bring up
「bring」の /ɪ/ は日本語の『イ』よりも口を少し開き、短く発音します。「up」の /ʌ/ は、日本語の『ア』よりも喉の奥から出すような音で、短く発音するのがポイントです。また、「bring」の語尾の ng(/ŋ/)は、舌の奥を上げて鼻に抜ける音で、日本語の「ン」とは少し異なります。意識して発音するとよりネイティブに近い発音になります。
専門的な内容に関するご注意
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話題に出す
会話や議論の中で、あるテーマや問題を提示・提起する意味合い。「問題を提起する」「提案を持ち出す」のように、フォーマルな場面でも使用可能
I felt a little nervous, but I decided to bring up my new idea in the meeting.
少し緊張しましたが、会議で私の新しいアイデアを話題に出すことにしました。
※ 会社や学校の会議で、自分が考えた新しいアイデアをみんなに話す場面です。少し勇気が必要な状況が伝わりますね。「bring up」は、話すことをためらっていたり、タイミングを見計らっていた話題を「切り出す」「持ち出す」ニュアンスでよく使われます。
He didn't want to bring up the old story because it made her sad.
彼は、その古い話が彼女を悲しませるので、話題に出したくなかった。
※ 親しい人との会話で、相手が嫌な気持ちになるかもしれない過去の出来事について話すのを避けている様子です。相手への配慮が感じられます。「bring up」は、このように少しデリケートな話題や、過去の出来事を「持ち出す」場合にも頻繁に使われます。否定形と組み合わせることで、その話題を避けたい気持ちが表現できます。
Our teacher will bring up a very important topic for discussion in our next class.
私たちの先生は、次の授業でとても重要な議論のテーマを話題に出すでしょう。
※ 学校の授業で、先生がこれからみんなで深く考えるべき大切なテーマを提示する場面です。生徒たちは、どんな話が始まるのか期待しています。「bring up」は、単に話すだけでなく、議論のきっかけとなるような「重要なテーマを提示する」文脈でも使われます。フォーマルな場面でも自然に使える表現です。
育てる
子供や動物などを、愛情と責任をもって養育する意味合い。教育やしつけを含むニュアンスがあり、単に「飼育する」よりも広い意味で使われる
She worked tirelessly to bring up her three children with love.
彼女は、3人の子供たちを愛情込めて育てるために、休むことなく働きました。
※ この例文は、親が子供を育てる最も典型的で温かい情景を描いています。「tirelessly(休むことなく)」という言葉から、親の愛情と努力が伝わってきます。親が子を育てる、という文脈で 'bring up' は非常によく使われます。
My grandparents had to bring me up after my parents moved abroad.
両親が海外へ引っ越した後、祖父母が私を育てなければなりませんでした。
※ この例文は、親以外の人が子供を育てる少し特別な状況を示しています。「had to(~しなければならなかった)」という表現から、祖父母が責任をもって孫を育てた状況が伝わります。親が不在の場合や、困難な状況で子供を育てる際にも 'bring up' が使われます。
They brought up their son to be honest and kind to everyone.
彼らは息子を、誰に対しても正直で優しい人間に育てました。
※ この例文は、単に育てるだけでなく、「どのような人間に育てるか」という教育の側面を含んでいます。「to be honest and kind」のように、育てる目的や価値観を伝える際によく使われる形です。子供の性格や道徳観を形成する教育的な意味合いが強く出ます。
吐き出す
食べたものや飲んだものを、意図せず、または意図的に口から出すこと。比喩的に「(感情などを)表に出す」という意味で使われることもある
The little boy suddenly felt very sick and brought up his juice on the carpet.
小さな男の子は急にとても気分が悪くなり、カーペットにジュースを吐き出しました。
※ この例文は、子供が体調を崩して急に吐いてしまう、という日常で起こりうる場面を描写しています。親が心配するような、生々しい状況が目に浮かびますね。「brought up」で、食べたものや飲んだものを「吐き出す」様子がはっきりと伝わります。
During the long bus ride, the woman felt nauseous and had to bring up her snack.
長いバスの旅の間、その女性は気分が悪くなり、おやつを吐き出さなければなりませんでした。
※ 乗り物酔いなど、特定の状況で吐き気がこみ上げてくる場面です。「felt nauseous(気分が悪くなった)」という具体的な状態から、「吐き出さざるを得なかった(had to bring up)」という避けられない行動がわかります。旅先での不快な体験が想像できますね。
He ate something strange at the party and later had to bring up his dinner.
