scrap
母音 /æ/ は日本語の『ア』と『エ』の中間のような音で、口を大きく開けて発音します。/r/ は舌を丸める音で、日本語のラ行とは異なります。最後に唇を閉じる /p/ の破裂音を意識しましょう。/sk/ のように子音が連続する発音は、母音を挟まないように注意してください。
くず
不要になったもの、役に立たないものの断片。紙くず、金属くずなど。価値がない、または再利用される可能性のある廃棄物を指すことが多い。
The old machine was broken, so they threw its metal scrap away.
古い機械が壊れたので、彼らはその金属くずを捨てました。
※ この例文は、工場や作業現場で、壊れた機械から出た金属の破片や不要な部分を、作業員たちが片付けている情景を描いています。「scrap」は特に「金属くず」を指すことが多く、「metal scrap」は非常に一般的な組み合わせです。製造業や建設現場でよく使われる、典型的な表現です。「throw away」は「~を捨てる」という意味の動詞句です。
My little brother left food scrap all over the floor.
私の幼い弟が、食べ残しを床中に散らかした。
※ この例文は、幼い弟が食事中に食べ物をこぼしたり、食べ残しを床に散らかしてしまい、それを見た人が少し困っている日常の場面を描いています。「food scrap」は、食べ残しや調理くずなど、食事に関連する「くず」を表すのに使われます。家庭での片付けや、食べ物の無駄を話す際によく耳にする、自然な表現です。「all over the floor」は「床中に散らばっている」という状態を表します。
The artist used small pieces of fabric scrap for her new artwork.
その芸術家は、彼女の新しいアート作品に小さな布くずを使いました。
※ この例文は、芸術家が、服を作る際に出た布の切れ端や、もう使わない古い布の断片を集めて、新しいアート作品の材料として創造的に活用している情景を描いています。「fabric scrap」は、布の切れ端や、古くなった布のくずを指します。手芸やリメイク、アップサイクルなど、ものを再利用する文脈でよく使われる、具体的なイメージが湧きやすい表現です。「pieces of ~」は「~の断片、いくつか」という意味で、具体的な数を数えられない「scrap」を数えるときに便利です。
捨てる
不要なものとして処分すること。計画やアイデアを放棄する意味合いでも使われる。
The workers had to scrap the old car because it couldn't run anymore.
労働者たちは、もう走らないので古い車を廃車にしなければならなかった。
※ 工場の片隅で、動かなくなった古い車を前に、作業員たちが「もう修理しても無駄だな」とため息をついている情景が目に浮かびます。「scrap」は、特に古くなったり壊れたりして不要になった機械や乗り物を「解体して捨てる」「廃車にする」という文脈でよく使われます。ここでは、そうせざるを得ない状況が「had to(〜しなければならなかった)」で表現されています。
The company decided to scrap the new project due to high costs.
その会社は、高額な費用のため、新しいプロジェクトを中止することに決めた。
※ 会議室で、重苦しい雰囲気の中、担当者が「この計画は予算オーバーで続けられない」と報告している場面を想像してください。「scrap」は、計画やアイデア、提案などを「中止する」「破棄する」という意味で、ビジネスシーンやニュースで頻繁に使われます。「due to ~(〜のために/〜が原因で)」は、理由を説明する際にとても便利な表現です。
She chose to scrap the entire first chapter and start over.
彼女は最初の章全体を捨てて、最初からやり直すことにした。
※ 夜遅くまで机に向かっていた作家が、書き上げた原稿を読み返し、納得がいかずに「これはダメだ!」と潔く削除ボタンを押す瞬間です。「scrap」は、書いたものや作ったものの一部または全体を「破棄してやり直す」というニュアンスで使われることがあります。特にクリエイティブな分野で、より良いものを作るために思い切って捨てる決断をする際に使われる、印象的な表現です。「start over」は「最初からやり直す」という意味で、セットで覚えると便利です。
解体する
建物や機械などを分解して、部品や材料を取り出すこと。スクラップとして再利用することを目的とすることが多い。
My dad had to scrap his old car because it kept breaking down.
