indignation
強勢は「ネィ」にあります。母音の「ɪ」は日本語の「イ」よりも口を少し開いて発音します。最後の「ʃən」は「シャン」のように発音しますが、舌先を上の歯茎に近づけて摩擦音を意識するとより正確になります。全体を通して、リズムを意識して発音するとより自然に聞こえます。
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憤り
不正や不当な扱いに対する、強い怒りや不満の感情。個人的な恨みというよりは、正義感に基づく怒りを表す。公的な不正や差別、不公平な決定などに対して抱く感情。
She felt a surge of indignation when she heard her son was unfairly treated at school.
息子が学校で不公平な扱いを受けたと聞いて、彼女は激しい憤りを感じました。
※ この例文では、母親が子供の不当な扱いに怒りを感じる、非常に人間らしい感情の動きが描かれています。「a surge of indignation」という表現で、怒りがこみ上げてくる様子が伝わります。このように「surge of + 感情」は、感情が急激に高まる状況を表す際によく使われます。
The unfair report in the newspaper caused widespread indignation among the citizens.
新聞の不公平な報道は、市民の間に広範な憤りを引き起こしました。
※ この例文は、社会的な不正や不当な出来事に対して、多くの人が怒りを感じる状況を描いています。「widespread indignation」という言葉は、特定の感情が多くの人々の間で共有されていることを示し、ニュース記事などでよく見られる表現です。政治家や企業、社会の不公平に対する人々の反応をイメージできます。
He couldn't hide his indignation when his hard work was completely ignored by his boss.
上司に自分の努力が完全に無視されたとき、彼は憤りを隠すことができませんでした。
※ この例文は、個人的な努力が正当に評価されないことに対する怒りを描いています。一生懸命取り組んだことが認められない、あるいは不当に扱われるという状況は、多くの人が経験しうるものです。「hide one's indignation」のように、「(感情)を隠す」という動詞と組み合わせて使うことも一般的です。
義憤
道義的観点から湧き上がる怒り。社会的な不正や倫理に反する行為に対して、個人的な利害関係なしに感じる強い怒りや憤慨。
She expressed her indignation at the unfair decision.
彼女はその不公平な決定に義憤を表明した。
※ 会社や学校などで、誰かが不公平なルールや決定を下した時、それに納得できない人が怒りを言葉や態度で示す場面です。'express indignation' で「義憤を表明する」という、感情が外に表れる様子がよく伝わります。'at' はその感情の対象を示します。
His broken promise filled her with indignation.
彼の破られた約束は、彼女を義憤で満たした。
※ 信頼していた人からの裏切りや、大切な約束が破られたことで、心の中に強い怒りや失望感がこみ上げてくる状況を表します。'fill someone with indignation' は「誰かを義憤で満たす」という意味で、感情がその人を支配するような感覚を表現するのに使われます。
Many people felt indignation about the corruption scandal.
多くの人々がその汚職スキャンダルに義憤を感じた。
※ ニュースなどで、政治家や企業による不正行為(汚職など)が明らかになった際に、社会全体が「これは許せない」と感じる、正義感からの怒りを表す場面です。'feel indignation about' は「~について義憤を感じる」という、社会的な問題に対する典型的な感情の示し方です。
コロケーション
正当な怒り、義憤
※ 不正や不道徳に対する、道義的に正しい怒りを指します。単なる感情的な怒りではなく、正義感に基づく強い感情を伴う点が特徴です。しばしば、社会的な不正や倫理的な問題に対して使われ、公的な声明や報道などで見られるややフォーマルな表現です。例えば、「The citizens expressed righteous indignation at the government's corrupt practices.(市民たちは政府の腐敗行為に対して義憤を表明した)」のように使われます。
怒りの波、怒りの感情の高まり
※ ある出来事や状況に対する広範囲な怒りが、まるで波のように押し寄せる様子を表現します。特定の出来事がきっかけとなり、多くの人々が同時に強い怒りを感じる状況を表すのに適しています。例えば、不当な判決や企業の不正行為などが発覚した際に、「A wave of indignation swept across the country.(怒りの波が国中を席巻した)」のように使われます。比喩的な表現であり、感情の強さと広がりを強調します。
怒りを表明する、憤りを表に出す
