eclipse
第2音節にアクセントがあります。最初の母音 /ɪ/ は日本語の「イ」よりも曖昧で、口を少しだけ開いて発音します。最後の /ps/ は、日本語話者には発音しにくい子音連結です。/p/ を発音する際、息を止めてから、/s/ へスムーズに移行しましょう。/p/ の破裂音を意識しすぎると不自然になるので注意。
衰退
重要性、人気、権力などが徐々に失われること。日食や月食のように、覆い隠されて見えなくなるイメージから派生。
The once-great singer's popularity went into an eclipse after her last album failed.
かつて大人気だったその歌手の人気は、最後のアルバムが失敗してから衰退していった。
※ この例文は、かつて輝いていた人が、ある出来事をきっかけに注目されなくなったり、人気が落ちていったりする様子を描いています。ファンが「あんなに人気だったのに、最近見かけないな…」と寂しさを感じるような場面を想像できます。「went into an eclipse」は「衰退状態に入った」という、とても自然な表現です。
The old local market fell into an eclipse as a big supermarket opened nearby.
その古い地元の市場は、近くに大きなスーパーが開店したことで衰退していった。
※ この例文は、地域に根ざしたものが、新しい強力な競合の出現によって活気を失っていく様子を表しています。昔は人で賑わっていた市場が、今ではシャッターが閉まった店が増え、寂れていく光景が目に浮かびます。「fell into an eclipse」も「衰退状態に陥った」という意味で、自然な言い回しです。
Some critics say that traditional theater arts are facing an eclipse in the digital age.
一部の批評家は、伝統的な演劇芸術がデジタル時代において衰退に直面していると述べている。
※ この例文は、時代の変化とともに、ある文化や芸術がかつての輝きを失い、影が薄くなっていく状況を示しています。スマートフォンやインターネットが普及し、伝統的な舞台芸術になかなか若い世代が目を向けない、といった現代の課題を感じさせる場面です。「facing an eclipse」は「衰退に直面している」という意味で使われ、危機感や切迫感を伴う状況でよく用いられます。
覆い隠す
光や重要性などを遮る、または隠すこと。隠蔽や失墜のニュアンスを含む。日食や月食の現象が語源。
The moon slowly began to eclipse the sun, making the sky darker.
月がゆっくりと太陽を覆い隠し始め、空が暗くなっていった。
※ この例文は、皆既日食や部分日食のように、月が太陽を覆い隠す最も典型的な「eclipse」の使い方を示しています。空が徐々に暗くなる様子は、視覚的に想像しやすく、この単語が持つ「光を遮る」という核心的なイメージを強く印象づけます。特に天体現象について話す際によく使われます。
A tall new building might eclipse the view from our living room.
背の高い新しい建物が、私たちのリビングからの景色を覆い隠してしまうかもしれない。
※ この例文では、「eclipse」が物理的に視界や景色を遮る状況で使われています。新しい建物が建つことで、窓から見えていた景色が隠れてしまうという、日常で起こりうる場面を想像できます。「might」は「〜かもしれない」という可能性を表し、まだ起こっていないことへの心配や懸念を表現しています。
Her amazing performance completely eclipsed everyone else on stage.
彼女の素晴らしいパフォーマンスは、舞台上の他の全員を完全に霞ませた(影が薄く見えた)。
※ ここでは「eclipse」が比喩的に使われています。物理的に何かを覆い隠すのではなく、ある人や物の圧倒的な存在感や能力が、他の人や物の存在感を薄れさせる、つまり「影を薄くする」という意味で使われます。舞台で一人の演者が群を抜いて素晴らしく、他の演者が目立たなくなってしまうような状況をイメージしてください。感情的な「圧倒」を伴う場面でよく使われます。
失墜させる
名声、評判、権力などを徐々に損なうこと。主に受動態で使用され、何らかの要因によって徐々に価値が下がる様子を表す。
The young athlete's amazing speed eclipsed the previous record in the race.