彼はパーティーで何か変なものを食べ、後で夕食を吐き出さなければなりませんでした。
※ この例文は、食中毒や体調不良が原因で吐いてしまう状況を示しています。「something strange(何か変なもの)」という表現が、原因がはっきりしない不安感や、その後の苦しさをよく表しています。「bring up」は、食べたものが逆流して出てくる様子を伝えるのにぴったりの表現です。
コロケーション
子供を育てる、養育する
※ 単に食べ物を与えるだけでなく、教育やしつけを含めた包括的な育成を意味します。'raise a child' とほぼ同義ですが、'bring up' はより伝統的なニュアンスを持ち、道徳観や価値観を教え込む意味合いが強い場合があります。例えば、'She was brought up in a strict household.'(彼女は厳格な家庭で育った)のように使われます。口語でもビジネスでも広く使われます。
話題を持ち出す、議題に上げる
※ 会話や会議などで、新しい話題や問題点を提示することを指します。'mention' や 'introduce' と似ていますが、'bring up' は、その話題がそれまで議論されていなかったり、少しデリケートであったりする場合に使われることが多いです。例えば、'He brought up the issue of salary during the meeting.'(彼は会議中に給与の問題を持ち出した)のように使われます。ビジネスシーンで頻繁に使われます。
最後尾を進む、しんがりを務める
※ もともとは軍事用語で、部隊の最後尾を守ることを意味します。転じて、グループの中で最も遅れていたり、最後に到着したりする人を指す場合にも使われます。例えば、'I'll bring up the rear, so don't worry about me.'(私が最後尾を進むから、私のことは心配しないで)のように使われます。比喩的な意味合いで、ユーモラスな文脈で使われることもあります。
過去の出来事を蒸し返す、持ち出す
※ 過去に解決済みの問題や、忘れた方が良い出来事を再び話題にすることを指します。しばしば否定的なニュアンスを含み、相手を不快にさせたり、議論を再燃させたりする可能性があります。例えば、'Don't bring up his past mistakes.'(彼の過去の過ちを蒸し返さないで)のように使われます。フォーマルな場面では避けるべき表現です。
(人)を告訴する、起訴する
※ 法的な文脈で、ある人物に対して犯罪の嫌疑をかけることを意味します。'file charges' とほぼ同義ですが、'bring up charges' は、より公式な手続きが進んでいるニュアンスを含みます。例えば、'They brought up charges against him for fraud.'(彼らは彼を詐欺罪で告訴した)のように使われます。報道記事や法律関係の文書でよく見られます。
動物を飼育する、育てる
※ ペットや家畜などを世話をして育てることを意味します。 'raise an animal' とほぼ同じ意味ですが、'bring up' はより個人的な愛情や関与が感じられるニュアンスがあります。例えば、'She brought up a stray kitten.'(彼女は迷子の仔猫を育てた)のように使われます。日常会話でよく用いられます。
(嫌なこと)をどうにかしてする気になる、気乗りしないながらも~する
※ 心理的な抵抗があるものの、意志の力で行動に移すことを意味します。通常、否定的な文脈で使われ、何か困難な状況や不快な事柄を乗り越える際に用いられます。例えば、'I couldn't bring myself to tell her the truth.'(私はどうしても彼女に本当のことを言う気になれなかった)のように使われます。ややフォーマルな印象を与える表現です。
使用シーン
学術論文や研究発表で、先行研究や議論のポイントを「提起する」「言及する」という意味で使われます。例:ある研究論文で、過去の研究の限界点をbring up(指摘する)ことで、新たな研究の必要性を示す、といった場面が考えられます。また、議論や質疑応答で、重要な論点をbring up(持ち出す)ことがあります。
ビジネスシーンでは、会議やプレゼンテーションで議題を「提起する」、または部下の良い点や改善点を「話題に出す」際に使われます。例:会議で新しいプロジェクトのアイデアをbring up(提案する)、人事評価で部下の潜在能力をbring up(引き合いに出す)など。フォーマルな場面でも使用可能です。
日常会話では、子供を「育てる」という意味で頻繁に使われます。例: 'She brought up three children on her own.'(彼女は女手一つで3人の子供を育てた)。また、過去の話題や個人的な問題を「持ち出す」際にも使われます。例: 'Don't bring up that embarrassing story again!'(あの恥ずかしい話をまた持ち出さないで!)。この意味では、カジュアルな会話でよく使われます。
関連語
類義語
