balanced
第一音節にアクセントがあります。/æ/ は日本語の「ア」と「エ」の中間のような音で、口を少し大きく開けて発音します。/ən/ は曖昧母音で、弱く短く発音します。最後の /st/ は、日本語の「スト」よりも息を強く出し、無声音で発音しましょう。't' は破裂音なので、軽く息を止めてから開放するイメージです。
専門的な内容に関するご注意
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釣り合いの取れた
全体として過不足がなく、要素間の関係が良好な状態を指す。食事、性格、経済など幅広い対象に使える。類義語:even, symmetrical
My doctor told me that a balanced diet is important for my health.
お医者さんが、健康のためにはバランスの取れた食事が大切だと私に言いました。
※ 【情景】健康診断の後、お医者さんから自分の体を気遣うアドバイスを受けている場面です。健康への意識が伝わりますね。 【解説】'balanced diet' は「バランスの取れた食事」という意味で非常によく使われる組み合わせです。健康や栄養の話をする時に頻繁に出てくる、とても典型的な使い方です。 【文法/ヒント】'tell O that SV' は「OにSVだと伝える」という、日常会話でよく使う形です。「~は~にとって重要だ」は 'A is important for B' と表現します。
She carefully placed the vase on the table to make it look balanced.
彼女は花瓶がバランス良く見えるように、慎重にテーブルに置きました。
※ 【情景】誰かが部屋を美しく整えようと、花瓶の位置を細かく調整している様子です。完璧な配置を見つけようとする集中と、それができた時の満足感が伝わります。 【解説】物理的な「釣り合い」や「見た目のバランス」を表す際によく使われます。デザインや配置、写真の構図など、視覚的なものに対して使われることが多いです。 【文法/ヒント】'carefully'(注意深く)のように動詞の前に副詞を置くと、行動の様子が具体的に伝わります。'to make it look balanced' は「それがバランスが取れて見えるように」という目的を表す不定詞の用法です。
It's important to have a balanced life between work and rest.
仕事と休息の間で、バランスの取れた生活を送ることが大切です。
※ 【情景】仕事で忙しい日々を送る中で、ふと立ち止まって「自分の生活はこれで良いのかな?」と考える瞬間です。心身の健康を願う気持ちが込められています。 【解説】'balanced life' は「バランスの取れた生活」という意味で、特に「仕事と私生活のバランス(work-life balance)」を考える際によく使われる表現です。現代社会において非常に共感されやすいテーマです。 【文法/ヒント】'It's important to do...' は「~することは重要だ」という、意見やアドバイスを伝える際によく使う便利なフレーズです。'between A and B' は「AとBの間で」という意味で、二つの要素のバランスを語る時によく使われます。
公平な
複数の利害関係者の間で、偏りなく平等に扱っている状態。判断や報道などが中立的であることを表す。
Our team leader always tries to give a balanced opinion during discussions.
私たちのチームリーダーは、議論中にいつも公平な意見を出すように努めています。
※ チームの会議で、リーダーがみんなの意見を注意深く聞き、特定の意見に偏らず、全体として公平な意見を述べる様子が目に浮かびます。「balanced opinion」は、議論や意思決定の場で「偏りのない意見」を指す際によく使われる表現です。動詞 'give' と一緒に「give a balanced opinion(公平な意見を述べる)」とセットで覚えると良いでしょう。
The art teacher gave a balanced evaluation of all students' paintings.
その美術の先生は、生徒全員の絵を公平に評価しました。
※ 美術の先生が、生徒一人ひとりの絵をじっくり見て、良い点も改善点も、誰に対しても公平な目で評価している場面です。「balanced evaluation」は、客観的で偏りのない評価を意味し、教育現場やビジネスの評価などでよく使われます。「evaluation」は「評価」という意味の名詞で、「balanced」がその名詞を修飾して「公平な評価」となります。
When my friends argued, she listened carefully and offered a balanced view.
