indefinite
第2音節の "def" に強勢があります。曖昧母音 /ɪ/ (イ) は、日本語の「イ」よりも弱く短く発音します。語尾の "-ət" は、口を軽く開けて弱く「ア」と発音する曖昧母音 (schwa) です。"t" は母音に挟まれているため、軽く弾音化(日本語の「ラ」行に近い音)することがあります。
漠然とした
範囲や限界がはっきりしない状態。数量、時間、性質などが具体的に特定できないニュアンス。例:indefinite number(漠然とした数), indefinite period(不明確な期間)
The project has an indefinite end date, so I can't plan my vacation.
そのプロジェクトは漠然とした終了日なので、私は休暇の計画が立てられません。
※ 会社で新しいプロジェクトが始まりましたが、いつ終わるか明確に決まっていない状況です。「いつになったら休みを取れるんだろう…」と、あなたが少し困った顔でスケジュール帳を見ている場面を想像してください。このように、期間や期限が「はっきりしない」「決まっていない」場合に 'indefinite' を使います。'end date'(終了日)と合わせて使うと、漠然とした期間のイメージが伝わりやすいです。
When I asked about the meeting, the manager gave me an indefinite answer, so I felt confused.
会議について尋ねた時、部長は漠然とした返事をしたので、私は混乱しました。
※ あなたは重要な会議の予定を知りたくて上司に尋ねたのに、「うーん、まだちょっとね…」と曖昧な返事しか返ってこなかった状況です。'indefinite answer' は、「はっきりしない答え」や「曖昧な返事」を意味します。相手の返事が具体的でなく、結局どうすればいいのか分からずに困惑しているあなたの気持ちが伝わりますね。
The new rule was explained in an indefinite way, so many people were unsure what to do.
新しいルールは漠然とした方法で説明されたので、多くの人が何をすべきか確信が持てませんでした。
※ 会社や学校で新しいルールが導入されたものの、その説明が抽象的すぎて、具体的にどう行動すればいいのか誰もが首をかしげている場面です。'in an indefinite way' は「漠然としたやり方で」という意味で、説明や表現が曖昧であることを示します。'unsure what to do'(何をすべきか確信が持てない)という結果が、その説明がいかに漠然としていたかを物語っています。
未定の
予定や計画が確定していない状態。将来の出来事や決定事項について、まだ結論が出ていないことを示す。例:indefinite plans(未定の計画), indefinite future(不確定な未来)
The meeting ended with an indefinite plan for the next steps.
会議は、次のステップが未定のままで終わりました。
※ 会議室で、皆が次の行動が決まらず、少し戸惑いながら解散する様子を想像してください。この文は、プロジェクトや話し合いで「具体的な内容や日程がまだ決まっていない」という状況で「indefinite plan(未定の計画)」のように使われる典型的な例です。
My friend said he would stay for an indefinite period.
友人は、いつまでか未定の期間滞在すると言いました。
※ 空港や駅で、友人が「いつまでいるの?」と聞かれて「まだ決まってないんだ」と笑顔で答えている情景です。「for an indefinite period」は、「期間が定められていない」という意味で、旅行や滞在の期間について話す際によく使われる自然なフレーズです。
After graduation, her future plans were indefinite.
卒業後、彼女の将来の計画は未定でした。
※ 大学の図書館で、卒業を控えた学生が、自分の将来について考えあぐねて、ぼんやりと窓の外を見ている様子を思い描いてみましょう。人の「将来の計画」や「進路」がまだ決まっていない時に使われ、「be indefinite」の形で「未定である」と表現できます。
無期限の
期間や有効期限が定められていない状態。継続期間が限定されず、いつまで続くか分からないニュアンス。例:indefinite leave(無期限休暇), indefinite contract(期間の定めのない契約)
She was granted an indefinite leave from her company to care for her family.
