dignity
第一音節に強勢があります。母音 /ɪ/ は日本語の「イ」よりも口を少し横に開いて発音します。/ɡ/ は有声の破裂音で、喉の奥を意識して短く区切るように発音すると良いでしょう。最後の母音 /i/ は、日本語の「イ」よりもやや長めに、かつ口角を少し上げて発音すると、より自然に聞こえます。
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尊厳
人として当然持っている、侵してはならない価値や品位のこと。尊敬の念を込めて扱われるべき対象を指す。人間の権利や倫理観と深く結びついている。
Even when she had little, the old woman always carried herself with dignity.
たとえ少ししか持っていなくても、その老婦人はいつも尊厳をもって振る舞いました。
※ この例文は、貧しいけれど、背筋を伸ばし、誰にも媚びず、誇り高く生きるおばあさんの姿を描いています。「carry oneself with dignity」は、「尊厳をもって振る舞う」という、この単語の典型的な使い方です。外見や状況に関わらず、内面からくる品位や敬意を表します。
It's important to treat every person with dignity, no matter their background.
どんな背景を持つ人でも、一人ひとりを尊厳をもって扱うことが大切です。
※ この例文は、国籍、職業、貧富の差などに関わらず、目の前の相手を一人の人間として敬意をもって接する、思いやりのある場面を想像させます。「treat someone with dignity」は、「~を尊厳をもって扱う」という、非常に頻繁に使われる表現です。相手の人間としての価値を尊重し、敬意を払うことを意味します。
He chose to work hard for his food rather than lose his dignity by begging.
彼は物乞いをして尊厳を失うよりも、食べ物のために一生懸命働くことを選びました。
※ この例文は、困難な状況に直面しても、安易な方法に頼らず、自力で道を切り開こうとする人の強い意志と誇りを表しています。「lose one's dignity」は「尊厳を失う」という意味で、自分の品位や誇りが損なわれる状況を表します。この例文は、困難な状況でも自分の尊厳を守ろうとする強い気持ちを示しています。
威厳
堂々とした、おごそかな雰囲気。外見や態度から感じられる、人を敬わせるような品格。役職や実績に伴う重みも含む。
She always maintained her dignity, even in very difficult situations.
彼女は、たとえどんなに辛い状況でも、常に威厳を保っていました。
※ この例文は、人が困難な状況に直面しても、感情的になったり品位を失ったりせず、冷静で落ち着いた態度を保つ様子を描写しています。「maintain one's dignity」は「威厳を保つ」「品位を損なわない」という意味で、尊敬されるべき人の振る舞いを表す際によく使われる典型的な表現です。
The old teacher always stood with dignity in front of the class.
年老いた先生は、いつも威厳をもって生徒たちの前に立っていました。
※ この文は、ベテランの先生が教壇に立つ際、その立ち姿から自然と生徒たちが尊敬の念を抱くような、堂々とした雰囲気を伝えています。「stand with dignity」のように「with dignity」は「威厳をもって」「堂々と」という意味で、人の立ち振る舞いや態度が品格を伴っている様子を表すのに非常に自然です。
We believe that all people should be treated with dignity.
私たちは、すべての人が尊厳をもって扱われるべきだと信じています。
※ この例文は、どんな人もその人自身の価値を認められ、尊重されるべきだという普遍的な考え方を表現しています。「treat someone with dignity」は「~を尊厳をもって扱う」という意味で、相手の人間性を尊重し、敬意を払って接する際に使われる非常に重要な表現です。人権や倫理的な文脈でよく耳にする、基本的な使い方の一つです。
気高さ
精神的な高潔さ、立派さ。困難な状況でも誇りを失わない、気高い精神性を表す。芸術作品や文学作品で、登場人物の心情を描写する際にも用いられる。
Even when she was very sick, she kept her dignity.
彼女はひどく病気だった時でさえ、その気高さを保っていました。
※ この文は、体が弱っていても、心の強さや品位を失わない人の姿を描いています。「keep one's dignity」は、「自分の気高さを保つ」という意味で、困難な状況でも品位を失わない様子を示す際によく使われる、非常に典型的な表現です。
The old teacher always treated his students with dignity.
その年老いた先生は、生徒たちに常に気品を持って接しました。
※ この例文は、誰かが他者にどう接するか、その態度における「気高さ」を示しています。「treat someone with dignity」は、「誰かを気品を持って(威厳をもって、あるいは尊敬の念をもって)扱う」という状況で自然に使われます。先生が生徒を敬い、大切に扱う様子が伝わってきますね。
Everyone deserves to be treated with dignity.