私の友達が口論したとき、彼女は注意深く耳を傾け、公平な見解を示しました。
※ 友人が喧嘩している二人を前に、どちらか一方に味方するのではなく、両方の言い分をきちんと聞いた上で、冷静で偏りのない見解を示している様子です。「balanced view」は、対立する意見や状況に対して「公平な見方」「中立的な視点」を示す際によく使われます。「view」は「見解」「視点」という意味で、「balanced view」で「公平な見方」となります。
均衡を保つ
不安定な状態を維持するために、注意深く調整するニュアンス。主に受動態で用いられる。
She balanced the heavy tray carefully in her hands.
彼女は重いお盆を慎重に手に持ってバランスを取った。
※ ウェイトレスがお客様のテーブルまで、お料理がたくさん乗った重いお盆を落とさないように、集中して運んでいる場面です。`balance`が「体の均衡を保つ」という、物理的な動きを表す典型的な使い方です。特に「何かを不安定な状態で支える」ときに使われます。
He tries to balance his busy work with enough rest every day.
彼は毎日、忙しい仕事と十分な休息のバランスを取ろうとしている。
※ 仕事に追われがちな現代人が、健康のために意識して休息を取ろうと努力している様子が目に浮かびます。`balance A with B` の形で、「複数の要素の間の調和や適切な割合を保つ」という、抽象的なバランスを表す典型的な使い方です。`try to do`(~しようと努力する)と一緒に使うことで、目標に向かう人の気持ちが伝わります。
The artist carefully balanced the stones to create a beautiful tower.
その芸術家は、美しい塔を作るために石を注意深く積み重ねてバランスを取った。
※ 川原や海岸などで、芸術家が集中して石を一つずつ積み重ね、崩れないように絶妙なバランスを探っている様子が目に浮かびます。`balance`が「物を安定した状態に保つ」という、物理的なバランスの取り方を表す典型的な使い方です。`to create...` は「~するために」という目的を表します。
コロケーション
バランスの取れた食事
※ 栄養学的な観点から、必要な栄養素を過不足なく摂取できる食事を指します。単に『色々なものを食べる』のではなく、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなどが適切な割合で含まれていることが重要です。健康的な生活を送るための基本として、医療や健康に関する分野で頻繁に使われます。例えば、医師や栄養士が患者にアドバイスする際に『a balanced dietを心がけましょう』というように用います。
均衡予算、収支のバランスが取れた予算
※ 歳入と歳出が等しい、または歳入が歳出を上回る予算を指します。財政健全性の指標として、政府や企業の財政運営において重視されます。政治経済の記事やニュースでよく見られ、『a balanced budgetを達成するために〜』というように、財政政策の目標や成果を示す際に使われます。
バランスの取れた見方、偏りのない客観的な視点
※ 物事を一方的な視点からではなく、多角的に捉え、客観的に判断することを意味します。報道や議論において、公平性を保つために重要な概念です。『a balanced viewを持つことが重要だ』というように、意見や評価の信頼性を高める際に用いられます。特に、意見が対立する問題について議論する際に、中立的な立場を強調するために使われます。
偏りのない報道、公平な報道
※ ニュース報道において、事実を客観的に伝え、特定の立場に偏らないことを指します。ジャーナリズムの倫理において非常に重要な概念であり、報道機関の信頼性を左右します。『balanced reportingを心がける』というように、報道姿勢を示す際に用いられます。特に政治的な報道や社会問題に関する報道において、公平性が求められるため、この表現が重要になります。
バランスの取れたライフスタイル
※ 仕事、休息、趣味、人間関係など、生活の様々な側面が調和している状態を指します。現代社会において、ストレスを軽減し、心身ともに健康を保つために重要な概念として認識されています。『a balanced lifestyleを送る』というように、自己啓発や健康に関する分野でよく使われます。ワークライフバランスを重視する考え方と関連しています。
