deserve
第2音節に強勢があります。/ɜːr/ は、口を少し開けて舌を丸めるか、舌先を少し上げる音で、日本語の「アー」とは異なります。「ヴ」は、上の前歯を下唇に軽く当てて発音する有声音です。語尾の /v/ は日本語にない音なので、意識して発音しましょう。
当然の報いを受ける
ふさわしい結果や扱いを受ける、という意味合い。良いことにも悪いことにも使われ、努力や行いの結果として何かが与えられるイメージ。 "You deserve it." は「当然だ」「良いことをしたね」のようなニュアンスで使われる。
He worked tirelessly for years, so he truly deserves this promotion.
彼は何年も休みなく働いたので、この昇進はまさに当然の報いです。
※ オフィスで、長年の努力が実を結び、昇進が決まった同僚の姿を想像してください。周りの人たちも「彼なら当然だ」と納得している様子です。「deserve」は、特に人が努力や貢献をした結果として、良い報いを受けるべきだと強く感じるときによく使われます。この例文では、長年の頑張りが報われる、というポジティブな文脈を示しています。副詞の「truly」を添えることで、「本当に当然だ」という気持ちを強調できます。
She was always unkind to her classmates, so she deserves to feel lonely now.
彼女はいつもクラスメイトに不親切だったので、今寂しく感じるのは当然のことです。
※ 学校の休み時間、周りに誰もいない女の子が一人でいる姿を想像してください。彼女が過去に友達に意地悪をしていたことを知っている人が、「自業自得だ」と感じている場面です。「deserve」は、悪い行いをした人が、その結果として悪い報いを受けるべきだと感じるときにも使われます。この例文では、不親切な態度がもたらした「寂しさ」という結果が、当然の報いであることを示しています。否定的な文脈でも「deserve」はよく使われます。
After running the entire marathon, the runner truly deserves a long, relaxing rest.
マラソンを完走した後、そのランナーは本当に長く、リラックスした休息をとるに値します。
※ ゴールラインを越え、へとへとになりながらも達成感に満ちたランナーが、椅子に座り込んで深く息をついている姿を想像してください。その頑張りを見た人が、「これだけ頑張ったんだから、当然休むべきだ」と感じている場面です。この例文は、大きな努力や達成の後、「当然与えられるべきもの」や「当然享受すべきもの」があると感じる状況で「deserve」が使われる典型例です。単なる「権利」ではなく、「努力に見合った報い」というニュアンスが強いです。「deserves a rest」のように、名詞を目的語にとる形で「〜に値する」「〜を受けるにふさわしい」という意味で使われることも多いです。
価値がある
何かをする、または何かを得るのに十分な価値や資格があるという意味。 "deserve a reward" (報酬に値する)のように使われる。
She worked so hard on this project, so she truly deserves this promotion.
彼女はこのプロジェクトに本当に一生懸命取り組んだので、この昇進は当然の報いです。
※ この例文は、誰かが大変な努力をした結果、良い報いを受けるべきだという状況を表しています。徹夜で資料を作り、何度も修正を重ねた彼女が、ついに昇進を告げられ、心から「よくやったね!」と祝福されているような情景が目に浮かびますね。「deserve」は、その人の行動や努力に対して「ふさわしい、値する」という意味で使われます。ここでは、ポジティブな結果に対して使われています。
If he keeps breaking the rules, he deserves to be punished by the teacher.
もし彼がルールを破り続けるなら、先生に罰せられても当然だ。
※ この例文は、悪い行いに対して「当然の報いを受ける」という状況を示しています。授業中に騒いだり、友達を困らせたりする彼が、ついに先生に厳しく注意され、罰を受けている場面を想像してみてください。「deserve」は良いことだけでなく、このように悪いことやネガティブな結果に対しても使われることがあります。ここでは、彼の行動が罰に値するという意味で使われています。
After such a long and busy week, you truly deserve a relaxing weekend.
