thorough
最初の 'θ' は無声歯摩擦音で、舌先を上下の歯で軽く挟んで息を出す音です。日本語のサ行の発音とは異なります。母音 /ʌ/ は日本語の『ア』と『オ』の中間のような音で、口を少し開いて発音します。最後の 'ə' は曖昧母音で、弱く短く発音します。日本語の『ア』に近いです。強勢は最初の音節にあります。
徹底的な
細部まで行き届き、手抜きがない様子。調査、分析、準備など、何らかの行為が完全に行われることを強調する。中途半端ではない、完璧を目指すニュアンスを含む。
Before submitting my first report, I made a thorough check to avoid any mistakes.
初めての報告書を提出する前に、間違いがないように徹底的に確認しました。
※ 新しい仕事を始めたばかりの人が、完璧を目指して一生懸命確認する様子が目に浮かびます。「thorough check(徹底的な確認)」は、細部まで漏れなく調べるという意味で非常によく使われる表現です。
I gave my room a thorough cleaning before my family visited for the holidays.
家族が休暇で来る前に、部屋を徹底的に掃除しました。
※ 大切な家族を迎えるために、普段より念入りに部屋を隅々まで綺麗にする情景が伝わります。「thorough cleaning(徹底的な掃除)」は、見落としがないようにすみずみまで綺麗にする様子を表します。
The doctor gave me a thorough examination to find the cause of my cough.
医者は私の咳の原因を見つけるために、徹底的な診察をしてくれました。
※ 体の不調で病院に行った時、医者が細部まで丁寧に診てくれる状況が描かれています。「thorough examination(徹底的な診察)」は、何かを見つけ出すために全体を詳しく、入念に調べる際に使われます。
綿密な
詳細に注意を払い、漏れがないようにする様子。計画、検査、理解など、複雑な物事を扱う際に、その完全性や正確さを保証するために用いられる。
He wanted a good grade, so he did a thorough check of his essay before submitting it.
彼は良い成績をとりたかったので、論文を提出する前に**綿密な**確認をしました。
※ この例文は、学生がテストや課題で良い結果を出すために、自分の作業を隅々まで丁寧に確認している情景を描写しています。特に「thorough check(綿密な確認)」は、間違いがないか、漏れがないか、細部にわたって注意を払う様子がよく伝わる典型的な表現です。勉強や仕事で何かを提出する前に「しっかり見直す」という場面でよく使われます。
The doctor gave a thorough examination to understand the patient's worries.
医者は、患者さんの心配事を理解しようと、**綿密な**診察を行いました。
※ ここでは、医者が患者さんの症状や不安をきちんと把握するために、時間をかけて丁寧に診察している様子がイメージできます。「thorough examination(綿密な診察)」は、健康診断や病気の診断など、見落としがないように細かく調べる必要がある医療現場で非常によく使われる表現です。相手の状況を深く理解しようとする姿勢も表しています。
She did a thorough cleaning of her house before moving out.
