英単語学習ラボ

through

/θruː/(スルー)

th の音は、舌先を上下の前歯で軽く挟んで息を出す摩擦音です。日本語のサ行の発音とは舌の位置が異なります。また、母音 /uː/ は日本語の「ウ」よりも唇を丸めて長く伸ばす音です。ローマ字読みの「スルー」よりも、意識して舌を使い、口をすぼめることで、よりネイティブに近い発音になります。

前置詞

通り抜けて

空間的な通過だけでなく、時間的な経過、困難な状況の突破など、幅広い意味での通過を表す。物理的な移動の他、「~を通して」「~を通じて」のように抽象的な意味合いでも用いられる。

After a long walk, we finally came out through the thick forest.

長い散歩の後、私たちはついに深い森を通り抜けて出てきました。

森の中を歩くのは大変だけど、通り抜けた時の達成感が伝わりますね。「through」は、このように「何かの中を突き抜けて移動する」という物理的な感覚を最もよく表します。長い道のりや困難な状況を乗り越えるような場面でよく使われます。

She quickly walked through the open door into the room.

彼女は開いたドアを素早く通り抜けて部屋に入りました。

急いで部屋に入る様子が目に浮かびますね。「through the door」は、日常会話で非常に頻繁に使われるフレーズです。文字通り「ドアを通り抜ける」という、ある場所から別の場所へ移動する動作をシンプルに表現しています。

Bright sunlight streamed through the window and lit up the kitchen.

明るい日差しが窓を通り抜けて、キッチンを照らしました。

朝の光が部屋に差し込む、心地よい情景が目に浮かびます。「through」は、光や音、空気など、形のないものが窓や壁、水などの媒体を「透過する」「通り抜けてくる」といった場合にも非常によく使われます。物理的な動きだけでなく、このような自然現象にも応用できるのがポイントです。

副詞

完全に

ある行為や状態が最初から最後まで完了していることを強調する。「through and through」のように繰り返して使うことで、その度合いを強めることができる。

I finally read the whole book through and felt so proud.

私はついにその本を最後まで読み通し、とても誇らしい気持ちになりました。

この例文は、長い本や書類などを「最初から最後まで完全に読み終える」という状況を描写しています。達成感や満足感が伝わりますね。動詞 'read' の後に 'through' を置くことで、「完全に最後まで」というニュアンスが強調されます。他にも 'look through'(ざっと目を通す)、'go through'(目を通す、経験する)など、様々な動詞と組み合わせて使われます。

We worked hard and got the big project through just before the deadline.

私たちは懸命に働き、締め切り直前にその大きなプロジェクトを完全にやり遂げました。

ここでは、大変な仕事やプロジェクトを「最後までやり遂げる」「完了させる」という状況を表しています。チームで協力して困難を乗り越えた達成感が感じられますね。'get something through' は、特に「困難なことや多くの手順が必要なことを、最後まで成し遂げる」という文脈で非常によく使われる表現です。ビジネスシーンでも頻繁に耳にするでしょう。

After a long illness, he was happy to be completely through it.

長い病気のあと、彼はそれを完全に乗り越え、喜んでいました。

この例文は、大変な経験や困難な期間を「完全に終え、乗り越えた」という安堵の気持ちを表現しています。辛い時期を終え、ようやく解放された喜びが伝わってきますね。'be through with ~' や 'be through it' は、「〜が完全に終わった」「〜を乗り越えた」という意味で使われます。特に、もう関わりたくないことや、大変だったことが終わった時に使われることが多い表現です。

形容詞

終わった

何かが完了し、終了した状態を表す。エネルギーを使い果たした、目標を達成したなど、様々な状況で使用できる。

He sighed with relief because he was finally through with his difficult homework.

彼は、ついに大変な宿題が終わったので、安堵のため息をついた。

この例文は、長い時間や労力を費やした作業が「やっと終わった」という、ほっとした気持ちを表しています。宿題や仕事、プロジェクトなど、何かをやり遂げた達成感や解放感を伝えるときにぴったりの表現です。be through with (something) の形で「〜を終える」という意味でよく使われます。

After a big fight, they knew their relationship was through.

