fall off
落ちる
物理的に何かが高い場所から低い場所へ移動する様子。勢いよく落下するイメージ。
Oh no, a button just fell off my favorite shirt!
ああ、お気に入りのシャツからボタンが取れちゃった!
※ この例文は、お気に入りの服のボタンがポロッと取れてしまい、少しがっかりしている場面を描写しています。「fall off」は、何かが「そこにくっついていた場所から離れて落ちる」という、物理的な分離を伴う状況で非常によく使われます。
Be careful! You might fall off the ladder if you're not steady.
気をつけて!ぐらついたらハシゴから落ちるかもしれないよ。
※ この例文は、高い場所でハシゴに乗っている人に、「危ないから気をつけて!」と注意している場面です。人や動物が「乗り物や高い場所などから落ちる」ときによく使われます。「fall off a bike(自転車から落ちる)」や「fall off a horse(馬から落ちる)」などもこの使い方です。
After the strong wind, some leaves started to fall off the trees.
強い風の後、何枚かの葉っぱが木から落ち始めた。
※ この例文は、嵐の後、風の影響で木から葉が舞い落ちる様子を静かに見ている場面です。自然現象で、木から葉が落ちる、といった場合にも「fall off」が使われます。季節の移り変わりや天候の影響で物が落ちる様子を表すのに適しています。
剥がれる
表面に付着していたものが、自然に、または何らかの力によって分離する様子。ペンキや葉っぱなどが剥がれ落ちる場合に使用される。
Old paint started to fall off the wall in flakes.
古いペンキが壁からポロポロと剥がれ落ち始めた。
※ この例文は、古くなったものが劣化して「剥がれる」様子を伝えます。壁からペンキが、まるで薄い紙のようにペラペラと剥がれていく情景が目に浮かびますね。時間が経って劣化したものや、衝撃で物が元々あった場所から取れて落ちる時に、この「fall off」はよく使われます。「in flakes」は「フレーク状に、ポロポロと」という意味で、剥がれ落ちる様子をさらに具体的に描写しています。
After my sunburn, the skin on my back began to fall off.
日焼けの後、背中の皮が剥がれ始めました。
※ この例文は、日焼けした皮膚が「剥がれる」という、私たちの体で起こる自然な現象を描写しています。夏の強い日差しを浴びた後、背中の皮が薄い膜のように剥がれていく、あの感覚が伝わってきますね。「fall off」は、このように体の一部や自然物が、元々あった場所から自然に分離して落ちる時にも使われる典型的な表現です。「begin to do」は「~し始める」という意味で、初学者にも使いやすい便利なフレーズです。
The old book's cover was so worn out that it started to fall off.
その古い本のカバーはとても傷んでいたので、剥がれてきてしまった。
※ この例文は、大切にしていた古い本がボロボロになり、カバーが本体から離れてしまう、少し切ない瞬間を描いています。使い古したり、破損して、あるべき場所から部分が離れてしまう状況で「fall off」はよく使われます。この文の「so... that...」は「とても~なので…だ」という因果関係を表す便利な表現で、英語学習において非常によく出てきます。
減る
数量や程度が徐々に減少する様子。参加者が減ったり、売り上げが落ちたりする場合などに使う。
The number of visitors to the park started to fall off when winter came.
冬になると、公園への訪問者数が減り始めました。
※ 寒い冬になり、公園を訪れる人がだんだん少なくなっていく情景が目に浮かびますね。このように、人や物の『数』が徐々に減っていく時に『fall off』はとても自然に使われます。お店の客数や売上が減る時にもよく使われる表現です。
After working for hours, my concentration began to fall off.
何時間も作業した後、私の集中力は落ち始めました。
※ デスクで長時間作業をしていて、だんだん頭がぼーっとしてくるような状況が目に浮かびますか?『fall off』は、このように『集中力』や『体力』、『パフォーマンス』など、目に見えない能力や状態が低下する際にも使われます。頑張りすぎて疲れてしまう時にぴったりの表現です。
The popularity of that old song has started to fall off recently.
