indignant
強勢は「ディ」の部分にあります。最初の母音 /ɪ/ は日本語の「イ」よりも口を少し開き、短く発音します。/ɡ/ は有声の破裂音で、日本語の「ガ」行の子音と同じように発音しますが、息を強く出すように意識するとよりクリアになります。最後の '-nant' は曖昧母音(シュワー /ə/)を含むため、力を抜いて軽く「ナント」と発音しましょう。
専門的な内容に関するご注意
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憤慨した
不正や不当な扱いに対して、強い怒りや不満を感じている状態。単に腹を立てているだけでなく、正義感に基づいて怒っているニュアンスを含む。
He became indignant when the waiter brought the wrong order and refused to fix it.
ウェイターが間違った注文を持ってきて、直そうとしなかった時、彼は憤慨した。
※ この例文は、レストランで自分の注文と違うものが運ばれてきて、店側が対応してくれないという不当なサービスに直面した時の怒りを描いています。「indignant」は、単なる怒りではなく、「これはおかしい」「不公平だ」という気持ちが伴う怒りによく使われます。「become indignant」で「憤慨するようになる」という変化を表します。
She looked indignant when her friend told a lie to avoid responsibility.
責任を逃れるために友人が嘘をついた時、彼女は憤慨した表情をした。
※ 友人が嘘をついて責任から逃れようとしている場面です。その不誠実な行動に対して、彼女が怒りと不満を顔に表している様子が伝わります。「indignant」は、このように不誠実な行動や不正に対して感じる「義憤」を表すのにぴったりです。「look + 形容詞」で「〜に見える/〜な顔をする」という意味になります。
Many people felt indignant about the company's decision to cut workers' salaries.
多くの人々は、会社が従業員の給料を削減するという決定に憤慨した。
※ 会社が従業員の給料を減らすという決定をした場面です。それに対して、多くの人が「不公平だ」「納得できない」と感じて怒っている様子を表しています。「indignant」は、個人の感情だけでなく、集団や社会的な決定が不当だと感じられた時に、多くの人が抱く「憤り」を表現する際にもよく使われる単語です。「feel indignant about ~」で「〜について憤慨する」という表現はよく使われます。
義憤に駆られた
社会的な不正や倫理に反する行為に対して、道徳的な怒りを感じている状態。個人的な損得ではなく、公平さや正義を重んじる気持ちからくる怒りを表す。
The customer became indignant when he saw the unfair charge on his bill.
その客は請求書に不当な料金があるのを見て、憤慨しました。
※ 【情景】レストランやお店で、請求書に身に覚えのない、あるいは高すぎる料金が書かれているのを見つけたお客さんが、心の中で「これはおかしい!」と怒っている様子です。 【なぜ典型的か】「indignant」は、このように「不公平な状況」や「不正な扱い」に対して湧き上がる怒りの感情を表すのにぴったりです。特に、個人的な感情だけでなく、道徳的な観点から「これは間違っている」と感じる怒りです。 【文法・ヒント】"became indignant" のように動詞 "become" の後に続けることで、「~な状態になった」という変化を表せます。
The teacher was indignant when a bigger student hurt a smaller child.
その先生は、体の大きな生徒が小さな子供を傷つけた時、憤慨しました。
※ 【情景】先生が学校の廊下や校庭で、力の強い生徒が弱い生徒に乱暴をしている場面を目撃し、その不公平さに強い怒りを感じている様子です。 【なぜ典型的か】弱い立場の人や子供が不当な扱いを受けているのを見て、正義感から怒る感情は「indignant」がよく表す状況です。個人の利益のためではなく、倫理的な観点からの怒りです。 【文法・ヒント】"was indignant when..." のように、"when" を使って「~した時に憤慨した」と、具体的な状況を説明できます。
She became indignant when he told her she was too young to understand.
