virtuous
最初の音 /v/ は、上の前歯を下唇に軽く当てて息を出す有声摩擦音です。日本語の「ヴ」よりも唇を震わせることを意識しましょう。/ɜːr/ は口を少し開け、舌を丸めるか、あるいは舌先をどこにも触れさせないようにして発音する母音です。「アー」と「ウー」の中間のような音を意識してください。最後の /əs/ は曖昧母音で、弱く短く発音します。強勢は最初の音節にあります。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
高潔な
道徳的に優れており、倫理的に正しい行動をとるさま。内面の美しさや精神的な強さを示唆する。例:virtuous woman(貞淑な女性)、a virtuous life(高潔な人生)
She is a truly virtuous leader who always puts her team's welfare first.
彼女はいつもチームの幸福を最優先する、真に高潔なリーダーです。
※ この例文では、リーダーが自分の利益よりもチームの利益を優先する姿を描いています。「virtuous」は、このように私欲がなく、道徳的に正しい行動をする人を表す際によく使われます。尊敬の念が込められた表現です。
He found a lost wallet full of money, but he made the virtuous decision to return it.
彼はお金がたくさん入った落とし物のお財布を見つけましたが、高潔な決断をしてそれを返しました。
※ お金が入った財布を見つけた時、誘惑に負けずに正直に返すという行動は、まさに「高潔な」行いです。このように、正しいとわかっていることを実行する決断や行動を「virtuous decision/act」と表現します。心の葛藤を超えて正しい道を選ぶ様子が伝わります。
Our school teaches students to be virtuous, always kind and honest to others.
私たちの学校は、生徒たちに高潔であること、つまり常に他人に親切で正直であることを教えています。
※ ここでは、学校が教育目標として「高潔さ」を掲げ、それが具体的に「親切で正直であること」と結びついている場面を描いています。「virtuous」は、このように個人の品性や道徳的な振る舞いを指す場合にも使われます。日々の生活の中で実践されるべき態度を示しています。
善良な
人柄が良く、親切で思いやりがあるさま。社会的に望ましい性質を持つことを意味する。例:virtuous citizen(善良な市民)
My grandmother always told me to be a virtuous person.
祖母はいつも私に、善良な人であるように教えてくれました。
※ この例文は、家族の温かい教えの場面を描写しています。おばあちゃんが孫に、道徳的に正しく、品行方正な人になることの大切さを語りかけている情景が目に浮かびます。「virtuous」は、単に「良い人」というよりも、意識的に正しい行いを選び、高い倫理観を持つ人に使われる典型的な例です。
Everyone in the village respected her as a truly virtuous woman.
村の誰もが、彼女を真に善良な女性として尊敬していました。
※ この例文は、地域社会で一人の人物がその人柄によって深く尊敬されている状況を示しています。彼女が常に正直で、困っている人を助け、誰からも信頼されている様子が伝わってきます。「virtuous」は、このように他者から高く評価される、道徳的に立派な人柄を表現するのに非常に自然な単語です。
He felt it was a virtuous act to help the lost child find his way home.
彼は、道に迷った子供が家を見つけるのを手伝うのは善良な行いだと感じました。
※ この例文は、ある具体的な行動が「道徳的に正しい、立派な行い」として評価される場面を描いています。道に迷った子供を助けるという、親切で倫理的な行動をした後の、清々しい気持ちが伝わってきますね。「virtuous」は、個人の行動や選択が、道徳的な観点から見て優れていることを表現する際にも使われます。
有益な
良い結果や効果をもたらすさま。必ずしも道徳的な意味合いだけでなく、実用的な利点も含む。例:a virtuous cycle(好循環)
Eating a balanced breakfast every day is a virtuous habit for your health.
毎日バランスの取れた朝食を食べることは、健康にとって有益な習慣です。
※ この例文は、健康に良い影響を与える「習慣」について語っています。朝食をしっかり摂ることで、一日を元気に過ごせる、という健全で「有益な」行動を表しています。'virtuous habit' は、身体や精神に良い影響を与える習慣を指す、自然な組み合わせです。
When people help each other in a small town, it often creates a virtuous circle.