※ 怒りの感情を言葉や行動で示すことを意味します。単に怒りを感じるだけでなく、それを外部に表現する行為に焦点を当てています。フォーマルな場面からインフォーマルな場面まで幅広く使用できますが、表現の仕方(声のトーン、言葉遣い、ジェスチャーなど)によって相手に与える印象が大きく変わる点に注意が必要です。例えば、「She expressed her indignation at the rude remark.(彼女は失礼な発言に対して怒りを表明した)」のように使われます。
怒りを煽る、憤慨を助長する
※ ある事柄が、既に存在している怒りの感情をさらに強く、激しくさせることを意味します。火に油を注ぐようなイメージです。多くの場合、状況を悪化させるような言動や出来事に対して使われます。例えば、「The politician's insensitive comments only fueled the public's indignation.(政治家の配慮に欠ける発言は、国民の怒りを煽っただけだった)」のように使われます。
くすぶる怒り、静かに募る憤り
※ 表面には表れていないものの、内面に静かに蓄積されている怒りの感情を指します。「simmer」は「煮え立つ寸前の状態」を表し、怒りが爆発寸前であることを暗示します。抑圧された不満や不公平感が長期にわたって積み重なった結果として生じることが多いです。例えば、「Beneath the surface of calm, there was a simmering indignation over the company's unfair policies.(平静な顔の下には、会社の不公平な政策に対するくすぶる怒りがあった)」のように使われます。
偽りの怒り、見せかけの憤慨
※ 実際には怒りを感じていないのに、怒っているように見せかけることを意味します。策略や欺瞞の意図が含まれることが多く、相手を操ろうとする際に用いられます。例えば、政治家が支持を得るために、あるいは詐欺師が同情を引くために、わざとらしく怒りを演じることがあります。「He responded with feigned indignation, hoping to deflect suspicion.(彼は疑いをそらすために、偽りの怒りで応じた)」のように使われます。
憤然とした様子で、怒りをあらわに
※ 怒りや不快感を態度や表情に出して、周囲に伝える様子を表します。「air」はここでは「雰囲気、様子」という意味で、感情が外に現れていることを強調します。相手の言動に対する強い不満や非難の気持ちを示す際に用いられます。例えば、「She left the room with an air of indignation after the argument.(彼女は議論の後、憤然とした様子で部屋を出た)」のように使われます。
使用シーン
学術論文や研究発表で、不正や不当な行為に対する強い非難や倫理的な問題提起を行う際に用いられます。例えば、研究不正に関する論文で、「データ捏造に対する研究者のindignation(憤り)」というように、感情的な側面を強調する文脈で使用されます。また、社会学や政治学の研究で、社会的不公正に対する市民の感情を表す際にも使用されます。
ビジネス文書や会議において、不正行為や倫理違反に対する強い不快感や非難の意を示す際に使用されます。例えば、内部告発に関する報告書で、「経営陣の不正に対する従業員のindignation(憤り)」というように、公式な記録や報告の中で感情を表現する必要がある場合に用いられます。ただし、日常的なビジネスコミュニケーションでは、より穏やかな表現が好まれる傾向があります。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、社会的な不正や不公平に対する強い怒りや道徳的な憤慨を表す際に用いられることがあります。例えば、「汚職事件に対する市民のindignation(憤り)」というように、公共の関心事に対する感情を表現する際に用いられます。また、文学作品や映画など、感情的な表現が豊かな作品の中で、登場人物の感情を描写する際に用いられることがあります。
関連語
類義語
不当だと感じる扱いに対する、根深い不快感や怒り。個人的な被害や侮辱が原因となることが多い。日常会話、文学、ニュース記事など、幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】「indignation」よりも個人的な感情が強く、長期にわたる恨みや不満を含むことがある。また、具体的な行為や人物に向けられることが多い。「indignation」はより普遍的な正義感に基づくことが多い。 【混同しやすい点】「resentment」は過去の出来事に対する感情であり、「indignation」は現在の不正に対する反応であることが多い。また、「resentment」はしばしば受動的、内向きな感情として表現されるのに対し、「indignation」はより積極的、外向きな感情として表現される。
道徳的に許容できない行為に対する激しい怒りや衝撃。社会的な規範や価値観が侵害された場合に用いられる。ニュース、政治論争、文学作品などでよく見られる。 【ニュアンスの違い】「indignation」よりも感情の強度が強く、公的な非難や抗議を伴うことが多い。「outrage」はしばしば集団的な感情として表現され、社会全体を巻き込む可能性がある。 【混同しやすい点】「indignation」は個人的な不正に対する感情である場合もあるが、「outrage」は通常、より広範な社会的な問題に対する感情である。また、「outrage」はしばしば行動を促す感情として認識される。
