fatigue
第2音節にアクセントがあります。/ə/ は曖昧母音で、日本語の『ア』を弱く発音するイメージです。/iː/ は長母音で、日本語の『イー』よりも長く伸ばします。語尾の /ɡ/ は有声軟口蓋破裂音で、のどの奥を閉じてから息を開放する音です。日本語の『グ』よりも喉を意識して発音するとよりネイティブに近くなります。
専門的な内容に関するご注意
このページには、健康、金融、法律など、専門的な知識を必要とする内容が含まれている可能性があります。本サイトの情報は学習目的で提供されており、専門家による助言の代わりとなるものではありません。重要な判断を行う際には、必ず資格を持つ専門家にご相談ください。
疲労困憊
肉体的、精神的な活動によって生じる極度の疲れ。一時的なものではなく、休息が必要な状態を指す。慢性的な疲労の場合は病的な意味合いも含む。
The long hike up the mountain caused a lot of fatigue.
長い山登りは多くの疲労を引き起こした。
※ この例文は、山を登りきった後、足が重く、息が上がっているような、体全体がへとへとになっている様子を描写しています。「fatigue」が運動などによる「肉体的な疲労」を表す、とても典型的な使い方です。 文法的なポイント:「cause」は「~を引き起こす」という意味で、ここでは「疲労の原因となる」という関係を表しています。「a lot of」は「たくさんの」という意味で、名詞のfatigueを修飾しています。
Long hours of studying can lead to mental fatigue.
長時間の勉強は精神的な疲労につながることがあります。
※ この例文は、夜遅くまで机に向かい、頭がぼーっとしたり、集中力が続かなくなったりする様子を想像させます。「mental fatigue(精神的疲労)」は非常によく使われる組み合わせで、仕事や勉強によるストレスなど、精神的な疲れを指します。 文法的なポイント:「lead to ~」は「~につながる、~を引き起こす」という意味で、何かの結果を説明する際によく使われます。「can」は「~することがある」という可能性を表しています。
She felt extreme fatigue after her long flight.
彼女は長時間のフライトの後、極度の疲労を感じた。
※ この例文は、飛行機を降りた後、体が鉛のように重く、頭がぼーっとする、いわゆる「時差ボケ」のような状態も含む、移動による疲れを表しています。「extreme fatigue(極度の疲労)」のように、形容詞と一緒に使われることで疲労の度合いを表現できます。長距離移動の後の疲れは「fatigue」で表現されることが多いです。 文法的なポイント:「feel」は「~を感じる」という意味で、体調や感情を表す際によく使われます。「after ~」は「~の後で」という時間を表す前置詞句です。
疲れ果てさせる
過度の活動やストレスによって、人や物を疲労困憊の状態にすること。比喩的に、資源や忍耐力を使い果たす意味合いも含む。
The endless meetings began to fatigue the whole team.
延々と続く会議は、チーム全体を疲れさせ始めました。
※ この文では、長時間の会議が参加者全員を精神的にも肉体的にも疲れさせている様子が伝わります。仕事や勉強で、終わりが見えないタスクが人を疲弊させる状況はよくありますね。「begin to fatigue」で、徐々に疲労が蓄積していく様子が表現されています。
Running the marathon will definitely fatigue your legs.
マラソンを走ると、間違いなくあなたの脚は疲れ果てるでしょう。
※ マラソンを走り終えた後、足が鉛のように重く、もう一歩も動かせないほど疲れている情景が目に浮かびますね。スポーツや激しい運動が、体の特定の部分に大きな負担をかけ、極度に疲労させる状況を表す典型的な使い方です。「definitely」は「間違いなく、確実に」という強調の言葉です。
The loud construction noise outside began to fatigue my concentration.
