exploit
強勢は2音節目の 'sploit' にあります。最初の 'i' は日本語の『イ』よりも曖昧な音(schwaに近い)で、軽く発音します。'spl' の子音連結は、's' の後にすぐに 'p' の音を出すのがポイント。'oi' は二重母音で、日本語の『オ』から『イ』へスムーズに移行するイメージです。最後の 't' は破裂音で、しっかり発音しましょう。
専門的な内容に関するご注意
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利用する
資源、機会、才能などを効果的に活用する。特に、何らかの利益を得るために積極的に用いるニュアンスを含む。必ずしも不正な意味合いを持つわけではないが、状況によっては倫理的な問題を含む場合がある。
The young artist wanted to exploit her unique talent to create something truly new.
その若い芸術家は、彼女のユニークな才能を最大限に生かして、本当に新しい何かを生み出したいと考えていた。
※ この例文では、若い芸術家が自分だけの特別な能力(才能)を最大限に引き出して、今までにない新しい作品を作ろうと情熱を燃やしている様子が描かれています。exploitは、才能や機会、資源などを「最大限に生かす」「有効活用する」という、肯定的な意味で使われる典型的な例です。この文脈では「make the most of」や「utilize」に近い意味合いです。
Scientists are trying to exploit solar energy for a cleaner future.
科学者たちは、よりクリーンな未来のために太陽エネルギーを利用しようとしている。
※ この例文は、科学者たちが地球に優しい未来のために、尽きることのない太陽の力を研究し、それをどうやって私たちの生活に役立てるかを真剣に考えている様子を表しています。exploitは、自然の資源や技術的な可能性を「開発・利用する」という、中立的かつ肯定的な意味で使う典型例です。大きな目標のために資源を活用する場面でよく使われます。
The cunning boss tried to exploit his new employees' inexperience for his own profit.
そのずる賢い上司は、新入社員の経験不足を利用して自分の利益を得ようとした。
※ この例文は、会社で、ずる賢い上司が、まだ仕事に慣れていない新入社員の知識不足や経験の浅さにつけこんで、自分だけが得をしようと企んでいる、少し意地悪な場面を描いています。exploitは、人の弱みや不利な状況を「不当に利用する」「搾取する」という、否定的な意味で使う非常に典型的な例です。この使い方では、相手に「ひどい」とか「ずるい」という非難の気持ちが含まれることが多いです。
食い物にする
弱みにつけこんで不当な利益を得る。搾取に近い意味合いで、ネガティブな文脈で使用されることが多い。人を対象とする場合、騙したり、無理強いしたりするニュアンスが含まれる。
The factory owner cruelly exploited young workers, paying them very little for long hours.
その工場主は、若い労働者を長時間働かせ、わずかな賃金しか払わず、残酷に食い物にした。
※ この例文では、工場主が弱い立場にある若い労働者から、不当に少ない賃金で長時間労働をさせて利益を得ている様子が描かれています。「食い物にする」という言葉が持つ「誰かの弱みや状況につけ込んで、自分の利益のために搾取する」という中心的な意味合いがよく分かります。特に「cruelly(残酷に)」という言葉が、その非道さを際立たせています。
After the flood, some greedy sellers tried to exploit people's desperation by raising food prices.
洪水の後、一部の欲深い売り手たちは、食料の値段を上げて人々の絶望につけ込もうとした。
※ 災害後の混乱という非常事態に乗じて、人々が切羽詰まった状況(desperation)にあることを悪用し、食料品を高値で売りつける商人の姿を描いています。これは、困っている人々の状況を「食い物にする」典型的な例です。動詞の後に「by + 動名詞」が続くことで、「〜することによって」という手段を表すことができます。
The scammer tried to exploit the old woman's loneliness to trick her into giving him money.