不満や不快感を表す穏やかな表現。公式な場面やビジネスシーンで、直接的な批判を避けるために用いられることがある。日常会話でも使用される。 【ニュアンスの違い】「indignation」とは異なり、怒りや憤慨といった強い感情を含まない。単に満足していない状態を表す。よりフォーマルで丁寧な表現。 【混同しやすい点】「displeasure」は相手に不快感を与えないように配慮した表現であり、「indignation」のような強い感情を表す場合には不適切。感情の強さに大きな差がある。
- exasperation
いらいらや苛立ちを表す感情。繰り返される問題や人の行動に対する忍耐力の限界を示す。日常会話でよく使われる。 【ニュアンスの違い】「indignation」とは異なり、不正や不当さに対する怒りではなく、単に我慢の限界を超えた状態を表す。個人的な感情に重点が置かれる。 【混同しやすい点】「exasperation」は、不正に対する道徳的な怒りではなく、個人的な苛立ちを表す点が「indignation」と異なる。対象が不正行為ではなく、人や状況であることが多い。
- ire
強い怒りや憤り。文学作品やフォーマルな場面で使用されることが多い。古風な表現。 【ニュアンスの違い】「indignation」と同様に、不正や不当さに対する怒りを表すが、「ire」はより激しい感情を示す。また、「ire」はより文学的で、日常会話ではあまり使われない。 【混同しやすい点】「ire」は現代英語ではやや古風な表現であり、日常会話で「indignation」の代わりに使うと不自然に聞こえる可能性がある。フォーマルな文脈や文学作品での使用が適切。
- chagrin
失敗や屈辱によって引き起こされる不快感や落胆。フォーマルな場面や文学的な表現で使用されることが多い。 【ニュアンスの違い】「indignation」とは異なり、不正に対する怒りではなく、自身の不手際や運の悪さに対する感情を表す。より内向きな感情。 【混同しやすい点】「chagrin」は他者に対する怒りではなく、自分自身に対する不満や落胆を表す点が「indignation」と異なる。感情の対象が異なる。
派生語
「憤慨している」という意味の形容詞。名詞の「indignation」から派生し、その感情を抱いている状態を表す。日常会話やニュース記事などで、人の感情や態度を表現する際に用いられる。語尾の「-ant」は形容詞を作る接尾辞で、「〜の状態にある」という意味合いを付加する。
「尊厳、威厳」という意味の名詞。「indignation」と語源を共有し、元々は「価値がある」という概念に根ざしている。「indignation」は、この「dignity」が侵害された時に生じる感情を表す。ビジネスシーンや政治的な文脈で、個人の権利や尊重に関連して使用されることが多い。
- deign
「(相手に屈するように)〜してやる、〜するのを厭わない」という意味の動詞。「dignity」と同じ語源を持ち、「自分を下げる」というニュアンスを含む。しばしば皮肉を込めて使われ、相手を見下すような態度を示す際に用いられる。日常会話よりも、文学作品やフォーマルな場面で使われる傾向がある。
反意語
「満足、充足」という意味の名詞。「indignation」が不正や不当な扱いに対する怒りを表すのに対し、「contentment」は現状に対する満足感を表す。日常的な幸福感や、目標達成後の達成感など、様々な状況で使用される。感情のベクトルが正反対である。
「受容、容認」という意味の名詞。「indignation」が現状への拒否反応を示すのに対し、「acceptance」は現状を肯定的に受け入れる態度を表す。困難な状況や不都合な事実を受け入れる際に用いられ、心理学や社会学の分野でも重要な概念として扱われる。怒りや抵抗ではなく、現状を受け入れることが重要であるという考え方を示す。
「自己満足、無頓着」という意味の名詞。「indignation」が不正や不当に対する強い感情的な反応であるのに対し、「complacency」は現状に満足し、改善や変化を求めない状態を指す。ビジネスシーンや政治的な文脈で、現状維持に固執し、進歩を阻害する態度を批判的に表現する際に用いられる。注意点として、必ずしも「良い意味での満足」ではない点に留意する必要がある。
語源
「indignation」は、ラテン語の「indignatio」(不満、憤慨)に由来します。これは、「indignari」(憤慨する、ふさわしくないとみなす)という動詞から派生しています。「in-」は接頭辞で、「~でない」や「反対の」という意味を持ち、「dignus」は「価値のある、ふさわしい」という意味です。つまり、「indignation」は文字通りには「ふさわしくないことに対する感情」を意味し、不正や不当な行為に対する強い不満や怒りを表します。日本語で例えるなら、「あるべき姿ではない」ことに対する強い反発の感情と言えるでしょう。例えば、不正な行為を見て「許せない!」と感じる気持ちが、まさにindignationです。
暗記法
「indignation」は、不正に対する道徳的な怒り。抑圧された人々が権力者へ抱く感情として、文学や政治で描かれてきました。ディケンズは社会の不平等への「indignation」を、オースティンは女性への不当な扱いへの「indignation」を描写。アメリカ独立革命や公民権運動も、不正に対する「indignation」が原動力です。社会正義を求める心、それが「indignation」なのです。