バランス・スコアカード
※ 企業の業績評価手法の一つで、財務、顧客、内部プロセス、学習と成長という4つの視点からバランス良く評価を行うものです。経営戦略の実行を支援するツールとして、ビジネスの現場で広く用いられています。経営学の専門用語として、企業の経営戦略や業績評価に関する議論で頻繁に登場します。
平均台の上でバランスを取る
※ 文字通りの意味ですが、比喩的に「微妙なバランスを保つ」という意味合いでも使われます。例えば、政治的な立場や意見の対立がある状況で、どちらにも偏らず中立を保つことを表現する際に用いられます。スポーツ以外にも、交渉や人間関係など、様々な場面で応用できる表現です。
使用シーン
学術論文やレポートで、データや議論の客観性を示す際に用いられます。例:経済学の論文で「〜は均衡の取れた成長を示している」と分析結果を述べる場合や、社会学の研究で「多様な意見をバランス良く考慮した」と研究手法を説明する場合など。
ビジネス文書やプレゼンテーションで、リスク管理や戦略のバランスを説明する際に使われます。例:経営戦略会議で「ポートフォリオをバランス良く分散させる」と提案したり、人事評価において「能力と経験のバランスが取れている」と評価する場合など。また、プロジェクトの進捗報告で「スケジュールと予算のバランスを保つ」といった表現も使われます。
日常生活では、健康や食事、人間関係など、様々な側面での調和を表現する際に使われます。例:健康に関する記事で「バランスの取れた食事を心がける」とアドバイスしたり、人間関係について「意見のバランスを取ることが重要だ」と述べる場合など。ニュースやドキュメンタリーで社会問題について議論する際に、「多様な視点からバランスの取れた報道」といった表現も見られます。
関連語
類義語
『公平な』という意味合いが強く、特に社会的な資源の分配や機会の提供において、すべての人々が平等に扱われるべきだという倫理的な視点を含む。フォーマルな文脈や法律、政策の議論でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『balanced』が複数の要素間の調和や安定を指すのに対し、『equitable』は正義や倫理に基づいた公平性を強調する。単に釣り合いが取れているだけでなく、結果の公平性も重視する。 【混同しやすい点】『equitable』は必ずしも数量的な均等さを意味しない。人々の異なるニーズや状況を考慮し、最終的な結果が公正になるように資源や機会を調整することを指すため、単純な割り算のような平等とは異なる。
『公平な』『偏りのない』という意味で、個人的な感情や先入観にとらわれず、客観的な判断を下すことを指す。裁判官やジャーナリストなど、公平性が求められる職業に関連してよく使われる。 【ニュアンスの違い】『balanced』が複数の要素の調和を意味するのに対し、『impartial』は判断や評価における偏りのなさを強調する。感情や個人的な利害関係を排除し、客観的な事実に基づいて判断することが重要。 【混同しやすい点】『impartial』は、判断を下す主体が個人的な感情や利害関係を持っていないことを意味する。一方、『unbiased』も同様の意味を持つが、『unbiased』はより一般的な意味で使われ、必ずしも判断を下す主体に限定されない。
『公平な』『公正な』という意味で、日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われる。ルールや基準が守られ、誰もが平等に扱われる状況を指す。 【ニュアンスの違い】『balanced』が複数の要素間の調和を意味するのに対し、『fair』は公平さや正当性をより直接的に表現する。感情的な要素を含み、個人的な感覚に近いニュアンスを持つ。 【混同しやすい点】『fair』は状況や文脈によって意味が異なる。『fair weather』は『晴天』、『fair skin』は『白い肌』のように、公平さとは関係のない意味を持つ場合がある。
『均等な』『平らな』という意味で、数量や程度が等しい状態を表す。競争や勝負事において、互角の状態を指す場合もある。 【ニュアンスの違い】『balanced』が複数の要素間の調和を指すのに対し、『even』は数量的な均等さや、表面の平坦さを強調する。感情的な要素はほとんど含まれない。 【混同しやすい点】『even』は『〜でさえ』という意味の副詞としても使われるため、文脈によって意味を判断する必要がある。『Even I know that.(私でさえそれを知っている)』のように。