彼女は家族の介護のため、会社から無期限の休暇を許可されました。
※ この例文では、会社が従業員に「いつまで」という期限を設けずに休暇を与える状況を描写しています。家族の介護という個人的な事情に対し、会社が理解を示し、期限を定めない「無期限の休暇(an indefinite leave)」を認める、という情景が目に浮かびます。ビジネスや個人的な理由で、期間が決められていない状況でよく使われる表現です。
We haven't decided our next trip's destination, so the travel period remains indefinite.
私たちは次の旅行の目的地を決めていないので、旅行期間は無期限のままです。
※ 友達と旅行の計画を立てているけれど、まだ何も決まっていない、そんなワクワクと少しの困惑が混ざった場面です。「まだ決まっていないので、期間も未定(indefinite)のままだ」という、計画が不確かな状況を表しています。旅行やプロジェクトなど、期間がまだ確定していない場合に自然に使えます。
He found a job overseas, so his stay abroad became indefinite.
彼は海外で仕事を見つけたので、彼の海外滞在は無期限になりました。
※ この例文は、海外にいる友人が、当初は一時的な滞在だったはずが、現地で仕事を見つけたことで「いつまでいるか分からない=無期限の滞在(indefinite stay)」になったという状況を描いています。人生の転機や、状況の変化によって期間が不確定になる場合に、この単語が自然にフィットします。少し寂しいけれど、友人の新しい生活を応援する気持ちが伝わるでしょう。
コロケーション
不定冠詞(a, an)
※ 英語の文法用語で、特定されていない名詞の前に置かれる冠詞「a」または「an」を指します。日本語にはない概念なので、日本人学習者にとっては盲点になりがちです。例えば、'a book' は『ある本』という意味で、どの本か特定していません。一方、'the book' は『その本』と特定の本を指します。文法書や英語学習の初期段階で必ず登場する基本的な用語ですが、冠詞の使い分けは非ネイティブにとって長年の課題となることが多いです。
未定の期間、いつまで続くかわからない期間
※ 期間が明確に定められていない、または終了時期が不明な期間を指します。ビジネスシーンや契約書などでよく用いられ、『当面の間』や『無期限』といったニュアンスを含みます。例えば、'The project has been postponed for an indefinite period.' は『プロジェクトは未定の期間延期された』という意味になります。似た表現に 'an unspecified period' がありますが、'indefinite' はより長期にわたる、あるいは不確実性の高い期間を指すことが多いです。
不特定多数、漠然とした数
※ 正確な数が特定できない、または特定する必要がない場合に用いられます。例えば、'An indefinite number of people attended the event.' は『不特定多数の人々がイベントに参加した』という意味です。似た表現に 'a large number' がありますが、'indefinite number' は数が大きいかどうかよりも、数そのものがぼんやりしていることに重点が置かれます。口語よりも、ややフォーマルな場面で使われることが多いです。
不定代名詞(some, any, all, noneなど)
※ 特定のものを指すのではなく、不特定の人や物を指す代名詞のことです。'some', 'any', 'all', 'none', 'every', 'each', 'many', 'few', 'several' などが該当します。これらの代名詞は、数えられる名詞と数えられない名詞の両方で使用でき、文法的に複雑なルールを持つため、誤用しやすいです。例えば、'Some students are absent.'(何人かの生徒が欠席している)のように使われます。
無期限休暇
※ 職場や学校などで、期間を定めずに許可される休暇のことです。個人的な事情や病気療養などが理由で取得されることがあります。'take indefinite leave' という形で使われることが多いです。例えば、'She has taken indefinite leave due to health issues.'(彼女は健康上の問題で無期限休暇を取得した)のように使われます。人事や労務関連の文脈でよく用いられます。
