scrupulous
強勢は最初の音節 /ˈskruː/ にあります。/uː/ は長母音で、日本語の「ウー」に近いですが、より意識して長く発音しましょう。/pjʊ/ は日本語にはない音の組み合わせですが、「ピュ」と発音する際に、唇を丸めて突き出すことを意識すると近くなります。最後の /-ləs/ は曖昧母音(シュワ)を含み、弱く短く発音します。全体として、各音節をはっきりと発音することが重要です。
良心的
道徳的・倫理的な観点から、細部まで注意を払い、不正や手抜きをしない様子。義務や約束をきちんと守る、誠実な態度を指す。ビジネスや法律、個人的な信頼関係など、幅広い場面で使われる。
Our accountant is very scrupulous; he always checks every number twice.
私たちの会計士はとても良心的です。彼はいつもすべての数字を二度確認します。
※ この例文では、会計士が「間違いがないように細心の注意を払う」という意味でscrupulousが使われています。数字を細かく確認する姿から、信頼できるプロフェッショナルなイメージが伝わりますね。仕事における「誠実さ」や「正確さ」を表す際によく使われます。
She was scrupulous about telling the truth, even when it was difficult.
彼女は、たとえ困難な状況でも、真実を伝えることに良心的でした。
※ ここでは、誰かが「道徳的に正しいこと、つまり正直であること」を強く意識している様子を描いています。困難な状況でも真実を語る姿から、その人の「倫理的な誠実さ」が伝わります。人の性格や行動の原則について話すときによく使われる表現です。
The craftsman was scrupulous in his work, making sure every detail was perfect.
その職人は仕事に良心的で、すべての細部が完璧であることを確認しました。
※ この例文は、職人が「手を抜かずに、細部まで徹底的にこだわる」という意味でscrupulousを使っています。製品の品質や仕上がりに対する「責任感」や「プロ意識」が感じられます。特に、品質や正確性が求められる手作業や芸術分野でよく聞かれる使い方です。
几帳面
細部にこだわり、正確さを追求する様子。細かな点まで注意が行き届き、物事をきちんと整理整頓する態度を指す。仕事の正確性や計画性を示す際に使われる。
The accountant was very scrupulous about checking every number in the report.
その会計士は、報告書のすべての数字を非常に几帳面にチェックしました。
※ 静かなオフィスで、会計士がメガネをかけ、電卓を叩きながら、何ページもある報告書の数字と照らし合わせている様子を想像してください。間違い一つ許さないという真剣な表情です。会計士のように正確さが求められる職業では、"scrupulous" がよく使われます。これは、細部まで注意深く、間違いがないようにする几帳面な態度を表します。
My grandmother is always scrupulous about keeping her house perfectly clean.
私の祖母は、いつも家を完璧にきれいにしておくことにとても几帳面です。
※ 太陽の光が差し込むリビングで、祖母が小さなホコリも見逃さないように、丁寧に拭き掃除をしている場面を思い浮かべてください。磨かれた家具がキラキラ光っています。家事や身の回りのことに対して、非常にきっちりしている様子を伝えるのに使えます。完璧を目指して、細部まで気を配る几帳面さを表します。
The scientist was scrupulous in recording all data during the experiment.
