compunction
第2音節にアクセントがあります。/ʌ/ は日本語の「ア」と「オ」の中間のような音で、口をリラックスさせて発音します。「-ngk-」は、鼻音「ン」の後に喉の奥で破裂する「ク」の音を意識するとより自然です。/ʃ/ は「シュ」と発音しますが、唇を丸めることを意識するとより英語らしい音になります。
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良心の呵責
道徳的・倫理的な観点から「悪いことをした」「悪いことをしようとしている」と感じる心の痛みやためらい。罪悪感よりも、行為を思いとどまらせるような心の葛藤に重点がある。例えば、不正な利益を得ることにcompunctionを感じるといった使い方をする。
He felt a sudden compunction after he told a small lie to his best friend.
親友にちょっとした嘘をついた後、彼は突然良心の呵責を感じた。
※ この例文は、誰かに小さな嘘をついてしまい、心の中で「悪いことをしたな」と後悔している場面です。「a sudden compunction」は「急に良心の呵責を感じる」という、よく使われる自然な表現です。動詞 'tell' の過去形 'told' と、名詞 'lie' の組み合わせに注目しましょう。
He felt compunction about breaking his promise to his little sister.
彼は幼い妹との約束を破ることについて、良心の呵責を感じた。
※ この例文は、大切な妹との約束を破ろうか迷い、心の中で「これは良くないことだ」と葛藤している場面を描いています。「compunction about doing something」の形で、「~することに対する良心の呵責」と表現できます。「breaking a promise」は「約束を破る」という意味で、日常生活でよくある状況です。
She had no compunction about leaving her old cat alone when she moved.
彼女は引っ越しの際、年老いた猫を置き去りにすることに何の良心の呵責も感じなかった。
※ この例文は、誰かの行動に対して、全く罪悪感やためらいがない様子を表しています。この場合、冷酷な印象を与えます。「have no compunction about doing something」は「~することに何の良心の呵責も感じない」という、非常に典型的なフレーズです。「alone」は「一人で、単独で」という意味です。
ためらい
何かをすることに対する躊躇や気が進まない気持ち。必ずしも道徳的な理由からでなくても、リスクや不利益を考慮して生じるためらいにも使われる。例:嘘をつくことに何のcompunctionも感じない(=全くためらわない)。
He felt a compunction when he thought about telling a lie to his kind teacher.
彼は優しい先生に嘘をつくことを考えると、ためらいを感じた。
※ この例文では、何か道徳的に正しくないこと(嘘をつくこと)をしようとした時に、良心が咎めて「ためらう気持ち」が伝わります。`compunction`は、特に「これは良くないことだ」という内面的な感情から生じるためらいに使われます。
She had no compunction about telling her friend the honest truth.
彼女は友達に正直な真実を話すことに、全くためらいがなかった。
※ `no compunction about doing something` は、「~することに全くためらいがない」「悪びれずに~する」という、非常によく使われる表現です。この例文では、たとえ相手にとって厳しい内容でも、正直に伝えることをためらわない強さが描かれています。
He felt a deep compunction after he shouted at his little brother.