不定積分
※ 数学の積分計算における用語で、特定の区間における積分ではなく、原始関数を求める操作を指します。高校数学や大学の微積分学で学習する概念ですが、積分定数Cの存在が重要です。例えば、∫x dx = (1/2)x^2 + C のように表現されます。数式を扱う専門的な文脈で使用されます。
曖昧な答え、明確でない返答
※ 質問に対して、はっきりとした答えを避ける場合に用いられます。政治的な場面や、答えにくい質問に対してよく見られます。例えば、'He gave an indefinite answer to the question about his future plans.' (彼は将来の計画についての質問に対して曖昧な答えをした)のように使われます。
使用シーン
学術論文や研究発表で、概念の曖昧さや定義の不確かさを議論する際に使用されます。例えば、「この研究における『幸福』の定義は、ある程度indefiniteである」のように、研究の限界や議論の余地を示す文脈で使われます。文語的な表現です。
ビジネスシーンでは、契約条件やプロジェクトのスケジュールなど、詳細が確定していない状況を説明する際に使われることがあります。例えば、「納期はまだindefiniteな状態です」のように、進捗状況を報告する場面で用いられます。フォーマルな文脈で使用されます。
日常会話ではあまり使いませんが、ニュース記事やドキュメンタリーなどで、事件や事故の原因が特定できていない状況を伝える際に使われることがあります。例えば、「捜査は難航しており、犯人の動機はindefiniteなままである」のように、報道において客観的な事実を伝える際に用いられます。
関連語
類義語
確実でない、不確かな状態を表す。将来や結果がどうなるか予測できない場合や、情報が不足している状況で使われる。ビジネス、日常会話、ニュースなど幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】"indefinite"が期間や数量など、範囲が明確でないことを指すのに対し、"uncertain"は結果や将来など、不確実性を強調する。感情的なニュアンスを含む場合もある。 【混同しやすい点】"indefinite"は客観的な範囲の不明確さを指すことが多いが、"uncertain"は主観的な判断や予測の難しさを表すことが多い。例えば、「indefinite leave」は期間未定の休暇だが、「uncertain future」は不確かな未来を意味する。
曖昧で、はっきりしない様子を表す。詳細が欠けていたり、輪郭がぼやけていたりする状況で使用される。日常会話、文学、芸術評論などでよく用いられる。 【ニュアンスの違い】"indefinite"が範囲の限定のなさを指すのに対し、"vague"は表現や概念の不明瞭さを強調する。より主観的で、印象や感覚に近いニュアンスを持つ。 【混同しやすい点】"indefinite"は客観的に測定可能な範囲の不明確さを示す場合があるが、"vague"は主観的な印象や理解の曖昧さを示す。例えば、「indefinite number」は数が特定できないことを意味するが、「vague feeling」は漠然とした感情を意味する。
具体的に示されていない、特定されていない状態を表す。契約書、技術仕様書、法律文書など、フォーマルな文脈でよく使用される。 【ニュアンスの違い】"indefinite"が範囲の限定のなさを意味するのに対し、"unspecified"は意図的に、または何らかの理由で詳細が示されていないことを強調する。より客観的で、形式的なニュアンスを持つ。 【混同しやすい点】"indefinite"は必ずしも意図的なものではないが、"unspecified"は意図的に詳細を伏せている場合や、詳細を決定する段階に至っていない場合に使われることが多い。例えば、「indefinite period」は期間が未定であることを意味するが、「unspecified amount」は金額が明示されていないことを意味する。
複数の解釈が可能で、意味が曖昧な状態を表す。文学、法律、哲学など、解釈の余地がある文脈でよく使用される。 【ニュアンスの違い】"indefinite"が範囲の限定のなさを指すのに対し、"ambiguous"は複数の意味に解釈できることを強調する。知的で、複雑なニュアンスを持つ。 【混同しやすい点】"indefinite"は単に範囲が不明確なだけで、意味が一意に定まる可能性があるが、"ambiguous"は複数の意味が存在し、どれが正しいか判断が難しい。例えば、「indefinite article」は不定冠詞を意味するが、「ambiguous statement」は曖昧な発言を意味する。
