imbalance
第一音節の /ɪ/ は日本語の『イ』よりも口を少し開き、短く発音します。第二音節にアクセント(ˈ)があります。/æ/ は日本語の『ア』と『エ』の中間のような音で、口を横に広げて発音するとよりネイティブの発音に近づきます。語尾の '-ance' は弱く、曖昧母音(schwaに近い)になることが多いです。日本語の『バランス』とはアクセント位置が異なる点に注意しましょう。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
不均衡
釣り合いが取れていない状態。比率や力の配分が偏っていることを指す。健康、経済、社会構造など、幅広い分野で使われる。
There was an imbalance in the old table, and my glass almost tipped over.
古いテーブルに不均衡があったので、私のグラスはほとんど倒れそうになりました。
※ 古いテーブルが少し傾いていて、その上に置いたグラスが今にも倒れそうな、ドキッとする場面が目に浮かびますね。「imbalance」は、このように物理的なものが安定していない状態を表すのによく使われます。特に「There is an imbalance in/between A and B」の形で、「AとBの間に不均衡がある」と表現するのが典型的です。
Eating only fast food can cause an imbalance in your body's nutrition.
ファストフードばかり食べていると、体の栄養に不均衡を引き起こす可能性があります。
※ 忙しい中でファストフードばかり食べてしまい、体がだるく感じるような状況が想像できます。この例文では、食生活が原因で体の栄養バランスが崩れる、という健康に関する不均衡を表しています。「cause an imbalance in...」は「〜に不均衡を引き起こす」という、原因と結果を示す際によく使われる表現です。
The team noticed an imbalance in the workload, so they decided to reassign tasks.
チームは仕事量の不均衡に気づき、タスクを再割り当てすることにしました。
※ 特定のメンバーに仕事が集中してしまい、皆が困っている職場の状況が目に浮かびます。このように、組織や集団の中で役割や責任、仕事量などが偏っている状態を「imbalance」と表現するのは非常に一般的です。問題を発見し、解決に向けて行動する様子が描かれており、ビジネスシーンでも役立つ例文です。
偏り
特定のものに重点が置かれ、他が軽視されている状態。意見、感情、判断などが公平でない場合に用いられる。
The old scale showed a clear imbalance because one side had too many apples.
古い天秤は、片側にリンゴが多すぎたため、明らかに偏りを示していました。
※ おばあちゃんが市場でリンゴを量っている情景をイメージしてください。天秤が傾いている様子から、「バランスが取れていない状態=偏り」がよくわかりますね。物理的なものの「偏り」を表す典型的な使い方です。
The new report showed a big imbalance in job opportunities between cities and rural areas.
新しい報告書は、都市と地方の間の雇用機会に大きな偏りがあることを示していました。
※ ニュースで経済の状況を説明しているような場面です。この「imbalance」は、数値や量に「不均衡」があることを示しており、社会的な問題について話すときによく使われます。
My doctor said my diet had an imbalance of vitamins, so I need to eat more vegetables.
医者が、私の食事にはビタミンの偏りがあると言ったので、もっと野菜を食べる必要があります。
※ 健康診断の後、医者からアドバイスを受けている場面を想像してください。「栄養の偏り」はよくある健康問題で、"nutritional imbalance" のように使われることも多いです。体のバランスが崩れている状態も「imbalance」で表現できます。
傾ける
(比喩的に)バランスを崩すように作用すること。例えば、「~の立場を不利にする」「~の状況を悪化させる」のように使う。
Sitting for too long can create an imbalance in your posture, causing back pain.
座りすぎは姿勢のバランスを崩し、腰痛の原因になることがあります。
※ 「imbalance」は「不均衡」や「不安定」という意味の名詞です。この文では、長時間座ることで体の「姿勢のバランスが崩れる」様子を描写しています。私たちの体の調子や健康について話すときによく使われます。
The large imbalance between exports and imports worried the country's economy.
輸出と輸入の大きな不均衡が、その国の経済を心配させました。
※ ここでの「imbalance」は、輸出と輸入の「量の不均衡」を指します。経済や社会の状況、特に貿易や資源の偏りについて話す際によく使われる表現です。何らかの問題や課題がある状況を示唆します。
Global warming is causing a serious imbalance in Earth's climate system.