彼が彼女に「君は若すぎて理解できない」と言った時、彼女は憤慨しました。
※ 【情景】会議や会話の場で、女性が自分の意見を言おうとした時に、年上の男性から「君にはまだ早い」と馬鹿にされたり、軽んじられたりして、不当な扱いを受けたと感じ、怒りを覚えている様子です。 【なぜ典型的か】自分の能力や立場を不当に軽視されたり、差別的な発言をされたりした時に感じる「これは許せない」という怒りを表すのに使われます。相手の不公平な態度や発言に対する憤りです。 【文法・ヒント】"too ~ to ..." は「~すぎて…できない」という、よく使われる表現です。ここでは「若すぎて理解できない」という、相手を侮辱するようなニュアンスを含んでいます。
コロケーション
憤慨した口調、怒りを帯びた声色
※ 相手の発言や行動に対して、不正や不当さを感じ、強い不快感や怒りを露わにする話し方。単に声が大きいだけでなく、言葉の選び方やリズム、抑揚に特徴が現れます。例えば、会議で一方的な決定がなされた際に、異議を唱える人が『indignant tone』で発言することがあります。ビジネスシーンでも感情をあらわにする必要がある場面で用いられますが、相手に不快感を与えないよう注意が必要です。
憤慨した返答、怒りを込めた返事
※ 不当な扱いを受けたと感じた際に、強い怒りや不満を込めて返す言葉。単なる否定や反論ではなく、相手の行為に対する非難や抗議のニュアンスを含みます。例えば、誤った обвиненияを受けた人が、弁護士を通じて『indignant reply』を送ることが考えられます。口頭だけでなく、メールや手紙などの書面でも使用されます。
憤慨した群衆、怒り心頭の民衆
※ 社会的な不正や不公平に対して、強い怒りや不満を抱き、抗議やデモを行う人々の集団。個々の感情が増幅され、集団としてより大きなエネルギーを持つことが特徴です。例えば、不当な判決に対する『indignant crowd』が裁判所前に集まる、といった状況が考えられます。ニュース記事や歴史的な記述でよく見られる表現です。
抗議の手紙、怒りを込めた書簡
※ 不当な扱い、不公平な決定、あるいは侮辱的な行為に対して、強い怒りや不満を表明するために書かれた手紙。感情的な表現だけでなく、論理的な反論や要求が含まれることもあります。例えば、サービスに対する不満を企業に伝えるために『indignant letter』を書く、といった状況が考えられます。フォーマルな文体で書かれることが多いですが、感情の強さによっては口語的な表現が混じることもあります。
~に憤慨して、〜に腹を立てて
※ 特定の事柄や行為に対して、不正や不当さを感じ、強い不快感や怒りを抱いている状態を示す前置詞句。直接的な原因や対象を明確にする際に使用されます。例えば、『indignant at the unfair decision(不当な決定に憤慨して)』のように使われます。フォーマルな場面でもカジュアルな場面でも使用可能です。
憤然とした否定、激しい拒否
※ 告発や非難に対して、全く身に覚えがない、あるいは不当であると感じ、強い怒りを込めて否定すること。単なる否定よりも感情的なニュアンスが強く、潔白を強く主張する際に用いられます。例えば、不倫の疑いをかけられた人が『indignant denial』を表明する、といった状況が考えられます。ニュース記事や裁判関連の報道でよく見られる表現です。
怒りを装う、憤慨したふりをする
※ 実際には怒っていないにもかかわらず、目的を達成するために怒っているように見せかけること。相手をmanipulateしたり、自身の立場を有利にしたりするために用いられることがあります。例えば、政治家が支持を得るために『feign indignation』する、といった状況が考えられます。ネガティブな意味合いで使われることが多いです。
使用シーン
学術論文やディスカッションにおいて、不正や不当な行為に対する強い非難を示す際に用いられます。例えば、過去の研究におけるデータの捏造が発覚し、研究者コミュニティが「indignant(義憤に駆られた)」状態である、といった状況を説明する際に使用されます。フォーマルな文体で使用され、感情的な表現を避けつつ、客観的に状況を伝えることが求められます。
ビジネスシーンでは、契約違反や不正行為、あるいは倫理的に問題のある行動に対して、強い不満や怒りを表明する際に使われます。例えば、競合他社が不正な手段で市場シェアを拡大していることを知り、経営幹部が「indignant(憤慨した)」態度を示す、といった場面で用いられます。ただし、日常的なビジネスコミュニケーションでは、より穏やかな表現が好まれる傾向があります。
日常会話では、不当な扱いを受けた時や、社会的な不正を目にした際に、強い不快感や怒りを表現するために使用されることがあります。例えば、レストランで不当なサービスを受け、友人に「I was indignant(憤慨した)」と伝える、といった状況が考えられます。ただし、この単語はややフォーマルな印象を与えるため、よりカジュアルな表現(例:I was really angry/upset)が好まれることが多いです。
