asylum
第2音節にアクセントがあります。/ə/ は曖昧母音で、口を軽く開けて弱く発音します。/ˈsaɪ/ は二重母音で、/aɪ/ をはっきり発音することが重要です。最後の /ləm/ の /l/ は舌先を上の歯茎につけて発音し、/əm/ は口を軽く閉じて鼻から息を抜くように発音します。全体として、各音節を区切らず、滑らかにつなげるように意識しましょう。
専門的な内容に関するご注意
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避難
危険や迫害から逃れるための、安全な場所や保護を求めること。政治的な理由や宗教的な理由で自国を逃れた人が、他国に保護を求める状況で使われることが多いです。
She fled her dangerous country and found asylum in a peaceful land.
彼女は危険な国から逃れ、平和な土地で避難(亡命)場所を見つけました。
※ この例文は、個人が身の危険を感じて故郷を離れ、安全な場所(亡命先)を見つける状況を描いています。危険な場所からようやく安全な場所へたどり着いた時の、ほっとした気持ちが伝わってきますね。「fled」は「逃げる」という意味の「flee」の過去形です。asylumはこのように、政治的な理由などで安全な場所を求める文脈でよく使われます。
After the conflict, the border town became a safe asylum for many families.
紛争の後、その国境の町は多くの家族にとって安全な避難所となりました。
※ この例文では、asylumが「物理的な避難場所」として機能する様子を表しています。紛争で全てを失い、途方に暮れていた家族が、ようやく安全な場所を見つけ、安堵している情景が目に浮かびます。「conflict」は「紛争、衝突」という意味で、asylumが使われる典型的な背景の一つです。「became」は「~になる」という意味の「become」の過去形です。
The country opened its doors and offered asylum to people who needed a safe place.
その国は門戸を開き、安全な場所を必要としている人々に避難(亡命)を提供しました。
※ この例文は、国が人道的な理由で、危険な状況にある人々を受け入れる場面を描いています。「opened its doors」は「門戸を開く」という慣用句で、歓迎する、受け入れるという意味合いがあります。asylumはこのように、国が特定の理由で人々を保護し、滞在を許可する「亡命の受け入れ」という意味でも非常に頻繁に使われます。
保護施設
精神的な問題を抱える人や、社会的に弱い立場にある人々を保護・支援するための施設。病院や福祉施設などが該当します。
She found an asylum in a new country, seeking safety.
彼女は新しい国で、安全を求めて保護施設を見つけました。
※ この例文は、自国を離れて保護を求める人が、ようやく安全な場所(保護施設)を見つけた瞬間の安堵感を伝えます。asylum は、特に政治的な理由などで自国を離れた人が「保護」を求める場所として、現代のニュースなどでよく使われる典型的な文脈です。
The old church was turned into an asylum for war victims.
その古い教会は、戦争の犠牲者のための保護施設に変わりました。
※ 歴史ある教会が、戦争で家を失った人々を受け入れる「保護施設」へと姿を変えた様子が目に浮かびます。asylum は、災害や紛争など、緊急事態において人々が一時的に身を寄せる場所としても使われることがあります。'turned into' は「~に変わる」という意味で、何かが別のものに変化したことを表すときに便利です。
He hoped to find an asylum where he could feel truly safe.
