wound
この単語には、名詞(傷)と動詞(傷つける)の用法があります。母音 /uː/ は日本語の「ウ」よりも長く伸ばし、口を少しすぼめて発音します。語尾の 'nd' は、日本語話者にはやや難しい連続子音ですが、'n' の後に軽く 'ド' を添えるイメージで発音すると、より自然になります。特に、名詞の複数形 'wounds' は /wuːndz/ となり、最後の 'z' の発音も忘れずに。
専門的な内容に関するご注意
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傷
物理的な怪我、または精神的な苦痛を指す。外傷だけでなく、心の傷跡としても使われる。
My little daughter cried when she fell and got a small wound on her knee.
うちの幼い娘は、転んで膝に小さな傷ができたとき、泣きました。
※ 小さなお子さんが転んで、膝に擦り傷ができた場面ですね。'wound'は、このように転んだりぶつかったりしてできる体の「傷」を表すのにとてもよく使われます。'small wound'(小さな傷)のように、形容詞と一緒に使うことで、どんな傷か具体的に伝えられます。
The nurse carefully cleaned the wound on the patient's arm.
看護師が患者の腕の傷を丁寧に消毒しました。
※ これは病院での治療の場面です。'clean the wound'(傷を消毒する/きれいにする)は、医療現場でよく使われる典型的な表現です。'patient'(患者)や'nurse'(看護師)といった単語も、この文脈と相性が良いですね。
After the accident, he found a painful wound on his leg.
事故の後、彼は足に痛々しい傷があるのを見つけました。
※ こちらは事故や怪我の後の状況です。'painful wound'(痛い傷)のように、その傷がどんな状態かを表す形容詞と一緒に使うことで、より鮮明なイメージが伝わります。'find a wound'(傷を見つける)も自然な表現です。
傷つける
物理的に傷つける行為、または感情的に相手を傷つける行為を指す。意図的な場合も、そうでない場合も含む。
He accidentally wounded his finger while cutting vegetables.
彼は野菜を切っている最中に、うっかり指を傷つけてしまいました。
※ この例文は、日常生活で起こりうる、不注意による身体的な怪我の場面を描いています。料理中に包丁で指を切ってしまうような、誰もが経験しそうな「うっかり」の状況が目に浮かびますね。「wound」は、このように鋭利なものなどで身体の一部に傷をつける動作によく使われます。過去形'wounded'で使われています。
The cat accidentally wounded his arm with its sharp claws.
その猫は誤って彼の腕を鋭い爪で傷つけました。
※ この例文では、動物が人間に怪我をさせる状況が描かれています。猫がじゃれていたり、驚いたりした拍子に、鋭い爪で引っ掻いてしまうような場面を想像できますね。「wound」は、このように他者(この場合は動物)が原因で身体に傷がつく場合にも自然に使われます。主語が「The cat」と、傷つけた対象であることがポイントです。
His harsh words deeply wounded her feelings.
彼のきつい言葉は彼女の感情を深く傷つけました。
※ この例文は、「wound」が物理的な傷だけでなく、精神的な「心の傷」にも使われることを示しています。誰かのきつい言葉や行動によって、心が深く傷つくような、感情的な痛みを伴う場面が目に浮かびますね。特に「feelings(感情)」と一緒に使われることが多く、人間関係の中で生じる心の痛みを表現する際によく使われる典型的な表現です。
コロケーション
大きく口を開けた傷
※ 「gape」は口や穴などが大きく開く様子を表す動詞で、「gaping wound」は見た目にも痛々しい、深くて大きな傷を意味します。単に「a large wound」と言うよりも、傷の深刻さや危険性を強調するニュアンスがあります。事故や暴力事件の報道などで比較的よく使われます。
浅い傷、命に別状のない傷
※ 「flesh」は肉を意味し、「flesh wound」は皮膚の表面に近い、比較的浅い傷を指します。映画や小説などでは、登場人物が危機的な状況でも「It's just a flesh wound!(かすり傷だ!)」と強がる場面でよく使われます。ただし、医学的には見た目よりも深刻な場合もあるので注意が必要です。