誰もが気高く扱われる(尊厳を持って扱われる)に値する。
※ この文は、普遍的な人権や個人の尊重について語る際によく使われます。「dignity」は、人間としての「尊厳」という意味合いでも非常に重要です。どんな人でも、その存在自体が尊重され、大切に扱われるべきだという強いメッセージが込められています。「deserve to be Vpp(〜されるに値する)」という形も一緒に覚えておくと便利です。
コロケーション
尊厳を失う、品位を落とす
※ 文字通り、その人が本来持っている尊厳や品位を失ってしまう状況を表します。自らの行動によって(例えば、恥ずかしい失敗をしたり、人に媚びへつらったり)、あるいは不当な扱いを受けたりすることで、尊厳が損なわれることを指します。ビジネスシーンやフォーマルな場面で、自制を促す意味合いで使われることもあります。類似表現に 'compromise one's dignity' がありますが、こちらは「(一時的に)尊厳を曲げる」ニュアンスを含みます。
尊厳を回復する、名誉を回復する
※ 失われた尊厳や名誉を取り戻す行為を指します。不正な扱いを受けた人が名誉を回復したり、過去の過ちを償って信頼を取り戻したりする状況で用いられます。政治的な文脈や社会的な運動の中で、人々の権利や尊厳を取り戻すという意味合いで使われることもあります。類似表現に 'regain dignity' がありますが、こちらは「(自然に)尊厳を取り戻す」ニュアンスが強くなります。
人に尊厳をもって接する、丁重に扱う
※ 相手を尊重し、人間としての価値を認めて接することを意味します。相手の立場や状況に関わらず、礼儀正しく、思いやりのある態度で接することが重要です。医療や介護の現場、あるいはカスタマーサービスなど、人と接する職業において特に重要な考え方です。反対の表現は 'treat someone without dignity' となります。
尊厳を守る、毅然とした態度をとる
※ 自分の尊厳や立場を守るために、毅然とした態度を貫くことを意味します。不当な要求や侮辱に対して、冷静かつ断固とした態度で対応する状況で用いられます。ビジネスシーンや交渉の場面で、相手に妥協しない姿勢を示す際に使われることが多いです。ただし、状況によっては傲慢と捉えられる可能性もあるため、注意が必要です。
~の品位を下げる、~のすることではない
※ ある行為や仕事が、その人の社会的地位や人格にそぐわない、または見下していると感じる時に使われる表現です。例えば、社長が雑用をすることを 'beneath his dignity' と表現できます。このフレーズは、しばしば皮肉やユーモアを込めて使われることがあります。 'It's beneath me.' という短い形でも使われます。
静かな尊厳、内に秘めた気高さ
※ 外見上は派手さはないものの、内面からにじみ出る気高さや尊厳を表します。困難な状況に直面しても、冷静さを保ち、品位を失わない人物を形容する際に用いられます。文学作品や映画などで、主人公の character を描写する際によく使われます。 similar phrase 'inherent dignity' (生来の尊厳) も合わせて覚えておくと良いでしょう。
尊厳をもって、堂々と
※ ある行動や状況を、尊厳を保ちながら、あるいは堂々と行う様子を表します。例えば、困難な状況に直面しても 'face it with dignity'(尊厳をもって立ち向かう)、あるいは、老いや病気と 'live with dignity'(尊厳をもって生きる)のように使います。しばしば、困難や苦痛を伴う状況で、気高く振る舞うことを称賛する意味合いが含まれます。
使用シーン
学術論文や研究発表で、人間の尊厳、権利、倫理的考察に関連する文脈で用いられる。「人間の尊厳を尊重する」「研究対象者の尊厳を守る」といった表現で使用される。心理学、社会学、法学などの分野で頻繁に見られる。
ビジネス文書や会議において、企業倫理、従業員の権利、顧客への敬意といったテーマに関連して使われることがある。「従業員の尊厳を尊重する職場環境を構築する」「顧客の尊厳を損なう行為は許されない」といった形で、企業の社会的責任を強調する際に用いられる。
日常会話ではあまり使われないが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、人権問題や社会正義に関する議論で登場することがある。「難民の尊厳を守る」「貧困の中で尊厳を保つ」といった文脈で、人間の基本的な権利や価値を訴える際に用いられる。
関連語
類義語
名誉、尊敬、敬意。個人や集団が社会的に高く評価される状態を指す。ビジネス、政治、文学など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】dignityが内面的な尊厳を指すのに対し、honorは外部からの評価や尊敬を含む。honorは称号や地位、業績などに基づいて与えられることが多い。 【混同しやすい点】honorは可算名詞としても不可算名詞としても使われる。可算名詞の場合は具体的な名誉の称号や行為を指し、不可算名詞の場合は一般的な尊敬や名誉を指す。dignityは基本的に不可算名詞。