地球温暖化は地球の気候システムに深刻な不均衡を引き起こしています。
※ この文では、地球温暖化によって気候の「バランスが大きく崩れている」様子を描いています。「imbalance」は、自然環境や生態系の調和が乱れる状況、あるいはシステム全体の安定性が損なわれる状況を表す際にも使われます。
コロケーション
ホルモンバランスの乱れ
※ 医学・健康分野で頻繁に使われる表現です。ホルモンは体の機能を調節する重要な役割を担っており、そのバランスが崩れると様々な不調を引き起こします。女性の生理周期や更年期障害の説明でよく用いられます。単に 'hormone imbalance' と言うこともありますが、'hormonal imbalance' の方がより一般的です。形容詞 'hormonal' がより医学的なニュアンスを強調します。
力の不均衡、権力格差
※ 社会学、政治学、ビジネスなど幅広い分野で使用される表現です。個人間、集団間、国家間の力の差を表し、不正や不公平が生じる原因となることがあります。例えば、ハラスメントや差別は 'power imbalance' が背景にあると考えられます。 'balance of power'(勢力均衡)という表現との対比で理解すると、より意味が明確になります。名詞+of+名詞の形でも使えますが、形容詞+名詞の形がより簡潔で一般的です。
貿易不均衡、貿易収支の偏り
※ 経済学の分野で、ある国がある国に対して輸出と輸入のバランスが取れていない状態を指します。輸出超過(黒字)または輸入超過(赤字)の状態を指し、経済政策や国際関係に影響を与えます。ニュースや経済記事で頻繁に登場する表現です。 'balance of trade'(貿易収支)という表現と合わせて覚えておくと理解が深まります。 'trade deficit' (貿易赤字)という具体的な状態を表す表現もあります。
深刻な不均衡
※ 形容詞 'severe'(深刻な、厳しい)を伴うことで、単なる不均衡ではなく、放置できないほど重大な状態であることを強調します。経済、環境、健康など、様々な分野で使用できます。例えば、 'a severe economic imbalance' は、経済格差が非常に大きい状態を指します。 'serious imbalance' も同様の意味で使えますが、'severe' の方がより危機感を伴うニュアンスがあります。
不均衡を是正する
※ 動詞 'correct'(是正する、修正する)と組み合わせて、不均衡な状態を改善する行為を表します。政策、治療、改革など、具体的な手段を講じて状況を改善する文脈で用いられます。例えば、 'correct a trade imbalance' は、貿易不均衡を是正するための政策を意味します。 'address an imbalance' (不均衡に対処する)も同様の意味で使えますが、'correct' の方がより積極的な改善の意図を含みます。
生態系の不均衡
※ 環境科学や生態学の分野で、生態系内の生物間のバランスが崩れている状態を指します。外来種の侵入、環境汚染、気候変動などが原因で起こり、生態系全体に悪影響を及ぼします。 'environmental imbalance' も同様の意味で使われますが、'ecological imbalance' の方がより生物間の相互作用に焦点を当てたニュアンスがあります。
社会的不均衡
※ 社会構造における不平等や不公平を指します。所得格差、教育機会の不均等、ジェンダー不平等などが含まれます。社会学や政治学でよく用いられ、社会問題の根本原因として議論されます。'economic imbalance'(経済的不均衡)と関連して使われることが多いです。 'inequality'(不平等)という単語と置き換えることもできますが、'imbalance' はバランスが崩れている状態を強調するニュアンスがあります。
使用シーン
学術論文や研究発表で頻繁に使用されます。特に経済学、社会学、医学などの分野で、データの偏りや分布の不均衡を議論する際に用いられます。例:『高齢化社会における医療資源の地域間不均衡』といったテーマの研究論文。
ビジネス文書や会議で、市場シェアの偏り、男女間の賃金格差、サプライチェーンのボトルネックなどを説明する際に使用されます。例:『当社の顧客ポートフォリオには、特定の業界への偏りが見られるため、リスク分散が必要です』という報告。
日常会話ではあまり使いませんが、ニュース記事や健康に関する情報などで見かけることがあります。例:『食生活の栄養バランスの偏りが、健康に悪影響を及ぼす可能性があります』といった記事。
関連語
類義語
- disproportion
『不均衡』や『釣り合いが取れていない状態』を指し、特に量的、比率的な不均衡を表す。統計、経済、政治などの分野で使われることが多い。 【ニュアンスの違い】『imbalance』よりも客観的で、感情的なニュアンスが少ない。単に数量的な差を指摘する際に適している。フォーマルな文脈で好まれる。 【混同しやすい点】『imbalance』が原因や結果を含む広い意味で使われるのに対し、『disproportion』は比率の不均衡そのものを指すため、文脈によっては不自然になる。
- inequity