彼は心から安全だと感じられる保護施設を見つけたいと願っていました。
※ この例文は、心から安心できる場所を求めてさまよっている男性の姿を描写しています。彼がどれほど安全な場所を必要としているか、その切実な気持ちが伝わります。asylum は、単に物理的な場所だけでなく、心理的な「安全」や「避難」を提供してくれる場所という意味合いも持ちます。'where he could feel truly safe' は「彼が本当に安全だと感じられる場所」という意味で、asylum を詳しく説明しています。
コロケーション
亡命を求める、政治的避難を求める
※ この表現は、個人が自国での迫害や危険から逃れ、他国に保護を求める行為を指します。動詞「seek」は「探し求める」「要求する」という意味合いを持ち、単に「get asylum」と言うよりも、その人の能動的な意志や行動が強調されます。政治的な文脈や報道で頻繁に使われ、口語よりもフォーマルな表現です。例えば、『He sought asylum in Canada after facing political persecution.(彼は政治的迫害に直面した後、カナダに亡命を求めた)』のように使われます。
亡命を許可する、政治的避難を認める
※ この表現は、ある国が亡命希望者に対して保護を与える行為を指します。動詞「grant」は「与える」「許可する」という意味合いを持ち、受け入れ国側の決定権や裁量が強調されます。国際法や人道的な文脈でよく用いられ、政府や国際機関の声明などで見られます。例えば、『The government granted asylum to the refugees fleeing the war.(政府は戦争から逃れてきた難民に亡命を許可した)』のように使われます。
政治亡命、政治的避難
※ これは最も一般的なコロケーションの一つで、「asylum」がどのような理由で求められているのかを明確にする表現です。「political」という形容詞がつくことで、宗教的、民族的、性的指向など、他の理由による亡命とは区別されます。報道や法律文書で頻繁に使用されます。例えば、『She was granted political asylum due to her activism.(彼女は活動家としての活動が理由で政治亡命を認められた)』のように使われます。
亡命を申請する
※ 「seek asylum」と似ていますが、「apply for」はより公式な手続きを伴うニュアンスを含みます。亡命希望者が正式に申請書類を提出し、審査を受けるプロセスを指します。移民法や行政手続きに関する文脈でよく使われます。例えば、『They applied for asylum upon arrival at the airport.(彼らは空港に到着後、亡命を申請した)』のように使われます。
亡命希望者
※ これは亡命を申請し、その審査結果を待っている人を指す名詞です。まだ亡命が認められていない状態の人々を指すため、難民(refugee)とは区別されます。報道や人道支援団体の報告書などで頻繁に使用されます。例えば、『The asylum seekers are facing difficult living conditions.(亡命希望者たちは困難な生活状況に直面している)』のように使われます。
亡命を拒否する
※ 亡命申請を却下することを意味します。国の移民政策や国際法との関連で議論されることが多い表現です。ニュース記事や政治的な議論でよく見られます。例えば、『The country has been criticized for refusing asylum to war refugees.(その国は、戦争難民への亡命を拒否したことで批判されている)』のように使われます。
一時的な亡命
※ 特定の期間のみ亡命を許可することを指します。紛争や災害など、一時的な危機から逃れてきた人々に対して、状況が改善するまでの間、保護を与える場合に用いられます。例えば、『Due to the ongoing civil war, many citizens were granted temporary asylum in neighboring countries.(内戦が続いているため、多くの市民が近隣諸国で一時的な亡命を認められた)』のように使われます。
使用シーン
政治学、社会学、法学などの分野で、国際関係、人権、難民問題などを扱う際に「亡命」「庇護」の意味で使用される。「〇〇国は政治的迫害を受けた人々にasylumを提供している」のように、学術論文や研究発表で用いられる。
ビジネスの文脈では、直接的に「asylum」が使われる場面は少ない。ただし、企業の社会貢献活動(CSR)や人権に関する報告書などで、間接的に難民支援や人道支援の取り組みについて言及する際に登場する可能性がある。「当社の基金は、〇〇を通じてasylum seekers(庇護希望者)を支援しています」のように、フォーマルな文書で使用される。
日常会話で「asylum」という単語を使う機会はほとんどない。ニュースやドキュメンタリー番組などで、難民問題や国際紛争に関する報道に触れる際に耳にする程度。「〇〇国がasylumを求めてきた人々を受け入れている」のように、やや硬い表現として用いられることが多い。
関連語
類義語
