seize
母音 /iː/ は日本語の「イー」よりも長く伸ばし、口角を左右に引いて発音します。語尾の /z/ は有声音で、日本語の「ズ」に近いですが、喉を震わせるように意識するとよりネイティブに近い発音になります。日本語話者は無声音の /s/ (ス)で発音しがちなので注意しましょう。
専門的な内容に関するご注意
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掴み取る
物理的に何かを強く握る、または機会や権利などを積極的に獲得する意味。チャンスや好機を逃さず手に入れるニュアンスを含む。
He quickly seized the falling ball before it hit the ground.
彼は、落ちてくるボールが地面に当たる前に、素早くそれをつかみ取った。
※ この例文では、誰かが素早く、または機敏に何かを「パッと掴む」様子が描かれています。運動神経の良い人が、落ちそうな物を間一髪でキャッチするような、少し緊迫感のある場面をイメージできますね。seizeは単に掴むだけでなく、「素早く」「しっかりと」掴むというニュアンスが強いのが特徴です。
She seized the opportunity to learn English abroad.
彼女は海外で英語を学ぶ機会を掴んだ。
※ ここではseizeが物理的なものを掴むのではなく、目に見えない「機会(opportunity)」を「掴む」、つまり「チャンスを逃さずに自分のものにする」という意味で使われています。これは非常によく使われる表現で、目の前に現れたチャンスを積極的に手に入れる、という強い意志が感じられる場面です。
The strong wind suddenly seized my hat and blew it away.
強い風が突然私の帽子を掴み取り、吹き飛ばした。
※ この例文では、自然の力(強い風)がまるで意志を持ったかのように、突然物を「奪い取る」様子が描かれています。予想外の出来事や、コントロールできない力によって何かが「掴み取られる」ような場面でもseizeが使われます。帽子が風で飛ばされる、という日常的でありながら少しドラマチックな状況が目に浮かびますね。
差し押さえる
法的な権限に基づいて、物や財産を強制的に押収・没収すること。財産、資産、証拠品などに対して使われる。
The police officer quickly seized the hidden illegal items.
警察官は隠された違法な品物を素早く差し押さえました。
※ この例文は、警察官が犯罪捜査の一環として、隠されていた違法な物(麻薬や盗品など)を強制的に取り上げる緊迫した場面を描いています。「seize」は、権力によって何かを強制的に押収する際に使われる典型的な例です。
His family felt sad when the government seized their house for unpaid taxes.
政府が未払いの税金のために彼らの家を差し押さえたとき、彼の家族は悲しみました。
※ この例文は、税金や借金が払えないために、国や銀行などの公的機関が個人の財産を法的に没収する、という辛い状況を表しています。家族の感情を添えることで、単なる事実ではなく、その出来事がもたらす影響まで感じ取れるようになっています。
Customs officers had to seize the dangerous item from the traveler's bag.
税関職員は旅行者のカバンから危険な品物を差し押さえなければなりませんでした。
※ この例文は、空港や港で、税関職員が持ち込み禁止の物(危険物など)を発見し、それを没収する場面です。「had to」は「~しなければならなかった」という意味で、職員が職務として強制的にその行動を取ったことを示しています。旅行者の焦りや、規則の厳しさが伝わる状況です。
没収する
違法な物品や不正に得た利益などを、権力によって取り上げること。麻薬、武器、不正資金などに用いられる。
The teacher seized his phone during class because he was playing games.
先生は、彼がゲームをしていたので、授業中に彼の携帯を没収しました。
※ この例文は、学校で先生がルール違反をした生徒から物を取り上げる、という日常的な場面を描いています。「seize」は、このように権限を持つ人が何かを「取り上げる」「押収する」時に使われます。携帯を没収された生徒の「しまった!」という気持ちが伝わってきますね。
Police officers seized the stolen car from the criminal's hideout.
警察官は、犯罪者の隠れ家から盗まれた車を押収しました。
※ 「seize」は、警察や政府などが、法律に基づいて犯罪に関わる物や財産を「押収する」「差し押さえる」という文脈で非常によく使われます。この例文は、警察が捜査を行い、証拠品や違法な物を押収する、という典型的なニュースのワンシーンをイメージさせます。
Customs officers at the airport seized her undeclared luxury bag.
