rapport
強勢は2音節目の /ˈpɔːr/ にあります。/æ/ は日本語の「ア」と「エ」の中間のような音で、口を少し横に開いて発音します。最後の /r/ はアメリカ英語では発音されますが、イギリス英語では発音されないことがあります。アメリカ英語で発音する場合、舌を丸めるようにして「ル」に近い音を出しますが、日本語の「ル」よりも舌が奥に引かれるイメージです。
専門的な内容に関するご注意
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信頼関係
お互いを理解し、尊重しあうことで生まれる親密な関係性。ビジネス、人間関係、カウンセリングなど、様々な場面で重要となる。
The new teacher worked hard to build good rapport with her students, so they felt comfortable asking questions.
新しい先生は生徒たちと良い信頼関係を築くために一生懸命努力したので、生徒たちは安心して質問できるようになりました。
※ この例文は、新しい先生が生徒たちの心を開き、信頼関係(rapport)を築こうと努力する様子を描いています。先生と生徒の間に良い関係が生まれると、生徒は安心して質問できるようになりますね。「build rapport」は「信頼関係を築く」という、この単語が最もよく使われる表現の一つです。
The kind doctor always took time to listen, which helped him build strong rapport with his patients.
親切な医者はいつも時間をかけて話を聞いてくれたので、それが患者さんとの強い信頼関係を築くのに役立ちました。
※ 医者と患者の関係において、「rapport」は非常に大切です。患者が安心して自分の体のことを話せるのは、医者との間に信頼関係があるからです。この文では、医者が患者の話をじっくり聞くことで、より強い信頼関係(strong rapport)が築かれた様子が伝わります。
Before discussing the price, the salesperson focused on establishing good rapport with the client, leading to a successful deal.
価格の話をする前に、その営業担当者は顧客との良い信頼関係を築くことに集中し、それが成功した取引につながりました。
※ ビジネスの場面、特に営業では、相手との信頼関係(rapport)を築くことが成功の鍵となることが多いです。この例文では、値段交渉に入る前に、まず相手との人間関係を大切にした結果、良い契約につながったという具体的な状況を描いています。「establish rapport」も「信頼関係を確立する」という意味でよく使われます。
共感
相手の感情や考えを理解し、共有する感覚。単なる同情ではなく、相手の立場に立って深く理解しようとする。
The kind teacher quickly built good rapport with her students, so they felt comfortable asking questions.
優しい先生はすぐに生徒たちと良い関係を築いたので、彼らは安心して質問することができました。
※ この例文は、先生が生徒との間に信頼関係(rapport)を築くことで、生徒が積極的に学べるようになる様子を描いています。先生と生徒、医者と患者など、助ける側が相手の心を開かせる場面で「rapport」はよく使われます。「build rapport with someone」は「〜と信頼関係を築く」という非常によく使われるフレーズです。
During their first meeting, she tried to build rapport with the new client by listening carefully.
初めての会議中、彼女は注意深く耳を傾けることで、新しい顧客と信頼関係を築こうとしました。
※ この例文は、ビジネスの場で、初対面の相手と良好な関係を築こうとする場面を示しています。特に、営業や交渉の場面では、相手との「rapport」が成功の鍵となることが多いです。「listening carefully(注意深く聞くこと)」のように、具体的な行動が「rapport」を築く上でいかに重要かを伝えています。
Even though they just met, the two strangers quickly developed a good rapport and laughed a lot.
初めて会ったばかりなのに、2人の見知らぬ人はすぐに意気投合し、たくさん笑い合いました。
※ この例文は、初対面の人同士が、まるで昔からの友人のようにすぐに打ち解け、良い雰囲気になる様子を描いています。個人的な人間関係において、「rapport」は相手との心地よい一体感や共感を表します。「develop rapport」も「信頼関係を築く」という意味でよく使われる表現です。心が通じ合った結果として「laughed a lot(たくさん笑った)」という具体的な行動が、鮮やかに情景を伝えています。
意思疎通
スムーズで円滑なコミュニケーション。誤解や摩擦を避け、建設的な対話を行うために不可欠。
The kind doctor quickly built good rapport with his new patient by listening carefully.
優しいお医者さんは、熱心に話を聞くことで、新しい患者さんとすぐに良い関係を築きました。
※ 診察室で、患者さんが安心して話せるように、お医者さんが信頼関係を築いている場面です。「rapport」は、特に初対面の人と「相互理解に基づく良い関係性」を築くときに使われます。ここでは「build rapport with someone(〜と良い関係を築く)」という、とてもよく使う形です。
The coach knew that strong rapport among players was key to winning games.
