thoroughly
th の音(/θ/)は、舌先を上下の前歯で軽く挟んで息を出す音です。日本語のサ行とは全く異なる発音なので注意しましょう。ʌ は曖昧母音で、日本語の「ア」と「オ」の中間のような音です。強勢は最初の音節にあります。最後の -ly は、日本語の「リ」よりも舌を丸めずに発音します。
念入りに
細部まで注意を払い、完璧を目指すニュアンス。調査、検討、準備など、あらゆる行為の徹底度合いを示す。
She cleaned the kitchen thoroughly after cooking dinner.
彼女は夕食を作った後、キッチンを念入りに掃除しました。
※ 料理の後、油汚れや食べかすが残らないように、シンクやコンロの隅々まで丁寧に掃除する様子が目に浮かびます。このように「何かを徹底的にきれいにする」場面は、thoroughlyが最も自然に使われる典型的なシチュエーションの一つです。clean(掃除する)という動詞を具体的に修飾しています。
Please read the instructions thoroughly before you start the task.
作業を始める前に、指示を念入りに読んでください。
※ この例文は、何か新しいことを始める際、間違いがないように「指示を漏れなく、細部まで確認する」という状況を描いています。特にビジネスや学習の場面でよく使われます。read(読む)という動詞を修飾し、「ただ読むだけでなく、理解が深まるまでしっかり読む」というニュアンスを伝えています。
The doctor examined the patient thoroughly to find the cause of the pain.
医師は痛みの原因を見つけるため、患者を念入りに診察しました。
※ この文では、医師が患者の症状を見落とさないように、全身や患部を時間をかけて丁寧に診る様子が伝わってきます。人の健康や安全に関わる重要な場面で、thoroughlyは「細部にわたって、抜かりなく」という意味合いで使われます。examine(診察する/調べる)という動詞を修飾し、その行為の丁寧さ、徹底ぶりを表しています。
完全に
不足や不備がなく、全体が満たされている状態。理解、満足、疲労など、程度が最大に達していることを表す。
He read the instructions thoroughly to make sure he understood every step.
彼はすべての手順を理解しているか確認するため、説明書を完全に読み込んだ。
※ 新しい家具を組み立てる時、失敗しないように説明書を「隅から隅まで」「完全に」読む情景が目に浮かびますね。何かを「完全に理解する」「入念に確認する」という時にぴったりです。例えば、テストの前にテキストを「thoroughly review(完全に復習する)」する、といった使い方もできます。
My mom cleaned the kitchen thoroughly after we finished cooking a big meal.
大きな食事を作り終えた後、母はキッチンを隅々まで完全にきれいにした。
※ 家族でたくさん料理をして、汚れや油が飛び散ったキッチンを、お母さんが「徹底的に」「完全に」きれいにする様子が想像できます。汚れを少しも残さず、ピカピカにする時に使われます。部屋の掃除や車の洗浄など、「完全にきれいにする」場面でよく使われる表現です。
The team prepared their presentation thoroughly for the important meeting tomorrow.
チームは明日の重要な会議のために、プレゼンテーションを完全に準備した。
※ 明日の大事な会議に向けて、チームメンバーが夜遅くまで残り、資料の確認や練習を「抜かりなく」「徹底的に」行っているプロフェッショナルな姿が目に浮かびます。仕事や計画などを「万全に準備する」「入念に用意する」という時に使われ、成功への強い意気込みが感じられます。
深く
表面的な理解や経験を超え、本質や核心に迫る様子。感情、知識、影響などが、浅いレベルにとどまらないことを示す。
A student reread her notes thoroughly to understand the complex theory before the test.
ある学生は、テスト前にその複雑な理論を完全に理解するため、自分のノートを徹底的に読み直しました。
※ この例文では、試験前の学生が「完璧に理解したい」という強い気持ちで、ノートを隅々まで、何度も読み返している情景が目に浮かびます。「thoroughly」は、このように何かを「深く、完全に、漏れなく」理解しようとする時にぴったりの表現です。特に「understand thoroughly(完全に理解する)」は非常によく使われる組み合わせです。
My mom always cleans the kitchen thoroughly after cooking a big meal.