父は、故障ばかりするので、古い車を解体しなければなりませんでした。
※ この例文は、個人が古い車を処分する、日常的で共感しやすい状況を描いています。毎日故障して困っているお父さんの姿が目に浮かびますね。「had to」は「~しなければならなかった」という、避けられない状況でよく使われます。「keep doing」は「~し続ける」という意味で、車の故障が頻繁だったことを示しています。
The old school building was finally scrapped to make way for a new park.
新しい公園を作るために、古い校舎はついに解体されました。
※ この例文は、公共の建物が再開発のために解体される様子を表しています。長年地域に親しまれた校舎が、新しい公園のために姿を消す、という情景が目に浮かびます。「was scrapped」は「解体された」という受動態の形です。「to make way for...」は「~のために場所を空ける」「~に道を譲る」という、よく使われる自然な表現です。
The company had to scrap the old machine because it was too dangerous to use.
その会社は、使うのが危険すぎるため、古い機械を解体しなければなりませんでした。
※ この例文は、企業が安全上の理由で古い機械を処分するビジネスシーンを描いています。危険な機械が工場から撤去され、作業員が安堵する様子が想像できますね。「too... to...」の構文は「~すぎて…できない」という意味で、危険性の度合いを強調しています。この文は、安全性や効率性が求められるビジネスの文脈で「scrap」が使われる典型的な例です。
コロケーション
金属くず、スクラップになった金属
※ 不要になった金属製品や、製造過程で発生した金属の端材などを指します。資源リサイクルの文脈で頻繁に使われ、経済ニュースや環境問題に関する記事でよく見られます。単に『scrap』と言うよりも、具体的な素材を示すことで、リサイクルの対象としての価値を強調するニュアンスがあります。例えば、銅のスクラップは『copper scrap』、鉄のスクラップは『iron scrap』のように使います。
紙くず、書き損じの紙
※ 不要になった紙、メモ書きに使った紙、印刷ミスした紙などを指します。リサイクル可能な資源として扱われることが多く、オフィスや家庭でのゴミ分別の際に意識される表現です。『scrap paper bin(紙くず入れ)』という表現もよく使われます。単に『waste paper』と言うよりも、再利用可能な資源としてのニュアンスが強く、環境意識の高まりとともに使用頻度が増しています。
計画を中止する、計画を破棄する
※ 計画やプロジェクトを途中で放棄することを意味します。ビジネスシーンでよく用いられ、特にうまくいかないプロジェクトや、状況の変化によって実行不可能になった計画に対して使われます。よりフォーマルな表現としては『abandon a plan』がありますが、『scrap a plan』はより口語的で、カジュアルな印象を与えます。例えば、『We had to scrap our marketing campaign due to budget cuts.(予算削減のため、マーケティングキャンペーンを中止せざるを得なかった)』のように使います。
車を廃車にする、車をスクラップにする
※ 古くなった車や事故で損傷した車を解体し、金属資源として再利用することを意味します。自動車業界や環境問題に関する文脈でよく使われます。『scrap a car for parts(部品取りのために廃車にする)』のように、具体的な目的を伴う場合もあります。単に『dispose of a car』と言うよりも、資源としての価値を強調するニュアンスがあります。また、政府が古い車の廃車を奨励する政策を『car scrappage scheme』と呼びます。
かき集める、何とかして集める
※ 不足しているものを、苦労して少しずつ集めることを意味します。お金や資源が不足している状況で、何とかして必要なものを揃えようとする場合に用いられます。例えば、『We had to scrap together enough money to pay the rent.(家賃を払うためにお金をかき集めなければならなかった)』のように使います。『scrape together』もほぼ同じ意味ですが、『scrap together』の方がよりカジュアルな印象を与えます。
(人と)口論する、喧嘩する