傷を癒す、敗北から立ち直る
※ 動物が傷口を舐めて治癒を促す様子からきた比喩表現で、失恋や仕事での失敗など、精神的な痛手から回復しようとすることを意味します。「He's licking his wounds after the election loss.(彼は選挙での敗北から立ち直ろうとしている)」のように使われます。しばしば、一人で静かに過ごす時間を持つことを含意します。
傷を負わせる
※ 「inflict」は(苦痛や損害などを)与えるという意味の動詞で、「inflict a wound」は物理的な傷だけでなく、精神的な傷を与える場合にも使われます。「He inflicted a deep wound on her reputation.(彼は彼女の評判に深い傷を負わせた)」のように、比喩的な意味合いで用いられることも多いです。フォーマルな場面や報道などでよく使われます。
傷を癒す
※ 物理的な傷が治るだけでなく、精神的な傷や関係の修復を意味することもあります。「Time heals all wounds.(時がすべての傷を癒す)」という諺は有名です。医療関係のニュースや、人間関係の回復に関する文脈でよく見られます。
傷の手当をする
※ "Dress" はここでは動詞で、傷口を洗浄し、包帯や絆創膏などで保護することを意味します。応急処置や医療現場で用いられる、ごく一般的な表現です。First aid training(応急処置訓練)などで頻繁に登場します。
自傷行為、自業自得
※ "Self-inflicted" は「自分で負った」という意味で、文字通り自分で自分を傷つける行為を指すこともありますが、比喩的には、自分の不注意や誤った判断によって招いた災難や失敗を意味することが多いです。政治的な失言や、ビジネス上の戦略ミスなどを指して使われることがあります。
使用シーン
医学論文や生物学の研究で、組織や細胞の損傷について記述する際に使われます。「創傷治癒のメカニズム」や「外傷性脳損傷の影響」といったテーマで登場します。また、歴史学において戦争や紛争による人的被害を記述する際にも用いられます。
ビジネスシーンでは、比喩的な意味合いで使われることが多いです。例えば、「今回のプロジェクトの失敗は、会社の評判に大きな傷(wound)をつけた」のように、損害や悪影響を表す際に用いられます。報告書やプレゼンテーションなど、比較的フォーマルな場面での使用が想定されます。
日常会話では、直接的な身体的な傷について話す場合に用いられます。「転んで膝に傷(wound)を作ってしまった」や「猫に引っかかれて傷になった」のように、具体的な状況を説明する際に使われます。ただし、より一般的な「傷(けが)」という意味では、"injury"や"cut"の方が頻繁に使われます。
関連語
類義語
一般的に身体的な損傷を指す名詞。事故、暴力、スポーツなど、さまざまな原因による怪我全般を広く表します。日常会話、ニュース、医療現場など、幅広い場面で使用されます。 【ニュアンスの違い】"wound"よりも一般的な語で、外傷だけでなく内臓の損傷なども含みます。また、感情的な傷を表す比喩的な意味合いは薄いです。 【混同しやすい点】"injury"は不可算名詞としても可算名詞としても使用可能ですが、具体的な怪我の箇所や種類を指す場合は可算名詞として扱われます(例:He sustained several injuries)。"wound"は通常、可算名詞として使われます。
肉体的または精神的な痛みや苦痛を表す、動詞または名詞。動詞としては「痛む」「傷つける」、名詞としては「痛み」「傷」の意味を持ちます。日常会話で非常によく使われます。 【ニュアンスの違い】"wound"よりも広義で、怪我だけでなく、感情的な痛みや損害も含む。動詞として使用される頻度が高い。「hurt feelings(感情を傷つける)」のように使われます。 【混同しやすい点】動詞の"hurt"は、過去形・過去分詞も"hurt"であるため、時制に注意が必要です。また、他動詞としても自動詞としても使用できます(例:I hurt my leg / My leg hurts)。
精神的または身体的に大きな衝撃を受けたことによって生じる、深刻な心の傷や外傷を指す名詞。事故、災害、虐待など、非常に深刻な出来事が原因となることが多い。心理学、医療、社会学などの分野で使用される。 【ニュアンスの違い】"wound"よりも深刻で、長期的な影響を及ぼす可能性のある精神的な傷を強調する。身体的な外傷だけでなく、精神的な外傷にも用いられます。 【混同しやすい点】"trauma"は、単に「傷」を意味するのではなく、その出来事が心に深く刻まれ、長期的な影響を及ぼすというニュアンスを含む点に注意が必要です。また、日常会話よりも専門的な文脈で使用されることが多いです。