彼は幼い弟に怒鳴りつけた後、深い後悔(ためらい)を感じた。
※ この例文では、一度行動してしまった後に「あの時、あんなことをしなければよかった」というような、良心の呵責を伴う「ためらい」や「後悔」の気持ちを表しています。`compunction`は、過去の行動に対しても使われることがあります。
コロケーション
良心の呵責もなく、平然と
※ 「compunction」の意味(良心の呵責、後悔の念)を否定形で強調する、最も直接的なコロケーションです。副詞句として機能し、「he lied without compunction(彼は平然と嘘をついた)」のように動詞を修飾します。道徳的な非難や批判のニュアンスを強く帯びており、フォーマルな文脈や文学作品でよく見られます。類似表現として 'remorselessly' がありますが、'without compunction' はより内面の感情に焦点を当てています。
(~することに)全く良心の呵責を感じない
※ 特定の行為に対する罪悪感の欠如を強調する構文です。「I have no compunction about firing him(彼を解雇することに全く良心の呵責を感じない)」のように使われます。'about' の後には動名詞が続くのが一般的です。倫理的な判断が問われる状況で、その人の決意の強さや冷酷さを表す際に用いられます。類似表現に 'have no qualms about' がありますが、'compunction' はより深刻な道徳的葛藤を暗示します。
(一抹の)良心の呵責を感じる
※ 罪悪感や後悔の念が瞬間的に湧き上がる様子を表します。「pang」は「鋭い痛み」を意味し、罪悪感が一時的であることを示唆します。「She felt a pang of compunction when she saw his disappointed face(彼の失望した顔を見て、彼女は一抹の良心の呵責を感じた)」のように使われます。この表現は、完全に良心を失っているわけではない、人間の複雑な感情を描写する際に効果的です。類似表現に 'feel a twinge of guilt' がありますが、'compunction' はより深い道徳的責任感を示唆します。
良心の問題
※ ある行為や決定が、単なる損得勘定ではなく、倫理的な判断に左右されるべき問題であることを示します。「For him, it was a matter of compunction, not profit(彼にとって、それは利益ではなく良心の問題だった)」のように使われます。この表現は、ビジネスや政治など、倫理観が軽視されがちな場面で、道徳的な立場を明確にする際に有効です。類似表現に 'a matter of conscience' がありますが、'compunction' はより具体的な行為に対する後悔の念を含意します。
良心の呵責にさいなまれる
※ 強い罪悪感や後悔の念に圧倒される状態を表します。「He was overcome with compunction after betraying his friend(友人を裏切った後、彼は良心の呵責にさいなまれた)」のように使われます。この表現は、重大な過ちを犯した人が、その罪悪感から逃れられない苦しみを強調する際に用いられます。文学作品や心理描写において、登場人物の苦悩を深く表現するのに適しています。類似表現に 'wracked with guilt' がありますが、'compunction' はより内面的で静かな苦しみを表します。
道徳的な良心の呵責
※ 道徳的な原則に反した行為に対する罪悪感を明確に示す表現です。「He had no moral compunction about lying to protect his family(彼は家族を守るために嘘をつくことに道徳的な良心の呵責を感じなかった)」のように使われます。この表現は、倫理的なジレンマに直面した際に、個人の道徳観がどのように作用するかを考察する際に有効です。類似表現に 'ethical qualms' がありますが、'compunction' はより個人的な感情に焦点を当てています。
使用シーン
学術論文や倫理学、心理学の講義などで使用されることがあります。例えば、ある研究における倫理的な問題点を議論する際に、「研究者はデータ改ざんに対して良心の呵責を感じなかったのだろうか」という文脈で使われます。また、歴史学の研究で、過去の政策決定者の行動を評価する際に、「彼らは自らの行為に何の良心の呵責も感じていなかったようだ」のように用いられることがあります。
ビジネスシーンでは、倫理規定やコンプライアンスに関する文書、または企業の社会的責任(CSR)に関する報告書などで見かけることがあります。例えば、「不正行為を行った従業員は、後に良心の呵責を感じたと述べている」のように、事件の報告書に記載されることがあります。また、経営者が株主への手紙の中で、「環境保護に対する企業の取り組みは、単なる義務ではなく、良心に基づくものである」と表明するような、ややフォーマルな文脈で使用されます。