その詐欺師は、老女の孤独につけ込んで、彼女を騙して金を巻き上げようとした。
※ この例文は、詐欺師が「老女の孤独」という心の弱みや感情を悪用して、金銭をだまし取ろうとする状況を表しています。このように、人の感情や精神的な弱点を「食い物にする」使い方も「exploit」の重要な側面です。「trick someone into doing something」は「人を騙して〜させる」という決まり文句で、日常会話でもよく使われます。
開発
資源などの開発。資源の有効活用というニュアンスを含む。動詞の利用すると対応する意味合い。
The village eagerly awaited the exploit of the new mine, hoping for more jobs.
村は新しい鉱山の開発を心待ちにしていました。より多くの仕事ができることを願って。
※ この例文は、新しい資源(ここでは鉱山)を「開発する」「活用する」という、exploitの最も基本的な使い方を示しています。村人たちが仕事が増えることを期待している様子から、その開発が村に良い影響をもたらす、前向きな「開発」のイメージが伝わります。
He practiced drawing every day for the exploit of his hidden artistic talent.
彼は隠れた絵の才能を開発するため、毎日絵を描く練習をしました。
※ ここでは、個人の「才能」や「能力」を最大限に引き出す、つまり「開発する」という意味でexploitが使われています。彼の熱心な練習姿から、自分の可能性を信じて才能を磨くための努力が感じられますね。
Our team is excited about the further exploit of this new technology.
私たちのチームは、この新しい技術のさらなる開発にワクワクしています。
※ この例文では、「新しい技術」や「可能性」をさらに「開発し、活用する」という場面を描いています。未来への期待感が伝わる表現で、exploitが新しいアイデアや事業の進展を意味する際によく使われることがわかります。
コロケーション
法の抜け穴を突く、盲点を利用する
※ 法律や規則の不備、曖昧さを悪用して、本来許されない行為を合法的に行うことを指します。ビジネスや政治の文脈でよく見られ、しばしば倫理的な問題と結びつきます。"loophole" は文字通り「抜け穴」を意味し、それを "exploit" することで、意図された規制を回避します。類似の表現として "take advantage of a loophole" もあります。
資源を開発する、資源を搾取する
※ "resources" は天然資源(鉱物、森林、水など)や人的資源(労働力、才能など)を指し、これらを "exploit" することは、利用価値を引き出すことを意味します。ただし、しばしば環境破壊や労働者の搾取といったネガティブな意味合いを伴います。文脈によっては、「有効活用する」というポジティブな意味にもなりえますが、注意が必要です。形容詞を伴って "natural resources" (天然資源) や "human resources" (人的資源) といった形で使われることが多いです。
脆弱性を悪用する、弱点を突く
※ "vulnerabilities" は、システム、ソフトウェア、または人の弱点や欠点を指します。これを "exploit" することは、その弱点を悪用して攻撃したり、不正な利益を得たりすることを意味します。サイバーセキュリティの分野でよく使われる表現で、ハッカーがシステムの脆弱性を突いて侵入するような状況を指します。比喩的に、人の心理的な弱点や社会的弱点を悪用する場合にも使われます。
人の信頼を裏切る、信用を悪用する
※ 誰かの信頼を利用して、その人に不利益をもたらす行為を指します。金銭的な詐欺や裏切り行為など、道徳的に非難されるべき状況で使われます。"trust" は名詞として「信頼」を意味し、それを "exploit" することで、相手に精神的・経済的なダメージを与えます。より直接的な表現として、"betray someone's trust" もあります。
状況を利用する、好機に乗じる
※ 特定の状況がもたらす有利な機会を最大限に活用することを意味します。必ずしもネガティブな意味合いだけでなく、ビジネスチャンスや問題解決の糸口を見つけるといった肯定的な意味合いでも使われます。ただし、倫理的に問題のある状況や、他者の不幸に乗じるような場合には、非難されることもあります。類似の表現として、"take advantage of the situation" があります。