大喧嘩の後、彼らは自分たちの関係が終わったことを悟った。

この例文は、人間関係が「終わった」「破局した」という、少し悲しい、あるいは決定的な状況を描写しています。恋人同士や友人関係など、人と人との繋がりが解消されたときに使われる、とても自然な表現です。感情的な結びつきの終焉を伝える際に役立ちます。

The long exam was finally through, and students cheered loudly.

長い試験がついに終わり、生徒たちは大きな歓声を上げた。

この例文は、あるイベントや期間が「終了した」「完了した」という状況を表しています。特に、大変だったことや待ち望んでいたことが終わった際の、開放感や喜びを伴うシーンでよく使われます。試験、会議、困難な時期など、区切りがつく場面で「through」を使ってみましょう。

コロケーション

go through the motions

形だけこなす、義務的に行動する

本来の熱意や目的を失い、ただ表面的な行動だけを行う状態を指します。例えば、仕事でやる気がなく、ただタスクをこなすだけの状態などが該当します。演劇のリハーサルで、まだ感情を込めずに動きだけを練習する様子が語源とされています。ビジネスシーンや日常会話で、しばしば皮肉を込めて使われます。単に「行う」という意味の“do”よりも、無気力さが強調されるニュアンスです。

see something through

最後までやり遂げる、成し遂げる

困難や障害があっても、計画やプロジェクトを最後まで完了させるという意味です。責任感や粘り強さを表す表現で、ビジネスシーンでよく使われます。似た表現に"carry out"がありますが、"see something through"はより困難な状況を乗り越えて達成するというニュアンスが強くなります。精神的なコミットメントや決意が込められている点が特徴です。

through thick and thin

どんな困難な状況でも、良い時も悪い時も

「厚い(良い)時も薄い(悪い)時も」という意味で、人生におけるあらゆる状況、特に困難な時期も共に乗り越えるという強い絆や忠誠心を表します。友情、愛情、ビジネスパートナーシップなど、長期的な関係性において用いられます。比喩的な表現で、文字通りの「厚さ」や「薄さ」を指すわけではありません。誓いの言葉やスピーチなど、フォーマルな場面でも使用されます。

through the grapevine

うわさで、口コミで

公式なルートではなく、非公式な経路で情報が伝わることを指します。まるでブドウの蔓が絡み合うように、情報が人から人へと伝わっていく様子を表しています。ビジネスシーンや日常会話で、特に秘密めいた情報や確認されていない情報について使われます。「噂によると~らしい」というニュアンスで使われ、情報の信頼性は低いことを示唆します。類似表現に"by word of mouth"がありますが、こちらは必ずしも秘密の情報とは限りません。

through a glass darkly

ぼんやりと、不明瞭に

聖書(コリント人への手紙一 13章12節)に由来する表現で、物事を完全には理解できない、不完全にしか見えない状態を指します。現代英語では、文学的な文脈や哲学的な議論で用いられることが多いです。初期の鏡が粗悪で像が不明瞭だったことに由来し、比喩的に「真実を直接見ることができない」状況を表します。日常会話ではあまり使われませんが、教養を示す表現として知られています。

sleep through something

~を聞き逃す、~に気づかずに寝過ごす

文字通りには「~を通して眠る」ですが、「(音や出来事に)気づかずに眠り続ける」という意味になります。例えば、アラームをスルーして寝過ごしたり、嵐の音にも気づかずにぐっすり眠っていたりする状況です。日常会話でよく使われ、特に注意を払うべきだったことを見過ごしてしまったというニュアンスが含まれます。類似表現に"oversleep"がありますが、こちらは単に寝過ごしたという事実を述べるのに対し、"sleep through"は何か重要なことを見逃したという後悔や残念な気持ちが込められていることがあります。