ある話題や事柄に『言及する』という意味。会議、会話、記事など、幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『bring up』よりもフォーマルで、中立的なトーン。『bring up』はよりカジュアルで、意図的に話題を持ち出すニュアンスがある。 【混同しやすい点】『mention』は単に言及するだけで、深く掘り下げないことが多い。一方、『bring up』は議論や検討のきっかけを作る意味合いを含むことがある。
子供や動物を『育てる』という意味。フォーマルな文脈や、育成に時間や労力をかけるニュアンスで使用される。 【ニュアンスの違い】『bring up』よりも形式ばった表現。また、『bring up』が単に育てるだけでなく、教育や躾を含む場合があるのに対し、『rear』はより生物学的な育成に重点を置くことがある。 【混同しやすい点】『rear』は『bring up』よりも使用頻度が低く、日常会話ではあまり使われない。また、比喩的な意味合いで使用されることは少ない。
子供や動物を『育てる』という意味で、『bring up』とほぼ同義。フォーマルからインフォーマルまで幅広く使用される。 【ニュアンスの違い】『raise』は『bring up』よりもやや直接的な印象を与える。また、『raise』は金銭的な援助や資金調達の意味も持つ。 【混同しやすい点】『raise』は他動詞としてのみ使用されるが、『rise』は自動詞として使用される。また、『raise a question』のように、『問題提起する』という意味でも使われる。
子供、才能、関係などを『育む』という意味。育成に愛情や配慮を込めるニュアンスで使用される。 【ニュアンスの違い】『bring up』よりも感情的なつながりや精神的な成長を重視する。『nurture』は、才能や潜在能力を引き出すニュアンスが強い。 【混同しやすい点】『nurture』は、物理的な育成だけでなく、精神的な成長や才能の開花を促す意味合いが強い。ビジネスシーンでは、人材育成や顧客との関係構築に使われる。
新しい話題やアイデアを『紹介する』という意味。会議、プレゼンテーション、論文などで使用される。 【ニュアンスの違い】『bring up』よりもフォーマルで、客観的な印象を与える。『introduce』は、新しい情報を提示し、議論の土台を作る意味合いが強い。 【混同しやすい点】『introduce』は、人を紹介する場合にも使われるが、『bring up』は人を紹介する意味では使われない。また、『introduce』は、体系的な説明や背景情報を含むことが多い。
話題を『切り出す』という意味。デリケートな話題や、話しにくい話題を持ち出す際に使われる。やや古風な表現。 【ニュアンスの違い】『bring up』よりも慎重な印象を与える。また、『broach』は、話題を持ち出す際に、相手の反応をうかがうニュアンスを含む。 【混同しやすい点】『broach』は、日常会話ではあまり使われない。また、フォーマルな場面でも、より一般的な『mention』や『raise』が好まれることがある。
派生語
名詞で「(子供の)育成、教育」という意味。「bring up」が名詞化し、育成期間全体を指すようになった。家庭環境や教育方針など、子供の成長に影響を与える要素を包括的に表す際に用いられる。日常会話よりも、教育や社会学の文脈で使われることが多い。
名詞で「成り上がり者、新参者」という意味。「up」と「start(始める)」が組み合わさり、低い地位から急に頭角を現した人を指す。しばしば軽蔑的なニュアンスを伴う。ビジネスや政治の世界で、既存の秩序を乱す存在として言及されることがある。
- bringer
「持ってくる人、もたらす人」という意味の名詞。「bring」に動作主を表す接尾辞「-er」がついた形。必ずしも「bring up」から直接派生したわけではないが、「bring」の基本的な意味を拡張した語。比喩的に、良い知らせや悪い知らせなど、何かをもたらす人を指す際に用いられる。フォーマルな文脈で見られる。
反意語
- put down
「(物を)置く、(人を)けなす」という意味。「bring up」が物理的に何かを持ち上げるのに対し、「put down」は物理的に何かを置く。比喩的には、人を育てる「bring up」に対して、人を貶める、けなすという意味で対立する。日常会話で頻繁に使われ、侮辱的な意味合いを含むことが多い。
「抑圧する、鎮圧する」という意味。「sub-(下へ)」と「press(押す)」が組み合わさり、感情や意見、運動などを力で抑えつけることを指す。「bring up」が何かを表面化させるのに対し、「suppress」は何かを隠蔽し、抑え込む。政治的な文脈や心理学の分野でよく用いられる。
「取り壊す、破壊する」という意味。「de-(下に)」と「molish(投げる)」が組み合わさり、物理的な構造物や、比喩的に計画や理論などを破壊することを指す。「bring up」が何かを建設的に育てるのに対し、「demolish」は破壊的な行為を意味する。建設、都市計画、議論などの文脈で使用される。
語源
