wrong
先頭の 'w' は発音しません。'r' は舌を巻く音で、日本語のラ行とは異なります。舌先をどこにもつけずに、奥に引くように発音します。母音 /ɔː/ は日本語の『オ』よりも口を大きく開け、喉の奥から出すイメージで長めに発音しましょう。最後の 'ŋ' は、舌の奥を上あごの奥につけて鼻から息を出す音です。日本語の『ん』とは少し異なります。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
間違った
事実や道徳、期待される基準から外れている状態。単に「正しくない」だけでなく、誤解や不正といったニュアンスを含む。
Oh no, you got the wrong answer on your math homework!
あら、算数の宿題、答えが間違っているわよ!
※ お子さんが宿題を持ってきて、親御さんが「あちゃー、ここ間違ってる!」と発見するような、日常のワンシーンです。「wrong answer」は「間違った答え」という非常によく使う表現です。誰かの間違いを指摘する際に、優しく伝わるように声に出して練習してみましょう。
We must have taken the wrong road, because the scenery looks unfamiliar.
景色が見慣れないから、きっと道を間違えたんだね。
※ 車で旅行中や散歩中に、ふと周りの景色を見て「あれ?ここじゃないかも」と道の間違いに気づく場面です。「the wrong road/way」は「間違った道」という意味で、道に迷った時によく使われます。焦りながらも状況を判断する気持ちを込めて読んでみましょう。
I feel something is seriously wrong with their sudden decision.
彼らの突然の決定には、何か深刻な問題がある気がする。
※ 職場の会議や友人との会話で、誰かの判断や状況に対して「おかしい」「納得できない」と感じる場面です。「something is wrong with ~」は「〜に何か問題がある、おかしい」と、漠然とした違和感や懸念を表現する際に非常に便利です。自分の直感を信じる気持ちで発音してみましょう。
悪く
不適切に、あるいは期待と異なる方法で何かを行う様子。道徳的な非難や不運な結果を伴うことが多い。
I calculated the total wrong, so I had to do it again.
合計の計算を間違えてしまったので、やり直さなければなりませんでした。
※ レジでの計算や宿題で、数字を「間違って」計算してしまい、やり直す様子が目に浮かびますね。副詞の「wrong」は、動詞「calculated(計算した)」を修飾し、「不正確に」「間違ったやり方で」という意味を表します。日常生活でよくある、ちょっとしたミスを表現するのにぴったりです。
He parked his car wrong, blocking the entrance.
彼は車を悪く(不適切に)停めてしまい、入り口をふさいでいました。
※ 駐車場で、誰かが車を「不適切に」停めて、他の人の邪魔になっている状況です。「wrong」が動詞「parked(駐車した)」を修飾し、「間違ったやり方で」「不適切に」という意味を表します。この一文で、迷惑な状況が鮮やかに伝わってきますね。
I heard her wrong, so I went to the wrong room.
彼女の言うことを聞き間違えて、違う部屋に行ってしまいました。
※ 指示や説明を「聞き間違えて」しまい、困った状況になってしまった場面です。「wrong」は動詞「heard(聞いた)」を修飾し、「誤って」「間違って」という意味になります。誰でも経験しそうな、ちょっとした聞き間違いのシチュエーションが想像できますね。
不正
道徳的に許されない行為や判断。権利や正義に反する行いを指す。抽象的な概念として使われることが多い。
He knew he did wrong when he took the cookie without asking.
彼は、尋ねずにクッキーを取ったとき、自分が悪いことをしたと分かっていました。
※ この例文は、子供が内緒で何かをしてしまい、心の中で「悪いことをしたな」と感じている場面を描いています。「do wrong」は「悪いことをする」「不正を働く」という行為を表す最も典型的なフレーズです。特に、道徳的な過ちや間違いを犯す際に使われます。
It's hard to tell right from wrong in this complicated situation.
この複雑な状況では、何が正しくて何が間違っているのかを判断するのが難しいです。
※ この例文は、複雑な問題に直面し、何が正しくて何が間違っているのか、判断に迷っている様子を表しています。「tell right from wrong」は「善悪の区別をする」「何が正しくて何が間違っているかを見分ける」という意味で、非常に一般的な表現です。倫理的な判断を伴う状況でよく使われます。
The police officer promised to punish those who did great wrong.