混同しやすい単語
『indignation』と『dignity』は、語尾が似ているため、発音を聞き間違えたり、スペルを混同したりしやすいです。『dignity』は『尊厳』という意味の名詞で、『indignation』の『憤慨』とは意味が大きく異なります。特に、接尾辞 '-ity' と '-ation' の違いに注意し、それぞれの単語が持つ抽象的な意味合いを意識することが重要です。語源的には、どちらもラテン語の『dignus』(価値がある)に由来しますが、意味の発展が異なっています。
『indignation』と『ingestion』は、語頭の 'in-' と、語尾の '-tion' が共通しているため、スペルが似ていると感じやすいです。『ingestion』は『摂取』という意味の名詞で、主に飲食物を体内に取り込む行為を指します。文脈が全く異なるため、意味を正確に理解していれば混同することは少ないですが、スペルミスには注意が必要です。語源的には、'in-' は『中に』、'gestion' は『運ぶ』という意味合いがあり、食べ物を体内に運ぶイメージです。
『indignation』と『indication』は、接頭辞 'in-' と接尾辞 '-ation' が共通しているため、スペルが似ていて混同しやすいです。『indication』は『兆候』や『指示』という意味の名詞で、何かを示すものや示唆することを指します。発音も似ていますが、アクセントの位置が異なります(indignation: in-dig-NA-tion, indication: in-di-CA-tion)。発音記号を確認し、アクセントの位置を意識して発音練習することが重要です。語源的には、'in-' は『中に』、'dication' は『示すこと』という意味合いがあります。
『indignation』と『ingenious』は、語頭の 'in-' が共通しており、文字数も近いため、スペルが似ていると感じることがあります。『ingenious』は『独創的な』や『器用な』という意味の形容詞で、人の才能や発明などを褒める際に使われます。発音も異なりますが、早口で話されると聞き間違える可能性があります。特に、母音の音の違い(indignation の 'i' と ingenious の 'e')に注意して発音を聞き分ける練習をすると良いでしょう。語源的には、'in-' は『中に』、'genius' は『才能』という意味合いがあります。
『indignation』と『indigent』は、語頭の 'indig-' が共通しているため、スペルを混同しやすいです。『indigent』は『貧困な』という意味の形容詞で、生活に困窮している状態を表します。発音も似ていますが、語尾が異なります(indignation の '-nation' と indigent の '-gent')。単語の語尾に注意して、スペルと発音を正確に覚えることが重要です。語源的には、'in-' は『〜でない』、'digent' は『必要とする』という意味合いがあり、『必要としていない』状態、つまり貧しい状態を表します。
『indignation』と『insignia』は、語頭の 'in-' と、いくつかの文字が共通しているため、スペルミスを起こしやすいです。『insignia』は『記章』や『紋章』という意味の名詞で、地位や所属を示すシンボルとして使われます。意味も文脈も大きく異なるため、混同することは少ないかもしれませんが、スペルを正確に覚える必要があります。発音も異なり、insignia は /ɪnˈsɪɡniə/ と発音します。語源的には、'in-' は『中に』、'sign' は『印』という意味合いがあり、内部を示す印というイメージです。
誤用例
『indignation』は、不正や不当な扱いに対する強い怒りや憤りを表します。箸を使うべきラーメンをフォークで食べる行為は、マナー違反ではあるものの、不正や不当とは言えず、そこまで強い感情を抱くのは不自然です。より穏やかな『disapproval(不賛成)』や『mild annoyance(軽い苛立ち)』などが適切でしょう。日本人は、相手に直接的な怒りをぶつけることを避ける傾向があるため、軽い不快感を伝える場面でも、つい強い言葉を選んでしまうことがあります。
選挙に負けたことに対する感情として『indignation』を使う場合、選挙の不正や不当な操作があったことを示唆します。単に落選したこと自体への落胆を表したい場合は、『disappointment(失望)』が適切です。日本人は、感情を表に出すことを控えめにする文化があり、特に公の場では感情を抑制することが美徳とされるため、強い感情を表す単語のニュアンスを過小評価しがちです。また、日本語の『憤り』という言葉が、比較的広い範囲の不満や落胆を含むため、英語の『indignation』と完全に一致しない点にも注意が必要です。
『indignation』は、個人的な不正や不当な扱いに対する怒りにも使えますが、より大規模な社会問題や政治的な不正に対しては、『outrage(激怒)』の方がより適切です。また、政府が謝罪する場合、単に『apologized politely』とするよりも、『issued a formal apology(公式な謝罪を発表した)』とする方が、事態の深刻さを反映し、より自然な表現になります。 日本語では『憤り』という言葉が、フォーマルな場面でもカジュアルな場面でも使われるため、英語の『indignation』と『outrage』の使い分けが曖昧になりがちです。