あの古い歌の人気は、最近減り始めています。
※ 昔は誰もが知っていて、よく耳にしたあの歌も、最近はあまり聞かなくなったな、という感覚に似ていますね。『fall off』は、あるものの『人気』や『関心』、『需要』などが時間とともに衰え、減っていく様子を表すのにも使われます。流行が過ぎ去る様子をイメージすると分かりやすいでしょう。
コロケーション
(比喩的に)急激に悪化する、破滅に向かう
※ 文字通りには「崖から落ちる」ですが、ビジネスや経済の文脈では、急激な売上減少、株価の暴落、あるいはプロジェクトの失敗など、状況が急転直下で悪化することを指します。物理的な落下だけでなく、抽象的な崩壊をイメージさせる表現です。例えば、『The company's profits fell off a cliff after the scandal.(その会社のスキャンダルの後、利益は急落した)』のように使われます。口語でもビジネスシーンでも使われます。
禁酒・禁煙などをやめてしまう、元の悪い習慣に戻る
※ 元々は禁酒運動に由来する表現で、「wagon(荷車)」は禁酒を象徴していました。「荷車から落ちる」ことで、禁酒の誓いを破ることを意味します。現在では、禁酒だけでなく、ダイエットや悪癖を断つことなど、広い意味で使われます。例えば、『He had been sober for five years, but he fell off the wagon last month.(彼は5年間禁酒していたが、先月また飲み始めた)』のように使われます。やや口語的な表現です。
人々の関心から消える、忘れ去られる
※ レーダーから消える様子から、人々の注意や関心から姿を消すことを意味します。プロジェクト、人物、アイデアなどが、注目されなくなり、忘れ去られる状況を表します。例えば、『That band fell off the radar after their first album.(あのバンドは最初のアルバムの後、忘れ去られた)』のように使われます。ビジネスシーンやメディア関連の文脈でよく使われます。
(笑いすぎて)椅子から落ちるほど大笑いする
※ 文字通りの意味の他に、比喩的に「非常に面白い」という意味合いで使われます。驚きや喜びを表すこともあります。必ずしも実際に椅子から落ちる必要はなく、強い感情を表す誇張表現です。『The joke was so funny, I almost fell off my chair.(そのジョークはとても面白くて、椅子から落ちそうになった)』のように使われます。口語的な表現で、ユーモアを交えて話す際に適しています。
予定より遅れる、スケジュールから遅延する
※ プロジェクトやタスクが、当初の予定通りに進まなくなることを指します。ビジネスやプロジェクト管理の文脈でよく使われます。例えば、『The project fell off schedule due to unforeseen circumstances.(予期せぬ事態により、プロジェクトは予定より遅れた)』のように使われます。進捗管理における一般的な表現です。
品質が低下する、質が落ちる
※ 製品、サービス、作品などの品質が以前よりも悪くなることを意味します。改善が見られない状況や、期待外れの結果に対して使われます。例えば、『The restaurant's food has fallen off in quality recently.(そのレストランの料理は最近、質が落ちた)』のように使われます。ビジネスやレビューの文脈でよく使われます。
非常に簡単である
※ 丸太から落ちることほど簡単だ、という比喩表現です。何かをするのが非常に容易であることを強調する際に使われます。英語圏の文化では、バランス感覚があれば丸太から落ちることはない、という認識が背景にあります。『It's so easy, it's like falling off a log.(それはとても簡単で、朝飯前だ)』のように使われます。口語表現です。
使用シーン
学術論文やプレゼンテーションで、データや傾向が減少・低下する様子を説明する際に使われます。例えば、「実験参加者のモチベーションが時間経過とともにfall offする(低下する)」のように、研究結果の考察で用いられることがあります。
ビジネスシーンでは、プロジェクトの進捗状況や売上、顧客満足度などが減少する状況を報告する際に使われます。例えば、「今四半期の売上が予想よりもfall offしている(減少している)」のように、会議や報告書で使われることがあります。フォーマルな文脈では、より丁寧な表現が好まれる場合もあります。
日常会話では、物理的に何かが落ちる、剥がれるといった状況や、比喩的に何かが減退・衰退する状況を表現する際に広く使われます。例えば、「壁のペンキがfall offしている(剥がれている)」、「最近、体重がfall offした(減った)」のように、カジュアルな場面で頻繁に使われます。
関連語
類義語
減少するという意味で、数値、量、程度などが徐々に少なくなることを指します。ビジネス、学術、日常会話など幅広い場面で使用されます。 【ニュアンスの違い】"fall off"よりもフォーマルで、客観的な減少を意味することが多いです。感情的なニュアンスは比較的少ないです。また、"fall off"が予期せぬ減少を意味するのに対し、"decrease"は必ずしもそうとは限りません。 【混同しやすい点】"fall off"は具体的なものが落ちるイメージですが、"decrease"は抽象的な概念の減少を表すことが多いです。例えば、売上や気温など、目に見えないものが減る場合に適しています。
