inclement
第2音節に強勢があります。/ɪ/は日本語の「イ」よりも口を少し開き、短く発音します。/ɛ/は「エ」と「ア」の中間のような音で、口を自然に開けて発音します。最後の/ənt/は曖昧母音(シュワ)を含むため、弱く短く「ア」と発音し、語尾の/t/は破裂音としてしっかり発音しましょう。全体として、各音節を区切らず、滑らかにつなげるように発音すると、より自然に聞こえます。
荒れ模様の
天候がひどく悪い状態を指し、雨、雪、風などが激しい状況を表す。旅行やアウトドアの計画を立てる際に注意を促す文脈で使われることが多い。
We had to cancel our fun picnic because of the inclement weather.
荒れた天気のために、楽しいピクニックを中止しなければなりませんでした。
※ 楽しみにしていたピクニックが、荒れた天気のせいで中止になった残念な気持ちが伝わる場面です。「inclement weather」は「荒れた天気」を意味し、この単語が最もよく使われる典型的な組み合わせです。何かを中止する理由として「because of 〜(〜のために)」と使うのが自然です。
The inclement weather kept us inside all day, so I read a long book.
荒れた天気が私たちを一日中家の中に閉じ込めたので、私は長い本を読みました。
※ 外に出られないほどひどい天気で、家の中で時間を過ごす様子が目に浮かびます。「keep + 人 + 場所」で「人をある場所に留まらせる」という意味になり、悪天候が原因で外出できない状況を自然に表現できます。退屈な時間を読書で過ごした気持ちが伝わります。
Hikers should be very careful of the inclement conditions on the mountain today.
今日の山の荒れた状況には、ハイカーたちは非常に注意すべきです。
※ 登山など、自然の中で活動する際に、危険な状況への注意を促す場面です。「inclement conditions」も「inclement weather」と同様によく使われ、天候だけでなく、路面や視界など、広範囲な「荒れた状態」を指します。安全への配慮が感じられる典型的な使い方です。
厳(きび)しい
人や状況が冷酷、無情であることを指す。人の性格や、生活環境、社会情勢など、抽象的な対象にも用いられる。
We had to cancel our family picnic because of the inclement weather.
家族でのピクニックは、厳しい天候のため中止しなければなりませんでした。
※ 楽しみにしていた家族でのピクニックが、突然の荒れた天気(雨や風など)で台無しになってしまった場面です。「inclement weather」は「荒れた天候」という意味で、この単語が最もよく使われる典型的な組み合わせです。何か予定が天候のせいで変更・中止になる時に非常によく使われる表現です。
The hikers struggled to reach the summit due to the inclement mountain conditions.
登山者たちは、山の厳しい状況のため、頂上にたどり着くのに苦労しました。
※ 強風や雨、雪など、山での厳しい気象条件の中、登山家たちが必死で頂上を目指している情景が目に浮かびます。「inclement」は、単なる天候だけでなく、その場所の「厳しい状況(conditions)」全般を指すこともあります。過酷な自然環境に直面している様子を表すのに適しています。
Architects designed the new building to withstand the region's inclement winters.
建築家たちは、その地域の厳しい冬に耐えられるように新しい建物を設計しました。
※ 雪が多く、風の強い地域で、人々が安全に過ごせるように、頑丈な建物を設計している建築家たちの姿を想像してみてください。「inclement」は、特定の季節(例: inclement winters/summers)と組み合わせて、その季節の厳しさや過酷さを表現する際にも使われます。長期的な計画や対策の文脈でよく登場します。
コロケーション
荒れ模様の天気、悪天候
※ 最も一般的で基本的なコロケーションです。単に「悪い天気」というだけでなく、嵐、豪雨、吹雪など、人々の活動を妨げるような、厳しく、不快な天候を指します。ビジネスシーン(交通機関の遅延など)やニュース記事など、フォーマルな場面でよく使われます。形容詞+名詞の組み合わせの典型例です。
厳しい状況、過酷な状況
※ "inclement weather"と同様に、困難で不快な状況全般を指します。気象条件だけでなく、政治的、経済的な状況など、比喩的な意味でも使用可能です。例えば、「inclement economic conditions(厳しい経済状況)」のように使われます。抽象的な概念にも適用できる点が特徴です。ビジネス文書や報道などで見られます。
厳しい自然環境に直面する
