'は動詞であり、意味も全く異なります。文章を読む際には、品詞と文脈から判断することが重要です。
発音が部分的に似ており、特に語頭の 'en' の部分が共通しているため、聞き間違いやすいことがあります。'endure'は『耐える』という意味で、困難や苦痛に耐え忍ぶニュアンスがあります。'indulge'とは意味が大きく異なります。'en-'は『~にする』という意味を持つ接頭辞で、'endure'の場合は『硬くする』から『耐える』という意味に発展したと考えられます。
'in'から始まるスペルが似ており、視覚的に混同しやすいです。意味もネガティブなニュアンスを含む点で、誤解を生む可能性があります。'insult'は『侮辱する』という意味で、相手を傷つける行為を指します。'indulge'は自分自身や他人を甘やかす行為なので、意味が正反対です。'in-'は『中に』という意味の接頭辞ですが、否定的な意味合いを持つこともあります(例:invalid)。
スペルが似ており、特に 'invol' の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすいです。'involve'は『巻き込む』という意味で、何らかの事柄に関与させるニュアンスがあります。'indulge'とは意味が異なります。'volve'は『回転する』という意味の語源を持ち、'involve'は『内側に巻き込む』というイメージです。
'in'から始まるスペルと、'l'と'd'の並びが似ているため、視覚的に混同しやすいです。'invalid'は『無効な』という意味で、法律や契約などが効力を持たない状態を指します。'indulge'とは意味が全く異なります。'valid'(有効な)に否定の接頭辞'in-'がついた単語であることを意識すると、意味を覚えやすいでしょう。
誤用例
「indulge」は「耽溺する」「甘やかす」という意味合いが強く、自己啓発的な行為に使うと、やや不真面目な印象を与えます。日本語の「〜にふける」という訳語から、真剣な学習にも使えそうだと誤解されがちですが、「快楽にふける」ニュアンスが強い単語です。自己研鑽の文脈では「immerse oneself in」や「dedicate oneself to」の方が適切です。日本人はストイックさを美徳とする傾向があり、英語でも同様のニュアンスで表現したい場合に注意が必要です。"indulge"は罪悪感を伴うような、少し後ろめたい気持ちで楽しむニュアンスが含まれます。
「indulge」は「(人に)大目にみる」「(要求などを)聞き入れる」という意味もありますが、これは目上の人に対して使うには、ややカジュアルすぎる表現です。相手に許可を求めるような場面では、より丁寧な「grant」や「accede to」を使うのが適切です。日本人が「〜してください」という丁寧な依頼のつもりで直訳してしまうと、かえって失礼になることがあります。英語では、相手の立場や関係性を考慮した上で、適切なレジスターを選ぶことが重要です。また、"indulge my request"は、相手に「私のわがままを聞いてください」というニュアンスを含み、ビジネスシーンでは不適切です。
「indulge」を「感情に浸る」という意味で使うことは可能ですが、この場合は「悲しみに耽溺する」というニュアンスが強く、まるで悲しみを積極的に楽しんでいるかのように聞こえてしまいます。より自然なのは「悲しみに打ちひしがれる」「悲しみに飲み込まれる」という意味合いの「be consumed by」を使う表現です。日本人は感情を表す言葉を直接的に訳しがちですが、英語では感情の状態や影響を表現する方が自然な場合があります。 "indulge her grief"は、悲しみを自ら積極的に深めているような印象を与えてしまうため、避けるべきです。
文化的背景
「indulge」は、しばしば自己抑制を手放し、快楽や欲望に身を委ねる行為を指しますが、その背後には、禁欲的な価値観との緊張関係、そしてそれを乗り越えようとする人間の欲求が潜んでいます。かつて宗教的な禁欲主義が社会を支配していた時代、快楽を追求することは罪深い行為とみなされていました。しかし、ルネサンス期以降、人間性の肯定とともに、美や快楽を享受することへの肯定的な視点が生まれ、「indulge」は、必ずしも否定的な意味合いだけではなくなりました。
特に、ヴィクトリア朝時代(19世紀)のイギリス社会においては、「indulge」は複雑な意味合いを帯びていました。表面上は厳格な道徳観が求められる一方で、富裕層は贅沢な生活を送り、芸術や美食に耽溺していました。この時代、チョコレートや高級菓子などの嗜好品が普及し、「a little indulgence」という表現が、日々のストレスを和らげるための、ささやかな贅沢を意味するようになりました。しかし、それは同時に、社会的な階級差を象徴する言葉でもありました。貧困層は日々の生活に追われ、快楽を追求する余裕はありませんでしたが、富裕層は「indulge」することによって、自らの地位を誇示したのです。
