value
第一音節に強勢があります。/æ/ は日本語の「ア」と「エ」の中間のような音で、口を少し大きく開けて発音します。/uː/ は長母音なので、日本語の「ウ」よりも少し長めに発音しましょう。「リュー」と発音するのではなく、舌先を上あごに近づけて「リュ」と発音し、そのあと軽く唇を丸めて「ゥ」と添えるイメージです。
専門的な内容に関するご注意
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価値
重要性、有用性、価格など、何かの本質的な良さを表す。金銭的な価値だけでなく、倫理的な価値や個人の信念なども含む。
My grandmother always said this old photo had great value to her.
祖母はいつも、この古い写真が自分にとって大きな価値があると言っていました。
※ この例文は、お金では測れない、思い出や感情にまつわる「価値」を表しています。おばあちゃんが古い写真を大切にしている温かい情景が目に浮かびますね。`value to 人`で「〜にとっての価値」という意味になり、個人的な思い入れがあるものについて話す際によく使われます。
The sales clerk explained that this durable bag offers great value for its price.
店員さんは、この丈夫なカバンは値段の割に大きな価値がある、と説明してくれました。
※ お店で買い物をしている場面をイメージしてください。ここでは、商品の値段に対する「価値」、つまりコストパフォーマンスの良さを表しています。`value for its price` や `value for money` は「価格に見合った価値がある」という意味で、買い物やサービスを選ぶ際によく耳にする表現です。
Many students realize the value of hard work when they achieve their goals.
多くの生徒は、目標を達成した時に、一生懸命努力することの価値に気づきます。
※ この例文は、努力や経験といった、目に見えない抽象的なものの「価値」を表現しています。目標に向かって頑張る学生たちの姿が想像できますね。`the value of X` で「Xの価値」となり、学問や経験、人間関係など、様々な抽象的な事柄の重要性を語る際に非常に役立ちます。
重んじる
何かを大切に思い、その価値を高く評価する。尊敬や尊重の気持ちを込めて使うことが多い。
She really values the time she spends with her grandparents.
彼女は祖父母と過ごす時間を本当に大切にしています。
※ この例文は、家族や大切な人との温かい関係の中で「value」が使われる典型的な場面です。祖父母と孫が笑顔で過ごす、かけがえのない時間が目に浮かびますね。「(誰か)と過ごす時間」のように、具体的な行動や関係性を「重んじる」「大切にする」気持ちを伝えるときにぴったりです。
Our company values teamwork and honest communication.
私たちの会社はチームワークと正直なコミュニケーションを重んじています。
※ この例文は、組織や企業が「何を大切にしているか」という価値観を説明する際によく使われます。オフィスで社員たちが協力し合い、率直に意見を交わしている活気ある様子がイメージできますね。「私たちは〇〇を大切にします」と、自分たちの行動規範や理念を表明する場面で自然に使えます。
Many people in this town value their old traditions.
この町の多くの人々は、古い伝統を重んじています。
※ この例文は、地域や文化に根ざした「価値」を「重んじる」という場面を描写しています。古い町並みで、地元の人々が歴史あるお祭りや習慣を大切に守り続けている様子が目に浮かびますね。「伝統」や「文化」といった抽象的な概念や、集団で共有される価値観を大切にする気持ちを伝えるときに非常に自然です。
(数値)
数学や統計における具体的な数値、またはデータ。客観的な指標として使われる。
The nurse carefully wrote down the patient's blood pressure value.
看護師は患者の血圧の数値を慎重に書き留めました。
※ 健康診断で、看護師さんが血圧計で測った数値をメモしている場面を想像してください。患者さんの健康状態に関わる大切な「数値」そのものを指しています。医療の場面でよく使われる表現です。
I checked my test score, but the final value was lower than I expected.
私は自分のテストの点数を確認しましたが、最終的な数値は期待していたよりも低かったです。
※ テストが返却され、自分の点数(数値)を見て、がっかりしている学生の姿が目に浮かびますね。「final value」は「最終的な数値」という意味で、計算や測定の「結果の数値」を表すときによく使われます。
The engineer adjusted the machine to a specific value on the dial.
