grab
母音 /æ/ は日本語の「ア」と「エ」の中間のような音で、口を横に広げて発音します。日本語の「ラ」行は巻き舌になりがちですが、英語の /r/ は舌を丸め、口の中で宙に浮かせた状態で発音します。最後の /b/ は唇を閉じてから破裂させる音で、日本語の「ブ」よりも短く、力を込めて発音するとよりネイティブに近い響きになります。
つかむ
何かを素早く、または乱暴に握る動作。物理的なものだけでなく、機会やチャンスを「つかむ」といった抽象的な意味にも使われる。例文:Grab a pen.(ペンを掴んで。)Grab the opportunity.(機会を掴め。)
She quickly grabbed her umbrella before going out.
彼女は出かける前に、さっと傘をつかんだ。
※ 突然雨が降り始めたり、急いでいる時に、玄関で傘を素早く手に取る様子が目に浮かびますね。「grab」は、このように「素早く、さっと何かをつかむ」という状況でよく使われます。「quickly」は「素早く」という意味で、grabの動作を強調しています。
He grabbed my arm to keep me from falling.
彼は私が転ばないように、私の腕をつかんだ。
※ 誰かがつまずいて転びそうになった時、とっさに腕を掴んで支える、そんな助け合いの場面です。「grab」は、このように「誰かの体の一部をしっかりつかんで引き留める、または支える」場合にも使われます。「to keep me from falling」は「私が転ぶのを防ぐために」という意味です。「keep A from B」で「AがBするのを防ぐ」という形も一緒に覚えておくと便利です。
The baby tried to grab the colorful toy.
赤ちゃんはカラフルなおもちゃをつかもうとした。
※ 目の前にある、色鮮やかなおもちゃに手を伸ばし、小さな手で一生懸命つかもうとする赤ちゃんの愛らしい姿が目に浮かびますね。「grab」は、このように「何かを手に入れようと、手を伸ばしてつかむ」という、意図的な動作にも使われます。「tried to grab」で「つかもうとした」という努力を表しています。「try to 動詞」で「~しようと試みる」という意味になります。
急いで食べる
時間がない中で、手軽に食事を済ませる様子。例文:I'll grab a quick lunch.(急いで昼食を済ませるよ。)
I usually grab a quick breakfast on my way to work.
私はたいてい、仕事に行く途中でさっと朝食をとります。
※ これは、忙しい朝、家を出る前にパンやおにぎりなどを急いで食べる様子を描写しています。「grab a quick breakfast」は、時間がない中で手早く朝食を済ませる、という日常的な行動を伝える非常によく使われる表現です。
Let's grab a bite to eat before the meeting starts.
会議が始まる前に、さっと何か食べましょう。
※ 次の予定が迫っていて、ゆっくり食事をする時間はないけれど、少しお腹を満たしておきたい、という状況です。「grab a bite (to eat)」は、「ちょっと何か食べる」「軽く食事を済ませる」という意味で、特に時間が限られている時に使われる便利なフレーズです。
He just grabbed a sandwich because he was in a hurry.
彼は急いでいたので、サンドイッチをさっと食べました。
※ パーティーやイベントなどで、ゆっくり座って食べる時間がない人が、テーブルに並んだ手軽な食べ物(サンドイッチなど)を手に取り、急いで食べている情景です。「because he was in a hurry(急いでいたので)」という理由が、「grab」を使った急いで食べる行動の背景をより鮮明にしています。
略奪
何かを力ずくで奪い取る行為。動詞grabから派生し、名詞として使われる場合は、暴力的なニュアンスを含むことが多い。例文:The grab for power.(権力略奪。)
The child made a quick grab for the toy.
その子供は、すぐにおもちゃをひっつかみました。
※ この文は、子供がおもちゃを素早く、少し強引に手に入れようとする様子を描いています。名詞の「grab」は、何かを急いで、あるいは力ずくで「つかみ取る行為」そのものを指します。「a quick grab for ~」は、「〜を素早くひっつかむこと」という日常的な行動によく使われる表現です。
The dictator's grab for power shocked the world.
その独裁者の権力掌握は世界に衝撃を与えました。
※ ここでは「grab」がより大きな、比喩的な「略奪」の意味で使われています。「a grab for power」は、「権力を力ずくで奪い取ること」や「権力掌握」を意味する非常に典型的なフレーズです。ニュース記事や歴史の記述で、力による政権奪取の場面を説明する際によく見られます。
The thief made a sudden grab for her purse.