こんなに長くて忙しい一週間だったんだから、あなたは心からリラックスできる週末を過ごすに値するよ。
※ この例文は、相手の努力や状況をねぎらい、「当然の休息やご褒美が必要だ」と伝える場面でよく使われます。金曜の夜、疲れて帰ってきた友人や家族に、「本当によく頑張ったね、ゆっくり休んでね」と声をかけるような温かい気持ちが伝わってきます。「deserve」は、相手を気遣い、その人が受けるべきものを肯定する際に非常に自然な表現です。日常会話で相手を労うときにもよく使われます。
コロケーション
評価に値する、称賛されるべき
※ 「credit」はここでは「称賛」「評価」の意味で、良い行いや成果に対して相応の評価を受けるべきだという時に使います。単に「功績がある」だけでなく、「きちんと評価されるべきだ」というニュアンスが含まれます。ビジネスシーンやニュース記事など、フォーマルな場面でよく見られます。例えば、チームの成功を語る際に "The team deserves credit for their hard work."(チームはその努力に対して評価されるべきだ)のように使われます。構文としては、"deserve + 名詞" です。
検討に値する、考慮されるべき
※ 提案や意見などが「検討する価値がある」という意味合いで使われます。単に「検討する」だけでなく、「無視できない重要な要素を含んでいる」というニュアンスを含みます。ビジネスシーンや政治的な議論でよく用いられ、例えば "This proposal deserves serious consideration." (この提案は真剣な検討に値する)のように使われます。構文は "deserve + 名詞" です。
当然の報いを受ける(良い意味でも悪い意味でも)
※ "richly" は「十分に」「当然に」という意味の副詞で、後に続く動詞「deserve」を強調します。良い意味では「十分に報われる」、悪い意味では「当然の報いを受ける」という意味合いになります。例えば、"He richly deserved the award for his outstanding contribution." (彼はその傑出した貢献により、当然賞を受けるべきだった)のように使います。逆に、"He richly deserved his punishment." (彼は当然の罰を受けた) のように悪い意味でも使えます。構文は "副詞 + deserve" です。
もっと良い扱いを受けるべき、もっと良いものがふさわしい
※ 誰かが不当な扱いを受けていると感じるときや、もっと良い状況にいるべきだと考えるときに使われます。「better」はここでは「より良いもの」を指し、その人が受けるべき待遇や状況が現状よりも良いものであるべきだという感情を表します。例えば、"She deserves better than to be treated like that." (彼女はあんな風に扱われるべきではない)のように使われます。感情的なニュアンスを含むことが多く、口語的な表現としてもよく使われます。構文は "deserve + 副詞/形容詞の比較級" です。
お似合いだ(皮肉を込めて、または本当にそう思って)
※ 通常、2人の人物の関係について言及し、彼らが互いにふさわしい相手であることを示します。この表現は、肯定的または否定的な意味合いで使用できます。肯定的な意味で使用する場合、2人が互いに非常に適していることを意味します。否定的な意味で使用する場合、2人が互いに悪影響を与え合っていることを意味します。例えば、"They are both selfish and manipulative; they deserve each other." (彼らはどちらも自己中心的で人を操ろうとする。お似合いだ。)のように使われます。構文は "deserve + each other" です。
休憩する価値がある、一息入れるべき
※ "a break" は「休憩」「息抜き」を意味し、疲労困憊している人や、苦労が報われていない人に「少し休むべきだ」と励ます際に使われます。文字通り休憩を勧めるだけでなく、「頑張ったのだから少しは楽をしてもいい」という慰労のニュアンスが含まれます。例えば、"You've been working so hard; you deserve a break." (あなたはとても頑張ってきたから、休憩する価値がある)のように使われます。構文は "deserve + a/an + 名詞" です。
使用シーン
学術論文やプレゼンテーションで、ある研究や発見が注目に値すると主張する際に使われます。例えば、「この研究は、さらなる調査に値する(deserves further investigation)」のように、研究の意義や重要性を強調する文脈で用いられます。また、過去の研究者が「評価されるべき(deserves recognition)」だったと述べる場合にも使用されます。
