appetite
第一音節に強勢があります。/æ/ は日本語の「ア」と「エ」の中間のような音で、口を大きく開けて発音します。/ɪ/ は日本語の「イ」よりも曖昧で短い音です。最後の /t/ は、文脈によっては息を止めるだけで発音しないこともあります(内破音)。最後の「トゥ」は聞こえるか聞こえないか程度の弱さで発音するのが自然です。
専門的な内容に関するご注意
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食欲
食べ物への欲求。空腹感だけでなく、美味しいものを食べたいという欲求や、特定の食べ物を欲する気持ちも含む。比喩的に、知識や経験などに対する強い欲求を表すこともある。
After a long walk, I had a big appetite for dinner.
長い散歩の後、私は夕食に対する大きな食欲がありました。
※ 【情景】長い散歩から帰ってきたばかりのあなたが、お腹を空かせている様子が目に浮かびますね。運動したり、体を動かしたりした後に「お腹が空いた!」と感じることはよくあります。この例文は、そんな時の「旺盛な食欲」をシンプルに表しています。 【ヒント】「have a big/good appetite」で「食欲がある」という意味になります。「for dinner」のように「何に対する食欲か」を付け加えることもできます。
When I had a fever, I completely lost my appetite.
熱があった時、私は完全に食欲をなくしました。
※ 【情景】熱で体がだるく、何も食べたいと思わない、食欲不振のあなた。体調が悪いと、普段は好きな食べ物でも、なかなか口にする気になれないことがありますよね。この例文は、病気で食欲がなくなる典型的な状況を描写しています。 【ヒント】「lose one's appetite」で「食欲をなくす」という意味で非常によく使われる表現です。「completely」は「完全に」という強調の言葉です。
The delicious smell of freshly baked bread gave me an appetite.
焼きたてのパンの美味しそうな匂いが、私に食欲を与えました(食欲をそそりました)。
※ 【情景】パン屋さんの前を通りかかったり、家でパンを焼いたりして、いい匂いが漂ってきて、思わずお腹が鳴りそうになるあなた。美味しい匂いを嗅ぐと、急にお腹が空いてくることはよくありますよね。この例文は、五感(嗅覚)が食欲を刺激する、非常に自然な状況を描いています。 【ヒント】「give someone an appetite」で「(誰かに)食欲を与える、食欲をそそる」という意味でよく使われるフレーズです。
意欲
何かを成し遂げたい、または経験したいという強い願望。食欲と同様に、満たされることを求める強い欲求を表す。
After a long break, he suddenly felt a strong appetite for learning English again.
長い休憩の後、彼は再び英語を学ぶ強い意欲を突然感じました。
※ この例文は、仕事や子育てで忙しかった大人が、ふと「もう一度何か学びたい!」と感じる瞬間の情景を描いています。「appetite for learning」は「学ぶ意欲」として非常によく使われる表現で、特に一度中断した後に再び意欲が湧いてきた、という状況にぴったりです。何か新しいことを始める際のワクワクした気持ちが伝わってきますね。
After working long hours, she lost her appetite for creative projects.
長時間労働の後、彼女は創造的なプロジェクトへの意欲を失いました。
※ 毎日同じことの繰り返しや過労で、かつて好きだったことへの情熱が薄れていく、という少し悲しい状況を描写しています。「lose one's appetite for X」は「Xへの意欲を失う」という、これも非常によく使われるフレーズです。仕事や趣味など、何かに疲れてやる気がなくなってしまった時に使えます。
The young athlete has a huge appetite for winning and always trains hard.
その若いアスリートは勝利への強い意欲があり、常に懸命に練習しています。
※ この例文は、若いアスリートが優勝を目指して厳しい練習に打ち込む、情熱的で力強い姿をイメージさせます。「have a huge/strong appetite for X」は、「Xへの非常に強い意欲がある」と表現する際に使われます。「huge」は「とても大きい」というニュアンスを強調し、その意欲が行動に繋がっている様子がよくわかります。
好み
特定の物事に対する好みや嗜好。例えば、'an appetite for adventure'(冒険好き)のように使われる。
My grandpa, at 75, still has a strong appetite for learning new things from books.