使用シーン

アカデミック

学術論文や教科書で、抽象的な概念やプロセスを説明する際に使われます。例えば、「データ分析を通して重要な知見が得られた」のように、研究方法や結果を示す文脈で用いられることが多いです。文語的でフォーマルな表現です。

ビジネス

ビジネス文書やプレゼンテーションで、計画の実行段階や承認プロセスを説明する際に使われます。例えば、「提案は経営会議を通して承認された」のように、手続きや経路を説明する際に用いられます。ややフォーマルな表現ですが、日常的なビジネスコミュニケーションでも使われます。

日常会話

日常会話では、場所や物を通り抜ける物理的な状況を説明する際に頻繁に使われます。例えば、「公園を通り抜けて駅まで行く」のように、移動経路を示す際に用いられます。また、「困難を乗り越える」のような比喩的な表現でも使われ、幅広い場面で登場します。

関連語

類義語

  • 『~の間ずっと』『~の至る所に』という意味で、時間や空間的な広がりを表す。前置詞、副詞として用いられる。 【ニュアンスの違い】『through』が特定の場所や経路を通過するイメージなのに対し、『throughout』はある範囲全体に及ぶことを強調する。時間的な継続性や空間的な網羅性を示す。 【混同しやすい点】『through』が場所や経路の『通過』を意味するのに対し、『throughout』は範囲全体に『及ぶ』ことを意味する。時間的な文脈では、『throughout』は『期間全体』を表す。

  • 『~によって』『~のそばに』など、様々な意味を持つ前置詞。手段、場所、時間など幅広い文脈で使用される。 【ニュアンスの違い】『through』が『~を通って』という経路や方法を表すのに対し、『by』は手段や原因を表すことが多い。『by』は近接や隣接を表す意味もある。 【混同しやすい点】『through』が能動的な通過や貫通のイメージを持つ一方で、『by』は受動的な手段や近接を表すことが多い。例えば、『through hard work』は努力を通して何かを達成する意味合いだが、『by working hard』は努力することによって何かを達成する意味合いになる。

  • 『~経由で』という意味で、特定の経路や手段を示す。比較的フォーマルな表現で、交通手段や通信手段などを表す際によく用いられる。 【ニュアンスの違い】『through』が物理的な通過を意味するのに対し、『via』はより抽象的な経路や手段を示すことが多い。ビジネスや公式な場面でよく使われる。 【混同しやすい点】『via』は具体的な場所の通過だけでなく、インターネット回線などの抽象的な経路も表せる。『through』は通常、物理的な通過に限定される。『via』はラテン語起源で、やや硬い印象を与える。

  • 『~の中に』『~の状態で』など、場所、時間、状態などを示す一般的な前置詞。 【ニュアンスの違い】『through』がある場所を通過・貫通する動きを表すのに対し、『in』はある場所の中に存在することや、ある状態であることを表す。静的な状態を表すことが多い。 【混同しやすい点】『through』は動きや変化を伴うが、『in』は静的な状態を表すことが多い。『through the window』は窓を通って移動するイメージだが、『in the window』は窓の中にある状態を表す。

  • 『~を過ぎて』という意味で、場所や時間を通過する様子を表す。前置詞、副詞、名詞として用いられる。 【ニュアンスの違い】『through』がある地点を通過する行為に焦点を当てるのに対し、『past』は通過後の状態や場所を強調する。また、『past』は過去の時間を指す場合もある。 【混同しやすい点】『through』は通過のプロセス自体に重点が置かれるが、『past』は通過後の結果や状態に重点が置かれる。『walk through the door』はドアを通って歩く行為だが、『walk past the door』はドアを通り過ぎて歩く行為を表す。

  • 『~の上に』『~を超えて』など、様々な意味を持つ前置詞。空間的な位置関係や、数量、期間などを表す。 【ニュアンスの違い】『through』が内部を通過するイメージなのに対し、『over』は上を通過するイメージ。障害を乗り越える意味合いも持つ。 【混同しやすい点】『through』は貫通や内部通過を意味するが、『over』は上面の通過や障害の克服を意味する。『go through the tunnel』はトンネルの中を通過するが、『go over the bridge』は橋の上を通過することを意味する。