空港の税関職員は、彼女が申告していなかった高級バッグを押収しました。
※ 空港の税関で、旅行者が持ち込もうとした禁止品や、申告が必要な高価な物を「押収する」という場面も、「seize」が頻繁に使われる典型的な例です。旅行者が「まさか見つかるなんて!」と驚く様子が目に浮かびますね。「undeclared」は「申告されていない」という意味です。
コロケーション
機会を捉える、好機を逃さない
※ これは非常によく使われる表現で、目の前に現れた有利な状況やチャンスを積極的に利用することを意味します。ビジネスシーンから日常会話まで幅広く使われ、単に「機会を得る (get an opportunity)」よりも、積極的に行動するニュアンスが含まれます。類似表現に 'take advantage of an opportunity' がありますが、 'seize' の方がより果敢で即時的な印象を与えます。構文は 'seize + the + opportunity' が一般的です。
権力を掌握する、武力や策略で政権を奪取する
※ 政治的な文脈でよく用いられる表現で、クーデターや革命など、通常とは異なる手段で権力を手に入れることを指します。'gain power' や 'acquire power' とは異なり、暴力や不正な手段が伴うニュアンスを含みます。歴史的な出来事や政治ニュースで頻繁に登場します。例文:'The military seized power in a coup.'(軍がクーデターで権力を掌握した)。
支配権を掌握する、統制を奪う
※ 'seize power' と同様に、何かを支配する力を手に入れることを意味しますが、より広い範囲で使われます。例えば、企業の買収、プロジェクトの主導権争い、あるいはパニック状態になった群衆を鎮圧するなどの状況でも使えます。'gain control' よりも、より積極的で強制的なニュアンスを持ちます。例文:'The company seized control of its rival.'(その会社はライバル会社の支配権を掌握した)。
資産を差し押さえる、没収する
※ 法律や金融の文脈で使われ、政府や裁判所が個人の財産や企業の資産を法的手続きに基づいて一時的または永久的に取り上げることを指します。税金の滞納、犯罪行為、契約違反などが理由となります。'confiscate assets' とほぼ同義ですが、'seize' の方がやや一般的な表現です。例文:'The government seized the drug dealer's assets.'(政府は麻薬売人の資産を差し押さえた)。
(考え・アイデアなど)に飛びつく、利用する
※ これはややフォーマルな表現で、新しいアイデアや提案、または他人の言葉尻などを、すかさず利用したり、批判したりすることを意味します。'seize on' とも表現されます。例文:'The politician seized upon the reporter's question to promote his agenda.'(政治家は自身の政策を宣伝するために、記者の質問に飛びついた)。この表現は、相手の弱点や隙を突くような、やや狡猾なニュアンスを含むことがあります。
今日を精一杯生きる、今この瞬間を大切にする(ラテン語: Carpe diem)
※ ラテン語の 'Carpe diem' の英語訳としてよく知られています。人生は短いので、将来のことを心配するよりも、今この瞬間を最大限に楽しむべきだという哲学を表します。詩や文学作品、スピーチなどでよく引用されます。映画『Dead Poets Society』(いまを生きる)で有名になりました。例文:'Let's seize the day and make the most of this beautiful weather.'(今日を精一杯生きて、この素晴らしい天気を最大限に楽しもう)。
主導権を握る、先手を打つ
※ ビジネスやスポーツ、政治など、競争的な状況で使われる表現です。相手よりも先に積極的に行動することで、有利な立場を確立することを意味します。'take the initiative' とほぼ同義ですが、'seize' の方がより積極的で力強いニュアンスを持ちます。例文:'The company seized the initiative by launching a new product.'(その会社は新製品を発売することで主導権を握った)。
使用シーン
学術論文や研究発表で、抽象的な概念や機会を「掴む」「捉える」という意味合いで使用されます。例えば、社会学の研究で「新たな研究手法をseizeする(取り入れる)」、歴史学で「歴史的瞬間をseizeする(捉える)」といった文脈で見られます。文語的な表現で、客観的な分析や議論において用いられることが多いです。