私の祖父は75歳ですが、いまだに本から新しいことを学ぶことへの強い意欲を持っています。
※ この例文では、75歳のおじいさんが熱心に本を読んでいる姿が目に浮かびますね。「appetite for learning」は「学習意欲」や「知的好奇心」を表す定番の言い回しです。「食欲」のように何かを「強く求める気持ち」が「好み」という言葉に込められています。
After graduating, my friend felt a huge appetite for travel and exploring the world.
卒業後、私の友人は旅行や世界を探検することへの大きな意欲を感じました。
※ 卒業して、新しい世界に飛び出したいとワクワクしている友人の姿が想像できます。「huge appetite for travel and exploring」は、「旅への旺盛な意欲」や「世界を探求したいという強い願望」を表現しています。未来への期待に胸を膨らませた気持ちが伝わりますね。
The audience showed a big appetite for more details about the mysterious story.
聴衆はその謎の物語のさらなる詳細について、大きな関心を示しました。
※ 講演会やミステリー小説の朗読会などで、聴衆が身を乗り出して話の続きを待っている様子が目に浮かびますね。「big appetite for details」は、「もっと知りたいという強い欲求」や「旺盛な好奇心」を表します。特にニュースや情報に対して使われることが多い表現です。
コロケーション
旺盛な食欲、健康的な食欲
※ 文字通り「健康な食欲」ですが、単にたくさん食べるだけでなく、体が欲するものをバランス良く食べられる状態を指します。子供や成長期の若者、運動をする人など、エネルギーを必要とする人に使われることが多い表現です。また、比喩的に「意欲的な姿勢」「物事に対する積極性」を表すこともあります。例えば、"He has a healthy appetite for learning."(彼は学習意欲が旺盛だ)のように使われます。
食欲をなくす、食欲不振になる
※ 病気やストレス、悲しみなどで食欲がなくなる状態を表します。一時的な食欲不振だけでなく、慢性的な食欲不振にも使われます。"She lost her appetite after hearing the bad news."(彼女は悪い知らせを聞いてから食欲をなくした)のように使われます。類義語に"have a poor appetite"がありますが、こちらは元々食が細い体質を表すニュアンスが強いです。
人の食欲をそそる、人の興味をかき立てる
※ "whet"は「研ぐ」という意味の動詞で、比喩的に「刺激する」「高める」という意味を持ちます。料理の香りが食欲をそそる場合や、予告編を見て映画への期待が高まる場合などに使われます。"The delicious aroma whetted my appetite."(その美味しい香りが私の食欲をそそった)のように使われます。ビジネスシーンでは、新製品の発表などが顧客の購買意欲を刺激する際に使われることもあります。
貪欲な食欲、飽くなき欲求
※ "voracious"は「貪欲な」「食いしん坊の」という意味の形容詞で、非常に強い食欲を表します。文字通り食欲だけでなく、知識欲や性欲など、あらゆる欲求に対して使われます。"He has a voracious appetite for books."(彼は本に対する貪欲な欲求を持っている)のように使われます。ややネガティブなニュアンスを含むこともあります。
食欲を抑える、欲求を抑制する
※ "curb"は「抑制する」「制限する」という意味の動詞で、過剰な食欲や欲求をコントロールすることを意味します。ダイエット中や節制が必要な場合に用いられます。"I'm trying to curb my appetite for sweets."(私は甘いものへの欲求を抑えようとしている)のように使われます。比喩的に、衝動的な行動を抑える意味でも使われます。
増大する食欲、高まる欲求