- symmetrical
『左右対称の』という意味で、図形やデザインなど、視覚的なバランスが取れている状態を表す。数学や美術の分野でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『balanced』が抽象的なバランスを指すのに対し、『symmetrical』は視覚的に明確な対称性を意味する。左右だけでなく、上下、前後など、様々な方向の対称性がある。 【混同しやすい点】『symmetrical』は物理的な対象にのみ適用される。『balanced』は、抽象的な概念や状況にも適用できるため、より広い意味を持つ。
『比例した』という意味で、ある量や大きさが別の量や大きさに比例して変化する状態を表す。数学や統計学、経済学などでよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『balanced』が要素間の調和を指すのに対し、『proportionate』は数量的な比例関係を強調する。一方の量が増加すると、もう一方の量もそれに比例して増加する。 【混同しやすい点】『proportionate』は、常に何らかの基準となる量や大きさが存在し、それとの比較において比例関係が成り立つ。『balanced』は、必ずしも基準となる量が存在しない。
派生語
名詞。元々は『釣り合い』『均衡』を意味し、動詞『balanced』の語源。日常会話からビジネス、学術分野まで幅広く使用される。比喩的に『心の平静』なども表す。
- balancing
動名詞または現在分詞。『バランスを取ること』『均衡を保つこと』を意味する。名詞的な用法では『(会計の)貸借対照』を指すことも。文脈によってニュアンスが変化する点に注意。
接頭辞『im-(否定)』が付いた名詞。『不均衡』『アンバランス』を意味する。健康、経済、環境など、様々な分野で『状態の偏り』を表す際に用いられる。balancedの状態が崩れた状態。
反意語
- unbalanced
接頭辞『un-(否定)』が付いた形容詞。『バランスを欠いた』『不安定な』を意味する。精神状態、財政状況、構成要素の比率など、様々な対象に対して用いられる。balancedの直接的な反対語として、最も一般的。
『偏った』『先入観のある』という意味の形容詞。『balanced』が公平性・中立性を意味する文脈において、その対義語となる。例えば、『balanced reporting(公平な報道)』に対して『biased reporting(偏向報道)』のように用いられる。
『不均等な』『平らでない』という意味の形容詞。『balanced』が均整の取れた状態を表すのに対し、『uneven』は物理的な不均一性や、能力・資源などの配分の不均衡を表す。例えば、『uneven distribution(不均等な分配)』のように用いられる。
語源
"balanced"は、動詞"balance"の過去分詞形です。"balance"自体は、古フランス語の"balance"(天秤、釣り合い)に由来し、さらに遡るとラテン語の"bilanx"(二つの皿を持つ天秤)にたどり着きます。"bi-"は「二つの」を意味する接頭辞で、日本語の「二刀流」や「バイリンガル」と同じです。"lanx"は「皿」を意味します。つまり、"balance"の元々の意味は、天秤の二つの皿が釣り合っている状態を指していました。そこから派生して、「均衡を保つ」「釣り合いを取る」といった意味を持つようになり、形容詞"balanced"は「釣り合いの取れた」「均衡の取れた」状態を表すようになりました。例えば、健康的な食生活を"balanced diet"と表現しますが、これは栄養のバランスが取れていることを意味します。
暗記法
「balanced」は単なる均衡ではない。古代ギリシャの正義の女神が持つ天秤に象徴される、倫理と道徳の概念だ。中世では魂と社会の安定を意味し、啓蒙思想では理性と感情の調和を指した。アダム・スミスの「見えざる手」も、需要と供給のバランスが社会を豊かにすると説く。現代ではビジネスや健康にも不可欠。単語の背後には、西洋思想の根幹をなす調和への希求がある。