※ 口論や小競り合いをすることを意味します。身体的な暴力を含む場合もありますが、主に言葉での争いを指します。インフォーマルな表現で、主に口語で使用されます。例えば、『They were scrapping with each other over a parking space.(彼らは駐車スペースを巡って口論していた)』のように使います。よりフォーマルな表現としては『argue with someone』がありますが、『scrap with someone』はより感情的な対立を表すニュアンスがあります。
スクラップの価値、廃棄価値
※ 製品や機械などが使用できなくなった際の、材料としての価値を指します。会計や経済の分野でよく用いられ、資産の評価や減損処理の際に考慮されます。例えば、『The scrap value of the old equipment is minimal.(古い設備のスクラップの価値はごくわずかだ)』のように使います。単に『residual value』と言うよりも、再利用可能な資源としての価値を強調するニュアンスがあります。
使用シーン
学術論文や研究発表で、データや理論の検証過程で「捨てる」「破棄する」という意味で使われます。例えば、統計分析において有意水準を満たさないデータを'scrap'する、あるいは古い仮説を'scrap'して新しい理論を提唱する、といった文脈です。研究者が客観的な根拠に基づいて判断を示す際に用いられます。
ビジネスシーンでは、プロジェクトや戦略の見直し、または設備の廃棄の際に用いられます。例えば、業績不振のプロジェクトを'scrap'する、老朽化した設備を'scrap'して最新のものに更新する、といった状況です。会議の議事録や報告書など、比較的フォーマルな文書で使われることが多いです。
日常会話ではあまり使われませんが、ニュース記事やドキュメンタリーなどで、大規模な解体や廃棄の話題を取り扱う際に使われることがあります。例えば、環境問題に関するニュースで、大量の廃棄物を'scrap'する様子が報道される、といったケースです。また、DIYやリサイクルの文脈で、不要なものを'scrap'して新しいものを作る、といった意味合いで使われることもあります。
関連語
類義語
不要な物や価値のない物を捨てる、処分するという意味。一般的に物理的な物だけでなく、計画やアイデアなどを放棄する場合にも使われる。ビジネスシーンや日常会話で広く使われる。 【ニュアンスの違い】"scrap"と同様に不要なものを処分する意味合いだが、"discard"はより形式ばった、または意図的な廃棄のニュアンスが強い。感情的な意味合いは薄い。 【混同しやすい点】"scrap"が名詞として「がらくた」の意味を持つ一方、"discard"は動詞としての使用が主である点。また、特定の目的を持って廃棄する場合に"discard"が適している。
価値のない、役に立たないがらくた、くず、という意味の名詞。しばしば、中古品や古物、がらくたを集めた店を指すこともある。口語的な表現。 【ニュアンスの違い】"scrap"と非常に近い意味を持つが、"junk"の方がより軽蔑的なニュアンスを含むことが多い。また、"junk food"のように、健康に悪いもの、質の悪いものを指す場合もある。 【混同しやすい点】"scrap"が動詞として「捨てる」という意味を持つ一方で、"junk"は基本的に名詞として使われる。また、"junk"は不可算名詞として扱われることが多い。
ごみ、くず、という意味の名詞。アメリカ英語でよく使われる。動詞としても使われ、その場合は「捨てる」という意味になる。口語的な表現。 【ニュアンスの違い】"scrap"と同様に不要なものを指すが、"trash"はより日常的なごみ、家庭ごみといったニュアンスが強い。また、人を軽蔑的に呼ぶ場合にも使われる。 【混同しやすい点】"scrap"が金属くずなど、再利用可能なものを指す場合があるのに対し、"trash"は一般的に再利用できないごみを指すことが多い。また、感情的な意味合いも"trash"の方が強い場合がある。
申し出、要求、提案などを拒否する、却下するという意味。物理的な物だけでなく、アイデアや人に対しても使われる。ビジネスシーンやフォーマルな場面でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"scrap"が物理的な廃棄を意味するのに対し、"reject"はより抽象的な拒否を意味する。また、"reject"は感情的な拒絶のニュアンスを含むことがある。 【混同しやすい点】"scrap"が不要な物を捨てる行為を指すのに対し、"reject"は受け入れない、認めないという意思表示を伴う。また、"reject"は他動詞として使われることが多い。