※ 「elements」はここでは「自然の力、荒天」を意味します。「face」は「直面する」という動詞です。探検家や冒険家が厳しい自然環境に立ち向かう様子を表現する際に用いられることが多い、やや文学的な表現です。たとえば、「The explorers faced the inclement elements of the Arctic.(探検家たちは北極の厳しい自然環境に直面した)」のように使います。
悪天候にもかかわらず
※ "despite"は前置詞で、「〜にもかかわらず」という意味です。悪天候が予想される状況下でも、予定通りに何かを行うことを強調する際に用いられます。ビジネスメールやアナウンスなど、フォーマルな場面でよく使われます。「Despite the inclement weather, the event will proceed as planned.(悪天候にもかかわらず、イベントは予定通り開催されます。)」のように使います。
厳しい季節、荒れた季節
※ 特定の季節における異常気象や、全体的に天候不順な時期を指します。農業や漁業など、天候に左右される産業に関するニュース記事や報告書などでよく用いられます。例えば、「an inclement hurricane season(ハリケーンの多い荒れた季節)」のように使われます。
荒れ狂う風、厳しい風
※ 強い風、吹き荒れる風を指します。気象に関する記述や、航海、登山などの冒険に関する物語でよく用いられます。「The inclement winds made sailing dangerous. (荒れ狂う風のために航海は危険になった。)」のように使います。 "weather" に比べ、より風の強さを強調するニュアンスがあります。
使用シーン
学術論文、特に環境科学や気象学の分野で、気象条件を記述する際に用いられます。「The experiment was delayed due to inclement weather conditions.(実験は悪天候のため延期された)」のように、客観的な記述で使われることが多いです。また、社会科学分野では、「inclement economic climate(厳しい経済状況)」のように比喩表現として用いられることもあります。
ビジネス文書や報告書で、プロジェクトの遅延や業績不振の原因を説明する際に使われることがあります。「Inclement market conditions impacted sales figures.(厳しい市場状況が売上高に影響を与えた)」のように、フォーマルな文脈で使われ、口語的な会話ではあまり使われません。リスク管理や事業継続計画に関する文書にも登場する可能性があります。
日常会話ではあまり使われませんが、天気予報やニュースなどで、悪天候を伝える際に用いられることがあります。「Due to inclement weather, the outdoor event has been cancelled.(悪天候のため、野外イベントは中止となりました)」のように、公共アナウンスや注意喚起で使われることが多いです。やや硬い表現のため、親しい間柄の会話では別の表現が好まれます。
関連語
類義語
嵐のような、荒れ模様の天気を指す。比喩的に、激しい感情や状況を表すこともある。日常会話から報道まで幅広く使われる。 【ニュアンスの違い】"Inclement"よりも直接的で、天候の激しさを強調する。"Stormy"は文字通り嵐だけでなく、比喩的な意味合いでも用いられる頻度が高い。 【混同しやすい点】"Stormy"は感情や状況にも使えるが、"inclement"は基本的に天候についてのみ使われる。また、"stormy"は名詞"storm"から派生した形容詞であるため、"inclement"よりもイメージしやすい。
不快な、汚れた、ひどい、という意味を持つ。天候だけでなく、味、匂い、行いなど、様々なものに対して使われる。やや口語的な表現。 【ニュアンスの違い】"Inclement"よりも広い意味を持ち、天候の悪さだけでなく、道徳的な悪さや不快感も含む。天候について使う場合は、非常に不快で危険な状態を指すことが多い。 【混同しやすい点】"Foul"は天候以外にも使えるため、文脈によって意味が大きく異なる。天候について使う場合でも、"inclement"よりも強い嫌悪感や不快感を表す。
厳しい、深刻な、という意味。天候、病気、処罰など、様々なものに対して使われる。フォーマルな場面でも用いられる。 【ニュアンスの違い】"Inclement"よりも状況の深刻さや厳しさを強調する。天候について使う場合は、生命に関わるような危険な状態を指すことが多い。 【混同しやすい点】"Severe"は天候以外にも使えるため、文脈によって意味が異なる。天候について使う場合でも、"inclement"よりも客観的に状況の深刻さを伝えるニュアンスが強い。
厳しい、容赦のない、という意味。天候、批判、現実など、様々なものに対して使われる。感情的なニュアンスを含む。 【ニュアンスの違い】"Inclement"よりも主観的な印象や感情を伴う。天候について使う場合は、不快感や苦痛を伴うような厳しさを表す。 【混同しやすい点】"Harsh"は天候以外にも使えるため、文脈によって意味が異なる。天候について使う場合でも、"inclement"よりも個人的な感情や印象が強く反映される。