混同しやすい単語
『balanced』の動詞形であり、名詞としても使われるため、品詞と意味で混同しやすい。『balanced』は形容詞で『バランスの取れた』状態を表すのに対し、『balance』は『バランスを取る』という行為や『釣り合い』そのものを指す。日本人学習者は、文脈に応じて品詞を意識する必要がある。語源的には、ラテン語の『bilanx(二つの皿を持つ天秤)』に由来し、公平さや均衡といった意味合いを含む。
発音の最初の部分が似ており、特にカタカナ英語に慣れていると混同しやすい。『ballad』は『バラード(叙事歌)』という意味で、音楽のジャンルを指すことが多い。綴りも似ているため、視覚的にも誤認しやすい。注意点として、英語の 'a' の発音は日本語の『ア』よりも口を大きく開ける必要がある。語源は古フランス語の『balade(踊りの歌)』に由来する。
発音が似ているため、聞き間違いやすい。特に、語尾の子音を弱く発音する傾向がある日本人学習者は注意が必要。『bald』は『ハゲた』という意味で、全く異なる意味を持つ。発音記号を意識して練習すると良い。古代英語の『beald(白い)』が語源とする説があり、髪の毛が白くなることから転じてハゲを意味するようになったとされる。
『balanced』と語尾の音が似ており、特に早口で話されると聞き取りにくい。『banished』は『追放された』という意味で、動詞『banish』の過去分詞形。意味も全く異なるため、文脈で判断する必要がある。語源は古フランス語の『banir(宣告する)』に由来し、法的な追放を意味する。
スペルが似ており、特に手書きの場合には混同しやすい。『blessed』は『祝福された』という意味で、『balanced』とは意味が大きく異なる。発音も異なり、『blessed』は通常2音節で発音される。語源は古英語の『bletsian(血で印をつける)』に由来し、宗教的な意味合いが強い。
スペルの一部が似ており、特に 'bal' の部分が視覚的に類似している。『bolted』は『ボルトで固定された』、または『急いで逃げた』という意味で使われる。動詞『bolt』の過去形・過去分詞形。意味も文脈も異なるため、注意が必要。語源は古フランス語の『boulon(矢)』に由来し、矢のように素早く動くイメージがある。
誤用例
日本語の『バランスが取れている』を直訳すると『balanced』となりがちですが、形容詞として使う場合、通常は『well-balanced』のように副詞を伴って修飾する必要があります。『balanced』単体では、『バランスが取れている状態』というより、むしろ『釣り合いを保たせるために意図的に調整された』というニュアンスが強くなります。例えば、料理の味付けや、機械の部品調整など、具体的な行為の結果としてバランスが取れている場合に適しています。予算のような抽象的な概念に対して使う場合は、副詞で強調することで、より自然な英語になります。また、決算報告などフォーマルな場では、より客観的な表現として『sound』や『healthy』を用いることもあります。
『balanced personality』は、直訳すると『バランスの取れた性格』となりますが、英語では不自然な表現です。性格を表す場合は、『well-rounded personality』が適切です。これは、様々な経験や知識を持ち、多角的な視点を持っていることを意味します。日本人が『バランスの取れた』という言葉を使うとき、それは『偏りがない』『穏やか』といった意味合いを含むことが多いですが、英語では必ずしも同じニュアンスではありません。『balanced』は、どちらかというと冷静で客観的な判断ができることを指し、性格全体を表現するにはやや限定的です。また、欧米では、個性を尊重する文化があるため、『偏りがない』ことよりも、多様な側面を持つことの方が好まれる傾向があります。そのため、『well-rounded』という表現がよりポジティブな意味合いを持ちます。
日本語の『バランスの取れた視点』を直訳すると『balanced view』となりますが、ニュース報道においては『unbiased view』の方が適切です。『balanced』は、複数の要素が均等に配分されている状態を指しますが、報道においては、客観性や公平性が求められます。『unbiased』は、偏見や先入観がないことを意味し、より中立的な視点を強調します。日本人が『バランスの取れた』という言葉を使うとき、それは『両方の意見を聞いている』という意味合いを含むことが多いですが、英語では必ずしも同じニュアンスではありません。報道においては、単に両方の意見を述べるだけでなく、事実に基づいた客観的な情報を提供することが重要です。そのため、『unbiased』という表現がより適切です。また、『objective』という単語も同様の意味で使えますが、よりフォーマルな印象を与えます。