私の母は、いつも大勢の食事を作った後、キッチンを徹底的にきれいにします。
※ 家族のために大勢の食事を作り終えたお母さんが、油汚れ一つ残さないように、シンクからコンロ、床まで、キッチン全体をピカピカに磨き上げている様子が目に浮かびます。「thoroughly」は、このように「隅々まで、完璧に、入念に」何かを掃除したり、片付けたりする行動を表すのに使われます。「clean thoroughly(徹底的にきれいにする)」は日常会話でよく耳にする表現です。
The doctor checked the patient thoroughly to find the cause of her pain.
医師は、患者の痛みの原因を見つけるため、彼女を念入りに診察しました。
※ この例文では、患者の苦痛を取り除こうと、医師が体のどこにも見落としがないよう、真剣な表情で診察している情景が伝わってきます。「thoroughly」は、このように「入念に、詳細に、見落としなく」何かを検査したり、確認したりする状況で使われます。特に専門家が何かを「examine thoroughly(徹底的に調べる)」や「check thoroughly(入念に確認する)」と言う場合によく使われる、信頼感のある表現です。
コロケーション
徹底的に調査する
※ 事件や疑惑などを、あらゆる角度から深く掘り下げて調べることを指します。単に調べるだけでなく、見落としがないように、詳細な証拠や情報を集めるニュアンスを含みます。警察の捜査、企業の内部調査、科学的な研究など、客観性と網羅性が求められる場面でよく用いられます。例えば、"The police thoroughly investigated the crime scene."(警察は犯罪現場を徹底的に調査した)のように使われます。
心から楽しむ、満喫する
※ 何かを非常に楽しく感じ、完全に満足している状態を表します。単に"enjoy"よりも感情の度合いが強く、深い満足感や喜びを表したいときに使われます。休暇、映画、食事、パーティーなど、ポジティブな経験に対して使われることが多いです。例えば、"I thoroughly enjoyed the concert last night."(昨夜のコンサートを心から楽しんだ)のように使われます。日常会話でもビジネスシーンでも使用可能です。
徹底的に清掃する
※ 単に表面をきれいにするだけでなく、隅々まできれいにすることを意味します。家、車、オフィスなど、あらゆる場所の清掃に使えます。衛生的な状態を保つため、または見た目を美しくするために行われます。例えば、"We need to thoroughly clean the kitchen after the party."(パーティーの後、キッチンを徹底的に掃除する必要がある)のように使われます。家庭内での使用頻度が高い表現です。
完全に理解する、熟知する
※ 物事を表面的なレベルではなく、深く、完全に理解している状態を指します。複雑な概念、理論、プロセスなどを理解する場合に使われます。試験勉強、仕事の研修、専門的な学習など、知識の習得が重要な場面でよく用いられます。例えば、"I thoroughly understand the new regulations."(私は新しい規則を完全に理解している)のように使われます。ビジネスシーンや学術的な文脈でよく見られます。
完全に混乱している
※ 非常に混乱した状態を表します。理解できない状況や複雑な情報に直面したときに使われます。事態が複雑で、何が起こっているのか全くわからないときに、自分の状態を表すために使います。例えば、"I'm thoroughly confused by this new software."(この新しいソフトウェアに完全に混乱している)のように使われます。感情を強調する表現です。
徹底的に現代的
※ 完全に現代のスタイルや技術を取り入れていることを意味します。デザイン、建築、ライフスタイルなど、あらゆるものに対して使われます。伝統的な要素がほとんどなく、最新のトレンドや技術が反映されていることを強調します。例えば、"The building is thoroughly modern in its design."(その建物はデザインにおいて徹底的に現代的である)のように使われます。広告やデザイン関連の分野でよく用いられます。
ずぶ濡れ
※ 完全に水に濡れている状態を表します。雨に降られたり、水に落ちたりして、衣服や体が完全に濡れてしまったときに使われます。単に"wet"よりも強調された表現で、非常に濡れている状態を表します。例えば、"I got thoroughly wet in the rain."(雨でずぶ濡れになった)のように使われます。日常会話でよく用いられる表現です。