小さな町で人々がお互いを助け合うと、しばしば好循環が生まれます。
※ ここでは、良い行動がさらに良い結果を生み出す「好循環」について述べています。'virtuous circle' は「良いことが良いことを呼び、それが巡り巡ってさらに良い結果につながる」という、非常に典型的で「有益な」状況を表すフレーズです。助け合いの温かい情景が目に浮かびますね。
Choosing eco-friendly products is a virtuous decision for our planet's future.
環境に優しい製品を選ぶことは、私たちの地球の未来にとって有益な決断です。
※ この例文は、地球環境に配慮した「決断」が、結果として「有益な」影響をもたらすことを示しています。スーパーで商品を選ぶ際、環境に良いものを選ぶ人の姿が想像できますね。'virtuous decision' は、道徳的に正しく、かつ良い結果をもたらす選択を指すときに使われます。
コロケーション
徳の高い女性、貞淑な女性
※ この表現は、特に聖書(箴言31章)に由来し、家庭を大切にし、勤勉で、信仰心の厚い女性を指します。現代では、やや古風で文学的な響きがありますが、依然として尊敬と賞賛の念を込めて使われます。単に道徳的なだけでなく、知恵と強さ、そして他者への思いやりを兼ね備えた女性像を意味することが多いです。類似の表現に 'woman of virtue' があります。
好循環、善循環
※ ある行動や事象が、良い結果を生み、それがさらに良い行動や事象を促進するという連鎖を指します。例えば、「顧客満足度の向上→リピーター増加→収益増加→サービス向上→顧客満足度の向上…」といった流れです。ビジネスや経済の文脈で頻繁に使われ、持続可能な成長やポジティブな変化を示す際に用いられます。対義語は 'vicious cycle'(悪循環)です。
善行、徳のある行い
※ 文字通り、道徳的に正しい行いを指しますが、単なる義務的な行為ではなく、深い思いやりや利他心に基づいた行動を強調します。慈善活動、困っている人を助ける行為、不正を正す行為などが含まれます。フォーマルな場面や、文学的な表現で使われることが多いです。類義語としては 'act of kindness', 'good deed' などがありますが、'virtuous deed' はより高潔な印象を与えます。
道徳的な動機を主張する、善意を装う
※ この表現は、表面的には道徳的な理由を述べているものの、実際には別の意図がある場合に使われます。しばしば、皮肉や批判的なニュアンスを含み、「口では立派なことを言っているが…」という含みがあります。政治的な文脈や、人の行動の裏を読もうとする際に用いられることが多いです。類似の表現に 'claim virtuous intentions' があります。
模範的な道徳的行為の典型
※ この表現は、ある人が道徳的に完璧であること、または非常に高い道徳的基準を持っていることを示します。'Paragon' は模範や典型を意味し、このフレーズ全体で、その人が道徳的な理想を体現していることを強調します。文学的または非常にフォーマルな文脈で使用され、賞賛の意味合いが強いですが、時に皮肉として使われることもあります。
道徳的であり続ける、清廉潔白を保つ
※ 困難な状況や誘惑に直面しても、道徳的な原則を維持し続けることを意味します。特に、政治家や公務員など、倫理的な行動が求められる立場の人々について語られることが多いです。'Stay virtuous' とも言えます。道徳的な試練に打ち勝つ強さを暗示する表現です。
使用シーン
学術論文、特に倫理学、道徳哲学、心理学の分野でよく見られます。例えば、「virtuous behavior(高潔な行動)」に関する研究や、「virtuous cycle(好循環)」の概念を説明する際に使用されます。文語的な表現であり、客観的な分析や議論に用いられることが多いです。
ビジネス文書やプレゼンテーションで、企業の倫理観や社会的責任を強調する際に使われることがあります。例えば、「a virtuous company(高潔な企業)」という表現で、企業の信頼性や誠実さをアピールする際に用いられます。フォーマルな文脈で使用されることが多く、日常的なビジネス会話ではあまり使われません。
