immoral
第一音節の /ɪ/ は、日本語の「イ」よりも口を少し開いて短く発音します。第二音節にアクセントがあり、/ɔː/ は日本語の「オー」よりも口を丸めて長く伸ばす音です。語尾の /əl/ は、口を軽く開け、舌先を上の歯の裏側に近づけて発音します。全体的に、強勢の位置と母音の長さに注意すると、より自然な発音になります。
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道徳に反する
社会的に受け入れられている道徳的規範から大きく逸脱している状態を指す。単に「悪い」というよりも、倫理的に許されない行為や性質を表す。しばしば、人として守るべき良心や正義に反するニュアンスを含む。
The politician's secret deal to benefit himself felt completely immoral to the public.
その政治家が自分の利益のために行った秘密の取引は、国民にとって全く道徳に反するものだと感じられました。
※ この例文は、ニュースで政治家の不正が報じられ、それを見た人々が強い不快感を抱いている場面を描写しています。「immoral」は、個人の利益のために倫理に反する行動を取る政治家やビジネスマンに対してよく使われます。ここでは「felt immoral」で、道徳に反すると感じられた、という人々の感情を表現しています。
Spreading false rumors about someone just to hurt them is deeply immoral.
誰かを傷つけるためだけに根も葉もないうわさを広めるのは、非常に道徳に反することです。
※ この例文は、学校や職場で、誰かが悪意を持って他人のうわさを流しているのを知り、その行為に強い憤りを感じている場面を想像させます。「immoral」は、他人を傷つけたり、信頼を裏切ったりするような行為を指す際によく使われます。「deeply immoral」のように「deeply」を添えることで、その行為が非常に道徳に反していることを強調できます。
The teacher explained that cheating on the exam was an immoral act.
先生は、試験でのカンニングは道徳に反する行為だと説明しました。
※ この例文は、学校で先生が生徒たちに試験のルールと倫理について話している場面を思い浮かべさせます。「immoral」は、ルールや公正さを破る行為、特に不正行為に対してよく使われます。この例文のように、教育の場や社会の規範を教える文脈で登場することが多いです。
不道徳な
道徳的な原則や価値観を意図的に無視したり、軽視したりする様子。個人の行動や考え方が、社会の倫理観と対立していることを強調する。
He felt it was immoral to lie about his age just to get a job.
彼は、仕事を得るためだけに年齢を偽ることが不道徳だと感じました。
※ この例文は、個人が自分の利益のために嘘をつくという、倫理に反する行為を描写しています。「immoral」が個人の心の中で感じる「これは良くない」という道徳的な葛藤を表す典型的な使い方です。「It is immoral to 動詞の原形」で「~することは不道徳だ」という意味になります。
Many people believe that polluting the environment for profit is immoral.
多くの人々が、利益のために環境を汚染することは不道徳だと考えています。
※ この例文は、企業や組織が行う行為が社会全体にとって「不道徳」と見なされる状況を示しています。ニュースや社会問題の議論でよく使われる文脈です。「for profit」は「利益のために」という意味で、金銭的な動機が倫理に反する行為につながることを示唆しています。
Cheating on the exam was an immoral act, and he felt deep shame.