減少、衰退、低下という意味で、数値、品質、健康、人気などが徐々に悪化する状況を表します。ビジネス、学術、フォーマルな会話で使用されることが多いです。 【ニュアンスの違い】"fall off"よりもネガティブなニュアンスが強く、望ましくない減少や衰退を示唆します。また、緩やかな減少や長期的な傾向を表すことが多いです。 【混同しやすい点】"decline"は、一時的な減少ではなく、継続的な悪化を意味することが多い点に注意が必要です。また、丁寧な断りの意味でも使われるため、文脈によって意味が大きく変わります。
落ちる、下がる、減少するという意味で、急激な減少や落下を表します。日常会話からビジネスまで幅広く使用されます。 【ニュアンスの違い】"fall off"よりも急激で、一時的な減少を意味することが多いです。また、意図的な行為によって減少させる場合にも使用されます。 【混同しやすい点】"drop"は他動詞としても使用できるため(例:drop the price)、自動詞の"fall off"とは使い方が異なります。また、具体的なものが落ちるイメージが強いです。
減少する、小さくなるという意味で、徐々に減少していく状態を表します。学術的な文脈やフォーマルな場面で使用されることが多いです。 【ニュアンスの違い】"fall off"よりも抽象的で、目に見えないものが徐々に減少していく様子を表します。また、重要性や価値が薄れるという意味合いも含まれます。 【混同しやすい点】"diminish"は、物理的な大きさだけでなく、抽象的な概念(影響力、重要性など)が減少する場合にも使用できる点が"fall off"と異なります。
急落する、不振に陥るという意味で、経済、株価、業績などが急激に悪化する状況を表します。ビジネスや経済関連のニュースで使用されることが多いです。 【ニュアンスの違い】"fall off"よりもネガティブで、深刻な状況を示唆します。また、一時的な落ち込みではなく、ある程度の期間続く不振を表すことが多いです。 【混同しやすい点】"slump"は、経済やビジネスの分野で特によく使われるため、日常会話では"fall off"の方が自然な場合があります。また、姿勢が崩れるという意味もあります。
衰える、減少するという意味で、力、影響力、月などが徐々に弱まる様子を表します。文学的な表現やフォーマルな場面で使用されることが多いです。 【ニュアンスの違い】"fall off"よりも詩的で、徐々に消えていくようなイメージを与えます。また、抽象的な概念の減少や衰退を表すことが多いです。 【混同しやすい点】"wane"は、日常会話ではあまり使用されず、やや古風な印象を与えることがあります。また、月の満ち欠けを表す際によく使用されます。
派生語
- fallout
『予期せぬ結果』や『放射性降下物』を意味する名詞。『fall off』が文字通り『落ちる』状態から、比喩的に『(計画や行動から)生じる悪い影響』へと意味が発展。特に、原子力事故や政策の結果などを報道する際に頻繁に使用されます。語源的なつながりも明確で、ある事象の結果が『落ちてくる』イメージです。
- falling
『落下』や『減少』を意味する名詞、または形容詞。『fall』の現在分詞形が名詞または形容詞として機能。例えば、『falling prices(下落する価格)』のように使われます。『fall off』が示す『減少』や『脱落』のニュアンスを、状態や傾向として捉える際に用いられます。日常会話から経済ニュースまで幅広く使われます。
『誤りやすい』や『不確実な』という意味の形容詞。『fall(誤る)』という語根に、性質を表す接尾辞『-ible』が付加。人間が完全ではないこと、判断や知識が誤る可能性を持つことを表す際に用いられます。学術的な議論や哲学的な考察でよく見られる語です。人間は誰しも『fallible(誤りやすい)』存在である、という文脈で使われます。
反意語
『くっつく』や『固守する』という意味の動詞。『fall off』が『剥がれ落ちる』イメージなのに対し、『adhere』は表面にしっかりと付着し、離れない状態を示します。契約や信念などを『固守する』という意味でも使われ、ビジネスや法律の文脈で頻出します。物理的な意味だけでなく、抽象的な意味でも対立します。
『上昇する』という意味の動詞。『fall off』が下方への動きを表すのに対し、『ascend』は上方への動きを示します。物理的な上昇だけでなく、地位や名声が向上する意味でも用いられます。ビジネスシーンでの昇進や、学術的な分野での進歩などを表現する際に適しています。比喩的な意味でも明確な対比構造を持ちます。
『上がる』、『立ち上がる』という意味の動詞。『fall off』が減少や脱落を示すのに対し、『rise』は増加や出現を表します。太陽が昇る、株価が上がる、パン生地が膨らむなど、様々な文脈で使用されます。日常会話からビジネスシーンまで、非常に汎用性の高い語です。『fall off』による減少からの回復や、新たな価値の創出を表現する際に対比的に用いられます。
語源
"Fall off"は、比較的単純な構成の句動詞です。"Fall"は古英語の"feallan"(落ちる、倒れる)に由来し、ゲルマン祖語の*fallanan(落ちる)に遡ります。これは、物理的な落下や、比喩的な意味での地位や状態の低下を意味します。"Off"は同じく古英語の"off"に由来し、"離れて"、"分離して"という意味を持ちます。したがって、"fall off"は文字通りには「離れて落ちる」という意味合いを持ち、そこから「(何かに付着していたものが)剥がれ落ちる」、「(状態、数量などが)減少する」といった意味に発展しました。日本語で例えるなら、「ポロリと落ちる」や「ズルズルと減る」といったイメージが近いでしょう。