医学用語で、組織や臓器に生じた異常や損傷を指す名詞。皮膚の病変、腫瘍、炎症など、様々な原因によるものを指します。医療現場や研究論文などで使用されます。 【ニュアンスの違い】"wound"よりも専門的な語で、原因や性質が特定された損傷を指すことが多い。外傷だけでなく、病気や炎症による組織の変化も含まれます。 【混同しやすい点】"lesion"は、一般的に外傷による傷だけでなく、病気や炎症など、より広範な原因による組織の異常を指すという点に注意が必要です。日常会話ではほとんど使用されません。
打撲によってできる皮下出血、いわゆる「あざ」を指す名詞または動詞。皮膚の下の血管が破れて血液が漏れ出すことによって生じます。日常会話や医療現場で使用されます。 【ニュアンスの違い】"wound"よりも具体的な怪我の種類を指し、皮膚表面の損傷がない場合でも使用されます。外傷によってできる変色に焦点を当てた語です。 【混同しやすい点】"bruise"は、皮膚表面に傷がない場合でも、内出血によってできるあざを指すという点に注意が必要です。動詞としても使用でき、「bruise one's knee(膝を打撲する)」のように使われます。
傷が治った後に残る痕跡、瘢痕(はんこん)を指す名詞。手術、火傷、怪我など、様々な原因によって生じます。日常会話や医療現場で使用されます。 【ニュアンスの違い】"wound"は傷そのものを指しますが、"scar"は傷が治癒した後の痕跡を指します。過去の傷を表す場合に用いられます。 【混同しやすい点】"scar"は、傷が完全に治癒した後に残る痕跡を指すという点に注意が必要です。また、比喩的に過去のトラウマや経験を表すこともあります(例:emotional scars)。
派生語
- wounded
『傷つけられた』という意味の形容詞または過去分詞。wound が動詞として使われた際の過去分詞形で、状態を表す形容詞としても機能します。例えば、『wounded soldier(負傷した兵士)』のように使われ、ニュース記事や歴史的な文脈で頻繁に見られます。
- unwound
動詞 wound の過去形・過去分詞としても使われるが、ここでは『ほどかれた』という意味の動詞として取り上げます。もともと巻かれていたものがほどける様子を表し、比喩的に『緊張が解ける』という意味でも使われます。日常会話や小説などで見られます。
wound と語源を共有する単語で、本来は『巻く』という意味を持っていました(現在では発音が異なります)。そこから『曲がりくねった道』や『風』の意味に発展しました。風は、もともと何かを巻き込むような動きから連想されたと考えられます。日常会話や文学作品で頻繁に使用されます。
反意語
『癒す』という意味の動詞。wound が『傷つける』という意味であるのに対し、heal は傷を治す行為を指します。医療や心理学の文脈でよく使用され、比喩的に『心の傷を癒す』という意味でも使われます。日常会話から学術的な文脈まで幅広く使われます。
『治療する』という意味の動詞。wound が『傷』や『怪我』を意味するのに対し、cure は病気や傷を治すことを指します。heal と似ていますが、cure はより積極的に治療行為を行うニュアンスがあります。医療関係の記事や論文で頻繁に使用されます。
『保護する』という意味の動詞。wound が傷つく状態を指すのに対し、protect は傷つくのを防ぐ行為を意味します。物理的な保護だけでなく、比喩的に『プライバシーを保護する』のように使われることもあります。日常会話やビジネスシーンでよく使用されます。
語源
「wound」の語源は、古英語の「wund」(傷)に遡ります。これはさらにゲルマン祖語の「*wundō」(傷)に由来し、インド・ヨーロッパ祖語の「*wenh₁-」(打つ、傷つける)という語根と関連があります。つまり、「wound」は、物理的な打撃や損傷を表す根源的な概念から派生した言葉と言えます。日本語で例えるなら、「手負い(ておい)」という言葉の「負う」が、傷を「負う」という行為を表しているのと似ています。このように、古くから傷は、何らかの力によって身に「負う」ものとして認識されていたことが、この単語の語源からも伺えます。直接的な接頭辞や接尾辞による派生はありませんが、そのシンプルな形が、古代からの傷という普遍的な経験を今に伝えていると言えるでしょう。
暗記法
「wound(傷)」は、戦場での名誉から心の痛手まで、人間の根源的な経験を映す鏡。騎士道物語では勇気の証であり、文学では内面の葛藤を象徴します。戦争の時代には、肉体だけでなく精神の荒廃をもたらし、「失われた世代」の価値観を形成。現代では、個人的トラウマや社会的不正義のメタファーとして、癒しと回復の必要性を訴えかけます。傷は、痛みと希望が交錯する、私たち自身の物語なのです。