その警察官は、大きな不正を働いた者たちを罰すると約束しました。
※ この例文は、警察官や権力のある人が、社会に悪事を働いた人々を必ず罰すると強く宣言している場面をイメージさせます。「do wrong」は、個人的な過ちだけでなく、社会的な犯罪や大きな不正行為を指す場合にも使われます。ここでは「great wrong」として、その不正の規模が強調されています。名詞としての「wrong」は数えられない名詞として使われることが多く、通常「a wrong」とは言いません。
コロケーション
人のことを誤解する、人となりを間違って解釈する
※ 誰かの性格、意図、能力などを誤って判断することを指します。単に情報を間違えるのではなく、その人自身を深く理解し損ねるニュアンスがあります。例えば、『I got him wrong; I thought he was arrogant, but he's actually very shy.(彼を誤解していた。傲慢だと思っていたけど、実はとても内気な人だ)』のように使います。日常会話で非常によく使われ、相手に謝罪する場面でも使えます。
貧しい地域、または社会的に恵まれない地域
※ もともとは鉄道線路によって隔てられた、富裕層と貧困層の住む地域を指す表現です。比喩的に、経済的に苦しい境遇や、教育水準の低い地域、犯罪が多い地域などを指すことがあります。アメリカ英語でよく用いられ、社会階層や経済格差について語る際に使われます。映画や文学作品でも頻繁に見られる表現です。
物事を誤解する、勘違いする
※ 棒の正しい持ち方を知らずに、間違った側を持ってしまうイメージから生まれた表現です。状況や情報を正しく理解できず、見当違いな解釈をしてしまうことを意味します。イギリス英語でよく用いられ、日常会話やニュース記事など、幅広い場面で使用されます。例えば、『He got the wrong end of the stick and thought I was accusing him.(彼は勘違いして、私が彼を責めていると思った)』のように使います。
間違っている、非がある
※ 過ちを犯した状態、または道徳的に間違っている状態を指します。『誰が悪いのか』を明確にする際に用いられ、しばしば議論や紛争の文脈で使用されます。例えば、『The judge ruled that the company was in the wrong.(裁判官は、その会社に非があると判決を下した)』のように使われます。法律、倫理、道徳など、様々な状況で使用可能です。
不正行為、悪事
※ 法律や道徳に反する行為全般を指します。犯罪行為、倫理違反、不正行為など、様々な種類の不正な行動を含みます。フォーマルな場面やニュース記事でよく用いられ、深刻な不正行為を指すことが多いです。例えば、『The investigation uncovered widespread wrongdoing within the company.(調査により、会社内で広範囲にわたる不正行為が明らかになった)』のように使われます。
人に不当な扱いをする、人を傷つける
※ 誰かに対して不公平な行動をとったり、その人を傷つけたりすることを意味します。道徳的な観点から見て、間違った行いをするというニュアンスが含まれます。例えば、『He felt he had done wrong by his family by working such long hours.(彼は長時間労働をすることで家族を傷つけてしまったと感じた)』のように使われます。罪悪感や後悔の念を伴う場合が多いです。
(見た目が)おかしい、不自然に見える
※ 外見や配置などが適切でない、または期待される状態と異なることを指します。美観や調和が損なわれているというニュアンスが含まれます。例えば、『That picture looks wrong; it's hanging crooked.(その絵はおかしい。傾いて掛かっている)』のように使われます。物理的なものだけでなく、状況や雰囲気に対しても使用可能です。
使用シーン
学術論文やディスカッションで頻繁に使用される。研究結果の誤りや、仮説の誤りを指摘する際に使われる。「The experiment yielded wrong results due to a flawed methodology.(その実験は、欠陥のある方法論のために誤った結果を生み出した。)」のように、客観的な誤りを指摘する文脈で用いられる。
ビジネスシーンでは、報告書や会議で誤った情報や判断を指摘する際に使用される。「The sales forecast was wrong, leading to overstocking.(売上予測が間違っていたため、過剰在庫につながった。)」のように、具体的なビジネス上の問題点を指摘する際に使われる。また、倫理的な不正行為を指す場合にも用いられる。
日常会話で広く使用される。道に迷った時や、相手の言っていることが間違っていると指摘する時など、様々な場面で使われる。「You're wrong about the time; the meeting starts at 2 PM.(時間について間違っています。会議は午後2時に始まります。)」のように、カジュアルな状況で意見の相違を伝える際に用いられる。