『不公平』や『不正』を意味し、特に社会的な資源、機会、権利などの分配における不公平さを指す。倫理、法律、社会学などの分野で使われる。 【ニュアンスの違い】『imbalance』が単なる不均衡を指すのに対し、『inequity』は道徳的な不正や不公平感を含む。社会正義の文脈で用いられることが多い。 【混同しやすい点】『imbalance』は必ずしも不正を意味しないが、『inequity』は常に不正や不公平といったネガティブな意味合いを持つ。単なる数量的な偏りを表す場合には不適切。
『格差』や『相違』を意味し、特に収入、教育、健康などの分野における大きな違いを指す。社会問題、経済学、統計学などの分野でよく使われる。 【ニュアンスの違い】『imbalance』が一般的な不均衡を指すのに対し、『disparity』はより顕著で、問題視されるべき格差を表す。フォーマルな文脈で使われることが多い。 【混同しやすい点】『imbalance』は必ずしも問題視されるとは限らないが、『disparity』は通常、是正されるべき問題として扱われる。些細な違いには使われない。
- asymmetry
『非対称』を意味し、左右、上下、あるいは全体的な構造において均等でない状態を指す。数学、物理学、生物学、デザインなどの分野で使われる。 【ニュアンスの違い】『imbalance』が機能的または全体的な不均衡を指すのに対し、『asymmetry』は形状や構造の非対称性を強調する。より客観的で技術的なニュアンスを持つ。 【混同しやすい点】『imbalance』は原因や影響を含むことがあるが、『asymmetry』は単に形状や構造の非対称性を指す。抽象的な概念の不均衡には使いにくい。
『不安定』を意味し、状況、状態、システムなどが安定していない状態を指す。政治、経済、物理学、化学などの分野で使われる。 【ニュアンスの違い】『imbalance』が構成要素間の不均衡を指すのに対し、『instability』は全体としての不安定さを強調する。変化や変動を伴う状況で使われることが多い。 【混同しやすい点】『imbalance』は必ずしも全体的な不安定さを意味しないが、『instability』は常に全体としての不安定さを示す。静的な状態の不均衡には不適切。
- lopsidedness
『片側への偏り』や『不均衡』を意味し、特に一方に偏っている状態を指す。日常会話やカジュアルな文脈で使われることが多い。 【ニュアンスの違い】『imbalance』よりも口語的で、具体的な対象の偏りを指すことが多い。フォーマルな場面ではあまり使われない。 【混同しやすい点】『lopsidedness』は抽象的な概念やシステム全体ではなく、具体的な対象の偏りに使われる。また、フォーマルな文脈には適さない。
派生語
『バランスの取れた』という意味の形容詞。『imbalance』の動詞形『balance(バランスを取る)』に、過去分詞形を作る接尾辞『-ed』が付加され、状態を表す形容詞となった。日常会話からビジネスシーンまで幅広く使用され、『well-balanced(バランスが取れている)』のような複合語としても頻出する。
- balancing
『バランスを取ること』を意味する動名詞または現在分詞。『balance』に進行形を作る接尾辞『-ing』が付加された。動名詞としては抽象的な行為を、現在分詞としては進行中の状態を表す。ビジネスや政策において、『balancing act(綱渡り)』のような比喩表現としても使われる。
- balances
『バランスシート』や『天秤』のように、バランスを取るための器具や記録を意味する複数名詞。『balance』に複数形の『-s』が付いた形だが、単数形の『balance』とは異なり、具体的な物や概念を指すことが多い。会計や科学の分野で専門用語として使用される。
反意語
『均衡』や『平衡』を意味する名詞。『imbalance』が状態の崩れを指すのに対し、『equilibrium』は安定した状態を表す。物理学や経済学などの学術分野で、力や需要と供給が釣り合っている状態を指すことが多い。日常会話では、精神的な安定を指す比喩表現としても用いられる。
『同等』や『類似』を意味する名詞。『imbalance』が不均衡を強調するのに対し、『parity』は対等な状態を指す。特に経済学や国際関係において、価格や権利の平等性を表す際に用いられる。日常会話では、男女間の賃金格差など、社会的な公平性を議論する文脈で使われることがある。
『対称性』や『均整』を意味する名詞。『imbalance』が非対称性を示すのに対し、『symmetry』は整った形状や配置を表す。数学や美術などの分野で、左右対称や点対称などの概念を指す。比喩的には、人間関係や社会構造における調和のとれた状態を意味することもある。
語源
「imbalance」は、接頭辞「im-」と名詞「balance」から構成されています。「balance」は、「天秤ばかり」を意味するラテン語の「bilanx」(bi-「二つの」+ lanx「皿」)に由来します。つまり、元々は「二つの皿を持つもの」という文字通りの意味合いでした。この「balance」に、否定を表す接頭辞「im-」(~でない)が付くことで、「不均衡」「釣り合っていない状態」を意味する「imbalance」となります。日本語で例えるなら、「均衡」という言葉に「不」をつけて「不均衡」とするのと似た構造です。天秤の皿が二つとも水平でない状態をイメージすると、意味が捉えやすくなるでしょう。
暗記法