関連語
類義語
怒りを感じている状態を表す一般的な言葉。幅広い状況で使用され、個人的な不快感から社会的な不正に対する怒りまで、様々な程度の怒りを表現できます。日常会話、ビジネス、ニュースなど、あらゆる場面で使用されます。 【ニュアンスの違い】「indignant」よりも感情の強さの度合いが弱く、より一般的な怒りを指します。「indignant」は不正や不当な扱いに対する怒りを特に強調しますが、「angry」は必ずしもそうではありません。 【混同しやすい点】「angry」は形容詞であり、状態を表します。一方、「indignant」は、不正や不当な扱いに対する道徳的な怒りという特定のニュアンスを持つため、状況によっては不適切になることがあります。例えば、単に腹が立ったという状況を「indignant」で表現するのは不自然です。
非常に強い怒り、激怒を表す言葉。不正、不道徳、または受け入れがたい行為に対する強い感情的な反応を示します。ニュース報道、政治的な議論、または個人的な裏切りなどの深刻な状況でよく使用されます。 【ニュアンスの違い】「indignant」と同様に不正に対する怒りを表しますが、「outraged」はより感情的な激しさを示唆します。より強い言葉であり、通常、何らかの深刻な違反行為に対する反応として使われます。 【混同しやすい点】「outraged」は感情の強さのレベルが高いため、些細な不満に対して使用すると不自然に聞こえることがあります。また、「indignant」がより道徳的な正当性に基づいた怒りを示すのに対し、「outraged」は単なる感情的な爆発である可能性もあります。
不公平な扱いを受けたと感じ、恨みや不満を抱いている状態を表す言葉。必ずしも怒りを表に出すわけではなく、心の中にくすぶるような感情を指します。人間関係、職場環境、または社会的な状況で使用されます。 【ニュアンスの違い】「indignant」が不正に対する公然とした怒りを意味するのに対し、「resentful」はより内向きで、個人的な感情に焦点を当てています。また、「resentful」は必ずしも道徳的な正当性に基づいているとは限りません。 【混同しやすい点】「resentful」は、不公平感や恨みを抱いているという状態を表すため、不正行為に対する怒りを積極的に表現する「indignant」とは異なります。例えば、昇進できなかったことに対する不満は「resentful」ですが、明らかに不正な法律に対する怒りは「indignant」です。
- disgusted
強い嫌悪感や不快感を表す言葉。道徳的に不快な行為、不潔なもの、または嫌悪感を催すものに対して使用されます。日常会話、ニュース、または文学作品で使用されます。 【ニュアンスの違い】「indignant」が不正に対する怒りを表すのに対し、「disgusted」は嫌悪感や不快感を強調します。「indignant」は道徳的な問題に関連することが多いですが、「disgusted」は必ずしもそうではありません。 【混同しやすい点】「disgusted」は、道徳的な怒りよりも、生理的な嫌悪感に近い感情を表すことがあります。例えば、汚い部屋を見て「disgusted」と感じることはあっても、「indignant」とは言いません。
わずらわしいことや邪魔なことによって引き起こされる、軽い怒りや不快感を意味します。日常的な状況でよく使われ、感情の強さは比較的弱いです。例えば、騒音、遅延、または些細な間違いなどに対して使われます。 【ニュアンスの違い】「indignant」が不正や不当な扱いに対する強い怒りを表すのに対し、「annoyed」はより軽微な不快感を指します。「indignant」は深刻な状況で使用されることが多いですが、「annoyed」は日常的な些細な出来事に対して使われます。 【混同しやすい点】「annoyed」は、感情のレベルが低いため、不正行為に対する怒りを表現するには不適切です。例えば、バスの遅延に「annoyed」することはあっても、人種差別的な発言に「annoyed」するだけでは、感情の強さが足りません。
- aggrieved
不当な扱いを受けたと感じて苦しんでいる状態を表す言葉。被害者意識や不満感が伴います。法的な文脈や、権利を侵害されたと感じる状況でよく使用されます。 【ニュアンスの違い】「indignant」が不正に対する積極的な怒りを表すのに対し、「aggrieved」はより受動的で、不当な扱いに対する苦しみや不満を強調します。「aggrieved」は、しばしば法的な救済を求める文脈で使用されます。 【混同しやすい点】「aggrieved」は、必ずしも怒りを伴うとは限りません。不当な扱いを受けたと感じていても、怒りよりも悲しみや落胆を感じている場合もあります。例えば、契約違反によって損害を被った企業は、「aggrieved」ですが、必ずしも「indignant」とは限りません。