ビジネス文書やプレゼンテーションで、機会や市場を「掴む」という意味で使われることがあります。例えば、「新たな市場機会をseizeする(獲得する)」、「競合他社の弱点をseizeする(利用する)」といった表現が可能です。ただし、より一般的な動詞(e.g., 'take', 'capture', 'grab')が好まれる傾向にあり、'seize'はやや硬い印象を与える場合があります。契約書など法律が絡む場合は「差し押さえる」の意味で使用されることもあります。
日常会話ではあまり使われませんが、「チャンスを掴む」という比喩的な意味で使われることがあります。例えば、「人生をseizeする(謳歌する)」、「一日をseizeする(精一杯生きる)」といった表現が可能です。ニュース記事や文学作品など、ややフォーマルな文脈で目にすることが多いでしょう。差し押さえや没収の意味で使われる場合は、ニュース報道などで見聞きすることがあります。
関連語
類義語
何かを素早く、乱暴に掴む、握るという意味。日常会話でよく使われ、フォーマルな場面には適さない。 【ニュアンスの違い】"seize"よりも緊急性や衝動性が高く、より物理的な行動を伴う。また、権利や機会などを掴むという意味合いは薄い。 【混同しやすい点】"grab"はしばしば前置詞"at"を伴い、"grab at"という形で使われる。また、抽象的な概念を掴む場合には不適切。
人や動物を捕獲する、あるいは抽象的な概念(例:注意、関心)を捉えるという意味。軍事的な文脈や、競争的な状況でも使われる。 【ニュアンスの違い】"seize"がより一般的な意味で「掴む」のに対し、"capture"は「捕らえる」「獲得する」という結果に重点を置く。計画性や戦略性も含まれる。 【混同しやすい点】"capture"は"seize"よりも対象を完全にコントロールするニュアンスが強い。また、データや映像を記録するという意味もある。
非常に一般的な動詞で、何かを自分のものにする、手に入れるという意味。幅広い場面で使われる。 【ニュアンスの違い】"seize"ほどの強い意志や積極性は含まれない。また、"take"は所有権の移動を示唆することが多い。 【混同しやすい点】"take"は多義語であり、文脈によって意味が大きく異なる。"seize"のように強制的なニュアンスは必ずしもない。
権力を持つ者が(通常は法律に基づいて)物を没収するという意味。フォーマルな場面や法的な文脈で使われる。 【ニュアンスの違い】"seize"が一般的な「掴む」という意味であるのに対し、"confiscate"は法的な権限に基づいた行為であることを明確に示す。 【混同しやすい点】"confiscate"は必ず権力を持つ主体が行う行為であり、個人的な状況では不適切。対象は通常、違法な物や規則に違反する物である。
許可なく、または不当に何かを自分のものにするという意味。しばしば否定的なニュアンスを伴う。ビジネスや政治の文脈で使われる。 【ニュアンスの違い】"seize"が物理的な行動を伴う場合があるのに対し、"appropriate"はより抽象的な概念(例:資金、アイデア)を対象とすることが多い。不正な取得というニュアンスが強い。 【混同しやすい点】"appropriate"はしばしば道徳的な非難を含む。また、文化的な要素を盗用するという意味合いも持つ。
不安や恐怖、あるいは強い感情から、何かを強く握るという意味。日常会話や文学的な表現で使われる。 【ニュアンスの違い】"seize"が意図的な行動であるのに対し、"clutch"は感情的な反応として無意識に行われることが多い。また、対象は通常、比較的小さな物である。 【混同しやすい点】"clutch"はしばしば比喩的に使われ、困難な状況や危機的な場面で「しがみつく」という意味合いを持つ。
派生語
- seizure
名詞で「差し押さえ」「発作」の意味。動詞「seize」の行為や状態を表す。差し押さえは法律用語、発作は医学用語として使われる。比喩的に「激しい感情の発露」を意味することも。日常会話よりは専門的な文脈で使われる頻度が高い。
- seizable
形容詞で「差し押さえ可能な」「没収可能な」の意味。法律や行政の文脈で、財産などが没収の対象となりうる状態を示す。接尾辞「-able」は「〜できる」という性質を表し、seize(掴む、没収する)ことができる性質を持つことを意味する。
- sequestrate
動詞で「(財産などを)差し押さえる」「隔離する」の意味。語源的には「se-(分離)」+「questrate(管理)」であり、「管理のために分離する」というニュアンス。法律・経済分野で使われるほか、医学分野でウイルスなどを隔離する意味でも使われる。
反意語
「解放する」「手放す」という意味。物理的に何かを掴む「seize」の反対に、拘束していたものを解放する。比喩的にも、感情や義務から解放するという意味で使われる。日常会話からビジネス、法律まで幅広い文脈で使用される。
「(権利などを)放棄する」「手放す」という意味。「seize」が権利や機会を積極的に掴み取るのに対し、「relinquish」は自発的に手放すニュアンスが強い。フォーマルな場面や法律関係の文書でよく使われる。