日常会話で「compunction」という単語が使われることは非常に稀です。ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、犯罪者の心理状態を分析する際や、倫理的なジレンマを描写する場面で使われることがあります。例えば、「彼は何の良心の呵責もなく嘘をついた」というようなナレーションが流れることがあります。普段の生活では、より平易な言葉(例えば“guilt”や“remorse”)が使われることが一般的です。
関連語
類義語
過去の行為に対する深い後悔や自責の念を表す。罪悪感や道徳的な過ちを犯したという認識が伴うことが多い。日常会話、文学、心理学など幅広い分野で使用される。 【ニュアンスの違い】"Compunction"よりも感情の強度が強く、より深刻な過ちに対する後悔を表すことが多い。また、"remorse"は過去の行為に焦点を当てるのに対し、"compunction"は行為前や行為中のためらいを含む。 【混同しやすい点】"Remorse"は通常、重大な過ちや罪に対する深い後悔を意味するが、"compunction"は必ずしも重大な過ちである必要はなく、道徳的な疑念やためらいを含む場合がある。また、"remorse"は不可算名詞として使われることが多い。
道徳的または倫理的な理由によるためらいや躊躇を表す。良心の呵責に近い意味合いを持ち、特定の行動が正しいかどうか疑念を抱く状況で使用される。フォーマルな場面や文学作品でよく見られる。 【ニュアンスの違い】"Compunction"と非常に近い意味を持つが、"scruple"はより理性的な判断に基づいたためらいを指すことが多い。一方、"compunction"は感情的な側面を含む場合がある。また、"scruple"は特定の行動に対する具体的な疑念を指すことが多い。 【混同しやすい点】"Scruple"は可算名詞としても不可算名詞としても使用できるが、"compunction"は通常不可算名詞として使用される。また、"scruple"はしばしば"have scruples about (doing something)"という形で使われる。
不安や疑念、良心の呵責を表す。特定の行動や決定に対する漠然とした不安感や不快感を伴う。日常会話でよく使用される。 【ニュアンスの違い】"Compunction"よりも感情の強度が弱く、より軽い不安感や疑念を表す。また、"qualm"は具体的な理由がない漠然とした不安感を指すことが多いのに対し、"compunction"は道徳的な理由に基づいたためらいを含む。 【混同しやすい点】"Qualm"はしばしば"have qualms about (doing something)"という形で使われる。また、"qualm"は可算名詞として使われることが多く、"I have no qualms about it"(それについて何の不安もない)のような表現が一般的。
- contrition
罪や過ちに対する深い悲しみと後悔の念を表す。宗教的な文脈や、深刻な過ちを犯した後に使われることが多い。非常にフォーマルな言葉。 【ニュアンスの違い】"Compunction"よりも強い感情を表し、より深い後悔と罪悪感を示す。"Contrition"はしばしば神への許しを求める気持ちと結び付けられる。 【混同しやすい点】"Contrition"は宗教的な意味合いが強く、日常会話ではあまり使われない。また、"contrition"はしばしば"show contrition"(悔悟の念を示す)という形で使われる。
過去の行動や出来事に対する後悔や残念な気持ちを表す。幅広い状況で使用され、日常会話からフォーマルな場面まで対応できる。 【ニュアンスの違い】"Compunction"よりも感情の強度が弱く、より一般的な後悔や残念な気持ちを表す。"Regret"は必ずしも道徳的な過ちを伴う必要はない。 【混同しやすい点】"Regret"は動詞としても名詞としても使用できる。また、"regret (doing something)"(~したことを後悔する)という形で使われることが多い。
他者に対する同情や哀れみの気持ちを表す。不幸な状況にある人や苦しんでいる人に対して抱く感情。 【ニュアンスの違い】"Compunction"は自己の行為に対する後悔であるのに対し、"pity"は他者に対する感情であるという点で大きく異なる。しかし、自己の行為が他者に不幸をもたらした場合、"compunction"と"pity"が同時に生じることがある。 【混同しやすい点】"Pity"はしばしば"take pity on (someone)"(~をかわいそうに思う)という形で使われる。また、"pity"は可算名詞としても不可算名詞としても使用できる。
派生語
- penitent
『後悔している』『悔悛の念を持つ』という意味の形容詞。語源的には『罰を受けるべき』という意味合いがあり、compunction(良心の呵責)を持つ人がどのような状態にあるかを示す。ややフォーマルな文脈や宗教的な文脈で使われることが多い。