「不均衡(imbalance)」は、秩序の乱れを象徴する言葉。古代ギリシャ医学では、体液のアンバランスが病気の根源とされ、中世には気質を説明する言葉にも。社会においては、階級や権力の偏りを意味し、フランス革命の遠因にもなりました。現代では、経済格差やジェンダー不平等など、グローバルな課題を語る上で欠かせないキーワードです。シェイクスピア悲劇では、主人公の葛藤や社会との不和が「不均衡」として描かれ、物語を読み解く鍵となります。
混同しやすい単語
『imbalance』は『balance(バランス)』に否定の接頭辞『im-』がついた単語なので、基本的な意味合いは似ています。しかし、『balance』は均衡、調和、釣り合いといった意味を持ち、名詞または動詞として使われます。一方、『imbalance』は不均衡、不均衡状態を指し、名詞として使われます。接頭辞『im-』があるかないかで意味が正反対になるため、注意が必要です。また、文章中で肯定的な意味合いでバランスについて述べているのか、否定的な意味合いで不均衡について述べているのかを文脈から判断する必要があります。
『imbalance』と『emblazon』は、どちらも比較的珍しい単語であり、また文字数も似ているため、スペルミスによる混同が起こりやすいです。『emblazon』は『~を飾る』『~を彩る』という意味の動詞で、紋章などで豪華に飾る様子を表します。発音も異なりますが、スペルに注意して区別する必要があります。
『imbalance』と『importance』は、どちらも接頭辞『im-』で始まる比較的長い単語であり、スペルが似ているため混同しやすいです。『importance』は『重要性』という意味の名詞であり、文脈によっては『imbalance(不均衡)』と意味が通じる場合もありますが、通常は異なる概念を表します。スペルを正確に記憶し、文脈に応じて適切な単語を選択することが重要です。
『imbalance』と『unbalanced』は、どちらもバランスが取れていない状態を表しますが、品詞が異なります。『imbalance』は名詞で『不均衡』という意味であるのに対し、『unbalanced』は形容詞で『不均衡な』という意味です。例えば、『an imbalance in the economy(経済の不均衡)』のように名詞を必要とする場面では『imbalance』を、『an unbalanced diet(不均衡な食事)』のように名詞を修飾する場面では『unbalanced』を使用します。文法的な構造を理解して使い分ける必要があります。
『imbalance』と『insolence』は、どちらも接頭辞『in-』で始まる単語ですが、意味は全く異なります。『insolence』は『傲慢』『無礼』という意味の名詞です。発音も異なりますが、スペルが似ているため、特にリーディングの際に注意が必要です。文章を読む際には、前後の文脈から意味を判断し、誤読を防ぐ必要があります。
『imbalance』と『embellish』は、スペルの一部が似ており、共に動詞になりうるという点で混同される可能性があります。『embellish』は『飾る』『美化する』という意味で、文章や話を面白くするために詳細を付け加えるという意味合いも持ちます。一方、『imbalance』は動詞としてはあまり使われません(使う場合は『~を不均衡にする』)。スペルの類似性と、どちらも動詞になりうるという点に注意し、文脈から判断する必要があります。
誤用例
日本語の「ストレス」という言葉は、名詞としても動詞としても使われますが、英語の『stress』は主に名詞として使用されます。そのため、『stress』を動詞として使用し、さらに受動態にするのは不自然です。ここでは、『imbalance』が『stress』の『原因』であることを明確にするため、『cause』を用いるのが適切です。また、日本人は『very』を多用しがちですが、『a great deal of』のようなフォーマルな表現を使うことで、より洗練された印象を与えられます。
『Correct』は間違いを正すという意味合いが強く、社会的な不均衡を是正する文脈では、やや直接的すぎる印象を与えます。よりソフトで包括的なアプローチを示すためには、『address』(取り組む、対処する) が適しています。また、『imbalance between men and women』は直訳的で、より自然な英語では『gender imbalance』という表現が一般的です。さらに、問題の根深さを強調するために、『very difficult』ではなく『a significant cultural challenge』と表現することで、文化的な背景に根ざした根深い問題であることを示唆できます。日本人が社会問題を語る際、直接的な表現を避けがちな傾向がありますが、英語ではより率直に問題点を指摘することが一般的です。
『Imbalance』は、物理的な不均衡や数量的な不均衡を指す場合にも使われますが、人生における精神的なバランスの欠如を表現するには、やや直接的すぎる印象を与えます。より洗練された表現としては、『lack of equilibrium』が適切です。また、『mental』は口語的な表現であり、フォーマルな文脈では『mental well-being』を使用する方が適切です。日本人は英語を学ぶ際、単語の意味を直訳的に捉えがちですが、文脈やニュアンスに合わせて表現を選ぶことが重要です。さらに、問題の深刻さを強調するために、『big problem』ではなく『significantly impacting』と表現することで、より深刻な状況であることを示唆できます。