彼女は引っ越す前に、家を隅々まで**綿密に**掃除しました。
※ この例文は、引っ越しをする人が、次の人のために、あるいは敷金を返してもらうために、家の普段は目にしないような場所まで、徹底的に掃除している情景を描いています。「thorough cleaning(徹底的な掃除)」は、ただきれいにするだけでなく、ホコリ一つ残さないように、隅々まで完璧に掃除するニュアンスがあります。大掃除や特別な清掃の場面でよく使われます。
コロケーション
徹底的な調査
※ 犯罪、事故、不正行為など、あらゆる事柄について、詳細かつ網羅的に事実を明らかにするための調査を指します。単に情報を集めるだけでなく、あらゆる角度から検証し、隠された事実や矛盾点を見つけ出すニュアンスを含みます。ビジネスシーンや報道などで頻繁に使われ、客観性と信頼性が求められる場面に適合します。例えば、企業不祥事における『第三者委員会による徹底的な調査』など。
綿密な検査、詳細な診察
※ 単なる表面的なチェックではなく、細部にわたり、あらゆる可能性を考慮して行う検査や診察を指します。医療の現場では、患者の症状を正確に把握するために、身体検査、問診、各種検査などを組み合わせて行われます。また、製品の品質管理においては、設計図との照合、耐久性テスト、性能評価など、多岐にわたる項目をチェックします。技術文書や医療記録でよく見られる表現です。
精通した知識、深い造詣
※ ある分野について、表面的な理解だけでなく、深いレベルで理解している状態を指します。単に情報を知っているだけでなく、その情報がどのように関連し、どのように応用できるかまで理解しているニュアンスを含みます。例えば、『彼は日本美術に精通している』のように使われます。専門家や研究者の知識レベルを表す際に用いられることが多いです。ビジネスシーンでは、プロジェクトを成功させるために、メンバーがそれぞれの専門分野について『精通した知識』を持っていることが求められます。
完全な理解、十分な理解
※ 物事の本質や仕組みを、曖昧さや誤解なく、完全に理解している状態を指します。単に言葉の意味を知っているだけでなく、その背景にある文脈や関連性、応用方法まで理解しているニュアンスを含みます。例えば、『契約書の内容を十分に理解する』のように使われます。教育やビジネスの現場で、誤解や認識のずれを防ぐために重要な概念です。特に複雑な問題や技術的な内容について議論する際には、参加者全員が『完全な理解』を共有していることが前提となります。
徹底的な清掃
※ 表面的な汚れを落とすだけでなく、普段手の届かない場所や細部に至るまで、徹底的に汚れを取り除く清掃を指します。単に綺麗にするだけでなく、衛生的な状態を保ち、アレルギーの原因となる物質や細菌を除去するニュアンスを含みます。家庭の掃除だけでなく、医療機関や食品工場など、衛生管理が重要な場所で行われる清掃にも用いられます。ハウスクリーニング業者の広告などでよく見られる表現です。
くまなく探す、徹底的な捜索
※ 何かを探し出すために、あらゆる場所を詳細に調べることを意味します。警察が犯罪現場で行う捜索や、紛失物を探す場合など、見落としがないように注意深く探す状況で使われます。単に探すだけでなく、隠されたものや見つけにくいものを発見するニュアンスを含みます。空港の手荷物検査などもこれに該当します。報道や警察関係の記事でよく見られる表現です。
熟練した専門家、完璧なプロ
※ 仕事のスキル、知識、倫理観のすべてにおいて高い水準を備えた人物を指します。単に仕事ができるだけでなく、責任感、誠実さ、顧客への配慮など、プロフェッショナルとしての資質を兼ね備えているニュアンスを含みます。スポーツ選手や医師、弁護士など、高度な専門知識や技術を必要とする職業で用いられることが多いです。人事評価や推薦状などで、人物像を評価する際に使われることがあります。
使用シーン
学術論文、特にレビュー論文や実験結果の考察で頻繁に使用されます。例えば、「徹底的な文献調査の結果~が明らかになった」 (A thorough literature review revealed...) や、「~に関する徹底的な分析を行った」(A thorough analysis was conducted on...) のように、研究の厳密さや網羅性を強調する際に用いられます。研究発表や講義でも、研究内容の信頼性を高めるために使われることがあります。
ビジネス文書や会議で、調査、監査、リスク評価など、業務の正確性や詳細さを表現する際に用いられます。例えば、「徹底的な市場調査が必要だ」(A thorough market research is needed.) や、「徹底的なデューデリジェンスを実施した」(A thorough due diligence was conducted.) のように使われます。プレゼンテーション資料や報告書など、ややフォーマルな文脈で使われる傾向があります。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで見聞きすることがあります。例えば、「警察は事件について徹底的な捜査を行った」(The police conducted a thorough investigation into the case.) のように、事件や事故などの詳細な調査について報道する際に使われます。また、医療関係の記事で「徹底的な検査」といった文脈で使われることもあります。