「降伏する」「明け渡す」という意味。特に軍事的な文脈で、敵に支配権を明け渡す状況を表す。「seize」が力ずくで奪い取るのに対し、「surrender」は戦いをやめて支配権を譲るという対比関係にある。比喩的に、困難に屈する意味でも使われる。
語源
「seize」は、古フランス語の「saisir」(掴む、捕らえる)に由来します。さらに遡ると、俗ラテン語の「saciare」(所有する、支配する)にたどり着きます。これはラテン語の「satius」(十分な)と関連があり、「満たす、満足させる」という概念が根底にあります。つまり、「seize」は元々、何かを自分のものとして十分に満たす、あるいは支配下に置くという意味合いを持っていました。そこから、物理的に掴む、捕らえるという意味に発展し、現代英語の「掴み取る」「差し押さえる」「没収する」といった意味につながっています。日本語で例えるなら、「手中に収める」という表現が近いかもしれません。何かを力強く自分のものにする、というイメージで捉えると記憶に残りやすいでしょう。
暗記法
「seize」は、中世の簒奪から現代のビジネス戦略まで、時代と共に意味合いを変えてきました。シェイクスピア劇では王位を奪う野心の象徴であり、「carpe diem」のスローガンでは今を生きる積極性を表します。しかし、その裏には常に倫理的な葛藤が潜んでいます。現代では、自己実現の奨励から権利侵害への警鐘まで、多面的な意味を持つこの言葉。背景にある権力関係を理解することが重要です。
混同しやすい単語
『seize』と発音が非常に似ており、特に語尾の子音の発音が弱いと区別がつきにくい。スペルも 's' と 'c' の違いのみで視覚的に混同しやすい。『cease』は『停止する、終わる』という意味の動詞で、自動詞・他動詞どちらでも使われる。『seize』は『掴む、押収する』という意味の他動詞。発音記号を意識して、/s/ と /siːz/ を区別することが重要。
発音が似ており、特にカタカナ英語の『サイズ』に引っ張られると混同しやすい。『size』は『大きさ、規模』という意味の名詞。スペルも似ているため、文脈で判断する必要がある。また、『size』は動詞として『〜の大きさを測る』という意味もある。発音は/saɪz/で、『seize』の/iː/とは異なることを意識する。
『seize』と発音が似ており、特に複数形の 's' の発音が曖昧になると混同しやすい。『seas』は『海』の複数形で、名詞。『seize』は動詞。スペルも似ているため注意が必要。文脈で判断することが重要。例えば、『the seven seas』(七つの海) のように使われる。
発音とスペルが似ており、特に『ie』の部分が混同されやすい。『siege』は『包囲』という意味の名詞。軍事的な文脈でよく使われる。『seize』とは意味が全く異なるため、文脈で判断する必要がある。発音は/siːdʒ/で、最後の音に注意。
『see』(見る)の三人称単数現在形であり、発音が『seize』と酷似しているため、リスニングの際に非常に紛らわしい。スペルも似ているため、文脈から判断する必要がある。『He sees』のように使われる。動詞の活用形である点も考慮すると良い。
接頭辞 'dis-' がついているため、語幹の 'ease' と合わせて『seize』を連想してしまう可能性がある。『disease』は『病気』という意味の名詞。発音は/dɪˈziːz/で、『seize』よりも母音が短く、最初の音も異なる。語源的には、'dis-' (否定) + 'ease' (安楽) = 「不快な状態」という意味合い。
誤用例
「seize」は「機会を捉える」という意味で使えますが、これは通常、好機や有利な状況を積極的に利用する場合に使われます。警察が尋問の機会を得るという文脈では、単に「機会を得た」という意味合いが強く、より中立的な「take」を使う方が自然です。日本人が「seize」を直訳的に使うと、やや大げさな印象を与えたり、皮肉なニュアンスを含んでしまうことがあります。日本語の「好機を捉える」には積極的な意味合いが強いですが、英語の「seize」も同様です。「take」はより一般的で、幅広い状況に使えます。
「seize」は、法的な権利や正当な理由がないにも関わらず、力ずくで何かを奪い取るニュアンスがあります。政府が法に基づいて土地を収用する場合は、「confiscate」が適切です。「seize」は、例えばクーデターなどで政権を奪取するような状況で使われます。日本人は「seize」を「掴む」というイメージで捉えがちですが、英語ではより強制的で不正な意味合いが強いことを理解する必要があります。背景として、英語圏では個人の財産権に対する意識が強く、政府による強制的な収用は慎重に表現される傾向があります。