危険や迫害からの避難場所、または避難そのものを指します。物理的な場所(建物、地域)だけでなく、比喩的な意味(心の安らぎ)でも使われます。日常会話、ニュース記事、文学作品など、幅広い場面で見られます。 【ニュアンスの違い】"asylum"が政治的な迫害からの保護を特に指すのに対し、"refuge"はより広い意味での安全な場所を意味します。感情的な苦痛や経済的な困難からの避難にも使えます。 【混同しやすい点】"refuge"は可算名詞としても不可算名詞としても使えますが、"asylum"は通常、特定の場所や制度を指す場合は可算名詞、保護そのものを指す場合は不可算名詞として使われます。また、"refuge"は動詞としても使われ、「避難する」という意味になります。
悪天候、危険、攻撃などから身を守るための場所、または保護そのものを指します。一時的な避難場所や、緊急時の保護を意味することが多いです。日常会話、ニュース、災害関連の記事などでよく使われます。 【ニュアンスの違い】"asylum"が国家による保護を意味するのに対し、"shelter"はより一時的で物理的な保護を意味します。嵐からの避難、ホームレスシェルターなどが典型的な例です。 【混同しやすい点】"shelter"は動詞としても名詞としても使われます。動詞としては「保護する」、名詞としては「避難場所」という意味です。"asylum"は動詞としてはあまり使われません。
聖域、避難所、保護区を意味します。教会や寺院などの宗教的な場所が歴史的に避難場所として機能したことから、神聖な場所、安全な場所というニュアンスがあります。文学作品や歴史的な文脈でよく見られます。 【ニュアンスの違い】"asylum"が法的な保護を強調するのに対し、"sanctuary"は宗教的、道徳的な保護を強調します。また、動物保護区のように、特定の種や環境を保護する場所としても使われます。 【混同しやすい点】"sanctuary"は、政治的な意味合いよりも、宗教的、倫理的な意味合いが強いです。また、近年では「サンクチュアリ都市」のように、不法移民に対する保護を提供する都市を指す言葉としても使われます。
安全な場所、避難港、安息の地を意味します。嵐を避けるための港、喧騒から離れた静かな場所など、穏やかで平和なイメージがあります。文学作品や旅行関連の記事などで使われます。 【ニュアンスの違い】"asylum"が迫害からの保護を意味するのに対し、"haven"はより穏やかで快適な避難場所を意味します。精神的な安らぎやリラックスできる場所というニュアンスがあります。 【混同しやすい点】"haven"は、物理的な場所だけでなく、精神的な安らぎの場所としても使われます。例えば、「a haven of peace」のように使われます。
保護、防御、保護措置を意味します。危険や損害から守る行為や状態を指します。幅広い文脈で使用され、日常会話からビジネス、法律まで様々な場面で見られます。 【ニュアンスの違い】"asylum"が国家による庇護を意味するのに対し、"protection"はより一般的な保護を意味します。例えば、保険による保護、セキュリティシステムによる保護などがあります。 【混同しやすい点】"protection"は不可算名詞として使われることが多いですが、具体的な保護手段を指す場合は可算名詞として使われることもあります。また、"protection"は動詞"protect"の名詞形であり、動詞との関連性を意識することが重要です。
- safe house
秘密裏に保護を提供する場所。スパイ、犯罪者、証人などが一時的に隠れるために使用されることが多い。映画や小説などのフィクション作品でよく登場する。 【ニュアンスの違い】"asylum"が政府や国際機関による公式な保護を指すのに対し、"safe house"は非公式で秘密裏の保護を意味します。法的な手続きや公的な記録を伴わないことが多いです。 【混同しやすい点】"safe house"は、特定の目的のために一時的に使用される隠れ家的な場所を指します。長期的な保護を目的とする"asylum"とは異なり、緊急避難的な意味合いが強いです。
派生語
『孤立させる』『絶縁する』という意味の動詞。語源的には『島にする』という意味合いから派生し、『asylum』の『保護する場所』というニュアンスが、転じて『隔離する』という意味に発展。電気や熱の絶縁、人や組織を外部から遮断する状況で使われる。ビジネスや技術文書で頻出。
『島のような』『偏狭な』という意味の形容詞。『insulate』と同様に『島』の語源から派生し、地理的な孤立から、考え方や視野が狭いことを指す比喩的な意味合いで使用される。学術論文や文学作品で、文化的な偏見や排他性を表す際に用いられる。
『追放』『亡命』という意味の名詞および動詞。『asylum』が保護を意味するのに対し、『exile』は強制的な国外追放を意味する。政治的な理由や犯罪によって国を追われる状況を表し、ニュースや歴史的な文脈でよく使われる。語源的には『外へ』という意味の接頭辞『ex-』と関連がある。
反意語
『危険』という意味の名詞。『asylum』が安全な場所を提供するのに対し、『danger』は危険な状態を指す。物理的な危険だけでなく、精神的な危険やリスクも含む。日常会話からビジネス、学術論文まで幅広く使われる基本的な語彙。