その科学者は、実験中にすべてのデータを几帳面に記録しました。
※ 白衣を着た科学者が、試験管を覗き込みながら、小さくて正確な文字でノートに数値を書き込んでいる姿を想像してください。少しのずれも許さないという集中した表情です。科学や研究の分野で、データや事実を正確に扱うことは非常に重要です。この単語は、わずかなミスも許さない、徹底した几帳面さを評価するニュアンスを含みます。
コロケーション
極めて正直であること、良心的な正直さ
※ 「scrupulous」は、細部にまで気を配り、不正や誤りを避けるという意味合いを持ちます。したがって、「scrupulous honesty」は、単に嘘をつかないだけでなく、あらゆる不正行為やごまかしを徹底的に排除する、非常に高いレベルの正直さを指します。ビジネスシーンや法的な文脈で、信頼性を強調する際に用いられます。例えば、「彼はscrupulous honestyで知られている」のように使われます。
細部への綿密な注意、細部へのこだわり
※ プロジェクトやタスクを遂行する際に、小さな点も見逃さず、完璧を期す姿勢を指します。品質管理、研究、医療など、正確性が不可欠な分野で特に重要視されます。単に注意深いだけでなく、倫理的な責任感を持って細部に取り組むニュアンスが含まれます。例えば、「scrupulous attention to detailが、プロジェクトの成功に不可欠だった」のように使われます。
職務に忠実である、義務をきちんと果たす
※ 与えられた職務や責任を、誠実に、そして細心の注意を払って遂行することを意味します。単に仕事をこなすだけでなく、倫理的な責任感を持って職務に取り組む姿勢を示します。例えば、「彼はscrupulous in his dutiesであり、常に期待以上の成果を上げた」のように使われます。公務員や専門職など、高い倫理観が求められる職業において重要な資質とされます。
〜することに非常に慎重である、〜することに良心的である
※ 特定の行動や決定に関して、倫理的な観点から非常に慎重になることを意味します。「about」の後に動名詞を伴い、「〜すること」に対する懸念や注意深さを表します。例えば、「He is scrupulous about keeping his promises」(彼は約束を守ることに非常に慎重だ)のように使われます。道徳的なジレンマに直面した際に、良心に従って行動しようとする姿勢を示します。
規則への厳格な遵守、規則を厳守すること
※ 規則や法律を、文字通りに、そして完全に守ることを意味します。抜け道を探したり、解釈を曲げたりすることなく、規則の精神と文言の両方を尊重する姿勢を示します。法的な文脈や、組織の秩序を維持する必要がある場面で重要視されます。例えば、「scrupulous adherence to the rulesが、公正な競争を保証する」のように使われます。
良心的な会計士、不正をしない会計士
※ 会計士が、倫理的に正しく、すべての会計処理を正確に行うことを強調する表現です。単に計算が正確であるだけでなく、不正な操作や粉飾決算を一切行わない、高い倫理観を持った会計士を指します。企業の信頼性や透明性を保証する上で、非常に重要な要素となります。投資家や株主からの信頼を得るために、企業の広報資料などで用いられることがあります。
綿密な調査、詳細な調査
※ 事件や問題を調査する際に、あらゆる角度から詳細に調べ、証拠を徹底的に検証することを意味します。偏見や先入観を持たず、客観的な事実に基づいて真実を追求する姿勢を示します。警察の捜査や、企業の内部調査など、客観性と公平性が求められる場面で重要です。例えば、「scrupulous investigationの結果、事件の真相が明らかになった」のように使われます。
使用シーン
学術論文や研究発表で、研究の倫理性やデータの正確性を強調する際に用いられます。例えば、「研究者は、データの収集と分析において、極めて良心的でなければならない(Researchers must be scrupulous in their data collection and analysis.)」のように使われます。文語的な表現であり、客観性と信頼性を高めるために使用されます。