使用シーン
学術論文や研究発表で、調査や分析が「念入りに」行われたことを強調する際に用いられます。例えば、社会学の研究で「徹底的に文献調査を行った結果、〜という仮説が支持された」のように使われます。フォーマルな文体で、客観性と厳密さを表現するのに適しています。
ビジネス文書や会議で、調査や検討が「完全に」行われたことを示す際に使われます。例えば、市場調査の報告書で「競合他社の戦略を徹底的に分析した結果、新たな市場機会を発見した」のように用いられます。プロジェクトの進捗報告やリスク評価など、重要な意思決定を支える根拠を示す文脈で有効です。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、事件や問題が「深く」掘り下げられている様子を伝える際に用いられることがあります。例えば、「事件の背景を徹底的に調査した番組」のように使われます。やや硬い印象を与えるため、フォーマルな場面や書き言葉での使用が適しています。
関連語
類義語
『完全に』という意味で、何かが全体として完結している状態を表す。日常会話、ビジネス、学術など、幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『thoroughly』が細部まで行き届いた完全さを強調するのに対し、『completely』は全体としての完了や網羅性を強調する。例えば、調査を『thoroughly』行う場合は詳細な分析を意味し、『completely』行う場合は全ての関連情報を網羅することを意味する。 【混同しやすい点】『completely』は状態の変化や完了を表す動詞と相性が良い(例:completely finished)。一方、『thoroughly』は行為の質を強調する動詞と相性が良い(例:thoroughly cleaned)。
『完全に』『十分に』という意味で、必要とされる条件や程度が満たされている状態を表す。ビジネスシーンや公式な場面でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『thoroughly』が細部にわたる完璧さを意味するのに対し、『fully』は必要条件の充足を意味する。例えば、『fully understand』は内容を完全に理解していることを意味し、『thoroughly understand』は細部まで深く理解していることを意味する。 【混同しやすい点】『fully』は状態を表す形容詞や過去分詞と相性が良い(例:fully booked, fully informed)。『thoroughly』は動詞を修飾し、行為の徹底度を表すことが多い。
- exhaustively
『徹底的に』『網羅的に』という意味で、調査、研究、議論などが全ての側面をカバーしていることを表す。学術論文や専門的な報告書でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『thoroughly』が細部への注意を強調するのに対し、『exhaustively』は網羅性と労力を強調する。例えば、『exhaustively researched』は、可能な限り全ての情報源を調べ上げたことを意味する。 【混同しやすい点】『exhaustively』は、時間や労力を要する行為に対して用いられることが多い。日常的な行為には不向きである(例:exhaustively cleanedとは言わない)。
『細心の注意を払って』『几帳面に』という意味で、非常に細かい部分まで注意を払い、正確さを期すことを表す。技術的な文書や芸術作品の評価などで用いられる。 【ニュアンスの違い】『thoroughly』が全体的な徹底さを意味するのに対し、『meticulously』は細部への極端な注意を意味する。例えば、『meticulously planned』は、非常に細かい部分まで計画されていることを意味する。 【混同しやすい点】『meticulously』は、特に正確さや美的完成度が求められる行為に対して用いられることが多い。また、人の性質を表す形容詞としても使われる(例:a meticulous person)。