- penitence
『後悔』『悔悛』という意味の名詞。penitent(後悔している)という状態を名詞化したもので、compunction(良心の呵責)から生じる感情や行為を表す。こちらもフォーマルな文脈や宗教的な文脈で使われる。
『処罰的な』『刑罰の』という意味の形容詞。compunctionの語源であるpunish(罰する)と関連があり、良心の呵責を感じた結果として生じる罰や制裁を表す。法律や犯罪に関する文脈でよく使われる。
反意語
『無関心』『無感情』という意味。compunction(良心の呵責)が罪悪感や後悔といった感情を伴うのに対し、apathyは感情の欠如を示す。道徳的な問題に対して良心の呵責を感じるか、無関心であるかという対比で使われる。
『無慈悲』『冷酷さ』という意味。compunction(良心の呵責)が他者への配慮や共感から生まれるのに対し、ruthlessnessは他者への思いやりを欠いた行動を指す。ビジネスや政治など、目的達成のために手段を選ばない状況で使われる。
- shamelessness
『恥知らず』『厚かましさ』という意味。compunction(良心の呵責)が恥の意識や罪悪感と関連するのに対し、shamelessnessは恥の意識の欠如を示す。道徳的に非難されるべき行為を平然と行う態度を指す。
語源
「compunction」は、ラテン語の「compungere(強く刺す)」に由来します。これは、「com-(共に、完全に)」と「pungere(刺す)」が組み合わさったものです。「pungere」は、物理的に何かを刺す意味だけでなく、精神的に苦痛を与える、つまり「良心を刺す」という意味合いも持ちます。このイメージが、「compunction」が持つ「良心の呵責」や「ためらい」といった意味につながっています。日本語で例えるなら、針でチクチクと刺されるような心の痛み、あるいは罪悪感からくる心の葛藤を表す言葉として理解できます。何か悪いことをした後に感じる、心の奥底から湧き上がる後悔の念を想像すると、この単語のニュアンスがより深く理解できるでしょう。
暗記法
「良心の呵責」は西洋文化で罪への内なる葛藤を象徴します。キリスト教では罪の意識と悔悛が重要視され、魂の苦悶を意味します。中世では罪の告白が重要で、ダンテの『神曲』では罪と悔悛が描かれ、道徳的教訓を与えます。シェイクスピア作品でも「良心の呵責」は重要で、『マクベス』では罪の重さを示唆します。現代では宗教的な意味合いは薄れましたが、道徳的判断と結びつき、企業倫理や政治倫理が問われる社会で、責任を果たす重要性を示唆します。
混同しやすい単語
『compunction』とスペルが似ており、先頭の接頭辞 'com-' の有無が主な違いです。発音も非常に似ています。『unction』は『油を塗ること』や『(特に臨終の)塗油の儀式』を意味し、宗教的な文脈で使われることが多いです。日本人学習者は、接頭辞の有無に注意し、文脈から意味を判断する必要があります。ラテン語の『ungere(油を塗る)』に由来します。
語尾の '-ption' が共通しているため、スペルから連想して混同される可能性があります。『consumption』は『消費』や『結核』を意味します。意味も文脈も大きく異なるため、注意が必要です。特に医学用語としての『結核』の意味は、日常会話ではあまり使われないため、意識して覚える必要があります。ラテン語の『consumere(使い果たす)』に由来します。
語尾の '-plexion' が共通しており、スペルが似ています。発音も母音の数や位置が似ているため、聞き間違いやすいかもしれません。『complexion』は『顔色』や『肌の色つや』を意味します。意味は全く異なりますが、どちらも人の状態を表す言葉なので、文脈によっては誤解が生じる可能性があります。ラテン語の『complexus(編み込まれたもの)』に由来し、様々な要素が組み合わさって顔色を作っているイメージです。
語尾の '-emption' が共通しており、スペルが似ています。『exemption』は『免除』を意味します。意味は全く異なりますが、どちらも心理的な状態や行動に関連する言葉なので、文脈によっては誤解が生じる可能性があります。例えば、『税金の免除(tax exemption)』のように使われます。ラテン語の『eximere(取り除く)』に由来します。
語尾の '-umption'が共通し、母音の響きが似ているため、発音・スペル両面で混同しやすいです。『assumption』は『仮定』や『前提』を意味します。意味は全く異なりますが、どちらも心理的な状態や思考に関連する言葉なので、文脈によっては誤解が生じる可能性があります。ラテン語の『assumere(引き受ける)』に由来します。
語頭の 'con-' と語尾の '-tion' が共通しており、スペルが似ています。発音も全体的なリズムが似ているため、聞き間違いやすいかもしれません。『conviction』は『確信』や『有罪判決』を意味します。意味は全く異なりますが、どちらも強い感情や信念を表す言葉なので、文脈によっては誤解が生じる可能性があります。ラテン語の『convincere(打ち負かす)』に由来し、自分の意見が正しいと確信して議論で相手を打ち負かすイメージです。