経済的に搾取された
※ 受動態で使われることが多く、特定の地域や人々が経済的な不均衡によって不当な扱いを受けている状態を指します。植民地支配や発展途上国における労働問題など、社会的な不正義を伴う文脈でよく用いられます。"economically" は「経済的に」という意味の副詞で、搾取が経済的な構造によって引き起こされていることを強調します。
使用シーン
学術論文や研究発表で頻繁に使用されます。特に、資源、データ、理論などを「利用する」「活用する」という意味で使われます。例:『本研究では、既存のアルゴリズムを**利用して**、新しいデータセットを分析しました。』のように、研究手法や結果を示す際に用いられます。また、資源を『開発する』という意味でも使われます。例:『この論文は、再生可能エネルギー源を**開発する**ための新しい戦略を提案しています。』
ビジネス文書や会議で、機会や資源を「利用する」「活用する」という意味で使用されます。例:『我々は、新しい市場機会を**利用して**、収益を拡大する必要があります。』のように、戦略や目標達成に関連して用いられます。ネガティブな意味合いで、従業員や顧客を「食い物にする」という意味で使用されることもありますが、注意が必要です。例:『一部の企業は、顧客の無知を**食い物にして**、不当な利益を得ています。』
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やドキュメンタリーなどで、資源や弱者を「食い物にする」という意味で使われることがあります。例:『このドキュメンタリーは、多国籍企業が発展途上国の資源を**食い物にしている**現状を暴露しています。』のように、社会問題や倫理的な問題に関連して用いられることが多いです。肯定的な意味で使う場合は、フォーマルな印象を与えるため、状況を選ぶ必要があります。
関連語
類義語
資源や機会などを『利用する』という意味。ビジネスや技術的な文脈で使われることが多い。効率性や実用性を重視するニュアンス。 【ニュアンスの違い】"exploit"が不正な手段や搾取を含む可能性があるのに対し、"utilize"はより中立的で、資源を有効活用するという意味合いが強い。フォーマルな場面で好まれる。 【混同しやすい点】"utilize"は通常、資源や機会など、具体的なものを対象とする。人の能力を最大限に活用する意味では、"exploit"の方が適している場合がある。
『活用する』『てこ入れする』という意味。ビジネスや金融の文脈で、既存の資源や強みを最大限に活用して利益を上げることを指す。比喩的な意味合いが強い。 【ニュアンスの違い】"exploit"が必ずしも肯定的な意味合いを持たないのに対し、"leverage"は通常、肯定的な意味合いで使われる。戦略的な活用や相乗効果を強調する。 【混同しやすい点】"leverage"は名詞としても動詞としても使われるが、動詞として使う場合は、具体的な対象を伴うことが多い。例えば、「ブランド力をレバレッジする」のように使う。
- capitalize on
『〜につけ込む』『〜を好機として利用する』という意味。チャンスや有利な状況を最大限に活用することを指す。ビジネスや政治的な文脈でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"exploit"と同様に、状況を最大限に利用するという意味合いを持つが、"capitalize on"はより機会主義的なニュアンスが強い。必ずしも不正な手段を使うとは限らない。 【混同しやすい点】"capitalize on"は常に前置詞 "on" を伴い、特定の機会や状況を指す必要がある。「~につけ込む」という訳語からネガティブな印象を持つかもしれないが、必ずしもそうとは限らない。
- take advantage of
『〜を利用する』という意味だが、相手の弱みや好意につけ込むというニュアンスを含む場合がある。日常会話でもよく使われる。 【ニュアンスの違い】"exploit"と同様に、ネガティブな意味合いを持つことが多いが、"take advantage of"はより口語的で、不正な手段を使わずに有利な状況を利用するという意味合いも含む。 【混同しやすい点】"take advantage of" は、文脈によって意味合いが大きく異なる。「好意に甘える」という肯定的な意味にも、「騙す」「搾取する」という否定的な意味にもなりうるため、注意が必要。