泥棒は彼女のハンドバッグを突然ひったくりました。
※ この文は、泥棒が突然、相手のものを力ずくで奪い取る緊迫した場面を描写しています。「make a grab for ~」は、「〜をひったくる」「〜に飛びついて奪い取る」という具体的な行動を表す際に使われます。被害者の驚きや恐怖が伝わるような、鮮やかな情景が目に浮かびますね。
コロケーション
手軽に食事を済ませる、軽食を取る
※ 「bite」は一口サイズの食べ物を指し、「grab」と組み合わせることで、時間がない時などに素早く食事を済ませるニュアンスが出ます。カフェでサンドイッチをかじる、コンビニでおにぎりを買う、といった場面で使われ、口語的な表現です。類似表現として "have a quick bite" があります。
人の注意を引く、関心を惹きつける
※ 誰かの意識や興味を瞬間的に捕らえるイメージです。広告、プレゼンテーション、パフォーマンスなど、聴衆や視聴者の注意を惹きつけたい状況で用いられます。例えば、"The speaker grabbed the audience's attention with a powerful opening statement."(講演者は力強い冒頭の言葉で聴衆の注意を惹きつけた)のように使います。類似表現として "catch someone's eye" があります。
しっかりと掴む、握る
※ "hold of" を伴うことで、「grab」に「しっかりと」というニュアンスが加わります。物理的に何かを掴む場合にも、比喩的にチャンスや機会を掴む場合にも使えます。例えば、"Grab hold of the rope!"(ロープをしっかり掴め!)や、"Grab hold of this opportunity!"(この機会を掴め!)のように使います。緊急時や重要な局面でよく用いられます。
タクシーを拾う
※ 道端で空車のタクシーを見つけて乗る行為を指します。都市部でよく使われる口語的な表現で、"hail a taxi" よりもカジュアルな印象を与えます。急いでいる時や、特定の場所へ移動する際にタクシーを利用する状況で使われます。例えば、"Let's grab a cab to the airport."(空港までタクシーを拾って行こう)のように使います。
少しでも睡眠を取る、仮眠する
※ 忙しいスケジュールの中で、短い時間でも睡眠を確保することを意味します。疲労回復や集中力維持のために、休憩時間や移動時間などを利用して睡眠を取る状況で使われます。例えば、"I'm going to grab some sleep before the meeting."(会議の前に少し寝るつもりだ)のように使います。類似表現として "catch some z's" があります。
誰でも手に入れることができる、早い者勝ち
※ 元々は、競争やオークションなどで、誰でも獲得できる状態を表す表現です。比喩的に、仕事のポジション、チケット、賞品など、競争によって手に入るものを指します。例えば、"The last remaining tickets are up for grabs."(残りのチケットは早い者勝ちです)のように使います。ビジネスシーンや日常会話で幅広く使われます。
(ニュースなどで)大きく取り上げられる、注目を集める
※ 文字通りには「見出しを掴む」という意味ですが、ニュース記事やメディアで大きく報道され、世間の注目を集めることを指します。スキャンダル、重大な発表、歴史的な出来事など、人々の関心を強く引くニュースが "grab headlines" します。例えば、"The company's new product launch grabbed headlines worldwide."(その会社の新製品発表は世界中で大きく報道された)のように使われます。
使用シーン
学術論文や研究発表で、データや情報を「把握する」「理解する」という意味合いで使われます。例えば、経済学の論文で「データから特定のトレンドをgrab(把握)できる」のように使われ、研究者がエビデンスを基に結論を導き出す際に用いられることがあります。
ビジネスシーンでは、機会や市場を「獲得する」「つかむ」という意味で使われます。例えば、プレゼンテーションで「新しい市場をgrab(獲得)するために、革新的な戦略が必要です」のように、目標達成に向けた積極的な姿勢を示す際に用いられます。また、プロジェクトの進捗会議で、タスクを「引き受ける」という意味で「このタスクをgrab(引き受ける)します」のように使うこともあります。
日常会話では、「grab a bite(軽食を取る)」や「grab a taxi(タクシーを拾う)」のように、手軽に何かを「取る」「手に入れる」という意味で頻繁に使われます。友達との待ち合わせで「ちょっとコーヒーをgrab(買って)してから行くね」のように、カジュアルな状況でよく使われます。
関連語
類義語