派生語
『憤慨』という意味の名詞。indignant の感情そのものを指し、状態や感情を表す抽象名詞として使われる。日常会話よりも、ややフォーマルな場面や、報道記事、文学作品などで用いられることが多い。
『尊厳』という意味の名詞。indignant の語源である dignus(価値がある)から派生しており、元々は『価値がある状態』を意味する。人の尊厳、国の尊厳など、尊重されるべき価値を指す。ビジネスシーンや政治的な文脈でも頻繁に登場する。
『〜に威厳を与える』という意味の動詞。dignity から派生し、人や物を高める、立派に見せるという意味合いを持つ。例えば、「彼の訪問は式典をより格式高いものにした」のように使われる。フォーマルな場面で用いられることが多い。
反意語
『満足している』という意味の形容詞。indignant が不正や不当な扱いに対する怒りを表すのに対し、content は現状に満足し、不満がない状態を表す。日常会話で広く使われ、感情の状態を表現する。
『喜んでいる』という意味の形容詞。indignant が不快感からくる怒りであるのに対し、pleased は良い出来事や状況に対する喜びを表す。丁寧な表現であり、ビジネスシーンや顧客対応などでもよく用いられる。
- appeased
『なだめられた』という意味の形容詞。indignant が怒りや不満を表すのに対し、appeased は怒りや不満が鎮められた状態を指す。紛争解決や交渉の文脈で用いられることが多い。
語源
"Indignant"は「憤慨した」「義憤に駆られた」という意味ですが、その語源はラテン語に遡ります。この単語は、接頭辞 "in-"(否定の意味、~でない)と語幹 "dignus"(価値がある、ふさわしい)から構成されています。"Dignus" は「尊厳」を意味する "dignity" とも関連が深く、「価値がある」という概念を表しています。つまり、"indignant" は直訳すると「価値がない状態ではない」となりますが、これは「自分の価値や尊厳が侵害されたと感じ、それに対して怒りを覚える」という感情を表しています。たとえば、不当な扱いを受けたときに感じる怒りは、まさに "indignant" な状態と言えるでしょう。日本語で例えるなら、「武士は食わねど高楊枝」という言葉のように、自身の尊厳を重んじる姿勢が傷つけられた際に湧き上がる感情に近いかもしれません。
暗記法
「indignant」は、不正に対する義憤。抑圧された人々が権力者に抱く感情であり、社会変革の原動力となる。奴隷制度や植民地支配への抵抗、文学作品では『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャンのように、社会の不条理への怒りを象徴する。現代ではSNSで拡散されるが、扇動的な側面も。冷静な分析と理性的な判断が求められる。感情の裏にある、社会正義への強い希求を忘れないように。
混同しやすい単語
『indignant』とスペルが非常に似ており、特に語尾の '-ant' と '-ence' の違いを見落としがちです。意味は『貧困、困窮』であり、状態を表す名詞です。発音も似ていますが、アクセントの位置が異なります(indignant は 'dig' に、indigence は 'in' にアクセント)。スペルミスに注意し、文脈から意味を判断することが重要です。語源的には、どちらも『価値がない』という意味のラテン語に由来しますが、indignant は『自分(または他人)が価値を認められていないことに対する怒り』、indigence は『価値がない状態=貧困』というニュアンスの違いがあります。
『indignant』の最初の 'in-' を無視すると 'dignant' と 'gnorant' が残り、なんとなく似ていると感じてしまう可能性があります。また、どちらも否定的な意味合いを持つため、意味の面でも混同されることがあります。『ignorant』は『無知な、知らない』という意味で、知識の欠如を表す形容詞です。発音も異なります('ig' の部分)。単語を分解して、それぞれの構成要素の意味を理解することで、混同を避けることができます。'ignorant' は『知らない』という意味のラテン語から来ており、'indignant' とは語源が異なります。
『indignant』の語幹部分 'dign-' が共通しているため、意味が関連しているように感じられることがあります。『dignified』は『威厳のある、堂々とした』という意味で、尊敬に値する様子を表す形容詞です。発音は異なりますが、スペルの一部が共通しているため注意が必要です。'dign-' は『価値がある』という意味のラテン語に由来しており、'indignant' は『価値を認められないことに対する怒り』、'dignified' は『価値がある様子』というように、対照的な意味合いを持つことを理解すると区別しやすくなります。