外の大きな工事の騒音は、私の集中力を疲れさせ始めました。
※ 窓の外から聞こえる大きな工事の音で、集中力が途切れ途切れになり、イライラしてくる様子が想像できます。騒音やストレスの多い環境が、精神的な集中力や気力を奪っていく状況で使われます。「concentration」は「集中力」という意味で、頭が疲れて集中できなくなる精神的な疲労を表す際によく使われる表現です。
コロケーション
戦闘疲労、戦争神経症
※ 戦場における極度のストレスや心的外傷によって引き起こされる精神的な疲弊状態を指します。現在ではPTSD(心的外傷後ストレス障害)という診断名が一般的ですが、歴史的な文脈や、戦争体験を語る際に用いられます。単なる肉体的疲労ではなく、精神的な崩壊寸前の状態を表す、非常に重い言葉です。口語よりも、歴史、心理学、医学などの分野で使われることが多いでしょう。
共感疲労
※ 他者の苦しみやトラウマに過度に共感することで生じる、精神的、感情的な疲労状態を指します。医療従事者、ソーシャルワーカー、ジャーナリストなど、苦しんでいる人々と日常的に接する職業の人々によく見られます。単なる同情ではなく、相手の苦しみを自分のことのように感じてしまうことから、燃え尽き症候群(burnout)に似た状態に陥ります。近年、SNSなどを通じて他者の苦しみを目にする機会が増えたことで、一般の人々にも見られるようになっています。
金属疲労
※ 金属が繰り返し応力を受けることで、徐々に強度を失い、最終的に破壊に至る現象を指します。工学、材料科学、機械設計などの分野で用いられる専門用語で、航空機事故や橋梁の崩落などの原因となることがあります。比喩的に、人や組織が長期間にわたるプレッシャーやストレスにさらされることで、徐々に機能不全に陥る状態を表すこともあります。
決定疲れ
※ 多くの決定を連続して行うことで、判断力や意思決定能力が低下する現象を指します。心理学や行動経済学の分野で研究されており、日常生活やビジネスにおける意思決定の質に影響を与えることが指摘されています。例えば、買い物の際に多くの商品から選択を迫られることで、疲れてしまい、衝動買いをしてしまうなどが挙げられます。この疲労は、単に疲れるだけでなく、先延ばし、回避、衝動的な選択につながる可能性があります。
投票疲れ、選挙疲れ
※ 選挙が頻繁に行われることや、政治に対する関心の低下などによって、有権者が投票に行く意欲を失う現象を指します。特に、同じような争点や候補者が繰り返される場合に起こりやすいです。民主主義の根幹を揺るがす問題として、政治学や社会学の分野で研究されています。単なる倦怠感だけでなく、政治に対する不信感や無力感につながることもあります。
慢性疲労症候群
※ 原因不明の激しい疲労が長期間続く疾患を指します。日常生活に支障をきたすほどの疲労感に加え、睡眠障害、集中力低下、筋肉痛など、様々な症状を伴います。医学的な診断名であり、単なる疲れとは異なり、日常生活を送ることが困難になるほどの重篤な状態を指します。原因が特定されていないため、治療法も確立されておらず、患者のQOL(生活の質)を著しく低下させます。
精神疲労
※ 長時間の集中作業やストレスによって引き起こされる精神的な疲労状態を指します。集中力や注意力の低下、イライラ、不安感などを伴います。肉体的な疲労とは異なり、脳のエネルギー消費によって引き起こされると考えられています。現代社会において、情報過多や仕事のプレッシャーなどにより、多くの人が経験する可能性があります。休息やリフレッシュが必要なサインです。
使用シーン
学術論文や研究発表で、実験結果や調査結果を説明する際に使用されます。例えば、材料科学の論文で「金属疲労(metal fatigue)による強度低下」を議論したり、医学論文で「患者の疲労困憊(patient fatigue)の度合い」を評価したりする際に使われます。文語的な表現であり、客観的なデータや分析を示す文脈で頻繁に見られます。
ビジネスシーンでは、プロジェクトの進捗報告や従業員の健康管理に関する文書で使われます。例えば、「プロジェクトチームの疲労(team fatigue)が懸念されるため、休憩時間を増やす」といった提案や、「従業員の疲労度(employee fatigue level)を調査し、改善策を講じる」といった報告書で使用されます。フォーマルな文脈で、問題点や対策を客観的に示す際に用いられます。
日常会話では、直接的な「疲れ」を表現するよりは、やや硬い印象を与えるため、あまり使われません。しかし、ニュース記事や健康に関する情報番組などで、「慢性疲労(chronic fatigue)」や「疲労感(feeling of fatigue)」といった形で使われることがあります。例えば、「慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome)の症状と対策」といった話題で登場します。