日常会話ではほとんど使われませんが、ニュース記事や書籍などで、人の性格や行動を評価する際に用いられることがあります。例えば、「a virtuous person(高潔な人)」という表現で、尊敬に値する人物を称賛する際に使われます。やや硬い印象を与えるため、親しい間柄での会話には不向きです。
関連語
類義語
道徳的な、倫理的な、という意味。社会的に正しいとされる行動や信念に合致していることを指す。日常会話、ニュース、学術論文など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】"virtuous"よりも一般的で、道徳的な判断や行動の基準を示すことが多い。主語は人だけでなく、行動や原則などにも使える。客観的な道徳基準に沿っていることを強調する。 【混同しやすい点】"virtuous"は個人の内面的な善良さや道徳的な高潔さを強調するのに対し、"moral"は社会的な道徳基準との適合性を重視する点。"moral"は抽象的な概念や倫理的な議論にも使われる。
正義感の強い、正しい、という意味。道徳的、宗教的な正しさや正義を強く意識していることを示す。宗教的な文脈や、正義を重んじる場面でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"virtuous"よりも自己の正当性を強く主張するニュアンスがある。しばしば、神や宗教的な規範に照らして正しいことを意味する。やや古風で、現代では日常会話での使用頻度は低い。 【混同しやすい点】"righteous"は、しばしば自己中心的、あるいは独善的な印象を与える可能性がある。"virtuous"はより謙虚で、内面的な美徳を強調する。
正直な、高潔な、という意味。道徳的にまっすぐで、不正や欺瞞を行わないことを強調する。ビジネス、法律、文学などで使われる。 【ニュアンスの違い】"virtuous"よりも行動や態度に焦点を当て、不正行為をしないことを明確に示す。誠実さ、正直さ、公正さを表す。 【混同しやすい点】"upright"は、必ずしも内面的な善良さを示すわけではなく、外見上の行動の正しさを強調する。また、物理的に直立しているという意味もあるため、文脈に注意が必要。
良い、善良な、という意味。一般的な言葉で、幅広い意味を持つ。道徳的な意味合いだけでなく、品質や能力の高さも示す。 【ニュアンスの違い】"virtuous"よりも包括的で、道徳的な意味合いは文脈によって異なる。人の性格、行動、物事の状態など、様々な対象に使える。 【混同しやすい点】"good"は非常に一般的な言葉であるため、道徳的な意味合いが弱い場合がある。"virtuous"のように、特に道徳的な高潔さを強調するわけではない。
倫理的な、道徳的な、という意味。倫理的な原則や基準に合致していることを示す。ビジネス、医療、法律など、専門的な分野でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"virtuous"よりも客観的な倫理規範に沿っていることを強調する。個人の内面的な美徳よりも、社会的な倫理基準を重視する。 【混同しやすい点】"ethical"は、特定の職業や分野における倫理規範を指すことが多い。"virtuous"のように、個人的な道徳的卓越性を意味するわけではない。
- principled
主義のある、信念のある、という意味。特定の原則や信念に基づいて行動することを強調する。政治、ビジネス、個人的な関係など、様々な場面で使用される。 【ニュアンスの違い】"virtuous"よりも、特定の信念体系に忠実であることを示す。必ずしも社会的に良いとされる信念であるとは限らない。 【混同しやすい点】"principled"は、信念の内容が必ずしも道徳的であるとは限らない点に注意が必要。極端な例では、犯罪組織のメンバーも「principled」である可能性がある。
派生語