関連語
類義語
事実や情報が正しくない、誤っているという意味。客観的な間違いを指摘する際に用いられ、試験の解答、計算結果、データなどに適用されることが多い。ビジネスや学術的な文脈で頻繁に使用される。 【ニュアンスの違い】"wrong"よりもフォーマルで、感情的なニュアンスを含まない。単に事実として誤っていることを述べる。 【混同しやすい点】"wrong"は道徳的な意味合いを含む場合があるが、"incorrect"は通常、道徳的な判断とは無関係である。"wrong"は人の行動や判断にも使えるが、"incorrect"は主に情報やデータに対して使われる。
真実ではない、事実と異なるという意味。偽りの情報、偽造品、嘘などに用いられる。報道、法律、科学などの分野でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"wrong"よりも強い否定の意味合いを持ち、意図的な欺瞞や虚偽を示唆することがある。また、感情的なニュアンスは薄い。 【混同しやすい点】"false"は名詞の前に置いて形容詞的に使うことが多い(例: false information)。"wrong"は名詞としても形容詞としても使える。また、"false"は感情的な意味合いが少ない。
- mistaken
誤解している、勘違いしているという意味。人の認識や判断が誤っていることを指す。日常会話でよく使われ、比較的穏やかな表現。 【ニュアンスの違い】"wrong"よりも主観的なニュアンスが強く、個人の認識の誤りを指摘する際に用いられる。相手を非難する意図は薄い。 【混同しやすい点】"mistaken"は通常、be動詞と共に使われる(例: I was mistaken)。"wrong"は単独で使われることが多い。また、"mistaken"は過去分詞形であり、状態を表す。
正確ではない、不正確という意味。情報やデータが厳密に正確でないことを指す。科学、統計、報道などの分野でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"wrong"よりも客観的で、感情的なニュアンスを含まない。正確さの欠如を指摘する際に用いられる。 【混同しやすい点】"inaccurate"は程度問題であり、完全に間違っているわけではないニュアンスを含む。"wrong"は完全に間違っていることを意味する場合がある。また、"inaccurate"は主に情報やデータに対して使われる。
適切でない、ふさわしくないという意味。行動、服装、言葉遣いなどが社会的な規範やルールに違反していることを指す。フォーマルな場面や公式な文書でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"wrong"よりも道徳的な非難の度合いが低い。単に社会的なルールやマナーに違反していることを指摘する。 【混同しやすい点】"wrong"はより広範な意味を持ち、道徳的な不正や犯罪行為も含むが、"improper"は主に社会的な規範に違反していることを指す。"improper"はフォーマルな文脈で使われることが多い。
- amiss
(主に叙述用法で)何かおかしい、具合が悪いという意味。事態が正常でない、期待通りでない状態を指す。やや古風な表現で、文学作品や改まった会話で使われることがある。 【ニュアンスの違い】"wrong"よりも漠然とした違和感や不調和を表す。何かがおかしいと感じるが、具体的に何が間違っているのか特定できない場合に用いられる。 【混同しやすい点】"amiss"は通常、"something is amiss"のように使われ、名詞の前に置かれることは少ない。"wrong"は名詞の前に置いて形容詞的に使うことができる。また、"amiss"は日常会話ではあまり使われない。
派生語
『間違って』、『不当に』という意味の副詞。『wrong』に副詞語尾『-ly』が付加。行為や判断が誤っている状況を説明する際に用いられ、日常会話からビジネス文書まで幅広く使われます。倫理的な不正を意味することも。
- wrongdoing
『不正行為』、『犯罪』を意味する名詞。『wrong』と『doing(行為)』の複合語で、不正な行為そのものを指します。法律、倫理、ニュース報道などで用いられ、重大な不正や犯罪行為を指すことが多いです。
- wrongful
『不当な』、『不正な』という意味の形容詞。『wrong』に形容詞語尾『-ful』が付加。法律用語としても使用され、権利侵害や不法行為によって生じた損害などを修飾します。日常会話よりも、ややフォーマルな場面や法律関連の文書で使われる傾向があります。
反意語
『正しい』、『正当な』を意味し、『wrong』の最も直接的な反意語です。道徳的、倫理的な正しさ、事実の正確さ、権利の正当性など、様々な文脈で『wrong』と対比されます。日常会話から学術論文まで、あらゆる場面で使用頻度が高いです。