『掴む』の中でも、機会や権利、権力などを『手に入れる』という意味合いが強い。フォーマルな場面や、抽象的な概念に対して使われることが多い。歴史的な出来事や法律、政治に関する文脈でよく見られる。 【ニュアンスの違い】"grab"よりも強い意志や決意が感じられ、対象を力ずくで手に入れるニュアンスがある。また、緊急性や重要性が高い状況で使われることが多い。 【混同しやすい点】"grab"が物理的な対象を素早く掴むことを指すのに対し、"seize"は抽象的な概念や状況を積極的に獲得することを意味する点。また、"seize"は法律用語としても使われる(例:麻薬の押収)。
『ひったくる』『奪い取る』という意味合いが強く、不正な方法や暴力的な手段で何かを急に奪う場面で使われる。犯罪や事故に関するニュース記事などでよく見られる。 【ニュアンスの違い】"grab"よりもずっと乱暴で、違法性や倫理的な問題が伴うニュアンスがある。対象に対する所有者の意に反して奪うという点が強調される。 【混同しやすい点】"grab"が単に掴む行為を指すのに対し、"snatch"は盗む、奪うという行為に焦点を当てている点。また、"snatch"はオリンピックの重量挙げの種目名としても使われる。
『しっかりと握る』という意味で、恐怖や不安、痛みなどから何かを強く握りしめる場面で使われる。感情的な状況や、身体的な苦痛を伴う状況でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"grab"が瞬間的な動作であるのに対し、"clutch"は持続的な動作を表すことが多い。また、感情的な要素が強く、無意識的な行動であることが多い。 【混同しやすい点】"grab"が意図的に掴む行為であるのに対し、"clutch"は感情や状況に突き動かされて無意識的に握りしめる行為であるという点。また、"clutch"は自動車のクラッチペダルを指すこともある。
『理解する』という意味で、抽象的な概念やアイデア、状況などを理解する場面で使われる。学術的な文章や、複雑な事柄を説明する際に適している。 【ニュアンスの違い】"grab"が物理的な対象を掴むのに対し、"grasp"は知的な理解を表す。比喩的な意味合いが強く、抽象的な概念を掴むイメージ。 【混同しやすい点】"grab"が具体的な行動を指すのに対し、"grasp"は抽象的な概念を理解するという、比喩的な意味で使用される点。また、物理的に『掴む』という意味もあるが、その場合は"grab"の方が一般的。
- nab
『逮捕する』『捕まえる』という意味のスラングで、主に警察が犯罪者を捕まえる場面で使われる。インフォーマルな会話や、犯罪に関するニュース記事などで見られる。 【ニュアンスの違い】"grab"よりもカジュアルで、口語的な表現。軽いニュアンスで、ユーモラスな状況で使われることもある。 【混同しやすい点】"grab"が単に掴む行為を指すのに対し、"nab"は逮捕するという、より具体的な状況で使用される点。また、"nab"はスラングであるため、フォーマルな場面での使用は避けるべき。
『摘む』という意味で、花や果実、弦楽器の弦などを指で摘む場面で使われる。園芸や音楽に関する文脈でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"grab"が対象全体を掴むのに対し、"pluck"は一部を摘み取るというニュアンス。繊細な動作や、注意深く対象を扱う様子を表す。 【混同しやすい点】"grab"が力を入れて掴む行為であるのに対し、"pluck"は指先で軽く摘む行為であるという点。また、"pluck"は勇気や決断力を意味することもある(例:He showed a lot of pluck.)。
派生語
- grabber
『つかむ人』または『つかむ道具』を意味する名詞。『grab』に、動作主や道具を表す接尾辞『-er』が付加された。日常会話では、注意を引く見出しや広告などを指すこともある。例えば、ニュース記事の冒頭で読者の関心を引くための導入部分を "attention grabber" と呼ぶ。
- grabbing
『つかむこと』を表す動名詞、または『人の注意を引くような』という意味の形容詞。『grab』に進行形や形容詞を作る接尾辞『-ing』が付加された。形容詞としては、しばしば魅力的なもの、心を奪われるようなものを指す際に用いられる。例:"grabbing headline"(目を引く見出し)。
- grabby
『欲張りな』、『むやみにつかみたがる』という意味の形容詞。『grab』に性質を表す接尾辞『-y』が付加された。この語は、物理的に何かをつかむだけでなく、比喩的に利益や権力を得ようとする様子を表すことが多い。やや否定的なニュアンスで使用されることが多い。
反意語
『解放する』、『手放す』という意味の動詞。『grab』が何かを掴んで保持するのに対し、『release』は掴んでいたものを手放し、自由にするという反対の動作を表す。日常会話からビジネス、法的な文脈まで幅広く使用される。例:"release the prisoner"(囚人を解放する)。
『落とす』という意味の動詞。『grab』が何かを掴む動作であるのに対し、『drop』は掴んでいたものを意図的または不意に手放す動作を指す。比喩的には、責任や計画などを『放棄する』という意味でも使われる。例:"drop the charges"(告訴を取り下げる)。