人、場所、物などを放棄する、見捨てるという意味。しばしば、困難な状況や危険な状況から逃れるために放棄する場合に使われる。強い感情的な意味合いを含む。 【ニュアンスの違い】"scrap"が単に不要な物を捨てるのに対し、"abandon"はより深刻な状況下での放棄を意味する。また、責任や義務を放棄するニュアンスも含まれる。 【混同しやすい点】"scrap"が物理的な廃棄を意味するのに対し、"abandon"は物理的なものだけでなく、計画や関係なども放棄できる。また、"abandon"はより強い感情的な意味合いを持つ。
不要な物や人を捨てる、見捨てるという意味。非常に口語的な表現で、しばしばネガティブなニュアンスを含む。特に、人を「捨てる」場合に用いられることが多い。 【ニュアンスの違い】"scrap"と同様に捨てるという意味だが、"ditch"はよりカジュアルで、非公式な場面で使われる。また、裏切りのニュアンスを含む場合もある。 【混同しやすい点】"scrap"が比較的客観的な廃棄を意味するのに対し、"ditch"はより主観的で、感情的な意味合いが強い。また、フォーマルな場面では"ditch"は不適切である。
派生語
- scrapbook
名詞で「スクラップブック、切り抜き帳」。動詞「scrap(切り取る)」と「book(本)」が組み合わさり、新聞記事や写真などを切り貼りして保存するための本を指す。個人的な趣味の記録や思い出の保管に使われることが多い。日常会話でも使われる。
- scrappy
形容詞で「がむしゃらな、闘志のある、寄せ集めの」。元々は「scrap(くず)」のような状態から生まれた、という意味合いから、困難な状況でも諦めずに努力する様子や、寄せ集めでも力強く機能する様子を表す。ビジネスやスポーツの文脈で、粘り強さや創意工夫を褒める際に使われる。
- scrappage
名詞で「廃品回収、スクラップ処理」。動詞「scrap」に名詞化の接尾辞「-age」が付いた形。特に自動車などの大型製品の廃棄・リサイクル処理を指すことが多い。環境問題や経済政策の議論で使われる。
反意語
動詞で「保存する、維持する」。scrapが不要なものを捨てる意味合いなのに対し、preserveは価値あるものを守り、維持する意味を持つ。歴史的建造物の保存、自然環境の保護など、長期的な維持管理を必要とする文脈で使われる。抽象的な意味でも、記憶や文化などを守り伝えるという意味で用いられる。
動詞で「建設する、組み立てる」。scrapが既存のものを解体・廃棄するのに対し、constructは新しいものを創造・構築する意味を持つ。物理的な建築物だけでなく、理論や計画などを構築する際にも用いられる。ビジネスや学術分野で頻繁に使われる。
動詞で「(難破船などから)救助する、回収する」。scrapが完全に廃棄する意味合いなのに対し、salvageはまだ利用価値のあるものを救い出す意味を持つ。事故や災害の現場で、使えるものを再利用するために回収する際に使われる。比喩的に、失われた名誉や関係などを回復させるという意味でも用いられる。
語源
「scrap」の語源ははっきりとは特定されていませんが、古ノルド語の「skrapa」(削る、こすり取る)や、低地ドイツ語の「schrapen」(こする)といった、何かを削り取ったり、こすり取るような動作を表す言葉と関連があると考えられています。これらの言葉が中英語に入り、「scrappe」として、削り取られた小さな断片や、残り物を意味するようになりました。日本語で例えるなら、「削り節」を削った後の「削りかす」のようなイメージです。そこから、「くず」「がらくた」といった意味に発展し、さらに、不要なものを「捨てる」「解体する」という意味合いを持つ動詞としても使われるようになりました。つまり、「scrap」は、元々は小さな断片を指す言葉から、不要なものを処分するという行為を表す言葉へと意味が広がっていったのです。
暗記法
「scrap」は単なるゴミではない。開拓時代、人々はそれを創意工夫の源とし、大恐慌時代には生きる糧とした。文学では、過去の記憶や未完の夢を象徴する。社会の片隅に追いやられた人々の象徴でもある。現代ではリサイクルの象徴として、過去と未来をつなぐ。記憶の断片、失われた時代の欠片、それら全てが「scrap」に込められた意味なのだ。
混同しやすい単語
『scrap』とスペルが非常に似ており、語尾の 'e' の有無だけなので、見間違えやすい。意味は『こする』『ひっかく』であり、動詞として使われることが多い。発音も似ているが、'scrap' の /æ/ の音に対して、'scrape' は二重母音 /eɪ/ を含むため、注意が必要。'scrape' は何かを表面から取り除くイメージ。