コーチは、選手たちの間に強い絆(意思疎通)があることが、試合に勝つための鍵だと知っていました。
※ スポーツチームのコーチが、選手間の協力関係や一体感の重要性を語っている場面です。チームやグループ内で、目標達成のためにメンバー間の「円滑な意思疎通」や「信頼関係」が不可欠であることを示しています。「strong rapport」のように、形容詞を付けて「強い絆」や「良好な関係」と表現することがよくあります。
It took time, but the mother finally built good rapport with her teenage son.
時間はかかりましたが、お母さんはついに思春期の息子さんと良い関係を築きました。
※ 親と子の関係、特に思春期の難しい時期に、お互いを理解し、信頼関係を築くために努力した場面です。「rapport」は、時間をかけて築き上げるような、深い人間関係における「意思疎通」にも使われます。「It took time」は「時間がかかった」という、よく使う表現です。
コロケーション
信頼関係を築く
※ 「rapport」という単語が最もよく使われる文脈の一つです。ビジネス、教育、カウンセリングなど、人と人との良好な関係が重要となる場面で頻繁に使われます。単に「関係を作る」のではなく、相互理解と信頼に基づいた、より深い繋がりを意味します。例えば、新しいクライアントとの最初のミーティングで、共通の話題を見つけたり、相手の意見に耳を傾けたりすることで、'establish rapport'(信頼関係を築く)ことができます。文法的には、動詞 + 名詞の組み合わせです。
信頼関係を構築する
※ 'establish rapport'と非常に似た意味ですが、'build'はより時間と努力をかけて関係を築き上げていくニュアンスを含みます。段階的に、少しずつ信頼を深めていくイメージです。例えば、チームメンバー間の'build rapport'(信頼関係を構築する)ために、定期的なチームビルディング活動や、個人的な交流の機会を設ける、といった使い方ができます。動詞 + 名詞の組み合わせ。
良好な信頼関係
※ 形容詞 'good' を伴って、信頼関係の状態を表します。単に「信頼関係がある」だけでなく、それが良好で、円滑なコミュニケーションや協力関係に繋がっていることを示唆します。例えば、教師と生徒の間に 'good rapport'(良好な信頼関係)があれば、生徒は安心して質問したり、意見を述べたりすることができます。形容詞 + 名詞の組み合わせ。
信頼関係を維持する
※ 一度築いた信頼関係を、良好な状態に保ち続けることを意味します。そのためには、継続的なコミュニケーション、相手への配慮、約束を守ることなどが重要となります。例えば、顧客との長期的な関係を 'maintain rapport'(信頼関係を維持する)ためには、定期的なフォローアップや、顧客のニーズに合わせたサービス提供が不可欠です。動詞 + 名詞の組み合わせ。
〜との信頼関係
※ 前置詞 'with' を用いて、誰との信頼関係であるかを具体的に示します。例えば、'rapport with colleagues'(同僚との信頼関係)、'rapport with students'(生徒との信頼関係)のように使います。この構文は、特定の個人やグループとの関係性に焦点を当てたい場合に便利です。前置詞 + 名詞の組み合わせ。
信頼関係の欠如
※ 信頼関係が存在しない、または不十分な状態を表します。これは、コミュニケーションの障壁、誤解、対立などを引き起こす可能性があります。例えば、チーム内に 'a lack of rapport'(信頼関係の欠如)があると、メンバー間の協力が円滑に進まず、プロジェクトの遅延や質の低下に繋がる可能性があります。名詞句のパターンです。
打ち解けやすい信頼関係
※ 関係を築くのが容易で、自然に親近感が湧くような状況を表します。初対面でもすぐに打ち解けられるような、気さくな人柄や共通の興味などが背景にあることが多いです。例えば、'He has an easy rapport with everyone he meets.'(彼は誰とでもすぐに打ち解けられる)のように使われます。形容詞 + 名詞の組み合わせ。
使用シーン
学術論文や研究発表で、人間関係やコミュニケーションに関する研究を議論する際に使われます。例えば、教育学の研究で「教師と生徒の間に良好なラポールを築くことが、学習効果を高める上で重要である」という文脈で使用されます。心理学、社会学、教育学などの分野でよく見られます。
ビジネスシーン、特に人事、研修、顧客対応など、人間関係が重要な場面で使われます。例えば、「顧客とのラポールを築き、信頼関係を構築することが、長期的なビジネス成功に繋がる」というように、プレゼンテーションや社内研修資料で用いられることがあります。交渉術やリーダーシップに関する書籍でも頻繁に登場します。