関連語
類義語
「完全な」「全部済んだ」という意味で、何かを全体として終わらせる、または欠けている部分がない状態を表す。ビジネス、学術、日常会話など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】「thorough」が細部にわたる注意深さを強調するのに対し、「complete」は完了や全体性を強調する。例えば、報告書が「complete」なら必要な情報がすべて含まれていることを意味し、「thorough」なら詳細な調査や分析に基づいていることを意味する。 【混同しやすい点】「complete」は名詞の前に置かれることが多いが、「thorough」は動詞を修飾することが多い。また、「complete」は「完了させる」という動詞としても使われるが、「thorough」は動詞としては使われない。
- exhaustive
「徹底的な」「網羅的な」という意味で、あらゆる可能性や側面を調べ尽くすことを表す。研究、調査、分析など、特に専門的な分野で使用される。 【ニュアンスの違い】「thorough」が注意深さを伴う詳細な調査を意味するのに対し、「exhaustive」は範囲の広さ、網羅性を強調する。例えば、「exhaustive research」は、考えられるすべての情報源を調べ尽くした研究を指す。 【混同しやすい点】「exhaustive」は、非常に時間と労力を要する調査や分析に対して使われることが多く、「thorough」よりもフォーマルな印象を与える。日常会話ではあまり使われない。
「綿密な」「几帳面な」という意味で、細部にまで細心の注意を払うことを表す。芸術、工芸、科学など、正確さが求められる分野で使用される。 【ニュアンスの違い】「thorough」がプロセス全体における注意深さを指すのに対し、「meticulous」は特に細部へのこだわりを強調する。また、「meticulous」は人の性格や行動を評価する際にも使われる。 【混同しやすい点】「meticulous」は、しばしば完璧主義的な傾向を伴うニュアンスを持つ。良い意味でも悪い意味でも使われる可能性がある。「He is a meticulous craftsman.(彼は綿密な職人だ)」のように、良い意味で使われることが多いが、「He is too meticulous.(彼は几帳面すぎる)」のように、神経質さを表す場合もある。
「骨の折れる」「入念な」という意味で、多くの努力と注意を必要とする作業を表す。手作業、修復、研究など、時間と根気を要する作業に対して使われる。 【ニュアンスの違い】「thorough」が手順や方法の注意深さを意味するのに対し、「painstaking」は努力の量と困難さを強調する。また、「painstaking」は、しばしば退屈で単調な作業を指す。 【混同しやすい点】「painstaking」は、苦労が報われるような、価値のある結果につながる作業に対して使われることが多い。例えば、「painstaking restoration」は、時間をかけて丁寧に修復された結果、美しい状態に戻ったものを指す。
「良心的な」「細心の注意を払う」という意味で、道徳的、倫理的な観点から非常に注意深く行動することを表す。法律、会計、医療など、倫理的な判断が求められる分野で使用される。 【ニュアンスの違い】「thorough」が一般的な注意深さを指すのに対し、「scrupulous」は倫理的な誠実さを強調する。例えば、「scrupulous honesty」は、いかなる不正も許さない、非常に誠実な態度を意味する。 【混同しやすい点】「scrupulous」は、しばしば道徳的な義務感や責任感からくる注意深さを表す。自己中心的ではなく、社会的な規範や他者への配慮に基づいている点が特徴。
「詳細な」「詳細にわたる」という意味で、多くの情報やデータを含むことを表す。報告書、説明、計画など、具体的な情報が必要な場面で使用される。 【ニュアンスの違い】「thorough」が調査や分析の深さを強調するのに対し、「detailed」は情報の量や具体性を強調する。例えば、「detailed report」は、多くのデータや事実が盛り込まれた報告書を指す。 【混同しやすい点】「detailed」は、必ずしも深い分析や考察を伴うとは限らない。単に情報が多いだけで、「thorough」であるとは限らない点に注意。
派生語