『提供する』という意味の動詞。『grab』が一方的に何かを奪い取るようなニュアンスを含むのに対し、『offer』は相手に何かを与える、差し出すという正反対の行為を表す。ビジネスや日常会話で頻繁に使われ、相手への配慮や好意を示す際に用いられる。例:"offer assistance"(援助を提供する)。
語源
「grab」の語源は、ゲルマン祖語の *grabōn(つかむ、握る)に遡ると考えられています。これは、古英語の「grabian」(つかむ、捕らえる)や古ノルド語の「grabba」(つかむ、奪う)といった言葉の祖先にあたります。これらの言葉が示すように、「grab」は元々、何かを力強く、あるいは素早くつかむという行為を表していました。時間とともに、物理的な「つかむ」から、比喩的な意味での「獲得する」「手に入れる」といった意味合いも持つようになりました。また、「grab a bite(急いで食べる)」のように、急いで何かを行うニュアンスも派生しています。日本語の「ガッと掴む」という擬態語にも近いイメージを持つと、覚えやすいかもしれません。
暗記法
「grab」は単に掴むだけでなく、アメリカの競争社会で機会や権力を「横取りする」ニュアンスを帯びます。19世紀末の金ぴか時代、一部の企業家や政治家が強引な手法で富を築き、その倫理観の欠如を象徴しました。ウォール街の映画では、野心家が悪辣な手段で成功を「grab」。現代でもビジネスや政治で頻繁に使われ、市場や権力を強奪するイメージを喚起し、成功のためには手段を選ばない功利主義的な価値観を反映しています。
混同しやすい単語
発音が似ており、特に語尾の 'p' と 'b' の区別が難しい日本人学習者にとって混同しやすい。意味は『ぶどう』であり、名詞である点も共通するが、指すものが全く異なるため文脈で判断する必要がある。英語の 'b' は日本語の『バ行』よりも唇をしっかり閉じる音であることを意識すると区別しやすい。
スペルが似ており、'a' と 'i' の違いだけであるため、読み間違いやスペルミスが起こりやすい。意味は『握る』『把握』であり、動詞または名詞として使われる。'grab' が瞬間的な動作を表すのに対し、'grip' は持続的な状態を表すことが多い。語源的には、'grip' はゲルマン祖語に由来し、しっかりとつかむイメージを持つ。
スペルの一部が共通しており、特に最初の 'cr' の部分が視覚的に似ているため、混同しやすい。意味は『カニ』であり、動物を指す名詞である。発音も母音('a'と'a')以外は同じだが、crabの/æ/はgrabの/æ/よりも口を大きく開けて発音する点に注意すると区別しやすい。
'grab'の過去形/過去分詞 'grabbed' と発音が似ているため、会話の中で聞き間違えやすい。'grad'は'graduate'(卒業する)の略で、名詞として『卒業生』という意味がある。'grab' は動詞であるため、文法的な役割が異なる。アメリカ英語では、'grad' の 'a' の音は 'grab' と同じ /æ/ で発音されることが多い。
スペルの一部('gra')が共通しており、視覚的に類似しているため、読み間違いが起こりやすい。意味は『墓』または『深刻な』であり、名詞または形容詞として使われる。発音も 'grab' とは異なるため、注意が必要。語源的には、'grave' は古英語に由来し、掘られた穴を意味する。
スペルが似ており、'a' と 'u' の違いだけであるため、スペルミスや読み間違いが起こりやすい。意味は『幼虫』『(俗語)食べ物』であり、名詞として使われることが多い。'grab' が何かを掴む動作を表すのに対し、'grub' は虫や食べ物を指すため、意味の関連性は低い。イギリス英語では、'grub' は日常的な食事を指す言葉として使われることがある。
誤用例
『grab』は『掴む』という物理的な意味合いが強く、タクシーを捕まえる(hail)という行為には不適切です。日本人が『grab』を『手に入れる』という意味で捉えがちですが、タクシーのようなサービスや機会を得る場合は『hail』がより自然です。日本語の『タクシーを捕まえる』という表現に引きずられ、『grab』を選んでしまう典型的な例です。英語では、タクシーを『掴む』のではなく、『呼び止める』というニュアンスが重要になります。
『grab』はカジュアルな表現で、特にビジネスシーンではややラフに聞こえる可能性があります。『get』の方がより一般的で無難な選択です。日本人は『grab』を『手軽に手に入れる』という意味で捉えがちですが、ビジネスの場では相手に与える印象も考慮する必要があります。英語では、状況に応じた適切なレジスター(言葉遣いの丁寧さ)を選択することが重要であり、『grab』は親しい間柄での使用が推奨されます。
『grab attention』という表現自体は存在するものの、『grab』は強制的なニュアンスを含むため、意図的に注意を引こうとする場面では不自然に聞こえることがあります。『attract』の方が、より自然で意図的なニュアンスを表現できます。日本人は『grab』を『掴む』という直接的な意味から『注意を引く』と解釈しがちですが、英語では『注意を引く』という行為は、相手を惹きつける(attract)というニュアンスで捉える方が一般的です。特に、服装などで注意を引こうとする場合は、『attract』が適切です。