暗記法
「fall off」は単なる落下に非ず。関係、地位、健康…徐々に失われる何かを暗示する、秋の落葉のような言葉。没落貴族の財産、スキャンダル政治家の支持率低下…社会的な衰退を語るにも使われる。禁酒を破る「fall off the wagon」は、自制心の喪失を象徴的に表現。英語圏では、目に見えぬ喪失や崩壊を、この一言で雄弁に語るのだ。
混同しやすい単語
「fall off」と「fell off」は、前者が原形、後者が過去形であるため、時制によって使い分けが必要です。発音は似ていますが、文脈を理解し、過去の出来事を述べている場合は「fell off」を使う必要があります。例えば、「昨日、自転車から落ちた」は "I fell off my bicycle yesterday." となります。
「fall off」と「fallout」は、どちらも「fall」を含んでいますが、意味は大きく異なります。「fallout」は「(放射性物質の)降下物」「予期せぬ結果、影響」という意味です。例えば、事故後の「放射性降下物」や、決定による「予期せぬ影響」などを指します。文脈から判断することが重要です。
「fall off」と「offal」は、どちらも「off」を含んでいますが、「offal」は「内臓肉、くず肉」という意味です。発音も異なります(offalの 'a' は /æ/ の音)。スペルが似ているため、読み間違いや書き間違いに注意が必要です。食肉に関する話題で出てくることが多い単語です。
「fall off」と「follow」は、スペルが視覚的に似ており、特に「fol-」の部分が共通しているため、混同しやすいです。「follow」は「~についていく、従う」という意味で、発音も異なります。文脈をよく見て、意味の違いを理解することが重要です。また、ソーシャルメディアなどでよく使われる単語でもあります。
「fall off」と「full of」は、どちらも複数の単語で構成されており、発音が似ている場合があります(特に早口の場合)。「full of」は「~でいっぱい」という意味で、例えば「The glass is full of water.(グラスは水でいっぱいだ)」のように使います。文脈から判断し、意味の違いを理解することが大切です。
"fall"と"false"はスペルが似ているため、視覚的に混同しやすいです。"false"は「間違った」「偽の」という意味で、発音も異なります。例えば、"false information(誤った情報)"のように使われます。"fall"と"false"は意味が全く異なるため、文脈から正確に判断する必要があります。
誤用例
『fall off』は、徐々に減少・低下するニュアンスが強く、急激な下落には適していません。日本語の『(株価が)落ちた』という表現を直訳するとfall offを選んでしまいがちですが、急落を表す場合は『plummet』や『tumble』を使う方が適切です。また、『fall off』は、物理的に何かが落ちる、剥がれるといった意味合いも強く、抽象的な概念である株価の変動には、よりフォーマルな『plummet』が文脈に合っています。日本語の『落ちる』は汎用性が高いですが、英語では状況に応じて適切な動詞を選ぶ必要があります。
『fall off』は確かに『興味が薄れる』という意味でも使えますが、この文脈ではやや口語的で、フォーマルな場面や書き言葉には不向きです。より適切なのは『wane』です。『wane』は、月が満ち欠けするように、徐々に減少していく様子を表し、知的で洗練された印象を与えます。日本人は『fall off = 落ちる』というイメージから、興味や関心が『落ちる』という発想でこの表現を選びがちですが、英語では、感情や抽象的な概念の減少には、よりニュアンスの合った動詞を選ぶことが重要です。また、ビジネスの場などでは、婉曲的な表現を好む傾向があり、『wane』のような表現を使うことで、直接的な表現を避けることができます。
『fall off』は自動詞であり、基本的には『from』を伴って『〜から落ちる』という構造を取ります。しかし、『壁からペンキが剥がれ落ちる』という状況では、『from』よりも『off』の方が自然です。これは、『off』が『分離』や『除去』のニュアンスを持つため、壁とペンキが分離した状態を表すのに適しているからです。日本人は『〜の上に』という発想から『on』を選んでしまいがちですが、ここでは『分離』を表す『off』が正解です。また、『fell off from the wall』も文法的には間違いではありませんが、やや冗長に聞こえます。
文化的背景
「fall off」は、物理的な落下だけでなく、関係、地位、健康、規律といった抽象的なものが徐々に衰退・崩壊していく様子を婉曲的に表現する言葉として、英語圏の文化に深く根ざしています。それはまるで、秋に木の葉が静かに舞い落ちるように、避けられない変化や失われる何かを暗示するのです。