日常会話ではあまり使われませんが、人間関係をテーマにしたニュース記事やドキュメンタリー番組などで見かけることがあります。例えば、「セラピストと患者の間にラポールが形成された」というように、専門家同士の会話や解説で用いられることが多いです。一般の人が使う場合は、ややフォーマルな印象を与える可能性があります。
関連語
類義語
『理解』という意味で、状況、概念、人の気持ちなどを理解している状態を表す。名詞。 【ニュアンスの違い】「rapport」が相互の感情的なつながりを強調するのに対し、「understanding」は知的な理解や合意を意味することが多い。ビジネスや学術的な文脈で頻繁に使われる。 【混同しやすい点】「rapport」は通常、築き上げる(build, establish)ものとして使われるが、「understanding」は『持つ』(have, possess)ものとして使われることが多い。また、understandingは契約や合意の内容を指す場合もある。
『つながり』という意味で、物理的なつながりだけでなく、人間関係や抽象的な関係性も含む。名詞。 【ニュアンスの違い】「rapport」が親密さや共感を伴うのに対し、「connection」はより一般的で中立的なつながりを指す。ビジネスにおけるネットワークや、技術的な接続など、幅広い文脈で使用される。 【混同しやすい点】「rapport」は常に肯定的な意味合いを持つが、「connection」は必ずしもそうではない。例えば、『connection to a crime』(犯罪との関連)のように、否定的な文脈でも使われる。
『関係』という意味で、家族、友人、恋人、同僚など、様々な人間関係を表す。名詞。 【ニュアンスの違い】「rapport」が特定の状況における良好な関係を指すのに対し、「relationship」はより長期的な、または形式的な関係を指すことが多い。ビジネスにおいては、顧客との長期的な関係(customer relationship)などが該当する。 【混同しやすい点】「relationship」は、良い関係だけでなく、悪い関係も含む点に注意。「rapport」は基本的に良好な関係を前提とする。
『調和』という意味で、音楽、色彩、人間関係など、様々な要素がバランスよく存在している状態を表す。名詞。 【ニュアンスの違い】「rapport」が人間同士の感情的な調和を指すのに対し、「harmony」はより広範な調和を意味する。自然との調和、社会的な調和など、抽象的な概念にも用いられる。 【混同しやすい点】「harmony」はしばしば理想的な状態を指し、達成するのが難しいニュアンスを含むことがある。「rapport」はより実践的で、具体的な状況における良好な関係を指す。
『共感』という意味で、他者の感情や経験を理解し、共有する能力を表す。名詞。 【ニュアンスの違い】「rapport」が相互の感情的なつながりによって生まれる親密さを指すのに対し、「empathy」は他者の感情を理解する能力そのものを指す。rapportを築くためには、empathyが不可欠。 【混同しやすい点】「empathy」は感情を理解することであり、必ずしも同意することではない。一方、「rapport」は、同意や共通の理解を伴うことが多い。
『同情』という意味で、他者の苦しみや不幸に対して感情を共有すること。名詞。 【ニュアンスの違い】「rapport」が相互の感情的なつながりを強調するのに対し、「sympathy」は一方的な感情の共有であることが多い。また、「sympathy」はしばしば憐れみの感情を伴う。 【混同しやすい点】「sympathy」は、相手を見下しているようなニュアンスを含む場合があるため、注意が必要。「rapport」は対等な関係性を前提とする。
派生語
- repartee
『機知に富んだ会話』や『切り返し』を意味する名詞。『re-(再び)』+『partir(分ける、出発する)』が語源で、会話で言葉をやり取りする様子を表す。日常会話よりは、文学作品や演劇、または知的さをアピールする場面で使われる。
- apportion
『(割合に応じて)割り当てる』という意味の動詞。『ap-(〜へ)』+『portion(分け前)』が語源。資源、責任、コストなどを公平に分配する際に用いられ、ビジネスや政治、法律関連の文書でよく見られる。
『割合』、『比率』、『釣り合い』を意味する名詞。数学的な文脈だけでなく、美学やデザイン、さらには社会的な公平性など、幅広い分野で用いられる。学術的な論文やレポート、あるいは日常会話でも使われる。
反意語