文化的背景
「grab」は、物理的な意味での「掴む」から派生し、機会や権力を「手に入れる」「横取りする」といった、やや強引で貪欲なニュアンスを伴う言葉として、アメリカ文化、特にビジネスや政治の世界で頻繁に使われます。この単語の背後には、競争社会における成功への渇望と、それを達成するためには手段を選ばないという、ある種の功利主義的な価値観が潜んでいます。
19世紀後半から20世紀初頭にかけてのアメリカは、急速な工業化と資本主義の発展を経験し、一部の企業家や政治家が富と権力を独占しました。彼らはしばしば、「grab」という言葉が持つような、強引な手法で機会を掴み、競争相手を出し抜きました。この時代の「gilded age(金ぴか時代)」という言葉は、表面的には繁栄を謳歌しながらも、その裏には格差や不正が蔓延していた状況を象徴しています。「grab」という言葉は、このような時代背景の中で、成功のためには手段を選ばないという、ある種の倫理観の欠如を表現する言葉として定着していきました。
文学作品や映画においても、「grab」はしばしば、野心家や権力者が強引に何かを奪い取る場面で用いられます。例えば、ウォール街を舞台にした映画では、主人公が巨万の富を築き上げるために、あらゆる手段を講じます。彼らはチャンスを「grab」し、競争相手を蹴落とし、時には違法な行為にも手を染めます。このような描写は、「grab」という言葉が持つ、強引さや貪欲さといったイメージを強調し、大衆に広める役割を果たしました。
現代においても、「grab」はビジネスシーンや政治の世界で頻繁に使われます。例えば、「market share(市場占有率)をgrabする」という表現は、競争相手から顧客を奪い、市場での優位性を確立することを意味します。また、政治家が「power(権力)をgrabする」という表現は、選挙やクーデターなどを通じて、強引に政権を奪取することを意味します。このように、「grab」は、競争社会における成功への渇望と、それを達成するためには手段を選ばないという、ある種の功利主義的な価値観を象徴する言葉として、現代社会においても重要な役割を果たしています。
試験傾向
1. 出題形式: 語彙問題、長文読解、リスニング。
2. 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。特に1級の語彙問題や長文読解で問われる可能性が高い。2級でも長文読解で稀に出題。
3. 文脈・例題の特徴: 幅広い文脈で登場するが、比較的カジュアルな会話やニュース記事などで見られることが多い。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 「つかむ」「ひっつかむ」といった基本的な意味に加え、「(注意などを)引く」「(機会を)得る」といった意味も重要。類義語の grasp, seize, clutch とのニュアンスの違いを理解することが重要。
1. 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)。
2. 頻度と級・パート: Part 5, 7 で比較的頻繁に出題される。TOEIC L&R TEST。
3. 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンにおける書類、メール、広告などで使われることが多い。「(市場のシェアなどを)獲得する」「(関心を)集める」といった意味合いで登場する。
4. 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーン特有の文脈を意識し、同義語の acquire, obtain との使い分けを理解することが重要。特に、grab は acquire や obtain よりもややカジュアルなニュアンスを持つ。
1. 出題形式: リーディングセクション。
2. 頻度と級・パート: アカデミックな文章で稀に出題される。ただし、頻度は他の試験に比べて低い。
3. 文脈・例題の特徴: 学術論文やニュース記事など、フォーマルな文脈で使われることは少ない。
4. 学習者への注意点・アドバイス: TOEFL iBT では、よりフォーマルな語彙が重視されるため、 grab の優先順位は低い。ただし、基本的な意味は理解しておく必要がある。
1. 出題形式: 長文読解、空所補充。
2. 頻度と級・パート: 標準的なレベルの大学で出題される可能性がある。難関大学ではより高度な語彙が重視される傾向がある。
3. 文脈・例題の特徴: 様々なテーマの文章で登場する。ニュース記事、エッセイ、物語など。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 基本的な意味に加え、「(急いで)取る」「(サッと)手に入れる」といったニュアンスを理解することが重要。文脈から意味を推測する練習を積むことが大切。