『美徳』『長所』を意味する名詞。『virtuous』の語源であり、抽象的な概念を表す。日常会話よりも、倫理や道徳に関する議論、文学作品、学術論文などで用いられることが多い。個人の道徳的な卓越性や、社会的に望ましいとされる性質を指す。
- virtuously
『virtuous』の副詞形。『徳高く』『高潔に』という意味。行動や振る舞いを修飾し、それが道徳的に正しい方法で行われていることを強調する。例えば、『She lived virtuously』は『彼女は高潔に生きた』という意味になる。文章語として、やや格式ばった印象を与える。
直接的な派生ではないものの、語源的には『virtue(力、潜在能力)』に関連する。『仮想の』『事実上の』という意味を持つ形容詞。元々は『潜在的な能力』を示唆していたが、現代ではコンピュータ技術の発展に伴い、現実世界ではないが、あたかも現実であるかのように機能するものを指すようになった。例えば、『virtual reality(仮想現実)』など。日常会話、ビジネス、科学技術など、幅広い分野で使用される。
反意語
『邪悪な』『不道徳な』という意味の形容詞。『virtuous』が道徳的な善を指すのに対し、『wicked』は意図的な悪や不正を意味する。物語や寓話でよく用いられ、悪役の性格描写などに使われる。日常会話でも使われるが、やや強い非難のニュアンスを含む。
『不道徳な』『堕落した』という意味の形容詞。『virtuous』が道徳的な規範に従うのに対し、『vicious』は道徳的な規範を破り、悪意や残酷さを示す。犯罪や暴力に関連する文脈でよく用いられる。例えば、『a vicious crime(凶悪犯罪)』など。強い非難や嫌悪感を伴う。
接頭辞『im-(否定)』が『moral(道徳的な)』に付いた形で、『不道徳な』という意味を持つ形容詞。『virtuous』が道徳的な規範に合致するのに対し、『immoral』は道徳的な規範に反することを意味する。より一般的な不道徳行為を指し、個人的な行動から社会的な問題まで、幅広い文脈で使用される。例えば、『immoral behavior(不道徳な行動)』など。
語源
"virtuous"は、ラテン語の"virtus"(徳、美徳、優秀さ、勇気)に由来します。"virtus"自体は、ラテン語の"vir"(男性、人間)から派生しており、元々は男性的な力強さや勇ましさを意味していました。時が経つにつれて、その意味は道徳的な高潔さや善良さといった、より広範な徳を指すように変化しました。"virtuous"は、この"virtus"に英語の形容詞を作る接尾辞"-ous"が付いたもので、「徳に満ちた」「徳を備えた」という意味合いを持ちます。日本語で例えるなら、「武士道」の「武」が、単なる戦闘能力だけでなく、高潔さや正義感といった意味合いを含むように、"virtus"も当初の力強さから、内面的な美徳へと意味が発展したと言えるでしょう。
暗記法
「virtuous」は中世騎士道では勇気や忠誠を、ルネサンス宮廷では慎み深さや知性を象徴しました。シェイクスピア劇にも登場し、社会が重視した価値観を体現。啓蒙思想を経て、美徳は誰もが獲得できるものへ。ヴィクトリア朝では道徳的模範とされましたが、過度な強調は批判も。現代では企業の社会的責任にも繋がり、バランスの取れた生き方が重視される。時代と共に意味合いを変え続ける、奥深い言葉です。
混同しやすい単語
発音が非常に似ており、特に語尾の '-ous' と '-oso' の区別が難しい。スペルも 'virtu' の部分が共通しているため、視覚的にも混同しやすい。『virtuous』は『徳の高い』という意味の形容詞であるのに対し、『virtuoso』は『名人、巨匠』という意味の名詞であり、音楽や芸術の分野で使われることが多い。日本人学習者は、品詞の違いと使われる文脈に注意する必要がある。語源的には、どちらもラテン語の 'virtus'(美徳、力)に由来するが、意味の発展が異なっている。
最初の 'virtu-' の部分が共通しているため、スペルが似ていると感じやすい。また、発音も最初の部分が似ているため、聞き間違いやすい。『virtuous』は道徳的な意味合いが強いのに対し、『virtual』は『仮想の、事実上の』という意味で、ITやテクノロジーの分野でよく使われる。日本人学習者は、文脈からどちらの単語が適切かを判断する必要がある。語源的には、どちらもラテン語の 'virtus' に由来するが、『virtual』は中世ラテン語で『効力のある』という意味合いが加わっている。