- undetermined
まだ決定されていない、確定していない状態を表す。調査、研究、計画など、結論が出ていない段階で使用される。 【ニュアンスの違い】"indefinite"が範囲の限定のなさを指すのに対し、"undetermined"は将来的に決定される可能性があることを示唆する。よりフォーマルで、将来を見据えたニュアンスを持つ。 【混同しやすい点】"indefinite"は必ずしも将来的に確定されるとは限らないが、"undetermined"は将来的に決定されることが期待される。例えば、「indefinite stay」は滞在期間が未定であることを意味するが、「undetermined cause」は原因がまだ特定されていないことを意味する。
派生語
「明確に」「確実に」という意味の副詞。「definite(明確な)」に副詞化の接尾辞「-ly」が付いた形。日常会話からビジネスシーンまで幅広く用いられ、確信や強調を表す際に頻繁に使われる。元の形容詞の意味を強める形で派生している。
「定義」「限定」という意味の名詞。「definite(明確な)」から派生し、抽象名詞化の接尾辞(この場合は-ition)が付いている。学術論文や法律文書などで、言葉や概念の範囲を明確に定める際に不可欠な語。語源的には「境界線を引くこと」を意味し、そこから「定義」の意味へと発展した。
「決定的な」「最終的な」という意味の形容詞。「definite」に性質を表す接尾辞「-ive」が付いた形。ある問題や議論に対して、これ以上議論の余地がないほど明確な結論や解決策を示す際に用いられる。学術的な文脈や報道などで見られる。
反意語
「明確な」「確定的な」という意味の形容詞。「indefinite」から否定の接頭辞「in-」を取り除いた形。意味が正反対になるだけでなく、語源的にも直接的な対比関係にある。日常会話やビジネス文書、学術論文など、あらゆる場面で使用される。
「確かな」「特定の」という意味の形容詞。「indefinite」が曖昧さや不確実性を表すのに対し、「certain」は確実性や限定性を示す。日常会話では「ある特定の」という意味で、学術的な文脈では「確実な証拠」のように用いられる。文脈によって「definite」と置き換え可能。
「正確な」「精密な」という意味の形容詞。「indefinite」があいまいな範囲や量を示すのに対し、「precise」は厳密に定められた範囲や量を示す。科学技術分野や法律分野で特に重要視される。日常会話では「正確な時間」のように用いられる。
語源
「indefinite」は、ラテン語の「dēfīnītus」(限定された、明確にされた)に、否定を表す接頭辞「in-」(〜でない)が付いた形に由来します。「dēfīnītus」自体は、「dēfīnīre」(限界を定める、明確にする)の過去分詞です。「dēfīnīre」は、「dē-」(完全に、〜から)と「fīnīre」(終わらせる、限界を定める)から構成されています。「fīnīre」はさらに「fīnis」(境界、終わり)に遡ります。つまり、「indefinite」は文字通り「限界が定められていない」という意味合いを持ち、そこから「漠然とした」「未定の」「無期限の」といった意味に発展しました。日本語で例えるなら、「未確定」という言葉が近いニュアンスを持つでしょう。確定していない、範囲や期限が定められていない状態を指します。
暗記法
「indefinite」は、単に「不明確」以上の意味を持つ言葉。中世では神の領域との境界を示唆し、神秘主義者が神との合一を語る際に用いられました。啓蒙思想の時代には、絶対的な権力への批判として、人々の権利や自由を擁護する文脈で登場。現代では、変化の激しい社会における不確実性を表し、未来への期待と不安を象徴します。それは、人間の知識の限界と、未来を切り開こうとする意志の表れなのです。
混同しやすい単語
『indefinite』と『infinite』は、どちらも「in-」で始まるため、スペルが非常に似ており混同しやすい。意味も関連しており、『indefinite』は「不定の、曖昧な」、『infinite』は「無限の」という意味を持つ。品詞はどちらも形容詞。注意点としては、『indefinite』は具体的な範囲や限界がないことを指し、『infinite』は文字通り数量や大きさが無限であることを指す。語源的には、どちらもラテン語に由来し、否定の接頭辞『in-』とそれぞれ異なる語幹が組み合わさっている(『finite』は「有限の」)。