『indignant』と同様に、怒りの感情を表す単語であるため、意味の面で混同されることがあります。『incensed』は『激怒した、立腹した』という意味で、より激しい怒りを表す形容詞です。発音は全く異なりますが、感情を表す単語として一緒に覚えてしまうと、文脈によっては誤用する可能性があります。'incensed' は『香を焚く』という意味にも由来し、感情が高ぶる様子を香の煙に例えたものです。'indignant' とは語源が異なることを覚えておきましょう。
『indignant』と『incident』は、どちらも接頭辞 'in-' で始まり、その後のスペルも似ているため、視覚的に混同されることがあります。『incident』は『出来事、事件』という意味の名詞で、怒りの感情とは関係ありません。発音も異なります。単語全体をしっかりと見て、それぞれの単語が持つ意味を意識することが重要です。'incident' は『起こる』という意味のラテン語に由来し、'indignant' とは語源が異なります。
接頭辞 'in-' が共通しており、後の部分の文字数も近いため、スペルをざっと見たときに混同しやすい可能性があります。『independent』は『独立した、自立した』という意味で、怒りの感情とは関係ありません。発音も大きく異なります。単語を構成する要素(接頭辞、語幹、接尾辞)を意識して、それぞれの意味を理解することで、混同を避けることができます。 'independent'は '依存しない'という意味から来ており、'indignant'とは語源が異なります。
誤用例
「indignant」は、不当な扱いに対する怒りや憤りを表す言葉であり、単に天気が悪いことに対する不満には不適切です。日本人が「腹立たしい」という言葉を安易に「indignant」と訳してしまうことが原因です。より適切な表現は「annoyed」や「irritated」です。日本語の「腹立たしい」は日常的な不満にも使われますが、英語の「indignant」は道徳的な不正や不当な行為に対して使われることが多いです。例えば、不当な解雇や差別的な扱いに対して「I am indignant about the unfair dismissal.」のように使います。
「indignant」は怒りや憤りを表す形容詞であり、笑顔と組み合わせると不自然です。皮肉や苦笑いを表したい場合は、「wry smile」が適切です。日本人は「indignant」を「不満げな」と捉え、表情にも使えると考えがちですが、英語では感情を表す言葉として、行動や状況に対して使われるのが一般的です。例えば、「She gave a wry smile after hearing the bad news.」のように使います。日本語の「不満げな笑顔」を直訳すると「indignant smile」になりがちですが、英語ではよりニュアンスに合った表現を選ぶ必要があります。
「indignant」は通常、「at/about + 原因」の形で使われ、「to + 人」の形では使いません。日本人は「〜に対して怒っている」という日本語に引きずられ、「to」を使ってしまいがちです。正しい構文は、「indignant at/about + 事柄」です。例えば、「He was indignant at the company's policy.」のように使います。また、誰かに対して怒りを表明する場合は、「He was angry with his boss.」のように、「angry with + 人」を使うのが一般的です。英語では、感情の対象と原因を明確に区別する傾向があり、前置詞の選択も重要になります。
文化的背景
「indignant(憤慨した)」という言葉は、単なる怒りではなく、公正さや道徳的原則が侵害されたと感じた時に湧き上がる特別な感情を指します。その根底には、不正に対する強い義憤や、社会的な秩序への期待が裏切られたという感覚が存在します。この感情は、しばしば社会変革の原動力となり、個人の内面だけでなく、集団的な抗議行動の背景にも見出すことができます。
歴史を振り返ると、「indignant」は、抑圧された人々が権力者に対して抱く感情として頻繁に登場します。例えば、奴隷制度廃止運動における奴隷解放論者たちは、奴隷制度そのものに対する強い憤りを表明し、その不正を糾弾しました。また、植民地支配下にあった人々が、宗主国に対して抱いた感情も、この「indignant」という言葉で表現されることがあります。彼らは、自分たちの文化や権利が侵害されていることに憤り、独立運動へと突き進んでいったのです。このように、「indignant」は、社会的な不平等や不正に対する抵抗の象徴として、歴史に深く刻まれています。