その若い選手の驚くべきスピードは、レースでの以前の記録を塗り替えました。
※ この例文は、スポーツの世界で新しい才能が古い記録を破り、それまでの素晴らしい記録が「影が薄くなる」ような状況を表しています。まるで、新たな輝きが以前の輝きを覆い隠すかのようです。 **ポイント:** 「A eclipses B」で「AがBを凌駕する、影を薄くする」という意味になります。ここでは「若き選手の驚くべき速さ(amazing speed)」が「以前の記録(previous record)」を圧倒しています。
The company's new product quickly eclipsed all competitors in the market.
その会社の新しい製品は、市場のすべての競合製品をあっという間に凌駕しました。
※ ビジネスの場面で、画期的な新製品やサービスが登場し、それまでの競合他社や古い製品が市場で「失墜する」「霞んで見える」ような状況で使われます。新しいものが圧倒的な差を見せつけるイメージです。 **ポイント:** 「new product(新製品)」が「all competitors(全ての競合他社)」を「eclipsed(凌駕した)」という構図です。「quickly」は「あっという間に」という勢いを加えています。
Her brilliant presentation completely eclipsed everyone else's efforts.
彼女の素晴らしいプレゼンテーションは、他の全員の努力を完全に霞ませました。
※ この例文は、個人の能力や功績が、他の人の努力や成果を圧倒し、「影を薄くさせる」ような場面で使われます。例えば、会議での発表や、グループでの活動で、誰かの突出したパフォーマンスが他の人を霞ませる時にぴったりです。 **ポイント:** 「brilliant presentation(素晴らしい発表)」が「everyone else's efforts(他の全員の努力)」を「eclipsed(霞ませた、凌駕した)」という形です。「completely」は「完全に」という意味で、その影響の大きさを強調しています。
コロケーション
皆既日食/月食
※ 「皆既」を表す形容詞 'total' との組み合わせは、天文学的な現象を正確に記述する上で不可欠です。部分的なeclipse(partial eclipse)と区別するために用いられ、太陽や月が完全に覆われる現象を指します。ニュースや科学的な記事で頻繁に見られます。
理性や判断力の喪失、一時的な狂気
※ 比喩的な表現で、理性や良識が一時的に失われる状態を指します。政治的な混乱、社会的な騒動、あるいは個人の突発的な感情的な爆発などを表す際に用いられます。エドマンド・バークがフランス革命を評して用いたことで知られています。やや文学的、あるいは格式ばった文脈で使用されます。
衰退する、人気や重要性を失う
※ 人、物、概念などが徐々に重要性を失い、忘れ去られていく様子を表します。たとえば、「かつて人気を博した俳優がfall into eclipseした」のように使います。天体のeclipseが徐々に暗くなる様子を比喩的に用いた表現で、ビジネスや政治など、幅広い分野で使用されます。
(名声、人気などが)衰える、影を落とす
※ 'suffer' はここでは「経験する、被る」という意味で、名声や人気、権力などが一時的に衰退する状況を指します。例えば、「彼のキャリアはスキャンダルによってsuffer an eclipseを経験した」のように使います。'fall into eclipse' と同様に、徐々に衰退していくニュアンスを持ちますが、'suffer' がつくことで、よりネガティブな影響や苦難が強調されます。
他を圧倒する、抜きん出る
※ 文字通りには「他のすべてをeclipseする」という意味で、ある人物や業績が他のものを圧倒的に上回る、あるいは重要性を凌駕する状況を表します。例えば、「彼の才能は他のすべての選手をeclipseした」のように使います。競争や比較の文脈でよく用いられます。
月食
※ 月のeclipseを指す、科学的にも一般的な表現です。'lunar'は「月の」という意味で、'solar eclipse'(日食)と対比して使われます。天文学やニュース記事で頻繁に用いられ、口語でも理解しやすい表現です。
日食
※ 太陽のeclipseを指す、科学的にも一般的な表現です。'solar'は「太陽の」という意味で、'lunar eclipse'(月食)と対比して使われます。天文学やニュース記事で頻繁に用いられ、口語でも理解しやすい表現です。
使用シーン