『正確な』、『正しい』という意味で、『wrong』が『誤った』意味で使用される場合の反意語として適切です。特に事実や情報が誤っている状態を正す際に用いられます。例えば、『wrong answer(誤った答え)』に対して『correct answer(正しい答え)』のように使われます。ビジネスや教育の場面で頻繁に使用されます。
『公正な』、『正当な』という意味で、『wrong』が不正や不当を意味する場合の反意語となります。道徳的、倫理的な観点から判断される正しさを表し、法律や社会正義に関する議論でよく用いられます。『wrong』が不正な行為や判断を指すのに対し、『just』は公平で正当な状態を指します。
語源
"wrong"の語源は古ノルド語の"wrangr"に遡り、「ねじれた」「曲がった」という意味を持っていました。これは物理的に曲がっている状態だけでなく、正しくない、道徳的に間違っているという概念にもつながります。古英語の"wrang"も同様の意味で使用され、現代英語へと引き継がれています。日本語の「道理に外れる」や「筋が通らない」という表現が近いかもしれません。つまり、本来あるべき姿から逸脱している状態を指し、そこから「間違った」「不正な」という意味へと発展しました。この「ねじれ」のイメージは、物事が本来あるべき正しい状態から逸脱していることを視覚的に捉えやすく、記憶の助けになるでしょう。
暗記法
「wrong」は単なる誤りを超え、西洋では罪や倫理観と深く結びつきます。ダンテの『神曲』では罪深い行いとして、シェイクスピア劇では道徳的葛藤の引き金として登場。現代では不正行為を告発し、社会の信頼を問う言葉です。公民権運動では不正を正すスローガンとなり、社会変革への希望を象徴します。単なる否定ではなく、倫理、道徳、社会正義と結びついた、重みのある言葉なのです。
混同しやすい単語
『wrong』の副詞形ですが、語尾に '-ly' が付くだけなので、スペルミスしやすい。意味は『間違って』『不当に』。品詞が異なり、文法的な役割も違うため、注意が必要。副詞は動詞や形容詞などを修飾する。
発音が似ており、特に語尾の子音 [ŋ] (鼻音)が日本語の『ン』に近いため、区別が難しい。『wrong』は [rɔːŋ]、『ring』は [rɪŋ]。意味は『指輪』または『(ベルなどが)鳴る』。文脈で判断する必要がある。
『wring』(絞る)の過去形・過去分詞形。発音が似ている上、スペルも『wr-』で始まる点が共通しているため、混同しやすい。『wrong』は形容詞・名詞、『wrung』は動詞の活用形。語源的には『wring』はねじって力を加えるイメージ。
母音の音が似ており、どちらも日本語の『オ』に近い音を含む。スペルも 'rong' と 'long' で共通部分が多い。意味は『長い』であり、形容詞として使われることがほとんど。発音記号で示すと、wrongは[rɔːŋ]、longは[lɔːŋ]となり、母音の長さが異なる。
『wr-』というスペリングが共通しているため、視覚的に混同しやすい。発音は全く異なり、『write』は [raɪt]。意味は『書く』であり、動詞である。silent letterの 'w' がある単語は他にも 'wrist' などがあり、発音しない 'w' に注意。
『hope』などのように、母音字 + 子音字 + e で終わる単語と混同して、『wrope』とスペルミスしやすい。『wrong』は不規則なスペルであるため、意識して覚える必要がある。また、ropeは「ロープ」という意味で、全く異なる。
誤用例
日本語の『言わない』を直訳して"don't say it"としてしまう例です。この場合、単に発言しないというより、胸に秘めておくニュアンスが適切です。英語では、意見や感情を内に留める場合は "keep it to myself" が自然です。日本人は相手の意見を尊重し、直接的な対立を避ける傾向がありますが、英語では自分の意見を明確に伝えることが重要視されます。しかし、ここではあえて言わないという選択をしているので、控えめな態度の表明として、より婉曲的な表現が適しています。
『wrong』は形容詞として『間違った』という意味で広く使われますが、名詞として『不正』『悪事』を意味する場合は、やや口語的でくだけた印象を与えます。よりフォーマルな場面、特に法律や報道においては、"wrongful acts"(不正行為)のように形容詞を伴った表現が好まれます。日本人が『悪いことをした』を単純に『wrong things』と表現しがちなのは、日本語の語彙の直接的な対応を求めてしまうためです。しかし、英語では文脈や場面に応じて適切な語彙を選択することが重要です。
『wrong』は道徳的な意味での『悪い』や『間違っている』という意味合いが強く、この文脈では、高価な贈り物を受け取ることに良心の呵責を感じているような印象を与えます。単に『何かおかしい』『落ち着かない』というニュアンスを伝えたい場合は、"uneasy" や "uncomfortable" がより適切です。日本人は遠慮や謙遜の文化から、高価な贈り物に対して申し訳ない気持ちを抱きがちですが、英語では感謝の気持ちを伝えることが重要です。しかし、ここではその裏にある複雑な感情を表現する必要があるので、より繊細な語彙を選ぶ必要があります。