関連語
類義語
- weariness
肉体的または精神的な疲労を表す一般的な言葉。日常会話や文学作品など、幅広い場面で使用されます。 【ニュアンスの違い】"fatigue"よりもややフォーマルで、疲労の度合いが比較的軽い場合に使われることが多いです。精神的な疲労にも使えます。 【混同しやすい点】"fatigue"が医学的な文脈で使われることがあるのに対し、"weariness"はより一般的な疲労感を表すため、専門的な場面では使い分けが必要です。
極度の疲労、エネルギーの枯渇状態を指します。身体的、精神的な限界を超えた状態を表すことが多いです。医療や心理学の分野でも使われます。 【ニュアンスの違い】"fatigue"よりも深刻な状態を示し、休息が必要な状態であることを強く示唆します。しばしば、病気や過労の結果として生じます。 【混同しやすい点】"fatigue"が慢性的な疲労を指す場合もあるのに対し、"exhaustion"はより急性で一時的な状態を表すことが多いです。また、"exhaustion"はしばしば原因が特定できる場合に用いられます。
日常的な疲労感を指す最も一般的な言葉。睡眠不足や軽い運動の後など、一時的な疲労を表します。会話で非常によく使われます。 【ニュアンスの違い】"fatigue"よりもカジュアルで、深刻な疲労を意味しません。一時的な疲労や、軽い倦怠感を伝えるのに適しています。 【混同しやすい点】"fatigue"が持続的な疲労や病的な疲労を指すことがあるのに対し、"tiredness"は一時的な疲労感のみを表します。また、"tiredness"は原因が特定しやすいことが多いです。
倦怠感、気だるさ、無気力といった状態を表します。医学的な文脈や文学作品で使われることが多い、ややフォーマルな言葉です。 【ニュアンスの違い】"fatigue"よりも精神的な疲労、特に意欲の低下を強調します。身体的な疲労よりも、精神的なエネルギーの欠如を示唆します。 【混同しやすい点】"fatigue"が身体的な疲労を伴うことが多いのに対し、"lassitude"は必ずしも身体的な疲労を伴いません。また、"lassitude"はしばしば病気の症状として現れます。
無気力、倦怠感、動作の緩慢さを表します。医学的な文脈や心理学の分野でよく使われます。重度の疲労や病気の症状として現れることが多いです。 【ニュアンスの違い】"fatigue"よりも深刻な状態を示し、身体的および精神的な活動の低下を伴います。反応が鈍くなる、集中力がなくなるなどの症状が見られます。 【混同しやすい点】"fatigue"が一般的な疲労を指すのに対し、"lethargy"はより深刻な状態を示唆し、しばしば医学的な原因が疑われます。また、"lethargy"はしばしば客観的に観察できる症状を伴います。
仕事や学業などにおける慢性的なストレスによって引き起こされる、心身の疲弊状態を指します。心理学やビジネスの分野でよく使われます。 【ニュアンスの違い】"fatigue"よりも特定の活動に対する意欲の低下、無力感、達成感の欠如を伴います。長期的なストレスが原因であることが多いです。 【混同しやすい点】"fatigue"が一般的な疲労を指すのに対し、"burnout"は特定の活動に関連した疲労であり、感情的な要素が強く含まれます。また、"burnout"はしばしば自己評価の低下を伴います。
派生語
- fatigued
『疲労した』という意味の形容詞または過去分詞。動詞『fatigue(疲労させる)』が形容詞化し、状態を表す。日常会話で『I'm fatigued』のように使う他、ビジネスシーンでも『fatigued workforce(疲弊した労働力)』のように用いられる。精神的、肉体的な疲労両方に使える。
- fatiguing
『疲労させるような』という意味の形容詞。動詞『fatigue』が現在分詞から形容詞化し、原因・性質を表す。例えば、『a fatiguing task(疲労のたまる作業)』のように使う。学術論文や技術文書では、材料の疲労試験において『fatiguing load(疲労負荷)』という表現で頻繁に登場する。
- nonfatigue
『非疲労』という意味の名詞。接頭辞『non-(非〜)』が付き、疲労がない状態を示す。学術論文や医療分野で、特定の治療法が疲労に与える影響を評価する際に『nonfatigue effects(非疲労効果)』のように使われる。比較的新しい語であり、使用頻度は他の派生語に比べて低い。
反意語
『活力』『エネルギー』という意味の名詞。『fatigue』が疲労によるエネルギーの欠如を表すのに対し、こちらは活動するための根源的な力や意欲を示す。日常会話では『I have a lot of energy today(今日はとても元気だ)』のように使い、学術論文では物理学的なエネルギー概念も表す。