『注意深く』という意味で、ミスや失敗を避けるために注意を払って行動することを表す。日常会話からビジネスまで幅広く使われる。 【ニュアンスの違い】『thoroughly』が徹底的に行うことを意味するのに対し、『carefully』は注意深く行うことを意味する。例えば、『carefully read』は注意深く読むことを意味し、『thoroughly read』は隅々まで完全に読むことを意味する。 【混同しやすい点】『carefully』は、危険を伴う行為や重要な決定を行う際に用いられることが多い。一方、『thoroughly』は、品質や完成度を高めるために用いられる。
- scrupulously
『良心的に』『注意深く』という意味で、道徳的または倫理的な義務を非常に真剣に果たすことを表す。法律、会計、倫理に関する議論で用いられる。 【ニュアンスの違い】『thoroughly』が細部にわたる徹底さを意味するのに対し、『scrupulously』は道徳的な観点からの厳格さを意味する。例えば、『scrupulously honest』は、非常に正直であることを意味する。 【混同しやすい点】『scrupulously』は、道徳的な判断や倫理的な義務に関連する行為に対して用いられることが多い。日常的な行為には不向きである(例:scrupulously cleanedとは言わない)。
派生語
『徹底的な』という意味の形容詞。「thoroughly」の形容詞形であり、物事の隅々まで行き届いている様子を表す。日常会話からビジネスシーン、学術論文まで幅広く使われる。名詞『through(~を通って)』が語源で、『完全に通過する』イメージから派生。
- thoroughness
『徹底性』という意味の名詞。「thorough」に名詞化の接尾辞『-ness』が付いた形。抽象的な概念を表すため、ビジネス文書や学術論文で、品質管理や研究の姿勢などを表現する際に用いられることが多い。『徹底的な性質』というニュアンス。
前置詞、副詞、形容詞として使われ、『~を通って』、『最初から最後まで』などの意味を持つ。「thorough」や「thoroughly」の語源であり、物事を完全に通過するイメージが、徹底的な性質や方法へと意味が発展した。日常会話で頻繁に使われる。
反意語
『部分的に』という意味の副詞。「thoroughly」が全体を網羅するのに対し、こちらは一部に限定されることを示す。例えば、「The task was only partially completed.(その仕事は部分的にしか完了していなかった)」のように使われる。日常会話、ビジネス、学術など幅広い文脈で使用可能。
『表面的な』、『うわべだけで』という意味の副詞。「thoroughly」が深く掘り下げて行うのに対し、こちらは表面をなぞるだけであることを示す。例えば、「He only examined the problem superficially.(彼は問題を表面的な視点からしか調べなかった)」のように使われる。特に、調査や分析の文脈で対比的に用いられる。
- incompletely
『不完全に』という意味の副詞。接頭辞『in-(否定)』が『completely(完全に)』に付いた形。「thoroughly」が完全な状態を表すのに対し、こちらは不完全な状態を示す。例えば、「The report was incompletely researched.(その報告書は不完全に調査されていた)」のように使われる。ビジネスや学術的な文脈で、作業や調査の不備を指摘する際に用いられる。
語源
"Thoroughly」は、「完全に」「徹底的に」という意味ですが、その語源は古英語の「þurh」(through)に由来します。「þurh」は「~を通して」という意味を持ち、これはゲルマン祖語の「*þurkh」に遡ります。この「*þurkh」は、何かを貫通する、通過するというイメージを含んでいます。そして、「thorough」に接尾辞「-ly」が付くことで副詞となり、「~を通して」「完全に」という意味合いが強調されます。つまり、「thoroughly」は、文字通りには「完全に通して」という意味合いを持ち、それが転じて「念入りに」「徹底的に」という意味になったのです。例えば、トンネルを「through(通って)」抜けるように、何かを完全にやり遂げるイメージを持つと覚えやすいでしょう。
暗記法
「thoroughly」は単なる完了以上の意味を持つ。中世ギルドの職人は、大聖堂建設に魂を込め、徹底的な仕事は倫理的義務だった。ルネサンス期には学者が古典を精読、知識を深め、レオナルド・ダ・ヴィンチは人体解剖を徹底的に探求した。現代では品質管理やリスク管理に不可欠。徹底的な探求は、責任感、倫理観、品質へのこだわりを象徴する。
混同しやすい単語