この誤用は、受動態の理解不足と「seize」の語法に関するものです。「seize」は、何かが人を「掴む」「襲う」という形で使われる場合、受動態で表現するのが一般的です。つまり、「彼は病気に襲われた」は「He was seized by a sudden illness」となります。日本人は「〜を掴む」という能動的なイメージから、誤って「He seized with...」のような表現をしてしまうことがあります。また、「seize with」という形は、特定の感情や感覚が急に襲ってくることを表現する際に使われることもありますが、病気に対しては一般的ではありません。正しい英語の背景には、「病気は人に襲いかかるもの」という考え方があり、受動態で表現することで、そのニュアンスを正確に伝えることができます。
文化的背景
「seize」は、機会や権利を「掴み取る」という能動的な行為を表し、しばしば積極性や決断力、時には強引さや侵略といった意味合いを伴います。この単語は、歴史を通じて、個人や国家が自らの運命を切り開く瞬間に立ち会ってきました。
中世の封建制度下では、「seize」は土地や財産を「没収する」「押収する」といった意味合いで頻繁に用いられました。領主が反逆者の土地をseizeすることは、単なる財産の移動ではなく、権力の再分配を意味しました。この用法は、権利の簒奪や不当な占拠といった負のイメージを「seize」に付与しました。シェイクスピアの戯曲にも、王位や財産をseizeしようとする野心的な人物がしばしば登場し、その行為は悲劇的な結末を迎えることが少なくありません。このように、文学作品における「seize」は、しばしば倫理的な葛藤や道徳的な曖昧さを伴う行為として描かれてきました。
近代に入ると、「seize」はより抽象的な概念、例えば「機会を掴む(seize the opportunity)」や「瞬間を生きる(seize the day)」といった意味合いで用いられるようになりました。特に「carpe diem(今を生きよ)」というホラティウスの言葉と結びついた「seize the day」は、刹那的な快楽主義や享楽的な生き方を肯定するスローガンとして広まりました。しかし、この用法にも、過去や未来を顧みず、現在だけに没頭することへの批判的な視線が常に存在します。現代社会においては、「seize」は、積極的な自己実現や目標達成を奨励する一方で、他者の権利を侵害したり、倫理的な境界線を越えたりすることへの警鐘としても機能しています。
現代では、ビジネスシーンで「マーケットシェアをseizeする」のように、競争における優位性を確立する意味合いでも用いられます。この場合、「seize」は単なる「獲得」ではなく、積極的な戦略や行動によって他者を出し抜くニュアンスを含みます。また、警察が違法薬物をseizeするように、法的な権限に基づいて不正なものを押収するという意味合いも持ちます。このように、「seize」は、文脈によって肯定的な意味にも否定的な意味にもなりうる、多面的な単語であると言えるでしょう。大切なことは、その背後にある権力関係や倫理的な含意を理解し、適切に使いこなすことです。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解
- 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。特に1級で問われる可能性が高い
- 文脈・例題の特徴: 硬めの文章、ニュース記事、エッセイなど。抽象的な内容が多い
- 学習者への注意点・アドバイス: 「掴む」「奪う」「没収する」など、文脈に応じた意味の使い分けが重要。関連語句(confiscate, graspなど)との区別も意識する
- 出題形式: Part 5(短文穴埋め), Part 7(長文読解)
- 頻度と級・パート: 比較的まれ。しかし、ビジネスシーンを扱った長文読解で出題される可能性あり
- 文脈・例題の特徴: 契約書、買収、ビジネスニュースなど。企業の活動に関連する文脈が多い
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーンで使われる意味(「機会を捉える」など)を理解しておく。Part 5では、文法的な知識も問われる場合がある
- 出題形式: リーディング
- 頻度と級・パート: 頻出単語。アカデミックな文章でよく使われる
- 文脈・例題の特徴: 歴史、社会科学、自然科学など、様々な分野の文章で登場。抽象的な概念を説明する際に使われることが多い
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習が重要。類義語(capture, graspなど)とのニュアンスの違いも理解する
- 出題形式: 長文読解、和訳問題
- 頻度と級・パート: 難関大学で頻出。標準的な大学でも出題される可能性あり
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語文など、幅広いジャンルで登場。社会問題、歴史、文化などに関する文章が多い
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈全体から意味を判断する力が必要。比喩的な意味で使われる場合もあるので注意。過去問で出題傾向を把握する