ビジネスシーンでは、従業員の昇進や報酬、プロジェクトの成功などを評価する際に、ややフォーマルな表現として使われます。例えば、「彼は昇進に値する(deserves a promotion)」や「このプロジェクトチームは成功報酬に値する(deserves a bonus)」のように、貢献や成果を正当に評価する文脈で用いられます。日常的な会話よりは、人事評価や公式な報告書などで見かけることが多いでしょう。
日常会話では、相手の行動や状況に対して「それは当然だ」というニュアンスで使われることがあります。例えば、友人が良い結果を得た時に「当然だよ、頑張ったんだから(You deserve it, you worked hard)」のように、相手の努力や苦労を認める際に使われます。ただし、直接的な表現なので、状況によっては皮肉に聞こえる可能性もあるため、注意が必要です。ニュースやドキュメンタリーでは、社会的な正義や権利を主張する文脈で、「〜は当然の権利だ(deserves)」という形で使われることがあります。
関連語
類義語
(主に良いことについて)価値がある、ふさわしいという意味で、賞賛、報酬、尊敬などに値する場合に使われる。フォーマルな場面や、やや硬い表現をしたい時に適している。名詞としても用いられる。 【ニュアンスの違い】『deserve』よりも形式ばった表現で、客観的な評価や実績に基づいてふさわしいというニュアンスが強い。感情的な要素は少ない。名詞の『merit』は『功績』『長所』の意味を持つ。 【混同しやすい点】日常会話では『deserve』の方が一般的。『merit』は履歴書や推薦状など、書面で実績をアピールする際に適している。また、『deserve』は悪いことにも使えるが、『merit』は基本的に良いことに対してのみ使う。
(努力や労働によって)得る、稼ぐという意味で、お金、名声、尊敬などを得る場合に用いられる。努力や行動の結果として何かを得るというニュアンスが強い。 【ニュアンスの違い】『deserve』は必ずしも努力を伴わないが、『earn』は努力や行動が前提となる。因果関係がより明確。『earn』は具体的な行動の結果として得られるものに使われることが多い。 【混同しやすい点】『deserve』は権利や資格があるというニュアンスを含むが、『earn』は具体的な行動によって得たというニュアンスが強い。例えば、『He deserves respect』は彼が尊敬されるに値する人物であるという意味だが、『He earned respect』は彼が努力や行動によって尊敬を得たという意味になる。
(行為や状況が)正当化する、必要とするという意味で、ある行為や措置が妥当である場合に用いられる。法的な文脈や、強い必要性を主張する場合に使われることが多い。 【ニュアンスの違い】『deserve』よりも強い意味合いを持ち、正当性や必然性を強調する。『warrant』は、ある行為や措置が倫理的、法的、あるいは論理的に正当であることを示す。 【混同しやすい点】『deserve』は感情的な要素を含むことがあるが、『warrant』はより客観的で論理的な判断に基づいている。『deserve』は人や物に対して使うことができるが、『warrant』は行為や状況に対して使うことが多い。
- be entitled to
〜する権利がある、〜を受け取る資格があるという意味で、権利や資格に基づいて何かを受け取る場合に用いられる。法律、契約、または社会的な規範に基づいて権利を主張する際に適している。 【ニュアンスの違い】『deserve』は必ずしも権利に基づかないが、『be entitled to』は明確な権利や資格が存在する場合に用いる。権利の根拠が重要となる。 【混同しやすい点】『deserve』は漠然とした『ふさわしさ』を表すが、『be entitled to』は具体的な権利や資格に基づいている。『He deserves a reward』は彼が報酬に値するという意味だが、『He is entitled to a reward』は彼が報酬を受け取る権利を持っているという意味になる。
- be worthy of
〜に値する、〜する価値があるという意味で、尊敬、賞賛、注目などに値する場合に使われる。価値や重要性を強調する際に用いられる。ややフォーマルな表現。 【ニュアンスの違い】『deserve』と似た意味を持つが、『be worthy of』はより客観的な価値や重要性を強調する。感情的な要素は少ない。価値判断の基準が明確。 【混同しやすい点】『deserve』は主観的な感情を含むことがあるが、『be worthy of』はより客観的な評価に基づいている。『He deserves praise』は彼が賞賛されるに値するという意味だが、『He is worthy of praise』は彼が客観的に見て賞賛に値するという意味になる。