エンジニアは機械を、ダイヤルの特定の数値に調整しました。
※ 工場や研究室で、エンジニアが精密な機械のダイヤルを慎重に回し、ぴたりと特定の数値に合わせている様子です。正確さが求められる仕事の場面ですね。ここでは「value」が、ダイヤルやメーターなどの目盛りで示される「設定値」や「測定値」を指します。
コロケーション
価値提案、提供価値
※ ビジネスシーンで頻繁に使われる表現で、製品やサービスが顧客にもたらす具体的な価値や利点を指します。単に『価値』と言うよりも、顧客のニーズや問題を解決する明確な提案を含意します。例えば、『当社のAIソリューションは、顧客企業の業務効率を30%向上させるという価値提案をします』のように使われます。マーケティングやセールスの文脈で特に重要です。
価値判断、主観的な評価
※ 客観的な事実に基づかず、個人の信念や感情、道徳観などに基づいて行われる判断を指します。『それは価値判断に過ぎない』という場合、その意見が絶対的な真実ではないことを示唆します。ニュース記事や学術論文など、客観性が求められる場面では、価値判断を避けることが重要です。哲学や倫理学の議論でもよく用いられます。
価値を付加する、価値を高める
※ 既存のものに新たな要素を加えたり、改善したりすることで、その価値を高めることを意味します。ビジネスの文脈では、製品やサービス、プロセスなどを改善して競争力を高めることを指します。例えば、『研修プログラムを通じて社員のスキルを向上させ、会社全体の価値を高める』のように使われます。動詞+名詞の典型的なコロケーションです。
共通の価値観
※ グループや組織、社会全体で共有されている信念や原則を指します。企業理念や行動規範を説明する際によく用いられます。例えば、『社員一人ひとりが共通の価値観を共有することで、組織全体の結束力が高まる』のように使われます。政治的な文脈でも、国民が共有すべき価値観について議論されることがあります。
~を高く評価する、~を重視する
※ 特定の物事や特性を重要視することを意味します。例えば、『当社は顧客満足度を非常に高く評価しています』のように使われます。類似表現として『attach importance to』がありますが、『place a high value on』の方が、より感情的な重みや個人的な評価が含まれるニュアンスがあります。
中核的価値観、企業理念
※ 組織や個人にとって最も重要で、行動や意思決定の基盤となる価値観を指します。企業のミッションステートメントやブランドメッセージで頻繁に用いられます。例えば、『誠実さ、革新性、顧客志向は当社のコアバリューです』のように使われます。単なるスローガンではなく、組織文化を形成する上で重要な役割を果たします。
価格に見合う価値、コストパフォーマンス
※ 支払った金額に対して得られる価値が高いことを意味します。商品やサービスを購入する際に、価格と品質のバランスを評価する際に用いられます。例えば、『このホテルは立地も良く、価格の割に部屋も広くて、本当にお得です』のように使われます。イギリス英語で特によく使われる表現です。
使用シーン
学術論文や研究発表で頻繁に使用されます。特に、質的研究において、データの重要性や意義を説明する際に「参加者の語った言葉には、〜という価値(value)がある」「この研究は、〜という価値(value)を提供する」のように使われます。また、統計学の分野では、変数の値(value)を指す場合にも頻出します。
ビジネスシーンでは、企業の理念や行動指針を示す際に「顧客に価値(value)を提供する」「株主価値(shareholder value)を最大化する」といった表現でよく用いられます。また、プロジェクトの進捗報告において、達成された成果や改善点を示す際に「〜という点で価値(value)があった」のように使われることもあります。会議やプレゼンテーションなど、フォーマルな場面での使用が多いです。
日常生活では、物の値段や価値を尋ねる際や、自身の価値観について語る際に使われます。「この服はいくら?(What's the value of this shirt?)」「私は時間を大切にする(I value my time)」のように使用されます。また、ニュース記事やドキュメンタリー番組などで、社会的な価値観や倫理観について議論する文脈で見かけることもあります。
関連語
類義語
名詞として『価値』『値打ち』という意味。形容詞としても用いられ、『〜の価値がある』という意味になる。日常会話、ビジネス、学術など幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『value』が主観的な評価や重要性を含むのに対し、『worth』は客観的な価値や価格を指すことが多い。例えば、美術品の価値を評価する場合、『value』はその美しさや歴史的意義を含み、『worth』は市場価格を指す。 【混同しやすい点】『value』は動詞としても名詞としても使えるが、『worth』は通常、名詞または形容詞として使われる。また、worthは 'be worth doing' (~する価値がある)という構文で使用されることが多い。