ビジネス文書や契約書、監査報告書などで、業務の正確性や法令遵守の重要性を示す際に使われます。例えば、「経理担当者は、すべての取引において、几帳面でなければならない(The accountant must be scrupulous in all transactions.)」のように使われます。フォーマルな文脈で、企業の信頼性を担保するために用いられます。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やノンフィクション作品などで、人物の性格や行動を説明する際に使われることがあります。例えば、「彼は、常に自分の良心に従って行動する、非常に良心的な人物だ(He is a very scrupulous person who always acts according to his conscience.)」のように使われます。やや硬い印象を与えるため、フォーマルな場面での使用が適切です。
関連語
類義語
良心的で、注意深く、義務や責任を果たすことに熱心な様子を表します。仕事や義務に対して真面目に取り組む人を形容する際によく用いられます。ビジネスやフォーマルな場面で使われることが多いです。 【ニュアンスの違い】"Scrupulous"は、行動の正確さや細部への注意に重点を置くのに対し、"conscientious"は、良心や道徳的義務感に基づいて行動することに重点を置きます。"Scrupulous"は規則や基準に厳格に従うニュアンスがありますが、"conscientious"は、より内面的な道徳観に基づいています。 【混同しやすい点】どちらも日本語では『良心的』と訳されることがありますが、"scrupulous"は規則や手順への厳格な遵守を意味するのに対し、"conscientious"は義務感や責任感の強さを意味します。"Scrupulous"は、些細なことにも気を配るという意味合いが強く、"conscientious"は、仕事やタスク全体に対する責任感を表します。
細部にまで気を配り、非常に注意深く正確な様子を表します。手作業や精密な作業、または計画や調査など、細部への注意が重要な場面で用いられます。学術的な文脈や、品質管理など、正確性が求められるビジネスシーンでよく使われます。 【ニュアンスの違い】"Scrupulous"が道徳的・倫理的な正確さを強調するのに対し、"meticulous"は、技術的な正確さや詳細への注意を強調します。"Meticulous"は、客観的な基準に基づいて正確さを追求するニュアンスがあります。 【混同しやすい点】どちらも『几帳面』や『綿密』と訳されることがありますが、"scrupulous"は倫理的な観点から、"meticulous"は技術的な観点から細部に注意を払うという意味合いが強くなります。"Meticulous"は、計画や作業の細部にこだわり、完璧を目指すニュアンスがあります。
- punctilious
形式や礼儀作法、規則などに非常に厳格に従う様子を表します。儀式や公式な場、または規則が重視される組織などで用いられます。フォーマルな場面や、伝統を重んじる文脈で使われることが多いです。 【ニュアンスの違い】"Scrupulous"が道徳的な正確さを強調するのに対し、"punctilious"は形式的な正確さや礼儀作法への厳格な遵守を強調します。"Punctilious"は、社会的な規範や期待に沿った行動を重視するニュアンスがあります。 【混同しやすい点】どちらも『几帳面』や『厳格』と訳されることがありますが、"scrupulous"は倫理的な観点から、"punctilious"は形式的な観点から厳格であることを意味します。"Punctilious"は、時間や服装、言葉遣いなど、社会的なルールやマナーに細心の注意を払うニュアンスがあります。
嘘をつかない、不正をしない、正直であるという意味です。日常会話からビジネスまで幅広く使われます。人柄や行動を評価する際に用いられます。 【ニュアンスの違い】"Scrupulous"は道徳的な原則に厳格に従うことを意味し、細部にわたる正確さを重視しますが、"honest"は単に嘘をつかない、欺かないという基本的な誠実さを意味します。 "Honest"はより一般的な言葉で、道徳的な厳密さよりも率直さを表します。 【混同しやすい点】"Scrupulous"は不正をしないだけでなく、倫理的な疑念を抱かせないように細心の注意を払うことを意味しますが、"honest"は必ずしもそこまでの厳格さを含みません。例えば、法的に問題がない範囲で利益を追求する行為は"honest"かもしれませんが、"scrupulous"とは言えない場合があります。