文化的背景
「indignation(憤慨)」は、単なる怒りではなく、不正や不当な扱いに対する道徳的な怒りを意味し、しばしば社会正義や倫理観と深く結びついて用いられます。この感情は、個人の尊厳が侵害されたと感じた時、あるいは社会の規範が破られたと認識した時に生じやすく、歴史的には、抑圧された人々が権力者に対して抱く感情として、文学や政治の舞台で繰り返し描かれてきました。
例えば、19世紀のイギリス文学においては、社会階級間の不平等や児童労働といった問題に対する「indignation」が、多くの小説家によって表現されました。チャールズ・ディケンズの作品には、貧困や不正義に対する人々の「indignation」が強く描かれており、読者の共感を呼び起こし、社会変革の原動力となりました。また、ジェーン・オースティンの作品では、女性が社会的に不当な扱いを受ける場面に対するヒロインたちの「indignation」が、繊細な筆致で描かれています。これらの文学作品は、「indignation」が単なる個人的な感情ではなく、社会的な不正に対する抵抗の象徴であることを示しています。
さらに、政治的な文脈においては、「indignation」はしばしば革命や抗議運動の原動力となります。アメリカ独立革命やフランス革命などの歴史的な出来事においても、抑圧された人々が権力者の不正に対して抱いた「indignation」が、変革のエネルギーとなりました。現代においても、人種差別や貧困、環境破壊といった問題に対する抗議運動において、「indignation」は重要な役割を果たしています。例えば、公民権運動やBlack Lives Matter運動などでは、不正義に対する「indignation」が、社会の意識を変え、政策を転換させる力となりました。
このように、「indignation」は、単なる個人的な感情の表出にとどまらず、社会的な不正に対する抵抗の象徴として、文化的な意義を持っています。文学作品や政治運動における「indignation」の描写を通して、私たちは、不正に対する怒りを抱き、社会正義を追求することの重要性を再認識することができます。そして、この感情は、私たちがより公正で平等な社会を築くための原動力となるのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題(短文補充)。長文読解で文脈から意味を推測させる形式も稀に出題。
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で出題される可能性あり。2級以下では頻度は低い。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、倫理、不正行為など、やや硬いテーマの英文で登場しやすい。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞であること、類義語(anger, resentment)とのニュアンスの違いを理解することが重要。特に、不正や不当なことに対する怒りを表す点に注意。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め問題)、Part 7(長文読解)。
- 頻度と級・パート: TOEIC L&Rでは、頻度は高くない。TOEIC S&Wでは、意見を述べる際に使用する可能性がある。
- 文脈・例題の特徴: 企業倫理、顧客対応、契約違反など、ビジネスシーンにおける不正や不当な行為に対する怒りを表す文脈で登場する可能性がある。
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーンにおけるフォーマルな表現であることを意識する。同義語(resentment, outrage)との使い分けを理解しておくと良い。
- 出題形式: リーディングセクションの長文読解問題で頻出。
- 頻度と級・パート: TOEFL iBTのリーディングセクションで、比較的頻繁に出題される。
- 文脈・例題の特徴: 歴史、社会学、政治学などのアカデミックな文章で、不正義や差別に対する怒りを表す文脈で登場しやすい。
- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な概念を理解する力が必要。文脈から正確に意味を把握することが重要。類義語との微妙なニュアンスの違いを理解しておくと、より正確な読解につながる。
- 出題形式: 長文読解問題で、文脈から意味を推測させる形式が一般的。
- 頻度と級・パート: 難関大学の入試問題で出題される可能性あり。標準的なレベルの大学では、頻度は低い。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、歴史、倫理観など、やや硬めのテーマの文章で登場しやすい。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈全体を理解し、筆者の主張を把握することが重要。単語の意味だけでなく、文章全体の流れの中で「indignation」がどのような役割を果たしているかを理解する必要がある。