文化的背景
「wrong」は単に「正しくない」という事実を指すだけでなく、道徳的な過ちや不正、社会規範からの逸脱といった意味合いを強く持ち、西洋文化においては罪や倫理観と深く結びついてきました。この単語は、個人の行動が社会全体の秩序や正義に反する場合に用いられ、単なる誤り以上の重みを持つことが多いのです。
中世のキリスト教的世界観では、「wrong」は神の法に背く行為、すなわち罪と密接に結びついていました。たとえば、ダンテの『神曲』では、罪を犯した者は地獄で永遠の苦しみを受けるとされ、その罪はまさに「wrong」な行いの積み重ねです。また、シェイクスピアの作品群においても、「wrong」は道徳的な葛藤や悲劇の引き金として頻繁に登場します。『ハムレット』におけるクローディアスの王位簒奪や、『マクベス』における王殺しは、いずれも「wrong」がもたらす破滅的な結果を描いています。これらの文学作品を通じて、「wrong」は単なる間違いではなく、魂の堕落や社会の崩壊を招く深刻な問題として認識されてきました。
現代社会においても、「wrong」は法的な不正や倫理的な過ちを指す言葉として、その重要性を保っています。報道記事や政治的な議論において、「wrongdoing」という言葉は、企業の不正行為や政治家の汚職など、社会の信頼を揺るがす重大な不正を告発する際に用いられます。また、日常会話においても、「That's wrong!(それは間違っている!)」という表現は、単なる事実誤認を指摘するだけでなく、相手の行動や意見に対する強い非難や反対の意思を示す際に用いられます。このように、「wrong」は単なる客観的な誤りではなく、主観的な価値判断や倫理観に基づく強い感情を伴う言葉として、私たちの社会生活に深く根ざしています。
さらに、「wrong」という言葉は、弱者に対する不正や差別を糾弾する際にも重要な役割を果たします。公民権運動やフェミニズム運動など、歴史的な社会運動においては、「wrong」は抑圧された人々の権利を主張し、社会正義を実現するためのスローガンとして用いられてきました。「Right the wrongs(不正を正す)」という表現は、過去の過ちを認め、未来に向けてより公正な社会を築くための決意を示すものです。このように、「wrong」は単なる否定的な言葉ではなく、社会変革への希望と行動を促す力強いメッセージとして、私たちの歴史と文化の中で生き続けています。
試験傾向
- 出題形式: 語彙問題、長文読解、リスニング
- 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。特に1級の長文読解で高度な語彙知識が問われる。
- 文脈・例題の特徴: 幅広いトピックで登場。フォーマルな文章からカジュアルな会話まで。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞、形容詞、副詞など多様な品詞で使われるため、文脈に応じた意味を理解する必要がある。類義語 (incorrect, inaccurate) とのニュアンスの違いを意識。
- 出題形式: Part 5 (短文穴埋め)、Part 6 (長文穴埋め)、Part 7 (読解問題)
- 頻度と級・パート: 頻出単語。特にPart 5, 6で語彙知識が問われる。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンが中心。契約書、メール、報告書など。
- 学習者への注意点・アドバイス: "wrong number", "wrong doing" など複合語やイディオムで出題されることも多い。文脈から意味を推測する練習が重要。
- 出題形式: リーディング、リスニング
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で頻出。
- 文脈・例題の特徴: 科学、歴史、社会科学など幅広い分野で登場。客観的な事実に基づいた記述が多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な概念を説明する際に使われることが多い。文脈から正確な意味を把握する必要がある。類義語 (erroneous, flawed) との使い分けも重要。
- 出題形式: 長文読解、語彙問題
- 頻度と級・パート: 難関大学ほど頻出。幅広いレベルの大学で出題される。
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語文など多様なジャンルで登場。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する能力が重要。比喩的な意味で使われることもあるため、注意が必要。派生語 (wrongly, wrongfulness) も覚えておくと役立つ。