道徳的に正しく、正直で、尊敬に値する人物を指します。フォーマルな場面や、人物評価において用いられます。文学作品や歴史的な文脈でも見られます。 【ニュアンスの違い】"Scrupulous"は道徳的な原則に厳格に従うことを意味し、細部にわたる正確さを重視しますが、"upright"はより広い意味で、道徳的な一貫性と高潔さを表します。 "Upright"は、社会的な規範や倫理観に沿った行動を重視するニュアンスがあります。 【混同しやすい点】"Scrupulous"は些細なことにも倫理的な問題がないか注意を払うことを意味しますが、"upright"は人生全体を通じて正直で公正であることを意味します。例えば、税金をきちんと申告することは"upright"な行為ですが、税務処理の細部にまで倫理的な問題がないか確認することは"scrupulous"な行為と言えます。
- principled
特定の道徳的原則や信念を持ち、それらに従って行動する様子を表します。政治、倫理、道徳的な議論でよく用いられます。フォーマルな場面や、信念を語る際に使われることが多いです。 【ニュアンスの違い】"Scrupulous"が規則や基準への厳格な遵守を強調するのに対し、"principled"は個人の信念や価値観に基づいた行動を強調します。"Principled"は、外部からの圧力や誘惑に屈せず、自分の信じる道を進むニュアンスがあります。 【混同しやすい点】"Scrupulous"は具体的な規則や法律に厳密に従うことを意味しますが、"principled"はより抽象的な道徳的原則に従うことを意味します。例えば、法律で義務付けられていなくても、環境保護のために自主的に行動することは"principled"な行為ですが、法律で定められた環境基準を厳格に守ることは"scrupulous"な行為と言えます。
派生語
- scrupulosity
名詞で「几帳面さ」「良心の呵責」を意味します。抽象名詞化語尾-osityが付加され、状態や性質を表します。日常会話よりは、心理学や倫理学などの学術的な文脈で使われることが多いです。scrupulousが持つ「良心の呵責」というニュアンスが強く出ています。
- scrupulously
副詞で「良心的に」「細心の注意を払って」という意味です。副詞化語尾-lyが付加され、動詞を修飾します。ビジネス文書や契約書などで、手続きや規則を厳格に守る様子を表す際に用いられます。scrupulousの厳格さを強調する役割があります。
反意語
- unscrupulous
接頭辞un-(否定)が付加され、「不謹慎な」「不道徳な」という意味になります。scrupulousが持つ道徳的な厳格さの欠如を直接的に表します。ビジネスや政治の文脈で、不正行為や倫理に反する行為を非難する際に使われます。
「怠慢な」「不注意な」という意味で、scrupulousの「細心の注意を払う」という側面と対照的です。必ずしも道徳的な悪意を伴うわけではありませんが、義務や責任をきちんと果たさない状態を指します。日常会話からビジネスまで幅広く使われます。
語源
"scrupulous"は、ラテン語の"scrupulus"(小さな鋭い石、不安の種)に由来します。元々は、靴の中に入った小石が人を不安にさせるように、良心を悩ませる小さな疑念や不安を表していました。"scrupulus"はさらに"scrupus"(鋭い石)から派生しており、この"scrupus"は「きしみ」や「ざらつき」といった感覚を表す言葉です。つまり、"scrupulous"の語源は、文字通り「小さな石」から「良心のざらつき」へと意味が発展し、そこから「細部にまで気を配る」「几帳面」といった意味合いを持つようになりました。良心の呵責を感じやすい人が、小さなことにも注意を払う様子が想像できるでしょう。日本語で例えるなら、「石橋を叩いて渡る」という表現が、この単語の持つ慎重さを表すのに近いかもしれません。
暗記法
「scrupulous」は、単に規則を守るだけでなく、心の奥底にある倫理的な義務感から、細部にまで良心が行き届いている状態を指します。その語源は、靴の中の小石がもたらす不快感に似た「良心の呵責」。古代ローマの宗教儀式における厳格な遵守を背景に、文学作品では登場人物の誠実さや苦悩を際立たせ、現代社会ではビジネス、法律、医療など、倫理観が求められる分野で不可欠な要素となっています。公正さ、誠実さ、そして徹底した責任感。それが「scrupulous」の本質です。
混同しやすい単語
『scrupulous』と『scriptural』は、どちらも語頭が『scr-』で始まるため、スペルが非常に似ており、視覚的に混同しやすい単語です。また、発音も最初の数音節が似ているため、リスニング時にも注意が必要です。『scrupulous』が『良心的』や『几帳面』という意味であるのに対し、『scriptural』は『聖書に基づいた』という意味であり、全く異なる概念を表します。日本人学習者は、文脈から意味を判断し、スペルを正確に覚える必要があります。語源的には、『scrupulous』はラテン語の『scrupulus』(小さな石、良心の呵責)に由来し、『scriptural』は『script』(書かれたもの)に由来します。