試験でのカンニングは不道徳な行為であり、彼は深い恥を感じました。
※ この例文は、具体的な「不道徳な行為(an immoral act)」とその行為をした人の内面的な感情(深い恥)を描写しています。「act(行為)」と一緒に使われることで、ある特定の行動が道徳的に許されないものであることを明確に示します。
コロケーション
道徳に反する行為、不道徳な振る舞い
※ 最も直接的なコロケーションの一つで、広く道徳的な規範から逸脱した行動全般を指します。具体的には、詐欺、裏切り、不倫など、社会的に非難されるべき行為が含まれます。ビジネスシーンやニュース記事など、フォーマルな文脈でよく用いられます。類似表現として "unethical behavior" がありますが、こちらは倫理的な問題、特に職業倫理や企業倫理に反する行為を指すことが多いです。
不道徳な行為、良心に反する行動
※ "immoral behavior" とほぼ同義ですが、こちらは個々の具体的な行為に焦点を当てています。例えば、「彼が犯した行為は完全に不道徳だった (His act was utterly immoral)」のように使われます。法的な文脈で使われることもありますが、主に倫理的な非難を伴う行為を指す場合に用いられます。 "immoral deed" も同様の意味で使われますが、やや古風な響きがあります。
不道徳な性格、道徳観念のない人物
※ 人の性格や性質を指す場合に用いられます。単に一時的な行為が不道徳なのではなく、その人の根本的な道徳観念が欠如していることを意味します。文学作品や映画などで、悪役の人物描写に用いられることがあります。 "corrupt character" (堕落した性格) や "debauched character" (道楽にふける性格) などが類似表現として挙げられますが、 "immoral character" はより広範な道徳的逸脱を意味します。
不道徳な決断、倫理に反する判断
※ ある状況下で、道徳的に誤った選択をすることを指します。ビジネスや政治の文脈で、利益追求のために倫理を犠牲にするような場合に用いられます。例えば、「その企業は不道徳な決断を下し、環境を汚染した (The company made an immoral decision and polluted the environment)」のように使われます。 "unethical decision" と似ていますが、 "immoral decision" はより根源的な道徳的価値観に反するニュアンスが強いです。
不当な利益、不正な手段で得た利益
※ 道徳的に問題のある方法で得られた利益を指します。例えば、搾取、詐欺、違法行為などによって得られた利益が該当します。「血の金 (blood money)」という表現も似た意味合いを持ちますが、こちらは暴力や死に関連する利益を指すことが多いです。 "ill-gotten gains" も類似表現ですが、こちらはより広範な不正行為によって得られた利益を指します。
~を不道徳だと考える
※ 「consider + 目的語 + 形容詞」の形で、ある行為や状況を主観的に不道徳だと判断することを表します。この構文は、個人の道徳観や倫理観に基づいて判断する場合に用いられます。例えば、「多くの人が安楽死を不道徳だと考えている (Many people consider euthanasia immoral)」のように使われます。 "deem something immoral" も同様の意味ですが、よりフォーマルな響きがあります。
道徳的に破綻している
※ 個人、組織、または社会全体が道徳的な価値観を失い、倫理的な指針を欠いている状態を指します。経済的な破綻と同様に、回復が困難な深刻な状態を表す比喩表現です。ニュースや評論記事などで、政治家や企業のスキャンダルを批判する際に用いられることがあります。 "morally corrupt" (道徳的に堕落している) と似た意味合いを持ちますが、 "morally bankrupt" はより絶望的な状況を示唆します。
使用シーン
倫理学、哲学、社会学などの分野の研究論文や学術書で、倫理的または道徳的な問題を取り扱う際に使用されます。例えば、「〜の行為は、功利主義の観点からはimmoralであるとみなされる」といった文脈で使われます。また、歴史学の研究において、過去の社会における道徳観を分析する際にも用いられます。