※ "growing"は「成長する」「増大する」という意味の形容詞で、徐々に食欲や欲求が高まっていく様子を表します。子供の成長や、ある分野への興味が深まるにつれて、その対象への欲求が増していく状況などに使われます。"The company has a growing appetite for overseas expansion."(その会社は海外展開への欲求が高まっている)のように使われます。
食欲を満たす、欲求を満たす
※ "satisfy"は「満たす」「満足させる」という意味の動詞で、空腹を満たしたり、欲求を満たして満足感を得ることを表します。美味しい食事で食欲を満たす場合や、目標を達成して満足感を得る場合などに使われます。"A good meal satisfied my appetite."(美味しい食事で私の食欲は満たされた)のように使われます。比喩的に、好奇心や知識欲を満たす意味でも使われます。
使用シーン
学術論文では、研究対象の性質や傾向を説明する際に使われます。例えば、心理学の論文で「被験者はリスクに対するappetite(意欲)が高い」のように、統計データに基づいた客観的な記述で用いられます。文語的な表現です。
ビジネスシーンでは、市場の動向や顧客のニーズを分析する際に使われます。例えば、「投資家のリスクに対するappetite(意欲)は高まっている」のように、経済レポートやプレゼンテーション資料で、フォーマルな文脈で使用されます。経営戦略を語る上で、教養ある表現として役立ちます。
日常会話では、食欲の意味で使われることは少ないですが、比喩的に「〜に対する強い欲求や興味」を表すことがあります。例えば、「彼は新しいことに挑戦するappetite(意欲)が旺盛だ」のように、ニュース記事やドキュメンタリーで、人の性格や行動を説明する際に用いられることがあります。
関連語
類義語
生理的な欲求としての『飢え』を指し、主に食べ物に対する強い欲求を表します。日常会話で頻繁に使われます。 【ニュアンスの違い】"appetite"よりも直接的で、より強い、基本的な食欲を意味します。単に食べたいという気持ちだけでなく、空腹感や飢餓感を含みます。 【混同しやすい点】"appetite"が特定の食べ物や経験に対する欲求も含むのに対し、"hunger"は一般的に食べ物がない状態からくる欲求に限定されます。比喩的な意味合いは"appetite"の方が広いです。
何かを強く『望む』という意味で、食べ物に限らず、抽象的な願望や性的な欲求など、幅広い対象に使われます。日常会話から文学まで、様々な文脈で使用されます。 【ニュアンスの違い】"appetite"よりも広範で、必ずしも生理的な欲求に限定されません。より強い感情や願望を伴うことが多いです。 【混同しやすい点】"appetite"が具体的な対象(特定の料理など)に対する欲求を指すことが多いのに対し、"desire"は抽象的な概念(成功、幸福など)にも使われます。また、性的欲求の意味合いで使用される頻度も"desire"の方が高いです。
何かを『無性に食べたくなる』という、強い欲求を表します。特定の食べ物や物質(タバコなど)に対する強い渇望を意味することが多いです。日常会話でよく使われます。 【ニュアンスの違い】"appetite"よりも強い感情を伴い、コントロールが難しい欲求を表します。衝動的なニュアンスが含まれます。 【混同しやすい点】"appetite"が比較的穏やかな食欲を指すのに対し、"craving"は中毒的な欲求や、特定の食べ物に対する非常に強い欲求を表します。我慢するのが難しいニュアンスを含みます。
『味覚』や『好み』という意味で、食べ物や芸術、ライフスタイルなどに対する個人的な好みを指します。日常会話や芸術批評などで使われます。 【ニュアンスの違い】"appetite"が食欲そのものを指すのに対し、"taste"は好みの問題であり、必ずしも食欲を伴うとは限りません。美的感覚や嗜好に関連します。 【混同しやすい点】"appetite"が可算名詞として「食欲」という意味で使われるのに対し、"taste"は不可算名詞として「好み」という意味で使われることが多いです。また、「味」という意味もあります。