派生語

  • 『徹底的な』『完全な』という意味の形容詞。『through』が持つ『端から端まで』というイメージが、行為や調査などが隅々まで行き届いている様子を表すように変化。日常会話からビジネス、学術的な文脈まで幅広く使用され、特に『thorough investigation(徹底的な調査)』のような形で頻出します。語源的には『through』と同じですが、意味合いがより抽象的になっています。

  • 『〜の間ずっと』『至る所に』という意味の前置詞・副詞。『through』と『out』が組み合わさり、『ある期間の最初から最後まで』または『ある場所のすべての部分に』という意味を表します。時間や空間的な広がりを示す際に便利で、例えば『throughout the year(一年中)』や『throughout the country(全国で)』のように使われます。日常会話、ビジネス文書、ニュース記事など、様々な場面で見られます。

  • throughput

    『処理能力』『スループット』という意味の名詞。特にITや工学の分野で、単位時間あたりに処理できるデータ量や作業量を指します。『through』が持つ『通過』のイメージが、システムやプロセスを通過する量という概念に発展。学術論文や技術文書でよく使用されます。ビジネスの現場でも、効率や生産性を評価する指標として用いられます。

反意語

  • blocked

    『遮られた』『妨げられた』という意味の形容詞または動詞の過去分詞。『through』が『通り抜ける』ことを意味するのに対し、『blocked』は文字通り『道が塞がれている』状態を指します。物理的な障害物だけでなく、抽象的な意味でも使用され、例えば『blocked artery(詰まった動脈)』や『blocked from entering(入場を妨げられた)』のように使われます。日常会話や医療、法律など幅広い分野で使用されます。

  • obstructed

    『妨害された』『遮られた』という意味の動詞の過去分詞または形容詞。『through』がスムーズな通過を示すのに対し、『obstructed』は何かによって進行が妨げられている状態を表します。物理的な障害物(視界を遮るものなど)から、抽象的な障害(計画を妨げるものなど)まで、幅広い文脈で使用されます。ビジネス文書や法律文書、学術論文など、ややフォーマルな場面でよく見られます。

  • stopped

    『止まった』という意味の動詞の過去形/過去分詞、または形容詞。『through』が継続的な動きや通過を表すのに対し、『stopped』は動きが中断した状態を指します。物理的な動きだけでなく、プロセスや活動が停止した場合にも使用されます。例えば、『stopped the car(車を止めた)』や『stopped the process(プロセスを停止した)』のように使われます。日常会話で頻繁に使用される基本的な語彙です。

語源

"through"は、古英語の"þurh"に由来し、「通り抜けて」「〜を通して」という意味を持っていました。これはゲルマン祖語の"*thurkh"(穴、ドア)から派生しており、さらに遡るとインド・ヨーロッパ祖語の"*tere-"(穴を開ける、貫く)に繋がります。つまり、元々は「穴を通る」というイメージが根底にあり、それが時間や空間的な通過、または手段や方法としての「〜を通して」という意味に発展していったと考えられます。日本語で例えるなら、「トンネルを抜ける」という表現が近いかもしれません。物理的な通過から、抽象的な概念へと意味が拡張された好例と言えるでしょう。

暗記法

「through」は単なる通過点ではなく、困難を乗り越え、成長するプロセスを象徴します。文学では、地獄を「through」して天国へ至るように、試練の克服を表します。『指輪物語』では、過酷な旅路を「through」する勇気が描かれます。「go through a lot(多くの経験をする)」のように、苦難や洞察、社会秩序といった意味合いも持ち、英語圏の文化に深く根ざした、奥深い言葉なのです。