スペルが似ており、特に 'virt-' と 'vitr-' の部分が混同されやすい。発音も母音の部分が似ているため、聞き間違いやすい。『virtuous』は道徳的な意味合いが強いのに対し、『vitreous』は『ガラス質の、透明な』という意味で、医学や科学の分野で使われることが多い。日本人学習者は、スペルの細かい違いと、使われる文脈に注意する必要がある。語源的には、'vitreous' はラテン語の 'vitrum'(ガラス)に由来する。
『virtuous』の語源となっている名詞であり、スペルも非常に似ているため混同しやすい。『virtuous』は形容詞で『徳の高い』という意味だが、『virtue』は名詞で『美徳、長所』という意味である。品詞が異なるため、文法的な役割も異なる。日本人学習者は、単語の形と意味だけでなく、品詞にも注意する必要がある。例えば、「He is a man of virtue.」のように使われる。
語尾の '-uous' が共通しているため、スペルが似ていると感じやすい。また、発音も語尾が似ているため、聞き間違いやすい。『virtuous』は道徳的な意味合いが強いのに対し、『tortuous』は『曲がりくねった、ねじれた』という意味で、物理的な形状や比喩的な意味で使われる。日本人学習者は、単語の最初の部分('virt-' と 'tort-')の違いに注意する必要がある。語源的には、'tortuous' はラテン語の 'torquere'(ねじる)に由来する。
語尾の '-cious' の音と、全体的な音の響きが似ているため、特にリスニング時に混同しやすい可能性がある。また、どちらも形容詞であるため、文法的な役割も似ているため、注意が必要。『virtuous』は道徳的な意味合いが強いのに対し、『ferocious』は『どう猛な、残忍な』という意味で、性格や行動を表す際に使われる。語源的には、'ferocious' はラテン語の 'ferus'(野生の)に由来する。
誤用例
『virtuous』は道徳的に優れている、高潔であるという意味合いが強く、単に『成功している』『利益を上げている』という意味でのビジネスマンには通常使いません。日本人が『彼は有能なビジネスマンだ』というニュアンスで安易に『virtuous』を使ってしまうのは、日本語の『有能』という言葉が、倫理的な側面を必ずしも含まないことによる誤用です。英語では、ビジネスの成功と道徳的な高潔さは必ずしも一致しないため、文脈によっては強い皮肉として受け取られる可能性があります。より適切な表現は『successful』ですが、倫理的な側面を問題視するなら『successful, but his ethics are questionable』のように明確に表現する必要があります。
『virtuous』は内面的な高潔さ、道徳的な卓越性を意味し、特定の行動規範(親への服従など)に従うことだけでは必ずしも当てはまりません。親への服従は『dutiful(従順な、義務を果たす)』という言葉がより適切です。日本人が『親孝行』という言葉に良いイメージを持ち、それを安易に『virtuous』と結びつけてしまうのは、文化的背景の違いによる誤用です。英語圏では、個人の自律性や独立性が重視されるため、親への盲目的な服従は必ずしも『美徳』とは見なされません。むしろ、状況に応じて批判的な思考を持つことの方が重要視される場合があります。『virtuous』を使う場合は、単なる服従ではなく、より普遍的な道徳的原則に基づいた行動であることを示す必要があります。
『virtuous』は、しばしば皮肉や疑念を込めて使われることがあります。特に政治家の発言に対して使う場合、その言葉が本心から出たものなのか、それとも単なるパフォーマンスなのかを疑うニュアンスが含まれます。日本人が『立派な政治家』というニュアンスで安易に『virtuous』を使ってしまうと、意図せず皮肉めいた表現になってしまう可能性があります。より自然な英語では、『with a show of virtue』のように、表面的な美徳を強調する表現を使うことで、皮肉なニュアンスを明確にすることができます。また、文脈によっては『moral』や『ethical』といった言葉を使う方が適切です。