企業の倫理綱領やコンプライアンスに関する文書、または報道記事などで、企業活動が倫理的に問題がある場合に言及されることがあります。例えば、「〜社の経営陣による不正行為は、immoralであると非難された」のように、強い非難の意を込めて用いられることが多いです。日常的なビジネス会話では、より穏やかな表現(unethical, inappropriateなど)が好まれます。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュースやドキュメンタリー番組などで、政治家の不正行為や犯罪行為を批判する際に使われることがあります。例えば、「〜政治家の汚職はimmoralである」といった報道を目にすることがあります。また、映画や小説などのフィクション作品で、登場人物の行動を特徴づけるために用いられることもあります。ただし、日常会話では少し大げさな表現に聞こえる場合があるので、状況に応じて「wrong」や「bad」などのより一般的な言葉を使う方が自然です。
関連語
類義語
倫理的でない、道徳的に許されないという意味。ビジネスや専門分野における行動規範や倫理規定に違反する場合によく用いられる。より客観的・理性的な判断に基づいた非難を含む。 【ニュアンスの違い】"immoral"よりもフォーマルな響きを持ち、感情的な非難よりも、専門的な倫理基準からの逸脱を指すことが多い。主語は個人だけでなく、企業や組織などにもなり得る。 【混同しやすい点】"immoral"が個人的な道徳観に反する行為を指すのに対し、"unethical"は特定の倫理規定や行動規範に違反することを指すため、意味範囲が異なる。例えば、利益相反行為は "unethical" だが、必ずしも "immoral" とは限らない。
邪悪な、不道徳な、という意味。意図的に悪事を働く、非常に悪い行為を指す。文学作品や物語でよく使われ、非常に強い非難の感情を伴う。 【ニュアンスの違い】"immoral"よりも感情的で、より強い非難の意を含む。しばしば、意図的な悪意や破壊的な意図が伴う行為に対して用いられる。日常会話よりも、文学的な表現や強い感情を表す際に使われる。 【混同しやすい点】"wicked"は、しばしば誇張された表現として用いられ、必ずしも現実の深刻な不道徳行為を指すとは限らない。また、"immoral"よりも古風な響きを持つ場合がある。
間違っている、正しくない、という意味。道徳的な観点から見て間違っている行為を指す場合もある。日常会話で幅広く使われる。 【ニュアンスの違い】"immoral"よりも一般的で、道徳的な非難の度合いも弱い。単に「適切でない」という意味合いも含むため、文脈によっては道徳的な意味合いが薄れる。子供のしつけや軽い注意など、幅広い場面で使用される。 【混同しやすい点】"wrong"は、必ずしも道徳的な非難を意味するわけではない。「間違った答え」のように、単に事実と異なる場合にも用いられるため、文脈によって意味を判断する必要がある。
堕落した、退廃的な、という意味。道徳的に深く堕落し、悪徳に染まっている状態を指す。非常に強い非難の感情を伴い、文学作品や報道などで用いられる。 【ニュアンスの違い】"immoral"よりも極端な状態を表し、道徳的な基準からの逸脱が甚だしい場合に用いられる。しばしば、性的倒錯や暴力的な行為と結び付けて用いられる。 【混同しやすい点】"depraved"は、日常会話ではほとんど用いられず、非常にフォーマルな場面や、強い感情を表現する際に限られる。また、しばしば誇張された表現として用いられる。
堕落した、腐敗した、という意味。権力や地位を利用して不正を行う、道徳的に堕落した状態を指す。政治、経済、社会など、様々な分野で用いられる。 【ニュアンスの違い】"immoral"よりも、組織やシステムにおける道徳的な崩壊を指すことが多い。個人的な道徳観よりも、社会的な倫理観の崩壊を強調する。 【混同しやすい点】"corrupt"は、しばしば金銭的な不正行為と結び付けて用いられるが、必ずしもそうとは限らない。例えば、「腐敗した思想」のように、抽象的な概念に対しても用いられる。
不正直な、偽りの、という意味。嘘をついたり、騙したりする行為を指す。日常会話からビジネスまで幅広く使われる。 【ニュアンスの違い】"immoral"よりも具体的な行為を指し、道徳的な非難の度合いも弱い。嘘をつく、約束を破る、不正な手段を使うなど、具体的な不正行為を指す。 【混同しやすい点】"dishonest"は、必ずしも深刻な道徳的非難を意味するわけではない。例えば、「ちょっとした嘘」のように、軽い不正行為にも用いられる。