- merit (verb)
(良いことについて)〜に値する、〜にふさわしいという意味で、賞賛、報酬、尊敬などに値する場合に使われる。フォーマルな場面や、やや硬い表現をしたい時に適している。動詞としての用法は名詞に比べて頻度は低い。 【ニュアンスの違い】『deserve』よりも形式ばった表現で、客観的な評価や実績に基づいてふさわしいというニュアンスが強い。感情的な要素は少ない。動詞の『merit』は、名詞の『merit』が持つ意味合いをそのまま動詞にしたもの。 【混同しやすい点】日常会話では『deserve』の方が一般的。『merit』を動詞として使う場合は、特にフォーマルな文脈であることを意識する必要がある。例えば、『His efforts merit recognition』は彼の努力は認められるに値するという意味。
派生語
- deservedly
『当然ながら』『相応に』という意味の副詞。形容詞『deserved(当然の)』に副詞化の接尾辞『-ly』が付加。良い結果や評価を受けた際に、それが相応しいものであることを強調する際に用いられる。日常会話よりも、ややフォーマルな場面や文章で使われる傾向がある。
- undeserved
接頭辞『un-(否定)』がつき、『当然ではない』『値しない』という意味の形容詞となる。不当な恩恵や評価を受けた状況を表す際に用いられ、しばしば批判的なニュアンスを伴う。日常会話やニュース記事など、幅広い文脈で使用される。
- deserving
現在分詞の形容詞形で、『当然の資格がある』『価値がある』という意味。名詞の前に置いて、その名詞が特定の待遇や評価を受けるに値することを強調する。慈善活動や社会問題に関する議論でよく用いられる。
反意語
『(権利・機会などを)失う』という意味の動詞。『deserve』が何かを得るに値することを意味するのに対し、『forfeit』は何かを失うことを意味し、対照的な状況を表す。競技、法律、契約など、権利や資格が問題となる文脈で特に用いられる。
『(権利・要求などを)放棄する』という意味の動詞。『deserve』が何かを要求する権利があることを前提とするのに対し、『waive』はその権利を自ら放棄することを意味し、対義的な関係にある。法律、ビジネス、交渉などの文脈でよく用いられる。
『欠いている』『不足している』という意味の動詞/名詞。『deserve』があるものを受け取るに値する(十分な資格がある)状態を表すのに対し、『lack』はその資格や価値が不足している状態を示す。例えば、『He deserves praise』と『He lacks the skills』は対照的な意味になる。
語源
"deserve」は、古フランス語の「deservir」(奉仕をやめる、仕える価値がない)に由来します。これは「de-」(分離、否定)と「servir」(奉仕する)から構成されています。「servir」はさらにラテン語の「servire」(仕える)に遡り、「serf」(農奴)や「service」(奉仕)といった単語とも関連があります。元々は「奉仕するのをやめる」という意味合いでしたが、そこから「(何かを)受け取るに値する」という意味へと発展しました。つまり、本来は義務や奉仕からの解放を意味していたものが、時を経て、その行為に見合う報酬や評価を受ける権利を指すようになったのです。例えば、一生懸命働いた人が昇進に「deserve」するのは、まさにその努力が認められ、報われるべきだという考えに基づいています。
暗記法
「deserve」は単に「値する」以上の意味を持つ。中世では身分制度と結びつき、各階級に「ふさわしい」待遇を意味した。文学では、シェイクスピア悲劇の主人公が自業自得の運命を「deserve」するように、人間の業や倫理的秩序と深く関連。現代では個人の努力を評価する言葉だが、社会的不平等も内包。正義、平等、尊厳を問い続ける、重みのある言葉なのだ。
混同しやすい単語
『deserve』とスペルが似ており、先頭の 'de-' と 're-' の違いを見落としやすい。意味は『予約する』『蓄える』などで、文脈によって大きく異なる。発音もアクセントの位置が異なるため(deserveは第2音節、reserveも原則第2音節だが、名詞の場合は第1音節)、注意が必要。接頭辞 're-' は『再び』や『後ろへ』の意味合いを持つことを覚えておくと、reserveの意味を理解しやすい。