混同しやすい単語

発音が似ており、特に語尾の 'ough' の部分が同じ発音(/oʊ/)であるため、混同しやすい。意味は『~だけれども』という接続詞で、文法的な役割も異なる。スペルも似ているため、文脈で判断する必要がある。though は古英語の þeah に由来し、through とは語源が異なる点に注意。

threw

発音が似ており、特にアメリカ英語では 'through' の発音が /θruː/ に近いため、'threw'(/θruː/、throw の過去形)と聞き間違えやすい。意味は『投げた』であり、動詞の過去形である点が大きく異なる。スペルも似ているため、文脈から動詞か前置詞かを判断する必要がある。

スペルが非常に似ており、'ough' の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすい。発音は異なり、thorough は /θʌrəʊ/ のように発音する。意味は『徹底的な』『完全な』という形容詞であり、品詞も異なる。語源的には、through と thorough は関連がある(through は「貫通する」の意味から「完全に」の意味合いに発展し、thorough につながった)。

'ough' のスペルが共通しているため、視覚的に混同しやすい。また、 'ough' の発音は複数あり、tough の 'ough' は /ʌf/ と発音するため、発音規則の複雑さを理解する上で混乱しやすい。意味は『丈夫な』『困難な』という形容詞で、through とは全く異なる。tough はゲルマン祖語の *tūgaz に由来し、語源も異なる。

スペルが似ており、'through' を含むため、意味も関連があるように感じられるかもしれない。意味は『~の間ずっと』『~の至る所に』という前置詞または副詞であり、through が場所や時間を『通過する』のに対し、throughout は範囲全体に及ぶニュアンスを持つ。文法的な役割も異なるため、注意が必要。

発音記号で表記すると、カタカナ英語ではどちらも「トゥルー」と聞こえるため、混同しやすい。true は「真実の」「本当の」という意味の形容詞であり、スペルも意味も異なる。ただし、through の古い発音は /truː/ に近かったため、歴史的には関連がある。

誤用例

✖ 誤用: I went through the library to find a specific book.
✅ 正用: I searched through the library to find a specific book.

多くの日本人は「through」を「〜を通って」という物理的な移動の意味で最初に学びます。そのため、「図書館を通って(通り抜けて)行った」というイメージでこの文を作ってしまうことがあります。しかし、この文脈で伝えたいのは「図書館の中を隈なく探した」という行為です。物理的な移動ではなく、何かを探す目的で広い範囲を調べる場合には、「search through」を使うのが適切です。日本語の「〜を通して」という表現に引きずられず、「through」が持つ「徹底的に」という意味合いを理解することが重要です。英語では目的と手段を明確に区別する傾向があり、ここでは「探す」という目的を明確にする必要があります。

✖ 誤用: I'm through with this project; it's too difficult.
✅ 正用: I'm fed up with this project; it's too difficult.

「be through with」は「〜を終えた」という意味で広く知られていますが、プロジェクトのような継続的な活動に対して使うと、単に完了しただけでなく、「うんざりして、もう二度とやりたくない」という強い感情が含まれる場合があります。この文脈では、単に「終わった」という事実を伝えたいのではなく、「難しすぎて嫌になった」という気持ちを表現したいと考えられます。より適切な表現は「be fed up with」です。これは「〜に飽き飽きしている」「〜にうんざりしている」という意味で、プロジェクトの困難さに対する不満をより適切に表現できます。日本語の「もういい」というニュアンスを安易に「through」で表現しようとすると、意図しない感情が伝わってしまう可能性があります。英語では感情の強さやニュアンスを考慮して、適切な表現を選ぶことが大切です。

✖ 誤用: He got through the exam with luck.
✅ 正用: He scraped through the exam.