『thoroughly』とスペルが似ており、特に 'though' の 'ough' の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすい。発音も似ているように感じるかもしれないが、『though』は /ðoʊ/ と発音し、『~だけれども』という意味の接続詞または副詞。『thoroughly』は /θʌrəli/ と発音し、『徹底的に』という意味の副詞である。スペルだけでなく、品詞も意味も異なる点に注意が必要。
『thoroughly』と同様に、'ough' の部分が共通しているため、スペルが非常に似ていて混同しやすい。発音は /θruː/ であり、『~を通って』という意味の前置詞、副詞、形容詞として使われる。『thoroughly』とは意味も品詞も異なる。特に、リーディングの際にスペルミスに気づかず読み間違えることがないように注意する必要がある。
語尾の '-ly' が共通しており、副詞として使われる点も共通しているため、意味や使い方が似ていると誤解しやすい。『roughly』は『おおよそ』『だいたい』という意味で、『thoroughly』の『徹底的に』とは意味が異なる。発音も異なるため、文脈から判断する必要がある。
『thoroughly』の形容詞形であり、スペルも発音も非常に似ているため、混同しやすい。『thorough』は /θʌrə/ と発音し、『徹底的な』『完全な』という意味の形容詞。副詞の『thoroughly』と形容詞の『thorough』の違いを意識し、文中でどのように使われているかを見極めることが重要。例えば、『a thorough investigation (徹底的な調査)』のように使う。
最初の 'fur-' の部分が、発音記号で/ˈfɜːrəʊ/と、/θʌrəli/のThoroughlyの最初の部分と少し似ているため、特に発音に注意が必要。『furrow』は『畝(うね)』や『しわ』という意味の名詞または動詞であり、『thoroughly』とは意味が全く異なる。農作業や皮膚に関する文脈で登場することが多い。
スペルの一部(thr-)が共通しているため、視覚的に混同しやすい。発音は/θroʊ/であり、『投げる』という意味の動詞。thoroughlyの thoro-の部分と音が似ているため、発音に注意。文脈によって意味が全く異なるため、注意深く読む必要がある。
誤用例
「thoroughly」は「徹底的に」「完全に」という意味合いが強く、小さな不便に対して使うと大げさで不自然に聞こえます。日本語の『大変申し訳ございません』を直訳しようとする際に、つい強い言葉を選んでしまうことが原因です。英語では、相手への配慮を示すために、状況に応じた適切な丁寧さの表現を選ぶことが重要です。「sincerely」は「心から」という意味で、より穏やかで丁寧な謝罪の気持ちを伝えるのに適しています。また、ビジネスシーンなどフォーマルな場面では、過剰な謝罪はかえって相手に不信感を与える可能性もあるため、注意が必要です。
「thoroughly」は、何かを完全にやり遂げたり、深く掘り下げたりするようなニュアンスを含むため、単に「楽しむ」という感情に対して使うと、少し硬く、形式ばった印象を与えます。日本語の『とても』を安易に「thoroughly」に置き換えてしまうと、不自然な英語になることがあります。英語では、感情の度合いを表す際には、「really」や「very much」など、より自然で口語的な表現が好まれます。映画鑑賞のような日常的な場面では、「really」の方が適切です。また、「thoroughly」は、例えば「We thoroughly investigated the matter.(我々はその件を徹底的に調査した)」のように、調査や分析など、より厳密な行為に対して使われることが多いです。
「thoroughly」は「完全に理解した」という意味で、誤りではありませんが、この文脈では少し不自然です。なぜなら、「完全に理解した」という状態は、質問をしない理由として少し強すぎるからです。日本語の『状況をよく理解していたので』というニュアンスを表現しようとして、「thoroughly」を使ってしまうと、英語のネイティブスピーカーには少し違和感を与えることがあります。英語では、「well」や「fully」など、より自然な表現を使うことで、よりスムーズなコミュニケーションが可能です。また、文化的背景として、質問をすることは必ずしも理解していないことの表れではなく、むしろ積極的に議論に参加する姿勢と見なされることもあります。
文化的背景