学術論文や教科書で、比喩的な意味で使われることが多いです。例えば、ある理論が新しい発見によって「eclipse(覆い隠される)」される、あるいは、ある研究者の業績が他の研究者によって「eclipse(失墜させられる)」といった文脈で使われます。心理学や社会学の研究で、ある傾向が別の要因によって弱まることを説明する際にも用いられます。
ビジネスシーンでは、競争や業績に関連して使われることがあります。例えば、「A社の新製品がB社のシェアをeclipse(奪う)」、「不況により業界全体の成長がeclipse(衰退する)」といったように、市場の変化や企業間の競争を表現する際に使われます。報告書やプレゼンテーションなど、比較的フォーマルな場面で用いられることが多いでしょう。
日常会話で「eclipse」が使われることは稀ですが、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、比喩的な意味で使われることがあります。例えば、「スキャンダルによって政治家の人気がeclipse(失墜する)」、「ある文化がグローバル化によってeclipse(衰退する)」といった文脈で、社会的な現象を説明する際に用いられます。また、日食や月食といった天文現象を指す場合もありますが、これは原義に近い意味合いです。
関連語
類義語
『(光などを)遮る』、『不明瞭にする』という意味。物理的な遮蔽だけでなく、比喩的に理解を妨げる場合にも使う。学術的な文脈やフォーマルな場面でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『eclipse』が完全に覆い隠すイメージなのに対し、『obscure』は部分的に、あるいはぼんやりと不明瞭にするというニュアンスが強い。また、感情や記憶など、抽象的なものを対象とすることが多い。 【混同しやすい点】『obscure』は形容詞としても動詞としても使えるため、文脈によって意味を判断する必要がある。また、『eclipse』が名詞としても動詞としても使われるのに対し、『obscure』は名詞としては稀である。
『(影で)覆う』、『見劣りさせる』という意味。文字通り影で覆う場合と、比喩的に重要性や成功を隠してしまう場合に使われる。ビジネスや政治、個人的な関係など、幅広い場面で使われる。 【ニュアンスの違い】『eclipse』が完全に消し去るようなイメージなのに対し、『overshadow』は、影で覆うことで相対的に重要性を低下させるというニュアンスが強い。主語は、しばしばより強い影響力を持つものや人である。 【混同しやすい点】『overshadow』は他動詞であり、必ず目的語を必要とする。また、過去形・過去分詞形は『overshadowed』となる。比喩的な意味での使用頻度が高く、物理的な影で覆う意味は少ない。
『(光などで)勝る』、『凌駕する』という意味。文字通り光で勝る場合と、比喩的に才能や業績で優れている場合に使われる。競争的な状況や、誰かの優れた点を強調する際に用いられる。 【ニュアンスの違い】『eclipse』が覆い隠して見えなくするのに対し、『outshine』は、より明るく輝くことで相対的に見劣りさせるというニュアンス。ポジティブな意味合いで使用されることが多い。 【混同しやすい点】『outshine』は他動詞であり、目的語が必要。また、過去形・過去分詞形は『outshone』となる。主に比喩的な意味で使用され、物理的な光で勝る意味は少ない。
『(能力や業績などで)上回る』、『凌駕する』という意味。数値的な記録や、抽象的な能力・質などを比較する際に使われる。ビジネスやスポーツ、学術的な文脈でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『eclipse』が完全に覆い隠すイメージなのに対し、『surpass』は、ある基準やレベルを上回るというニュアンスが強い。競争的な状況で、相手を上回るという意味合いで使用されることが多い。 【混同しやすい点】『surpass』は他動詞であり、目的語が必要。状態の変化というより、結果として上回っていることを表す。感情的なニュアンスは比較的少ない。
『(突然)消える』、『見えなくなる』という意味。人や物が物理的に消える場合と、比喩的に希望や機会が消え去る場合に使われる。日常会話から文学作品まで幅広く使われる。 【ニュアンスの違い】『eclipse』が何かによって覆い隠されるのに対し、『vanish』は、何もなく突然消え去るというニュアンス。原因や理由が不明な場合によく用いられる。 【混同しやすい点】『vanish』は自動詞であり、目的語を取らない。他動詞として使う場合は『vanish something』ではなく、『make something vanish』のような形になる。また、徐々に消えていくのではなく、突然消えるという点が重要。