『傾向』や『好み』という意味で、特定の行動や考え方に対する好意的な傾向を指します。学術的な文脈や、ややフォーマルな場面で使用されます。 【ニュアンスの違い】"appetite"が具体的な欲求を指すのに対し、"inclination"はより抽象的な、潜在的な傾向や好みを表します。行動や思考のパターンに関連します。 【混同しやすい点】"appetite"が主に生理的な欲求に関連するのに対し、"inclination"は性格や習慣、心理的な傾向に関連します。食べ物以外のものに対する興味や関心を表す場合に適しています。
『味覚』や『嗜好』、特に洗練された味覚を指します。ワインや料理の評価など、グルメ関連の文脈でよく使われます。 【ニュアンスの違い】"appetite"が一般的な食欲を指すのに対し、"palate"は訓練された、または特別な味覚を意味します。高級な食べ物や飲み物に対する嗜好に関連します。 【混同しやすい点】"appetite"が量的な欲求(たくさん食べたい)を表すことがあるのに対し、"palate"は質的な欲求(美味しいものを食べたい)を表します。また、"palate"は「口蓋」という意味も持ちます。
派生語
- appetizing
『食欲をそそる』という意味の形容詞。『appetite』に『〜のような性質を持つ』という意味の接尾辞『-izing』が付加され、食欲を刺激するような性質を表す。食品の広告やレストランのメニューなどで頻繁に使用される。
『食欲をそそるもの』、特に『前菜』を意味する名詞。『appetite』に『〜する人/もの』という意味の接尾辞『-er』が付加され、食欲を刺激する役割を持つものを指す。レストランのメニューや料理関連の記事でよく見られる。
- appetitive
『欲求の』、『食欲に関する』という意味の形容詞。『appetite』に『〜の性質を持つ』という意味の接尾辞『-itive』が付加され、欲求や食欲に関連する性質を表す。心理学や生物学などの学術的な文脈で使用されることが多い。
反意語
- satiety
『満腹』、『飽満』という意味の名詞。『appetite』が食欲や欲求を指すのに対し、『satiety』はそれらが満たされた状態を表す。生理学や栄養学の分野で、食欲の抑制や満腹感の研究において使用される。比喩的に、欲求が満たされた状態を表すこともある。
『嫌悪』、『反感』という意味の名詞または動詞。『appetite』が何かを求める欲求であるのに対し、『disgust』はそれを拒絶する感情を表す。食品に対してだけでなく、道徳的な嫌悪感など、幅広い対象に対して使用される。日常会話でも頻繁に使われる。
『嫌悪感』、『反感』という意味の名詞。『appetite』が何かを求める積極的な欲求であるのに対し、『aversion』はそれを避ける消極的な感情を表す。特定の食品、行動、または状況に対する強い嫌悪感を示す際に使用される。心理学や行動学の分野でも用いられる。
語源
"Appetite"(食欲、意欲)は、ラテン語の"appetitus"(強い欲望、欲求)に由来します。これは"ad-"(~へ)と"petere"(求める、向かう)という二つの要素から構成されています。つまり、文字通りには「~へ向かって求める」という意味合いです。日本語で例えるなら、「食欲」は文字通り食べ物を「求める」意欲であり、「意欲」は目標や達成を「求める」気持ちと言えるでしょう。"Petere"は、英語の"petition"(請願)や"compete"(競争する)といった単語にも見られ、「何かを求める」という核となる意味が共通しています。"Appetite"は、単に生理的な欲求だけでなく、目標達成への意欲や知的好奇心など、より広い意味での「何かを求める強い気持ち」を表す言葉として理解できます。
暗記法
「食欲 appetite」は単なる腹を満たす行為を超え、文化の鏡。中世では罪深き欲望の象徴でしたが、ルネサンス期には生命力と創造性の源泉に。シェイクスピア劇では、権力欲や野心の隠喩として登場人物の性格を際立たせます。19世紀小説では、食卓の描写が社会階層を映し出すことも。現代では知識欲や冒険心など、広義の欲求を指し、消費社会のダイナミズムを象徴する言葉として、私たちの欲望を刺激し続けています。
