英単語学習ラボ

このページは、歴史や文化の物語を楽しみながら、その文脈の中で重要な英単語を自然に学ぶための学習コンテンツです。各セクションの下にあるボタンで、いつでも日本語と英語を切り替えることができます。背景知識を日本語で学んだ後、英語の本文を読むことで、より深い理解と語彙力の向上を目指します。

円形に並んだSDGsの17色のゴールアイコンのシンボル
環境と生態系の科学

SDGs(持続可能な開発目標)とは

難易度: ★★☆ 想定学習時間: 約 5 対象単語数: 13

「誰一人取り残さない」。貧困、教育、環境など、2030年までに世界が達成すべき17の共通目標。そのuniversal(普遍的)な理念を学びます。

この記事で抑えるべきポイント

  • SDGs(持続可能な開発目標)は、2030年までに達成を目指す、貧困、教育、環境など17の国際的な目標群であること。
  • 「誰一人取り残さない」という理念を中核に据え、社会的に最も弱い立場にある人々への配慮を重視している点。
  • 前身のMDGsと異なり、開発途上国だけでなく先進国を含む全ての国が取り組むべき「universal(普遍的)」な目標であること。
  • 経済・社会・環境の3つの側面を統合的に扱い、持続可能な社会を目指す包括的なアプローチが取られている点。
  • 政府や国際機関だけでなく、企業や市民一人ひとりなど、多様な主体の「partnership(パートナーシップ)」が達成に不可欠とされている点。

SDGs(持続可能な開発目標)とは

近年、ニュースや商品、企業の活動報告などで頻繁に目にする「SDGs」という言葉。しかし、そのカラフルなロゴは知っていても、具体的な意味や、なぜ今これほど世界中で注目されているのかを深く知る人は少ないかもしれません。この記事では、「誰一人取り残さない」という力強い理念を掲げるSDGsの成り立ちから、私たちの生活との関わりまでを、分かりやすく紐解いていきます。

SDGsの誕生:MDGsからの進化と『universal』な目標へ

SDGsは、2015年に期限を迎えた「ミレニアム開発目標(MDGs)」の後継として誕生しました。MDGsが主に開発途上国の課題に焦点を当てていたのに対し、SDGsは先進国を含む全ての国が取り組むべき「普遍的(universal)」な目標であるという大きな違いがあります。この転換は、環境問題や経済格差といった課題が、もはや特定の国や地域の問題ではなく、全人類が当事者であるという認識が広まったことを示しています。この歴史的背景と進化の過程を理解することが、SDGsの本質を知る第一歩です。

17の目標が示す世界像:『holistic』なアプローチ

SDGsは17の目標と、それを具体化した169のターゲットから構成されています。目標1に掲げられる「貧困(poverty)」の撲滅から、飢餓、健康、教育、ジェンダー平等、気候変動、働きがいに至るまで、その範囲は非常に多岐にわたります。重要なのは、これらがバラバラの目標ではないという点です。例えば、質の高い教育は貧困の連鎖を断ち切り、ジェンダー平等は経済成長を促進します。このように、経済・社会・環境が相互に関連し合うという「包括的(holistic)」な視点で設計されており、一つの課題解決が他の課題解決にも繋がるよう、統合的に考えられています。

理念の核心:「誰一人取り残さない」ために

SDGsの最も重要な理念は「Leave No One Behind(誰一人取り残さない)」です。これは単なる美しいスローガンではありません。紛争や災害、差別などによって最も「脆弱な(vulnerable)」立場に置かれた人々を優先的に支援するという、具体的な行動原則を示しているのです。世界には依然として深刻な「不平等(inequality)」が存在し、富や機会が一部に集中しています。この理念は、そうした構造的な問題に正面から向き合い、社会的に最も弱い立場にある人々の声に耳を傾け、その尊厳を守ろうとする強い意志の表れなのです。