『(火や光などを)消す』という意味。火、光、希望、情熱など、具体的なものから抽象的なものまで幅広く使える。フォーマルな場面や、やや文学的な表現として用いられることが多い。 【ニュアンスの違い】『eclipse』が何かを覆い隠すことで見えなくするのに対し、『extinguish』は、積極的に何かを消滅させるというニュアンス。対象は主に光や火であり、比喩的に希望や情熱を消す場合にも使われる。 【混同しやすい点】『extinguish』は他動詞であり、目的語が必要。自動詞として使う場合は、受動態(例:The fire was extinguished)を用いる。日常会話では『put out』の方が一般的。
派生語
- eclipsing
動詞「eclipse」の現在分詞形であり、形容詞としても機能します。『覆い隠すような』『影を落とすような』という意味合いを持ち、比喩的に『重要性を低下させる』『見劣りさせる』といったニュアンスで用いられます。例えば、『His achievements are eclipsing his rivals.(彼の業績はライバルたちを凌駕している)』のように使われます。
- eclipsed
動詞「eclipse」の過去形・過去分詞形であり、形容詞としても機能します。『覆い隠された』『影に隠れた』という意味合いを持ち、比喩的に『重要性を失った』『見劣りするようになった』といったニュアンスで用いられます。例えば、『His early success was later eclipsed by others.(彼の初期の成功は、後に他の人々に覆い隠された)』のように使われます。
- eclipse glasses
名詞「eclipse」に「glasses(眼鏡)」を組み合わせた複合名詞で、日食を安全に観察するための専用の眼鏡を指します。天文学や科学教育の文脈でよく用いられ、安全な観察方法を説明する際に不可欠な語彙です。
反意語
「eclipse(日食、月食)」が光を遮る現象を指すのに対し、「shine」は光を放つ、輝くという意味を持ちます。比喩的には、「eclipse」が隠蔽や衰退を意味するのに対し、「shine」は成功や才能の発揮を意味します。例えば、「His talent shines brightly.(彼の才能は輝いている)」のように使われます。
「eclipse」が衰退や消滅を暗示するのに対し、「rise」は台頭や出現を意味します。特に、政治や経済の文脈で、ある勢力が「eclipse」される(衰退する)のに対し、別の勢力が「rise」する(台頭する)という対比がよく見られます。例えば、「The rise of China and the eclipse of Western dominance.(中国の台頭と西側諸国の支配の衰退)」のように使われます。
"eclipse" が影に隠れる、重要性が薄れるという意味合いを持つ一方で、"prominence" は目立つこと、重要性を持つことを指します。人の才能や業績、あるいは物事の重要度を議論する際に、対照的な概念として用いられます。"eclipse" が一時的な隠蔽や衰退を示すのに対し、"prominence" は持続的な存在感や影響力を意味します。
語源
「eclipse」は、もともと古代ギリシャ語の「ékleipsis(欠如、見捨てること)」に由来します。これは、「ek-(外へ)」と「leipein(残す、欠ける)」という二つの要素から成り立っています。つまり、文字通りには「外へ欠けていく」という意味合いです。天文学的な現象である日食や月食は、太陽や月が一時的に「欠けていく」ように見えることから、この言葉が用いられるようになりました。比喩的には、名声や権力などが衰退したり、失墜したりする様子を表すようになり、「覆い隠す」「失墜させる」といった意味合いを持つようになりました。何か重要なものが一時的に姿を消したり、弱まったりするイメージとして捉えると、記憶に残りやすいでしょう。
暗記法
日食・月食「eclipse」は、古来より秩序の崩壊や権力の失墜を象徴し、畏怖の念を抱かせる現象でした。古代文明では神の怒りや警告と解釈され、王の死や国の滅亡と結びつけられたのです。文学作品では運命の転換点や不吉な予兆として描かれ、現代では人気や勢いの衰退、社会的不正による存在の隠蔽を意味することも。「eclipse」は天文現象を超え、人間の根源的な関心事と深く結びついた言葉なのです。
混同しやすい単語
『eclipse』と『ellipse』は、発音が非常に似ており、どちらも数学や天文学で使われるため、意味の面でも混同しやすい単語です。『ellipse』は「楕円」という意味の名詞であり、スペルが一文字違いです。日本人学習者は、スペルの違いと、それぞれの単語が使われる文脈に注意する必要があります。ellipse(楕円)の語源は、ギリシャ語のelleipsis(不足)であり、円から少し「不足」している形、つまり押しつぶされた形をイメージすると覚えやすいでしょう。