荒れた、大まかな、という意味。天候、道、表面など、様々なものに対して使われる。日常会話でよく使われる。 【ニュアンスの違い】"Inclement"よりも穏やかでない状態、不快感や困難を伴う状態を指す。天候について使う場合は、穏やかでない海の状態や、風の強い状態などを表すことが多い。 【混同しやすい点】"Rough"は天候以外にも使えるため、文脈によって意味が異なる。天候について使う場合でも、"inclement"よりも具体的な状態(例:波が高い、風が強い)を表すことが多い。
(寒さが)厳しい、痛烈な、という意味。主に寒さや寒風に対して使われる。比喩的に、感情や経験のつらさを表すこともある。 【ニュアンスの違い】"Inclement"よりも寒さの厳しさを強調する。特に、刺すような寒さや身を切るような寒さを表す場合に適している。 【混同しやすい点】"Bitter"は主に寒さに対して使われるため、"inclement"のように雨や雪を含む天候全般を表すことはできない。また、比喩的な意味合いで感情や経験のつらさを表す場合もある。
派生語
『温情』『寛容』を意味する名詞。元々は『穏やかな気候』を指し、そこから『穏やかな心』『慈悲深さ』へと意味が発展した。法律や政治の文脈で、刑罰の軽減や恩赦を意味する際に用いられることが多い。日常会話での使用頻度は低い。
- inclemence
『厳しさ』『過酷さ』を意味する名詞。inclement の名詞形であり、特に天候の厳しさや、比喩的に状況や態度などの厳しさを表す。学術論文や報道記事で、自然災害や社会情勢を説明する際に使われることがある。日常会話での使用は稀。
語源
「inclement」は、ラテン語の「clementem(穏やかな、慈悲深い)」に否定の接頭辞「in-(~でない)」が付いた「inclemens(無慈悲な、厳しい)」に由来します。元々は「穏やかでない」という意味合いから、天候が「荒れ模様の」状態や、人に対して「厳しい」態度を表すようになりました。「clement」自体は、「傾く、従う」を意味するラテン語の動詞「clinare」に関連しており、心が柔軟で人に寄り添うイメージにつながります。したがって、「inclement」は、その反対で、融通が利かず、厳格な状態を指す言葉として理解できます。日本語で例えるなら、「情け容赦ない」という言葉が、天候や人の態度両方に対して使える点で近いニュアンスを持っています。
暗記法
「inclement」は単なる悪天候ではない。文学では、嵐が丘の荒野のように、登場人物の苦難を象徴する舞台装置。比喩的には「inclement mood(不機嫌)」のように、精神状態や社会の厳しさを表す。自然の猛威は人間の無力さを露呈するが、同時に人々に団結を促す。inclementは、自然の脅威と人間の脆弱さ、そして共存の難しさを映す言葉なのだ。
混同しやすい単語
発音が似ており、特に語尾の '-ent' の部分が曖昧になりやすい。'Inclement' は『厳しい、荒れ模様の』という意味だが、'incident' は『出来事、事件』という意味の名詞。スペルも似ているため、文脈で判断する必要がある。incident の語源は『上に(in-)起こる(cadere)こと』。
発音とスペルが非常に似ており、特に接頭辞 'in-' の部分が共通しているため混同しやすい。'Inclement' が天候などを表すのに対し、'increment' は『増加、増分』という意味で、通常は名詞として使われる。increment は『中へ(in-)成長する(crēscere)こと』。
'Inclement' の接頭辞 'in-' (否定) を取り除いた単語。'Inclement' が『厳しい』という意味なのに対し、'clement' は『穏やかな、寛大な』という意味で、反対の意味を持つ。スペルも似ているため、接頭辞の有無に注意する必要がある。clement は『穏やかな状態』を意味するラテン語から。
語尾の '-ment' が共通しており、発音も似ているため混同しやすい。'Inclement' が形容詞であるのに対し、'implement' は『実行する、実施する』という意味の動詞、または『道具、手段』という意味の名詞。implement は『中に(in-)満たす(plēre)こと』が語源。
最初の 'inc-' の部分が共通しており、発音も似ている。'Inclement' が天候や気候を表すのに対し、'inclined' は『~したい気持ちがある、~する傾向がある』という意味で、人の気持ちや状態を表すことが多い。スペルも似ているため注意が必要。inclined は『傾ける』という意味から派生。
最初の 'im-' と語尾の '-it' が共通しているため、スペルが似ていると感じやすい。発音も 'inclement' と 'implicit' は母音の音価が異なるものの、全体的なリズムが似ているため、聞き間違える可能性がある。implicit は『暗黙の、それとなく意味されている』という意味で、文脈も大きく異なる。