混同しやすい単語
『appetite』と『aptitude』は、どちらも名詞で、最初の音が似ているため、特に発音に注意が必要です。『aptitude』は『(学習)能力、適性』という意味で、才能や潜在能力を指します。綴りも似ていますが、意味が大きく異なるため、文脈で判断する必要があります。日本人学習者は、/æp/ の音の後の子音クラスターに注意して発音練習をすると良いでしょう。
『appetite』と『opposite』は、最初の母音と子音(ap/op)が入れ替わっているため、発音の際に混同しやすいです。『opposite』は『反対の』という意味の形容詞または名詞で、文脈も大きく異なります。また、『appetite』は名詞ですが、『opposite』は形容詞や名詞としても使われる点も異なります。単語の頭の音を意識して区別するようにしましょう。
『appetite』と『apply』は、最初の 'app-' の部分が共通しているため、スペルと発音が似ていて混同されることがあります。『apply』は『申し込む、適用する』という意味の動詞で、品詞が異なります。特に、動詞の活用形(applied, applyingなど)が出てきた場合、スペルの類似性から誤って認識してしまう可能性があります。文脈から品詞を判断することが重要です。
『appetite』と『repeat』は、直接的なスペルや発音の類似性はありませんが、『repeat』をリピートとカタカナ英語で覚えている場合、語感の類似性から混乱する可能性があります。『repeat』は『繰り返す』という意味の動詞で、発音もアクセントの位置も異なります。カタカナ語に頼らず、正しい発音と意味を覚えることが大切です。
『appetite』と『apple』は、最初の 'app' の部分が共通しており、どちらも日常的な単語であるため、混同される可能性があります。『apple』は『りんご』という意味の名詞で、意味も全く異なります。特に、初心者の学習者は、基本的な単語ほど注意深く発音とスペルを確認することが重要です。
『appetite』と『appropriate』は、両方とも先頭が 'app' で始まるため、スペルが似ていると感じられることがあります。『appropriate』は『適切な』という意味の形容詞または『充当する』という意味の動詞であり、品詞と意味が異なります。発音も異なりますが、スペルの類似性から混同しやすいので、文脈で判断することが重要です。
誤用例
『appetite』は主に食欲や性欲など、生理的な欲求に対して使われます。知識欲のように抽象的な欲求には、比喩的であってもやや不自然です。より適切なのは『thirst』や『hunger』といった単語で、これらは知識や経験に対する強い欲求を表す際に自然に使われます。日本語の『食欲』という言葉が、比喩的に様々な欲求に使われるのとは対照的です。英語では、抽象的な欲求にはより抽象的な表現を用いる方が適切です。
ここでの『appetite』は、企業の積極的な姿勢を表そうとしていますが、ビジネスの文脈ではやや口語的で、フォーマルさに欠けます。より適切なのは『desire』, 'ambition', 'drive'といった単語です。また、『appetite』はしばしばリスクを伴う、あるいはやや貪欲なイメージを含むことがあります。企業の拡大意欲を表現する際には、ポジティブで戦略的なニュアンスを持つ単語を選ぶ方が適切です。日本語で『意欲』をストレートに『appetite』と訳してしまうと、ビジネスシーンでは不適切な印象を与える可能性があります。
英語では、食欲がない状態を『My appetite is not good』とはあまり言いません。より自然なのは『I don't have much of an appetite』や『I have lost my appetite』といった表現です。これは、英語では食欲を『良い/悪い』という評価軸で捉えるのではなく、『ある/ない』、あるいは『多い/少ない』という量的な軸で捉える傾向があるためです。日本語の『食欲がない』という表現を直訳しようとすると、不自然な英語になってしまう典型的な例です。