『徹底的に』という意味の副詞。『thorough』に副詞を作る接尾辞『-ly』が付いた形。動詞を修飾し、行動や調査などが完全に、詳細に行われる様子を表します。ビジネス文書や報告書、学術論文など、正確さが求められる場面で頻繁に使用されます。例えば、『調査を徹底的に行う』は『conduct the investigation thoroughly』となります。
- thoroughness
『徹底さ』、『完全さ』を意味する名詞。『thorough』に名詞を作る接尾辞『-ness』が付いた形です。抽象的な概念を表し、仕事の質や性格の特徴などを評価する際に用いられます。例えば、『彼の仕事の徹底さには感心する』は『I am impressed by the thoroughness of his work』となります。学術的な議論やビジネスシーンでも使われます。
- thoroughfare
『幹線道路』、『主要道路』を意味する名詞。『thorough(通り抜ける)』と『fare(道、通行料)』が組み合わさった語です。人が容易に通り抜けられる道、つまり交通量の多い道路を指します。日常会話よりも、都市計画や地理学、ニュース記事などで使われることが多いです。例えば、『その通りは主要な幹線道路です』は『That street is a major thoroughfare』となります。
反意語
- cursory
『大まかな』、『ぞんざいな』という意味の形容詞。『thorough』が細部にまで注意を払うのに対し、『cursory』は表面的な、注意散漫な様子を表します。例えば、『大まかな調査』は『a cursory investigation』、『ぞんざいな目配せ』は『a cursory glance』となります。学術論文やビジネスの報告書などで、調査や分析の深さを対比させる際に用いられます。例えば、『徹底的な分析ではなく、大まかな調査に留まった』は『It was not a thorough analysis, but a cursory examination.』となります。
『表面的な』、『浅薄な』という意味の形容詞。『thorough』が深く掘り下げて本質に迫るのに対し、『superficial』は外見や表面的な部分にとどまることを意味します。例えば、『表面的な理解』は『a superficial understanding』、『浅薄な知識』は『superficial knowledge』となります。人の性格や知識、分析などを評価する際に用いられ、学術的な議論や日常会話でも使われます。例えば、『彼はその問題について表面的な理解しか持っていない』は『He has only a superficial understanding of the problem.』となります。
『怠慢な』、『不注意な』という意味の形容詞。『thorough』が注意深く、責任を持って物事を行うのに対し、『negligent』は必要な注意を払わず、義務を怠ることを意味します。例えば、『怠慢な態度』は『a negligent attitude』、『不注意な運転』は『negligent driving』となります。法律やビジネス、日常会話など、幅広い場面で使用されます。例えば、『彼は職務怠慢で訴えられた』は『He was sued for negligent performance of his duties.』となります。
語源
「thorough」は、古英語の「thurh」(~を通して、~を貫いて)に由来します。この「thurh」は、さらに遡るとゲルマン祖語の「*thurkh」にたどり着き、これは「穴、ドア」といった意味合いを持ちます。つまり、元々は何かを「通り抜ける」というイメージが根底にありました。この「通り抜ける」という概念が、「徹底的な」「完全な」という意味に発展したのは、何かを表面だけでなく、奥深くまで「貫いて」調べる、あるいは実行するというニュアンスが加わったためと考えられます。日本語で例えるなら、「一から十まで」とか「根掘り葉掘り」といった表現に近いかもしれません。物事の全体を「貫いて」把握しようとする姿勢が、この単語の核となる意味を形作っています。
暗記法
「thorough」は単なる「徹底的」ではない。中世騎士道の誉れ、修道士の探求、職人の魂、科学者の厳密さ… それは、隅々まで行き届いた完璧さへの追求。単なる作業完了ではなく、深い理解、責任感、倫理観を伴う。信頼と安心感の源泉。現代ビジネスでは顧客満足と社会的責任を意味し、企業の信頼性を高める。倫理、責任、信頼の基盤となる価値観、それが「thorough」。
混同しやすい単語
『thorough』とスペルが似ており、特に語尾の 'ough' が共通しているため混同しやすい。発音は全く異なり、『though』は /ðoʊ/ です。『~だけれども』という意味の接続詞、または『~だけれど』という意味の副詞として使われます。日本人学習者は、文脈から判断するだけでなく、発音記号を確認し、音で区別できるように練習することが重要です。'ough' の発音は英語の中でも特に多様性があり、注意が必要です。