『scrap』と子音の配置が似ており、'sc' と 'st' の違いに注意が必要。意味は『ひも』『ベルト』であり、物を固定するために使われる。発音も似ているが、'st' の方が若干強く発音される傾向がある。語源的には、'strap' は縛るための帯を意味する古英語に由来する。
『scrap』と文字数が近く、語頭の子音が異なるため、読み間違いやすい。意味は『包む』であり、ギフトなどを包む際に使われる。発音は 'r' の音が日本語のラ行と異なるため、注意が必要。'w' が付いているため、唇を丸めて発音する必要がある。
『scrap』とはスペルはあまり似ていないが、音の響きが似ているため、聞き間違いやすい。意味は『鋭い』『辛辣な』であり、形容詞として使われることが多い。カタカナ英語の『シャープ』としても使われるため、意味を混同しやすい。音楽用語としても使われ、意味が多岐にわたる。
『scrap』と語頭の 'sc' が共通しており、残りの文字も似たような印象を与えるため、混同しやすい。意味は『台本』『脚本』であり、演劇や映画などの制作に使われる。発音は 'script' の方が若干硬い印象を与える。語源はラテン語の 'scribere'(書く)に由来する。
『scrap』とはスペルが一部似ており、特に 'sc' から始まる部分が共通しているため、視覚的に混同しやすい。意味は『マフラー』『スカーフ』であり、防寒具や装飾品として使われる。発音は 'scrap' とは大きく異なるため、発音を聞けば区別できるはずだが、スペルミスには注意。
誤用例
『scrap』は、物を捨てる、計画を中止する、という意味で一般的に使われます。人を『scrap』と言うと、文字通り『くず』扱いするようなニュアンスになり、非常に攻撃的で不自然です。ここでは、噂を広めるのをやめさせるために『対決する』という意味で『confront』を使うのが適切です。日本人が『scrap』を喧嘩の文脈で使ってしまうのは、漫画やアニメで『スクラップにする』という表現が、相手を打ち負かす意味で使われる影響が考えられますが、英語のネイティブスピーカーには通じません。
『scrap』は『捨てる』という意味合いが強く、不要な物を処分するイメージです。ビジネスの場面で『small talk(世間話)』を『scrap』と言うと、世間話を無価値なものとして切り捨てるような印象を与え、相手に不快感を与える可能性があります。ここでは、世間話を『省略する』という意味で、より丁寧な『skip』を使うのが適切です。日本人が『scrap』を使いがちな背景には、『(無駄なことは)省きましょう』という日本語を直訳しようとする意図があるのかもしれませんが、英語では相手への配慮を示す表現を選ぶことが重要です。
『scrap』は、不要になったものを廃棄するイメージが強く、プロジェクトのような重要なものを中止する場合には、ややカジュアルな印象を与えます。ここでは、よりフォーマルな『abandon』を使うのが適切です。また、『saving cost』は文法的には正しいですが、より自然な英語では『cut costs』が使われます。日本人が『saving cost』を使いがちなのは、『コストを節約する』という日本語を直訳しようとする傾向があるためと考えられますが、英語では定型表現を覚えることが重要です。
文化的背景
「scrap」は、無価値な断片や不要物を意味するだけでなく、過去の遺物や、未完成な夢の残骸といった、ほろ苦い記憶を呼び起こす言葉です。この単語には、失われたものへの郷愁、そして、そこから何か新しいものを創造しようとする人間の創造性が潜んでいます。
「scrap」が持つ文化的な意味合いを考えるとき、まず思い浮かぶのは、アメリカ開拓時代のDIY精神です。資源が限られたフロンティアでは、どんな小さな「scrap」も無駄にはできませんでした。布の切れ端はキルトに、木材の端材は家具に、金属片は道具へと姿を変え、生活を支えました。この時代、「scrap」は単なる廃棄物ではなく、創意工夫とサバイバルの象徴だったのです。大恐慌時代には、人々は「scrap」を集めて換金し、わずかな食料を得ました。政府は「scrap drives(スクラップ運動)」を奨励し、戦争遂行のための資源を確保しました。この時代、「scrap」は苦難の時代の象徴であり、同時に、国民が一丸となって困難を乗り越えようとする団結の象徴でもありました。