『価格』という意味で、商品やサービスの金銭的な価値を示す。ビジネスや経済の文脈で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】'Price'は金銭的な価値に限定されるが、'value'は金銭的な価値だけでなく、有用性、重要性、個人的な評価など、より広範な意味を含む。例えば、ある商品の価格は1000円でも、個人的な価値はそれ以上という場合がある。 【混同しやすい点】'Price'は常に金銭的な価値を指すが、'value'は必ずしもそうではない。'Value'は抽象的な概念や倫理的な価値観にも適用できる。例えば、「正直さの価値 (the value of honesty)」のように使う。
『重要性』という意味で、何かがどれだけ重要であるかを示す。ビジネス、学術、日常会話など、幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『value』が価値があるという肯定的な評価を含むのに対し、『importance』は単に重要であるという事実を示す。例えば、あるタスクの重要性は高いが、必ずしも個人的な価値を感じるとは限らない。 【混同しやすい点】'Importance'は名詞であり、形容詞は'important'である。一方、'value'は名詞としても動詞としても使用可能。また、'importance'は通常、客観的な重要性を指すが、'value'は主観的な重要性も含む。
『長所』『利点』『価値』という意味で、何かが優れている点や評価されるべき点を示す。フォーマルな文脈や学術的な議論でよく用いられる。 【ニュアンスの違い】『value』が全体的な価値や重要性を指すのに対し、『merit』は特定の優れた点や長所に焦点を当てる。例えば、ある提案の価値を評価する場合、『value』はその提案が全体としてどれだけ有益かを示し、『merit』はその提案の具体的な利点を指す。 【混同しやすい点】'Merit'は通常、具体的な長所や利点を指し、抽象的な価値観には使われない。例えば、「友情の価値 (the value of friendship)」のように使うことはできるが、「友情の長所 (the merit of friendship)」とは言わない。
『利益』『恩恵』という意味で、何かがもたらす良い結果や有利な点を示す。ビジネス、経済、日常会話など、幅広い場面で使用される。 【ニュアンスの違い】『value』が全体的な価値や重要性を指すのに対し、『benefit』は具体的な利益や恩恵に焦点を当てる。例えば、ある投資の価値を評価する場合、『value』はその投資が長期的にどれだけ有益かを示し、『benefit』はその投資が短期的にどれだけの利益をもたらすかを示す。 【混同しやすい点】'Benefit'は通常、具体的な利益や恩恵を指し、抽象的な価値観には使われない。また、'benefit'は可算名詞として使われることが多い(例:benefits package)。
『資産』『財産』という意味で、個人や企業が所有する価値のあるものを示す。ビジネスや経済の文脈で頻繁に使われる。 【ニュアンスの違い】『value』が広い意味での価値を指すのに対し、『asset』は金銭的または経済的な価値を持つ具体的なものに限定される。例えば、会社の価値を評価する場合、『value』はその会社のブランドイメージや従業員のスキルなども含み、『asset』は現金、不動産、設備などの具体的な資産を指す。 【混同しやすい点】'Asset'は常に具体的な資産を指し、抽象的な価値観には使われない。また、'asset'は通常、可算名詞として使われる(例:company assets)。
派生語
『価値のある』という意味の形容詞。名詞の『value』に形容詞化の接尾辞『-able』が付与され、その性質や程度を強調する。日常会話からビジネス、学術論文まで幅広く使用され、非常に頻度が高い。有形・無形を問わず、対象が持つ価値を評価する際に用いられる。
- valuate
『評価する』『査定する』という意味の動詞。特に財産や資産の価値を専門的に判断する際に用いられる。不動産鑑定、美術品の査定、企業の資産評価など、ビジネスや金融の文脈でよく見られる。日常会話での使用頻度は比較的低いが、専門分野では不可欠な語彙である。
- devalue
接頭辞『de-』は『下げる』という意味を持ち、『devalue』は『価値を下げる』という意味の動詞となる。通貨の切り下げ、ブランド価値の低下、個人の評価を下げるなど、様々な文脈で使用される。ビジネスや経済ニュースで頻繁に登場し、ネガティブな意味合いを含むことが多い。
『評価』を意味する名詞。『valuate』に名詞化の接尾辞『-ion』が付いた形。人、物、事柄の価値や質を判断する行為・プロセスの結果を指す。教育、人事、製品開発など、様々な分野で用いられる重要な概念であり、学術論文やビジネス文書で頻繁に使用される。
反意語
- worthlessness
『価値がないこと』を意味する名詞。『worth』(価値)に否定の接尾辞『-less』と名詞化の接尾辞『-ness』が付いた形。物質的な価値だけでなく、道徳的な価値や重要性の欠如も表す。日常会話で使用されることもあるが、抽象的な概念を扱う学術論文や哲学的な議論でより頻繁に用いられる。
- uselessness