『搾り取る』という意味。比喩的に、資源や機会を最大限に利用して利益を得ることを指す。しばしば、持続可能性を無視した過剰な利用を意味する。 【ニュアンスの違い】"exploit"よりもさらにネガティブな意味合いが強く、資源を枯渇させるようなイメージを伴う。インフォーマルな表現。 【混同しやすい点】"milk" は動詞として使う場合、対象が具体的なもの(例:牛)だけでなく、抽象的なもの(例:ブランドイメージ)も取りうる。また、「milk a situation」のように、状況を最大限に利用するという意味でも使われる。
『虐待する』『乱用する』という意味。権力や立場を利用して相手を傷つけたり、不当な扱いをしたりすることを指す。倫理的な非難を含む。 【ニュアンスの違い】"exploit"が資源や機会の利用を指すのに対し、"abuse"は人や権力など、より直接的な対象への不正な行為を指す。非常に強い非難のニュアンスを持つ。 【混同しやすい点】"abuse" は名詞としても動詞としても使われる。動詞として使う場合、対象は通常、人または権力などの抽象的な概念となる。
派生語
『搾取』『開発』を意味する名詞。動詞『exploit』に名詞化接尾辞『-ation』が付加。資源や労働力の不正な利用を指すことが多い。ビジネス、政治、社会問題に関する議論で頻繁に用いられる。
- exploitative
『搾取的な』という意味の形容詞。名詞『exploitation』に形容詞化接尾辞『-ive』が付加。人や資源を不当に利用する性質を表す。ニュース記事や学術論文などで、企業や政策を批判する文脈で用いられる。
- exploiter
『搾取する人』『開発者』を意味する名詞。動詞『exploit』に『~する人』という意味の接尾辞『-er』が付加。ネガティブな意味合いで使用されることが多いが、資源開発の文脈では中立的な意味合いも持つ。報道や歴史的記述で見られる。
反意語
『保護する』『保全する』という意味。資源やエネルギーを浪費せず、大切に使うという点で『exploit(搾取する)』とは対照的。環境問題や資源管理の文脈で頻繁に使われる。例えば、『森林を保護する』は『exploit a forest』とは反対の行為。
『保存する』『維持する』という意味。『exploit』が資源を消費し、変化をもたらすのに対し、『preserve』は現状を維持し、劣化を防ぐことを指す。文化遺産や自然環境など、価値あるものを守る文脈で用いられる。『文化遺産を保存する』は『文化遺産をexploitする』とは対照的な行為。
『補充する』『満たす』という意味。『exploit』によって枯渇した資源やエネルギーを回復させる行為を表す。環境問題や資源管理の文脈で、『exploit』による負の影響を緩和する手段として言及される。『資源を補充する』は『資源をexploitする』ことによって生じた問題を解決する行為。
語源
「exploit」は、古フランス語の「esploit」(成果、成功)に由来し、さらに遡るとラテン語の「explicare」(展開する、明らかにする)から派生しています。「ex-」(外へ)と「plicare」(折り畳む)が組み合わさり、「折り畳まれたものを広げる」というイメージです。この「広げる」という概念が、「潜在能力を開発する」「資源を開発する」という意味につながりました。また、成果を「利用する」という意味合いから、ネガティブな意味として「食い物にする」という意味も持つようになりました。日本語で例えるなら、畳まれた風呂敷を広げて中身を取り出すようなイメージで、「眠っていたものを引き出す」ニュアンスが語源に込められています。
暗記法
「exploit」は元々「英雄的行為」。大航海時代、探検家が資源を「開発」する美名のもと、植民地支配が拡大。富の収奪は正当化され、言葉は負の意味を帯びる。ディケンズ作品では搾取の象徴に。現代では環境問題や情報倫理も射程に。「利用」の裏に潜む不正義を暴く、批判の言葉として記憶しましょう。
混同しやすい単語
『exploit』と『explore』は、どちらもexploreで始まり、意味も探求・開発という点で関連するため混同されやすいです。『exploit』は資源や状況を『利用する』、『悪用する』という意味合いが強く、しばしば否定的なニュアンスを含みます。一方、『explore』は未知の場所や主題を『探検する』、『調査する』という意味で、中立的または肯定的な意味で使用されます。発音も似ていますが、『-ploit』は/plɔɪt/、『-plore』は/plɔːr/と異なります。日本人学習者は文脈からどちらの意味で使われているかを注意深く判断する必要があります。語源的には、『exploit』はラテン語の『ex-』(外へ)+『plicare』(折り畳む)から派生し、『(隠されたものを)引き出す』という意味合いを持ちます。一方、『explore』は『ex-』(外へ)+『plorare』(叫ぶ、探る)から派生しています。
