このページは、歴史や文化の物語を楽しみながら、その文脈の中で重要な英単語を自然に学ぶための学習コンテンツです。各セクションの下にあるボタンで、いつでも日本語と英語を切り替えることができます。背景知識を日本語で学んだ後、英語の本文を読むことで、より深い理解と語彙力の向上を目指します。
利益追求だけでなく、貧困や環境問題といった社会課題の解決をmission（使命）とする新しい企業のかたち。
この記事で抑えるべきポイント
- ✓社会的企業とは、利益追求だけでなく、貧困や環境問題といった社会課題の解決を第一の目的（Mission）として事業活動を行う、新しい組織形態を指します。
- ✓営利企業と非営利組織（NPO）の中間的な存在とされ、事業で得た利益を活動の継続や拡大に再投資することで、持続可能な社会貢献を目指すという特徴があります。
- ✓社会的企業の事業モデルは、公正な取引を保証するフェアトレード、貧困層向けの小口融資マイクロファイナンス、障がい者雇用など多岐にわたります。
- ✓SDGsへの関心の高まりや、倫理的な消費（Ethical Consumption）を重視する消費者の増加が、社会的企業の成長を後押ししているという側面も指摘されています。
社会的企業とは ― ビジネスで社会課題を解決する
もし、あなたが日々使う商品やサービスが、世界の誰かを支え、地球環境を守ることに繋がるとしたら？そんな問いかけから、この記事は始まります。ビジネスの世界では、長らく「利益（profit）」の追求が第一とされてきました。しかし今、利益だけではなく、社会的な「使命（mission）」を事業の核に据える、新しいビジネスのかたちが注目されています。それが「社会的企業」です。この探求に、ご一緒しましょう。
What is a Social Enterprise? - Solving Social Issues with Business
What if the products and services you use every day could support someone in the world and help protect the global environment? This article begins with that very question. For a long time, the pursuit of 'profit' has been paramount in the business world. But now, a new form of business is gaining attention—one that places a social 'mission' at its core, not just profit. This is the 'social enterprise.' Let's embark on this exploration together.
「社会的企業」とは何か？ ― 利益と貢献のハイブリッド
社会的企業（Social Enterprise）とは、貧困、環境問題、教育格差といった社会課題の解決を第一の目的として事業活動を行う組織のことです。一般的な営利企業と、寄付を主な活動資金とする非営利組織（NPO）の中間に位置づけられます。
What is a 'Social Enterprise'? - A Hybrid of Profit and Contribution
A Social Enterprise is an organization that conducts business activities with the primary goal of solving social issues such as poverty, environmental problems, and educational disparities. It is positioned between a typical for-profit company and a non-profit organization (NPO) that relies mainly on donations for funding.
なぜ今、注目されるのか ― 社会的企業の歴史と現代的意義
社会的企業が現代において注目される背景には、政府や市場の力だけでは解決が難しい、複雑な社会課題の存在があります。グローバル化が進む一方で深刻化する格差や、待ったなしの気候変動問題など、私たちの社会は多くの課題に直面しています。
Why is it in the Spotlight Now? - The History and Modern Significance of Social Enterprises
The reason social enterprises are gaining attention today lies in the existence of complex social issues that are difficult to solve through the efforts of governments and markets alone. While globalization advances, our society faces numerous challenges, such as worsening inequality and the urgent problem of climate change.
ビジネスで世界を変える ― 世界と日本の社会的企業の事例
社会的企業の活動は、実に多岐にわたります。例えば、バングラデシュのグラミン銀行は、貧困層に無担保で小口融資を行う「マイクロファイナンス」の仕組みを広め、多くの人々の自立を支援しました。このような新しい領域に挑む社会的企業は、時に「ソーシャルベンチャー（venture）」とも呼ばれます。
Changing the World with Business - Examples of Social Enterprises in the World and Japan
The activities of social enterprises are incredibly diverse. For example, Grameen Bank in Bangladesh spread the 'microfinance' model of providing small, unsecured loans to the poor, supporting the self-reliance of many. Social enterprises that take on such new frontiers are sometimes called 'social ventures.'
結論
この記事では、利益追求だけではない、使命を掲げる社会的企業の世界を探求してきました。彼らは、寄付に頼るのではなく、事業そのもので収益を上げ、活動を継続していく「持続可能な（sustainable）」モデルを目指しています。
Conclusion
In this article, we have explored the world of social enterprises, which are driven by a mission, not just the pursuit of profit. They aim for a 'sustainable' model by generating revenue through their business itself to continue their activities, rather than relying on donations.
テーマを理解する重要単語
mission
「利益(profit)追求」と対比される形で、社会的企業の存在意義そのものを表す最重要単語です。この記事では、ビジネスの核に据えるべき「社会的な使命」として登場します。この単語を理解することで、なぜ社会的企業が従来の営利企業と一線を画すのか、その本質を深く捉えることができます。
文脈での用例:
The company's mission is to provide affordable healthcare for everyone.