文化的背景
「balanced」は、単に「釣り合いが取れている」という意味以上の、倫理的、道徳的な意味合いを帯びた言葉として、西洋文化において重要な役割を果たしてきました。古代ギリシャの正義の女神アストライアが持つ天秤のように、公平性、正当性、そして調和のとれた社会秩序を象徴する言葉として、様々な文脈で用いられてきたのです。
中世ヨーロッパにおいては、「balanced」は、個人の内面的な精神の安定と、社会全体の安定を指し示す言葉として、道徳哲学や政治思想の中で重要な概念となりました。例えば、中世の教会では、人間の魂は「理性」「意志」「感情」という3つの要素から構成されており、これらの要素がバランス良く保たれている状態が、神に近づくための理想的な状態だと説かれました。また、政治においては、王権、貴族、民衆という3つの勢力のバランスが、国家の安定のために不可欠であると考えられ、「balanced government(均衡の取れた政府)」という概念が生まれました。この考え方は、後のモンテスキューの三権分立の思想にも影響を与えています。
さらに、18世紀の啓蒙思想の時代になると、「balanced」は、理性と感情の調和、個人の自由と社会の秩序の調和といった、より広範な概念を指し示す言葉として用いられるようになります。当時の知識人たちは、人間の理性と感情は、互いに補完しあい、バランスを取ることで、より良い社会を築くことができると信じていました。また、経済学においては、アダム・スミスが「見えざる手」の概念を提唱し、市場における需要と供給のバランスが、社会全体の富を最大化すると説きました。このように、「balanced」は、啓蒙思想の時代において、社会の進歩と繁栄を支える重要なキーワードとなったのです。
現代においても、「balanced」は、様々な分野で重要な概念として用いられています。例えば、ビジネスにおいては、「balanced scorecard(バランス・スコアカード)」という経営戦略のフレームワークが広く用いられており、財務的な視点だけでなく、顧客、内部プロセス、学習と成長という4つの視点から、企業の業績を評価することが重視されています。また、健康においては、バランスの取れた食生活や適度な運動が、健康的な生活を送るために不可欠であるとされています。このように、「balanced」は、現代社会においても、個人の幸福と社会全体の発展のために、なくてはならない概念として、その重要性を保ち続けています。
試験傾向
準1級・1級の長文読解、語彙問題で出題される可能性あり。1級では英作文のトピックとして「balanced」な視点やアプローチを求められる場合がある。注意点としては、名詞 (balance) との関連性を理解し、文脈に応じた適切な意味を選択する必要がある。
Part 5 (短文穴埋め) や Part 7 (長文読解) で見かけることがある。ビジネスシーンにおける「balanced budget (均衡予算)」「balanced portfolio (分散投資)」などの複合語として登場しやすい。注意点として、文脈から「均衡が取れている」「安定している」といった意味を推測する必要がある。
リーディングセクションで、アカデミックな文章(社会科学、自然科学など)において頻出。グラフや統計データに関する記述で「balanced distribution (均等な分布)」などの形で使われることが多い。ライティングセクションでは、議論の essay において多角的な視点を示す際に有用。注意点として、専門用語との組み合わせを意識し、文脈における正確な意味を把握することが重要。
難関大学の長文読解で出題される可能性あり。社会問題や科学技術に関する文章で、形容詞として「balanced」な状態や意見を表現する際に用いられる。また、動詞「balance」の過去分詞として使われる場合もある。注意点として、文脈から意味を推測する読解力と、関連語句(imbalanceなど)との区別が求められる。