『迫害』という意味の名詞。『asylum』が保護を意味するのに対し、『persecution』は不当な扱いを受け苦しめられる状態を指す。特に宗教的、政治的な理由による迫害を意味し、歴史的な文脈や人権に関する議論でよく使われる。
『暴露』『さらされること』という意味の名詞。『asylum』が隠れ家、保護された場所というニュアンスを持つことに対し、『exposure』は危険や不利益にさらされる状況を指す。メディアで秘密や不正が暴露される状況、あるいは危険な環境に身をさらす状況などで使用される。
語源
「asylum」は、ギリシャ語の「asylon」(聖域、不可侵の場所)に由来します。これは「a-」(〜がない)+「sylon」(略奪の権利、強制連行)から成り立っています。つまり、元々は「略奪されない場所」「安全な場所」という意味合いでした。この概念がラテン語に取り入れられ、「asylum」として英語に伝わりました。当初は寺院や聖域など、神聖な保護を提供する場所を指していましたが、そこから転じて、政治的な迫害や危険から逃れてきた人々に対する避難場所、保護施設という意味を持つようになりました。現代では、精神病院などの収容施設を指すこともありますが、根底にあるのは「安全な場所を提供する」という概念です。
暗記法
「asylum」は、迫害からの避難場所であると同時に、自由と尊厳を求める闘いの場。中世の修道院に起源を持ち、聖域として人々を保護しました。宗教改革以降、信仰の自由を求めて新大陸へ渡る人々も。文学では『レ・ミゼラブル』に登場し、亡命者の苦悩や解放の象徴として描かれます。現代では国際法で保護される権利ですが、移民問題と絡み、常に議論の的に。人間の尊厳、人道的責任、グローバルな連帯を映す言葉です。
混同しやすい単語
『asylum』とスペルが似ており、特に語尾の '-lum' と '-sion' が混同されやすい。また、両単語とも抽象的な概念を表すため、意味の誤認も起こりやすい。『illusion』は『錯覚』や『幻想』を意味する名詞で、視覚的なものや思い込みによるものを指すことが多い点が異なります。日本人学習者は、スペルの違いを意識し、文脈から意味を判断するようにしましょう。語源的には、'illusion'はラテン語の'illudere'(からかう、欺く)に由来し、'asylum'はギリシャ語の'asylon'(不可侵の場所)に由来するため、根本的に異なる語源を持つ単語です。
『asylum』と最初の 'as-' の部分が共通しているため、スペルを見たときに混同しやすい。また、動詞であるため、品詞が異なります。『assign』は『割り当てる』や『任命する』という意味で、仕事や役割などを特定の人に与える際に使用されます。日本人学習者は、文法的な構造を意識することで、品詞の違いから意味を区別することができます。'assign'はラテン語の'signare'(印をつける)に由来し、'asylum'とは語源が異なります。
『asylum』と発音が似ていると捉える学習者もいるかもしれません。特に、先頭の 'a' の音を曖昧母音で発音する場合に、混乱が生じやすい可能性があります。『aisle』は『通路』という意味で、スーパーマーケットや教会などで見られる、座席や棚の間の細長い空間を指します。スペルも発音も異なるため、視覚的・聴覚的に区別することが重要です。'aisle'はラテン語の'ala'(翼)に由来し、'asylum'とは全く異なる語源です。
『asylum』と最初の 'as-' の部分が共通しているため、スペルを見たときに混同しやすい。また、どちらも抽象的な概念を表す場合があるため、意味の誤認も起こりやすい。『assume』は『仮定する』や『思い込む』という意味で、根拠がない状態で何かを事実として受け入れることを指します。動詞である点も異なります。日本人学習者は、文脈から意味を判断し、動詞と名詞の違いを意識することが重要です。'assume'はラテン語の'sumere'(取る)に由来し、'asylum'とは語源が異なります。
『asylum』と語尾の音節の響きが似ているため、発音を聞いたときに混同しやすい可能性があります。特に、母音の音価が曖昧な場合に、類似性が高く感じられます。『silence』は『沈黙』という意味で、音がない状態や、発言がない状態を指します。スペルも意味も異なるため、注意が必要です。'silence'はラテン語の'silentium'に由来し、'asylum'とは全く異なる語源です。
『asylum』と語尾の '-sylum' と '-stem' のスペルが視覚的に似ているため、混同しやすい可能性があります。どちらも名詞ですが、『system』は『組織』や『体系』を意味し、複数の要素が相互に関連し合って機能するものを指します。日本人学習者は、スペルの細部を意識し、文脈から意味を判断するようにしましょう。 'system'はギリシャ語の'systema'(組み合わせ)に由来し、'asylum'とは全く異なる語源です。
誤用例
『asylum』は政治的迫害や宗教的理由など、生命の危険が及ぶ状況からの保護を求める場合に用いられます。単に『避難』『休憩』といった意味で使うのは不適切です。日本語の『アジール』という言葉が持つニュアンス(聖域、駆け込み寺)に引きずられると、日常的な避難場所に対しても使いがちですが、英語の『asylum』はより深刻な状況を指します。ここでは、より一般的な『refuge』を使うのが適切です。