『thorough』とスペルが非常に似ており、'ough' の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすい。発音も /θruː/ と似ている部分がありますが、明確に異なります。『~を通って』『~の間』という意味の前置詞、副詞、形容詞として使われます。日本人学習者は、スペルだけでなく、文脈と発音を照らし合わせて区別する必要があります。歴史的には、'through'と'thorough'は語源が近く、意味も関連していたため、スペルの類似性が残っています。
『thorough』の最初の部分 'thro' が共通しているため、スペルの一部が似ており、混同しやすい可能性があります。発音は /θroʊ/ であり、『投げる』という意味の動詞です。文脈が全く異なるため、意味から区別することが重要です。動詞としての基本的な意味をしっかりと理解することで、誤用を防ぐことができます。
『thorough』とスペルが似ており、特に 'ough' の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすい。発音は /bʌrə/ (または /ˈbʌroʊ/) で、『行政区』という意味の名詞です。意味も文脈も全く異なるため、混同しないように注意が必要です。アメリカ英語では 'borough' の発音が 'burrow' (穴) と同じになることもあります。
『thorough』とスペルの一部が似ており、特に 'urro' の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすい。発音は /fʌroʊ/ で、『畝(うね)』や『しわ』という意味の名詞、または『畝を作る』という意味の動詞です。農業や地形に関する文脈で使われることが多いため、『thorough』とは文脈が大きく異なります。語源的には、土地を耕すことから派生した意味合いがあります。
スペルに共通する部分があり、特に 'urro' が似ているため、視覚的に『thorough』と混同する可能性があります。発音は /bʌroʊ/ で、『(動物の)巣穴』という意味の名詞、または『穴を掘る』という意味の動詞です。単語のイメージが大きく異なるため、文脈から判断しやすいですが、スペルミスには注意が必要です。
誤用例
「thorough」は「徹底的な」という意味ですが、日常的な行為(部屋の掃除など)に使うと、大げさで不自然に聞こえることがあります。「thorough investigation(徹底的な調査)」のように、フォーマルで重要な事柄に対して使われることが多い単語です。日本語の「徹底的な掃除」を直訳するとこうなりがちですが、ここでは「deep cleaning(念入りな掃除)」の方が自然です。日本語の「徹底的」は汎用性が高いですが、英語ではレジスター(言葉のフォーマルさの度合い)を意識する必要があります。
「thorough」は「徹底的な」という意味ですが、人の性格を表すときには、やや硬い印象を与えます。この文脈では「meticulous(几帳面な、綿密な)」や「diligent(勤勉な)」の方が適切です。「thorough」は、性格というよりは、調査や分析などが「徹底的」であることを表すのに適しています。日本人は「徹底している=完璧主義」というイメージから「thorough」を選びがちですが、英語ではよりニュアンスの近い語を選ぶ必要があります。また、英語では人を褒めるとき、やや間接的な表現や控えめな表現を好む文化もあります。
「thorough」は「徹底的な」という意味ですが、議論の内容が「広範囲にわたる」ことを強調したい場合は「comprehensive(包括的な)」がより適切です。「thorough」は、議論の深さや詳細さに重点があるニュアンスです。日本語の「徹底的な議論」は、深さと広さの両方を含意することがありますが、英語ではどちらの側面を強調したいかで語彙を選ぶ必要があります。また、ビジネスシーンなどでは、議論の範囲を最初に明確にすることで、効率的なコミュニケーションを促すという文化的な背景も考慮すると良いでしょう。
文化的背景
「thorough」は、単に「徹底的な」という意味を超え、物事の隅々まで行き届いた完璧さ、そしてそれによって得られる信頼や安心感を象徴する言葉です。中世の騎士道精神における「thorough」は、単なる武勇ではなく、名誉、礼儀正しさ、そして義務の遂行における徹底さを意味しました。現代においても、そのニュアンスは、プロフェッショナリズムや倫理観と結びつき、深い信頼を築くための不可欠な要素として認識されています。
中世ヨーロッパにおいて、「thorough」は、単に物理的な空間を通過するだけでなく、精神的な探求や知識の追求における徹底さを表しました。例えば、修道士が聖書を「thoroughly」研究することは、単に文字を読むだけでなく、その意味を深く理解し、自らの行動規範とすることを意味しました。また、職人が「thorough」に仕事をするとは、単に製品を完成させるだけでなく、その品質に責任を持ち、後世に残るような作品を作り上げることを意味しました。このように、「thorough」は、単なる作業の完了ではなく、深い理解と責任感、そして倫理的な行動を伴うものでした。