派生語
『道徳』『倫理』を意味する名詞。『moral(道徳的な)』に名詞化接尾辞『-ity』が付いた形。日常会話でも使われるが、哲学、倫理学、社会学などの学術論文で頻繁に登場する。抽象的な概念を扱う際に不可欠な語彙。
- moralize
『道徳的に説教する』『教訓的に解釈する』という意味の動詞。『moral(道徳的な)』に動詞化接尾辞『-ize』が付いた形。しばしば批判的なニュアンスを含み、相手の行動や考え方を一方的に道徳的に評価する場面で使われる。文学作品の分析や社会批評などで見られる。
- amoral
『道徳観念を持たない』『道徳に無関係な』という意味の形容詞。接頭辞『a-(否定)』が『moral』に付いた形だが、『immoral』とは異なり、積極的に道徳に反するのではなく、道徳的判断の対象にならない状況や人物を指す。心理学、社会学、犯罪学などの分野で、特定の行動や人物を客観的に記述する際に用いられる。
反意語
『道徳的な』『倫理的な』という意味の形容詞。『immoral』は接頭辞『im-(否定)』が付いた反対語であり、道徳にかなっているか否かという基本的な対立構造を示す。日常会話からビジネス、学術論文まで幅広く使用される、非常に基本的な語彙。
『徳の高い』『高潔な』という意味の形容詞。『immoral』が単に道徳に反する状態を指すのに対し、『virtuous』は積極的に道徳的模範となるような行為や性質を指す。宗教的、倫理的な文脈で、理想的な人物像を描写する際に用いられることが多い。
『倫理的な』という意味の形容詞。『immoral』の対義語として、ビジネスや専門分野における倫理基準に合致していることを強調する際に用いられることが多い。例えば、倫理的な投資(ethical investment)や倫理綱領(ethical code)など、特定の規範や基準に照らして適切かどうかを判断する文脈で重要となる。
語源
"immoral"は、ラテン語の"immoralis"(道徳的でない)に由来します。これは、接頭辞"im-"(否定を表す、英語の"in-"や"un-"に相当)と、"moralis"(道徳的な)から構成されています。"moralis"自体は、"mos"(習慣、慣習、行動様式)というラテン語に由来し、社会的な行動規範や善悪の判断基準を意味します。つまり、"immoral"は文字通り「道徳的ではない」状態を指し、社会的に容認されない行動や考え方を意味します。日本語で例えるなら、「不道徳」という言葉が最も近いでしょう。普段の生活で「道徳」を意識することは少ないかもしれませんが、"immoral"という単語を通して、社会の暗黙のルールについて考えるきっかけになるかもしれません。
暗記法
「immoral」は単なる道徳違反に留まらず、社会秩序を揺るがす禁忌として、重く非難されてきた言葉。中世では宗教的罪として罰せられ、文学では罪と再生の象徴に。現代では意味合いが多様化し、個人の自由が尊重される一方で、企業の不正や政治腐敗など、倫理的な不正を糾弾する言葉として、今も社会の議論の中心に存在し続けている。
混同しやすい単語
『immoral』と『amoral』は、どちらも道徳的でないことを表しますが、意味合いが異なります。『immoral』は道徳に反する、つまり悪いと認識される行為を指します。一方、『amoral』は道徳的な判断基準を持たない、あるいは道徳的な考慮をしないことを意味します。例えば、幼い子供は道徳観が発達していないため、amoralと言えます。綴りも似ており、接頭辞 'im-' (否定) と 'a-' (欠如) の違いを理解することが重要です。日本人学習者は、文脈によってどちらの単語が適切かを判断できるように、意味の違いを意識する必要があります。
『immoral』と『mortal』は、語幹が '-moral' と '-mortal' で類似しており、発音も似ているため混同しやすいです。『mortal』は『死ぬ運命にある』という意味で、人間などの生物を指します。また、『致命的な』という意味もあります。品詞も異なり、『immoral』は形容詞ですが、『mortal』は形容詞または名詞として使われます。日本人学習者は、文脈から意味を判断し、品詞の違いにも注意する必要があります。語源的には、'mortal' はラテン語の 'mortalis' (死すべき) に由来し、'immoral' とは直接的な関連はありません。