「thoroughly(徹底的に)」という言葉は、単なる行為の完了を示すだけでなく、物事の本質を深く理解し、細部まで行き届いた状態を意味します。これは、中世の職人ギルドにおける完璧主義や、ルネサンス期の学者の探求心と深く結びついており、単なる作業以上の、倫理的、あるいは美的な価値観を反映しています。
中世ヨーロッパにおいて、ギルドに所属する職人たちは、製品の品質を徹底的に追求しました。「thoroughly」という概念は、彼らの仕事における誇りや責任感と密接に結びついていました。例えば、大聖堂の建設においては、石工たちは設計図を徹底的に理解し、石材の選定から加工、組み立てまで、すべての工程において細心の注意を払いました。彼らは、神への奉仕という目的を達成するために、技術と精神の両面で「thoroughly」な仕事を追求したのです。この徹底的な仕事ぶりは、単なる技術的なスキルを超え、倫理的な義務として捉えられていました。
ルネサンス期に入ると、「thoroughly」は学問の世界でも重要な意味を持つようになります。人文主義者たちは、古典文献の研究を通じて、古代の知識を徹底的に理解しようとしました。彼らは、原典を精読し、注釈を加え、他の学者との議論を通じて、知識の深化を図りました。この徹底的な探求心は、科学革命の基礎となり、近代的な知識体系の構築に貢献しました。例えば、レオナルド・ダ・ヴィンチは、人体の解剖学を徹底的に研究し、その知識を芸術作品に反映させました。彼の徹底的な観察力と探求心は、芸術と科学の融合を促し、ルネサンス文化の発展に大きく貢献しました。
現代においても、「thoroughly」は、品質管理やリスク管理など、さまざまな分野で重要な概念として用いられています。企業は、製品の安全性を確保するために、徹底的な検査やテストを実施します。また、プロジェクトの成功のためには、計画段階から実行、評価まで、すべてのプロセスを徹底的に管理する必要があります。「thoroughly」という言葉は、単なる作業の完了を示すだけでなく、責任感、倫理観、そして品質へのこだわりを象徴する言葉として、私たちの社会に深く根付いているのです。
試験傾向
1. 出題形式: 語彙問題、長文読解
2. 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。1級でも出題可能性あり
3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、科学技術、歴史など幅広いテーマで登場。文章全体の内容理解を問う問題が多い
4. 学習者への注意点・アドバイス: 副詞としての意味(徹底的に、完全に)を理解するだけでなく、類義語(completely, exhaustively)とのニュアンスの違いを把握することが重要。また、形容詞"thorough"(徹底的な)との関連性も意識する。
1. 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)
2. 頻度と級・パート: 頻出。特にPart 7のビジネス関連文書でよく見られる
3. 文脈・例題の特徴: 契約書、報告書、メールなどビジネスシーンを想定した文脈で使われることが多い。プロジェクトの遂行や調査の結果などを説明する際に使われる
4. 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーンでの使われ方を意識し、類似表現(carefully, meticulously)との使い分けを理解することが重要。文脈から意味を推測する練習も効果的。
1. 出題形式: リーディングセクション
2. 頻度と級・パート: 頻出。アカデミックな文章でよく使われる
3. 文脈・例題の特徴: 研究論文、学術記事など、専門的な内容を扱う文章で頻繁に登場。実験方法や結果の記述、理論の説明などに使われる
4. 学習者への注意点・アドバイス: アカデミックな文脈における意味を理解することが重要。類義語(comprehensively, extensively)との違いを意識し、文脈に応じて適切な意味を判断できるようにする。
1. 出題形式: 長文読解、和訳問題、空所補充問題
2. 頻度と級・パート: 難関大学で頻出
3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、科学、哲学など、多様なテーマの文章で登場。論理的な展開のなかで使われることが多い
4. 学習者への注意点・アドバイス: 文脈の中で正確な意味を把握することが重要。単語の意味だけでなく、文章全体の論旨を理解する力が求められる。また、類義語との使い分けや、形容詞"thorough"との関連性も意識する。