文化的背景
「Appetite(食欲)」は単なる生理的な欲求を超え、文化的には「生の肯定」や「飽くなき探求心」を象徴することがあります。中世ヨーロッパでは、食欲はしばしば罪深い欲望、特に「暴食」と結びつけられ、道徳的に抑制すべき対象と見なされました。しかしルネサンス期に入ると、人間の本能的な欲求を肯定的に捉える潮流が生まれ、食欲もまた、生命力や創造性の源泉として再評価されるようになります。
文学作品における「appetite」の扱われ方にも、こうした価値観の変遷が見られます。例えば、シェイクスピアの作品には、食欲を権力欲や性欲の隠喩として用いる例が散見されます。登場人物の「appetite」の強さは、その人物の野心や支配欲の強さと結びつけられ、物語の展開を左右する重要な要素となります。また、19世紀のイギリス小説においては、食卓の描写が階級や社会的な地位を象徴する役割を果たすことがありました。豊かな食卓は繁栄と幸福の象徴であり、逆に貧しい食卓は困窮と苦難の象徴として描かれ、登場人物の置かれた状況を読者に強く印象づけます。
現代社会においては、「appetite」は食欲だけでなく、知識欲や性欲、冒険心など、より広範な意味合いを持つようになりました。「An appetite for knowledge(知識欲)」や「an appetite for adventure(冒険心)」といった表現は、特定の対象に対する強い欲求や情熱を表します。また、消費社会においては、広告やメディアを通じて人々の「appetite」が刺激され、新たな欲望が喚起される現象も見られます。この意味において、「appetite」は現代社会のダイナミズムを象徴するキーワードの一つと言えるでしょう。
このように、「appetite」は時代や文化によって様々な意味合いを帯びてきました。単なる生理的な欲求としてだけでなく、人間の感情、価値観、社会構造と深く結びついた言葉として理解することで、その多面的な魅力をより深く味わうことができるでしょう。
試験傾向
- 出題形式: 主に語彙問題、長文読解。稀にリスニング。
- 頻度と級・パート: 準1級、1級で頻出。2級でも出題の可能性あり。
- 文脈・例題の特徴: アカデミックな話題、環境問題、健康に関する文章など。会話文でも食欲不振などの文脈で登場。
- 学習者への注意点・アドバイス: 名詞としての「食欲」「欲求」の意味を理解。appetizer(前菜)との関連付けで記憶を強化。形容詞appetizing(食欲をそそる)も重要。
- 出題形式: 主にPart 5(短文穴埋め)、Part 7(長文読解)。
- 頻度と級・パート: Part 5, 7で中程度の頻度。スコアアップを目指すなら対策必須。
- 文脈・例題の特徴: ビジネス関連のニュース記事、健康経営に関する記事、レストランのレビューなど。
- 学習者への注意点・アドバイス: 「食欲」の他に「意欲」「関心」の意味があることを把握。demand(需要)などの類似語と文脈で区別。喪失(loss of appetite)などの表現も重要。
- 出題形式: リーディングセクションで頻出。
- 頻度と級・パート: リーディングセクションで高頻度。
- 文脈・例題の特徴: 心理学、生物学、社会学など、アカデミックな文章で抽象的な欲求や衝動を表す際に使われる。
- 学習者への注意点・アドバイス: 比喩的な意味合いで使われることが多いので、文脈全体を理解する必要がある。動詞のappealとの区別も重要。appetite for knowledge(知識欲)のような表現も押さえておく。
- 出題形式: 長文読解問題、語彙問題。
- 頻度と級・パート: 難関大学ほど出題頻度が高い。標準的な単語帳には掲載されている。
- 文脈・例題の特徴: 評論文、物語文など、幅広いジャンルで登場。人間の欲求や社会現象を説明する文脈が多い。
- 学習者への注意点・アドバイス: 基本的な意味に加え、比喩的な用法も理解しておく必要がある。文脈から意味を推測する練習が不可欠。関連語のappetizing、appetizerも合わせて学習。