誤用例
日本語の『荒れた天気』という直訳から、人の気分を表す際に『inclement』を使ってしまう誤用です。Inclementは天候が厳しい状態を表す形容詞であり、人の感情には通常使用しません。人の気分を表す場合は『depressed』や『gloomy』などの適切な形容詞を選びましょう。日本人は天候と気分を関連付けて表現することが多いため、この誤用が起こりやすいと考えられます。
『inclement』は単に『悪い天気』ではなく、『厳しく、荒れ模様の天気』を指します。ピクニックのような楽しいイベントと組み合わせるには、語感が不自然です。ここでは、困難な状況にも関わらず計画を続行したことを示す『persevere』を使うなど、より状況に合った表現が適切です。日本人は、英語の単語を字面だけで捉え、文脈における語感のニュアンスを軽視しがちなため、このような誤用が起こりえます。
『inclement』を人に対して使う場合、比喩的に『態度や処罰が厳しい』という意味合いになりますが、天候の厳しさに由来する冷酷さ、容赦のなさを強調するニュアンスがあります。単に『厳しい』という意味で使う場合は、『stern』や『harsh』がより一般的です。日本語の『厳格』という言葉を安易に『inclement』に置き換えてしまうと、意図しないニュアンスが伝わる可能性があります。英語では、比喩表現が持つ背景や文化的含みを理解することが重要です。
文化的背景
「inclement」という言葉は、単なる悪天候を表すだけでなく、人間の努力や希望を阻む容赦ない自然の力を象徴することがあります。特に、厳しい気候が人々の生活や文化に深く根ざしている地域では、この言葉は単なる気象現象を超えた重みを持つことがあります。
例えば、19世紀のイギリス文学において、「inclement weather」はしばしば、登場人物の苦難や試練を象徴的に表現するために用いられました。荒涼とした荒野や吹き荒れる嵐は、主人公の内面の葛藤や社会的な抑圧を反映し、物語に深みを与えました。エミリー・ブロンテの『嵐が丘』では、ヨークシャー地方の厳しい自然環境が、登場人物たちの情熱的でありながら破滅的な運命を暗示しています。このように、inclement weatherは単なる背景ではなく、物語の重要な要素として機能し、読者の感情を揺さぶる力を持っていました。
また、inclementは、比喩的に人間の精神状態や社会状況を表すこともあります。「inclement mood(不機嫌な気分)」や「inclement economic climate(厳しい経済状況)」といった表現は、困難や不快感を強調する効果があります。これは、自然の厳しさが人間の心や社会に及ぼす影響を暗示しており、inclementという言葉が持つ否定的なイメージをさらに強めています。特に、政治的な演説や報道記事では、inclementという言葉は、現状の厳しさや将来への不安を煽るために意図的に使用されることがあります。
さらに、inclementという言葉は、人間の脆弱性と自然の力の対比を強調します。人間は、技術や知識を駆使して自然を克服しようと試みますが、inclement weatherはその限界を容赦なく突きつけます。災害や事故の報道において、inclement weatherはしばしば、人間の無力さを象徴するものとして描かれます。しかし、同時に、inclement weatherは、人々に団結や協力の重要性を再認識させるきっかけともなります。困難な状況を乗り越えるために、人々は互いに助け合い、支え合うことで、自然の脅威に立ち向かうことができるのです。このように、inclementという言葉は、人間の弱さと強さ、そして自然との共存の難しさを同時に表現する、多層的な意味を持つ言葉と言えるでしょう。
試験傾向
準1級・1級で語彙問題、長文読解で出題される可能性があります。気象や自然災害に関する文章で、天候を表す形容詞として使われることが多いです。同意語(bad, severe, roughなど)との区別や、名詞形(inclemency)も覚えておきましょう。リスニングでの出題は比較的少ないですが、会話文で使われる可能性もあります。
Part 5(短文穴埋め問題)やPart 7(長文読解問題)で、天候に関するニュース記事やビジネス文書に登場する可能性があります。ただし、TOEICではビジネスシーンに特化した語彙が優先されるため、inclementの出題頻度は英検に比べて低い傾向にあります。同意語・反意語(favorable, mild)を把握しておくと役立ちます。
リーディングセクションで、気象学、環境問題、歴史などのアカデミックな文章で登場する可能性があります。文脈から意味を推測する能力が重要になります。ライティングセクションで使うことは稀ですが、他の単語で言い換えられるようにしておくと良いでしょう。
難関大学の長文読解問題で出題される可能性があります。文脈から意味を推測する問題や、同意語・反意語を選ぶ問題として出題されることがあります。単語集だけでなく、過去問や長文問題集で実際に使われている文脈の中で覚えるようにしましょう。