"Bring up"は比較的シンプルな句動詞で、古英語に遡ることができます。 "Bring"はゲルマン祖語の*brenganąに由来し、「運ぶ」「持ってくる」といった意味を持ちます。一方、"up"は古英語のuppから来ており、文字通り「上へ」という意味ですが、ここでは「出現させる」「表面化させる」という抽象的な意味合いで使われています。
「話題に出す」という意味では、心に秘めていたことを表面に「持ち上げる」イメージです。例えば、会議で新しいアイデアをbring upすることは、そのアイデアを議論の場に「持ち込む」行為と言えます。「育てる」という意味では、子供を「上へ」成長させる、つまり、より良い状態へと導くイメージです。そして、「吐き出す」という意味では、胃の中のものを口まで「持ち上げる」という直接的な意味合いになります。このように、基本的な単語の組み合わせでありながら、"up"という方向性を示す言葉が、bringに様々な意味合いを加えています。
暗記法
「bring up」は単なる育成や話題提起に留まらず、英語圏の文化を映す鏡です。子供を「bring up」する行為は、人格形成と社会規範の伝承を意味し、親の社会的責任を象徴します。話題を「bring up」する際は、会話の均衡を揺るがす可能性を孕み、人間関係への影響を考慮する必要があるのです。この言葉の背景には、伝統的な価値観と社会的な機微が深く刻まれています。
混同しやすい単語
『bring up』と『bring』は、どちらも『bring』を含むため、意味と用法を混同しやすい。'bring up' は『(子供を)育てる』『(話題を)持ち出す』などの意味を持つ句動詞だが、'bring' は単に『持ってくる』という意味の動詞。句動詞と単独の動詞の違いを意識し、文脈で判断する必要がある。
『bring up』と『spring up』は、どちらも『up』を含む句動詞であり、またどちらも比喩的な意味合いを持つため混同しやすい。『spring up』は『急に現れる』『生じる』といった意味で、自動詞的に使われることが多い。一方、『bring up』は他動詞的に使われることが多い。例:問題が spring up(生じる)、子供を bring up(育てる)。
『bring』の過去形・過去分詞形である『brought』は、発音が似ているため混同しやすい。『bring up』は句動詞であり、過去形にする場合は『brought up』となる。発音記号を確認し、意識的に区別することが重要。また、意味も異なるため、文脈から判断する必要がある。
『bring』と『brink』は、スペルが似ており、特に急いで読んだり書いたりする際に混同しやすい。『brink』は『(崖などの)ふち』『瀬戸際』という意味の名詞であり、『bring』とは品詞も意味も異なる。語源的には関連はない。例えば、「破滅の brink(瀬戸際)」のように使われる。
『burp』は『げっぷをする』という意味の動詞、または名詞で『げっぷ』という意味ですが、『bring up』と発音が一部似ているため、特にリスニング時に混同しやすい可能性があります。また、意味も全く異なるため、文脈から判断する必要があります。 "Excuse my burp"(げっぷ失礼)のように使われます。
『brush up』は『(スキルなどを)磨き直す』という意味の句動詞で、『up』を含むため『bring up』と混同される可能性がある。どちらも何かを向上させるイメージがあるが、意味合いは異なる。『bring up』は育成や話題の提起、『brush up』は既存のスキルの再確認と向上に使われる。
誤用例
日本語の「(問題を)提起する」という表現を直訳的に捉え、「bring up」を使ってしまいがちです。確かに「bring up」には話題を出すという意味がありますが、よりフォーマルな場面や、問題提起のようなニュアンスには「raise」が適しています。日本語の「提起する」は、単に話題に出すだけでなく、問題点や議論の必要性を示唆するニュアンスを含むため、「raise an issue」のように表現する方が適切です。また、ビジネスシーンでは、より丁寧な言い方として "I'd like to bring this to your attention." なども使えます。日本語の丁寧語に引きずられて、不自然な英語になっていないか注意しましょう。
「bring up」は「(子供を)育てる」という意味で一般的に使われますが、「厳しく育てる」というニュアンスを伝えたい場合、よりフォーマルな「raise」を使う方が適切です。「bring up」は日常会話でよく使われるカジュアルな表現であり、フォーマルな場面や書き言葉では「raise」が好まれます。また、結果として「obedient(従順)」になったというより、「disciplined(規律正しい)」になったという方が、現代的な価値観に合致します。日本語の「育てる」は、親の意向に沿った人格形成を連想させがちですが、英語では個人の自律性を尊重する視点も重要です。