『不和』、『不一致』、『騒音』を意味する名詞。『dis-(分離)』+『cord(心、合意)』が語源で、心の繋がりや合意が失われた状態を表す。人間関係の不和から、音楽の不協和音、意見の不一致まで、広範な文脈で使用される。rapportが調和を表すのに対し、discordはその欠如を示す。
- enmity
『敵意』、『恨み』を意味する名詞。rapportが友好的な関係を表すのに対し、enmityは深い敵対心や憎悪を表す。国家間の対立や、個人的な確執など、深刻な対立関係を指す場合に使われる。日常会話よりも、文学作品や歴史的な記述でより多く見られる。
- estrangement
『疎遠』、『不和』を意味する名詞。元々は親密な関係だったものが、時間や状況の変化によって疎遠になった状態を指す。家族関係、友人関係、あるいは社会との繋がりなど、様々なレベルで用いられる。rapportが築けていた関係が崩れた状態を示す。
語源
"Rapport"はフランス語の"rapporter"(再び持ち帰る、関係づける)に由来します。これはラテン語の"re-"(再び)と"apporter"(持ってくる)が組み合わさったものです。"Apporter"自体はラテン語の"ad-"(~へ)と"portare"(運ぶ)から派生しています。つまり、"rapport"の根底には「何かを運び戻す」というイメージがあり、それが転じて、互いに情報や感情を「運び合う」こと、つまり「信頼関係」や「共感」という意味につながりました。日本語で例えるなら、相手の気持ちを「汲み取る」という表現に近いニュアンスです。お互いの心を運び合い、理解し合うことで、良好な関係が築かれる様子を表しています。
暗記法
「ラポール」は単なる親密さを超え、信頼と相互理解で結ばれた心の架け橋。個人主義が浸透した現代で、人間関係の希薄化を埋める役割を担います。カウンセリングや教育現場で重視されるのは、それが信頼関係の基盤となり、効果を左右するから。ただし、表面的共感は逆効果。深い理解と尊重、誠実さこそが重要です。倫理的責任を伴う、繊細で貴重な絆なのです。
混同しやすい単語
発音記号は rapport が /ræˈpɔːr/ であるのに対し、report は /rɪˈpɔːrt/ です。アクセントの位置が異なり、母音も異なりますが、どちらもカタカナで『レポート』と表現されることが多いため、混同しやすいです。意味は『報告(する)』であり、名詞・動詞として使われます。rapport は名詞で『信頼関係』の意味なので、文脈で判断することが重要です。report はラテン語の『reportare(持ち帰る、伝える)』が語源です。
語尾の '-port' の部分が共通しており、発音が似ています。また、どちらも人間関係に関わる単語であるため、意味の面でも混同しやすい可能性があります。support は『支持(する)』『支える』という意味で、名詞・動詞として使われます。rapport とは異なり、物理的な意味でも使われる点が異なります。support はラテン語の『supportare(支える)』が語源です。
rapport の最初の3文字と発音が同じであり、現代的な音楽ジャンルとして馴染みがあるため、非常に混同しやすい単語です。意味は『ラップ(音楽)』『軽く叩く』などで、全く異なる意味を持ちます。スペルも rapport と rap では大きく異なるため、注意深く区別する必要があります。rap は擬音語が語源とされています。
最初の 'rap-' の部分が共通しており、発音も似ています。rapture は『狂喜』『有頂天』という意味で、どちらかというと宗教的な文脈で使われることが多い単語です。スペルが似ているため、注意が必要です。語源はラテン語の『rapere(奪い去る)』です。
語尾の '-port' の部分が共通しており、発音が似ています。export は『輸出(する)』という意味で、ビジネスの文脈でよく使われます。rapport が人間関係を表すのに対し、export は経済活動を表すため、文脈が大きく異なります。語源はラテン語の『exportare(運び出す)』です。
語尾の '-port' の部分が共通しており、発音が似ています。export と同様に、import もビジネスの文脈でよく使われる単語で、『輸入(する)』という意味です。rapport とは文脈が全く異なるため、混同しないように注意が必要です。語源はラテン語の『importare(運び込む)』です。
誤用例
『rapport』は、単なる『関係』ではなく、より深い共感や信頼に基づいた『良好な信頼関係』を意味します。共通の趣味があるだけでは、必ずしもラポールが築けているとは言えません。日本語の『気が合う』という感覚で安易に使うと、意味が弱まります。代わりに『relationship』を使う方が適切です。日本人は『親睦』や『親近感』を重視するあまり、ビジネスシーンで過度に友好的な関係性を求めがちですが、英語圏ではプロフェッショナリズムを保ちつつ、適切な距離感を保つことが重要です。そのため、単なる共通の趣味嗜好は、ラポールの必要条件ではありません。