- self-respect
自尊心、自己肯定感。自分自身を尊重し、自分の価値を認める気持ち。日常会話や心理学の分野でよく使われる。 【ニュアンスの違い】dignityが社会的な評価や権利を含むのに対し、self-respectは個人的な感情や態度に焦点を当てる。dignityは他者からの尊重を必要とする場合があるが、self-respectは自己完結的である。 【混同しやすい点】self-respectは複合語であり、常に自己に対する感情を指す。dignityは必ずしも自己に向けられるとは限らず、他者の尊厳を尊重する場合にも使用される。
平静、落ち着き。困難な状況や感情的な状況でも冷静さを保つこと。ビジネスやフォーマルな場面で重要視される。 【ニュアンスの違い】dignityが内面的な尊厳や価値を指すのに対し、composureは外的な振る舞いや態度を指す。dignityを保つためにcomposureが必要となる場合がある。 【混同しやすい点】composureは不可算名詞であり、具体的な行動や態度ではなく、状態を表す。dignityは具体的な行動や態度を含む場合がある。
- stature
(精神的な)高さ、地位、評価。人格や能力の高さによって得られる尊敬や評価。ビジネスや政治、文学などで使われる。 【ニュアンスの違い】dignityが生まれながらに持つ権利や価値を指すのに対し、statureは努力や実績によって得られる評価を指す。statureはしばしば比喩的に使われ、人の影響力や重要性を示す。 【混同しやすい点】statureは物理的な身長を意味する場合もあるが、dignityは物理的な意味では使われない。また、statureはしばしば形容詞によって修飾され、その程度や性質が具体的に示される(例:high stature)。
高潔さ、気品、貴族。道徳的に優れており、高貴な精神を持つこと。文学や歴史的な文脈でよく使われる。 【ニュアンスの違い】dignityが普遍的な人間の尊厳を指すのに対し、nobilityは特定の階級や道徳的な卓越性を指す。nobilityはしばしば社会的な地位や血統に関連付けられる。 【混同しやすい点】nobilityはしばしば集合名詞として使われ、貴族階級全体を指す。dignityは個々の人間の尊厳を指すことが多い。
礼儀正しさ、上品さ、適切さ。社会的に受け入れられる行動や態度を示すこと。日常会話や倫理的な議論で使われる。 【ニュアンスの違い】dignityが内面的な尊厳や権利を指すのに対し、decencyは外的な行動や態度に焦点を当てる。decencyは他者への配慮や社会的な規範に従うことを意味する。 【混同しやすい点】decencyはしばしば「a sense of decency」のように使われ、礼儀正しさや道徳観念を指す。dignityは「a sense of dignity」のように使われることは少ない。
派生語
『尊厳を与える』『威厳を添える』という意味の動詞。「dignity」に動詞化の接尾辞「-fy」が付いた形。儀式や称号によって名誉や地位を高めるニュアンスがあり、公式な場面や報道などで使われる。例:『女王は彼をナイトにdignifyした』
『尊厳のある』『威厳のある』という意味の形容詞。「dignify」の過去分詞形が形容詞化したもの。落ち着きがあり、品格を備えた様子を表す。人物描写や格式高い場所の描写に用いられる。例:『dignifiedな老紳士』
- dignitary
『高官』『要人』という意味の名詞。「dignity」を持つ人、つまり高い地位や名誉を持つ人を指す。公式な行事や外交関連のニュースで頻繁に使われる。例:『外国からのdignitariesを迎える』
反意語
『侮辱』『屈辱』という意味の名詞。「dignity」に否定の接頭辞「in-」が付いた形。尊厳を傷つけられる行為や状態を指す。日常会話よりも、ややフォーマルな場面や文学作品で使われることが多い。例:『indignitiesに耐える』
『屈辱』『恥辱』という意味の名詞。「humiliate(屈辱を与える)」の名詞形であり、「dignity」の喪失によって生じる感情や状態を表す。公衆の面前で恥をかかされるような状況で使われる。例:『humiliationを味わう』
『堕落』『地位の低下』という意味の名詞。「degrade(地位を下げる、品位を落とす)」の名詞形であり、人格や道徳的価値が低下することを意味する。環境問題や社会問題など、幅広い文脈で使用される。例:『環境degradation』
語源