『indefinite』と『definite』は、接頭辞『in-』の有無だけが異なるため、スペルミスや意味の誤解が生じやすい。『definite』は「明確な、確定的な」という意味で、『indefinite』の反対語にあたる。品詞はどちらも形容詞。日本人学習者は、『in-』が否定の意味を持つことを理解していれば、区別しやすくなる。語源的には、ラテン語の『finis』(終わり、限界)に由来し、『definite』は「限界が定められた」という意味合いを持つ。
『indefinite』と『identify』は、語頭の『ide-』の部分が共通しており、スペルが似ているため混同しやすい。『identify』は「特定する、識別する」という意味の動詞であり、品詞が異なる。また、発音もアクセントの位置が異なるため、注意が必要(『indefinite』は『in-DE-fi-nite』、『identify』は『i-DEN-ti-fy』)。『identify』は、ラテン語の『idem』(同じ)と『facere』(作る)に由来し、「同じものとして認識する」という意味合いを持つ。
『indefinite』と『indelible』は、語頭の『inde-』が共通しており、スペルが似ているため混同しやすい。『indelible』は「消せない、忘れられない」という意味の形容詞。意味も品詞も異なるため、文脈から判断する必要がある。語源的には、ラテン語の『in-』(否定)と『delere』(消す)に由来し、「消すことができない」という意味合いを持つ。
『indefinite』と『different』は、スペルの一部が似ており、特に母音の並び('e'と'i'の配置)が混乱を招きやすい。意味は全く異なり、『different』は「異なる、違う」という意味の形容詞。発音も大きく異なるため、注意が必要。日本人学習者は、それぞれの単語を意識的に発音し、スペルをvisualizeすることで区別しやすくなる。
『indefinite』と『incident』は、語頭の『in-』と、それに続く子音の並びが似ているため、スペルミスが生じやすい。『incident』は「出来事、事件」という意味の名詞であり、品詞が異なる。発音もアクセントの位置が異なるため、注意が必要(『indefinite』は『in-DE-fi-nite』、『incident』は『IN-ci-dent』)。語源的には、ラテン語の『incidere』(起こる)に由来し、「何かが起こる」という意味合いを持つ。
誤用例
日本語の『漠然とした』という感覚から『indefinite』を直接『money』のような不可算名詞に付けてしまう誤用です。英語では『indefinite』は形容詞として、具体的な量をぼかすために『amount』などの可算名詞を修飾する形で使われます。これは、英語が数量をより明確に表現しようとする言語であることと関連します。日本語では曖昧さを好む文化がありますが、英語では数量や範囲をできる限り明確にする傾向があります。
『indefinitely』は『無期限に』という意味で、文字通り解釈すると『いつになるか全く分からない』というニュアンスです。したがって、『but I think it will be held soon(でもすぐに開催されると思う)』と続けると、意味的に矛盾が生じます。この誤用は、日本語の『当面の間』のような、ある程度の期間の曖昧さを含む表現を直訳しようとする際に起こりがちです。英語では、このような場合は『postponed indefinitely, but I expect it will be rescheduled soon』のように、対比を示す接続詞『however』を用いることで、矛盾を緩和しつつ、期待感を伝えることができます。
『indefinite』は『明確でない』という意味ですが、人の発言や態度に対して使うと、やや不自然に聞こえる場合があります。人の発言が『不明確』な場合は、『vague(曖昧な)』や『evasive(はぐらかすような)』を使う方が自然です。この誤用は、日本語の『彼は曖昧な答えをした』という表現を直訳しようとする際に起こりがちです。英語では、人の性格や態度を表す言葉は、そのニュアンスをより細かく区別する傾向があります。『indefinite』は、主に数量や範囲が定まっていないことを指す場合に適しています。
文化的背景
「indefinite(不定の)」という言葉は、単に「明確でない」という意味を超え、時に自由、可能性、そして不安という相反する感情を内包します。それは、境界線が曖昧な状態が、希望と混乱の両方をもたらす人間の心理を反映しているからです。中世の哲学や神学においては、「無限(infinite)」と対比され、人間の理解の限界、そして神の領域との境界線を示す言葉として用いられました。例えば、中世の神秘主義者たちは、神との合一を「不定形(indefinite)」な状態として捉え、言葉や概念による定義を超越した経験として記述しました。この背景には、明確な定義が不可能であることへの畏敬の念と、それを超えようとする人間の精神の葛藤が見て取れます。