『deserve』とスペルが似ており、接頭辞 'dis-' が付いている点に注意が必要。『〜の役に立たない』『〜を害する』という意味で、正反対の意味を持つ。発音も 'dis-' の部分が異なる。接頭辞 'dis-' は否定的な意味合いを持つことを知っておくと、意味を推測しやすくなる。
『deserve』とスペルが似ており、発音もアクセントの位置によって変化するため混同しやすい。『desert』は名詞(砂漠)の場合は第1音節に、動詞(見捨てる)の場合は第2音節にアクセントがある。意味も『砂漠』または『見捨てる』と大きく異なる。動詞の『desert』は、発音に注意して『deserve』と区別する必要がある。
『deserve』とスペルの一部が共通しており、特に末尾の 'solve' の部分が似ているため混同しやすい。『溶ける』『解消する』という意味で、物理的な現象や抽象的な概念を表す。発音も異なるため、スペルだけでなく発音も意識して区別する必要がある。ラテン語の 'solvere'(解く)が語源であることを知っておくと、意味の理解に役立つ。
『deserve』とスペルの一部が共通しており、特に 'serve' の部分が似ているため混同しやすい。『保存する』『維持する』という意味で、食品や文化などを守る意味合いで使用される。発音も異なるため、スペルだけでなく発音も意識して区別する必要がある。接頭辞 'pre-' は『事前に』や『前に』という意味合いを持つことを覚えておくと、preserveの意味を理解しやすい。
『reserve』、『preserve』と同様に、'serve'を含むためスペルが似ていると感じやすい。意味は『観察する』、『遵守する』とdeserveとは全く異なる。発音も異なるため、スペルの一部が似ているからといって混同しないように注意する必要がある。'ob-'は「〜に向かって」という意味があり、観察する対象に注意を向けるイメージ。
誤用例
日本語の『謙虚さを褒められるべきだ』という発想を直訳すると不自然になります。『deserve』は、自分の権利として何かを要求するニュアンスが強く、謙虚さをアピールする文脈には不向きです。英語では、直接的な自己主張を避け、受け身の形で間接的に評価を求めるのが一般的です。例えば、業績をアピールする際も、"I achieved X" よりも "X was achieved" のように表現することがあります。これは、西洋文化における個人主義と、日本文化における謙譲の美徳との違いが表れています。英語では客観的事実を述べ、評価は他者に委ねる方がスマートだと考えられます。
『deserve』は、良い意味でも悪い意味でも『当然の報い』というニュアンスがあります。この文脈では、彼が叱られるのは当然だが、実際には叱らなかった、という対比を強調したいはずです。しかし、単に『当然』と述べるだけでは、その後の行動とのギャップが弱まります。より強い対比を出すには、『warrant(正当な理由がある)』を使うのが適切です。これは、法的な文脈や、強い非難を表す際にも用いられます。また、『refrain』は『差し控える』という意味で、大人の判断を表すフォーマルな語彙です。日本語の『〜だけど、〜しなかった』を安易に but で繋げるのではなく、より洗練された表現を選ぶことで、教養ある大人の英語を表現できます。
プロジェクトの成功を祈る気持ちを込めて『deserve』を使うのは、不自然です。『deserve』は、過去の行いや性質に基づいて評価される場合に適しています。未来の成功を願う文脈では、『likely to succeed(成功しそうか)』のように、可能性や見込みを尋ねる方が適切です。日本語の『〜に値する』という表現を直訳すると、英語のニュアンスとずれることがあります。特に、抽象的な概念(成功、幸福など)に対して『deserve』を使う場合は注意が必要です。英語では、客観的な評価と主観的な願望を区別して表現することが重要です。
文化的背景
「deserve」は、単に「値する」という意味を超え、社会的な正義、倫理的なバランス、そしてしばしばは運命的な調和といった、より深い文化的期待を反映する言葉です。人が何かを「deserve」するとき、それは単なる権利の主張ではなく、宇宙の秩序に対する信頼の表明でもあるのです。
この単語が持つ重みは、歴史的に、社会階層や身分制度が色濃く残る時代に形成されました。中世ヨーロッパでは、身分や家柄によって与えられる権利や義務が厳格に定められており、「deserve」は、それぞれの階級にふさわしい待遇や責任を意味する言葉として頻繁に使われました。例えば、騎士は勇敢さによって名誉を「deserve」し、農民は労働によって収穫を「deserve」するといった具合です。この用法は、社会構造の維持と正当化に貢献する一方で、不平等や差別を固定化する側面も持ち合わせていました。