混同しやすい単語
『wound』と『wind』は、どちらも『wind』という綴りで存在し、発音が文脈によって変わるため混同しやすいです。『wound』は動詞『wind』(巻く)の過去形・過去分詞で発音は/wuːnd/です。一方、『wind』(風)は/wɪnd/と発音します。また、『wind』(巻く)という動詞の現在形も/waɪnd/と発音します。日本人学習者は、文脈から判断し、発音を意識して区別する必要があります。動詞のwind(巻く)は、古英語のwindan(巻く)に由来し、名詞のwind(風)は、Proto-Germanicのwindaz(風)に由来します。語源が異なるため、発音が変化したと考えられます。
『wound』と『warned』は、発音が似ているため混同しやすいです。特に、warnedの 'ar' の音が、日本語の『ア』に近いため、曖昧に発音すると『wound』と聞き間違えられる可能性があります。『warned』は『warn』(警告する)の過去形・過去分詞であり、意味も全く異なります。発音記号を意識して/wɔːrnd/と発音するよう心がけましょう。 'ar'の音は、口を大きく開けて発音するとより区別しやすくなります。
『wound』と『one』は、どちらも『w』で始まり、母音が曖昧であるため混同されることがあります。特に、oneの/wʌn/という発音は、日本語の『ワン』に近いため、注意が必要です。『one』は『1』という意味であり、品詞も意味も全く異なります。oneは古英語のānに由来し、発音は時代とともに変化しました。スペルと発音が一致しない単語の典型例です。
『wound』と『wonder』は、最初の音が似ており、どちらも曖昧母音を含むため、発音を聞き間違える可能性があります。wonderは『驚き』や『不思議に思う』という意味で、名詞または動詞として使われます。文脈によって使い分けが必要ですが、意味が全く異なるため、文脈から判断することが重要です。wonderは古英語のwundorに由来し、ゲルマン祖語のwundran(驚く)に遡ります。
『wound』と『around』は、語尾の音が似ているため、特に会話の中で混同されることがあります。aroundは『〜の周りに』という意味の前置詞や副詞として使われます。文脈から判断できますが、発音を意識して区別することが重要です。aroundは、a + roundで構成されており、roundは古フランス語のrond(丸い)に由来します。
『wound』と『owned』は、どちらも過去分詞形であり、発音が似ているため混同されることがあります。ownedは『所有する』という意味の動詞ownの過去形・過去分詞です。文脈から判断できますが、発音を意識して区別することが重要です。ownedは、古英語のāgnian(所有する)に由来します。
誤用例
『wound』は物理的な傷、もしくは精神的な深い傷を意味する言葉であり、名誉や評判といった抽象的なものに対する軽微な損傷には不適切です。日本語の『傷つける』という言葉に引きずられて安易にwoundを使ってしまう例です。英語では、名誉や評判が『傷つく』場合には、'tarnish' (光沢を失わせる、汚す) や 'blemish' (傷つける) など、よりニュアンスの近い動詞を選びます。'wound'は、例えば戦争で受けた深い心の傷、裏切りによる絶望など、より深刻な状況で使われます。日本語の『傷』よりも深刻度が高いと認識しましょう。
『wound』は『傷つける』という意味ですが、日常的な口論や軽い侮辱など、些細な言葉のやり取りには不向きです。より一般的な『hurt』(傷つける) を使う方が自然です。また、『wound』はどちらかというと文語的な響きがあり、日常会話ではやや大げさに聞こえることがあります。日本語の『傷つける』という言葉は、英語の 'wound', 'hurt', 'offend', 'insult' など、様々な言葉に対応しますが、状況に応じて適切なものを選ぶ必要があります。このケースでは、日常的な場面なので、'hurt' が最適です。日本語の『傷つける』→英語の『wound』という短絡的な変換を避けましょう。
『wound』は、人や動物が負った傷に対して使われるのが一般的で、抽象的な問題、特に財政難に対して使うのは不自然です。ここでは、'woes'(悩み、苦難)や 'difficulties' を使うのが適切です。日本語では、比喩的に『傷』という言葉を様々な状況で使いますが、英語では比喩表現の範囲が異なる場合があります。財務状況のような抽象的な概念には、より適切な表現を選ぶ必要があります。また、このケースでは「〜は癒えつつある」という日本語に引きずられて、healingという単語を選んでしまっています。英語では、問題が『緩和する』『軽減する』というニュアンスで表現する方が自然です。