『eclipse』と『excerpt』は、どちらも比較的長い単語であり、最初の 'ec-' の部分が共通しているため、スペルを見たときに混同しやすいです。『excerpt』は「抜粋」という意味の名詞または動詞で、文章や音楽などから一部を取り出したものを指します。日本人学習者は、単語全体の形と意味をしっかりと区別する必要があります。また、アクセントの位置も異なります(eclipseは二音節目、excerptは一音節目)。
『eclipse』と『collapse』は、語頭の 'co-' と 'e-' の違い、そして 'laps' と 'clips' の部分の視覚的な類似性から、スペルを混同しやすいです。『collapse』は「崩壊する」という意味の動詞または「崩壊」という意味の名詞で、建物や計画などが崩れる様子を表します。日本人学習者は、単語全体の形と意味、特に動詞としての使われ方に注意する必要があります。collapseの語源はラテン語のcollabi(共に滑る)であり、何かが一緒に崩れ落ちるイメージを持つと覚えやすいでしょう。
『exclipsia』という単語は実際には存在しませんが、『eclipse』と接頭辞 'ex-' を組み合わせることで、存在するかのように感じてしまうことがあります。これは、英語学習者が新しい単語を学ぶ際に、既存の単語の知識を誤って応用してしまう典型的な例です。このような誤りを避けるためには、新しい単語を学ぶ際に、必ず辞書や信頼できる情報源で確認することが重要です。また、接頭辞や接尾辞の意味を理解することで、未知の単語の意味を推測する能力を高めることができます。
『eclipse』と『clips』は、スペルの一部が共通しているため、特に速読時やメモを取る際に混同しやすいです。『clips』は「クリップ」という意味の名詞、または「(何かを)クリップで留める」という意味の動詞です。日本人学習者は、単語全体の形と意味、そして文脈から判断する能力を養う必要があります。また、複数形である 'clips' と 'eclipse' の単数形を混同しないように注意が必要です。
『eclipse』と『exile』は、語頭の 'e-' と 'ex-'、そして 'l' の位置が似ているため、スペルを混同しやすいです。『exile』は「追放」という意味の名詞または動詞で、国や故郷から追放されることを指します。日本人学習者は、単語全体の形と意味、特に政治的な文脈で使われることが多いことに注意する必要があります。exileの語源はラテン語のexsilium(国外追放)であり、国から「外へ(ex-)」出されるイメージを持つと覚えやすいでしょう。
誤用例
『eclipse』は日食や月食のように、文字通り『(光を)遮る』という意味合いが強い単語です。比喩的に『重要性や価値を薄れさせる』という意味で使う場合、『overshadow』の方が適切です。日本人が『eclipse』を使いがちなのは、報道などで『日食』という単語に触れる機会が多く、そのイメージから『覆い隠す』という意味で安易に流用してしまうためです。英語では、何かが他のものを完全に覆い隠す場合(物理的な遮断や、完全に忘れ去られる場合など)に『eclipse』を使い、そうでない場合は『overshadow』を使うのが自然です。
『eclipse』は喜びや感情などが完全に消え去るような状況で使われます。ニュースによって喜びが一時的に弱まった、あるいは陰ったというニュアンスであれば、『tempered』(和らげられた、抑制された) がより適切です。日本人が『eclipse』を選んでしまう背景には、『(感情が)かき消される』という日本語表現をそのまま英語に直訳しようとする傾向があります。しかし、英語では感情の変化に対してより繊細な表現を使い分ける必要があり、完全に消滅したわけではない場合は『tempered』のような表現を選ぶことで、より自然な感情の機微を伝えることができます。
『eclipse』は、あるものが他のものを完全に覆い隠し、見えなくしてしまう状況に使われます。業界での成功を表現する場合、他社を完全に消し去ったというよりは、他社を『見劣りさせる』『小さく見せる』という意味合いが強いでしょう。このような場合は、『dwarfed』が適切です。日本人が『eclipse』を使いがちなのは、競争社会において『打ち負かす』というニュアンスを強調したい気持ちが先行し、語源的な意味合い(遮る)を考慮せずに使ってしまうためです。英語では、比喩的な表現においても語源が持つイメージが重要であり、『dwarfed』を使うことで、他社との規模や影響力の差をより適切に表現できます。
文化的背景