近代に入ると、「thorough」は、科学的な探求や調査における厳密さを表す言葉としても使われるようになりました。科学者が実験を「thoroughly」行うとは、単にデータを収集するだけでなく、そのデータの信頼性を検証し、偏りを排除し、客観的な結論を導き出すことを意味しました。また、歴史家が史料を「thoroughly」研究することは、単に事実を記述するだけでなく、その背景にある社会的な文脈を理解し、多角的な視点から歴史を解釈することを意味しました。このように、「thorough」は、単なる情報の収集ではなく、批判的な思考と客観性を伴うものでした。
現代社会において、「thorough」は、ビジネスの世界においても重要な価値観として認識されています。企業が顧客に対して「thorough」なサービスを提供することは、単に顧客の要望に応えるだけでなく、顧客の潜在的なニーズを理解し、期待を超える価値を提供することを意味します。また、企業がリスクを「thoroughly」評価することは、単に問題を特定するだけでなく、その原因を分析し、再発防止策を講じることを意味します。このように、「thorough」は、単なる効率性や利益追求ではなく、顧客満足度や社会的な責任を伴うものであり、企業の信頼性を高める上で不可欠な要素となっています。現代において、「thorough」は、単なる行動様式を超え、倫理観、責任感、そして信頼を築くための基盤となる価値観として、その重要性を増しています。
試験傾向
1. **出題形式**: 語彙問題、長文読解
2. **頻度と級・パート**: 準1級・1級で頻出。特に語彙問題で問われやすい。
3. **文脈・例題の特徴**: 環境問題、科学技術、歴史などアカデミックな文脈で使われることが多い。「thorough investigation (徹底的な調査)」「thorough understanding (十分な理解)」などの形で登場。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 形容詞としての用法がメイン。「徹底的な」「完全な」という意味を理解し、類似語 (e.g., complete, comprehensive) とのニュアンスの違いを把握することが重要。
1. **出題形式**: Part 5 (短文穴埋め)、Part 7 (長文読解)
2. **頻度と級・パート**: 頻出。特にPart 7で長文の内容理解を問う際に登場しやすい。
3. **文脈・例題の特徴**: ビジネス文書 (報告書、メール、契約書など) で頻繁に使用される。「thorough review (綿密な見直し)」「thorough analysis (詳細な分析)」などの形で登場。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: ビジネスシーンでの「徹底的な」「詳細な」という意味を理解することが重要。文脈から適切な意味を判断できるように練習する。類義語 (e.g., detailed, exhaustive) との使い分けも意識する。
1. **出題形式**: リーディングセクション
2. **頻度と級・パート**: 頻出。アカデミックな内容の長文でよく見られる。
3. **文脈・例題の特徴**: 科学、歴史、社会科学などの学術的な文章で使われる。「thorough research (徹底的な研究)」「thorough examination (詳細な調査)」などの形で登場。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: アカデミックな文脈での意味を理解することが重要。類義語 (e.g., comprehensive, extensive) とのニュアンスの違いを把握し、文脈に合わせて適切な意味を選択できるようにする。
1. **出題形式**: 長文読解、語彙問題(同意語選択、空所補充)
2. **頻度と級・パート**: 難関大学で頻出。標準的なレベルの大学でも、長文読解の中で見かけることがある。
3. **文脈・例題の特徴**: 社会問題、環境問題、科学技術など、評論的なテーマの文章でよく使われる。「thorough investigation (徹底的な調査)」「thorough understanding (十分な理解)」などの形で登場。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 文脈の中で「thorough」がどのような意味合いで使われているかを正確に把握することが重要。類義語 (e.g., complete, comprehensive, exhaustive) との使い分けを意識し、語彙力を高めることが大切。