文化的背景
「Imbalance(不均衡)」は、単なる状態を表す言葉ではなく、社会や自然、そして人間の内面における秩序の乱れを象徴します。西洋思想においては、古来より「バランス」は美徳とされ、その対概念である「不均衡」は混乱や不正、病といった負のイメージと強く結びついてきました。
古代ギリシャの医学では、人間の健康は体液のバランスによって保たれると考えられていました。四体液説(血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁)において、これらの体液の比率が崩れると病気になるとされ、「imbalance」はまさに病気の根本原因を指し示す言葉でした。この考え方は中世ヨーロッパにも引き継がれ、医学のみならず、性格や気質を説明する際にも用いられました。例えば、黄胆汁が過剰な人は短気で怒りっぽいなどとされました。
また、社会的な文脈においては、「imbalance」は階級間の不平等や権力の偏りを表す言葉として使われてきました。フランス革命以前の社会では、貴族と平民の間に極端な不均衡が存在し、これが革命の大きな要因となりました。現代においても、経済格差やジェンダー不平等といった問題は、「imbalance」という言葉で批判的に表現されます。特に、グローバル化が進む現代社会においては、先進国と発展途上国間の経済的・政治的な不均衡が深刻化しており、「imbalance」は国際的な議論においても頻繁に登場するキーワードとなっています。
文学作品においても、「imbalance」は重要なテーマとして扱われています。例えば、シェイクスピアの悲劇においては、主人公の内面の葛藤や社会との不和が「imbalance」として描かれることが多く、ハムレットの優柔不断さやリア王の傲慢さは、彼自身の内面のバランスを欠いた状態として解釈できます。このように、「imbalance」は単なる状態を表すだけでなく、人間の心理や社会構造の奥深くまで掘り下げて理解するための鍵となる言葉なのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、語彙問題(同意語選択、空所補充)。ライティング(エッセイ)で社会問題の文脈で使用される可能性も。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で頻出。1級でも出題される可能性あり。長文読解パート、語彙問題パートで登場。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題(環境問題、経済格差など)、医療、テクノロジーなど、幅広い分野で登場。アカデミックな文脈が多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞としての用法が基本だが、動詞 (imbalance) として使われる場合もあるので注意。関連語(balance, balanced, unbalanced)との区別も重要。
- 出題形式: 主に長文読解(Part 7)。稀に、空所補充問題(Part 5)でも出題される。
- 頻度と級・パート: Part 7で比較的頻繁に出題される。ビジネス関連のニュース記事やレポートなどで登場。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーン(市場の不均衡、需要と供給のアンバランスなど)、経済、国際関係の文脈で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネス関連の語彙と組み合わせて覚えること。例えば、'market imbalance'(市場の不均衡)、'trade imbalance'(貿易不均衡)など。同意語(disparity, inequality)との使い分けも意識。
- 出題形式: 主にリーディングセクション。アカデミックな長文読解問題で頻出。
- 頻度と級・パート: リーディングセクションで頻出。特に科学、社会科学系の文章でよく見られる。
- 文脈・例題の特徴: 科学論文、社会科学論文、歴史的記述など、アカデミックな文脈で登場。抽象的な概念を説明する際に用いられることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: アカデミックな文章での使われ方を理解することが重要。文脈から意味を推測する練習をすること。類義語(disproportion, asymmetry)とのニュアンスの違いも把握。
- 出題形式: 主に長文読解。文脈推測問題、内容一致問題などで問われる。
- 頻度と級・パート: 難関大学の入試で頻出。標準的なレベルの大学でも出題される可能性はある。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、科学技術、歴史など、幅広いテーマで登場。評論や論説文でよく使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈の中で意味を正確に把握することが重要。前後の文との関係性から意味を推測する練習をすること。比喩的な表現で使われる場合もあるので注意。