「eclipse(日食/月食)」は、古来より人々に畏怖の念を抱かせ、天変地異の前兆や不吉な出来事を象徴するものとして、文化的に深く根付いてきました。それは、太陽や月といった絶対的な存在が一時的に隠される現象であり、秩序の崩壊、権力の失墜、あるいは運命の暗転といったイメージと結びつけられてきたのです。
古代文明において、日食や月食は神々の怒りや警告と解釈されることが多く、王の死や国の滅亡といった重大な出来事と結びつけられました。例えば、古代中国では、日食は天帝が太陽を飲み込む龍によって引き起こされると考えられ、皇帝の不徳を戒める天からのメッセージと解釈されました。そのため、日食の際には、太鼓を叩いたり、騒音を立てたりすることで、龍を追い払おうとする儀式が行われました。また、古代メソポタミアでは、日食は王の身代わりとなる人物を一時的に王位につけ、災厄を肩代わりさせるという儀式が行われることもありました。このように、日食は社会の安定を揺るがす出来事として、様々な形で解釈され、対処されてきたのです。
文学作品においても、「eclipse」は象徴的な意味合いで使用されることがあります。例えば、シェイクスピアの戯曲では、日食や月食はしばしば登場人物の運命の転換点や、物語全体の不吉な予兆として描かれます。また、現代の文学作品においても、「eclipse」は、喪失、絶望、あるいは希望の光が失われる状況を比喩的に表現するために用いられることがあります。例えば、恋人との別れや、夢の挫折といった個人的な経験を、「心のeclipse(eclipse of the heart)」と表現することで、その深い悲しみをより強く伝えることができるのです。
現代社会においても、「eclipse」は、物理的な現象としての意味合いだけでなく、比喩的な意味合いでも広く使用されています。例えば、「彼の人気は、新星の登場によってeclipseされた(eclipsed)」というように、ある人物や物の勢いが衰え、影に隠れてしまう状況を表現するために用いられます。また、「eclipse」は、社会的な不正や差別によって、ある集団が不当に扱われ、その存在が隠蔽されてしまう状況を指すこともあります。このように、「eclipse」は、単なる天文現象を超えて、権力、運命、そして社会的な正義といった、人間の根源的な関心事と深く結びついた言葉として、私たちの文化の中に息づいているのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解。まれにリスニング。
- 頻度と級・パート: 準1級以上で比較的頻出。1級でも見られる。
- 文脈・例題の特徴: 科学、歴史、社会問題など、幅広いトピックで使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞(日食、月食、失墜)と動詞(覆い隠す、失墜させる)の両方の意味を理解すること。比喩的な意味での「失墜」の用法も押さえておく。
- 出題形式: 主にPart 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)。
- 頻度と級・パート: 頻度は中程度。Part 7で契約、市場動向などのビジネス文書で登場することがある。
- 文脈・例題の特徴: ビジネスシーンにおける一時的な衰退、人気や影響力の低下などを表すことが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: ビジネス文脈における「(一時的な)衰退、下火」といった意味合いを理解しておくこと。類義語であるdecline, downturnとの使い分けも意識する。
- 出題形式: リーディングセクションで頻出。
- 頻度と級・パート: アカデミックな文章でよく使われるため、頻度は高い。
- 文脈・例題の特徴: 科学、歴史、政治など、学術的な内容で、比喩的な意味合いで使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞と動詞の両方の用法を理解し、抽象的な概念を説明する文脈でどのように使われるかを把握すること。類義語のobscure, overshadowとのニュアンスの違いを理解する。
- 出題形式: 長文読解で頻出。文脈推測問題、内容一致問題などで問われる。
- 頻度と級・パート: 難関大学ほど頻度が高い。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、科学技術、歴史など、幅広いテーマで登場する。比喩的な意味合いで使われることも多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を推測する練習をすること。比喩的な意味(名声の失墜など)も理解しておくこと。関連語句(eclipsed, eclipsing)も合わせて学習すると効果的。