『活力』『精力』という意味の名詞。『fatigue』が体力・気力の低下を意味するのに対し、こちらは健康で力強い状態を表す。特に高齢者の健康状態や、ビジネスにおける企業活動の勢いを表現する際に用いられることが多い。学術的な文脈では、植物の生育状況を評価する際にも使われる。
- invigoration
『元気回復』『活性化』という意味の名詞。接頭辞『in-(〜にする)』と語根『vigor』が組み合わさり、『vigor』の状態にすることを示す。『fatigue』からの回復過程や、組織の活性化策などを議論する際に用いられる。ビジネス文書や学術論文で、疲労軽減策の効果を説明する際に役立つ。
語源
"fatigue」は、フランス語の「fatigue」(疲労、倦怠)から来ており、さらに遡るとラテン語の「fatigare」(疲れさせる、うんざりさせる)に由来します。この「fatigare」は、不確かな起源を持つ言葉ですが、「fatis」(裂け目、ひび割れ)と関連付けられることがあります。つまり、「fatigue」の根本的なイメージは、何かを使い古して、文字通りまたは比喩的に「ひび割れ」を生じさせるような状態を表していると言えるでしょう。日本語で例えるなら、過労で心身が「摩耗」するような感覚に近いかもしれません。金属疲労という言葉があるように、物だけでなく、人の心や体も使いすぎると「fatigue」してしまうのです。
暗記法
「疲労」は、騎士道物語では英雄の証でしたが、現代では自己責任の名のもとに矮小化されがちです。産業革命以降、社会問題となり、印象派の画家たちはその目に見えぬ疲弊を視覚化しました。SNS時代の疲労は、社会構造と深く結びつき、働き方改革が求められる背景に。疲労は単なる休息では癒せない、社会への警鐘であり、生き方を見つめ直す機会なのです。
混同しやすい単語
スペルが似ており、特に語尾の '-tility' の部分が共通しているため、視覚的に混同しやすい。'fatigue' が疲労を意味するのに対し、'fertility' は肥沃さ、繁殖力を意味し、品詞も意味も大きく異なる。日本人学習者は、文脈からどちらの単語が適切かを判断する必要がある。語源的には、'fatigue' はフランス語の 'fatiguer'(疲れさせる)に由来し、'fertility' はラテン語の 'fertilis'(肥沃な)に由来する。
発音が部分的に似ており、特に最初の 'fi-' の部分が共通しているため、発音を聞き間違える可能性がある。また、'figure' は名詞で『姿、形、数字』、動詞で『計算する、考える』といった意味を持ち、'fatigue' とは意味が大きく異なる。日本人学習者は、文脈と品詞に注意して区別する必要がある。'figure' はラテン語の 'figura'(形)に由来する。
語尾の '-fuge' の部分が共通しており、スペルが似ているため混同しやすい。'fatigue' が疲労を意味するのに対し、'refuge' は避難、避難場所を意味し、名詞として使われる。日本人学習者は、単語全体の意味の違いを意識する必要がある。'refuge' はラテン語の 'refugium'(避難場所)に由来する。
最初の 'fet-' の部分のスペルと発音が似ているため、特に注意が必要。'fatigue' が疲労を意味するのに対し、'fetish' はフェティシズム、またはその対象となる物を意味し、意味が全く異なる。日本人学習者は、文脈をよく理解し、意味の混同を避ける必要がある。'fetish' はポルトガル語の 'feitiço'(魔法、魅力)に由来する。
語幹が同じ 'fat-' であるため、意味が関連していると誤解しやすい。'fatigue' が疲労(名詞)または疲れさせる(動詞)を意味するのに対し、'fatten' は太らせるという意味の動詞である。日本人学習者は、品詞と意味の違いを明確に区別する必要がある。'fatten' は古英語の 'fættian'(太らせる)に由来する。
最初の2文字 'fa-' が共通しており、発音が似ているため、聞き間違いやすい。'fatigue' が疲労を意味するのに対し、'fate' は運命を意味する。日本人学習者は、単語全体の意味を理解し、文脈から判断する必要がある。'fate' はラテン語の 'fatum'(神託、運命)に由来する。
誤用例
日本語の「〜について疲れた」という表現に引きずられ、前置詞 "about" を使ってしまう誤用です。 "fatigue" は名詞であり、ここでは "fatigued" (形容詞) を使う必要があります。正しい構文は "feel fatigued by something" で、「〜によって疲労を感じる」という意味になります。英語では、感情や状態の原因を示す場合に "by" がよく用いられます。たとえば、 "I am surprised by the news" (そのニュースに驚いた) なども同様のパターンです。日本語の直訳に頼らず、英語の構文パターンを意識することが重要です。