文化的背景
「wound(傷)」は、単なる身体的な損傷を超え、喪失、痛み、そして癒しという人間の根源的な経験を象徴する言葉です。歴史を遡れば、戦場での傷は英雄譚と結びつき、文学作品では心の傷が人格形成の触媒として描かれてきました。現代社会においても、woundは個人的なトラウマから社会的な不正義まで、さまざまな苦しみを表す普遍的なメタファーとして機能しています。
中世ヨーロッパの騎士道物語では、傷は名誉の証でした。勇敢な戦士は、敵との激しい戦いの傷跡を誇らしげに身につけ、それは彼らの勇気と忠誠心を物語る生きた証となりました。しかし、傷は同時に死の影でもありました。感染症の治療法が確立されていなかった時代、傷は命取りとなることも珍しくなく、その痛みと恐怖は人々の心に深く刻まれました。文学作品では、アーサー王伝説におけるランスロット卿の傷が、彼の罪深さと苦悩を象徴するように、傷はしばしば登場人物の内面を映し出す鏡として用いられました。
時代が下ると、傷の象徴性はより複雑化しました。第一次世界大戦のような大規模な戦争では、無数の兵士が心身に深い傷を負い、その経験は「失われた世代」と呼ばれる人々の価値観や世界観を大きく変えました。エリック・マリア・レマルクの『西部戦線異状なし』のような作品は、戦争の残酷さと傷の永続的な影響を赤裸々に描き出し、傷が単なる肉体的な損傷ではなく、精神的な荒廃をもたらすものであることを示しました。また、社会的な傷、例えば差別や貧困によって生じる心の傷は、目に見えない形で人々の生活を蝕み、世代を超えて受け継がれることもあります。
現代においては、「wound」は癒しと回復のプロセスを強調する言葉としても使われます。トラウマセラピーや心理学の分野では、過去の傷を認識し、それを受け入れることが癒しの第一歩であると考えられています。また、社会的な傷を癒すためには、過去の不正義を認め、公正な社会を築くための努力が不可欠です。このように、「wound」は、痛みと苦しみを象徴する一方で、人間の回復力と希望を象徴する言葉としても、その意味を深め続けています。それは、私たちが過去の傷から学び、より良い未来を築くための教訓を内包しているのです。
試験傾向
1. 出題形式: 語彙問題、長文読解
2. 頻度と級・パート: 準1級以上で出題される可能性あり。1級でより頻出。
3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、科学技術、歴史など幅広いテーマで「傷」「負傷」の意味で登場。比喩的な用法もあり。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 名詞(傷、負傷)と動詞(傷つける)の区別を明確に。過去形・過去分詞形 (wounded) も重要。比喩的な用法 (wound someone's pride) も押さえておく。
1. 出題形式: 長文読解 (Part 7), 語彙問題 (Part 5)
2. 頻度と級・パート: 比較的まれ。しかし、医療関係、労働災害などのテーマで登場する可能性あり。
3. 文脈・例題の特徴: 事故報告書、安全マニュアル、保険関連文書など。
4. 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーンでは直接的な「傷」よりも、比喩的な意味での「損害」「損失」といった意味で用いられる場合がある。類義語 injury との違いを意識。
1. 出題形式: 長文読解
2. 頻度と級・パート: アカデミックな文章で比較的頻出。
3. 文脈・例題の特徴: 歴史、社会学、医学、心理学など幅広い分野で登場。紛争、災害、精神的な苦痛などを表す際に使われる。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 比喩的な意味での「傷」「トラウマ」といった意味合いで使われることが多い。名詞・動詞の用法を理解し、文脈から正確に意味を判断する必要がある。
1. 出題形式: 長文読解、語彙問題(同意語選択、空所補充)
2. 頻度と級・パート: 難関大学で出題される可能性あり。
3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、歴史、科学、文学など幅広いテーマで登場。比喩的な表現も含む。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する能力が重要。類義語 injury, hurt との違い、ニュアンスを理解しておく。熟語表現 (lick one's wounds) なども覚えておくと役立つ。