『asylum』は名詞であり、動詞として使うことはできません。亡命を『与える』という意味で使いたい場合は、動詞『grant』を伴い、『grant asylum』という形で表現する必要があります。日本人が『asylum』を動詞的に捉えてしまう背景には、名詞を動詞として転用する日本語の傾向が影響していると考えられます(例: アップする、メールする)。英語では、名詞と動詞の区別がより明確であり、特にフォーマルな文脈では注意が必要です。
『asylum』は保護や避難を意味しますが、日常的なストレスからの癒しや慰めを求める文脈には不適切です。このような場合には、『solace(慰め)』や『respite(休息)』といった語がより適切です。日本人が『asylum』を『心の避難場所』のような意味で捉えがちなのは、日本語の『精神的な拠り所』という概念に影響されている可能性があります。英語では、具体的な保護を意味する『asylum』と、精神的な癒しを意味する『solace』は明確に区別されます。
文化的背景
「asylum(アサイラム)」は、単なる避難場所ではなく、政治的・宗教的な迫害から逃れてきた人々にとって、自由と尊厳を求めて闘う場所、そして新たな人生を築き始める場所という、希望と絶望が交錯する象徴的な意味合いを持ちます。その歴史は、国家という概念が形成される以前から存在し、中世の修道院が迫害された人々を保護したことに遡ります。
初期の「asylum」は、教会や寺院など、神聖な場所が提供する庇護を意味していました。これらの場所は、法の及ばない聖域とされ、犯罪者や債務者を含むあらゆる人々が一時的な保護を求めて逃げ込むことができました。しかし、近代国家が成立し、法の支配が確立されるにつれて、「asylum」の概念は変化し、政治的・宗教的な迫害から逃れてきた人々を保護するという、より限定的な意味合いを持つようになりました。特に、17世紀の宗教改革以降、ヨーロッパ各地で宗教的な対立が激化し、多くの人々が信仰の自由を求めて「asylum」を求めました。アメリカ大陸への移住も、その大きな流れの一つです。
文学作品においても、「asylum」は重要なテーマとして扱われてきました。例えば、ヴィクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル』では、主人公のジャン・バルジャンが教会に逃げ込み、司教の慈悲によって救われる場面が描かれています。また、現代文学においては、政治的な亡命者の苦悩や葛藤を描いた作品が多く存在し、「asylum」は抑圧からの解放、そしてアイデンティティの喪失と再生といったテーマと深く結びついています。映画の世界でも、アルフレッド・ヒッチコックの『鳥』のように、閉鎖された「asylum」を舞台に、人間の狂気や社会の暗部を描いた作品が存在します。
現代社会において、「asylum」は国際法によって保護された権利であり、国家は難民を受け入れ、保護する義務を負っています。しかし、その運用は政治的な状況や社会の感情によって左右されやすく、常に議論の的となっています。近年では、移民・難民問題が深刻化する中で、「asylum」を求める人々の数は増加しており、受け入れ国の負担や社会統合の問題が表面化しています。そのため、「asylum」は、単なる法的概念にとどまらず、人間の尊厳、人道的責任、そしてグローバルな連帯といった、現代社会が抱える根源的な課題を象徴する言葉として、その重要性を増しています。
試験傾向
準1級以上で出題される可能性あり。
1. 出題形式:主に長文読解問題。稀に語彙問題。
2. 頻度と級・パート:準1級以上。長文読解パート。
3. 文脈・例題の特徴:社会問題、政治、国際関係などのアカデミックな文脈で登場。
4. 学習者への注意点・アドバイス:名詞としての「亡命」「避難」の意味だけでなく、動詞としての「保護する」の意味も理解しておく必要がある。関連語の「refugee」(難民)と合わせて学習すると効果的。
TOEICでは出題頻度は低め。
1. 出題形式:長文読解問題(Part 7)。
2. 頻度と級・パート:ほぼ出題されない。
3. 文脈・例題の特徴:ビジネス関連の長文で、海外進出や国際的な問題を取り扱う場合に稀に登場する可能性はある。
4. 学習者への注意点・アドバイス:TOEIC対策としては優先順位は低い。もし出会った場合は、文脈から意味を推測するように努める。
TOEFL iBTのリーディングで頻出。
1. 出題形式:リーディングセクションの長文読解問題。
2. 頻度と級・パート:リーディングセクションで頻出。
3. 文脈・例題の特徴:政治、社会、歴史、文化など、アカデミックな文脈で登場。難民問題や国際関係に関する文章でよく見られる。
4. 学習者への注意点・アドバイス:名詞としての意味(亡命、避難)を正確に理解することが重要。文脈から意味を判断する練習が必要。
難関大学の入試で出題される可能性あり。
1. 出題形式:主に長文読解問題。文脈推測問題や内容一致問題として問われる。
2. 頻度と級・パート:難関大学の入試問題で稀に出題される。
3. 文脈・例題の特徴:社会問題、国際関係、歴史などのテーマで登場。
4. 学習者への注意点・アドバイス:文脈から意味を推測する能力が重要。類義語や関連語(refuge, sanctuaryなど)と合わせて学習すると理解が深まる。