「dignity」は、ラテン語の「dignitas」(価値、尊厳、名誉)に由来します。この「dignitas」は、「dignus」(ふさわしい、価値がある)という形容詞から派生しました。つまり、元々は「価値がある状態」や「ふさわしい状態」を表していたのです。日本語で例えるなら、「品格」や「風格」といった言葉が近いでしょう。人が本来持っている価値、社会的な地位や尊敬に値する状態を表す言葉として、現代英語でも使われています。歴史的な背景を考えると、単に「尊厳」と訳すだけでなく、「その人が持つ固有の価値を尊重する」というニュアンスも含まれていることを意識すると、より深く理解できるでしょう。
暗記法
「dignity」…それは単なる尊厳ではない。騎士道では高貴さの証、シェイクスピア劇では没落貴族の誇り。貧困の中、差別を受けながらも、人々は内に「dignity」を秘め静かに抵抗した。人権思想に根ざし、現代では医療や政治の倫理的支柱。品格、威厳、誇り…多様な表情を持つこの言葉は、個人の権利と社会のあり方を問い続ける。
混同しやすい単語
『dignity』と語尾の '-ity' が共通しており、スペルも似ているため混同しやすい。意味は『密度』であり、物理学などで使われる。『dignity』が抽象的な概念であるのに対し、『density』は具体的な測定可能な概念である点が大きく異なる。
『dignity』と語頭の 'de-' が共通し、語尾も '-ity' と '-iny' で似ているため混同しやすい。意味は『運命』であり、抽象的な概念だが、『dignity』とはニュアンスが異なる。発音もアクセントの位置が異なるため注意が必要(dignityはdi、destinyはde)。
『dignity』と語源的に関連があり、'indignant' は『dignity(尊厳)』を侵害されたときに感じる『憤慨した』という意味を持つ。スペルの一部も共通しているため混同しやすい。品詞は形容詞であり、『dignity』の名詞とは異なる。
'dignity'と語尾が'-ity'で共通しており、文字数も近いため視覚的に混同しやすい。意味は『アイデンティティ』であり、自己同一性や存在証明を指す。抽象的な概念だが、'dignity'が尊厳であるのに対し、'identity'は自己認識という点で異なる。
語頭の 'dy-' と語尾の '-ty' が共通しており、スペルが似ているため混同しやすい。意味は『王朝』であり、歴史用語として使われる。『dignity』とは全く異なる分野の単語であるため、文脈で判断する必要がある。ギリシャ語の 'dynasteia'(支配)が語源。
語尾の '-cient' の響きが、なんとなく似ていると感じられる場合がある。意味は『不足している』であり、'dignity'とは全く異なる。スペルも似ている部分は少ないが、発音の印象で誤解する可能性がある。ラテン語の 'deficere'(失敗する、不足する)が語源。
誤用例
『dignity』は『尊厳』という意味合いが強く、個人の内面的な価値や権利を指すことが多いです。一方、『gravitas』は『重々しさ』や『威厳』を表し、特に公的な場面での人物の言動や態度に使われます。日本語の『尊厳を持って話す』という表現を直訳すると『dignity』を選びがちですが、この文脈では大統領の話し方の『重み』や『威厳』を伝えたいので『gravitas』がより適切です。日本人は『dignity』を『立派さ』全般の意味で捉えがちですが、英語ではより限定的な意味を持つことに注意が必要です。
『dignity』は個人的な尊厳の喪失を意味しますが、公衆の面前での恥や体面を失う状況には、より適切に『lose face』というイディオムが使われます。日本語の『面目を失う』に近いニュアンスです。日本人は『dignity』を『体面』や『名誉』と広く捉えがちですが、英語では『face』の方が社会的な評価や体面を表すのに適しています。特にアジア文化圏では『face』の概念が重要であり、英語でもそれを意識した表現を選ぶことが大切です。
この文脈で『dignity』を使うと、相手の『尊厳』を尊重して金銭を渡すというニュアンスになり、やや上から目線で不自然です。より自然なのは、彼女が貧困の中でも『冷静さ』や『落ち着き』を保っていたため、同情して金銭を渡したというニュアンスで『composure』を使うことです。日本人は相手の『尊厳』を尊重するあまり、どんな状況でも『dignity』を使おうとしがちですが、英語では文脈によって相手との適切な距離感を保つ表現を選ぶ必要があります。相手に失礼にならないよう、状況に応じた適切な語彙を選択することが重要です。
文化的背景
「dignity(尊厳)」は、人間が生まれながらに持つ価値と尊重される権利を意味し、西洋文化においては、個人の自由と平等を支える根幹的な概念として長く重要視されてきました。中世の騎士道精神においては、高貴な身分にふさわしい振る舞いや名誉を重んじる態度として表れ、近世以降は、身分に関わらず全ての人間が持つ普遍的な権利として、社会契約論や人権思想の発展とともにその意味合いを深めてきました。