文学作品における「deserve」の登場は、しばしば人間の業(カルマ)や運命との関係を描き出します。シェイクスピアの悲劇では、主人公たちが自らの行動の結果として、幸福や破滅を「deserve」する姿が描かれます。例えば、『マクベス』のマクベスは、野心と裏切りによって王位を得ますが、最終的には自らの罪によって破滅を「deserve」します。また、ミルトンの『失楽園』では、アダムとイブが神の禁を破った結果として、楽園からの追放を「deserve」するとされます。これらの物語は、「deserve」が単なる報酬や罰ではなく、人間の選択と責任、そして宇宙の倫理的な秩序と深く結びついていることを示唆しています。
現代社会においては、「deserve」は、個人の努力や貢献を評価する言葉として、よりポジティブな意味合いで使用されることが多くなりました。しかし、その背後には、依然として社会的な不平等や機会の不均等といった問題が潜んでいます。例えば、「成功をdeserveする」という表現は、努力や才能を評価する一方で、成功できなかった人々を暗に批判するニュアンスを含んでいることがあります。また、「人種や性別によって差別されるべきではない」という主張は、すべての人々が平等な機会を「deserve」するという倫理的な原則に基づいています。このように、「deserve」は、現代社会においても、正義、平等、そして人間の尊厳といった重要な価値観と深く結びついた言葉として、その意味を問い続けているのです。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解、ライティング(エッセイ)
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。2級でも稀に出題される。ライティングのテーマとしても可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題などアカデミックなテーマで、議論や意見を述べる文脈で使われることが多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「~に値する」という意味に加え、「~されるべきだ」というニュアンスも含むことを理解する。名詞や形容詞を伴う場合の文構造に注意。類義語の'merit'との違いを意識する。
- 出題形式: 主にPart 5(短文穴埋め問題)、Part 6(長文穴埋め問題)、Part 7(読解問題)
- 頻度と級・パート: Part 5, 6, 7 で比較的頻出。特にビジネスシーンを扱った文章でよく見られる。
- 文脈・例題の特徴: 人事評価、顧客対応、プロジェクトの成功など、ビジネスにおける貢献や結果に対する評価を表す文脈で使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 目的語を必要とする他動詞であることに注意。受動態(be deserved)の形でもよく用いられる。 'worthy' との違い(deserve は直接的な報酬や評価を意味することが多い)を理解する。
- 出題形式: 主にリーディング、ライティング(独立型エッセイ)
- 頻度と級・パート: リーディングセクションで頻出。ライティングのテーマとしても出題可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 科学、歴史、社会学など、アカデミックな内容の文章で、貢献や成果に対する正当な評価を主張する文脈で使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 抽象的な概念や理論を説明する際に用いられることが多い。フォーマルな文体で使われるため、口語的な表現は避ける。類義語の 'warrant' との違いを理解する(deserve はより感情的なニュアンスを含むことがある)。
- 出題形式: 主に長文読解、和訳問題、英作文
- 頻度と級・パート: 難関大学の入試で頻出。標準的なレベルの大学でも出題される可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: 社会問題、科学技術、歴史など、幅広いテーマの文章で、努力や貢献に対する当然の報いを意味する文脈で使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 文脈から意味を正確に把握することが重要。特に否定的な文脈で使われる場合(例:does not deserve)の意味を理解する。類義語の 'earn' との違いを意識する(deserve は権利や資格に基づく評価を意味することが多い)。