『scrupulous』と『scurrilous』は、どちらも『sc-』で始まり、語尾の音も似ているため、発音とスペルの両方で混同しやすい単語です。『scrupulous』が肯定的な意味合いを持つことが多いのに対し、『scurrilous』は『下品な』や『口汚い』といった否定的な意味合いを持ちます。日本人学習者は、これらの単語が文中でどのように使われているかを注意深く観察し、意味の違いを理解する必要があります。また、これらの単語の語源を調べてみるのも良いでしょう。『scurrilous』はラテン語の『scurra』(道化師)に由来します。
『scrupulous』と『unscrupulous』は、接頭辞『un-』が付いているかどうかの違いだけであり、スペルが非常に似ています。意味は正反対で、『unscrupulous』は『不誠実な』や『不道徳な』という意味になります。日本人学習者は、『un-』のような否定的な接頭辞が付いている単語には特に注意を払い、意味を誤解しないようにする必要があります。また、文脈をよく読み、どちらの単語が適切かを判断することが重要です。
『prosperous』は、音節数や母音の配置が似ており、特に語尾の『-ous』の響きが共通しているため、発音の面で混同される可能性があります。また、どちらも形容詞であり、文脈によっては意味が曖昧になることもあります。『scrupulous』が『良心的』という意味であるのに対し、『prosperous』は『繁栄している』という意味です。日本人学習者は、単語全体のスペルと意味をしっかりと区別し、文脈に応じて適切な単語を選択する必要があります。
『serious』は、音節数と母音の響きが似ており、特に日本人学習者にとっては、発音の区別が難しい場合があります。また、どちらも形容詞であり、状況によっては意味が混同される可能性があります。『scrupulous』が『几帳面』という意味であるのに対し、『serious』は『深刻な』や『真剣な』という意味です。日本人学習者は、これらの単語が文中でどのように使われているかを注意深く観察し、意味の違いを理解する必要があります。
『sceptical』は、語頭の『sc-』が共通しており、スペルが似ているため、視覚的に混同される可能性があります。また、発音も最初の数音節が似ているため、リスニング時にも注意が必要です。『scrupulous』が『良心的』という意味であるのに対し、『sceptical』は『懐疑的な』という意味であり、異なる概念を表します。日本人学習者は、文脈から意味を判断し、スペルを正確に覚える必要があります。英語の綴りには、同じ発音でも異なる綴り字が存在することがあり、それが混乱の元になることがあります。
誤用例
『scrupulous』は『良心的』『几帳面』という意味合いが強く、謝罪の場面で使うと、まるで『良心に従って形式的に謝罪した』というニュアンスになりかねません。日本人が『申し訳ない』という気持ちを込めて『きちんと』謝罪したつもりでも、英語では『sincere(心からの)』や『genuine』を使う方が適切です。日本語の『きちんと』という言葉が持つ多義性が、誤用の原因と言えるでしょう。
『scrupulous』は道徳的な意味での『良心的』『正直』さを強調する言葉です。環境規制に『良心的』というよりも、『細心の注意を払っている』という意味で表現したい場合は、『meticulous』や『thorough』がより適切です。日本人が『きちんと』という言葉で、道徳的な意味合いと業務上の細心の注意の両方を表現しようとする際に、誤用が生じやすいパターンです。
『scrupulous』は、良心や倫理観に基づいて行動することを意味するため、単にダイエットに励んでいるという文脈にはそぐいません。『conscientious』を使うことで、『良心的に、真面目に』ダイエットに取り組んでいるニュアンスを表現できます。日本人が『真面目』という言葉を、倫理的な意味合いと努力の両方に使う傾向が、この誤用を生み出す原因の一つと考えられます。
文化的背景
「scrupulous(良心的、几帳面)」という言葉は、単に規則を守るだけでなく、道徳的・倫理的な義務感から細部にまで注意を払う姿勢を意味します。その背景には、古代ローマにおける宗教的な儀式への厳格な遵守という文化的ルーツがあり、現代においても、公正さや誠実さが強く求められる文脈で重要な意味を持ち続けています。