その会社の使命は、誰もが利用しやすい価格の医療を提供することです。
pursuit
「追求」を意味し、特に時間や労力をかけて何かを追い求めるニュアンスを持ちます。記事冒頭の「the pursuit of 'profit'（利益の追求）」という表現は、ビジネス界の長年の価値観を象徴しています。社会的企業の登場が、この「追求」の対象を利益から使命へとどう変えたのかを考える上で重要な単語です。
文脈での用例:
The pursuit of happiness is a fundamental human right.
幸福の追求は基本的人権です。
venture
「冒険的事業」を指し、特に新しいビジネスモデルに挑戦する新興企業を指します。この記事では「ソーシャルベンチャー」という形で登場し、社会的企業が持つ、リスクを恐れず未知の領域に挑む開拓者精神を強調しています。イノベーションと密接に関連する概念として捉えることが重要です。
文脈での用例:
Starting a new business is always a risky venture.
新しい事業を始めることは、常にリスクを伴う冒険です。
impact
ビジネスが社会に与える「影響」や「効果」を指します。特に社会的企業では、利益だけでなく、どれだけ社会課題を解決し良い変化を生み出したかという「ソーシャルインパクト」が重要な成果指標となります。企業の真の価値を測る新しい物差しとして理解することが、この記事の読解に不可欠です。
文脈での用例:
The new law will have a significant impact on the economy.
新しい法律は経済に大きな影響を与えるだろう。
enterprise
単に「会社」を意味するだけでなく、特に困難だが重要な計画や事業、つまり「企て」というニュアンスを含みます。この記事の「Social Enterprise」という言葉は、社会課題解決という壮大な企てにビジネスで挑む組織の性質を的確に表現しており、その挑戦的な姿勢を理解する鍵となります。
文脈での用例:
Starting a new business is a risky enterprise.
新しい事業を始めることは、リスクの大きい企てです。
innovation
社会的使命と経済的持続可能性という「二重の目標」を追求する挑戦の中から生まれる「革新」を指します。この記事では、社会的企業が従来のビジネスの枠組みにとらわれず新しい解決策を生み出す原動力として描かれています。彼らの活動がなぜ社会を変える力を持つのか、その核心に触れる単語です。
文脈での用例:
Technological innovation is key to the company's success.
技術革新がその会社の成功の鍵です。
disparity
「格差」や「不均衡」を意味し、特に社会的・経済的な不平等を指す際に使われます。記事では、社会的企業が取り組む課題の一つとして「educational disparities（教育格差）」が挙げられています。貧困や環境問題と並ぶ、現代社会が抱える具体的な課題を理解するための語彙として重要です。
文脈での用例:
The growing disparity between the rich and the poor is a major social issue.
富裕層と貧困層の格差拡大は、大きな社会問題です。
ethical
「倫理的な」という意味で、特に「ethical consumption（倫理的消費）」の文脈で重要です。商品の価格や品質だけでなく、その背景にある労働環境や環境への配慮などを重視する消費行動を指します。この記事では、社会的企業を後押しする現代の価値観の変化を象徴するキーワードとなっています。
文脈での用例:
Scientists face many ethical dilemmas in their research.
科学者は研究において多くの倫理的ジレンマに直面する。
sustainable
「持続可能な」という意味で、この記事の結論を象徴する単語です。社会的企業が寄付に頼らず、事業収益で活動を継続していく「持続可能なモデル」を目指している点を強調しています。経済的・環境的・社会的な持続可能性は、現代社会を読み解く上で欠かせない視点と言えるでしょう。
文脈での用例:
We need to find a sustainable source of energy.
私たちは持続可能なエネルギー源を見つける必要があります。
paramount
「最も重要な」「最高の」という意味を持つ形容詞です。この記事では、ビジネスの世界で長らく利益追求が「paramount」であったと述べることで、社会的企業が登場する以前の価値観を強調しています。新しい価値観の登場を際立たせるための、効果的な比較表現として機能している点を理解しましょう。
文脈での用例:
In any emergency, the safety of passengers is of paramount importance.
いかなる緊急時においても、乗客の安全が最重要事項です。
stakeholder
株主(shareholder)だけでなく、従業員、顧客、地域社会など事業に関わる全ての人々を指す「利害関係者」です。社会的企業が株主の利益のみを追求しない、先進的な経営姿勢を示す上で極めて重要な概念です。この違いを理解することが、社会的企業の包括的な価値観を把握する第一歩となります。
文脈での用例:
We need to consult with all the stakeholders before making a final decision.
最終決定を下す前に、すべての利害関係者と協議する必要がある。
framework
「枠組み」や「構造」を意味します。この記事では、社会的企業が「conventional frameworks（従来の枠組み）」にとらわれずに革新を生み出すと説明されています。ビジネスの常識や既存の社会システムといった「枠組み」を打ち破ろうとする彼らの挑戦を理解する上で、鍵となる言葉です。
文脈での用例:
We need to establish a legal framework to deal with this issue.
我々はこの問題に対処するための法的枠組みを確立する必要がある。