誤用例
多くの日本人は『compunction』を、何か悪いことをした後の『後悔』に近い意味で捉えがちです。しかし、『compunction』は『良心の呵責』や『ためらい』を意味し、行動を抑制する感情を指します。したがって、例文のように『〜しなかった』という文脈では、むしろ『全くcompunctionがなかった(ためらいなく食べた)』とするのが自然です。日本人がつい『後悔』のニュアンスで使ってしまうのは、日本語の『良心』という言葉が、結果としての反省を含む場合があるためでしょう。英語では、行動前の倫理的な迷いを表す言葉として理解する必要があります。
『compunction』は名詞であり、直接『to不定詞』を伴って目的や意図を表すことはありません。日本人がこのような誤りをしやすいのは、『desire to』や『obligation to』といった類似の表現に引きずられるためです。正しくは、『feel a compunction to...』のように、感情や義務感を表す動詞を伴って使用します。また、『compunction』は、良い行いをしたいという気持ちよりも、むしろ『悪いことをしたくない』という抑制的な感情を表すニュアンスが強い点にも注意が必要です。道徳的な義務感から行動するというよりは、良心が痛むから行動を控えるという場合に適切です。
『compunction』は、内面的な感情や良心の呵責を指す言葉であり、公の場で表明する『謝罪』や『後悔』の意味合いは含まれません。政治家が公に謝罪する場面では、『remorse』や『contrition』といった、より外向きの感情を表す単語が適切です。日本人が『compunction』を謝罪の意味で誤用しやすいのは、日本語の『良心の呵責』という言葉が、必ずしも内面的な感情に限定されないためでしょう。英語では、内面の葛藤と、それを外部に表明する行為を明確に区別する必要があります。また、政治家の発言という文脈では、よりフォーマルで重みのある単語を選ぶことが重要です。
文化的背景
「compunction(良心の呵責)」は、西洋文化において、罪や不正行為に対する内面の葛藤、道徳的責任感の象徴として深く根ざしています。特にキリスト教文化圏では、神の存在を意識する中で、罪の意識と悔悛の念が重要な要素となり、「compunction」は単なる後悔を超えた、魂の苦悶を伴う感情を表す言葉として用いられてきました。
中世ヨーロッパにおいて、罪の告白は信仰生活の中心的な行為であり、「compunction」は告解者が真摯に罪を悔い改める際に経験する感情として重要視されました。ダンテの『神曲』では、地獄、煉獄、天国を巡る中で、登場人物たちが様々な罪の形とそれに対する「compunction」の必要性を体現しています。罪を犯した者が、自己の行為を深く悔い、神の赦しを求める過程は、「compunction」を通して描かれ、読者に道徳的な教訓を与えます。
シェイクスピアの作品においても、「compunction」は重要な役割を果たしています。例えば、『マクベス』において、マクベスは王を暗殺した後、良心の呵責に苛まれ、精神的に崩壊していきます。彼の「compunction」は、罪の重さと、それから逃れることの難しさを示唆し、観客に人間の内面の葛藤を描き出します。また、『ハムレット』においても、クローディアスの罪に対する「compunction」は、物語の展開に大きな影響を与え、復讐劇の背景にある道徳的な問題を浮き彫りにします。
現代においては、「compunction」は必ずしも宗教的な意味合いを持つとは限りませんが、依然として道徳的な判断や倫理的なジレンマと深く結びついています。企業倫理や政治倫理が問われる現代社会において、「compunction」は、個人や組織が自己の行為を反省し、責任を果たすことの重要性を示唆する言葉として、その意義を保ち続けています。良心の呵責を感じることは、人間が道徳的な存在であり続けるための必要条件であり、「compunction」は、私たちがより良い社会を築くための羅針盤となるでしょう。
試験傾向
この単語が直接問われることは稀ですが、準1級以上の長文読解で、より難しい文章を理解するために知っておくと役立つ可能性があります。文脈から意味を推測する練習が有効です。
TOEICでは、直接的な語彙問題で「compunction」が出題される可能性は低いですが、ビジネス関連の文章において、間接的に文章全体の理解を深めるために役立つことがあります。
TOEFLのリーディングセクションでは、アカデミックな文章で「compunction」が使用される可能性があります。意味を正確に理解し、文脈の中でどのように機能するかを把握することが重要です。
大学受験レベルでは、難関大学の長文読解で出題される可能性があります。文脈から意味を推測する能力と、類義語・反意語に関する知識が求められます。