"fatigue" は名詞であり、一般的に「疲労」という状態を指します。したがって、「疲労がある」という状態を説明する際には、進行形 "experiencing fatigue" を使う方がより自然です。日本語では「疲労がある」と簡単に言えますが、英語では状態の継続や一時的な経験をより明確に表現する傾向があります。また、"had fatigue" は、まるで「疲労」を所有しているかのような印象を与え、不自然に聞こえる可能性があります。より具体的に、"He said he was feeling fatigued, so he went home early." と表現することも可能です。
"fatigue" は主に個人の疲労感を表す言葉であり、物事(この場合は演説)が原因で生じた負担や疲労感を表すのには不適切です。ここでは、演説によって生じた精神的、肉体的負担を表す "strain" を使うのが適切です。日本語では「演説の疲労が声に現れていた」のように表現できますが、英語では原因と結果をより明確に区別します。また、"fatigue" を原因として使う場合、通常は人に対して使われます (e.g., "The fatigue of the journey was evident on their faces.")。
文化的背景
「疲労(fatigue)」は単なる身体的な消耗だけでなく、精神的、感情的な消耗をも含み、現代社会においては、個人の責任や自己実現の追求が強調される一方で、燃え尽き症候群(burnout)や慢性疲労症候群といった形で、社会全体の病理を象徴する言葉としても使われます。中世の騎士道物語においては、英雄が試練を乗り越える過程で疲労困憊する姿が描かれ、その疲労は英雄の強さを示す裏返しとして機能しました。しかし、現代社会における疲労は、自己責任の名の下に放置されがちで、個人の問題として矮小化される傾向があります。
産業革命以降、労働環境の悪化とともに「疲労」は社会問題として顕在化しました。工場労働者の過酷な労働条件は、疲労による事故や健康被害を引き起こし、社会運動や労働法制の整備を促す一因となりました。19世紀末から20世紀初頭にかけての印象派の画家たちは、都市生活の喧騒や疲弊を描き出し、目に見えない疲労感を視覚化しようと試みました。彼らの作品は、近代社会における人間の疎外感や疲労感を表現する手段として、「fatigue」という言葉に新たな意味を付与しました。
現代社会においては、情報過多やストレス、睡眠不足などが複合的に作用し、慢性的な疲労を抱える人々が増加しています。SNSの普及は、常に他者と自己を比較し、承認を求める心理を生み出し、精神的な疲労を増幅させています。「疲労」は、もはや個人の問題ではなく、社会構造や価値観と深く結びついた現象として捉えられるべきでしょう。企業における働き方改革やメンタルヘルス対策の推進は、疲労を軽減し、より持続可能な社会を築くための重要な取り組みです。
近年では、疲労回復を目的とした様々な商品やサービスが開発され、市場を拡大しています。しかし、単なる休息や栄養補給だけでは、根本的な解決には至りません。疲労の原因となっている社会構造や価値観を見直し、個人の心身の健康を尊重する社会を築くことが、真の意味での「疲労からの解放」につながると言えるでしょう。疲労は、私たちに立ち止まり、生き方を見つめ直す機会を与えてくれる、現代社会における重要な警鐘なのです。
試験傾向
準1級・1級の長文読解、語彙問題で出題される可能性あり。疲労、倦怠感という意味の理解に加え、動詞としての使われ方(~を疲労させる)も重要。二次試験の面接で、健康に関する話題が出た際に使える可能性も。ただし、他の試験に比べると、特筆して頻出というわけではない。
Part 5(短文穴埋め問題)、Part 7(長文読解)で登場する可能性がある。ビジネスシーンにおける疲労、過労といった文脈で使われることが多い。類義語(weariness, exhaustionなど)とのニュアンスの違いを理解しておくことが重要。TOEIC Bridgeでは出題頻度は低い。
リーディングセクションで、科学、医学、社会科学などのアカデミックな文章で頻出。研究結果や社会問題に関する文脈で使われることが多い。名詞としての用法だけでなく、動詞としての用法も理解しておく必要がある。類義語との区別も重要。
難関大学の長文読解問題で出題される可能性あり。抽象的な文章や評論で、比喩的な意味合いで使われることもある。文脈から意味を推測する能力が求められる。単語帳だけでなく、長文読解を通して語彙力を強化することが重要。