『役に立たないこと』を意味する名詞。『use』(使用)に否定の接尾辞『-less』と名詞化の接尾辞『-ness』が付いた形。『value』が持つ有用性・重要性といった側面と対比される。具体的な物から抽象的な概念まで、広範囲な対象に対して使用できる。
『損失』『損害』を意味する名詞。『value』が利益や利点を指すのに対し、『detriment』は不利益や損害を表す。ビジネス、法律、健康など、様々な文脈で用いられ、特に『to the detriment of』という形で、『〜を損なって』という表現でよく使われる。
語源
"Value"の語源はラテン語の"valere(価値がある、強い)"に遡ります。この"valere"は、健康や体力、能力といった、人が持つ内的な強さや価値を表していました。それが時を経て、「価値」「重要性」といった意味合いを持つようになりました。日本語で例えるなら、「値打ちがある」という表現が近いでしょう。さらに、この語根は"valid(有効な)"や"valor(勇気)"といった単語にも繋がっており、いずれも根本には「強さ」や「価値」という概念が存在します。"Value"を「価値」と覚えるだけでなく、その背後にある「強さ」や「有効性」といった意味合いを感じ取ることで、より深く単語を理解できるはずです。
暗記法
「value」は、古代ギリシャ哲学における「善」の追求から、中世のキリスト教的価値観、騎士道精神における名誉や忠誠へと、時代と共にその意味合いを深めてきました。近代に入り経済的な意味合いを強める一方で、人権、自由、平等といった社会的な価値を求める運動の根拠ともなり、アメリカ独立宣言にも影響を与えました。現代では、多様化する個人の価値観を尊重し、企業の社会的責任や倫理観が問われる時代。社会全体の持続可能性と幸福を追求する羅針盤として、「value」は今も進化し続けています。
混同しやすい単語
『value』と最初の2文字 'va' が共通しているため、スペルを間違えやすい。また、カタカナ英語の『ボリューム』として馴染みがあるため、意味を混同する可能性もある。『volume』は『量』や『容積』を意味し、品詞は名詞。発音も異なります。注意点として、スペルと発音の違いを意識的に区別することが重要です。語源的には、どちらもラテン語の『valere(価値がある)』に由来しますが、意味の発展が異なっています。
『value』の形容詞形ですが、スペルが似ているため、名詞と形容詞の使い分けで混乱しやすい。意味は『貴重な』、『価値のある』。文法的な役割が異なるため、文脈で判断する必要があります。英語学習者は、形容詞と名詞の語尾の違い(-able vs. -ue)に注意すると良いでしょう。
最初の 'val' の部分が同じであるため、スペリングミスを起こしやすい。意味は『バレーボールのボレー』や『一斉射撃』など、スポーツや軍事関連で使われることが多い。発音も異なります。特に、バレーボールを連想する人は、文脈から意味を判断するようにしましょう。語源は古フランス語の voler(飛ぶ)に由来します。
最初の3文字 'val' が同じであるため、スペルを混同しやすい。意味は『有効な』、『妥当な』であり、『value』とは大きく異なる。発音も異なります。特に、書類や契約書など、フォーマルな文脈でよく使われるため、意味を間違えないように注意が必要です。語源はラテン語の validus(強い、健康な)に由来します。
スペルの中に 'l' が2つ含まれており、'value' の 'l' と視覚的に似ているため、スペルミスを引き起こしやすい。意味は『柳』であり、植物を指す名詞。発音も大きく異なります。日常生活ではあまり使わない単語かもしれませんが、文学作品などに出てくることがあるため、覚えておくと良いでしょう。
『value』に接頭辞 'de-' がついた単語で、意味は『価値を下げる』、『切り下げる』。スペルは似ているため、意味の誤解を招きやすい。特に、経済や金融関連の文脈でよく使われるため、注意が必要です。接頭辞 'de-' がつくと、意味が反転することが多いことを覚えておくと役立ちます。
誤用例
日本語の『評価する』という言葉に引きずられ、『value』を人に対して使うと、相手の能力や人間性よりも、まるでモノを査定するようなニュアンスになり、不自然です。特に上司に対しては、尊敬の意味合いが強い『respect』を使う方が適切です。日本人が上司を『評価』するという発想自体、英語圏ではやや違和感があります。英語では、人を評価するよりも、その人の能力や行動を評価することが一般的です。
『cheap』は主に物の値段が安いことを指し、情報などの抽象的な価値が低いことを表すには不適切です。『cheap』を使うと、あたかも情報が安売りされているかのような印象を与えます。情報の価値が低い場合は、『negligible(取るに足りない)』や『insignificant(重要でない)』といった形容詞を使うのが適切です。また、日本語の『安い』という言葉が、文字通り価格だけでなく、価値の低さも含むため、誤用が生じやすいと考えられます。