『exploit』と『explicit』は、どちらも『ex-』で始まり、接尾辞が似ているため、スペルミスや発音の混同が起こりやすいです。『explicit』は『明白な』、『明示的な』という意味で、曖昧さがないことを強調します。一方、『exploit』は資源や状況を『利用する』という意味です。発音は、『-ploit』が/plɔɪt/、『-plicit』が/ˈplɪsɪt/と異なります。日本人学習者は、文脈において意味が全く異なるため、注意が必要です。語源的には、『explicit』はラテン語の『explicitus』(展開された)から派生し、『隠されていない』という意味合いを持ちます。
『exploit』が資源を『利用する』という意味合いを持つため、『deplete』(使い果たす、枯渇させる)と意味が関連し、混同されることがあります。『deplete』は、資源やエネルギーが減少することを指し、しばしば否定的な結果を伴います。発音は全く異なります。『exploit』が/ɪkˈsplɔɪt/であるのに対し、『deplete』は/dɪˈpliːt/です。日本人学習者は、文脈において『exploit』が資源の利用を意味する場合でも、必ずしも枯渇を意味するわけではないことに注意する必要があります。ただし、過剰な『exploit』は『deplete』につながる可能性があります。
『employ』は『(人)を雇う』、『(物・方法)を用いる』という意味で、『exploit』が資源や状況を『利用する』という意味と共通点があるため、混同される可能性があります。特に、状況を『利用する』という意味合いにおいては、両者の意味が重なることがあります。発音は異なりますが、『-ploy』の部分が共通しているため、スペルミスも起こりやすいです。日本人学習者は、文脈において『employ』が主に人や方法の利用を指すのに対し、『exploit』はより広範な資源や状況の利用を指すという違いを意識する必要があります。語源的には、『employ』はラテン語の『implicare』(巻き込む)から派生し、『exploit』とは直接的な関連はありません。
『exploit』と『exposition』は、どちらも『ex-』で始まるため、スペルミスや発音の混同が起こりやすいです。『exposition』は『解説』、『説明』、『展示会』という意味で、『exploit』とは意味が大きく異なります。発音も大きく異なり、『-ploit』が/plɔɪt/であるのに対し、『-position』は/pəˈzɪʃən/です。日本人学習者は、文脈において意味が全く異なるため、注意が必要です。特に、アカデミックな文脈では『exposition』が頻繁に使用されるため、正確に区別することが重要です。語源的には、『exposition』はラテン語の『exponere』(外に出す、説明する)から派生しています。
誤用例
日本語の『利用する』という言葉に引っ張られると、必ずしもネガティブな意味合いを持たない『exploit』を選んでしまうことがあります。しかし、『exploit』は搾取、悪用といったニュアンスが強く、人の長所に対して使うと、相手を不当に利用しようとする意図が強く伝わります。より中立的な表現としては『take advantage of』が適切です。日本人が『利用』という言葉を多用する背景には、直接的な表現を避け、婉曲的に伝えようとする文化があると考えられます。英語では、意図を明確に伝えることが重要であり、状況によってはより直接的な表現を選ぶ必要があります。
『exploit』は資源や機会など、もともと存在するものを『開発する』『活用する』という意味合いで使われることが多い単語です。そのため、才能や潜在能力といった、まだ形になっていないものを指して『exploit』を使うのは不自然です。この文脈では、潜在能力を『実現する』という意味合いの『realize』や『develop』がより適切です。日本人が潜在能力を『利用する』と捉えがちなのは、能力を『資源』のように捉える発想があるためかもしれません。英語では、潜在能力は『開花させる』『実現する』ものとして捉えるのが一般的です。