未来への羅針盤:私たちと『sustainability』

SDGsは国家や国際機関だけの目標ではありません。企業の経営戦略に「持続可能性(sustainability)」の視点が組み込まれたり、環境に配慮した商品を選ぶといった個人の消費行動が問われたりと、私たちの生活に密接に関わっています。この壮大で複雑な目標を達成するためには、政府、企業、市民社会、そして私たち一人ひとりといった多様な主体の「パートナーシップ(partnership)」が不可欠です。地球規模の課題に立ち向かうためには、個別の努力を結集させた「集団的(collective)」な行動が求められているのです。

結論

SDGsは、2030年の世界があるべき姿を示した、希望の「アジェンダ(agenda)」と言えるかもしれません。目標達成への道のりは決して平坦ではありませんが、これは気候変動やパンデミックといった危機を乗り越え、より良い未来を築くための人類共通の羅針盤です。この記事を通じて、地球規模の課題を自分ごととして捉え、持続可能な未来への一歩を考えるきっかけとなれば幸いです。

テーマを理解する重要単語

principle

/ˈprɪnsəpl/
名詞根本
名詞主義

「誰一人取り残さない」という理念が、単なる美しいスローガンではなく、具体的な行動を導く「行動原則」であることを示すために使われています。この単語は、SDGsの理念が持つ拘束力や、最も脆弱な人々を優先するという指針としての重みを理解する上で不可欠です。

文脈での用例:

He has high moral principles.

彼は高い道徳的信条を持っている。

universal

/ˌjuːnɪˈvɜːsəl/
形容詞普遍的な
形容詞万能の
名詞宇宙

SDGsが前身のMDGsと決定的に違う点を示すキーワードです。MDGsが開発途上国を主対象としたのに対し、SDGsは先進国を含む「普遍的な」目標であることを意味します。この単語は、気候変動などの課題が全人類共通であるという、SDGsの基本的な考え方を理解する上で不可欠です。

文脈での用例:

The desire for happiness is a universal human feeling.

幸福への願いは、人類に普遍的な感情である。

inequality

/ˌɪnɪˈkwɒləti/
名詞不平等
名詞格差

SDGsが解決を目指す、根深い社会構造の問題を指す言葉です。この記事では、富や機会が一部に集中する「不平等」に正面から向き合うというSDGsの強い意志が示されています。ジェンダーや経済における格差など、SDGsが取り組む多くの課題の根底にある問題を理解する上で重要です。

文脈での用例:

The report highlights the growing inequality between the rich and the poor.

その報告書は富裕層と貧困層の間の拡大する不平等を浮き彫りにしている。

collective

/kəˈlɛktɪv/
形容詞集団の
名詞共同体
副詞まとめて

個々の努力を結集させる必要性を訴える際に使われる言葉です。この記事では、地球規模の課題に立ち向かうためには、多様な主体による「集団的」な行動が求められると述べられています。パートナーシップを組んだ結果として生まれる、大きな力を示すニュアンスを理解できます。

文脈での用例:

It was a collective decision made by the entire team.

それはチーム全体で下された集団での決定でした。

vulnerable

/ˈvʌlnərəbəl/
形容詞傷つきやすい
形容詞影響を受けやすい

「誰一人取り残さない」という理念が、具体的に誰を指すのかを明確にする単語です。紛争、災害、差別などによって社会的に最も「脆弱な」立場に置かれた人々を優先的に支援するという、SDGsの行動原則の核心を理解できます。理念の具体性を読み解くための鍵となります。

文脈での用例:

Young birds are very vulnerable to predators.

若い鳥は捕食者に対して非常に脆弱だ。

agenda

/əˈdʒɛndə/
名詞議題
名詞計画

この記事の結論で、SDGsが「希望のアジェンダ」と表現されている点が重要です。単なる会議の「議題」という意味合いを超え、2030年のあるべき姿を示した、世界共通の「行動計画」や「目標リスト」という強いニュアンスを持ちます。SDGsの計画としての性質を理解するのに役立ちます。

文脈での用例:

She suspected that he had a hidden agenda.