「bring up」は話題を出す、という意味で使えますが、過去の過ちなど、触れてほしくない話題を持ち出す場合は、より強いニュアンスを持つ「dredge up」が適切です。「dredge up」は、文字通り「(泥などを)さらい上げる」という意味で、過去の不快な出来事を蒸し返すようなニュアンスを含みます。日本語の「持ち出す」という言葉は、単に話題に出すことを意味しますが、英語では文脈によって、より感情的なニュアンスを伴う場合があります。特に、相手を不快にさせる可能性のある話題を持ち出す場合は、慎重な言葉選びが必要です。
文化的背景
「bring up」は、文字通りには「何かを持ち上げる」という意味ですが、文化的には「育成する」「話題に持ち出す」という、目に見えないものを育み、表出させるニュアンスを強く持ちます。この語句は、単に物理的な行為を表すだけでなく、社会的な責任や人間関係における機微を象徴する言葉として、英語圏の文化に深く根ざしています。
特に「bring up children(子供を育てる)」という用法は、単なる養育を超えた、人格形成や社会性を育むという文化的価値観を反映しています。かつて、子供は家庭という閉鎖的な空間で、親の価値観や社会の規範を直接的に教え込まれて育ちました。「bring up」には、そうした伝統的な子育てのイメージが残っており、単に「raise」よりも、より意識的で、価値観を伝承するというニュアンスが込められています。ヴィクトリア朝時代には、階級や道徳観が重視され、子供を「bring up」することは、親の社会的地位を維持し、向上させるための重要な義務とされていました。この時代、子供たちは厳格な教育を受け、社会規範に適合するように育てられ、それが親の成功の証と見なされたのです。
一方、「bring up a topic(話題を持ち出す)」という用法は、会話におけるパワーバランスや人間関係の機微を反映しています。デリケートな話題や議論を呼ぶ可能性のある事柄を「bring up」する際には、相手の感情や場の雰囲気を考慮する必要があります。例えば、家族の夕食時に政治的な話題を「bring up」することは、しばしば不和の種となりえます。この用法には、話題を持ち出すことによって、それまで均衡が保たれていた状況が変化する可能性があるという含みがあります。したがって、「bring up」は、単に情報を伝えるだけでなく、人間関係に影響を与える行為として認識されているのです。
現代社会においては、「bring up」は、より多様な意味合いを持つようになっています。例えば、企業における人材育成や、プロジェクトにおける問題提起など、より広い範囲で「育成」や「表出」を意味するようになりました。しかし、その根底には、伝統的な子育てのイメージや、会話におけるパワーバランスの意識が残っており、「bring up」という言葉を使う際には、その文化的背景を理解することが重要です。この言葉は、単なる語彙知識を超えて、英語圏の社会構造や人間関係を理解するための鍵となるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解、リスニング(会話形式)
- 頻度と級・パート: 準1級・1級で頻出。2級でも稀に出題される可能性あり。パートは問わず。
- 文脈・例題の特徴: 幅広いトピックで登場。フォーマルな文章から日常会話まで。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「育てる」「(話題を)持ち出す」など複数の意味を理解しておくこと。文脈によって意味が異なるため注意が必要。
- 出題形式: 主にPart 5(短文穴埋め問題)、Part 7(長文読解問題)。稀にPart 2(応答問題)
- 頻度と級・パート: Part 5, 7で中頻度。ビジネス関連の長文で登場しやすい。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンが中心。「(問題などを)提起する」「(会社を)設立する」などの意味合いで使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーンにおける類義語(raise, establishなど)との使い分けを意識すること。文脈から適切な意味を判断する練習が必要。
- 出題形式: 主にリーディングセクション。ライティングセクションでの使用も可能。
- 頻度と級・パート: リーディングセクションで中頻度。アカデミックな文章でよく見られる。
- 文脈・例題の特徴: 学術的な内容、論文、エッセイなど。抽象的な概念や議論の文脈で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「(証拠などを)提示する」「(問題などを)提起する」といった意味で使われることが多い。よりフォーマルな表現である点を意識すること。
- 出題形式: 主に長文読解問題。文法問題や語彙問題で問われることもある。
- 頻度と級・パート: 難関大学で頻出。標準的なレベルの大学でも出題される可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 様々なテーマの文章で登場。評論文、物語文、説明文など。
- 学習者への注意点・アドバイス: 基本的な意味に加え、比喩的な意味やニュアンスも理解しておくこと。文脈から適切な意味を判断する読解力が求められる。