現代においては、「indulge」は、自己肯定感を高めるための手段としても捉えられています。厳しい労働環境やストレスの多い社会において、自分自身にご褒美を与えることは、精神的な健康を維持するために重要だと考えられています。例えば、スパでのマッサージ、高級レストランでの食事、あるいは趣味への没頭など、様々な形で「indulge」は実践されています。SNS上では、「#selfcare」というハッシュタグとともに、自分を甘やかす行為が積極的に共有され、共感を呼んでいます。
ただし、「indulge」は、過度になると依存や浪費につながる可能性も孕んでいます。そのため、「indulge」する際には、自己抑制とのバランスを保つことが重要です。賢く「indulge」することは、人生を豊かにするスパイスとなりますが、その匙加減を間違えると、破滅的な結果を招くこともあります。この言葉の文化的背景を知ることで、私たちは「indulge」という行為をより深く理解し、より賢く付き合っていくことができるでしょう。
試験傾向
準1級・1級の長文読解、語彙問題で出題される可能性があります。1級ではエッセイライティングで高度な語彙として使用できると加点対象になりえます。
1. **出題形式**: 長文読解、語彙問題(四択)、ライティング(1級)
2. **頻度と級・パート**: 準1級以上、特に1級のライティングで高評価を狙う場合に有効
3. **文脈・例題の特徴**: 社会問題、文化、環境問題など、やや硬めのテーマで「甘やかす」「没頭する」の意味で使用されることが多い。例文: "to indulge in luxury goods"(贅沢品にふける)
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 自動詞(indulge in)と他動詞(indulge someone)の区別を理解することが重要。類義語の "pamper" との違い(pamper は主に人に対して使う)も意識しましょう。
TOEIC L&R TESTでは、Part 5(短文穴埋め問題)やPart 7(長文読解問題)で出題される可能性があります。
1. **出題形式**: 短文穴埋め(Part 5)、長文読解(Part 7)
2. **頻度と級・パート**: 中〜高頻度。Part 5では語彙知識、Part 7では文脈理解が問われる
3. **文脈・例題の特徴**: 顧客サービス、福利厚生、休暇など、ビジネスシーンに関連した文脈で「(欲求などを)満たす」「甘やかす」の意味で使用されることが多い。例文: "indulge customers with special offers"(特別オファーで顧客を満足させる)
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 「甘やかす」という意味だけでなく、「(欲求、趣味などに)ふける」という意味も押さえておくこと。文脈から適切な意味を判断できるように練習しましょう。
TOEFL iBTのリーディングセクションで出題される可能性があります。アカデミックな内容で使われます。
1. **出題形式**: リーディング(長文読解)
2. **頻度と級・パート**: 中頻度。アカデミックな文章で遭遇する可能性あり
3. **文脈・例題の特徴**: 歴史、社会学、心理学など、アカデミックなテーマで「没頭する」「ふける」の意味で使用されることが多い。例文: "indulge in philosophical speculation"(哲学的思索にふける)
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 文脈から正確な意味を把握することが重要。類義語の "revel" との違い(revel は喜びを伴うニュアンスが強い)を理解しておくと、より正確な読解につながります。
難関大学の長文読解問題で出題される可能性があります。文脈から意味を推測する力が問われます。
1. **出題形式**: 長文読解
2. **頻度と級・パート**: 大学によって異なるが、難関大学ほど出題可能性が高い
3. **文脈・例題の特徴**: 社会問題、科学技術、文化など、幅広いテーマで「甘やかす」「没頭する」の意味で使用される。抽象的な概念を説明する際に使われることも。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 前後の文脈から意味を推測する練習をすることが重要。単語帳だけでなく、実際に英文を読む中で語彙力を高めましょう。