文学作品における「dignity」の描写は、その時代の社会構造や価値観を反映しています。例えば、シェイクスピアの悲劇に登場する王侯貴族たちは、没落や苦難の中でも自らの「dignity」を保とうと苦闘します。これは、彼らが失いつつある権力や名誉にしがみつく姿であると同時に、人間としての誇りを最後まで手放さないという強い意志の表れでもあります。また、19世紀の小説においては、貧困や差別といった過酷な状況に置かれた人々が、「dignity」を胸に秘め、不当な扱いに対して静かに抵抗する姿が描かれることもあります。これは、社会的な抑圧に対する個人の内面的な強さを示すものであり、「dignity」が単なる社会的地位ではなく、人間としての本質的な価値と結びついていることを示唆しています。
現代社会においては、「dignity」は人権、特に生存権や自己決定権といった概念と深く結びついています。医療や福祉の現場では、患者や高齢者の「dignity」を尊重することが倫理的な原則として重要視され、尊厳死や安楽死といった問題においても、「dignity」をどのように守るかが議論の焦点となっています。また、政治的な文脈においては、難民や移民といった社会的弱者の「dignity」を守ることが、国際社会の責務として認識されています。このように、「dignity」は、個人の権利を守るための普遍的な価値として、現代社会においてますます重要な意味を持つようになっています。
「dignity」は、単に「尊厳」と訳されるだけでなく、文脈によっては「品格」「威厳」「誇り」といった言葉で表現されることもあります。これらの言葉は、それぞれ「dignity」の異なる側面を表しており、そのニュアンスを理解することで、より深く「dignity」の意味を捉えることができます。例えば、「品格」は、洗練された立ち居振る舞いや言葉遣いといった外見的な要素を指し、「威厳」は、相手を畏怖させるような存在感や権威を意味します。そして、「誇り」は、自分の価値や能力に対する自信や自尊心を指します。これらの言葉は、「dignity」を構成する要素の一部であり、それらが組み合わさることで、人間としての「dignity」が形作られると言えるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。2級でも長文で出題される可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、歴史、伝記など、やや硬めの文章で「尊厳」「威厳」の意味で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞としての意味に加え、派生語である形容詞(dignified)や動詞(dignify)の形と意味も覚えておくこと。文脈によって意味が微妙に異なるため、複数の例文で確認すると良い。
- 出題形式: 主にPart 5(短文穴埋め問題)、Part 7(長文読解問題)
- 頻度と級・パート: Part 5, 7 で比較的まれに出題される。頻度は高くない。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンでの従業員の権利、企業倫理、顧客対応など、フォーマルな文脈で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネス文書における使われ方を理解しておくこと。関連語句(respect, integrityなど)との使い分けを意識すると良い。
- 出題形式: 主にリーディングセクション
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出。特に社会科学、歴史、哲学などの分野。
- 文脈・例題の特徴: 人権、社会正義、倫理的ジレンマなど、抽象的な概念を扱う文脈で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: アカデミックな文章におけるフォーマルな用法を理解すること。類義語(honor, self-respect)とのニュアンスの違いを把握すると、より正確な読解につながる。
- 出題形式: 主に長文読解、和訳問題
- 頻度と級・パート: 難関大学の入試問題で頻出。標準的なレベルの大学でも出題される可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、歴史、文化、倫理など、幅広いテーマの文章で使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する力が重要。単語の意味だけでなく、文章全体のテーマや筆者の主張を理解する必要がある。過去問で実際の出題形式に慣れておくことが効果的。