文学作品においても、「indignant」は重要な役割を果たします。例えば、ヴィクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル』に登場するジャン・バルジャンは、社会の不条理によって苦しめられる人々の代表として、常に「indignant」な感情を抱いています。彼は、パンを盗んだ罪で長期間の刑務所生活を強いられ、社会から疎外されるという経験を通して、社会の不正に対する強い憤りを募らせていきます。また、現代の文学作品においても、「indignant」は、人種差別、貧困、環境破壊など、現代社会が抱える様々な問題に対する怒りを表現するために用いられています。これらの作品は、「indignant」という感情を通して、読者に社会問題への意識を高め、行動を促す力を持っています。
現代社会においては、「indignant」は、SNSなどを通じて、より迅速かつ広範囲に共有されるようになりました。政治家の不正行為、企業の倫理違反、人権侵害など、様々な問題に対して、人々は瞬時に「indignant」な感情を表明し、抗議活動を展開することができます。しかし、同時に、「indignant」は、扇動的な言論や誤った情報によって、容易に操作される可能性も秘めています。そのため、「indignant」な感情を抱いた際には、冷静に状況を分析し、客観的な視点を持つことが重要です。真に公正な社会を実現するためには、感情的な反応だけでなく、理性的な判断に基づいた行動が求められるのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題(短文の空所補充)や長文読解で出題される可能性があります。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で問われる可能性が高いですが、1級でも出題されることがあります。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題や倫理的な問題に関する文章で、不正や不公平に対する感情を表す文脈で登場することが多いです。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「indignant」は「不正なことに対して憤慨している」という意味合いを持つ形容詞です。似た意味の「angry」よりもフォーマルで、不正に対する強い怒りを表すニュアンスがあります。名詞形の「indignation」も合わせて覚えておきましょう。
- 出題形式: 主にPart 5(短文穴埋め問題)やPart 7(長文読解問題)で出題される可能性があります。
- 頻度と級・パート: TOEIC全体で見ると、頻度はそれほど高くありませんが、高得点を目指す場合は対策が必要です。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンにおける不正行為や不当な扱いに対する従業員の感情を表す文脈で登場することがあります。
- 学習者への注意点・アドバイス: TOEICでは、ビジネス関連の単語が頻出します。「indignant」は、不正や不当な状況に対する強い不満を表す単語として、文脈の中で意味を捉える練習をしましょう。類義語の「resentful」との違いを理解しておくと役立ちます。
- 出題形式: 主にリーディングセクションで出題される可能性があります。
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で用いられるため、TOEFL iBTでは比較的出題される可能性があります。
- 文脈・例題の特徴: 学術的な論文や記事で、不正な研究結果の発表や不当な評価に対する研究者の感情を表す文脈で登場することがあります。
- 学習者への注意点・アドバイス: TOEFLでは、アカデミックな語彙力が重要です。「indignant」は、不正や不当な状況に対する強い非難を表す単語として、文脈の中で正確に意味を捉える練習をしましょう。類義語の「outraged」とのニュアンスの違いを理解しておくと役立ちます。
- 出題形式: 主に長文読解問題で出題される可能性があります。
- 頻度と級・パート: 難関大学の入試問題では、比較的出題される可能性があります。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題や歴史的な出来事に関する文章で、不正や不当な行為に対する人々の感情を表す文脈で登場することがあります。
- 学習者への注意点・アドバイス: 大学受験では、文脈の中で単語の意味を推測する能力が重要です。「indignant」は、不正や不当な状況に対する強い怒りや憤りを表す単語として、文脈の中で意味を捉える練習をしましょう。また、類義語の「furious」や「wrathful」とのニュアンスの違いを理解しておくと、より正確な読解につながります。