「scrupulous」の語源は、ラテン語の「scrupulus(小さな石)」に由来し、これが「良心の呵責」という比喩的な意味を持つようになりました。古代ローマ人は、靴の中に小石が入ると不快感を覚えるように、些細な不正や倫理的な逸脱も良心を痛めるものだと考えたのです。このイメージは、現代の「scrupulous」が含む、微細な点にも気を配る道徳的な厳格さを見事に表しています。したがって、「scrupulous」な人物は、まるで靴の中の小石を取り除くように、あらゆる不正や不誠実さに対して徹底的に対処しようとします。
文学作品における「scrupulous」の登場は、しばしば登場人物の性格や物語のテーマを際立たせる効果を持ちます。例えば、チャールズ・ディケンズの小説には、「scrupulous」な会計士や弁護士が登場し、複雑な社会構造の中で誠実さを貫くことの難しさや重要性を描き出しています。また、シェイクスピアの作品では、「scrupulous」な人物が、時に過剰なほどの良心の呵責に苦しみ、悲劇的な結末を迎えることもあります。これらの例から、「scrupulous」は、単なる性格描写にとどまらず、社会や倫理の問題を深く掘り下げるための重要な要素として機能していることがわかります。
現代社会において、「scrupulous」は、ビジネス、法律、医療など、高度な専門性と倫理観が求められる分野で特に重要な言葉です。例えば、「scrupulous」な弁護士は、法律の条文だけでなく、依頼人の権利や正義の実現のために全力を尽くします。「scrupulous」な医師は、最新の医学知識に基づき、患者の利益を最優先に考えた治療を行います。このように、「scrupulous」は、単なる能力の高さだけでなく、倫理的な責任感と結びついたプロフェッショナリズムを象徴する言葉として、現代社会においてもその重要性を増しています。
試験傾向
準1級・1級の語彙問題で出題される可能性があり、長文読解でも見かけることがあります。1級ではライティングでの使用も考えられます。
1. **出題形式**: 語彙問題、長文読解、ライティング
2. **頻度と級・パート**: 準1級・1級
3. **文脈・例題の特徴**: 社会問題、倫理、科学論文など、やや硬めの文脈で使われることが多いです。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 'scrupulous'は「良心的」「几帳面」など複数の意味があるので、文脈によって適切な意味を選べるようにしましょう。'unscrupulous'(不誠実な)との区別も重要です。
Part 5, 6, 7 で登場する可能性がありますが、英検ほど頻繁ではありません。ビジネス文書で使われることがあります。
1. **出題形式**: 短文穴埋め問題、長文読解
2. **頻度と級・パート**: あまり高頻度ではない
3. **文脈・例題の特徴**: 契約書、報告書、倫理規定など、ビジネス関連の硬い文脈で使われることがあります。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 'thorough'(徹底的な)や 'meticulous'(細心の注意を払った)など、意味が似た単語との区別が重要です。TOEICでは、ビジネスシーンでの適切な用法を理解しておきましょう。
アカデミックな文章で読解問題として出題される可能性があります。科学、歴史、社会科学など、様々な分野の文章で使われます。
1. **出題形式**: 長文読解
2. **頻度と級・パート**: 中程度の頻度
3. **文脈・例題の特徴**: 研究論文、学術記事、歴史的文書など、アカデミックな文脈で使われます。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 文脈から正確な意味を推測する練習が必要です。TOEFLでは、抽象的な概念を説明する際に使われることが多いので、文脈全体を理解することが重要です。
難関大学の長文読解で出題される可能性があります。社会科学系の文章でよく見られます。
1. **出題形式**: 長文読解
2. **頻度と級・パート**: 難関大学でまれに出題
3. **文脈・例題の特徴**: 倫理、社会問題、歴史など、アカデミックなテーマの文章で使われます。
4. **学習者への注意点・アドバイス**: 文脈から意味を推測する能力が求められます。類義語や反意語を覚えておくことも役立ちます。大学受験では、文章全体の論旨を把握する力が重要です。