特に興味深いのは、このフレーズが社会的な階層や権力の崩壊を語る際に用いられるケースです。例えば、かつて栄華を誇った貴族が没落していく様子を「His family's fortune began to fall off after the war.(彼の家族の財産は戦後、衰退し始めた)」のように表現します。これは、単なる経済的な衰退だけでなく、彼らがかつて持っていた影響力や社会的地位が徐々に失われていく様子を暗示しています。また、政治的なスキャンダルによって支持率が低下する政治家を指して「His support is falling off rapidly.(彼の支持率は急速に低下している)」と言う場合も、同様のニュアンスが含まれます。これらの例は、「fall off」が単なる落下という物理的な現象を超えて、より深刻な喪失や衰退を表す際に用いられることを示しています。
さらに、「fall off the wagon(禁酒を破る)」というイディオムは、個人の自制心の喪失や道徳的な転落を象徴的に表しています。これは、禁酒という困難な道から「落ちる」ことで、再び元の悪い習慣に戻ってしまうことを意味します。この表現は、アルコール依存症に限らず、ダイエットや禁煙など、あらゆる自己改善の努力における挫折を表す際にも用いられます。このように、「fall off」は、個人の意志の弱さや誘惑に対する抵抗力の低下を、具体的なイメージとして捉えやすくする効果があります。
このように、「fall off」は、単なる落下という物理的な現象だけでなく、社会的な地位の喪失、個人の自制心の崩壊など、より複雑な概念を表現するために用いられる多層的な意味を持つフレーズです。英語学習者は、この言葉が持つ文化的背景を理解することで、より深く、そして豊かに英語の世界を理解することができるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に長文読解、語彙問題(同意語選択、空所補充)。リスニングでも稀に出題。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で比較的頻出。2級でも長文読解で可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 幅広いトピックで登場するが、環境問題、健康、テクノロジー関連の話題で特に見られる。例:"The number of bees has been falling off drastically."(ハチの数が激減している)
- 学習者への注意点・アドバイス: 「落ちる」「減少する」という基本的な意味に加え、「(計画などが)頓挫する」「(関係が)悪化する」といった比喩的な意味も理解しておく。類似表現の"decline", "decrease", "drop"とのニュアンスの違いに注意。
- 出題形式: 主にPart 5(短文穴埋め問題)、Part 7(長文読解)。リスニング(Part 2, Part 4)でも状況によっては出題。
- 頻度と級・パート: TOEIC全体で見ると中程度の頻度。Part 7での読解問題でよく見られる。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンでのプロジェクトの遅延、売上減少、顧客離れなどを表す際に使用される。例:"Sales have fallen off since the new competitor entered the market."(新しい競合他社が市場に参入して以来、売上が落ちている)
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネスシーン特有の文脈を理解しておくこと。"fall behind"(遅れる)、"fall through"(失敗する)など、"fall"を含む他の句動詞との混同に注意。
- 出題形式: 主にリーディングセクション(長文読解)。ライティングセクションで使える場合もある。
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章で比較的頻出。科学、社会科学、歴史などの分野でよく見られる。
- 文脈・例題の特徴: 統計データや研究結果の減少、支持率の低下、影響力の低下などを客観的に示す際に使われる。例:"Support for the policy has fallen off significantly in recent polls."(最近の世論調査では、その政策への支持が大幅に低下している)
- 学習者への注意点・アドバイス: フォーマルな文脈での使用を意識すること。"decline", "decrease"などの類義語との使い分けを理解する。グラフや図表と関連付けて出題される可能性もあるため、視覚情報との関連性も意識する。
- 出題形式: 主に長文読解問題。文法・語彙問題で問われる可能性もゼロではない。
- 頻度と級・パート: 難関大学ほど頻出。標準的なレベルの大学でも、幅広いテーマの長文で登場する可能性がある。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、科学技術、歴史など、幅広いテーマで登場する。例:"The quality of education has fallen off in many schools."(多くの学校で教育の質が低下している)
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する力を養うことが重要。"fall"を含む他の句動詞("fall apart", "fall through"など)との区別を明確にする。過去問を分析し、出題傾向を把握することが効果的。