『rapport』は人間関係に対して用いられる言葉であり、無生物であるソフトウェアに対して使うのは不自然です。この誤用は、日本語で『(機械やシステムに)慣れる』という表現を直訳しようとする際に起こりがちです。英語では、ソフトウェアやシステムに慣れる場合は『become familiar with』や『get used to』といった表現を使います。日本人は無機物に対しても擬人化して捉える傾向がありますが、英語では人間と無機物を明確に区別して表現します。ソフトウェアとの関係は、信頼関係ではなく、単に操作に習熟することであるため、『rapport』は不適切です。
『rapport』は、単に表面的なユーモアで築けるものではありません。深い理解や共感、共通の価値観の認識を通じて生まれるものです。ジョークはアイスブレイクにはなりますが、それだけでラポールが確立されるわけではありません。むしろ、文化や価値観の違いによっては逆効果になることもあります。日本人は『場を和ませる』ためにユーモアを重視する傾向がありますが、異文化コミュニケーションにおいては、相手の価値観を尊重し、共感を示すことがより重要です。外交交渉においては、共通の利益や課題を見つけ出し、互いの立場を理解しようとする姿勢こそが、ラポール構築の鍵となります。
文化的背景
「ラポール(rapport)」は、単なる「親密な関係」を超え、相互理解と信頼に基づいた、より深い精神的な繋がりを意味します。この言葉は、特に人間関係の構築が重視される専門分野、例えば心理療法やカウンセリング、教育、交渉などにおいて、その重要性が強調されます。
ラポールという概念が重要視される背景には、近代以降の個人主義の浸透と、それに伴う人間関係の希薄化があります。伝統的な共同体社会では、人々は生まれながらにして役割や居場所を与えられ、互いに支え合って生きていました。しかし、近代社会においては、個人は自由である反面、孤立しやすく、他者との繋がりを自ら築いていく必要に迫られます。そのため、意識的にラポールを築き、良好な人間関係を構築することが、個人の幸福や社会全体の安定に不可欠であると考えられるようになりました。特に、専門家とクライアントの間では、ラポールが信頼関係の基盤となり、治療や教育の効果を大きく左右するため、その構築方法が研究され、実践されています。
ラポールは、しばしば「心の架け橋」として比喩されます。それは、言葉だけでなく、表情、身振り、声のトーンなど、あらゆるコミュニケーション手段を通じて築かれる、目に見えない絆です。例えば、カウンセラーがクライアントの言葉に深く共感し、真摯な態度で耳を傾けることで、クライアントは安心感を覚え、自己開示を促されます。また、教師が生徒一人ひとりの個性や才能を認め、励ますことで、生徒は学習意欲を高め、自己肯定感を育むことができます。このように、ラポールは、人々の心を結びつけ、成長を促す力強いエネルギーとなるのです。
しかし、ラポールの構築には注意も必要です。表面的な共感や偽りの親密さは、かえって相手の不信感を招き、関係を損なう可能性があります。真のラポールは、相手への深い理解と尊重、そして誠実なコミュニケーションによってのみ築かれます。また、ラポールは、単なる個人的な感情だけでなく、倫理的な責任も伴います。特に、専門家は、クライアントの脆弱な立場を利用したり、個人的な利益のためにラポールを利用したりしてはなりません。ラポールは、人々の幸福に貢献するための道具であると同時に、倫理的な規範に従って使用されるべき、繊細で貴重な資源なのです。
試験傾向
この単語が直接問われることは少ないですが、準1級以上の長文読解で、人間関係やコミュニケーションに関するテーマで間接的に出てくる可能性があります。語彙問題として直接問われることは稀です。
TOEICでは、人間関係や顧客との関係構築に関するビジネス文脈で、間接的に言及されることがあります。Part 7(長文読解)などで、文章の内容理解を問う形で登場する可能性はありますが、語彙問題として直接問われることは少ないでしょう。
TOEFLのアカデミックな文章においては、社会学、心理学、教育学などの分野で、人間関係や相互理解を説明する際に使用される可能性があります。ただし、直接的な語彙問題として「rapport」の意味を問うのではなく、文章全体の理解度を測る文脈で間接的に登場する程度でしょう。
大学受験の英語長文では、社会学、心理学、国際関係学など、人間関係やコミュニケーションに関するテーマで出題される可能性があります。直接的な語彙問題として問われることは少ないかもしれませんが、文章の内容を理解する上で重要なキーワードとなることがあります。