文学作品における「scrap」は、しばしば登場人物の過去や内面を象徴するものとして描かれます。例えば、古びた写真の「scrap」は失われた愛を、書きかけの原稿の「scrap」は未完の夢を、そして、壊れたおもちゃの「scrap」は過ぎ去った子供時代を象徴します。これらの「scrap」は、登場人物の心の奥底に眠る記憶を呼び覚まし、物語に深みを与えます。また、「scrap」は、社会の片隅に追いやられた人々の生活を象徴することもあります。貧困層の人々が住む「scrap heap(スクラップの山)」は、社会の不平等や格差を浮き彫りにします。
現代社会において、「scrap」はリサイクルの概念と深く結びついています。廃棄物を資源として再利用することは、環境保護の重要な取り組みの一つです。「scrap metal(スクラップ金属)」や「scrap paper(スクラップ紙)」は、新たな製品の原料となり、資源の枯渇を防ぎます。また、デジタル時代においては、「scrapbook(スクラップブック)」がデジタル化され、思い出を記録し共有する手段として人気を集めています。写真や動画、テキストなどを自由にレイアウトし、自分だけのオリジナルな物語を創造することができます。「scrap」は、過去の遺物から未来の創造へと繋がる、多面的な意味を持つ言葉なのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、語彙問題(短文補充、同意語選択など)。リスニングで口語表現として登場することも稀にある。
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。2級でも長文で読解語彙として登場する可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 環境問題、経済、社会問題など、幅広いテーマで登場。新聞記事や学術的な文章からの抜粋が多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞(くず、がらくた)と動詞(捨てる、廃棄する)の両方の意味を理解しておくこと。scrap metal(スクラップ金属)のような複合語も覚えておくと有利。類義語のdiscard, dispose of, wasteとのニュアンスの違いに注意。
- 出題形式: Part 5, 6(短文穴埋め、長文穴埋め)、Part 7(読解問題)で登場。
- 頻度と級・パート: Part 7で読解語彙として比較的よく見られる。Part 5, 6でも、ビジネスシーンに関連する文脈で出題される可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスレター、Eメール、記事などで、プロジェクトの中止、計画の変更、資源の削減などに関連する文脈で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞・動詞両方の用法を押さえること。特に動詞としての「中止する、廃止する」の意味は重要。類義語のabolish, eliminate, terminateとの使い分けを意識すると良い。
- 出題形式: リーディングセクションで頻出。ライティングセクションでも使用できる。
- 頻度と級・パート: リーディングセクションでほぼ毎回と言っていいほど登場する。
- 文脈・例題の特徴: 学術的な文章で、歴史、科学、社会科学など、幅広い分野で使われる。特に、古いものを廃棄して新しいものを取り入れる、という文脈で登場することが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な概念を表す場合が多いので、文脈から正確な意味を推測する練習が必要。名詞・動詞両方の用法を理解し、同義語(abandon, relinquish)とのニュアンスの違いを理解することが重要。
- 出題形式: 主に長文読解問題。文脈推測問題や内容一致問題で問われることが多い。
- 頻度と級・パート: 難関大学ほど頻出。標準的なレベルの大学でも、社会問題や環境問題に関する文章で登場する可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 環境問題、社会問題、歴史、科学技術など、幅広いテーマで登場。論説文や説明文で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する力を養うことが重要。特に、比喩的な意味で使われる場合もあるので注意が必要。派生語(scrappage)や関連語(scrapbook)も覚えておくと、語彙力アップに繋がる。