文化的背景
「virtuous(徳のある)」という言葉は、単に道徳的に正しいだけでなく、社会的に高く評価される資質を持つ人物像を指し示します。特に、中世から近世にかけてのヨーロッパ社会においては、個人の美徳は社会秩序を維持するための重要な要素と見なされ、その概念は深く文化に根ざしていました。
中世の騎士道物語やルネサンス期の宮廷文化において、「virtuous」は単なる道徳的な正しさ以上の意味を持っていました。騎士道においては、勇気、忠誠心、そして弱者への慈悲といった美徳が重視され、これらを体現する騎士は「virtuous knight(徳のある騎士)」として称えられました。また、宮廷においては、高貴な女性が「virtuous lady(徳のある女性)」として理想化され、その慎み深さ、知性、そして芸術的才能が賞賛されました。シェイクスピアの戯曲にも、美徳を体現する人物が登場し、その行動や言葉を通して、当時の社会が重視した価値観が描かれています。
時代が下り、啓蒙思想や市民革命を経て、個人の自由や権利が重視されるようになると、「virtuous」の意味合いにも変化が見られました。美徳は、社会的な地位や階級に関わらず、すべての人が努力によって獲得できるものと考えられるようになり、自己啓発や社会貢献といった概念と結びついていきました。19世紀のヴィクトリア朝時代には、「virtuous」な生き方が道徳的な模範とされ、社会全体に規範意識を高める役割を果たしました。しかし、同時に、美徳を過度に強調することは、個人の自由や創造性を抑圧する側面も持ち合わせており、社会的な批判の対象となることもありました。
現代社会においては、「virtuous」は、依然として道徳的な正しさや誠実さを意味する言葉として使われていますが、そのニュアンスはより多様化しています。ビジネスの世界では、企業の社会的責任(CSR)が重視されるようになり、「virtuous company(徳のある企業)」という概念が生まれました。これは、単に利益を追求するだけでなく、環境保護や社会貢献といった活動を通じて、社会全体に貢献する企業を指します。また、個人のレベルでは、自己犠牲や博愛といった行為が「virtuous」と見なされる一方で、自己中心的ではない、バランスの取れた生き方が重視される傾向にあります。このように、「virtuous」という言葉は、時代や社会の変化とともに、その意味合いや価値観が変化し続けているのです。
試験傾向
主に長文読解、語彙問題。
準1級以上で出題される可能性あり。
やや硬めの文章、倫理や道徳に関するテーマで登場しやすい。
「virtue(美徳)」という名詞とセットで覚える。類義語とのニュアンスの違い(moral, ethicalなど)を理解しておく。
Part 5(短文穴埋め問題)、Part 7(長文読解)。
TOEIC L&Rでは、直接的な語彙問題としての出題頻度は高くないが、長文読解で間接的に意味を理解する必要がある場合がある。
ビジネス倫理、CSR(企業の社会的責任)など、企業活動に関連する文脈で使われる可能性がある。
ビジネスシーンで「virtuous」がどのような意味合いで使われるかを把握しておく。類義語・反意語も合わせて学習すると理解が深まる。
リーディングセクション(長文読解)。
アカデミックな文章で頻出。
歴史、社会学、哲学など、抽象的な概念を扱う文章でよく見られる。
文脈から意味を推測する練習が重要。類義語(righteous, moral)との違いを理解しておく。 academic な文章でよく使われる。
長文読解、和訳問題、空所補充問題。
難関大学の入試で出題される可能性あり。
社会問題、倫理観、歴史的な出来事など、テーマは多岐にわたる。
文脈から正確に意味を把握する能力が求められる。類義語や反意語、関連語彙(virtue, viceなど)をまとめて学習すると効果的。