「get through」は「乗り越える」「通過する」という意味で、試験に合格したことを表現する際に使われることがあります。しかし、「luck(運)」という言葉を伴う場合、「get through」は単に合格したという事実を述べているだけに聞こえ、試験に対する努力や実力が軽視されている印象を与えます。より適切な表現は「scrape through」です。これは「かろうじて合格する」「やっとのことで合格する」という意味で、運の要素が大きかったことを示唆しつつも、合格したという結果を強調します。日本語の「運良く合格した」という表現をそのまま英語にしようとすると、英語のニュアンスとずれが生じることがあります。英語では、結果だけでなく、その過程や努力も重視されるため、運の要素を強調する際には、謙遜の意を込めて「scrape through」を使うのが適切です。

文化的背景

「through」は単なる空間的な通過を示すだけでなく、困難や試練を乗り越え、変化や成長を経験するという、時間的・精神的なプロセス全体を象徴する言葉です。この言葉は、個人的な変容から社会的な進歩まで、様々な文脈で「何かを通り抜ける」という概念に深みを与え、英語圏の文化において重要な意味を持ちます。

「through」の文化的意義は、文学作品において顕著に表れています。例えば、ダンテの『神曲』において、ダンテは地獄、煉獄を「through(通り抜けて)」天国へと至ります。これは単なる旅の描写ではなく、罪と苦しみを経験し、克服することで魂が浄化され、より高い精神的な境地に至るプロセスを象徴しています。また、J.R.R.トールキンの『指輪物語』では、フロドとサムがモルドールの荒野を「through(通り抜ける)」旅は、絶望的な状況下での勇気と忍耐、そして最終的な勝利を象徴しています。これらの物語における「through」は、単なる移動手段ではなく、登場人物の内面的な成長や変化を促す触媒としての役割を果たしているのです。

さらに、「through」は慣用句や比喩表現においても、その文化的意味合いを豊かにしています。「go through a lot」という表現は、多くの困難や苦難を経験したことを意味し、「see through someone」は、相手の本質や意図を見抜くことを意味します。これらの表現は、「through」が単なる物理的な通過だけでなく、精神的な洞察や理解、そして経験を通じた成長を表す言葉として、英語圏の文化に深く根付いていることを示しています。社会的な文脈では、「through the proper channels」という表現は、正式な手続きや規則に従うことを意味し、社会秩序や正義の概念と結びついています。

このように、「through」は、空間的な移動だけでなく、時間的な経過、精神的な成長、そして社会的なプロセスを表す多層的な意味を持つ言葉です。文学作品における象徴的な使用例、慣用句や比喩表現における多様な意味合い、そして社会的な文脈における秩序や正義との関連性を通じて、「through」は英語圏の文化において、単なる前置詞を超えた、深い文化的意義を持つ言葉として存在しているのです。この言葉を学ぶことは、英語圏の文化に対する理解を深め、より豊かなコミュニケーションを可能にするでしょう。

試験傾向

英検

- 出題形式: 語彙問題、長文読解、リスニング

- 頻度と級・パート: 準1級・1級で頻出。特に長文読解

- 文脈・例題の特徴: 幅広いトピックで出題。フォーマルな文章が多い

- 学習者への注意点・アドバイス: 前置詞、副詞、動詞としての意味を理解。類義語との使い分け(e.g., throughout, across)

TOEIC

- 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)

- 頻度と級・パート: 頻出。特にPart 7

- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーン(メール、レポートなど)

- 学習者への注意点・アドバイス: 「~を通して」の意味だけでなく、「~によって」の意味も重要。関連語句(e.g., go through, see through)

TOEFL

- 出題形式: リーディング、リスニング

- 頻度と級・パート: 頻出。アカデミックな文章・講義

- 文脈・例題の特徴: 学術的なトピック(科学、歴史など)。抽象的な概念を表すことが多い

- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な意味での「~を通して」を理解。複雑な構文の中で使われることが多い

大学受験

- 出題形式: 長文読解、文法・語彙問題

- 頻度と級・パート: 頻出。難関大学ほど頻度が高い

- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語文など幅広いジャンル

- 学習者への注意点・アドバイス: 多義語であるため、文脈に合った意味を判断する能力が重要。イディオム(e.g., go through)も覚える

免責事項

英単語学習ラボは生成AIで機械的に意味や英語表現を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。

このページについて

作成:英単語学習ラボ
生成支援:Google Gemini
最終更新:2025年7月18日

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