『immoral』と『immortal』は、接頭辞が 'im-' で共通しており、語幹も似ているため、スペルミスや意味の混同が起こりやすいです。『immortal』は『不死の』という意味で、永遠に生きることを指します。品詞はどちらも形容詞ですが、意味は正反対です。日本人学習者は、接頭辞 'im-' の意味('immoral' では否定、'immortal' では否定の否定=不死)を理解することが重要です。'Im-' + 'mortal' = 'immortal'(不死)。
『immoral』は『moral』に否定の接頭辞 'im-' が付いた単語です。そのため、『moral』の意味を正確に理解していないと、『immoral』の意味も誤解しやすくなります。『moral』は『道徳的な』という意味で、善悪の判断基準や行動規範に関することを指します。日本人学習者は、『moral』の基本的な意味をしっかりと理解し、その上で『immoral』との違いを把握することが重要です。また、道徳的な教訓や寓話などを指す名詞としての用法があることも覚えておきましょう。
『immoral』と『emirate』は、スペルの一部が似ており、特に語尾の 'rate' の部分が共通しているため、視覚的に混同されることがあります。『emirate』は『首長国』という意味で、アラブ首長国連邦(UAE)などの国を指します。発音も大きく異なり、意味も全く異なるため、文脈から容易に区別できますが、スペルミスには注意が必要です。日本人学習者は、スペルを正確に記憶し、文脈から意味を判断するように心がけましょう。
『immoral』と『immolate』は、先頭の『imm』という綴りが共通しており、発音も前半部分が似ているため、混同される可能性があります。『immolate』は『(生贄として)焼き殺す』という意味で、宗教的な儀式などで使われることがありますが、現代では比喩的に『(何かを)犠牲にする』という意味で使われることもあります。意味も文脈も大きく異なるため、混同することは少ないかもしれませんが、スペルミスには注意が必要です。語源的には、ラテン語の 'immolare' (犠牲にする) に由来します。
誤用例
『immoral』は道徳的に『邪悪』『堕落している』といった強い非難の意味合いを含みます。ビジネスの文脈では、単に倫理的に問題がある、法に触れない範囲で不当な利益を得ているといった状況を指す場合が多く、この場合はより穏やかな『unethical(非倫理的)』が適切です。日本人は『不道徳』という言葉から『immoral』を直訳しがちですが、英語ではその語感の強さに注意が必要です。日本語の『不道徳』は、英語の『immoral』と『unethical』の両方をカバーする場合があります。
『immoral』は個人の倫理観に深く関わる行為(殺人、不倫など)に対して使われることが多いです。政府への反対意見を持つこと自体は、政治的な意見の相違であり、道徳的な非難の対象とは通常なりません。この文脈では、『wrong(間違っている)』や『unjust(不当である)』といった表現が適切です。日本人は『道徳的に〜すべきでない』という発想から、政治的な意見の相違にも『immoral』を適用しがちですが、英語では政治的な文脈ではより適切な語彙を選ぶ必要があります。また、英語では直接的な表現を避け、婉曲的に表現することが好まれる場合もあります。
『immoral』は深刻な道徳的違反を指すため、些細なこと(最後のケーキを食べるなど)に対して使うと大げさになります。この場合は、『guilty(罪悪感がある)』が適切です。日本人は『悪いことをした』という感情を安易に『immoral』と結びつけがちですが、英語では感情の度合いに応じて適切な語彙を選ぶ必要があります。また、英語ではユーモラスな状況でも、あえて強い言葉を使うことで皮肉を表現することがありますが、この場合は『guilty』の方が自然です。日本人学習者は『悪い』という言葉をそのまま『bad』や『immoral』に置き換える傾向がありますが、文脈に応じて適切なニュアンスの語を選ぶことが重要です。
文化的背景
「immoral(不道徳な)」という言葉は、単に道徳規範に反する行為を指すだけでなく、社会秩序を揺るがす、あるいは神聖なものを冒涜する行為として、より強い非難のニュアンスを帯びて用いられてきました。特に、伝統的な宗教観や倫理観が色濃く残る時代や社会においては、「immoral」という言葉は、個人の行動だけでなく、社会全体の安定を脅かすものとして、非常に重い意味を持っていました。