時代が下り、啓蒙思想の時代になると、「indefinite」は、絶対的な権力や固定された社会構造に対する批判の文脈で用いられるようになります。例えば、ロックやルソーといった思想家たちは、人間の権利や自由を擁護する際に、「indefinite」な権利、つまり、政府や社会によって制限されるべきではない、生まれながらに持つ権利という概念を強調しました。これは、王権神授説のような絶対的な権力構造に対する挑戦であり、人々の可能性を「不定」な状態として捉え、それを最大限に開花させるべきだという思想的背景を示しています。このように、「indefinite」は、社会的な進歩や変革を求める人々のスローガンとなり、自由と可能性の象徴として、政治的な議論の場で重要な役割を果たしました。
現代においては、「indefinite」は、科学技術の進歩やグローバル化といった、変化の激しい状況を表現する言葉としても用いられます。例えば、「indefinite leave(無期限休暇)」という言葉は、一時的な離職を意味する一方で、将来の不確実性を示唆するものでもあります。また、金融市場における「indefinite debt(無期限債)」は、返済期限が定められていない債券を指し、長期的な投資戦略やリスク管理の複雑さを象徴しています。このように、「indefinite」は、現代社会における不確実性や変化の速度を反映し、未来に対する期待と不安が入り混じった感情を表現する言葉として、その意味合いを深めています。それは、人間の知識や予測能力の限界を認識しつつ、それでも未来を切り開こうとする、人間の複雑な心理を映し出していると言えるでしょう。
試験傾向
準1級・1級の長文読解や語彙問題で出題される可能性があります。**出題形式:** 主に長文読解での意味推測、語彙問題での類義語選択など。**頻度と級・パート:** 準1級以上で比較的頻出。**文脈・例題の特徴:** 社会問題、科学技術、歴史など、幅広いテーマのアカデミックな文章で登場します。**学習者への注意点・アドバイス:** 「不確定な」「漠然とした」という意味に加え、「無期限の」という意味も重要。文脈によって意味が異なるため、注意が必要です。類義語の"vague", "uncertain"との使い分けも意識しましょう。
Part 5 (短文穴埋め)、Part 7 (長文読解)で登場する可能性があります。**出題形式:** Part 5では、文法的な知識(品詞の識別)や語彙力(意味の選択)が問われます。Part 7では、文章全体の意味を理解する中で、単語の意味を推測する力が求められます。**頻度と級・パート:** TOEIC全体での頻度は中程度。**文脈・例題の特徴:** 契約書、ビジネスレター、ニュース記事など、ビジネス関連の文章でよく見られます。**学習者への注意点・アドバイス:** "indefinite contract"(無期限契約)のようなビジネスシーンで頻出のコロケーションを覚えておくと役立ちます。また、"definite"(明確な)との対義語関係も意識しましょう。
リーディングセクションで頻出。**出題形式:** 主に長文読解における語彙問題、または文章全体の趣旨を把握する問題で問われます。**頻度と級・パート:** TOEFL iBTリーディングセクションで頻繁に出題されます。**文脈・例題の特徴:** アカデミックな内容(科学、歴史、社会学など)の文章で、抽象的な概念を説明する際に用いられることが多いです。**学習者への注意点・アドバイス:** 文脈から意味を推測する練習が重要です。類義語である"ambiguous", "uncertain"とのニュアンスの違いを理解しておきましょう。また、名詞形"indefiniteness"も合わせて覚えておくと役立ちます。
難関大学の長文読解問題で出題される可能性があります。**出題形式:** 長文読解における意味推測問題、内容説明問題など。**頻度と級・パート:** 難関大学(国公立大学、早慶上智など)で出題されることが多いです。**文脈・例題の特徴:** 社会問題、科学技術、哲学など、抽象度の高いテーマの文章で登場します。**学習者への注意点・アドバイス:** 文脈から意味を推測する力と、類義語・対義語の知識が重要です。また、単語単体だけでなく、文章全体の内容を理解する練習を積み重ねましょう。