彼女は彼に隠された意図があるのではないかと疑った。

holistic

/hoʊˈlɪstɪk/
形容詞全体的な
形容詞包括的な

SDGsの17目標がバラバラではなく、相互に関連し合う「包括的な」視点で設計されていることを示す重要概念です。この記事の「一つの課題解決が他の課題解決にも繋がる」という部分を深く理解できます。経済・社会・環境を統合的に捉えるSDGsの構造的特徴を象徴する単語です。

文脈での用例:

The doctor took a holistic approach to the patient's health, considering mind and body.

その医師は心と体の両方を考慮し、患者の健康に対して包括的なアプローチを取りました。

disparity

/dɪˈspær.ə.ti/
名詞格差
名詞ずれ
名詞開き

記事中の「経済格差」に対応する単語で、inequality(不平等)と似ていますが、特に二者間の「格差」や「不均衡」を強調する際に使われます。SDGsが是正を目指す社会の歪みを、より具体的、特に数量的・経済的な文脈でシャープに捉えることができる語彙です。

文脈での用例:

The growing disparity between the rich and the poor is a major social issue.

富裕層と貧困層の格差拡大は、大きな社会問題です。

sustainable

/səˈsteɪnəbəl/
形容詞維持できる
形容詞無理なく続けられる
形容詞環境に優しい

SDGsの「S」が示す最重要単語です。この記事では、環境や社会、経済のバランスを取り、将来世代の利益を損なわない発展を指します。単に「環境に優しい」だけでなく、より広い意味での「持続可能性」を理解することが、SDGsという壮大な目標の全体像を捉える鍵となります。

文脈での用例:

We need to find a sustainable source of energy.

私たちは持続可能なエネルギー源を見つける必要があります。

partnership

/ˈpɑːrtnərʃɪp/
名詞協力関係
名詞共同経営
名詞提携

壮大で複雑なSDGsを達成するための具体的な方法論を示す単語です。この記事で強調されているように、政府、企業、市民社会、そして個人といった多様な主体が協力する「パートナーシップ」が不可欠です。目標17にも掲げられている、SDGsの実行面での考え方を理解する上で重要です。

文脈での用例:

The new law recognizes same-sex partnerships and grants them similar rights to marriage.

新しい法律は同性のパートナーシップを承認し、結婚と同様の権利を与えています。

successor

/səkˈsɛsər/
名詞後継者
名詞後続モデル

SDGsがMDGsの「後継」であることを示す単語です。これにより、SDGsがゼロから生まれたものではなく、2015年までの国際的な開発目標の成果と課題を引き継ぎ、発展させたものであるという歴史的文脈を正確に把握できます。この記事の成り立ちのセクションを理解する上で重要です。

文脈での用例:

The CEO is searching for a worthy successor to lead the company.

CEOは会社を率いるにふさわしい後継者を探している。

sustainability

/səˌsteɪnəˈbɪləti/
名詞持続可能性
形容詞持続可能な
名詞維持できること

形容詞sustainableの名詞形であり、SDGsを語る上で欠かせない中心概念です。この記事では、企業の経営戦略や個人の消費行動といった、国家レベルを越えた様々な主体にとっての「持続可能性」の重要性が述べられています。私たちの生活とSDGsの接点を理解するためのキーワードです。

文脈での用例:

The company is focused on the long-term sustainability of its business.

その企業は自社のビジネスの長期的な持続可能性に重点を置いている。

eradication

/ɪˌrædɪˈkeɪʃən/
名詞根絶
名詞絶滅

SDGs目標1に掲げられる貧困の「撲滅」を表す、非常に強い言葉です。単に減らす(reduction)のではなく、「根こそぎ絶やす」というニュアンスを持ちます。この単語から、SDGsが掲げる目標の野心性の高さと、問題解決に向けた断固たる決意を読み取ることができます。

文脈での用例:

In 1980, the WHO officially declared the eradication of smallpox.

1980年、WHOは公式に天然痘の根絶を宣言した。