中世ヨーロッパにおいては、キリスト教の教えが社会の隅々まで浸透しており、「immoral」な行為は、神に対する罪として厳しく罰せられました。例えば、姦通や同性愛といった行為は、単なる個人的な問題ではなく、社会全体の秩序を乱すものとして、公然と非難され、時には死刑に処されることもありました。また、魔女狩りにおいては、魔女とされた人々が「immoral」な行為を行ったという告発が、処刑の根拠となることもありました。このように、中世においては、「immoral」という言葉は、宗教的な罪と社会的な秩序を乱す行為という二重の意味合いを持っていました。
文学作品においても、「immoral」という言葉は、しばしば重要なテーマとして扱われてきました。例えば、ナサニエル・ホーソーンの『緋文字』では、姦通を犯した女性ヘスター・プリンが、社会から「immoral」な存在として糾弾され、その罪を象徴する「A」の文字を身につけることを強いられます。しかし、物語が進むにつれて、ヘスターは、その罪を償いながら、社会に貢献していくことで、新たな生き方を見出していきます。このように、『緋文字』では、「immoral」という言葉が、社会的な罪と個人の再生という対照的なテーマを結びつける役割を果たしています。
現代社会においては、「immoral」という言葉の意味合いは、より多様化しています。伝統的な宗教観が薄れ、個人の自由や権利が尊重されるようになったことで、かつては「immoral」とされていた行為が、必ずしも非難されるとは限りません。しかし、それでもなお、「immoral」という言葉は、倫理的な問題や社会的な不正を批判する際に、強力な言葉として用いられています。例えば、企業の不正会計や政治家の汚職などは、「immoral」な行為として厳しく非難されます。このように、「immoral」という言葉は、時代や社会の変化とともに、その意味合いを変えながらも、常に社会的な議論の中心に存在し続けているのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、語彙問題(同意語選択、空所補充)。まれにライティングのトピックに関連する場合も。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で比較的頻出。特に1級では必須語彙。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、倫理観に関する長文、ニュース記事など。ライティングでは意見論述の際に使用。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「moral」(道徳的な)との対義語であることを理解。「immorality」(不道徳)などの名詞形も重要。類義語の「unethical」とのニュアンスの違い(unethicalは倫理規定違反、immoralはより根源的な道徳の欠如)を理解。
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)。
- 頻度と級・パート: 頻度は高くないが、Part 7の倫理や企業コンプライアンスに関する文書で稀に出題。
- 文脈・例題の特徴: 企業倫理、不正行為、社会貢献などに関するビジネス文書。
- 学習者への注意点・アドバイス: TOEICでは直接的な語彙知識よりも、文脈から意味を推測する能力が重要。「moral hazard」(モラルハザード)などの関連語も覚えておくと役立つ。
- 出題形式: リーディングセクション(長文読解)。
- 頻度と級・パート: アカデミックな内容の文章で比較的頻出。
- 文脈・例題の特徴: 哲学、社会学、歴史学などの分野における倫理的な議論。
- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な概念を扱う文章で使われることが多い。文脈から正確な意味を把握することが重要。類義語の「amoral」(道徳観念がない)との違いを理解しておくこと。
- 出題形式: 長文読解、空所補充問題、和訳問題。
- 頻度と級・パート: 難関大学の入試問題で出題される可能性あり。特に倫理、社会問題、歴史に関連する文章。
- 文脈・例題の特徴: 倫理学、哲学、歴史、社会問題に関する評論や記事。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する能力が重要。同意語や反意語を覚えておくこと。「moral」との関連性を意識して学習する。