『exploit』は、新しい市場を『開拓する』という意味で使うことも可能ですが、この言葉には『資源を掘り起こす』というニュアンスが含まれるため、倫理的な懸念を生む可能性があります。特に現代社会においては、企業の倫理観が重視されるため、市場に対して『exploit』を使うのは避けるべきです。より穏当な表現としては、『tap into』が適切です。これは、市場に『参入する』『活用する』という意味合いで、よりポジティブな印象を与えます。日本人が『exploit』を選びがちなのは、市場を『攻略する』というニュアンスで捉えがちなためかもしれません。英語では、市場との関係性をより協調的に表現することが重要です。
文化的背景
「exploit」という言葉は、もともと英雄的な行為や偉業を意味していましたが、現代ではしばしば、弱者や資源を不当に利用する行為を指す、負のニュアンスを帯びた言葉として使われます。この変化は、社会における倫理観や公正さへの意識の高まり、そして歴史的な搾取の構造に対する批判的な視点の浸透を反映しています。
かつて「exploit」は、探検家が未知の土地を「開発」し、資源を発見する行為を肯定的に描写する際に用いられました。大航海時代以降、ヨーロッパ列強による植民地支配は、まさに「exploit」の対象を世界規模に拡大しました。新大陸の資源、アフリカの人々、アジアの市場などが、ヨーロッパの経済発展のために「開発」されたのです。この文脈における「exploit」は、単なる利用を超え、支配と収奪の正当化という側面を強く帯びています。英雄的な行為という初期の意味合いは薄れ、強者が弱者を犠牲にして利益を得る構造を覆い隠すための言葉として機能しました。
文学作品においても、「exploit」はしばしば負のイメージで登場します。例えば、チャールズ・ディケンズの小説には、産業革命期の社会における児童労働や貧困層の搾取を描いた作品が多く、そこで「exploit」は、資本家による非人間的な行為を象徴する言葉として使われます。また、現代の環境問題や資源枯渇をテーマにした作品では、「exploit」は、自然環境を顧みない人間の傲慢さを表す言葉として用いられることがあります。映画においても、資源を求めて未開の地を侵略する企業や、貧困を利用して利益を上げる悪徳業者を描く際に、「exploit」はその行為の倫理的な問題を浮き彫りにする役割を果たします。
現代社会においては、企業が労働者を低賃金で働かせたり、個人情報保護の意識が低い人々からデータを収集して利益を得たりする行為も、「exploit」と見なされることがあります。SNSの普及により、個人が容易に情報発信できるようになったことで、企業の倫理的な問題が可視化されやすくなり、「exploit」に対する批判も高まっています。このように、「exploit」は、単なる利用という行為を超え、倫理的な問題や社会的な不正義を指摘する際に用いられる、批判的な意味合いを強く帯びた言葉として、現代社会において重要な役割を果たしているのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、稀に語彙問題
- 頻度と級・パート: 準1級以上でまれに出題
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題など、やや硬めのテーマ
- 学習者への注意点・アドバイス: 「搾取する」「開発する」など複数の意味があり、文脈判断が重要。名詞形exploitationも合わせて覚える。
- 出題形式: 長文読解(Part 7)
- 頻度と級・パート: Part 7でまれに出題される程度
- 文脈・例題の特徴: ビジネス関連の記事やレポート
- 学習者への注意点・アドバイス: 資源や労働力を「利用する」という意味で使われることが多い。同義語のutilize, leverageなども覚えておくと役立つ。
- 出題形式: 長文読解
- 頻度と級・パート: リーディングセクションで頻出
- 文脈・例題の特徴: 学術的な文章(科学、社会科学など)
- 学習者への注意点・アドバイス: 資源、機会、アイデアなどを「利用する」「活用する」という意味で頻繁に使われる。ネガティブな意味合いだけでなく、中立的な意味合いでも使われることに注意。
- 出題形式: 長文読解
- 頻度と級・パート: 難関大学で出題される可能性あり
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、経済、科学など、幅広いテーマ
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈によって意味が大きく変わるため、必ず前後の文脈から判断すること。「搾取する」という意味で使われることが多いが、「利用する」「開発する」という意味もあることを覚えておく。