『value』を動詞として使う場合、『価値がある』という意味では自動詞としては不自然です。『matter』は『重要である』という意味で、意見などが自分にとって重要かどうかを示すのに適しています。また、日本語の『価値がある』という表現を直訳しようとするあまり、不自然な英語表現になってしまう典型的な例です。英語では、意見が『価値がある』かどうかよりも、自分にとって『重要かどうか』という視点で表現することが一般的です。
文化的背景
「value」は、単に価格や価値を示すだけでなく、文化や社会における個人の重要性、道徳的な指針、そして共有された信念体系を象徴する言葉です。それは、私たちが何を大切にし、どのように生きるかを定義する、社会の根幹をなす概念なのです。
「value」の概念は、古代ギリシャ哲学にまで遡ることができます。アリストテレスは「ニコマコス倫理学」において、「善」や「幸福」といった価値を追求することが人間の目的であると説きました。これは、単なる物質的な豊かさだけでなく、知恵、勇気、正義といった内面的な価値を重視する考え方です。中世ヨーロッパでは、キリスト教的な価値観、すなわち信仰、希望、愛が社会の規範となり、「value」は神の教えに従うことの重要性を意味しました。騎士道精神もまた、名誉、忠誠、勇気といった価値を重んじ、「value」は個人の行動規範を示すものとして機能しました。
近代に入ると、「value」の概念は経済的な意味合いを強め、商品の価格や企業の価値を測る指標として用いられるようになりました。しかし、同時に、人権、自由、平等といった社会的な価値を求める運動も活発化し、「value」は政治的な主張の根拠ともなりました。例えば、アメリカ独立宣言では、「すべての人間は生まれながらにして平等であり、生命、自由、幸福の追求という奪うことのできない権利を与えられている」と謳われ、これらの「value」は、アメリカ社会の基盤となっています。また、奴隷制度廃止運動や女性参政権運動など、歴史的な社会変革は、既存の価値観に対する挑戦であり、新たな「value」を社会に根付かせようとする試みでした。
現代社会において、「value」は多様化し、個人の価値観やライフスタイルを尊重する考え方が広がっています。企業は、利益だけでなく、社会貢献や環境保護といった「value」を重視するようになり、消費者は、単に安い商品を選ぶだけでなく、企業の倫理的な姿勢や社会的な責任を考慮するようになっています。「value」は、もはや単なる経済的な指標ではなく、社会全体の持続可能性や幸福を追求するための羅針盤となっているのです。しかし、その多様性ゆえに、異なる「value」を持つ人々間の対立や誤解も生じやすくなっています。そのため、私たちは、自身の「value」を明確にし、他者の「value」を理解しようと努めることが、より良い社会を築くために不可欠なのです。
試験傾向
1. 出題形式: 主に語彙問題、長文読解。稀にリスニング。
2. 頻度と級・パート: 準1級・1級で頻出。2級でも長文読解で登場。
3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、環境問題、科学技術など幅広いテーマで登場。意見論述問題で自分の価値観を述べる際に使うことも。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 名詞(価値、重要性)、動詞(評価する、重んじる)の両方の意味を理解。類義語(importance, worth)との使い分けを意識。
1. 出題形式: Part 5(短文穴埋め)、Part 6(長文穴埋め)、Part 7(長文読解)。
2. 頻度と級・パート: 全パートで登場する可能性あり。特にPart 7で頻出。
3. 文脈・例題の特徴: ビジネスシーン(マーケティング、経営、人事など)で頻出。「顧客価値」「株主価値」などの複合語で登場することも。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 動詞としての「value」(評価する)よりも名詞としての「value」(価値)で問われることが多い。文脈から適切な意味を判断できるように。
1. 出題形式: リーディング、ライティング。
2. 頻度と級・パート: リーディングで頻出。ライティング(Independent Task)で自分の意見を述べる際に使用。
3. 文脈・例題の特徴: アカデミックなテーマ(歴史、社会学、心理学など)で登場。抽象的な概念を説明する際に使われることが多い。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 名詞(価値観、重要性)、動詞(評価する)の両方の用法を理解。特に、文章全体を通してどのような「価値」が議論されているかを把握することが重要。
1. 出題形式: 主に長文読解。文法問題で動詞の語法が問われることも。
2. 頻度と級・パート: 難関大学ほど頻出。標準的なレベルの大学でも長文読解で登場。
3. 文脈・例題の特徴: 社会問題、科学技術、文化、歴史など幅広いテーマで登場。筆者の意見や主張を理解する上で重要なキーワードとなることが多い。
4. 学習者への注意点・アドバイス: 多義語であるため、文脈から適切な意味を判断する練習が必要。特に、「価値観」という意味で使われる場合が多い。派生語(valuable, valueless)も覚えておくと役立つ。